今回、AIへは委託をしていませんため、出来が、おもいっきり、いいかげんです。
わたしは個人的に「Model T」に興味があったので、昔の田舎の自動車オーナーが、初めてマニュアルに目を通したときの体験を追体験したいと思ったのです。
一般人向けの解説冊子だろうから、どうせすぐ済むだろうと、舐めてかかったのでしたが、ほとんど1節ごとに文意の解釈にてこずらされ、たちまち、訳の質は投げやりになった。機械訳ならば、こんな「作業疲れ」は起こり得ぬというところは、AIの無類の強味でしょうか。
というわけで、このマニュアルの精緻な内容を確認したい人は、かならず各人であらためてAI訳させてくださいね。
ひとつ感心いたしましたのは、もしラダー・フレームが応力に耐えられず歪んでしまったらどうする、という想定事例が、書かれていないことです。あと、窓ガラス関連の解説も、見当たりませんでした。
もうひとつの個人の感想。大衆車のパイオニアであったフォード社がリリースしていたマニュアルならば、さぞかし明瞭・明快で、誰が読んでも誤解の余地などけっして無い文章が、考え抜かれていただろうと予期したのは、まちがいでした。
二通り以上の、多義な、時には正反対の解釈がされてしまう余地がある単語や構文が、選ばれていたりします。今ならば二つ以上のセンテンスに分けるであろう説明を、長い一文につなげて展開している箇所も、ふつうに出てくる。イメージのし難さが許容されており、曖昧さを排除できていません。社長のヘンリー・フォード氏は、マニュアルの大衆性まで考えている余裕はなかったようです。
イラストレイティヴで念入りな多数の写真――もしくはほとんど写真的に見えるイラスト――の併載が、その欠点を半ば以上補っています。それらの解説図版の製作指揮をとった人には、まちがいなく「マニュアル適性」があった。
ここから私は、新たな興味にとりつかれてしまいました。果たして然りとせば、彼らが工業製品のマニュアルの作文法を、真に大衆時代にふさわしく洗練できたのは、いつのことだったのでしょう?
図版は省略してあります。
原テキストを公開してくださっている「プロジェクト・グーテンベルグ」さまはじめ、各位に御礼を申し上げます。
原題は、『Ford Manual for Owners and Operators of Ford Cars and Trucks』 (1919)です。
著者は、Ford Motor Company。
以下、本篇の抄訳です。
フォード車のほぼすべての運転者は、機械工学について素人であると考える。
「フォード・サービス・ステーション」は、文明世界全体に、2万店舗、展開している。フォード車のオーナーは、車両の調整や修理を、そこですぐにやってもらえるはずだ。
ただやはりオーナーたるもの、その車のメカニズムについては、深く理解しているのに越したことはない。クルマの調子がどうなのかを把握できていれば、修理コストは節約されるし、車の寿命は延びるし、知れば知るほどに、運転することから、より多くの喜びが得られる。
修理のさいには、純正部品を使ってくれ。これ、重要。フォード車は、シンプルさが身上だが、サードパーティ部品は困るぞ。「フォードの部品」と称する劣悪なパチもんも流通している。正規代理店を利用してくれれば、まがいもの部品の害は避けられるのだ。
クルマを始動する前に、何をすべきか。
ラジエターの上部キャップを外して、清水を満たすべし。
清水ではない水しかそこにないときは、帆布(モスリン)でその水を漉し、微細なゴミを取り除くようにする。さもないと、細いラジエター・チューブ内に、そのゴミが詰まってしまう。
冷却水は、3ガロン入る。
水が一杯に満たされたかどうかは、オーバーフロー・パイプから水が溢れて地面へ落ちるから、分かる。
水が一杯でない状態で走らせることは、非常によくない。すべきでない。
乗用中も、できるだけ頻繁に冷却水量を点検すること。
大気汚染と無縁な地方では、雨水は、軟水であり、硬水よりも、冷却水として適している。
硬水は、アルカリや塩類が豊富で、それが細いチューブの内壁に付着層を形成してしまう。
ガソリン・タンクには10ガロン入る。ここに、準満タンにしておくのが望ましい。
給油作業中に、10m以内では生火を禁ずる。
ガソリンが洩れている場所の近くでも、マッチを擦るな。
ガソリン・タンクの蓋には、小さな通気孔が設けられている。これは、塞いではいけない。塞いでしまうと、キャブレターにガソリンが正しく流出して行かなくなってしまう。
ガソリン・タンク内の沈殿物を除去したいときには、底部の豆コック(pet cock)を開放すると、ドレーンできる。
潤滑油は、「ミディアム・ライト」で高グレードな、ガソリン・エンジン用オイルを、クランク・ケースに注がねばならない。注油は、エンジン正面の吸気パイプを通してする。金属の蓋がある。
車の底部、フライホイールのケーシング(底が潤滑油溜まりになっている)に、2個の豆コックがある。
上に位置する豆コックを開放しておいて、潤滑油をゆっくりと注ぎ、その豆コックから潤滑油が溢れるのを見届け、しかるのち、コックを閉じる。
エンジン全体に潤滑油がよく廻ると、潤滑油のレベルは、2個の豆コックの中間に来る。ぜったいに、下の豆コックよりも潤滑油のレベルが低いという状態にしてはならない。
エンジン以外の部品の潤滑は、自動車が工場を出るときに十分にグリスアップされているから、心配しなくて可い。
とはいえ、すべての「グリース・カップ」にグリスが一杯入っているかどうか等、しじゅう点検するのは、良い態度だ。
ハンドルの下には、2つの小さいレバーがある。右手側にあるのがスロットル・レバー。ガソリンと空気の混合比を調節できる。エンジンの運転中に、このレバーを手前へ(下方に)引き出すほどに、混合比は濃くなり、エンジン出力は大きくなる。
※「チョーク」という言葉をこのマニュアルは、なかなか、使わないようにしています。
左手側のレバーは、イグニッションの点火タイミングを調節できる。「アドバンス」にすると、スパークを発するタイミングは早まる。ノッチが刻まれているから、どの長さにすれば、エンジンの回転数が最大化するのか、徐々に変えて試みるとよい。最適タイミングを行き過ぎれば、鈍い「ノッキング」音が響く。それで、行き過ぎたと察知できるであろう。
床を貫通して運転者シートの左手側に突き出している「ハンド・レバー」(=ギア・シフト操作桿)は、後方一杯に引かれているか?
その、後方一杯の位置において、クラッチはニュートラルに保たれ、タイヤのハブ・ブレーキがかかる。ゆえに、エンジンを始動しても、車が勝手に前へ走り出すことはない。
スイッチ・キーを、コイル・ボックス上のスイッチに入れたら、スイッチ・レバーを左一杯のところにある「マグネトー」の印の位置へ。
このスイッチが、マグネトー(起電器)とエンジン(のスパーク・プラグ)をつなぐ。マグネトーがONになっていないときには、エンジンは、始動しない。そしてこのスイッチをOFFにすれば、運転中のエンジンは止まるのである。
「スターター」が備わっていない自動車のエンジンを始動させるためには、車体前端正面にある「始動クランク」を引き上げるようにして腕力にて半回転させる。
まず、クランクの柄を握り、自動車に向けて押し込むようにすると、ラチェットががっちりと噛み合う手応えがあるはず。しかるのちに、クランク・ハンドルを上向きに急激に持ち上げるように、回すのだ。
ぜったいにやってはならぬこと。ハンドルが回転の上限に達したなら、それをさらに力ずくで下降させようとするな。
シリンダー内混合気の早期爆発が、下降中のハンドルを猛烈に逆転させる場合があるのだ。そのときにハンドルを握っていたなら、大怪我してしまう。
エンジンが冷たいときの始動のさいには、ラジエターの底部の左隅にある小さなワイヤーを引っぱっておく。
イグニッションのために、バッテリーの電力を使うことも可能だ。が、「モデルT」は、スパーク・プラグの電力をマグネトーによって供給するように設計してある。それで点火が最適化されるようになっている。
特に気を付けてほしい。点火タイミング調節レバーを早い方にしすぎると、深刻なバックファイアを招く。それはスターター内のシャフトを破壊してしまう。
運転者の足元の床には、踏みつけるボタンがある。それが始動用モーターのスイッチである。
踏むと、電池と始動モーターとが結線され、Bendix(1914年からある米自動車部品メーカー)社製のドライブ・シャフトのピニオンを、フライホイールの歯と噛み合わせる。そしてそれが、クランクシャフトを回転させる。
エンジンが冷えた状態からのスタートであったならば、「キャブレター点火ロッド」を引き出すことで点火させる必要がある。それは工具盤にある。ただし注意。連続して長く使い過ぎると、シリンダー内がガソリンで溢れてしまう。よって「点火ロッド」は、いちどに数秒のみ、引き出すようにせよ。
寒い日のエンジン始動には、キャブレターの促進つまみを四分の一、左に捻る。これでシリンダーには濃厚な混合気が送り込まれるようになる。点火ロッド(チョークボタン)を引き出した状態で、クランク・ハンドルを四分の一回転、挙上する運動を、6回~8回、迅速に反復する。スターター付きのモデルならば、数回、セルモーターを廻す。
別なやり方。まずマグネトー・スイッチをONにする。スロットル・レバーを閉じる。チョークを引いて、クランク・ハンドルを何回か、続けて挙上する(不意な逆転に特に注意すること)。スパーク・レバーを、第三の刻み目のところに位置せしめる。スロットル・レバーを7目盛りほど、前進方向へ。マグネトーのスイッチをONに。クランク・ハンドルを1~2回、挙上する(もしくはスターター・スイッチを作動させる)。これで、かかるはずだ。
寒い日は、エンジンがかかっても、すぐにエンスト(ストール)してしまうことがある。
エンジンが温まったなら、キャブレター調節器を、四分の一、逆に捻って戻す。
多くのドライバーは、チョークを使い過ぎてエンストを招いてしまう。吸気が阻止され、シリンダー内が濃密な混合気で満たされるためだ。
これをやった直後は、かなりな時間をかけてエンジンをクール・ダウンさせないといけない。エンジンがまだ熱いうちに再始動を試みると、キャブレターがうまく機能しない。
ハンドレバーは、ギアをニュートラルにしたりシフトさせるときに動かす必要があるだけではなく、それを目一杯後方に引くことで、後輪のドラム内のブレーキシューを拡張させられる。すなわちハンドブレーキ兼用。
エンジンをクランク始動させるときには、ハンド・レバーを、ブレーキが効くまで目一杯、引いた位置にしておくこと。駐車中も、そうしておくこと。
ハンド・レバーが後ろに倒された状態では、「後進」はできないので、注意すること。
また、ハンド・レバーは、自動車が低速で、もしくは高速で前進走行中には、目一杯、前方へ倒されている。
足元に3つ並んでいるフット・ペダルについて。
左側のはクラッチ・ペダルである。これを思い切り踏むと、クラッチは「低速」に入る。
これを半分だけ踏むと、クラッチは「ニュートラル」になり、後輪へはエンジン駆動力は伝達されなくなる。
このペダルから足裏を離している状態では、クラッチは「高速」である。
3つあるうちの、真ん中のフット・ペダルは、それを踏むことによりギヤが「後進」に結合される。そのさいハンド・レバーは垂直位置か、それよりも前方へ傾いていなくてはならない。
右端のフット・ペダルは「トランスミッション・ブレーキ」である。
「モデルT」の発進手順。
スロットルを開けることにより、ゆっくりとエンジンの回転数を上げる。
クラッチ・ペダルを半分だけ踏み込み、ニュートラルに。そしてハンド・レバーを前へ倒す。
ついで、クラッチ・ペダルをベタ踏みして、クラッチを「低速」に入れる。
自動車が20~30フィート前進したところで、クラッチ・ペダルをゆっくりと戻して「高速」にする。同時にスロットルを、やや絞る。
少し練習すれば、速度の加減は自在にできるようになる。
いかにして停車させるか。
スロットルを幾分絞り、クラッチ・ペダルをニュートラルに。フット・ブレーキを徐々に踏み、完全に車両を停止させる。
そしてクラッチ・ペダルから足を離す前に、まずハンド・レバーをニュートラル位置まで引き戻しておかぬと、エンストするから、注意のこと。
エンジンを停止させるさいには、いったんスロットルをわずかに開いて回転数を上げてやり、しかるのちスイッチをOFFにする。これは、シリンダー内に可燃性ガスをたくさん残しておくようにするためのコツである。こうしておけば、次に始動させるときに、楽だ。
急ブレーキをかけるときも、ほとんど意識せずに手足が動いてギアをニュートラル位置にできるようになるまでに、努力して、己の心体を慣らすべし。
車をバックさせる方法。
車体が完全に停車している状態から始める必要がある。
エンジンがかかっている状態で、ハンド・レバーによつてクラッチを放し、後進ペダルを左足にて踏み込む。右足は、いつでもブレーキ・ペダルを踏める位置で待機。
ハンドレバーを後ろへ引きすぎると、ハンド・ブレーキが後輪にかかってしまうから注意のこと。
慣れた運転者は、左足でクラッチ・ペダルをニュートラルにしておいて、右足でリバース・ペダルを踏む。
いかにしてスパーク点火のタイミングを調節するか。
ハンドル下の左手側にあるレバー。これを使う。
良い運転者は、このスパーク・レバーを、エンジンが許容するギリギリまで前進させて、走行する。
しかし、前進させ過ぎれば、ノッキングが生ずる。点火が過早となるからである。
逆に、点火タイミングを遅めに調節する場合もある。重い荷物を搭載して急坂を登攀するようなときだ。しかし遅くし過ぎるな。やりすぎると、出力が無駄になり、オーバーヒートを結果して、バルヴが歪んだり、焼け焦げたり、亀裂が入ってしまうだろう。
燃費を最良にし、速力を最大にするには、スパーク点火タイミングは、適宜の「早め」とすべし。
いかにして速力を調節するか。
スロットルを開いたり閉じたりして、調節する。
「ハイ・ギヤ」のままで、ほとんどの速度に対応できる。しかし停車状態からの発進には、「ロー・ギヤ」を使わねばならぬ。
混雑した道路で速度を緩めなければならないときや、直角カーブを曲がるときには、クラッチ・ペダルをニュートラルまで踏み込んで「半クラ(slipping the clutch)」にする。
オーナーが自己流の調整をして可いか?
推奨しない。フォード社公認の修理工場に任せてほしい。それか゜ランニング・コストを最小にするはずである。
新車を買ったときの注意は?
最初の数日間は、慎重な低速運転をして欲しい。それで、新品の部品が、こなれてくるから。
スタート前にかならず、潤滑油と冷却水が充分かどうか確認すること。
足回りは頻繁に点検せよ。
わたしたちフォード社は、最善に機械的に調整した製品を届けられるけれども、その初期状態の調子を維持して行くのは、ユーザーの義務感にかかっているのである。
ガソリン・エンジンのピストンの作用は?
シリンダーの中でピストンが下降するとき、キャブレターから新鮮な混合気が導入される。
ついでピストンが上昇し、混合気の体積を圧縮する。
そのとき、シリンダー・ヘッドの天井と、ピストンの床との間の隙間が「燃焼室」と呼ばれる。混合気はその中で、1平方インチあたり60ポンドにまで昇圧している。
上死点にて、マグネトーが電気火花を発生させ、混合気を爆燃させる。膨張圧はピストンを押し下げる。その力がクランク・シャフトを廻す。ついでピストンが上昇するとき、燃焼済みの混合気が排気バルブを通り抜けて消音器へ導かれる。
ピストンとクランク・シャフトを接続しているのは、コネクティング・ロッドという鋼製の棒である。バビット(銅+アンチモニーの合金)を使っているベアリング部が摩耗してきたり、潤滑油不足のために焼けてしまったり、ノッキングのせいで破壊的な枉げ応力が加わったときには、コネクティング・ロッドをまるごと、新品と交換する必要がある。
交換のための分解手順は、まずクランク・ケース内から潤滑油を抜く。シリンダー・ヘッドを外す。クランク・ケースの着脱式底板を外す。クランク・シャフトとコネクティング・ロッドの連結を解く。ピストンとロッドをそっくり、シリンダーの頂部から抜き出す。
※これをユーザーがやることになっているらしい。
ヴァルヴのレイアウトについて。
各シリンダーには、1個の吸気バルブと、1個の排気バルブとが、それぞれついている。
吸気バルブには、インレット・パイプがつながっている。その先はキャブレターである。排気バルブには、エグゾースト・パイプがつながっている。その先はマフラーである。
この2つのバルブを交互に開閉させている部品は、カム。カム・シャフトの上についたカムが、プッシュ・ロッドに当たり、それによってバルブが開く。
バルブのタイミングについて。
工場出荷時にちゃんと調整されている。これをふたたび調整する必要があるときとは、カム・シャフト、タイミング調節部品、バルブそのもの等を分解してオーバーホールした場合だ。
プッシュ・ロッドとバルブ突起との間の隙間は、「32分の1」インチより大きくてはいけない。また「64分の1」インチより小さくてもいけない。
このクリアランスは、プッシュロッドがカムの踵に乗っているときに測る。
バルブの手入れについて。
バルブ・シートにカーボンが溜まると、汚れる。そのためにバルブは密閉しなくなり、圧縮過程で混合気が洩れてしまうようになる。
この状態のシリンダーは、ピストンが何の抵抗もなく上下する感覚を生ずる。そうなっていたら、バルブにグラインダーをかける整備が必要だ。
エンジンの寿命は、バルブの具合が左右すると言える。
グラインダーがけのためにバルブを取り外す手順。
ラジエターの水を抜く。シリンダー・ヘッドをばらす。2つのバルブ・カバーを脱する。挙上器具を使い、バルブ・スプリングをもちあげる。バルブ・シートの下にある小さなピンを抜く。これで、バルブは上方へ抜き出せる。
グラインディングの作業には、専用の磨き薬(ガラス粉と油脂が混じったペースト)を、自動車用品店から買ってくる必要がある。
それを皿の上にすこし出して、小さじ2杯のケロシンと、数滴の潤滑油を混ぜ、希釈する。
それを少量、ヴァルヴの表面につける。バルブが、バルブ・シートに入っている状態で、「フォード・擦り器具」を用いて、円弧を描くように往復的に数度、擦る。
ベアリングの表面がツルツルに光ってくるまで、円弧のタッチの位置を変えながら、これを繰り返す。
バルブをぐるりと1周廻してはいけない。バルブとシートにぐるりと連続した傷が付く惧れがあるから。
擦り取り作業が完了したら、バルブをシリンダーから取り外す。
そしてバルブをケロシンですっかり洗浄する。バルブ・シートもウエスでよく拭う。
そのさい、ぜったいに研磨剤を、シリンダー内や、バルブ・ガイド内に、付着させてはならぬ。
バルブ・シートがひどく摩耗していて、皺状になっていたら、「バルブ・シーティング補助具」を使って元通りに嵌めるしかない。だがこれは特殊な技能を要求される作業だから、整備のプロに任せることを勧める。バルブのタイミング調整も、改めて必要になる。
バルブや、プッシュ・ロッドがちびてきて、両者の間の「あそび(play)」が大きくなるにつれ、バルブの開き方は小さくなり、エンジンのパワーが出なくなる。
こうなったなら、プッシュ・ロッドを新品と交換すべきときだ。
プッシュ・ロッドとバルブ突起の間のクリアランスが「32分の1」インチより大きくなると、バルブは開くのが遅れ、閉じるのが早まる。
プッシュ・ロッドとバルブ突起の間のクリアランスが「64分の1」インチより小さければ、バルブの開きは常に不十分になる。
プッシュ・ロッドを交換しても、クリアランスが正常値にならなければ、バルブもまた、新品と交換すべきである。
バルブ突起(valve stem)の抜き出しは、推奨しない。それはエキスパート整備工でないと難しい。新品部品を調達したとしても、時間と費用を無駄にする結果におわる可能性がある。
バルブ・スプリングについて。
バルブをバルブ・シートに正しく嵌めることにしくじると、バネの力を弱くしたり、バネを破損してしまう場合がある。
吸気バルブの場合、バネが弱まったとしてもエンジンの回転に大禍は無いが、排気バルブの場合だと、まちがいなく不具合に直結し、しかも、そのトラブル原因の特定にかなり手間取ってしまうだろう。
エグゾースト・バルブは、排気が済んだら即時に閉じる必要があるのに、その閉じ方が緩慢になってしまうのだ。
すると、ピストンの圧縮行程で、シリンダー内の混合気の幾分かが無駄に漏れ出てしまうだろう。
そうなると爆発力も明瞭に低下する。
バルブ・スプリングがへたっているかどうかを検分するには、次のようにする。
シリンダー側面のプレートを外し、エンジンが動いているさなかに、ねじ回しの先を、コイルばねの弦巻の隙間に差し込んでみる。このときバネに加わったテンションのせいでエンジンの回転数が上がるようなら、そのバネはすでにヘタっているので、新品と交換した方がよい。
ノッキングはどのようにして起きる?
第一原因は、シリンダー内のカーボン。次が、スパーク・タイミングが早すぎる点火プラグ。次がコネクティング・ロッドに発するもの。次が、クランク・シャフトのメイン・ベアリングに発するもの。次が、ピストンの密閉が悪かったり、ピストン・リングが壊れていることによるもの。次が、ピストンがシリンダー・ヘッドのガスケットに衝突することによるもの。
いずれにせよ、ノッキング音が収まらなければ、ベテランの修理工に見てもらって、原因を除去しなくてはいけない。
ノッキング音のいろいろ。トントンという音が、エンジンが温まるにつれて高音程化して行くのは、カーボン・ノックである。スロットルを開けると、シャープな連打音になる。
もっと鈍いノッキング音は、点火タイミングが早すぎるときに、聞こえる。
コネクティング・ロッドのノッキングは、遠くで小さなハンマーがスチールを叩いている感じ。自動車が惰性(エンジンはアイドル)で走行しながら減速しているときや、いったん時速25マイルへ加速してから急にスロットルを閉じたときに、それはハッキリと聞こえる。
クランク・シャフト・メイン・ベアリングのノッキング音は、登攀走行中に、ドスンドスンと響く。
ピストンの気密が甘いことによるノッキング音は、急にスロットルを開けて加速したときだけ、ガラガラと聞こえる。
燃焼室の内壁からカーボンを除去する方法。
まず、ラジエター底部の豆コックを開けて、冷却液を抜いてしまう。
エンジンの頂部にあるワイヤー複数を外す。ラジエター・コネクションも外す。
15個の螺子をゆるめて、シリンダー・ヘッドを取り外す。
肉料理用ナイフか、マイナス・ドライバーを使って、シリンダー・ヘッドと、ピストン上面にこびりついたカーボン系の付着物を、こそぎ落とす。そのさい微細な滓が、シリンダーの奥や、ボルト穴に入ってしまわないように、注意すること。
シリンダー・ヘッドを組付けるときに、ナンバー1のピストンとナンバー4のピストンは、上死点にあること。
ピストンにガスケットを嵌め、シリンダー・ヘッドを取り付ける。そのさい、15個のボルトを、順番に少しずつ締めて行くこと。いきなり1本だけ先にきつく締めてしまうようなやり方をしてはならない。
スパーク・プラグの洗い方。
エンジンから外した点火栓の先端を、ガソリンに浸した古い歯ブラシで、清掃する。
点火栓本体にこびりついたカーボンは、小刀で削ぎ落せる。
釉薬で保護されている磁器の表面に疵を付けぬように、注意すること。疵が付くと、そこにはすぐにカーボンが溜まるようになる。
清掃の仕上げに、全体をガソリンで洗い、布で拭って乾燥させる。
プラグを再び取り付けるとき、ナットを締めすぎると磁器部分が割れるから注意。スパークが飛ぶ間隙は「32分の1インチ」くらいに。ちょうど、ツルツルの10セント硬貨の厚さである。
クランク・ケース内に潤滑油が多すぎたり、潤滑オイルの質が悪いと、プラグは汚れがちとなる。そこも注意して欲しい。
エンジン全体を車体から取り外すには?
ラジエター液を排出し、ラジエター・ホースを外す。
ダッシュ上にラジエターを固定している「ラジエター・ステイ・ロッド」を外す。
ラジエターをフレームに固定している2個のボルトを外す。これでラジエターは外れた。
フレーム上から延びている2個の「支持ブラケット」をダッシュから離す。
ハンドル中心軸のポスト・ブラケットとフレームとの結合を緩めると、ダッシュとハンドル装置が一体のアセンブリーとして取り外せる。なお、前もってワイヤー類は外しておくこと。
クランク・ケース下のソケットに「ラディアス・ロッド」(前輪の踊りを抑制する役目の横棒)の一端を固定しているボルトを外す。
ユニバーサル・ジョイントにある4つのボルトを外す。
シリンダー頂部の両サイドを覆っている皿を外し、キャブレターからの燃料供給パイプを外して、ガソリンが流入しないようにする。
真鍮製の大きな「pack nut」を緩めて、エグゾースト・パイプから排気マニフォールドを外す。
フロント・フレームにクランク・ケースを固定している2個の「cap screw」(頂部の凹部を六角レンチで廻すようになっているボルト)を外す。
フレームの側面にクランク・ケース・アームを固定しているボルトを外す。そして、中央の2本のシリンダーの間にロープを通し、緩く縛る。さらにそのロープを「2×4」の1枚の材木、もしくは長さ10フィートの頑丈な鉄パイプでくぐらせる。2名の男がその材木またはパイプの両端を保持し、さらに第3の男に、スタート回転しようとするクランク・ハンドルを押さえていてもらう。機関部全体を持ちあげで、作業台の上へ。
コネクティング・ロッド・ベアリングは、いかにして調節するか。
次のようにすれば、エンジンから取り外すまでもなく、整備することが可能だ。
まず、潤滑油を抜き取る。
クランク・ケースの底板を外し、コネクティング・ロッドをむき出しにする。
最初のコネクティング・ロッド・キャップを外し、端をつまんで、ゆっくりと引き出す。
キャップを交換し、ロッドの端のしるしを見極め、シャフトにピッタリ嵌まるまで、ボルトを締める。
クランク・ハンドルを廻して、ベアリングの嵌まり具合を確かめる。慣れたメカニックならば、これでベアリングの嵌め損ないに気付き、キャップ側面をハンマーで軽くたたいて、修正してしまう。
そのベアリングを緩め、隣のベアリングを篏合して、同様に確認する。
すべてのベアリングが正しく嵌まったら、キャップ・ボルトを締める。作業終了。
ベアリングをきつく嵌めすぎると、銅・アンチモニー合金被膜の早期の破断を招くから注意すること。スタート直後のエンジンを高速回転させないようにすれば、大きなトラブルは予防できる。
ベアリングを調整した後には、できれば、ジャッキで後輪だけを持ち上げて、冷却水も潤滑油も十分なエンジンをかけ、2時間ほど、低速駆動させてやる。その後で路上走行に乗り出すべし。
結論。やはりベアリングの調整は、フォード正規整備工場にいるメカニックに任せろ。
使い古したコネクティング・ ロッドは、最寄りのフォード車ディーラーかフォード社支店に持ち込めば、キッカリ1ドルで、銅・アンチモニーの被膜処理ができる。
コネクティング・ロッドやメイン・ベアリングを、特殊工具を有しないユーザー個人が再鍍金した場合、満足の行く結果は保証しかねます。
クランク・シャフトとコネクティング・ロッドの接合が緩いと、常にゴトゴト音を立て、それは鋼を「結晶化」させる作用がある。最悪、それでクランク・シャフトなどが破壊されてしまう。
クランク・シャフトとメイン・ベアリングの調節法。
クランク・シャフトに嵌まっているベアリングが摩耗すると、エンジンから何かを叩くような音が聞こえる。もしそうなったら、部品の交換と再調整が必要だ。
エンジンを車体から取り外した後、クランク・ケースをバラし、トランスミッション・カバー、シリンダー・ヘッド、ピストン、コネクティング・ロッド、トランスミッション、マグネトー・コイルを分解する。
銅・アンチモン合金で被覆されている3個のキャップを外し、ガソリンでベアリングの表面を拭ってきれいにする。
そこに、顔料のペルシアンブルー、もしくは赤色酸化鉛を塗っておく。こうすると、後でキャップを嵌めるときに、正しくベアリング部分をカバーしたかどうかを見極めやすい。
リアー・キャップを定位置に嵌め、ボルトの螺子溝が破壊せぬギリギリのところまで力強く締める。
ベアリングが正しく嵌まっていれば、クランク・シャフトは片手で回る筈だ。
もしクランク・シャフトが片手で廻せないほどにシブければ、それはベアリング表面との当たりがきつすぎるからなので、〔キャップの基部に?〕楔を入れて隙間調節をする。1枚か2枚の真鍮ライナーで解決するはずだ。
もしクランク・シャフトがあまりにも楽々と片手で廻せるようになってしまったら、噛ませた真鍮ブラスは除去して、キャップのスチール表面を鑢(やすり)で削って、締めたときにややキツく当たるようにする。
キャップを外して、青か赤の「汚れ」がついてないかを確認する。ついていたら、やり直しだ。銅・アンチモン合金被覆をこそげ落として、またキャップを取り付ける。これを繰り返す。
リア・キャップを脇にどけ、中央のベアリングを同様に調節する。フロント・ベアリングを調節するときは、他の2つのベアリングを脇にどける。
各ベアリングが正しく調節されたなら、銅・アンチモン合金被覆を注意深く拭い、少量の潤滑油をベアリングとクランク・シャフトに塗り、すべてのキャップを思い切りきつく締める。楔が必要なものは勿論それを噛ませて。
クランク・ケースやトランスミッション・カバーを新品に変えるときには、潤滑油の漏洩を確実に止めるために、ガスケットも新品にすることを勧める。
フォード車の冷却システム。
エンジンはいかにして冷却されるか。
フォード・エンジンは、水がシリンダーの周りのジャケットをめぐることによって冷却され、過熱自壊を防いでいる。
熱せられた水は、薄い金属のチューブを通り、ラジエターに行く。背後の扇風機が起こす気流が、ラジエターのフィンから熱を奪い去る。車が前進しているときは、それによる気流も加わる。
ファン・ベルトの張力は、しばしば点検するとよい。弛みすぎていてはいけない。張力調節スクリューは、ファン・ブラケットに付いている。
冷却液を循環させているシステムは?
フォード車の場合「熱サイフォン」が循環させている。
比較的高温の水は、比較的低温の水よりも、高いところへ行こうとする。
循環は、液温が華氏180度くらいから始動する。ラジエターの低いところの排水パイプから、高いところの水タンクへ。そこからチューブを通って、低いところのタンクへ。これが繰り返される。
オーバーヒートの原因は?
シリンダーに煤が付着したとき。あまりに長時間、低速運転を続けたとき。スパーク・プラグの点火タイミングが遅すぎるとき。イグニッション不良。潤滑油不足や、低質な潤滑油。エンジンの空吹かし(レイシング)。マフラーに何かが詰まっている。キャブレターの調節不良。ファン・ベルトに問題があって扇風機が正しく機能していない。冷却水チューブの詰まり。冷却水チューブの漏出や液量不足。
ラジエターがオーバーヒートしたらどうする?
その前に、ラジエターの冷却水はいつも満杯にしておけ。泥道走行、砂地の走行、長いアップ・ヒル走行をしているとき等、しばしば蒸気が吹き上がるのは、冷却水が一杯まで補充されていないからだ。
水冷エンジンは、冷却水温度が99℃くらいに達したときに最も効率が高くなるように設計されている。
エンジンを酷使しているわけでもないのにオーバーヒートするようなら、原因をつきとめて直さなくてはいけない。
考えられる原因のひとつとして、カーボンがシリンダー内に付着しているのかもしれない。
ファン・ブレードのピッチをすこしきつく調整して、空気の吸い込みを強くし、ラジエターをより冷やすようにする解決法もある。
熱したラジエター内に冷水を注ぎ入れることによって何か故障が起きることはない。
ラジエターを清掃したいときは?
ときどき、チューブ内の水を残らず、落としてやるとよい。
ラジエターのインレット・ホースと、アウトレット・ホースを、どちらも外せば、じきに排水が進んで、流し洗いしたことになる。
ウォーター・ジャケットも、同様に流し洗いができる。シリンダー・ヘッド・コネクションから注水すれば、サイド・インレット・コネクションからその水は出てくる。
ラジエターの内部は冬季に凍結するか?
冷却液に不凍液を使わず、ただの水である場合は、凍結し得る。循環が始まる前に非常に冷えれば、水は凍る。そして冷却液は、温められないと循環を開始しない。
もしチューブ内に詰まりがあって冷却水が動かなくなると、気温の低いときにそこが凍結し、そのチューブを破裂させる。
メタノール(Wood alcohol)または変性アルコール(エタノールに添加物を混ぜて人が酒の代わりに飲めないように細工したもの)は、不凍液として優れている。
華氏マイナス34度でも凍らぬようにしたくば、不凍液を50%、冷却水に混ぜるべし。
ふつうは、清水60%+グリセリン10%+アルコール30%が用いられている。この場合の凍結温度は、華氏マイナス8度だ。
なお、アルコールは揮発するゆえ、ときどき追加をしてやらないといけない。
ラジエターからの液漏れや水詰まりをどうやって直す?
微細な穴であれば、「brown soap」か、鉛白(white lead)によって応急的に塞ぐことができる。ただしすぐにハンダによる恒久閉塞修繕を頼まざるべからず。
詰まりのあるラジエター・チューブは、一層、深刻だ。1箇所だけの詰まりは、すぐには問題を起こさないのだが、おそかれはやかれ、冷気によって凍結する。詰まった箇所のそれぞれ1インチ前・後でチューブを切断、除去して、その区間に健全なチューブをハンダ熔接するのが、修理法となる。
もし、ラジエターの広範囲にわたって詰まりや破孔が認められるようになったら、そのラジエターは丸ごと、新品に交換するしかない。
キャブレターの仕組みは?
自動フロート供給式のキャブレターでは、針状のバルブが動いて、気化させるガソリンの量を制御する。気流により気化したガソリンは、インレット・パイプを通って、爆発性の混合ガスとしてシリンダー内に送り込まれる。
ガソリンはキャブレター中のボウル状の容器にまず流れ入る。そこにはフロート弁があり、ボウルに溜まったガソリンの量が一杯になれば、浮き上がって、自動的にそれ以上のガソリンの流れを止める。ガソリンが気化してボウル内の液量が減れば、フロートは下がって弁が開く。
混合気がインテイク・パイプの中を通って行く量は、運転者が操作するスロットル開閉によって加減される。
なぜ、キャブレーター調節器は、ダッシュボード上に位置しているのか?
運転者がその方が調節しやすいからだ。
新車を受領後、自動車が調子よく走るようになったと認めたら、運転者は、キャブレター調節ロッドの角度を、目で見て覚えておくべし。
寒い日に、冷え切っているエンジンを始動させるときは、ダッシュボードの調節器を、四分の一、左へ捻る。
暖かい日、キャブレターでのガソリン蒸発が快調らしいときには、調節器をスピードが落ちないギリギリ右側にすると、エコノミカルに走れる。
混合気の「lean」と「rich」の意味は?
「リーン」な混合気とは、空気が多すぎ、ガソリンが不十分なもの。「リッチ」はその逆である。
混合気が「リッチ」状態だと、シリンダーもピストンもヴァルヴもすべてカーボンまみれになる。シリンダーはオーバーヒートし、燃費は悪化する。
それはエンジンを「チョーク」状態にする。低速時にはミスファイアが起きるであろう。高速走行は、できるが。
混合気は、できるかぎり「リーン」気味にするとよい。
「リーン」な混合気はしばしば「バックファイア」現象の原因となる。シリンダー内での燃焼がスローなので、吸気バルブが開いたときにまだ燃え尽きておらず、吸気経路中の混合気に延焼し、それがキャブレターまで到達するのだ。をチューブ
「リッチ」な混合気は、排気ガスを黒くし、それは酷い臭いがする。
穏当な混合比率のときは、排気ガスはほぼ無色で、悪臭は抑えられる。
キャブレターの調整方法。
まずエンジンを始動。スロットル・レバーを6ノッチ前進させ、点火タイミングは4ノッチほど遅く。
ガソリンの流量を、エンジンがミスファイアを始めるまで、針状バルブを捻じ下げることによっていったん減らす。
ついでバルブを捩じ戻し、スピードが最高に達するまで徐々にガソリン流量を増やす。ただし排気ガスが黒変したら、それは、やり過ぎだ。
もし、針状バルブを、ノーマル・ポジションよりも低くしたいときは、キャブレターの上にあるロック・ナット(そこを針が貫通している)をまず緩めなくてはいけない。このメカニズムは、調節バルブを下げ過ぎていることの覚知を強制するためにある。
捻じり針をきつく下げ過ぎてしまうと、溝が刻まれ、底部が拡がってしまう。部品がこうなっては、爾後、キャブレターの調節は正常にはなされなくなる。
最高速度を出してくれるときの位置で、針状バルブをロックするナットを締めるがよい。
概して、「リーン」気味の混合気の方が、「リッチ」気味の混合気よりも、良い結果を出してくれる。
キャブレターになぜ、「水詰まり」が生ずる?
ガソリン・タンクやキャブレター中にわずかでも水が存在すると、エンジン始動がなかなかできなかったり、ミス・ファイアーやエンストを惹き起こす。
水はガソリンより思いので、タンクの底に集まり、沈殿バルブの中に、他の異物と一緒になっている。
今日、ガソリンを不純物(筆頭は水)から完全に免れさせることは難かしいので、ユーザーは、対策として、頻繁に、沈殿バルブを開けて、ガソリンタンクの底に溜まっている「おり」を排出するようにするとよい。
厳冬季には、沈殿バルブに溜まった水が凍って、キャブレターへ送出されるガソリンの流れを阻害してしまうかもしれない。
そのようなときには、沈殿バルブをウエスで包み、その上から短時間、お湯を注ぎかけてやれば、ガソリンの流れは復活する。すぐさま、水をバルブから排出すべきことも言うまでもない。
キャブレターに水が上から入ってしまい、それが凍った場合も、同様に処置する。
キャブレターからガソリンが溢れて地面に滴(したた)るときの推定原因。
フロートと結合して自動的にガソリンの流入量を制御している針状栓の「座」の部分に細かなゴミが詰まると、栓が完全に閉まらなくなり、ガソリンが「皿」をオーバーフローするようになる。
キャブレターにゴミが入っているときはどうする?
細かな砂のようなゴミでも、キャブレターのオリフィス(開口部)を詰まらせてしまう。結果、車両があるスピードに達したと思ったら、急にミスファイアや減速が始まるのである。
じつは「高速走行」が曲者で、速度に比例して「吸い込み」が強くなるので、巻き上げた砂塵をノズル中に吸引してしまいがちなのだ。
応急の対策は、針状バルブを半分だけ回し、スロットル・レバーを二度もしくは三度、素早く引く。これで、針状バルブが元の位置に戻ったときに、塵芥が流れ去ってくれることが多い。この方法が効かなかったときは、キャブレター全体をドレーンする。
エンジンの回転が速すぎる、もしくは、スロットルを戻すとチョークするときはどうする?
スロットルを一杯に戻している状態なのにエンジンが高速で回転してしまう場合は、エンジンがほどよくアイドリングするまで、「キャブレター・スロットル・レバー」を捩じ戻せ。
スロットルを、一杯に戻している状態で、エンジンがチョークしたり、エンストしてしまう場合は、「調節ねじ」を、ボス(円環状・突起状の台座)に当たるまで、ねじ込むべし。するとスロットルの「閉じすぎ」が予防される。正しい調節ができたら、こんどは「ロック・スクリュー」を締めれば、もはや調節行為がトラブルを呼ぶことはない。
「ホット・エア・パイプ」は何のためにある?
排気管の周囲の熱い空気を、キャブレターまで導いている。その熱気で、ガソリンの蒸発を促すわけだ。真夏には、このパイプは外して可い。しかし、冬季にはけっして外すべきではない。
「コーク・フロート(Cork Float)は、何のためにある?
この部品は、キャブレターに流入するガソリンの量を、自動制御している。フロートが低すぎると、エンジン始動は難しい。ぎゃくに高すぎると、キャブレターからガソリンが溢れてしたたりおちる。
燃料びたしになってしまった「コーク・フロート」は新品と交換するか、いったん外して完全に乾かし、ニス(liquid shellac)を塗って防水被覆する必要がある。
エンジンが暖たまっている状態で始動するときには、「プライミング・ロッド」を使う必要は無い?
その通りである。キャブレターが暖かい状態であったなら、「プライミング」の必要はない。それどころか、ロッドを引いてしまうことにより、「リッチ」すぎる混合気がシリンダーを満たしてしまって、却って「点火爆発」しなくなる。
もし間違ってエンジンをこのような状態にしてしまったときは、キャブレターの調節針を下げる(右一杯に動かす)。ついで、エンジンを数度、始動させてみる。これで濃厚な混合気が排出される。エンジンがかかったなら、すぐに調節針を、左一杯に戻せ。然る後に、キャブレターを適切に再調節せよ。
フォード車のイグニッション・システム。
マグネトーが発電する仕組みは?
エンジンの回転数と同じレートで、フライホイール上の複数の磁石が回転する。それが、銅線を巻いた複数のコイルとすれちがうことにより起電する。コイルからの電流は、マグネトー接続ワイヤーを経由して、ダッシュボードのコイル・ボックスへ導かれる。
コイル・ヴァイブレーター(直流を機関銃のように切ったりつなげたりスイッチングし続ける電装部品。バッテリーの電流を昇圧させる回路に必要だった)の調整は、いじったらダメ。
それは工場出荷時にちょうどよく調整されているので。
もしも再調整が必要なときは、「32分の1」インチ未満のギャップに仕上げる必要があったりするので、プロの整備工場に委ねて欲しい。
コイル・ヴァイブレーターからブザーのようなうなりが聞こえ、特定のスパーク・プラグが点火しないときは、そのヴァイブレーターがくたびれているのかもしれない。
ただし、ワイヤーの接点不良、プラグの不良、整流子の劣化もまた不点火の原因になり得るのだから、よく見極めなくてはいけない。
整流子内で短絡が起きているようだったら?
主電線(コイルから整流子につながっている)の絶縁被覆が劣化すると、銅の芯線が露出し、そこがエンジン・パンなどの金属パーツに触れれば、漏電が起きる。短絡である。
コイルからしきりに唸り音が聞こえたら、短絡を疑うことだ。
運転中にこの短絡が起きると、エンジンの点火タイミングが遅れたり、不完全燃焼をきたす。
短絡が起きているときの、始動クランク操作には、特に気をつけないと危険だ。クランク・ハンドルを決して押し下げようとしてはならない。突如としてキックバックするから。
コイルを調節すると、始動に影響するか?
する。振動子(ヴァイブレーター)が正しく調整されていない場合、スパークの火花を「ON/OFF」の切り替えによって連発させるのに、より大きな電流が必要となる。
結果、人力でクランクを廻しても、プラグから火花が出てくれなくなる(起電量が足らないので)。
けっして、コンタクト・ポイントを「遅れ気味」に調節してはならない。始動に難渋するようになり、走行中にも頻繁にミス・ファイアが生ずるだろう。
整流子は何のためにある?
整流子は別名「タイマー」という。複数あるスパーク・プラグのどれをどの瞬間に点火するか、そのタイミングを決めている。電気の主回路の中で「ON/OFF」切り替えスイッチの機能を果たしている。
マグネトーは車体に「アース」されている。おかげで、自動車の金属パーツを経由して、整流子内の金属ローラーと通電するのだ。
ゆえに、もし整流子内の回転中のローラーが、4つの整流子接点に触れたときは、その各々からコイル・ユニットに電線経由でつながる。電流は、主電線系の全体に通ずるだろう。
ローラーが回路をつなぐのは、それが接点を通過する一瞬のみである。
整流子は常に清浄に保ち、よく潤滑剤を塗油しておけ。
スパーク・プラグについて。
各シリンダーの頂部に挿入されている点火栓を外したいときは、電線をまず外し、各車に備え付けの「スパーク・プラグ・レンチ」を使えば、簡単に取り外すことができる。
コイル・ボックスの中の二次コイルから、高圧電流が出て、それがプラグの先端の「32分の一」インチの隙間に放電を発生させる。そのスパークがシリンダー内のガソリン混合気を着火させるのである。
スパーク・プラグにカーボンが付着した状態を「汚れた」という。プラグは常に「汚れていない」状態に保つべし。清掃してもよくならないときは、点火栓まるごと、交換するがよい。
交換のさい、フォード社製純正品ではないサード・パーティの点火栓を試しても、よいことはひとつもない。
修理工場の者は反対のことを言うだろうが、フォード車は工場出荷時にプラグを最高の状態にしてあるのだ。
イグニッションに不具合があるときの、兆候は?
排気管から不規則な爆音が聞こえるのは、1つまたは複数のシリンダーで正常ならざる爆発が起きている証拠なので、すぐに原因を特定して解決する必要がある。
殊に「ミスファイア」現象を放置しておくと、ついにはエンジンのメカニズム全体を破損することになってしまう。
正しく整備された自動車からは、ソフトで一定した「ゴロゴロ」音しか出ないものなのだ。
変調を感じたら、すぐに車を止めて、原因究明にかかれ。帰宅してから処置しようなどと思っていたら、手遅れになるだろう。
どのシリンダーが不具合を起こしているのか、見定める方法は?
スパーク・コイルの中の振動子を、選別的に指で止めてしまうことによって、知ることができる。
はじめに、エンジンが適度に高速回転するまで、スロットルを開ける。ついで、外側の2個の振動子の動きを抑止せよ。
「1番」と「4番」を指で押さえて静止させてしまうのだ。これによって、それに対応する「1番」と「4番」のシリンダー内では、点火は起きなくなる。「2番」と「3番」は、普通に回り続けるはず。
これで、異音がしなければ、あきらかに問題は、「1番」か「4番」のどちらかだ。
そこでこんどは、振動子の「4番」の制止を解除し、「2番」と「3番」と「1番」の振動子を指で押さえて止めてしまえ。
これで、異音がしなければ、「4番」に問題はなく、原因箇所は「1番」シリンダーだったと分かる。
同様にして、すべてのシリンダーが正常かどうか、確認すべし。ただし、トラブルは、スパーク・プラグかもしれないし、それに対応する振動子のほうなのかもしれぬ。どちらもよく確かめるように。
もし、コイルにもプラグにも問題が無かったなら、原因は何?
可能性としては、ヴァルヴの座りが悪い。もしくは、整流子の摩耗。もしくは、整流子とつながっている電線の途中短絡だ。
ヴァルヴが弱っているかどうかは、始動クランクをゆっくり巻き上げてみれば、分かる。4つのシリンダーのそれぞれの手応えが、伝わってくるだろう。特定のバルブが、強い圧縮を感じさせるかさせないかも、クランク・ハンドルの手応えで分かる。
シリンダー・ヘッドのガスケットがくたびれていることも、たまにある。圧縮された混合気がそこから洩れるのだ。これが疑われるときは、ガスケットの縁に潤滑油を塗布してみよ。気体が漏れ出している場合、そこにあぶくが生まれるから、視認できる。
摩耗した整流子はミスファイアの原因になる?
なります。高速走行時にミスファイアが起きるようなら、整流子をチェックしましょう。ローラーの周りの円環の表面が清浄で平滑かどうか、それが動くときに、4つあるすべての接触点で完全に接触しているかどうかが、見極めるべき点です。
もし4つのうち1つの点にローラーが接触していなかったら、そことつながるシリンダーは発火していないでしょう。
ローラー表面は、汚れていてはいけません。接触部に使われている「fibre」〔ヴァルカナイズド・ファイバー。木綿繊維に加硫して表面を膠化させ、それを積層させた人工材料。絶縁・耐油性で柔軟なのに強靭〕がひどく擦り減っていたら、新品と交換しましょう。ばねも、弱ってくると、ローラーの接点同士を押し付ける力が不十分になります。
整流子の配線が短絡していると、ミスファイアが起きることもあります。
整流子はどうやって分解する?
スパーク・ロッドから割りピンを抜く。
スパーク・ロッドを整流子から分離する。
キャップ・スクリューを緩める。その螺子は、「タイム・ギア・カバー」上の空気抜きパイプの中を通っている。
これにより、整流子ケースを固定しているバネを外すことができるようになる。
ロック・ナットをゆるめ、金属ブラシ・キャップを引き出し、割ピンを抜く。カム・シャフトからブラシを外せるようになる。
交換したブラシが、第一シリンダーの排気バルブが閉じているときには上を向いているかどうか、よく確認すること。バルブ・ドアを除去すると、第1バルブの動きが目で分かる。
寒い日は、整流子に問題が起きるか?
最良品質の潤滑油といえども、低温になると、少しは固まるものである。
そうなると、ローラーが、「ファイバー」内の「接触点」に完全にコンタクトすることができなくなる。
すると、「接触点」を覆う油脂膜が、ブラシで除去されにくくなる。ローラー・アームばねの弾撥力が不十分なときには。
それで、ともすると、冬のエンジン始動時に、いきなり4つのシリンダーが快調に発火してはくれず、始動から1分間くらいは、1、2本のシリンダーだけしか発火してくれない、という現象が起きる。
当社としてのお薦めは、冬には、整流子用の潤滑油に25%のケロシンを混ぜることである。
マグネトーを外すには?
発電装置を車体から外さないと、マグネトーも取り外すことはできない。
クランク・ケースとトランスミッション・カバーを外す。それには4つのキャップ・スクリューを緩める。そのスクリューはクランク・シャフトにフライホイールを固定しているものだ。
それにて、すべての磁石と、マグネトー・システムに手が届く。
注意すべし。すべての部品には「マーク」がついている。それを頼りに、正しい位置に嵌め戻すことが可能なのだ。
マグネトーが発電してくれなくなったらどうする?
フォード社純正マグネトーの主パーツは永久磁石である。めったなことでは磁力がなくなるなんてことはない。故障は、何か「外力」が加わったために起きたのであろう。
たとえば、蓄電池とマグネトーの端子を接触させてしまえば、永久磁石が消磁されるかもしれない。
これに類する事故が疑われるときは、今ある部品を直そうとするのではなく、永久磁石を新品と交換することを勧める。
新品の磁石は、もよりの支店から郵送される。それをフライホイール上に正確に取り付ける。
ただし、細心の注意が必要だ。巻き線コイルと磁石表面とは、正確に「32分の1インチ」の間隙が、保たれねばならない。
古い磁石を外すには、キャップ・スクリューと青銅製ねじを緩めるだけ。
じつは、磁石そのものではなく、「コンタクト・スプリング」の下に埃が溜まっているために、給電が弱まってしまっていることがある。そのスプリングは、クランク・ケース・カバーの上面に、接合ポストによって固定されている。
接合ポストは3個のねじで留められている。それを外せば、ゴミは除去できる。
トランスミッションは何のため?
クランク・シャフトとドライブ・シャフトは、スピードが異なっているのだが、それを中間で繋いでいる。自動車の前進スピードを高速にしたり低速にしたり、バックにしたりできる。
遊星ギアとは?
複数のギヤが常に「中心軸」と噛み合いつつ、中心軸の周りを廻る。
ブレーキ・バンドのようなバンドの働きで、特定のギア集団のローテーションを止める。
スピード・コントロール用としては最も単純でそこに大きな利点があるので、フォード車はこれを採用している。
クラッチの目的は何?
もしもクランク・シャフトが発生するトルクが途中で何の切断箇所もなくディフェレンシャル・ギアから常にそのまま後輪に伝わる直結構造となっていたなら、エンジンを始動するや、自動車は走り出してしまう。
そこで、エンジン始動時にはトルクが後輪に伝達されないようにしておき、走り出そうとするときに、徐々にシャフトが直結するように嚙合わせる、メカニカルな装置である。
クラッチはどのように制御される?
座っている操縦者の左足による。
それを踏み込むと、クラッチは「低速」位置に入り、そこで左足を離しても、ペダルは「高速」位置まで戻ったりすることはない。
もし、クランク・ハンドルを回すと、車体がクリーピングするようならば、それはクラッチ・レバーの「カム」上のねじが、くたびれていることを示す。その場合は、クラッチをニュートラルに保持するためには、ねじを普通よりも余計に廻す必要がある。
重質の潤滑油を冬に用いていると、クラッチ板の間で凝固して、よくない。
クラッチの調整法。
床板の下にある「トランスミッション覆い板」を外す。それは運転席の足元にある。
「第一のクラッチ・フィンガー」から割ピンを抜き、固定ねじ(set screw)をねじ回しによって右へ1.5~1回転、廻す。
他の「クラッチ・フィンガー」についても同様にする。
ただし注意せよ。固定ねじの回転はすべて同じだけにしなくてはいけない。
十分に長い期間が経過すればクラッチ板は摩耗する。そうなると、固定ねじの締め込みでは調整は追いつかず、2枚とも交換が必要になる。
注意。小さな工具には紐のようなものを付けておけ。そうしないと工具が「トランスミッション・ケース」の中に落ちてしまうことがある。そうなると、トランスミッション・カバーを外さずにその工具を拾い上げることはできない。
バンドはどうやって調節する?
低速バンドは、トランスミッション・カバーの右サイドにあるロック・ナットを緩め、調節スクリューを右に廻すことによって、緊張させることができる。
ブレーキ・バンドと、後進バンドは、トランスミッション・カバー扉を除去してから、右側のシャフト上にある調節ナットを廻すことによって緊張しさせることができる。
バンドがドラムから離れなければならないときに、まとわりついているようだと、それはブレーキ効果の元凶となる。ひいてはエンジンにオーバーヒートをもたらすだろう。
バンドは安いものなので、摩耗しているようだったら、フォード・サービス・ステーションで新品をお買い求めください。安価なものです。
どうやってバンドを外す?
スターティング・モーターを外す。
トランスミッション・カバーの上についている扉を外す。
ペダル・シャフトの終端にある、後進調節ナットと、ブレーキ調節ナットを廻し、低速調節スクリューを外す。
トランスミッション・カバーをクランク・ケースに留めているボルトをすべて外して、カバー・アセンブリを持ち上げて外す。
トランスミッションの組み立て方。
リア・アクスル・システム。
リア・アクスルを外すには。
車両をジャッキ・アップし、この後で解説されている方法に従って、後輪を外す。
ユニバーサル・ボール・キャップをトランスミッション・ケースに結合している4本のボルトを外す。
ブレーキ・ロッドを外す。
ばね連環をリア・アクスル・ハウジング・フランジに固定しているナット複数を外す。後端のフレームを持ち上げると、アクスルは容易に引き出せる。
ユニバーサル・ジョイントをいかにしてドライブ・シャフトからバラすか。
リア・アクスルとディフェレンシャルの分解方法。
ドライブ・シャフトのピニオンの分解法。
デフの分解法。
リア・アクスル・シャフトの分解法。
フォード車の非常ブレーキ。
リア・アクスルもしくはリア・ホイールが、カーブ時の横滑り等で強烈な応力を受けたとき、アクスル・シャフト等が歪んでしまう場合がある。ベストな修繕方法は、それらのパーツの新品との交換だ。
消音器はなぜ必要?
排気管に消音構造がついていることによってエンジン出力を損していると思っている者がいるようだが、フォードのシステムでは排気管系に生ずる「バック・プレッシャー」は極小である。エグゾースト・パイプを中間で切断しようなどと思ってはならぬ。
走行30日にいっぺんは、フロント・アクスルとリア・アクスルの注油点を総点検して欲しい。
スプリング・コネクションのブッシング、スプリング・ハンガー、ステアリング・ナックル、ハブ・ベアリングには改めて塗油せよ。
ナットの緊締。割ピンがちゃんとついているか。フロント車軸とフレームの間にあるスプリング・クリップも。
フロント・アクスルがゆがんでしまったときは?
炎で焙るな。焼き鈍ってしまうから。
冷間の「矯め」工事が必要である。
それには専用のジグのあるディーラーに、車両ごと持ち込んで作業委託するのが、いちばん善い。
とにかく、ホイール・ラインが曲がったままでは、良いことはなにもない。
フロント・タイヤの正しいアラインメントは、肉眼では判別できるものではない。
ホイールの手入れ。
定期的にジャッキ・アップして、テストすること。回転がスムースかどうか。側方の「遊び」にも注意しよう。
前輪を空転させてみたときに、カリッ、カリッという音がしたり、時折抵抗のある感じがしたら、ベアリングの球が欠けている可能性がある。そのベアリング球は除去しなくてはいけない。ひどい場合には、もっと広範なベアリングの交換が必要なこともある。
良好に調整されたタイヤは、手で空転させると、しぜんに、空気注入ヴァルヴが、ハブの真下に来た位置で、静止するものである。
潤滑グリスが足りていないと、ハブのベアリングは摩耗する。調節コーンをきつく締めすぎると、余計な抵抗が増える。
ベアリングは頻繁に清掃して、グリースで満たしておくのがよい。
フロント・ホイールの外し方。
ハブ・キャップを外す。
割ピンを抜き、刻み入りナット(キャッスル・ナット)と紡錘形ワッシャー(スピンドル・ワッシャー)を外す。
これで、可変ベアリング・コーンが外せる。すると、前輪も外れる。
コーンとロック・ナットとスピンドルは、組になっている。この組は左右で別なので、けっして混合すべからず。組み立てるときに間違って混合してしまわないようにするためには、あらかじめ、左と右でひとつずつ整理箱を用意し、バラした左の部品は左の箱に、バラした右の部品は右の箱に入れるようにするとよい。
リア・ホイールの取り外し。
後輪は、どうしても必要なとき以外は、取り外さないこと。
リア・ホイールは、「キー」によってシャフトにロックされている。
「ホイール引き抜き器」を使って、テーパーのついているシャフトから引き抜く。
後輪を交換するさいには、アクスル・シャフト上のナットを目一杯きつく締めて、割ピンを挿入することを忘れるな。
ときおり、リア・ホイールの「ハブ・キャップ」を外して、ハブの「ロック・ナット」を増し締めするのは、よいことだ。
もしこの「ロック・ナット」が緩くなっていると、「ハブ・キー」に「遊び」が生じ、アクスル・シャフトがくねくねして、外れるであろう。
前輪の取り付け角は、後輪とは違えなくてはいけないのか?
フロント・ホイールを正面から見ると、ディッシュ(ハの字状にやや傾斜)していることが分かるはず。これは横方向からの応力に耐えやすくするためである。
後輪は、そのような取り付け方をされていない。
前輪の「トウ・イン」は、「四分の一」インチ以上あったら、いけない。
ローラー・ベアリング・カップの取り付け方。
特殊工具が必要なので、その作業はショップに委託してください。
ローラー・ベアリングの取り付け方。
まず良質のカップグリース(鉱油にカルシウム石鹸が混ざって耐水性のある一般的グリス)をハブ一杯に満たす。
インナー・コーンをグリス漬けし、ローラーを嵌める。そのインナー・コーンを、より大きなカップに挿入。
次に、「フェルト・ワッシャー」がついた「ダスト・リング」をハブの終端内に挿入する。端部がツライチになるように。
ベアリングにグリスを注入する頻度は?
3~4ヵ月でホイールは全部交換することになるから、そのさいに、古くなったグリースを除去し、ハブとべアリングをケロシンで洗う。然る後に、ハブとベアリングに新しいグリスを詰め、ベアリングを再調節すべし。
スプリングは、塗油するだけでなく、錆び避けに、グラファイトをまぶせ。
スプリングに速乾性の黒ペンキを塗るのも、防錆になる。
それは自動車の経済寿命を延ばしてくれるぞ。
スプリング・クリップは常にタイトに締め付けておくこと。
フォードの潤滑システムは、他社とは何が違う?
単純化されており、注油点は最少になっている。
クランク・ケース内に、大きな貯油槽がある。そこから潤滑油がはねあげられて、エンジンとトランスミッションの必要部分は自動的に潤滑油の飛沫まみれになる。
潤滑油は時間とともに汚れて行く。走行何マイルごとにあたらしいオイルと交換するべきかは、「イラスト 18」の表を見よ。
「オイル・カップ」には、軽質潤滑油をしばしば注ぎ足すようにする。「ドープ・カップ」には良質のグリースを。
「ドープ・カップ」の満たし方は?
どんな潤滑油を使うべきか。
ミディアム・ライトで、高品質のエンジン・オイルを、フォード社は「モデルT」のエンジン用として推奨している。
それは自然に容易にベアリングに回り込み、摩擦熱を減らしてくれる。
重質の潤滑油はカーボン堆積を招く。
エンジン部分やトランスミッション部分には、グラファイトを潤滑剤代わりに用いてはならぬ。黒鉛はマグネトー回路の短絡も惹き起こすぞ。
潤滑油はどのくらいの頻度でクランク・ケースからドレインするべきか。
新車が、350マイル走ったら、潤滑油がもう汚れているはずなので、オイル交換すべし。
そのあとは、走行750マイルごとに、オイル交換するとよい。
フライホイールのケーシングの底についているプラグを外せば、古い潤滑油を抜くことができる。
できれば隔日に、整流子に注油すべし。最低でも走行200マイルに一度は。
整流子のローラーは高速回転するものだから、潤滑不良のときは急速に摩耗する。
ディフェレンシャルのハウジング内にグリスを入れすぎるな。満杯ではなく、「三分の一」を目安とせよ。
走行1000マイルごとに、オイル・プラグから廃油を抜け。
フォード車の、タイヤの分解法。
ジャッキ・アップして、当該車輪を地面から浮かせる。
バルブ・キャップを捻じって外す。
ロック・ナットを外し、空気バルブ弁をタイヤ・チューブの方へ押し込む。茎端の「球(ビーズ)」がリムとツライチになるまで。
手を使って、シューの頭を緩めてリムを折り返し止めにし、ついで、「タイヤ着脱用梃子(iron)」を、「球」の下に挿し込む。
そのさい、リムと梃子のあいだにインナー・チューブを挟んでしまわぬように注意。
タイヤのケーシング(トレッドの下にある層で、繊維とゴムからなる)に裂け目が生じていると、その部分からインナーチューブがパンクしてしまう危険が大きくなる。臨時の補修として、ケーシングの内側にカンヴァスのパッチを接着することができる。接着の前にケーシングの当該部分はガソリンで洗浄し、よく乾かすべし。ゴム・セメントは、ケーシングにもパッチにも効く。
その後、できるだけ早く、修理工場でケーシングを「ヴァルカナイズ」してもらうこと。
ケーシングの寿命を延ばすためには、トレッドのささいなキズも見逃さずにパッチ当てセメントで塞ぐ。タイヤのメーカーから市販されている専用の樹脂も、その役に立つ。
タイヤの消耗を抑制するにはどうしたらいい?
自動車のランニングコストの最大のものは、タイヤだろう。カネを節約したければ、とにかく頻繁に点検し、いかなる切り傷も小穴も、見逃さないことだ。そこは正しく、修理して塞ぐ。そうしておけば、タイヤのゴムのトレッドの空隙に入った泥や水が、ゴム部分と繊維部分を剥離させるような悪さをしないから。
タイヤの空気が半分無いような状態で走行させてはならない。
空気圧が適切ならば、パンクの原因になる疵が付いてしまう確率を、最低にできるのである。
空気が抜けてしまったタイヤで短距離を走らせることはできるが、後で修理代がとても余計にかかる。
むしろそれよりは、パンクしたタイヤを外してしまって、金属のリムだけでゆっくり走らせた方が、トータルの修理コストを抑制できるだろう。
高速走行と、横滑りは、タイヤの寿命を短くする。舗装道路上でブレーキを強く踏んでタイヤをロッキングさせると、てきめんにタイヤは破壊限界に近づくだろう。
タイヤの素材と構造は、側面の強度が低い。だから、舗装道にできている「わだち」の中や、溝の中を走らせたり、あるいは、カーブでタイヤの外側を縁石に当てたりすれば、タイヤの側面から壊れてしまう。
ホイール・リムは、毎年塗装をあらたにして、防錆すべし。
自動車を長期間、動かさないときは、その間にタイヤが疲労してしまわないように、車体をジャッキアップしてタイヤにかかる負荷をなくす措置を講ずることを勧める。
最も好ましい方法は、長期保管する車両からタイヤをすべて外し、アウター・ケーシングとインナー・チューブを別々に包装して、涼しい暗所にしまっておくことだ。
タイヤについたオイルやグリスは、ガソリンによって洗浄できる。
銘記せよ。ゴムの大敵は、高温、紫外線、油脂の三つである。
インナー・チューブのパンクをどのように直す?
まず破孔の周囲をベンジンもしくはガソリンで拭う。
つぎに、サンドペーパーで疵周囲の表面を擦り、セメントが付着しやすい下地をつくる。
セメント剤は、パッチにもチューブにも塗れ。5分放置し、もういっかいセメントを塗り、またしばらく待ってから、貼り合わせる。
付着面に気泡が残らないようによく圧すること。
「滑石」(表面がつるつるのソープストーン。また、それをパウダー状にしてあるタルク)で、パッチの上から丁寧に擦る。これは、補修部分がケーシングにくっつかないようにする措置である。
チューブをケーシング内に押し込む前に、タルク粉をケーシング内にたっぷりとふりかけておくとよい。
以上は応急処置であり、そのあとできるだけ早く、修理工場でチューブを「ヴァルカナイズ」してもらえ。※直訳すると「加硫」だが、ここでは、熱と圧力を加えて穴や裂け目を閉じるという意味のように思える。
自動車の正しい洗い方は?
必ず冷水もしくはぬるま湯(lukewarm water)を用いよ。決して熱湯をかけてはならぬ。
ホースを使うなら、力強い水流を車体に当てないようにせよ。というのは、その水流が、細かな塵をワニス層の下へ押し込んでしまい、仕上げ塗装を台無しにするからだ。
ボディは、泥を落としたあと、スポンジで汚れをぬぐうようにすべし。
足まわりには、P&G社の「アイボリー石鹸」もしくは亜麻仁油石鹸を溶かしたぬるま湯を用いよ。
リンスは冷水によること。拭き取りと乾燥のあと、「セーム革」(chamois skin)でボディ表面を磨け。
グリースの除去には、ガソリンを浸み込ませたウエスがよい。
ニッケル・パーツは、金属用磨き粉で。
幌を畳むさいには、骨と骨の間に布地が挟まらないよう、細心の注意を払って欲しい。そこは擦れて穴が開きやすい。そうなると、見た目も実用も、とても悲惨なことになるので。
自動車を長期格納しておくときには、ラジエター水をぜんぶ抜く。そして1クォート(四分の一ガロン)の変性アルコールを不凍液として注入しておく。
シリンダーヘッドを分解し、燃焼室内の煤をすべて取り除く。
ガソリンをぜんぶ抜く。
汚れた潤滑油を、クランク・ケースから排出し、エンジンをケロシンで清掃する。
クランク・ケースには新しい潤滑油を入れておく。直後にしばらくエンジンを廻して、オイルをいきわたらせておくこと。
タイヤはすべて外して保管すべし。
できれば車体にはモスリン(薄手の毛織物・とうちりめん)のシートをかけておくと、塗装の光沢仕上げが守られる。
ヘッド・ライトの光軸は工場出荷時に調節済みである。しかし、手直ししたい人は、ランプの裏側に調節ねじがあるから、それで変更できる。
フォード・モデルTの「1トン・トラック」バージョン。
ドライブ・シャフトにくっついている「ウォーム・ドライブ」内には、フェルト・ワッシャーが使われている。
ディフェレンシャル・ギアに塗油するときは、細心の注意を以てすべし。
ここには「A-l heavy fluid」もしくは「semi-fluid」オイルを使わねばならぬ。具体的には「Mobiloil C」か「Whittemore’s Worm Gear Protective」となる。
買ったトラックが500マイル走行したとき、そして1000マイル走行したときに、ディファレンシャルの潤滑油を底部のオイル・プラグから排出して、まあたらしい潤滑油に入れ替える。
1000マイル以降は、必要を感じ次第に、ただちに潤滑油を更新せよ。
リア・アクスルの外側ローラー・ベアリングは「dope cup」に入れたグリスで潤滑する。
このカップへのグリース補充は、走行100マイル毎に必要だ。
整備中のトラックに、分解したリア・アクスルを再び組付けたときには、走行させる前に、まずアクスルをジャッキ・アップした状態でエンジンをかけて、5分~10分間、空転させると、潤滑剤がすべてのベアリングにいきわたるであろう。
フォード車には、クランクだけでなく、「スターター」付きのタイプもある。
その構成は「スターティング・モーター」「ジェネレーター」「蓄電池」「電流計」「前照灯」からなり、それらは電線で結ばれている。
スターティング・モーターは、エンジンの左手側、トランスミッション・カバー上にボルトで固定されている。
ピニオンによって、ベンディクス社製のドライブ・シャフトが、フライホイールと噛み合う。
スターターによるエンジン始動がうまくいかなかったときは?
スターティング・モーターが、クランク・シャフトを廻しているにもかかわらず、エンジンが始動しなかったら? トラブルの原因はスターティング・システムには無い。そのような場合、すぐにボタンを踏むのを止めよ。踏んでいると、バッテリー電力を無駄にするから。そして、キャブレターと、イグニッション系に原因がないかどうか、点検すべし。
足でスタート・ボタンを踏んでもエンジンがかからぬときは、結線を点検する。特に端子がちゃんと接合されているか。次に、コードの被覆が剥がれて途中で短絡などしていないか。回路に問題がないならば、液体比重計(hydrometer)でバッテリーをチェックする。目盛りが1.225未満だったなら、問題はバッテリーが放電していることにある。
もしエンジンがすでに回っているときに、床の「スターティング・ボタン」を踏んでしまったらどうなる?
有害な事象は起きないので安心せよ。
ジェネレーターの働きは?
発電機は、エンジンの右手側の、シリンダー前端カバーにボルトで留められている。
大きな周期歯車と接合している電機子シャフト上のピニオンが、発電機を廻している。
車速が毎時10マイルを超えると、発電(充電)が始まる。最大効率での充電は、時速20マイルに合わせられている。
イグニッション系のメンテナンスをするさいには、バッテリーから外したコードの端子を絶縁テープで包んでおくこと。作業中に何かの拍子でマグネトーに給電されるようになってはいけないので。
計器盤(インストゥルメント・ボード)に、Ammeter(電流計)がある。
前照灯はどのように機能するのか。
照明システムは、2個のヘッドライトと、1個のテール・ライトからなる。照明ならびにイグニッションのスイッチは「インストゥルメント・ボード」上にある。
ヘッドランプの電球は6~8ボルト定格。フィラメントは大小二重。大フィラメントは18キャンドルの明るさ。小フィラメントは「2と四分の三」キャンドルの明るさ。
尾灯の電球は小さい。6~8ボルト定格。2キャンドルの明るさ。The small bulb used in the tail light is of 6-8 volt, single contact 照明の配線は並列つなぎになっているので、ひとつのフィラメントが切れたりしても、他の電球は影響を受けない。
給電は、バッテリー電池からなされている。
照明の配線を、マグネトーにつながないこと。電球は焼き切れるし、発電機にも悪い。
スターターもしくはジェネレーターの故障と極まったときには、ユーザーはじぶんで修理しようとはせずに、フォードの正規ディーラーに修理を依頼して欲しい。
どのようにスターターを外すか。
トランスミッション・バンドを交換するとき、等には、スターターを外さなければならない。
まず、エンジンの左側にある「エンジン・パン」を外す。
ついで、トランスミッション・カバーにシャフト・カバーをとめている4個の小さい螺子を、ねじまわしによって外す。
カバーとガスケットを外すにあたり、ベンディックス社製のドライブ・シャフトを回す必要がある。シャフト端の「セット螺子」が、上になるように。
ベアリングが固すぎるときは「油砥石(oil stone)」を使う。
どのように、ジェネレーターを外すか。
まず、フロント・エンド・カバーに発電機を固定している3個のキャップ・スクリューを外す。ついで、ねじ回しの先端を、発電機とフロント・エンド・カバーの間に挿し込んで、ジェネレーターを、エンジン・アセンブリーから分離する。
かならず、発電機のいちばん上から手をつけ、後方・下方へ力を及ぼすべし。
発電機なしで自動車を運用したいのなら、カバーに必要なプレートは、近くのディーラーで買うことができる。
フォードのスターティング・システムは、6ボルトで3セルのバッテリーを使う。
比重計による計測は、2週間おきにして欲しい。
目盛りが1.275以上なら、バッテリーは満充電されている。
1.225未満で1.150を越えていたなら、それは放電し切っている。
バッテリーが半分以上放電してしまったときは、すぐサービス・ステーションに持ち込んで欲しい。そのバッテリーで走り続けてはいけない。その状態でバッテリーを使い続けるのは、譬えるなら、空気の抜けたタイヤで走行し続けるとタイヤがメチャメチャに傷んでしまう、その電池版になるのだと思ってくれ。
妙にバッテリーが放電するときは、回路のどこかで漏電・アースしていないか調べること。
3個のセルのうち1個だけが、他よりも目盛りが50以上も違っていたら、そのことをサービス・マンに伝えてくれ。
バッテリーに清水を足すのは、いつ?
蒸留水以外は使わないこと。電極の板がいつも液でカバーされているように、しばしば真水を足すこと。
真冬に水を足すときは、エンジンを始動させる直前がよい。
バッテリーを拭くウエスにはアンモニアを浸み込ませておくとよい。こぼれた酸を中和してくれるから。
バッテリーは、素人に扱わせてはいけない。プロだけを頼れ。
エンジン・トラブルの原因の簡単なまとめ。
エンジンがかからないのは・・・
混合気が薄すぎる。
ガソリン中に水が混じってしまっている。
振動子の調節がキツすぎる。
整流子内に水もしくは凝固したオイルが入っている。
マグネトーの接触点が何かに邪魔されている。
ガソリンの供給が止まっている。
キャブレターが低温のため凍っている。
ガソリン・タンクの沈殿バルブの中で水が凍っている。
マグネトーのコイルのスイッチがOFFになっている。
低速走行時、エンジンが異常に非力になってしまうのは・・・
バルブがしっかり閉じておらず、圧縮が不全。
混合気が濃すぎるか、薄すぎる。
点火栓が汚れている。
マグネトーのコイルの振動子の調節不良。
吸気マニフォールドの途中で空気が洩れている。
排気バルブ・スプリングが弱ってへたっている。
バルブ突起とプッシュ・ロッドの隙間が大きすぎる。
点火栓の放電端の隙間が狭すぎる。
高速走行時、エンジンが異常に非力になってしまうのは・・・
整流子のコンタクト不良。
バルブ・スプリングがへたっている。
スパーク・プラグの放電端の隙間が広すぎる。
混合気の比率が適切ではない。
振動子の接点が汚れているか、焼けている。
とつぜん、エンストするのは・・・
燃料タンクが空。
ガソリン中に水が混じっている。
キャブレターからガソリンが溢れている。
キャブレターもしくは送油パイプ内に泥が入っている。
マグネトーの結線が緩い。
マグネトーのコンタクトが邪魔されている。
潤滑油や冷却水がなくなってオーバーヒートしている。
混合気が薄すぎる。
エンジンがオーバーヒートするのは・・・
冷却水が足りぬ。
潤滑油が足りぬ。
ファン・ベルトが裂けたり、緩んだり、スリップしている。
燃焼室内にカーボンが蓄積。
点火栓のタイミングが遅すぎる。
混合気が濃すぎる。
ラジエター内が詰まっているために冷却水が順調に循環していない。
スパーク・プラグの汚れ。
エンジンがノッキング音を出す。
ピストン・ヘッドにカーボンが溜まっている。
コネクティング・ロッドのベアリングが緩い。
クランク・シャフト・ベアリングが緩い。
点火栓のタイミングが早すぎる。
エンジンのオーバーヒート。
《完》