空港には「脱出シュート」を利用客が普段から体験することができるコーナーがあるとよい。

 脱出シュートのことは正式には「evacuation slide」という。日本の乗員は「slide」と略称するそうだ。
 乗客は、いつも、かならず機内のビデオで「脱出シュート」についてのレクチャーを受けているわけだが、果たして、その要点をしっかりと吸収して本番のときに面目をほどこせるような人は、どのくらいいるのか?

 やはり、事前の模擬体験が、モノを言うであろう。空港の待合所は暇なものであるし、子どもを遊ばせておく遊具にもなるのだから、ミニチュア版をどこかに置いておいたらいいだろう。

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 Defense Express の2025-9-14記事「Ukraine Uses Estonian CATA Launchers to Strike russia: How Quickly Can Long-Range Strike UAVs Be Launched」。
  エストニアのメーカーである「Threod Systems」社が、すばらしい長距離無人自爆機用の陸上カタパルトを製造してくれている。ウクライナ軍はそれを使用中である。

 このラーンチャーのことをメーカーでは「CATA B」と称している。B型カタパルトの略だろう。
 実物がロンドンのDSEI(9-9~9-12開催)に出典された。

 メーカーの幹部によれば、宇軍はもう2022年から「CATA」を使用しているのだという。
 そしてなんと、4分ごとに1機の固定翼UAVを、このカタパルトからつるべ射ちに発進させられるという。操作要員も2人で済む。布陣から1機目の射出までにかかる時間は3分だ。

 このカタパルトからは、MTOWが400kgまでの固定翼無人機を発射することができる。打出し時のスピードは、最大で秒速55m。※時速198km? だとしたら「シャヘド136」級にもおあつらえ向きだ。

 圧搾空気で一気にワイヤーをたぐって、それによってドリーを前進させる仕組みらしい。圧搾空気はおそらくエンジンかモーターで再蓄気する。
 宇軍以外にも、欧州、中東、アフリカの数ヵ国が、このカタパルトを買っているという。

 ※この記事にカタパルトの写真が添えられている。とにかく素晴らしいの一言だ。まず土台は、セミトレーラー(2軸で4輪)である。つまり被牽引の安価な車台であって、自走はさせない。セミトレーラーの四隅にアウトリガーがあるが、どうもこれが「重力伸長接地+閂さしこみ固定/手動ハンドル巻き上げ式」のように見える。見識である! アウトリガーを油圧にしてしまうと、どれかの高圧ホースにひとつの穴が空いただけで、カタパルト全体が不安定なままとなり、UAVをレールに載せられなくなってしまうのだから。カタパルトのレールはスケルトン構造で、そのレールの全長を三分割し、その分割点で(おそらく人力で)折り畳むことによって、被牽引時にセミトレーラーの前後からレールの前端・後端がはみ出さないようにしているもののようにみえる。三分割構成のレールの「中央部パーツ」の後端下部に、仰角をつけるときのトラニオンがある。また「中央部パーツ」の前端下部には、テレスコピック式の、おそらく電動油圧式のシリンダーが2つ、結合されており、それが、レールに+15°ほどの仰角を与える。このテレスコは、おそらく1本が故障しても、もう1本だけで仕事がきっちりできる余裕設計となっているはずだ。万一そのアクチュエータが2本とも故障しても、三分割レールの「後部パーツ」の桁尾端に1人が体重をかけたら、やじろべえのように後端は下がり、レール全体に15°の仰角を与えられるであろう。もちろんその状態ではまだUAVはレールには載せていないのだ。レールの「後部パーツ」の尾端下部からは、スペードを伸ばし、そのスペードが地面に接する。こうすることで、発射直前に「後部パーツ」上のUAVの重さでカタパルト全体がフラつくことを予防するのだろう。

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 「冠水濠障害・オートバイ・レース」を開催すべきじゃないか? これはシンプルに、面白い賞金レースにできると思う。
  すでに人々は、「すこしでも水害から生き残りやすい自動車/モーター・バイクは何か?」を、将来の購入アイテムとして考慮中である。
 これを、実車レースを観ることによって、その眼で確認/評価できるのなら、これに越したイベントはない。

 しかしこれは、1発大会にしておくのが惜しい。恒常的に開催して欲しいという流れになるだろう。

 というのは「アンダーパス水濠」「渡渉点」などが次々と、全コースの半分くらいもあることによって、自動車/自動二輪車レースなのに、その疾走スピードは抑制される。おかげで、スタンド席から、サーキット全体をみわたせるくらいに、レース施設をコンパクトに造っても、迫力が衰えることはなく、変化があって、オンライン画面を通じても十分に楽しめる《ショー》になるからだ。

 ということは、貧乏自治体も、限られた土地を使って、このレース場を建設・運営できる。アンダーパスだから騒音は遠くまで飛ばない。超高速は出せないのでレーサーの身体は比較的に安全だ。悪い要素が何もないじゃないか?

 このレースで実力を証明できる車種ならば、災害に強い四輪車/二輪車だろうと、誰もが思ってくれる。じっさい、その通りじゃね?
 そして人々は、いくら水に強い車種だと言っても、このくらいが限界なのか、と、まのあたりに、学ぶこともできるだろう。その教育効果が、わが国民の人命を将来、どのくらい救ってくれることになるか。行政も、よく考えるがよい。

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 Defense Express の2025-9-14記事「russia’s Fiber-Tethered Molniya Drone Becomes Harder to Jam, but at the Cost of Range and Payload」。
  露軍は「モルニヤ2」を光ファイバー有線操縦すべく、研究開発を進めているが、それが最終段階に入った。SNSに動画が出ている。

 初期のモルニアは、弾頭として「RPG-7」を流用していた。それが今では、「TM-62」対戦車地雷の改造爆弾である。重さ10kg。

 しかしおそらく、長さ40kmの光ファイバーのボビンの重さは4kgもあるから、有線式モルニヤは、もう「TM-62」を使えなくなるはずだ。もっと軽い弾頭を、何か工夫するのだろう。


なんとスーダンの地元メーカーも、レンジ600kmのロイタリングミュニションを完成した。トルコのIDEF展示会に出品。

 Guy Martin 記者による2025-9-12記事「Sudan’s Military Industry Corporation debuts one-way attack UAV」。
  MTOWが120㎏、ピストンエンジン付き。弾頭重量は40㎏。

 ※Roman Pryhodko 記者による2025-9-13記事によると、わが防衛省は多目的誘導弾システムの「改」型を26年度予算で調達すると公表。ミサイルは100kg弱。レンジ30km。この前の「96式」はたったの36セットしか調達されなかった(1セットは6両?)。改型は高機動車×3両で1セットになる。空中目標にも当てられるという。

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 Michaela Dodge 記者による2025-9-11記事「Russia Is at War with the West」。
  ロシアは西側に対して「包括的な戦争」を仕掛けている。
 これを「ハイブリッド戦争」と呼んでいるのがいちばん有害である。微温的表現が、問題の真の深刻さ、致命性を隠してしまい、臆病者の米国大統領に、何もしない言い訳を与えてしまうから。

 ロシアが2014以前から推進している政策は「前哨戦」であって、それは気長に連続的に「本戦」まで移行する。核武装した軍事強国がNATOと直接交戦することを西側人は夢想もしていないが、それはクレムリンの奥の院では歴史の必然でしかないのだ。

 チェスの盤面に興味がなくて、他の方面のことばかり考えているプレイヤーが、ポーンやナイトをじわじわと取られているのに気が付かない。気付いたときには、ゲームの完敗を逆転させることが誰にも不可能になっているのである。

 ロシアの工作員が、フィンランドとスウェーデンの浄水場に侵入して、水道をじっさいに汚染できるかどうか、試しつつある。こうした前哨戦と本戦とのあいだに「区切り」があると思ってはいけない。敵の頭の中には、最初からそんな区切りはないのだ。

 プー之介は2007にミュンヘンで、じぶんの思い通りに世界秩序をつくりなおすと公言している。正直正太郎である。その翌年に露軍はグルジアを占領した。

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 Kevin Roose 記者による2025-9-12記事「A.I.’s Prophet of Doom Wants to Shut It All Down」。
  げんざい46歳の Eliezer Yudkowsky は、バークレイに「マシン・インテリジェンス調査研究所」を設立して、AIは危険であると警鐘を鳴らし続けている。

 20年前から彼はシリコンバレーの中で、このままでは世界が破滅すると言い始めた。
 そしてこのたび、新刊『If Anyone Builds It, Everyone Dies』を出した。共著である。

 Yudkowsky はシカゴのユダヤ人家庭に育ったが、大病して8年生以降は通学をしてない。彼はSFに深くのめり込み、「Extropian」と呼ばれるフューチャリストになった。
 特に彼がハマったのが「シンギュラリティ説」である。当初、彼は、AGI=なんでもかんでもヒトを凌いでしまう人工脳 の実現に、手を貸したいと願う側であった。

 彼は2005にベイエリアに転居。「Friendly A.I.」の実現に熱中する。それは人間生活を助けてくれるAIのはずだった。

 だがすぐに彼は「orthogonality」(直交性=類推する力)の壁の高さを認識する。知性と慈愛とは別々の特性なのだ。したがってAIが人の苦しみを察してくれるとはなかなかに期待はし難いと思われた。

 もうひとつが「工具の収斂」(instrumental convergence)。AIにたとえば「生産目標」を追求するように命ずると、AIは最適解にとびつき、個々人の感情や幸福については等閑視する。結果、人間が、ぎゃくに効率的生産のための無感情な機械の地位に下げられて、搾取・疎外されてしまう。

 ユドコウスキーが2010年から書き始めた 『Harry Potter and the Methods of Rationality』は、カルトな評判になり、これを読んでAI業界に入ることにしたという人物は、多い。

 ※誰か暇な人は「コーパイロット」や「ジェミニ」で次のことを問うてみて欲しい。米大統領はミリシャを招集できる。ミリシャは現今の憲法学では National Guard のことだとされている。かたや英米法圏の慣習法では、保安官が民警団(Posse Comitatus)を呼集できる。つまりシカゴ警察は民警団をあつめることにより、トランプが動かした州兵に武力で対抗ができるかもしれない。慣習法だから、成文の理屈は後からついてくるのだが、その理屈をもしAIに先出ししてもらうと、どうなる? AIは米国の内戦を煽動できると、私は予想する。とうぜん、ロシアはもうそこに気付いているよ。

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 Will Douglas 記者による2025-9-12記事「How do AI models generate videos?」。
  AIはどのように動画をゼロから合成してくれるのか。キーワードは latent diffusion transformers =潜伏拡散の変換工程。

 ※この改良と効率化・省エネ化が、テック大手によって進められている。数ヵ月すれば、その試供品がリリースされるのではないか。今ですら、連日ものすごいペースでエロGIFが量産&Upされている。来年はどうなっているかと考えるとおそろしい。ある趣味世界のユーザーにとっては、シンギュラリティなんてとっくに到来しちまったも同然だろう。そして、朗報は、なんだかんだといいつつ日本はエロ表現に対してオープンなので、ここからコンテンツ覇権を画策することは決して夢ではない。世界支配のチャンスが転がっているのだ。


AIサービス用のサーバー施設を増やすために、下北半島横断運河を開鑿し、潮流発電しよう!

 基本的に、蓋付きの用水路のようなものでいい。道路の側溝の大型版だと思えば、環境アセスメントは省略できるだろう。

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 Tyler Rogoway 記者による2025-9-12記事「The Urgent Case For Building Tens Of Thousands Of American Shahed-136 Clones」。
  ペンタゴンが、「シャヘド136」の同格品兵器の大量調達をまったく急ごうとしていない怠惰を、記者は許せないと思う。

 従来の調達プレイブックを適用していたら、もう間に合わない。敵の増産はとっくにスタートしているのだ。

 年産数千機の話をしているんじゃない。このアイテムは、年産数万機のオーダーの調達が、米国にとって必要なのだ。

 ペンタゴンを頂点とする米国の兵器業界は、無駄に高性能なハイエンドの無人機に多額の予算を回すことばかり追求している。時間と数量について何も考えていない。けれども最新の現代戦争は、連日、数量で相手を消耗させる工業総力戦だということが、目の前で証明されているのだ。
 デルタ翼形状は、構造を軽く頑丈にし、製造工程をシンプルにし、燃料槽容積に余裕を与えてくれる。そこに、低燃費のレシプロ・エンジンを組み合わせる。弾頭を軽くすれば、その重さの代わりに燃料を余分に入れられるので、2000kmまでも届くようになる。中国の内陸都市も、海岸から2000kmも離れてはいない。レンジが1000kmあれば、沖縄や比島から福建省を制圧してやれるのだ。

 「シャヘド136」の同格品は、トマホーク・ミサイルの「四分の一」のコストで、戦略的目標を狙うこともできるのだ。つまり、トマホークを整備する予算で、その4倍をつるべ射ちできる。
 これを限りなく多く備蓄する必要がある。ロシアは「シャヘド136」のあらゆる部分を独自に再設計して製造単価を減らす努力を追求中だ。米国はまったくそういう努力をしていない。

 米国も「シャヘド136」の廉価版コピーを国内でマスプロし、それを米軍のあらゆるトラックや艦艇や輸送航空機から投射できるようにしなくてはいけない。
 この製造にはロッキードマーティンの技術など要らない。町工場を動員するだけで量産できるのだ。

 中国は今の米国が真似のできない「量産力」を有している。戦争でこのカードを切られたら、米国には対抗不能である。しかし「シャヘド136」の廉価コピー版ならば、町工場に分業させることによって、米国も中共の「数」に対抗ができよう。

 そのさいに決定的に重要なこと。「シャヘド」クローンの無人特攻機の設計のパテントは米国政府が占有し、オープン・アーキテクチュアとして参入企業による自由な改善を促すこと。これを1私企業の専売にさせてはならない。それを許すと、単一の請負業者に「ベンダーロック」されてしまい、多額の予算で、ごく少数の製品しか、調達ができなくなってしまう。いままで米国は、その自殺的な罠にはまり、ポスト冷戦期の紛争勝利から遠ざかってきたのだ。

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 Sania Kozatskyi 記者による2025-9-11記事「Project OCTOPUS: The UK to Manufacture Ukrainian-Designed Interceptor Drones」。
  「オクトパス計画」は、インターセプター・ドローンを英国内で量産し、それをウクライナに与えようというもの。
 英政府からプレス・リリースがあった。ロンドンのDSEIの場で。

 この機体はウクライナ国内で開発された。その開発段階から、英国人技師たちが支援していたという。
 量産事業が軌道に乗れば、毎月数千機を宇軍は受け取れることになる。

 雲霞のように襲来する「シャヘド/ゲラン2」を邀撃するのに、こっちがSAMを使っていたら金銭的に持続は不可能なので、はるかに安価なドローン・インターセプターで相手をさせる。

 先週、ウクライナの無人機メーカー「Ukrspecsystems」が2億ポンド(およそ2億5000万ドル)を英国の Mildenhall に新設する工場のために出資すると発表している。
 同時に英国内の Elmsett には、テストと訓練のための広い施設が造営されるという。


米陸軍は7月に、「MQ-9A リーパー」から「スイッチブレード600」を発射する試験を成功させていた。

 ロイタリングミュニションの「スイッチブレード600」は滞空が40分可能だが、リーパーと組み合わせて親子式に運用するのなら、まる1日でも旋回を続けることができ、リーチも無限大化するわけだ。ちなみに「スイッチブレード600」の弾頭はジャヴェリンのものをそっくり流用している。だから、ウクライナ戦線式の大量消耗戦争には、向いていない。

 ※この報道が解禁されたのは、MTCRを見直した米国務省が、リーパーの無差別輸出にいよいよドライブをかけさせるという兆しなのかもしれない。

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 AARON REICH 記者による2025-9-8記事「Carlo submachine gun: The DIY weapon of choice for Palestinian terrorists」。
  西岸のパレスチナ人がガレージで自作している、即席のサブマシンガンを「カルロ」と総称する。

 1960年代にスウェーデン軍が採用していたSMGの「M/45」が手本にされているので、メーカーのカールグスタフを略してカルロと呼ぶ。

 9月9日月曜日にエルサレムのラモット地区で発生した銃乱射事件にも「カルロ」が使われた。

 オリジナルは、9ミリ・パラベラム拳銃弾×36発入りの箱型弾倉、セレクターはフルオートのみで、サイクルレートは毎分600発だった。

 スウェーデン軍でも1970年代には後備用にされ、今はとっくにもう使われていない。
 それがとつぜん、2000年代初頭に「カルロ」として復活。
 じつは1950年代からエジプトで「М/45」がライセンス製造されていた。そのノウハウを伝える技師がたくさんいるのだろう。

 銃身からしてただの鉄パイプという粗末なまがい物である。が、コンパクトで隠し持ちやすく、短時間に多数の弾丸をばら撒けるから、テロリストにはおあつらえ向きの火器だ。
 ただしさすがに実包だけはゲリラが「自作」することはできていない。流通しているホンモノをどこかからか調達してくるしかない。イスラエル軍はウージーに9ミリ実包を使っているから、闇市場で調達するのにもそれがいちばん都合がよいのだろう。

 別の種類の実包が手に入ったときは、チャンバーをそれに合わせることになる。ゆえに「.22ロングライフル」や「.32ACP」を発射する「カルロ」もあり。

 ※カークという人を私はまったく知らないでいたが、ウィキによると、高校時代にラッシュ・リンボーの右翼トークに感化されて、次第にひとかどの運動家になったんだそうだ。インターネットが未だ無かった時代、私はラジオの「FEN」(東京や米軍基地周辺では中波で、それより遠い田舎では短波で受信ができた)を聴いていたので、何度かリンボー氏の時評も耳にした。軍隊の階級で言ったら「伍長」くらいを相手にするトークだと思った。あのレベルを出発点にして、カーク氏は、「中尉」くらいを相手にできる政治討論を、大学生相手にライブで演じられるまでになっていた。こんどは、故・カーク氏の弁舌を基準点にして、「将官」レベルを相手にできる二十代の政論家が輩出するのかどうか――だが、これは確率論的に絶望的だと思われる。音吐朗々、滑舌にルックスも伴わなくては、大衆はソッポを向くので人気は集まらない。かたや「ルックス」と「銃撃の腕前」を兼帯して大衆から喝采され得る青年は、三才を全備した新星時評家よりもおおぜい米国社会に供給されるから。

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 Rafael Pinto Borges 記者による2025-9-11記事「Are We the Baddies? On free speech, Europe is increasingly an example――of what not to do」。
  イギリスでは毎年1万2000人がオンライン上の発言で逮捕されている。毎日33人だ。

 根拠法は「2003通信法(Communications Act 2003)」と、「1988悪質通信法(Malicious Communications Act 1988)」のセクション127。
 「ひどく攻撃的」であったり、猥褻であったり、「苦痛を引き起こす可能性が高」ければ、すべて犯罪となる。

 では、何が気分を害するのかを、誰が決めている? なんと、英国では警察がそれを決める。

 WhatsAppで学校を批判したハートフォードシャーの母親は、子供の目の前で逮捕された。
 スポティファイで合法にストリーミングされているラップの歌詞をインスタに投稿したティーンエイジャーも、裁判で有罪に。
 とうとうイギリスでは、単なる意見の相違が、「犯罪」と認定されるようになったのだ。

 ドイツでは2017年に「NetzDG法」が成立。プラットフォームは24時間以内に「違法なコンテンツ」を削除すべし。さもないならば最大5000万ユーロの罰金を科す――とした。
 このおかげで「事前検閲」が普通になった。プラットフォームが、風刺、政治的議論、そして反対意見を、入口において消去してしまうのだ。その面倒な検閲作業は、すべてシリコンバレーの民間企業にアウトソーシングされている。彼らが、ドイツ人が何を読んでも可いのかを、密室で決めている。

 EUは、異端審問の別名であるデジタルサービス法により、選挙で選ばれてはいない apparatchiki(ソ連の共産党政治局員)が、27加盟国のすべてでオンラインスピーチを、「偽情報」とか「有害なコンテンツ」のレッテルを貼って削除してしまえる権能を与えている。

 ボリシェヴィキは、「民衆の敵」として「反革命派」を沈黙させた。北京は検閲を「調和」の保護として正当化する。ブリュッセルでは、言い訳は「安全」と「抱合主義」なのだ。

 ヴォルテール、ミル、カミュ、オーウェル、チャーチルやド・ゴールですらも、今日、職業検閲官が認定する「ヘイト」や「害」の融通無碍な定義の下では、言論の自由は無い。ヨーロッパは、疾うに終わりつつある。

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 『マリタイム・エグゼキュティヴ』の2025-9-10記事「Cruise Passenger Jumps Overboard to Avoid Debts and Cash Duties」。
  洋上賭博船であるクルーズ船『Rhapsody of the Seas』号がサンフアン港(プエルトリコ)に着桟しようとする直前、1人の乗客が海に飛び込んで負債から逃げようと試みたが、親切なジェットスキーヤーが揚収し、その身柄は現地警察が確保した。

 この男は船内カジノで1万7000ドル負けていて、それを決済していなかった。また現金15000ドルを身に付けていた。これを持って正規にサンフアンの税関を通ろうとすれば、関税を支払う義務が生ずる。それも免れようと考えたらしい。

 ちなみにプエルトリコ島は米領。正確には、アメリカ合衆国プエルトリコ自治連邦区。さらに豆ち。「サンフアン」とは「聖ヨハネ」のスペイン語読み也。

 ※わが国の特定の都市内にルーレット賭博場などが公認されれば、そこから治安が破綻するのは目に見えているのだが、たとえば横浜の「大桟橋」のように確実に人の出入りを制御・監視し得る人工突堤の先端に、カジノ船の専用埠頭を設けて、その《結界》の中で合法賭博を完結させるのならば咎めないとする仕組みは、できるかもしれないだろう。《現代の出島》のようなもの。それを監視するのは警察。そのアガリの分け前で潤うのも警察ОB。パチンコよりは明朗になるんじゃないかと想像する。


さいがいはわすれたころにクルディスタン。

 Bill Sweetman 記者による2025-9-5記事「Rising Dragon, Slumbering Sam」。
   空軍協会のシンクタンクであるミッチェル研究所が金曜日に公開した報告。「殲-20」は年産120機のペースで増えていると。
 それに対してF-35は、年産72機まで増やそうじゃないかと米空軍が呼びかけているが、難しそうだと。

 スウィートマン先生の見るところ、中共の軍用機設計者たちには多数の少壮が育っており、それらがしかも多様性をゆるされている。
 ちまり、ごく少数の系列だけに上から勝手に集約されてしまうという体制にはなっていない。

 米国にはステルス系統はたったの2つしかない。F-117からF-35に至る戦闘機系列と、B-2から始まる爆撃機の系列。退役空軍将校のあつまりであるミッチェル研究所は、F-35プロジェクトの再現モノカルチャーとしてF-47を一致して推している。これにはガックリ来た。中共は違う。多種多様なステルス・アプローチがあるし、無人機も同様だ。

 ※スウィートマン先生が、「F-47」を馬鹿馬鹿しいと考えていることが分かって、心強い。より多くの予算をより長く引っぱれるなら、コスパがいくら悪くとも、それこそが、退役将校たちにとっては、最善の政治なのである。したがって米空軍は「F-47」一択だ。

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 Tobias Fella, and Lukas Mengelkamp 記者による2025-9-9記事「The Strategic Void in Germany’s Defense Debate」。
  ドイツ軍は、近代化プロジェクトのひとつとして、「中規模軍」を創設する。

 これは、戦車中心の重機甲師団と、軽快な自動車化歩兵部隊のギャップを埋めるもので、装輪の軽装甲AFVで移動し、鉄道輸送に頼ることなく、ポーランドとリトアニアの間にある露軍の侵攻予想ルートにすばやく集中させることができる。

 だがこの議論はじつは末節である。そのメタ・レベルでの公論が、空白にされたままだ。

 戦略家のルーカス・ミレフスキは、対露戦争の難題をわかりやすく書いている。西侵してきたロシア軍をNATOが撃破するのはたやすい。しかしロシア国境を越えてその退却軍を追撃することはできない。なぜならロシアは核で脅すから。つまりロシア領土は、ロシアが戦争に幾度大敗しても、常に聖域として残り、それがあるかぎり、ロシア軍はまた再建されて、じきに性懲りもなくまた西侵を繰り返すのだ。

 ※ゆえにこそ、西洋は、今のウクライナ戦争を、「新・三十年戦争」に格上げすることを、真剣に検討するべきなのである。冷静に考えると、それしかないはずである。

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 Defense Express の2025-9-10記事「Kremlin Planned Drone Attacks on Poland Since July Using russian UAVs with Polish SIM Cards」。

  9月10日の夜の露軍による無人機空襲。ポーランド領空にも「ゲルベラ」が意図的に侵入してきた。

 じつは前兆が2ヵ月前からあった。ウクライナ領内で撃墜された露軍の固定翼無人機の残骸を調べたところ、4Gモデムが搭載されていて、そこにはポーランドの携帯電話機に挿入して使うSIMカードが挿されていたのだ。

 この報告はポーランドでは7月2日に公知のものになっている。
 別な墜落機からは、リトアニアのSIMカードを挿した通信機が見つかっている。

 これは何を物語るか?
 ロシアは、バルト三国やポーランドに対して「シャヘド」型の長距離片道特攻機による本格攻撃を仕掛ける準備をしており、それらの空域でNATO軍の防空体制がどう機能しているかを、多数の囮無人機にリアルタイム報告させて「隙のMAP」を作成しているのである。その報告は携帯電話のネットワークを利用した「LTE」方式で受け取る。そのためには現地にマッチしたSIMカードがちゃんと機能してくれないと困る。それも含めて、前もってテストを繰り返しているのである。

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 John Mac Ghlionn 記者による2025-9-8記事「Starmer’s Surveillance State」。
   かつてトニー・ブレアが導入しようとして失敗した、デジタルIDカードを全英国市民に持たせるという構想。移民犯罪の取り締まり要求を追い風として、Keir Starmer 首相が実現しそうである。

 記者いわく。このカードは、あなたが何を購入したか、いつどこへ旅行したか、すべてを記録し、政府がそれをいつでも承知できるようにするシステムだ。このカードは、運転免許証のデジタル版のようなもの・・・ではない。全く次元が違うものなのだ。

 最初は、犯罪対策に使うと政府は宣伝するが、それでは終わらない。

 中国の「social credit system」が先行見本だ。あれも最初は、金融機関の記録(借金踏み倒し)や裁判所の判決記録(前科歴)だけが登載されるもので、社会から悪者を締め出す役に立つのだと宣伝されたものだが、いつのまにか、あなたが横断歩道で信号を無視したか否か、SNSにどんな書き込みをしているかまでを、政府が常時監視可能なシステムに拡張されている。

 カナダの「デジタルIDパイロット」も、新コロを追い風にして、医療サービスを合理化するものとして普及したものだ。しかし今では、このIDのデジタル認証なしでは、大概の公的サービスから住民は締め出されるようになっている。

 オーストラリアの「MyGov」システムも、さいしょ、税金と給付のために導入され、それが今では、万能IDとして不可欠になっている。

 英国政府は、中央銀行デジタル通貨「CBDC」を導入するのが、大目標だ。これにより、英国住民のすべての取引は完全に可視化される。デジタル通貨とデジタルIDを組み合わせれば、政府は、あなたが何にカネを使ったかを追跡できるだけでなく、これからどのように使うべきかも決めてしまえるようになる。反政府的なウェブサイトにアクセスしたり、変なコンテンツに寄付をすると、爾後のあなたの経済活動の選択肢には政府によってフラグが立てられ、口座が凍結されたり、切符の購入が禁止されたりするようになるのだ。

 カナダのトラック運転手たちが抗議デモしたとき、カナダ政府は彼らの銀行口座を裁判なしに凍結した。カナダ人はようやく、現金こそが匿名性と独立性を無差別に個人に提供してくれる自由の道具なのだという経済史を学んだのである。

 英国のシステムが危険なのは、個人の生体認証データをぜんぶそこに集めようとしていること。
 英国では機密データ入りのラップトップが盗難されたり、政府のサーバーがハッキングされる小事件がしょっちゅう起きている。

 生体認証データを一回だれかに盗まれたら、あなたは悪い奴と死ぬまで永続的につきあわなくてはならない。犯罪者が1回それを悪用したことによって、爾後、あなたは銀行口座から締め出されたり、いろいろなサービスへのアクセスが拒否される。なぜなら、あなたの顔データや指紋データと、知らない誰かの犯罪とが、政府のデータ・サーバー内では、勝手に結びつけられてしまっているからだ。


緑茶に青汁(粉沫ケール)を混合し、メイプルシロップを添加すると、罪悪感無しのすっきり系甘味飲料ができあがる。

 甘くした茶しか知らぬ海外文化圏へ緑茶商品を輸出するには、この突破口があるはずだ。
 難点はメイプルシロップが原料として安くないことだが、そこに逆に「不健康ではない」免罪符の効能を担わせる宣伝が可能だろう。

 このような嗜好飲料を市場に普及させることにより、寒冷地に原野林があるだけの過疎自治体は、中期的に、財政窮迫を免れるはず。

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 Sofia Syngaivska 記者による2025-9-9記事「russia Introduces Fiber-Optic Naval Drone, but Its Capabilities Remain Questionable」。

  露軍は黒海に、光ファイバー・ケーブルで有線操縦するリモコン・ボートを配備したという。国営ニュースが報じた。

 開発したのは Ushkuynik 研究&生産センター だという。
 この艇上から、親子式にカミカゼ・ドローンを発進させることもできる、と宣伝されている。

 露軍がすでに占領しているKinburnからオデッサまでは62kmある。この距離ならば、光ファイバー・ケーブルでなんとかなりそうだ。理論上は100kmまで対応できる。 

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 Huileng Tan 記者による2025-9-8記事「Putin’s energy fix for drone-hit Russia: Dig up more coal」。
  国営メディア報ず。ロシアのエネルギーインフラが次々に爆破されているが、プー之介は先週の木曜日にウラジオストク市で演説し、石炭はあと900年は掘れるので、もっと掘れや、と発破をかけた。

 秋は農作業用の燃料消費のピーク。そのあと、冬の暖房需要が来る。すでに民間用のガソリンスタンドでは95オクタンは販売中止。92オクタンは「配給制」(=大行列)の昔に戻りつつある。とうぜん、闇市場もできている。

 ※AIのデータセンターの建設は、私企業ならば3年がかりと見込む。しかしそれと同時に不可欠な変電所と高圧送電線のインフラ新設には、現状ではどうしても6年くらいかかってしまう。新原発の建設には10年以上必要。3年先とか6年先のAI市場がどうなっているかはAIにも予測が不可能。この時間ギャップを埋める方法を発見してくれと求められても、AIすらお手上げなのだ。だが電力業界人によると、米国だけはこのギャップを緩和して中共の石炭火発攻勢と競争できるソリューションをもっているのだという。それは今の米海軍の核動力艦を、そっくりそのまま、AIサーバーに変えてしまうこと。もう有人の空母とか原潜の時代ではなくなるので、核動力軍艦を、民間に売り払い、フローティング・サーバー建物に改造してしまうのだ。これなら米国の財政赤字も解消されるし、アラスカの僻地にだってすぐ配備ができる(さすがに米国外には売れない)。かたやブラジルはフランスのメーカーに攻撃型原潜を発注しようと動いている。資源大国ほど、周回遅れを演じてしまう。

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 2025-9-9記事「Frontline report: Ukrainian hackers turn Russian security cameras into targeting systems for missile strikes」。
  ウクライナ軍のハッカー・チームは、露軍のはるか後方の、監視警戒カメラ網にアクセスし、それを傍受し続けることで、特攻ドローンを無駄なく差し向けることができている。

 まず軍事基地の門前カメラの映像を見ていれば、最近どの基地に大増援がなされたかがわかる。
 ついで、その基地から前線へ向かう車列のリアルタイム位置は、橋や交差点の監視カメラで逐一把握できる。

 この車列が必ず通る隘路に、FPVドローンを集中してやれば、労せずして敵の新作戦を失敗させてやることが可能。
 敵は、最前線で新攻勢を発起しようとする動きの出鼻を挫かれてしまうのだ。

 露軍はこうした敵ハッカーの利用を遮断するために、地域のインターネットを予告なく遮断することがある。しかしそれをやられた住民はたまったものではない。商売の「決済」も「予約」も停止してしまう。だからロシア住民はもはや銀行の当座預金口座にカネを置かなくなった。銀行からカネを引き出して現金として手元に置いておかねば、まともな経済活動はできないのだ。


米国の野球場は、場外ホームラン以外のボールの所有権は入場観客には無い旨を明朗にルール化しないと、良識的な人々が厭気してしまい、中期的に、ビジネスのマイナスを招くだけではないか?

 ストラテジーペイジの2025-9-7記事。
  福建省に新しいヘリコプター基地が建設されている。
 また、厦門市と福州市の郊外では、空港の規模が大拡張されている。

 厦門の空港は、金門島の目の前にある。
 福州のChangle国際空港は、台北から180km。海に面していて、海空の侵攻発進基地にできる。

 浙江省温州市の海軍基地も拡張されつつある。これは尖閣正面である。
 海に延びている新桟橋は、長さが2kmもあり、ここからロールオン/ロールオフの揚陸船団に一斉乗船が可能。

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 Andrei Kolesnikov 記者による2025-9-8記事「Russia’s New Fear Factor――How the War Is Driving a Wave of Purges and Suicides Among the Country’s Elites」。
  スターリンによって1937に粛清された共産経済の筆頭の理論家、ニコライ・ブハーリンは、「われわれは2つの政党を持つかもしれない。一方は権力を握った側。一方は処刑を待つ側」とソ連の現実を寸評した。

 最近では7月7日、運輸大臣のロマン・スタロヴォイトが、プー之介に解任されてから数時間後に、《銃器で自殺した》と報道された。その数日前には、パイプライン運営会社Transneftの副社長Andrei Badalovが、高層アパートの窓から落とされた。
 2022-2以降、FSBによるロシア実業エリートの殺害はこれで累計56人。

 ※FSBが銃器を使わざるを得なかったケースは、おそらく、相手が「外れない防弾窓」「護身用の火器」などの防禦の準備をしていたのであろう。

 プー之介の狙いは、べつに汚職を咎めることではない。ロシア国内に、自分に対する叛乱者が育たぬような空気を造りたいのだ。ランダムな暗殺処刑が続く限り、すべてのエリートは恐怖状態に置かれる。次に誰が物理的に始末されるのか、誰にも確信できないようにしておくことが肝腎だ。

 ただしスタロヴォイトはリアルに腐敗していた模様である。2024年春まで彼はクルスク州の知事だった。その防衛強化に使いなさいと国から交付されていた190億ルーブルを、じぶんと仲間とで、山分けしていたらしい。

 2025年6月にモスクワ郊外の巨大空港ドモジェドヴォの一切合切が、国家に没収された。そこは私人の私有資産だったのだが、所有者が二重国籍者だというのが、押収の理由だった。専制国家では、いかなる富豪も、その国家が許している限りにおいてカネを蓄えたり、贅沢にふけって可い。その現実を、常に思い知らせておく必要があるのだ。

 システムは、スターリン時代のように、それ自体を貪り始めている。1930年代のパターンが教えている。

 戦間期のイタリアのファシスト運動は、教訓に満ちている。ムソリーニは、WWIの塹壕で苦労した元軍人たちこそが、戦後の国を支配する自然な権利をもっているのだと主張した。これを「トレンチクラツィア」、「トレンコクラシー」といい、復員兵である若手の新進の活動家が、古手の既存の権力者層を放逐してしまう運動を後押しした。今のロシアでも、広範なセクションで、これに類似した運動の再演が始まろうとしている。

 ウクライナ戦線からの復員兵たる、新世代の軍事エリートの少壮連は、もっか、《青少年の愛国教育担当の副市長》のような取るに足らない地位を割り当てられている。彼らはそこで飛躍の準備をしている。いつでも古い権力エリートにとって代われる。

 木下藤吉郎のようにプー之介から引き立てられて権力の階梯をよじのぼりつつあるサンプルとしては、アルテム・ジョガが光っている。22年時点ではドンバスのロシア系民兵の一隊員にすぎなかったのが、いまでは国家安全保障会議の末席に連なっているのだ。

 経済学者は、ロシア経済が2四半期連続でGDPが減少していることを示唆している。金融システムは、まだ正気の人脈が保たせているが、プー之介が経済破綻のスケープゴートを彼らに求める日も遠くないだろう。今の経済テクノクラートが、新人のブードゥー教の経済学者に置き換えられたときが、見ものだ。

 ※カリニングラードの橋の下では、首の無いCEO氏の死体が見つかったたそうだ。

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 Mike Elk 記者による2025-9-8記事「Following ICE Raid in Georgia, Concerns Raised About Human Trafficking at Hyundai」。
  ヒュンダイは、土木工事などさせてはならない「ESTA」(ビザ免除プログラム)の枠組みで韓国からジョージア州に呼び寄せた労務者に、建設作業をさせていた。これはヒューマン・トラフィックの犯罪である。

 「メガサイト」はサヴァナ港の近くにある。HyundaiとLG Energyの合弁会社である。
 ヒュンダイとLGは、施設で逮捕された労働者たちは、下請け業者が連れて来たもので、直接には雇用していないと主張している。

 韓国政府は、こんかい逮捕された300人+の韓国人を帰国させるという。しかし、あと175人、中南米系の不法労務者が連邦の留置場にあり、彼らは見捨てられたままだ。

 こんかいの一斉ガサ入れのきっかけは、工場近くでの建設工事で死亡事故が2件発生し、それを取材したアトランタの新聞記者が、闇のタコ部屋の存在に気付いてしまった。そこで連邦司法にタレ込み、ICEが数ヵ月にわたり内偵を進めていたのだ。

 ※大昔に韓国のメディアから取材を受けたことがあるのだが、インタビュアーのインテリ・エリートと、かばん持ちの「おつきのもの」との間には、《越えられない断層》があることが、雰囲気からすぐにわかった。かばん持ちは、永遠に、インタビュアーには昇進しない制度文化があるのではないかと思われた。これがたとえばNHKならば、ケーブルや器材をもたされてインタビュアーについてくる若い奴が、5年後には、まったく自然に、インタビュアーのはしくれに上昇しているわけである。職位の差異はテンポラルなものにすぎず、固定断層は存在しない。おそらく、いかにも両班時代式な貴賤の固定文化を、韓国企業は北米へも持ち込んでいたのだろう。下請けの《口入れ屋》が集めてくる労務者は、本工場の正規従業員とは、家格・階級が別だと認識されているのであろう。だから労災が起きても平然たるものだったのだ。

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 Charles Gasparino 記者による2025-9-6記事「Take the nuclear option: Let Mamdani win the mayoral race so NYC can start over from scratch」。
  NYCはGDPが約1.3兆ドル。そこらの国よりも経済規模が大きい。
 2020年以降、そこに40万人の純移民が入ってきた。

 NY州知事はフラッキングを禁止。このままではガス代の高さだけでも、中産階層がNYCには住んでいられなくなる。
 記者は市長候補のマンダニはアカだとして憎んでいる。

 ※カミル・ガリーフ氏の6月28日の書き込みの方が、よほど参考になる。彼の分析。ゾーラン・マムダニがクオモに対して優勢であるのは、社会が好ましいと考える政界人のイメージが、いままでとは別なものにシフトしつつあるからだ。アメリカ大衆はついに、政治の表現としての「怒れる叫び」にうんざりしたのだ。ゾーランは、声を荒げない。アメリカ社会には、怒りが飽和してしまった。米国民はそれに疲れた。誰もが叫んでいるため、今や、あなたの個人的な叫び声の限界効用も、ゼロにまで逓減した。2025年に群衆の中で目立ちたければ、礼儀正しく、自己管理できることを示せ。「カリスマ性」を演出する必要などない。部屋は幼児でいっぱいである。その中で、大人のように振る舞え。無思慮に他者を侮辱するな。深く考えたことだけを発言せよ。それだけで、光って見えるのが、今の米国政界である。

 ※1個所の「AIデータセンター」には、1個所の新設発電所が必要だという。だから、もし原発をすぐに新設できないのならば、とうめんは、火発でなんとかするしかない。それができないという国や州や県や市は、これから先の競争で沈没することがもう確定してしまうのだ。さいわい、日本には切り札がある。それはUCG=石炭層を大深度地下において直接にガス化してしまう技術 である。次の内閣総理大臣候補者は、UCGを国家の最優先プロジェクトに格上げせよ。


サウジが中共から買った地対空レーザー砲「Silent Hunter」は、来襲するドローンに連続して30分も照射し続けないと破壊はできぬと判明。

 そもそもサウジは暑いので、システムの「冷却」のために電力のほとんどを喰われてしまうという。
 また大気中に砂埃が舞っているとダメだという。
 トラック車載型なのに、スタンバイ状態から発射するまでに、長い準備時間が必要だとも判明。
 2019のフーシによる石油プラント攻撃への対策として、サウジはこのシステムを購入したのだったが……。

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 Erica Marchand 記者による2025-9-7記事「Galileo daughter mission named Celeste to strengthen navigation resilience」。
  ESAはもうじき、「LEO-PNT」、すなわち「低軌道を周回する、座標把握・航法支援・時計規正用」の衛星を打ち上げるが、そのシステムの名前は「Celeste」にすると発表した。既存の「Galileo」提供EGNOSに、これを追加する。

 Maria Celeste は、ガリレオ・ガリレイの実の娘の名で、父親の天体観測の助手を務めたとされる。※1870年代に大西洋で発見された謎の無人漂流帆船『メリー・セレスト』号の方が有名かもしれない。ところで Celeste の発音はイタリア語とすれば「チレステ」または「チェレステ」だろう。ラテン語なら「ケレステ」だろう。ESAはこれを何と読ませる気なのだ?

 セレステ衛星は、計画ではまず10機のコンステレーションとして運用される。今年は最初の2機を打ち上げるであろう。

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 Amanda Morris 記者による2025-9-3記事「Bacteria rewire digestive systems to turn plant waste into power」。
  ノースウェスタン大学の研究成果。
 リグニンは、セルロースに次いでこの地球上に豊富なバイオポリマーである。木質の正体であり、とにかく分解させ難い。だから木造建築はなかなか腐朽しないし、ヒトが樹木を飲み込んでも腹の中で消化されることがないわけである。

 この分子をなんとか工業的にバラバラにして、燃料や食品やプラスチックに変えてやろうじゃないかという研究を昔から世界中でやっている。
 ※もし森林がそのまま食料に化けるなら、一夜にして、「誰も働かなくとも食える世界」が実現するわけである。

 ノースウェスタン大の研究チームは、土壌細菌のひとつが、このリグニンの炭素からエネルギーを吸い出して生きていることに着目している。


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 Martin Purbrick 記者による2025-9-5記事「Criminal Organizations as Vectors of Influence in Taiwan」。
   台湾には、伝統ある犯罪組織「竹聯幣」が存在する。中共はこれを、台湾の民主主義制度を破壊するための「第5列」として利用すべく、梃子入れしているという。

 竹聯幣は、Chuk Luen Bong と発音し、英訳すれば United Bamboo 。記事では「バンブー・ユニオン」と呼ぶ。そのメンバーはもともと大陸から台湾に逃れてきた国民党系の反共難民の第二世代で、1957年に台湾で結成された。

 今も1万人くらいがメンバーで、2025年8月、台北の検察は、暗号通貨を用いた金融詐欺の容疑で、竹連幣の18人を起訴している。

 1984年、台湾政府は、竹連幣に依頼して、国民党を批判したヘンリー・リューという米国市民権を有する帰化台湾人を加州で暗殺させた(『Taipei Times』2021年2月22日版) 。

 この下手人は米国で10年間服役したあと台湾に戻った。しかし1996に台湾当局から指名手配されるに至ってこんどは大陸に逃亡。そこで中共とつながりができ、ふたたび2013に台湾へ舞い戻った。

 この男は2005年9月に広州で「中国防衛同盟」という市民団体を結成し、それをそっくり台北へ移植し、中共による台湾併呑を公然と支持する政治団体「CUPP」にリブランディング。じぶんたちは台湾人ではなく中国人だと叫ぶ「赤色有権者」を増やす活動を2010年代から主導している。とうぜん、2021年のナンシー・ペロシの訪台にも反対のキャンペーンを打った。

 台湾の検察によればCUPPは2024年に中共から230万ドルもの資金を受け取り、台湾の選挙に影響を与えようと活動した。

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 Aleksander Olech 記者による2025-9-2記事「France Still Imports Gas from Russia」。
  フランスは必要なエネルギーを原発に全振りしているように見えるが、それでもガス輸入をゼロにはできていない。

 2024年には、天然ガスを、ノルウェーから32%、米国から20%、ロシアから17% 買った。

 フランスでは、天然ガスは、暖房の建物と、化学工業、食品産業に使われている。発電にはほとんど使っていない。
 フランスの原子力発電は2024年、総発電量の67%であった。

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 Natalia Matiaszczyk 記者による2025-8-31記事「Civil Defence in South Korea」。
  韓国の民間防衛システムは、法律によって全国的に義務付けられている。
 全国の避難所が、広範な早期警報システムと連動しており、その機能を定期的な公共訓練によって検証し続けている。真の災害管理努力が見られる。

 市民防衛の基本法は、1975年に制定された。いらい、複数回、改訂されている。この法律により、地方自治体も、民間防衛措置の準備と維持が義務付けられている。

 40歳までの男子は、民間防衛のための訓練招集に応ずる義務がある。年に数時間ていど。そこでは対NBCの訓練もする。基本的な救助も学ぶ。

 2025年時点で、全国に1万7000個所の民間シェルターがあり、数百万人を収容できる。基本的にそれは防空壕だ。
 通例、それは地下鉄の駅構内、公共の地下駐車場、公共ビルの地下階に付属している。

 その場所は黄色と青の標識で明示されているので、どこにあるかすぐわかる。

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 APの2025-9-5記事「A look at where Thailand’s cannabis laws stand」。
  タイは2022年、アジアで初めて大麻を合法化した。これが今、まずいことになっている。

 2019年の総選挙で、当時の保健大臣 Anutin Charnvirakul が、大麻を合法化しようと訴えて大勝ちし、ついに Bhumjaithai党の党首になった。
 党の地盤は北東部の貧困地方にあった。そこではてっとりばやい換金作物として大麻が奨励された。

 数千の大麻薬局が全国にオープンした。そしてこの環境は、全世界のヤク中どもをタイ観光に吸引した。

 だが、都市の大衆は反発した。それまでマトモだった若年世代が、どんどんヤク中になったので。

 合法化から1年後、ゆり戻しで、再違法化を掲げて政権をとった Pheu の党は、しかし、単独で過半数議席を握ってはいないために、その公約を、かたつむりのスピードで推進するしかないありさまだ。いったん麻薬が合法化されると、元に戻すのは簡単ではない。

 漸く、ことしの6月以降、タイの薬局は、処方箋なしで大麻を人に売ることが許されなくなっている。

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 Dmytro Shumlianskyi 記者による2025-9-7記事「Russians Have Begun to Serially Equip Supercam Drones With Interceptor Evasion Systems」。
  ロシア軍の偵察用の固定翼無人機「スーパーカム」が、宇軍のインターセプター・ドローンを自動で回避するデバイスを搭載し始めた。

 これは、インターセプター・ドローンが地上へ向けて送信している無線信号(ビデオ画像情報)の周波数を検知すると、その場で急速旋回をして空中衝突を回避するというアルゴリズム。

 ロシアは2024年秋に、ウクライナのインターセプターへの対策を実験し始めている。2024年10月、ZALAのドローンに、この同様のシステムが搭載された。

 ロシア軍はまた、インターセプターの動画ダウンリンクの電波に妨害をかけてやるECM装置も開発して、偵察ドローンに実装して試しているという。

 2025年3月には、もし敵のドローンが自機の後上方に近づいた場合には、それを光学センサーとAIで感知して、回避機動をするというシステムも、偵察ドローンに実装している。広義の「マシンビジョン」のひとつだ。


トランプ政権はMTCRを低速無人機に関して緩和した。これにより欧州メーカーは、500kgの弾頭を300km先まで運搬できる無人航空機(UAS)の技術ノウハウをウクライナへ開示できることになった。

 Benjamin Cook 記者による2025-9-3記事「Ukraine Expands Its Own Kinetic Sanctions VS Russian Oil/Gas」。
  ドゥルジバのような石油用の幹線パイプラインは、「API 5L」クラスの炭素鋼であることが普通である。

 ※APIとは「アメリカ石油協会」の略号で、そこが決めているスタンダード。「API 5L パイプ」は「ライン・パイプ」とも呼ばれ、シームレスのこともあれば熔接鋼管の場合もある。保守修理の必要から、熔接は容易でなくてはいけない。高品質であり、高圧にも、過酷な環境にも耐える。内側も外側も、耐腐蝕コーティングされている。今日では中共のメーカーが高性能品をロシア向けにいくらでも供給する。

 公表値によれば、管径は420ミリから1020ミリ。鋼管の壁厚は8ミリから32ミリである。高圧区間だと、40ミリ厚のこともある。

 この厚い鋼管が、さらに土中に埋設されていたりすると、特攻ドローンでは手が出ない。
 しかし地上に敷設されているパイプラインは、特攻ドローンで破壊できる。

 貯油タンクはどうか。
 ロシアの石油産業は「API 650」規格の大気圧貯留槽を貯蔵タンクとして使っている。その尾根プレートは厚さ5ミリなので、ねらい目だ。

 シェル・コース(shell courses)〔=円筒槽を輪切りにした時の1区画。日本では単に「シェル」とも呼ぶ。大型タンクの場合、下層のシェルほど壁厚は増さねばならない。つまり1個の巨大な円筒槽があったとしたら、それは必ずや、厚さが異なった複数層のシェル・コースを数段(往々、5段)、下から上へ積み重ねたものなのである。各層の継ぎ目はもちろん、熔接されている〕の壁厚は最薄でも8ミリから12ミリある。
 上の段ほど、貯留槽の壁は薄くなるのだが、最上縁の環の部分だけは、ぶ厚く強化されている。

 貯留槽のいちばん低い層の壁厚は、10mm未満ということはない。巨大タンクだと20~30ミリある。素材はスチールである。

 次。
 Povilas M.記者による2025-9-6記事「Ukrainian Drones Are Dropping Spike Strips on Russian Supply Roads」。
  スパイク・ストリップとは、「撒き菱」を線状に植え付けてある大道具で、米国の交通警察が車両のタイヤをパンクさせてやるときに「手投げ」にて奇襲的に展張して、ロードブロック代わりに使える重宝なものだ。

 モノクロビデオなのでおそらく夜間なのであろう。これを宇軍が6軸のマルチコプター「ババヤガ」から農道にいくつも投下して、露軍の歩兵を追い詰めている動画がSNSに出ている。

 相手が装軌車両なら穿刺針など効きはしないが、いまの露軍は、民間のワンボックスカーや自動二輪車を徴発して最前線部隊を動かし、あるいは最前線部隊に需品を推進補給しているので、線状の「マキビシ」が、高性能地雷と同じくらいの阻止期待率を発揮してくれるようだ。

 敵軍の軽車両の動きが止められたところで、こんどは「ババヤガ」から爆弾を落とすという段取りになっているのだと思われる。

 次。
 2025-9-4の「ttps://mezha.media/en/oboronka/cukorok-chuyka-dziga-tinysa-whoover-yak-obrati-detektor-droniv-304569/」記事。
  ※これは陸自の現役隊員は必読ではないかと思った。部隊で全文を精密に訳して情報を共有するとよいだろう。

 この記事は、ウクライナ兵たちがポケット携帯して、迫る危険を察知するのに役立っている電波検出警報器の製品解説である。
 面白いのは、小さなモニター画面付きのものがあり、そこには、敵のFPVドローンが今、誘導員に対して電送中の画像が傍受されて映示される。もし自分が狙われている場合は、その画面に自分の姿が映るわけである。

 対応周波数の変遷史も、概略、これで確認することができる。

 なお、光ファイバー・ケーブルで誘導される特攻機は、こうしたデバイスによっては探知ができぬ。

 次。
 西側各国軍の深刻なニトロセルロース不足を解消するため、第三世界のゴミ捨て場に山のように捨てられている古着/売れ残り衣類の「合繊」を原料素材にして、ニトロセルロースの代用物質をこしらえられるプラントを日本が開発するべきだと思う。正規のニトロセルロースより低性能でもかまわない。それはドローンの弾頭やドローン用のRATOに使うものなのだから。

 次。
 ストラテジーペイジの2025-9-6記事。
  フィンランド政府は、これまで干拓を進めて来た、ロシア国境沿いの湿原を復活させ、その面積をむしろ拡大させようことを考えている。天然の対戦車濠にするために。

 ポーランド国防省も同じことを考えており、すでに昨年から工事を始めている。

 領土の1割が湿地であるリトアニアも、その湿地と要塞を組み合わせる方法をもっか研究中。


ランセットもどきの「RAM-2X」が露軍のAFV輸送車両に命中するビデオがロシアのSNSに出た。

 Defense Express の2025-9-5記事「Ukraine’s RAM-2Х Drones Sneak into russian Rear Unnoticed and Undisturbed by EW」。
  ロシアの民間トラックのドラレコが偶然に記録した。撮影された現場は、最前線から40kmほど東であるらしい。

 露軍のEWが効いてないように見えることが注目されている。米国のSilvus社製の「StreamCaster」という、電子妨害に強い無線通信技術を、この「RAM-2X」は採用しているのだという。それはメッシュ・ネットワークを利用したものだという。あちこちに中継器が存在して、それらが相互にバックアップするというコンセプトだ。

 「RAM-2X」を突入させるときには、その上空に、固定翼無人偵察機の「Shark」が飛んでいる。そのUAVが中継器を抱えているのだという。

 露軍は、「StreamCaster」の信号を感知したら、すぐに付近の味方部隊に警報を出している。
 2024-12から存在が明かされている「RAM-2X」のレンジは非公開だが、露軍は、それが150kmくらい飛んでくるのではないかと恐れている。

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 Michael S. Bernstam and Steven R. Rosefielde 記者による2025-9-4記事「How Russia’s Energy Empire Ends」。
   レーガン政権いらい、米国は西欧に対して、ロシアからは石油もガスも買うなと説得し続けてきた。だがしかし、ヨーロッパは聞く耳を持たず、それが2000年代初期にいったんは無力化したロシア軍を2014までに再び復活させるという阿呆きわまる事態を招いた。それが今日のウクライナ戦争の原因のすべてなのである。西欧の責任なのである。

 ところがプー之介が2022にみずからしくじりを犯してくれた。2022初盤の甘すぎた隣国併合作戦の大失敗に焦ったプー之介は、西欧がウクライナを後援するのをやめさせようとして、ガス供給を止めるという脅しを実行したのだ。西欧はこんどこそ目が醒めてしまい、そこから急速に《エネルギー輸入元の脱ロシア化》へ舵を切った。とうとう2025-5にはEUが、2027末を以てロシアからのガス購入を、パイプライン形態もLNG形態も、どっちもゼロにすると合意している。これでロシア政府は年に600億ドルの収益を永遠になくす。

 じつはノルドストリーム爆破は、このロシアの苦境にはあまり貢献していない。爆破の前から、稼働していなかったんで。強くなると人を脅すというロシア人の癖が、ロシア経済を縮小させつつあるのである。

 サウジアラビアの原油の平均生産コストは1バレル当たり10ドル前後。ロシア油田は、陸上のは1バレルあたり42ドル、オフショアだと44ドルだ。シベリアや北極海での採掘が安易にできるわけはなく、増産しようとすればサウジとの競争でますます出血輸出に陥るしかない。

 つまりソビエトとロシアのエネルギー帝国はとうとう終焉した。かつての構図は、もう二度と戻ってこない。

 ※ジョージ・ケナンとジョン・ミアシャイマーには類似のパターンがある。ロシアに関して壮年期にはシャープな正しい指摘を残しているのに、老人になってから、かつての自説に対する砲撃に熱中するのだ。この二人の壮年期の主張を融合させると、完璧な対露政策指針が記述される。それはこうだ。ロシアは大国の本能に常に忠実である。強くなると近隣国を支配しにかかる。だから、ロシアを常に弱くしていなくては、この世界が安全になることはない。ロシアを弱くする方法が「コンテインメント=containment」である。終始一貫ロシアとは交易をせぬことである。そうすればロシアの経常黒字は巨大化することはなく、ロシア軍も弱いままでいてくれる。弱くてしかも封じ込められたロシア人は、国内政治をじぶんたちで改革し、それは外の世界にとっても善い方向のように映るであろう。だが、世界がそこで気を緩め、対露交易を再開してしまうと、けっきょく前と同じことになるのである。だから、世界は油断をせず、自ら戒め、弱くなって平和国家化したロシアとも、決して交易など再開してはいけない。これによってのみ、世界平和は現実的に維持されて行くであろう。

 次。
 John Stuart 記者による2025-9-3記事「The AI Rock and Hard Place」。
  オンライン経由の大学教育システムを、AIがひっかきまわしている。生身の学生が本当にそれを受講(出席)しているのか、確認しようがなくなってしまった。確認するためのAIツールもあるが、それまたAI欺騙され得るし、ぎゃくに、まじめに 出席/宿題提出 している学生たちをAI代返だと疑う事案が続発。

 ※AIは、旧来の「大学制度」「高等教育制度」そのものを終わらせてしまうと考えるのが、とうぜんのセンスであろう。