緑の島に集結した方々、残念でした

 今日は朝9時半から予行演習するというので、自転車で「ともえ大橋」に上ったのですが、下の方までガスがかかっていて、そこから近くの函館山すら見えない視程の悪さ。これでは僚機を視認できないから曲技飛行などは不可能だと確信して帰宅しました。
 さきほどFMいるかで中止決定がアナウンスされました。わたしは百里の特等席でブルーインパルスを拝観したことがあるので、それを脳内で再生しつつひきこもることにいたしますが、皆様、残念でした。
 「遠路はるばるやってきたが、一日時間が余って困っている」という兵頭ファンの人がもしいらしたら、駅前の「おやど青空」に連絡してくだされば、連絡が拙宅まで通じる場合があります。
 またもし将来ブルーインパルスがまた函館港上空で乱舞するときがあったとしたら、おすすめの撮影ポイントは、「薬師山」の要塞の土手の上ではないかと思いますので、何の役にも立たぬ情報ですけれども、いちおう書いておきたいと思います。
 


講演会前後の予定について

 8月28日の午前10時以降から、8月30日の午前9時までの間に、わたくし兵頭二十八に面会の御用の方は、JSEEO事務局にアポイントメントをお取り下さるよう、お願い申し上げます。
 なお29日の講演会は、FAXが無い方でも、eメール、もしくはハガキだけで、申し込みが可能です。(携帯とスキャナーの普及で、固定電話とセットのファクシミリを持っている個人は、むしろ例外的になりつつありますよね。)
 それと、10日発売の『voice』9月号を見てください。ノドンは東京には届かない、と考えられるわけを説明しております。
 本屋に行ったついでに、かならず、NF文庫をチェーック! 『たんたんたた』を買い求めることをお忘れなく! これが売れませんと、たとえばフル図版付の改訂版の『日本海軍の爆弾』だって文庫化できなくなっちゃうんですぜ。
 あと余談。クリントン(夫)を見習って日本の要路の政治家も平壌に飛べとか言い出す阿呆が必ず湧いて出るだろうと思うけど、B-2用の新型爆弾の開発計画リリースだって、ミッション訪朝事前の対敵プレッシャー演出の一環なのですぜ。そういう軍事的な「脅し」ができない国に、どんな交渉迫力があるっていうの?


クリントン(夫)氏の平壌行きについて。

 『ワシントンタイムズ』によると、北鮮は早くも2009-春から人質2名に国際電話を許していた。7月には、クリントン(夫)が来いと公然要求した。
 クリントン(夫)は、2000年に北鮮に行きかけたことがあった(しかし代わりにオルブライトが行った)。
 さらにクリントン(夫)は2009-5に京城で金大中と会ったときにも北鮮にまさに行こうとしかけた。
 7月段階で人質2名は労働キャンプではなくゲストハウスにいた。
 米政府が韓国と日本にこの件を知らせたのは、クリントン(夫)が平壌を離陸する前であった。ちなみにクリントン(妻)はアフリカ行き予定。
 『ロサンゼルスタイムズ』によると、キム=クリ会談はまず3時間15分。
 『ワシントンタイムズ』によると、ついでディナー2時間。その後、さらに1時間半会談。
 訂正があります。以前の記事で、米空軍がストライクイーグル×12機を半島に増派した意味は、SSMを持ちたがる韓国をなだめるためではないかと書きました。
 それは間違いでした。今の解釈はこうです。
 平壌に向かう前のクリントン(夫)の交渉力に迫力の裏打ちをしてやるために、米軍は協力したんでしょう。
 また、8-11の韓国ロケット打ち上げ予告や、〈700kmのSSMを持ちたい〉との韓国軍人の発言も、金正日に対して「アメリカには韓国SSMカードがあるんだぞ」とあらかじめ知らせようという、アメリカ政府の意図を体したものだったのかもしれぬ、と、思い直しております。
▼ところで1999年に(株)データハウスさまから刊行された『あぶない28号』第5巻をお読みになったという方は、全国的には少ないのではないでしょうか?
 10年も前の寄稿だから、クリントン氏訪朝を機に、ここに〔補足〕を加筆して再録をしても、許されましょう。(たまたま入稿データが残っていたのです。)
★「ザ・ルインスキー戦争」〈ユーゴ戦線編〉に関する、いとも高位な御方よりのコレクト・コール/兵頭二十八
 それは奇妙な電話であった。さいきん乃木将軍のことばかり調べていてニュースを見るのをすっかり忘れていた余の茅屋へ、なぜかアメリカ合衆国大統領を名乗る男が話をしたいとかけてきたのだ。――リリリ~ン!
クリ「やあ! このカスレ声が誰かは分るね? いまホワイトハウスからかけているんだけど、早速ビジネスの話に移ろう。私も超多忙なのでねえ。」
兵頭「誰かと番号を間違えてるんじゃないの? テリー伊藤とか、落合信彦とか。」
クリ「彼らは金正日やCIAのナントカから電話はかかってきても、アメリカ大統領のコレクト・コールを受けたことはあるまい。」
兵頭「詳しいな……えっ、待てよ、コレクト・コール? ふざけるな、そんなセコいアメリカ大統領がどこにいるんだよ。もう切るぞ……あれっ、切れない?」
クリ「フフフ……(フ×20)。わが国の最先端の通信技術を侮っては困るぞ。このラインは君の方からOFFにすることはできんのだ。NSAに頼めばホワイトハウスは電話代を全部他国人に請求できるのだよ。」
兵頭「この野郎、なんて奴だ。」
クリ「改めて挨拶する。わが名はアメリカ合衆国大統領クリントン。君は“クッリー”と呼んでくれて構わない。」
兵頭「嘘ばっかりつきやがる。どこのアメリカ人が自分の苗字を“クッリー”なんて略すんだよ。」
クリ「いや、相手によって特別な愛称を許すのがアメリカ式なんだよ、ジミー。」
兵頭「俺に勝手に愛称を付けるな、クッリー!」
クリ「有難う。しかし君は『戦車マガジン』の編集員だった時、ある朝、神保町に出社するや突然に『みんな、今日からオレのこと、“ジミー”って呼んでくれよな!』と宣言し、以来社内はずっとその名で通していたそうじゃないか。」
兵頭「なんでそんなこと知ってるんだ。まあいい、早く要件を言ってくれ。電話代がかかってしょうがないから。」
クリ「ほう、行徳のスーパーのトマト売りのバイト料が入ったばかりで、懐は潤っていると思ったのだがね。」
兵頭「それがさあ、年末に〆縄と子供スピードくじを続けて売ったときには稼ぎもよかったんだよ。したっけ今回は4日間しか……、ちょっと待て。そこまで知っているところを見ると、三十八歳にして身も心も清い、この一介の軍学者のことはすべて調べあげた上のコレクト・コールのようだな、クッリーとやら。」
クリ「君が自分からバラしてるのじゃないかね。それにわがアメリカ合衆国が、軍学者というよりプータローに等しき君ふぜいに訊ねることなどない。私はわが国の立場を世界に説明する責任があるから、こうしてわざわざ、いぶせきトキヨーのよしずがけ文化アパートにまでかけてきてやっているのだよ。」
兵頭「大変だねえ、大統領も。だけど、やっぱり番号間違えてるよ。」
クリ「君は『Voice』という、日本で最もクオリティが高く、無法者から歴代首相にまで広く支持されている三千万部雑誌に寄稿しているだろ。国務省のデータベースはそこを重く視たようだ。」
兵頭「褒め殺しだって。それじゃ。一銭も出ないよ。」
クリ「じつは“C”で始まる某国が、日本の影響力あるオピニオン・リーダーの取り込みにかかっている。共産主義者がよくやる手だ。」
兵頭「そういや前に日共が福田和也にアプローチしてきたとか言ってたっけな。しかしそんな工作を、あのチリまでが展開し始めたとは……。」
クリ「いやいや、Cで始まる国は他にもあるだろう。よく考えてみるのだ、ジミー。」
兵頭「キューバ。」
クリ「うーん、少し惜しいかな。」
兵頭「カリフォルニア。」
クリ「国じゃないぞ、……たしか。」
兵頭「コートジボワール。」
クリ「わざと言っとるだろ。」
兵頭「すまんすまん、クッリー。あんたが本当のアメリカ大統領かどうか、チョイと試させてもらったまでだよ。」
クリ「よろしい。この私が君らの理解を得たいのは別なる儀でもない。コソボをめぐる事態のことなのだ。」
兵頭「ああ、あれってツチ族とフツ族の、どっち勝ってんだったっけ?」
クリ「ジミー、それは違う土地だ。」
兵頭「おや、ツチが違いましたか……ナンちってな。」
クリ「君の言いたいことは分る。日本人にとってユーゴスラビアの紛争など、地球の果ての部族間抗争と異ならず、所詮リアリティはまるでない、と……。」
兵頭「現代人のリアリティは、ヴァーチャルとかいう前に、見事にバラバラだよね。今のアメリカの場合だと、せっかく予算を通した超高価重爆のB1BとかB2に、対空砲の上を飛ばせてみるのがまず最高のリアリティなんだろ。」
クリ「いや~、湾岸戦争では、何でアレやらコレやらの最新装備を投入しなかったんだと、控えに回された兵器のメーカーとその末社議員の突き上げがキツかった~。その教訓てワケ。」
●ハイテク談義に花が
兵頭「でもいいのかよ。新兵器は技術的奇襲にこそ意義があるというのに、それを第三世界相手にサッサと使って運悪く撃墜されて残骸をロシアに運ばれてしまっても。」
クリ「ああ、3月27日の夜に墜とされたF117のこと? ありゃOKだ。B2に比べたら古いステルス技術だし、それをロシアが知ったとすれば、次の新機体の開発理由がまたできるわけだから。」
兵頭「ロシアはイラクから巡航ミサイルの部品を密かに入手してる筈なのに、それをすぐコピーする国力はもうないだろ。GPSで爆弾が自分のコース修正をする技術とかも。」
クリ「ジミー、それは合衆国のリアリティではない。われわれには常に強敵が必要なんだよ。強敵が居て、はじめて生きていられるんだ。」
兵頭「修羅道か。大坂夏の陣で死に損ねた宮本武蔵と変らんよな。しかしF117撃墜で、世界の精密兵器業界は、これまで旧式と思っていたロシア製対空ミサイルSA3の指令誘導式というコンセプトを、対ステルス技術として見直すことだろうね。」
クリ「うひょー、ますます結構! それを凌ぐステルス機の開発理由ができる。」
兵頭「ところで、放送局を吹き飛ばしたのは、心理作戦機のEC130Eを使う準備なのだろう。」
クリ「よく分ったな。あの飛行機は早く使いたくてたまらない。なにしろ上空からテレビ放送ができるんだから。CGで作ったミロシェビッチの不倫映像を全ユーゴに向けて流してもいい。全セルビア人がその画面にクギづけになっているところへ、トドメはピカチュウのパカパカでいったろかい!」
兵頭「アパッチ攻撃ヘリコプターを展開させたのは……。」
クリ「陸軍のアパッチと空軍のA10対地攻撃機とは任務競合関係にあってね。A10だけ出しておくと、ヘリのメーカーや陸軍予算にたかっている吸血議員どもが黙っちゃいない。そういったバランスをちゃんと計れるから、私はモニカ・スキャンダルなどではビクともしないのさ。ああそれからね、三菱重工と富士重工に言っといてくれんかなあ。観測ヘリなどといいつつ誰が見てもタンデム複座の対戦車ヘリでしかないOH-1を自主開発したところまでは許してやってもいいが、それを本格的な攻撃ヘリにして米国からアパッチを買わんのだとしたら、第二の中島代議士を出してやるぞ、って。」
兵頭「いいけど、日本企業の役員はそういう話にはまるで鈍感だよ。で、聞きたかったのは、地上軍は出すのかっていうことさ。」
●地上戦は第三次世界大戦に?
クリ「まさか。捕虜を納屋の壁にはりつけにして生き皮を剥いだり、赤ん坊を棒杭に串刺しにして表情ひとつ変えない連中のリアリティを、90年代に青春していたアメリカの兵士たちに2年ばかりのローテーションで見学させろとでもいいたいのか? 私は『カラマーゾフの兄弟』の中で、トルコ人がブルガリア人にした話として、『ひどいのになると乳飲子を空[くう]へほうり上げ、母親の目の前でそれを銃剣で受けて見せる奴さえある。』(米川正夫訳)と語られている箇所を見て、いったいいつの話かといぶかしんだものだが、あの地域ではこういう伝統がいつでも復活するに違いない。」
兵頭「あんたがドストエフスキーなど読んでいたとはね。」
クリ「子供用の絵本でね。」
兵頭「たしかにクッリー、過去に残虐の歴史を持つ社会の集団無意識の中に、そうした話が異民族の蛮行のイメージとして何百年も余喘を保ってきたのは明らかだ。例えば『資治通鑑[しじつがん]』という中国の史書の「唐紀・会昌3年」には、西戎である『吐蕃』同士のみせしめの伝聞として、『嬰児を槊[さくじよう]上に貫きて盤舞[ばんぶ]す』と回顧されているよ。これも伝聞にすぎないわけだが、支那事変中にこの類型をもってする反日宣伝が勃然とたくましうされている。」
クリ「それは西暦にしていつ頃の話なのだい。」
兵頭「『会昌3年』」を西暦に直すと、843年にあたるようだ。学生時代、『ヴァイキング・サガ』(プェルトナー著、木村寿夫訳、1981年刊)という本を見て驚いたことがあるのだが、この同じ843年の6月24日にナント市を襲ったヴァイキングが、『男女のきらいなく大虐殺を行ない、勢いあまって乳児たちを捕え、球戯の玉のごとくに空中に投げ、落ちるところを串刺しにした。』と報告されていたよ。東西軌を一にして似たような蛮風が流行したのかしらん。」
クリ「ヴァイキングについては、あの当時の文書記録はカトリック修道僧が書き残すものがほとんどだろうから、教会財産を掠奪され続けた恨みがあって、その残虐性を誇張しているかもしれないなあ。まあ、一つ言えることはだ。バルカンは未来永劫、フランスにはなれないんだよ、ジミー。陸水を集めて最寄りの外洋に直行する流れがなく、水系は内陸部をいびつに結びつけている。ライン河やピレネー山脈のような“壁”も無い。問題は宗教ではなく地理なのさ。水が地域を統合する代わりに、人々を憎み合わせている。神に呪われたこんな地を治められるのは、やっぱり新しいオスマントルコかナチかスターリニスト/マオイストでしかないのだよ。それがシラクあたりに分らんといけないから、アメリカ空・海軍が主力となって爆弾を落し続けるのが一番いいんじゃないのか。ブレア? あ~、英国人もイカレた奴らさ。北アイルランドで永久戦争を続けていながら、自分たちは対ゲリラ戦は得意だと思ってる。百年前のボーア戦争と一緒にするなって。」
兵頭「それはアメリカ流の地球観じゃないけれども、アメリカ流の戦争観ではあるよね。それにユーゴは戦後、チトーみずからが『歩兵は戦車をこうやって攻撃しろ』と、そればかりずぅーっと教え続けてきた全人民防衛の国。歩兵の対戦車戦意がイラク兵とは段違いだから、地上部隊の投入はセルビア軍人の望むところかもしれない。地雷も持ってるしね。」
クリ「投入するとしてもだ。主力は砲兵、つまり長射程砲と多連装ロケットだな。これは安価に掃討戦を続ける決め手だと、イスラエルと南アが教えてくれたよ。」
兵頭「ただ、サダム・フセインと金正日はNATO地上軍の投入を鶴首して待ってるに違いなかろう。米国は小戦争を二つ同時にできる備えはしてきたけれども、三つ同時は無理だから。」
クリ「もちろん、奴らもバカじゃない。工作船の侵入にしても、グァムでの米豪加の合同演習のため第7艦隊が日本をお留守にしている間を狙ったようだし。」
兵頭「それと、3月25日に自衛隊の新戦力のE767早期警戒機が部隊運用を始めたタイミングにも関係あるかもね。あれはたぶん日本海のまん中からでも北朝鮮の港の船は全部見えるから。」〔※2009-8時点での補足。おそらくP-3Cの一部にとりつけた合成開口レーダーの性能にシナが興味を持っていたのでしょう。〕
クリ「“三カ所同時戦争”に発展すると、局外の国が何をしでかすかじっさい心配なのだ。もし僕が日本の首相だったら、半島でのミニ紛争が起きたら間髪を入れずに竹島に第一空挺団を降下させるからね。」
●君はこの衝撃の結末に堪えられるか
兵頭「ロシアがバルカンに介入したら、北部方面隊と空挺団に別海で“関特演”をさせ、『三島返還』で手打ちを迫るというのもアリだぞ。国後までは北海道から自衛隊のヘリコプターの作戦半径だから、ロシアはけっきょく保ち切れない。そのコンセンサスの上に択捉島の放棄を宣言すれば、戦後日露関係を清算できる。マイナスばかりじゃないよ。ときにクッリー、あんたはベトナム戦争での徴兵反対運動は正しかったと思っているかい?」〔※2009-8時点での補足。領土問題を常に近未来の地上戦の成算の観点から考察できるロシア人には、3島返還というオトシドコロこそが、実はいちばんリアリティがあります。でも日本人でこの考察ができる日本人は当時、オレ以外にはいませんでした。今となっては、もう遅いです。〕
クリ「当たり前だよ。わが国が好景気なのはいつからだと思う? インドシナからヤク漬けの人殺しになって帰還してきた70年代の若者を、80年代のホームレスとして処理してからだ。またあの暗黒の歴史を繰り返すなんて、冗談は止めてくれよ、ジミー。」
兵頭「てことはだ。“N”で始まる兵器を使うこともあり得るね。あんたのキャラクターから考えると。」
クリ「いいや、ナイフなんか趣味じゃないよ。」
兵頭「あれは“K”だろ。ほら、Nで始まるあのすごい兵器さ。」
クリ「ニコンかい?」
兵頭「ま、あれも光学兵器といえなくもないが、他にないかな。ほら、大戦略におあつらえ向きの……。」
クリ「うむむ……、ニンテンドー?」
兵頭「よく思い出すんだ。地上軍なんか投入しなくても、ミロシェビッチとサダムと金に一発づつで、アメリカの頭痛のタネを奇麗さっぱり片付けてくれる、あの……。」
クリ「えーと、えーと、ノーシン、じゃなさそうだし。『頭痛がサ~リドン』とか。ちなみに北鮮が撃ってくるのはサリン入りノドン……ナンちってな。」
兵頭「クッリー。どうしても口にしたくないわけだ。」
クリ「すまん、ジミー。女には口にさせても自分は口にするな、というのが親父の遺言、いや、わが国の方針なのだ。それに私は最近、恐ろしい夢を見るのだよ。」
兵頭「どんな? まさか、アメリカから最新型の原子力潜水艦が外国に亡命しようと霧深い軍港をすべり出していくが、乗員を見たら全員エイプ(猿)だった、なんてのじゃないだろうな。」
クリ「ふざけないでくれ。シリアスなのだ。」
兵頭「すまなかった。ミスター・プレジデント。」
クリ「私は……砂浜を歩いているのだ。辺りは廃墟のようだ。まるで、核戦争の数世紀後を想わせる……。」
兵頭「ほほう。」
クリ「すると、ある彫像[トルソ]にばったりと出くわす。私は砂浜に両手をついて身もだえし、『こっ、ここは、ニッポンだったんや~』と叫ぶのだよ。」
兵頭「いったい何を見たんだ? 何でアメリカ大統領が関西弁なんだ。」
クリ「私の見たそいつは、砂に半身が埋まった、食い倒れ人形だったからだぁ!」
兵頭「お前、やっぱりアメリカ大統領なんかじゃないだろ。……あっ、切れた。」
(テケテンテンテン……)


米田富彦さま

 暑中お見舞い申し上げます。
 柔術国家の創建を目指し、いよいよ精進して参る所存です。
松尾学さま
 ご登録辱う存じました。
 皆さまからの力強いご支援に、勇気付けられております。 
 時節柄、皆様どうぞ御自愛くださいまし。


高校を全廃すれば少子化は止まる

 人類の歴史が目指す「絶対善」があるとしたら、それは、個人の自由が増進することです。
 己れの自由のみならず、他者の自由まで尊重できるように進化したすぐれた国民は、無謀にセックスしませんし、無謀に結婚しませんし、無謀に子供をつくりません。
 なぜなら、無謀な紐帯は不幸の再生産機構でしかないと、彼は、見聞によって承知しているからです。
 女や子供の将来の幸福を願えばこそ、やさしい貧乏人の若い男は、慎重になっているのです。
 それは「自他の自由の増進」と同義である以上、道徳的にまったく正しく、世界の後進国人の無慚なありさまと見比べて、大いに誇るべきことのはずです。
 これをまず褒められないような没道徳的な政府や政党ならば、亡んでしまった方が人類の為でしょう。
 かりにもし、そのような貧乏人の男子が、3億円の宝くじに当たれば、彼は、まるで金持ち一家の生まれながらの坊ちゃんのように、他者に対して強気になることができ、濫りにセックスを求め、結婚を求め、子供をつくってもかまわんと思うようになるでしょう。それは、財産は己れの一家の将来の自由を約束すると一般に考えられているからです。金銭によって責任が取れる以上、彼の乱脈な私生活は、他者の自由を甚だしく侵害しないでしょう。
 今、2000万円あれば、1人の嬰児を出産させ成人させることができるといいます。しかし2000万円ポッキリでは、その子供が幸福になるかどうかまでは予断ができません。ではトータルの養育経費として、はたして親は、幾ら用意できる見込みが立てば、わが子を確実に幸せにできると思えるのか?
 これが、分からないのです。
 分からないからこそ、人々は、結婚の前から、より安定した、より高収入が必要だと計算し、結婚後も、〈3人も4人も子供を増やすべきではない〉と自制するのです。
 そうした判断の基準は、すべて、他者の自由を尊重する気持ちに出ているのです。これがじつに、一国の庶民の全般的な風潮なのです。
 なんという美徳を日本国民は、獲得したのでしょうか。全世界の諸国民の中で、道徳的に最も急激に進化を遂げつつあるのは、日本国民ではないでしょうか。
 諸政党の中にまずこの国民道徳を褒めるところが一つもないということは、いまや、すべての政党が例外なく庶民よりも道徳的に劣化したという、まぎれもない証拠です。既成政党はチンカスです。
 断言します。未来社会では、着る物、乗り物、住む家、すべてが「ロボット化」されるでしょう。
 介護も、医療も、単純労働も、農林漁業も、兵役も、ロボットがアシストすることで「人手不足」などは完全に解決されているでしょう。
 これを予見する政党も役所も一つもないのですから、いかさま日本は危機的状況に違いありません。道徳的にはこんなに高いところまで来たのに、国民の安全を守るために必要な人材が、みるかげもなく払底し去っているのです。
 危うい!
 他者の自由を何とも思わない外国人たちも、ロボットを買って軍隊を強化してくるでしょう。それまでに、日本に、ロボット化社会に適応できる有能な人材が育っていないと、日本国は、外国軍のロボットのために支配されてしまうかもしれないでしょう。
 高い道徳を獲得したわたしたち日本国民の未来社会の安全のためには、今の不自由な教育制度では、必要な人材など供給不能です。現今の学制は、現今の役所や政党と同様、袋小路に迷入しました。
 日本の大学に入学するための資格要項から、年齢に関するものなどは一切なくし、それによって「制度としての高校」を中抜きしてしまうことを、わたしはもう何年も前から提案しています。改めて、ここでまた提案しましょう。
 これは、各党が発表する、子育てバラマキ政策などよりも、格段に健全です。なにより、財源が無用です。
 秀でたポテンシャルある中学生は、ミドルティーンにして、大学において能力を全開させられ、ただちに先端的な生産や研究を推進することになります。もちろん、彼は20歳以前にして高給取りにもなるでしょう。
 親がわが子のために負担すべき養育経費は、従来より数百万円も少なくなる可能性があるのです。それは、国が若い夫婦に数百万円をプレゼントするのと同じことでしょう。
 江戸時代の藩校や私塾は、年齢が規定に達していない天才的少年の入校を拒んだりしませんでした。現在の学制は、むしろ江戸時代よりも不自由です。官僚的統制主義に由来するこの戦後学制の不自由さこそが、戦後のわが国を、政治的に三流の人材しか輩出せぬ国に変えてしまったのです。革めましょう。
 制度としての高校をなくしてしまうという〈学制の中抜き〉によって、中学校でも、大学でも、学問の場としての活気は倍増するでしょう。なぜなら、もはや不自由ではなくなるからです。
 今の20歳以下の日本人の人生が如何に不自由なのか、日本人自身が分かっていません。それを指摘できる政党も一つもないという情けなさ……。
 そして、それをブログでならこうして指摘ができるという、有り難さ……。


面子競争、おそるべし

 韓国政府が8-1に早業で、8-11午後5時台の宇宙ロケット打ち上げを決定しました。(中共の軍事新聞をネットで読んでいて気づきました。なんで東京新聞のウェブ版は韓国ネタの速報をせんのかな~)
 この国産衛星(といってもアメリカ製ベースです。ブースターはロシア製)の打ち上げは、7月下旬の発表では、「9月に延期」とされていたものです。
 7-31発売の雑誌『正論』9月号にも書いておきましたように、平壌はいま、北京から、「日本の総選挙が済んで民主党が大勝するまで、派手な活動はするなよ」と指導をされている最中です。韓国はそのチャンスに乗じようとしている。敵の手が縛られていると知り、ここぞとばかりに勢いづいているわけです。
 8-11というタイミングですと、かりに北鮮がどんなにやる気になったとしても、それに先んじて長距離ミサイルを準備して発射することは、もはや物理的に不可能でしょう。たぶん、これは韓国人が、北鮮に対する宣伝戦上の「奇襲完勝」を狙ったものです。
 09-8-3の『東亜日報』によれば、韓国は射程700kmの国産SSMの保有を認めろとアメリカに迫るつもりでもあるらしい。これは11日打ち上げの「二段目」を念頭した発言でしょう。
 700kmだと、半島南部から発射して名古屋までが射程内ですね(上海も打撃可能。東京と北京には届かず)。
 純国産ならばATACMSやトマホークのようにアメリカの「二重キー」もかけられません。
 アメリカは、なんとか韓国軍を宥めようと、中共新聞云うところのF-15「攻撃鷹」(撃は簡体字)を12機、半島に増派しました。
 しかしアメリカも中規模国家のプライドが分かってないですね。韓国は絶対にSSMを持ちますよ。イランも、完全民主化されたとしても、いや、民意が国策に反映されるようになればますます確固たる意志に基づいて、核武装を加速させ、対米攻撃手段であるICBMを持ちますよ。ある程度国民の教育レベルが上がれば、そうなるのは当然なのです(つまりカダフィ大佐などは前例たり得ない)。教育ある国民の態度に関しては戦後のヘタレな日本人だけが現代史の例外的存在なのだということに、アメリカ人は早く気づくべきですね。まあ、気づかぬまま、反米連合との不正規核戦争時代に突入するのでしょう……。やきもきしているイスラエルが、先に単独行動を起こしてしまうでしょう。
 これでいよいよ日本も弾道弾を持つしかないですね。
 ミサイル戦争が怖いというお金持ちの老人は、北海道東部に移住した方が良いでしょう。
 北の親分も死にそうだというし、韓国人は嵩にかかって元気です。
 北の反応を大いに注目したいと思います。


無人化したT-4にAESAと上昇補助ロケットつけて下地島に配備すれば?

 いままで「アメリカから巡航ミサイルを買えば良い」と言っていた人は、このたびのF-22スキャンダルを見てどう思うのか、是非、コメントを聞きたいものだ。
 〔シナや韓国が厭がるので/いろいろと信用ができないので〕日本には高性能の制空戦闘機を売れない――というアメリカが、日本に高性能の戦略ミサイルなんか売るわけが、ますますあるわけもなかろう。
 思うに米国は、スペインが宗主国であったラテンアメリカの経営のため、および、イベリア半島上空の通航権保持のために、マドリードの歓心をつなぎとめておく必要があるから、実質アメリカからの「持ち出し」の支援スキームで、イージス艦と巡航ミサイルとをセットで持たせているけれども、そこに厳重な「二重キー」を施錠していることは言うまでもないだろう。
 モスクワから最も遠いNATO加盟国の巡航ミサイルが「脅威だ」と騒ぐシナや朝鮮のような存在が西半球には皆無だ。ロシアには、それが対テロ用だとの説明がなされていて、ロシアも納得をしているのだろう(納得できなければ、彼らは長射程巡航ミサイルをラ米政権に売るなどして厭がらせをし返すことができる。ロシアはそれをしていない)。
 スペインと比べて日本は、米支紛争が起きたときの米軍機の日本領空通航を拒否する権能が最初から政府に無いという「属国」状態。米国に対してスペインのように有利な取り引きを迫るための材料を、一方的に手離してしまっているのだ。
 一般に、幕僚は司令官に対して即座に実施可能な複数の策案を提示し、司令官(自衛隊全体に対しては防衛大臣および内閣総理大臣)は、そのうちの一案を選ぶことを決心すればよいはずだ。
 ところが空幕と内局は、F-22に代わるセカンド・ベストの選択準備作業を実質何もしていなかった。おそらく「F-22でなければ日本の防空・防衛はできません」と主張したのだろう。選択肢のない選択を、防衛大臣と首相に迫ったのだろう。それは、あらかじめ失敗の責任を、ボスではなく下僚が取るという意思表示ではないか。
 もしも、確かにそのようであったのだとしたら、彼らの断定した理屈で行くならば、もはや近い将来の日本の防衛はなりたたなくなったはずなのであるから、国民に対してそれほど重大な責任を果たせなかった要路の下僚は潔く何人か飛び降り自殺でもすべきなのかもしれない。(もちろん、F-22などなくとも、日本の防空・防衛は、ほどほどに成り立ってしまうのである。シナ空軍など予想できる将来まで「京劇」レベルの虚仮脅しでしかなく、韓国航空産業は欧米メーカーの助け無しには軍用ヘリコプターすら国産ができない。日本側誇張のフィクションに、今回は、米国指導層が、つきあってくれなかった。)
 防衛大臣と内閣総理大臣には、さいしょに空幕と内局が「選択肢」を上げてこないことを咎めなかった時点で瑕疵がある。
 また今回、米国がF-22の提供を拒否したことに「怒り」を表明しないとしたら、瑕疵の上塗りをすることになるだろう。なぜなら、首相みずからF-22の提供を要請し、(またおそらく外務省をしてダニエル・イノウエ氏らに機密費を使った無理筋な工作までさせた上で)蹴られたのだ。
 外交上の演技としてもせめて「バカにするな」と怒ってみせないとしたら、日本は至高の国益である安全保障についての自己判断を、アメリカ政府の言うなりに変更する、もう誰の目から見てもアメリカの属国だという、知られてはまずい真実がますますよく知れ渡ってしまう。
 すなわちシナや韓国から見ると、日本国はアメリカから特に贔屓にされているわけではない、しかも意志薄弱な、間接侵略の良いカモでしかないと思われてしまうことになる。それこそは、日本国民のパブリック・インタレストを長期的に毀損する大失政だろう。
 F-22など無くとも日本国民の福利は少しも低下しなかったが、ここまで来て総理大臣がアメリカに対して怒って見せないことには、日本国民の福利は確実に低下してしまうこととなったのだ。
 怒りを表明する方法は簡単だ。意地でもF-35は買わない、と公言することだ。次期民主党政権なら、これは公言し易いだろう。日本における政権交代のメリットは、こういうところにしかないのだ。(いわば国民が司令官。複数の政党は、そのまま幕僚の上げてくる複数の策案である。)これをしないならば、民主党が選挙で勝っても大して良いことは起きないと予見できる。
 もちろん民主党は今からF-22スキャンダルを徹底追及すべきなのである。選挙戦中のその公開論議を通じて、民主党内のはたして誰が、まともな話のできる人士なのか、浮かび上がりもするだろう。
 いったい、他人頼みの三下チンピラが、古顔のヤクザの前にブランド物の高額なナイフをみせびらかしても、ヤクザの方はちっとも恐れ入るものではない。ヤクザがいつも見ているのは、相手の兇器などではなく、相手の表情の中にある意志力なのである。
 日本政府に、ヤクザとはとことん喧嘩をしてやろうという意志力(最悪事態を数年スパンで数手先まで読んで肚を括ろうとする脳内シミュレーションの蓄積)が無いことが、〈北鮮腐れ利権コネクション〉の与野党共謀温存という実態分析を経てワシントンから見透かされている以上、日本はもはや、韓国以上に信用されることも無くなっているのだ、と知るべし。


歯科医の二俣さんとの面白談論と遇懐

 直線距離的には歩いて10分かからぬであろう、美原5丁目27番にある「二俣歯科医院」を発見できたのは、全く偶然であった。
 この医院は、ふだんはわたしには通る用事の無い狭い道路に面しており、しかもそこに最短時間で向かおうとすれば、中間の住宅街を迷路のようにすり抜けないと、決して辿り着けぬロケーションだったのだ。
 数年前……。函館市内の高丘町から美原に転宅したあと、さいしょに歯医者にかからねばと考えた折のことであった。症状は、フィリング・イズ・アウト……つまり、詰め物の金属がポロリととれてしまったのだ。
 朝方人間であるわたしは、医療機関ならふつう午前の9時前からでも受付くらいは開始しているであろうと、つい首都圏の感覚で予断をして、9時前に家を出、まず目当てであった最寄りのX医院に、9時ちょうどに着いた。
 しかし、なぜかそこの玄関は閉まっているし、人が中に居る気配もない。曜日も時刻も間違ってはいないはずなのに、臨時休診とかの表示もない。
 わたしは門前で10分くらい待ってみたが、夏の好天でもあって馬鹿々々しくなり、すぐ近くのY歯科医院もしくはZ医院をたずねるべく、歩き出したのだ。さいわい、高丘町とちがって美原では、病院や医院ならば、歩き回ればナンボでもある感じだ。(そもそも小児科や薬局が多いことが、引越し先にここを選んだ理由であった。)
 ところが、探索順路がたまたま悪いのか、どうも9時半より前から待合室に入れるようになっている歯科医院には、とんと行き当たらぬ。それで、ついついわたしは、道端の色のくすんだ古看板に誘導されるままに、二俣歯科医院に辿り着いた。これが、幸運というより外にないのである。
 この二俣歯科医院が面している道路は、チセイ堂の2001年版市街地図帳によれば「赤川中央線」とあり、グーグルやヤフーのマップでは「富岡美原道」となっている(たぶん地元民の多くは、いずれの呼称も知るまいと疑われる)。美原三丁目のスーパーマーケット「アドマーニ」および「日本一金物」さん前の、信号のある四辻交差点を、赤川一丁目がある北東の方角、すなわち、新しめのラーメン屋さんを右手に見ながら通り過ぎる方向へ数分間歩いたところに、その医院は現われる。(ちなみにそのラーメン屋さんや、広壮な渡島支庁ビルが建っている街区は、美原の四丁目だ。富岡美原道は、美原五丁目と四丁目の境も成しているようだ。)
 この道路が不思議に、北海道にしては狭い車道。しかも微妙に、まっすぐになっていない。
 美原というのは基本的に「新開地」で、昔は畑か熊笹の原野しかなかった土地柄だとわたしは見ているが、このような道路はきっと、古くから存在する生活街路だったのに違いない。とすれば、そんなところには、古手の先生が開業している可能性があるではないか。
 〈弁護士は若いほどよく、医者は年寄りほどよい〉と、わたしは以前から聞いていて、わたし自身、それを承認する。
 医療行為は、決して〈サイエンス〉化することのないトライ&エラーの連続であり、気力・体力よりも、経験から来る慎重さが、いっそう患者のためになるのであろう。
 わたしの歯の詰め物が、何年かして外れてしまうのだって、歯科治療が決して〈枯れたサイエンス〉などではなく、千差万別な活物相手の〈アート〉であることを、示唆してくれているのだろう。
 さて、「二俣歯科医院」の表の標示をながむるに、診療日が月・水・金・土で、午前は九時半から診療が始まる、と書いてある。待合室に9時30分前に入れるのは(首都圏感覚ではあたりまえだと思うんだが)、有り難い。
 そして、その待合室内の貼り紙を見て判明したことは、ここの先生は、火曜と木曜は、函館市街から20kmくらいも東(つまり亀田半島の太平洋岸)にある田舎町の分院へ行っておられるらしい。
 わたしは想像力を膨らまし、「とすると、ここでは小説の『氷点』にでも出てきそうな、典型的な開拓地風の治療を体験できるのか」と考えた。
 この法外な空想が、まさか半分当たろうとは……!
 治療は、テキパキと、アッという間に済んでしまった。その日の昼飯前に工事完了、だ。(わたしは取れた詰め物を持参していた。)
 最も安価かつスピーディに、患者の悩みを解決してやろうという誠意が、その先生の堅確な腕の先から伝わってきた。
 そして、これはどういうポリシーであるのか、歯科技工士さんとか女子事務員さんが、院内には一人も見当たらない。なんと、一切を、先生がお一人でなさっている。
 最後の、受付での保険の点数計算までも、ご自分で記入しておられるのだ。
 首都圏のみなさん、想像できますかい?
 二俣先生は、無精髭が似合いそうな、そして小泉元総理のように頭髪ゆたかな60代の方であった。(後で知ったが、非常な読書家であった奥様を、亡くされていたのである。)
 その後、歯の不具合が発生する都度、わたしはこの二俣先生の速攻治療スタイルのお世話となり、毎回、十分な満足を覚えてきた。
 そしてつい数日前、短時間であったが、「政談」まで交わす機会に恵まれた。わたしはこれで、二俣先生のキャラクターの一端をいままで以上に了知し、ハッキリ言って、意気投合してしまったことを、ご報告せねばならない。
 ぜんたい、わたしの「ファン」であると呼称する人々の中にも、わたしの指向するところをからっきし理解していない人は、珍しくはないのだ。しかるに二俣先生ときたら、わたしの過去の著述など、ただのひとつも知らない人であるのにもかかわらず、考えていることが、驚くほど近い。
 たとえば、「テレビはもう駄目だが、ラジオにはこれから未来があるだろう」との判断も、そのひとつだ。
 二俣先生のご自身のご論拠はこうである。――老人は、視力の衰えに伴い、テレビから細かな視覚情報を得ることは苦しくなる。彼らが習慣的にテレビをつけているのは、むしろ音声を聴取せんが為だ。ラジオは、このような需要に応ずることができるはずだ――。
 さらに、アイテム数の多すぎる活字の新刊書籍の存在および梗概を市井人が労することなく把握するにも、インターネットのように目で画面を読む紹介ではなくて、耳で聞く紹介の方が便利なはずだ。寝ながらでも、車を運転しながらでも、あるいは書店で立ち読みをしながらでも、それを聞くことはできるから――と。
 なるほど……。わたしはこの話を承り、インターネット・ラジオの技術を駆使した「読書余論」の音声版のような収益事業も、将来は考えて良いのではないかと、ただちに直感したのである。
 保険制度についても二俣先生は卓見を持っておられる。それは、〈何年間も医者にかからなかった人には、政府が金一封を与えよ〉というのだ。
 これも大いに検討すべきことじゃないか。
 より具体的には、小額の現金をペイ・バック感覚で交付するのでも良いだろうし、60歳、70歳、80歳の節目に限定した「勲章」でも良かろう。受診ゼロというのではなく、同年代の平均的回数よりもずっと少なかった人について、何か、比例式に褒賞するという方式も、考えられるのではあるまいか。
 〈新商品のチョコレートは、必ず買ってきて自分で試食をする。それも、ウィスキーを飲みつつ〉と仰る先生は、ご自分の歳でいまさらインターネットを始める気にはどうもなれないのだと仰っていた。(ちなみにわたしは菓子パンを頬張りながら麦焼酎の水道水割りを飲むのがいちばん正しいと思っている。)
 世に聞かれる価値のあるお考えをお持ちであるプロフェッショナルな人々が、インターネット環境にアクセスせず、その高見を埋もれさせているのは、日本の為にはならないことだ。(たぶんグーグル社の全くあたらしいOSが、諸事敷居の高すぎるウィンドウズを世界から駆逐し去ったとき、この二俣先生のような方も家電感覚でインターネットとつながるのだろう、と期待をかけよう。)
 とりあえずわたしとしては今、このような宣伝的な書き込みを私的なブログ上に是非残しておかねばならぬと決心をさせられた次第である。
 二俣先生のような人士が、きっと全国に、もっともっとたくさん居られる。
 そうした人達のあたりまえの感覚を糾合できる簡単な方法は、未だ、発見されていない。


◎「読書余論」の09-8-25配信分の内容予告

▼ハンナ・ライチェ『大空に生きる』S57朝日ソノラマ文庫版、原 Hanna Reitsch、“FLIEGEN MEIN LEBEN”(独語版1951年、初英訳1954年、初邦訳1975年)
 特攻グライダー桜花は、ライチェの1944案の有人V-1に基づいているとしか思えない。それどころか、特攻作戦そのものが、ライチェ起源ではないか。どうして本書がもっと注目されなかったのか? ライチェの記憶がしっかりしているうちに、なぜ日本人が本書の事実の日付に関する詳細な確認をしておかなかったのか、じつに惜しまれる。タイムテーブル的におそらく大西瀧治郎は、2隻の遣独潜水艦から齎されたベルリンでの「SO(自己犠牲攻撃)」議論を聞き知っていた。本書は絶版である。だからこの「読書余論」で、エッセンスを知れ!
▼防研史料『航空関係諸報告綴』
 敗戦時の爆弾調査。
▼防研史料 海軍航本・総務部長『S14年度 部外航空関係』
 テヘラン親善飛行その他。
▼防研史料 『昭和十八年 海軍航空本部関係綴』by 海航本
▼防研史料 横須賀海軍航空隊ed.『蘇国極東方面航空関係事情』S11-8
 おそるべき徹底的な調査。やる気だったんだねえ、海軍も。
▼防研史料『海軍航空本部技術会議 第一分科会 報告書』
 和田機関少佐、和田操大佐など勢ぞろいで「零戦」と「一式陸攻」の要求を討議している超面白資料。
 大西瀧治郎大佐と、機関大佐の櫻井忠武(櫻井忠温の弟)との、陸攻燃料タンク防弾問答はここに出ている。どうみても一式陸攻は、S12時点では葉巻型としては考えられていなかった。ではいったい誰がいつ何を参考に、あの葉巻型への大転換を決めたんだ? そしてそのとき、どうして大西の主張したような防火措置が講じられなかったんだ? とにかくこれを読めば、大西がすぐれた人だったと分かりますよ。
▼防研史料『海軍航空本部技術会議第一分科会 報告書』S12-3-25開催
▼防研史料『参考諸表』航本総務部長
▼防研史料『空威研究會報告』S13-3
 Air Power もしくは Air Force を大西ら海軍航本が直訳して「空中兵力威力」とした。
▼『空威研究会報告』S13-3-25
 この時点で和田操は少将・航本技術部長。大西は大佐・航本教育部長。
▼『空威研究会報告 別冊第一巻』
 不思議なのは、対地爆撃の相手国としてソ連しか想定してないこと。海軍なのに……。
▼防研史料 『空威研究會報告 別冊第三巻』
▼防研史料 『技術提携(駐独海軍武官)関係』S15-4-30~15-12-18 海軍航本
 いかに日本海軍がヒトラーべったりだったか、余すところなく立証してくれる史料。
▼防研史料 大西瀧治郎『航空軍備ニ関スル研究』海航本S12-7
 角田求士のメモが親切だ。
▼防研史料 『S19~20年 航空軍備』S20-2-16 海航本総務部
 烈風を放棄したかわりに紫電改を艦上機にコンバートしようとし、高高度局戦は雷電改にやらせようだとか、もう最後のあがき。
▼防研史料 『航空関係 資料綴 補給』S17-9-21航本決裁
▼防研史料 『支那事変関係 航空軍備 資料』S11-9~14-3
 支那事変初期の渡洋爆撃の使用爆弾数などが載っている一級史料。
▼Marjorie Kinnan Rawlings著、大久保康雄tr.『仔鹿物語』角川文庫 上下巻S29、原1938
 これは子供の絵本にもなってる話だが、日本のアニメ絵の絵本だと、イミフもいいところだ。なんと原作は、《アメリカ南部の狩猟全書》だったのである! ハンターおよびアウトドアズマンなら、情報要素を吸収しておいて損はしません。ちなみに原著は『バンビ』の後に出ている。原著者が『ウスリー探検記』(映画デルス・ウザーラの元種)の影響を受けている可能性もある。
▼『甲斐叢書 九巻』第一書房S49
 今川軍が負けた理由。
▼末國正雄・秦郁彦監修『連合艦隊海空戦闘詳報』1996-2
 戦訓部分の情報要素をピックアップしよう。
▼太平洋戦争研究会『20ポイントで理解する 日中戦争がよくわかる本』2006-10、PHP文庫書き下ろし
 文庫サイズの中に、ソース付き情報てんこもり。著者は出自が左翼系と思われるのだが、卒なくPHPに合わせている。労作。初学者なら、買って損はない。
▼岩永省三『歴史発掘 7 金属器発掘』1997
▼林巳奈夫『漢代の文物』1996(原1976?)
 漢代の刀とは、包丁のこと。
▼千葉徳爾『日本人はなぜ切腹するのか』1994
 切腹は古代の南シナの風習だった。
▼『犯罪学雑誌』S52-12月号所収・稲村博「古典における自殺の比較研究」
▼ロバート・シャーウッド『ルーズヴェルトとホプキンズ』I、II、村上光彦tr.みすず書房S32、原1948
 スチムソンは、満州事変の日本に対して、はじめて集団的抵抗を提唱した。 スターリンは、装甲車がジープよりも役立たずだと判断していた。
▼『九州歴史資料館 研究論集 17』1992所収・橋口達也「弥生時代の戦い――武器の折損・研ぎ直し」
▼國學院大學ed.『古典の新研究 第三集』S32所収・鈴木敬三「木弓と伏竹[ふせだけ]の弓」
 直線状の弓は引き絞ると折れる。それゆえ長弓化。
▼『日本史研究 416』1997-4所収・近藤好和「武器からみた中世武士論」
▼廣瀬一實『銃床製作の控』H3
 文献皆無な国友の火縄銃の銃床づくりを再現した。
▼高橋【石眞】一ed.『高野長英全集 第五巻』S55
▼酒巻和男『捕虜第一號』新潮社S24-12(二刷)
 これは売れなかった名著である。敗北を自己分析しようと思ったとき、そこに言語よりも正確なリアリズムがあった。敗戦文学こそ、日本の自然主義の、決してピークには達しない、果てしなく続く稜線だと思える。
 関係者の名誉問題(発狂した元『飛龍』の機関中佐とか、階級詐称野郎を帰還船から海中へ放り込んで殺したらしいとか)がおそらくあるのと、戦後に兵学校卒の経歴と英会話力を買われて三河のT自動車会社に雇われた著者が存命のためか、本書は文庫版にもなっていない。だから古本も高い。図書館で読むか、この「読書余論」でエッセンスを吸い取るしかない。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net
 の「告知板」をスクロールすれば、確認ができます。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
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自民党が間接侵略に無力な証拠

 「マニフェスト」とは共産党の用語である。
 1848のマル&エンによる「共産党宣言」が、原版の独語で“Das Manifest der Kommunistischen Partei”と称した。(ウィキペディア参照)
 おそらく ’70年代以前の「赤い大学生」ならば、誰でも知っていた歴史であるはずだ。
 しかし今の自民党には、政治用語の選択に気をつけられる人士も、絶えてしまっているのかもしれない。
 ヒトラーがナチス党の旗地にわざと赤色を使って共産主義者を挑発したのは《戦略》であった。
 しかし自民党が民主党と同じ土俵にのぼって、「これがマニフェストでござい」などと一緒になっておめいているのは、どう見ても、マスコミと結託した敵の《戦略》にしてやられているだけである。
 彼らに任せておいたのでは「間接侵略対処」などできるわけがないと、あらためて確認できるばかりだ。
 「中韓を知りすぎた男」さんのブログにも指摘されているけれども、民主党が戦術としてマニフェストから削除している数々の反日立法の目論見に、今から猛然と噛み付いておかないで、下野後にどうするのだ。
 ここを鋭く糾弾して筋の通った見識を早々と強調しつつ選挙期間を戦い抜けば、下野後の明るい未来が掴めるのだ。自民党と民主党のなかから、まともな同志だけ飛び出して、「第二自民党」を創らないかぎり、あの村山談話は葬り去れない。くだらない「マニフェスト」など競作している場合ではないだろう。
 田村代議士のブログに、民主党がこだわっている法案について解説がされていた。その一つ、鳩山由紀夫氏が推進役となっている国会図書館法改正案――別名「戦争責任追及法案」――。
 国立国会図書館内に、先の大戦及びこれに先立つ一定時期の惨禍の実態を調査するための恒久平和調査局を新設。
 旧陸海軍の責任追及のために、恒久的に毎年2億5千万円の予算をつけ、そのために必要な国会図書館職員の定員を増やしてやるという。
 絵に画いたような売国法案だ。
 〈真理は我等を自由にする〉とギリシャ語で掲示されている国会図書館に、売国バイアスのかかった反日左翼職員を送り込んで、国民の税金を使って、過去の実態の隠蔽活動をさせようというのだ。狂っている。
 「読書余論」の最初からの読者なら、分かっているだろう。戦前から昭和30年代にかけての古い公刊資料は、シナ人や朝鮮人の実態を能く明かしてくれる。そうした古い資料に、日本じゅうの誰でもが、いつでも簡単にアクセスできるようになれば、それだけで、左翼反日勢力による歴史捏造は不可能になるのだ。
 まさに〈真理が我らを自由にする〉のである。ギリシャ人、我をあざむかず!
 だから国会図書館について自民党がやらねばならぬことは、げんざい明治期の蔵書について進められている、蔵書資料の画像デジタル化(見開きページ全体を撮影してファイル化し、利用者はそのデータにインターネットでアクセスして、随意のページをめくって閲読することができるようにする)の作業を加速せしめて、早急に、昭和20年までのオンライン・アクセス可能環境を完成してしまうことだったのだ。これには雑誌も含めるべきであることは言うまでもない。
 いまからでも遅くないから、自民党は「マニフェスト」にこの一項をつけ加えよ。
 他にも、民主党が「マニフェスト」から省いている反日法案と闘うカウンター事業案を、自民党はいちいち公表せよ。
 国民の目は節穴ではなく、この政策立案力(すなわち間接侵略対処能力)のある議員は誰と誰であるのか、正当に評価されるであろう。
 以下は、余談です。
 米国がインドに最新鋭の対潜哨戒機を売ることを早々と決めていたということの意味をずっと考えているんですが、これは米国政府がインド政府に、「インドのSSBNに対する、核戦争時の空中指揮機(ルッキンググラスの前駆版)を提供しますよ」というオファーを、内意しているのではないでしょうか。
 もちろん哨戒機「ポセイドン」のキャパシティでは、乗員20名のルッキンググラス(ボーイング707改造)にはなりませんけども、その縮小版になら、なるでしょう。
 〈当面、こいつで慣れておいてくれ。数年後には、もっと大きな特注品を売ってあげよう〉と、アメリカはインドにもちかけているのではないでしょうか?
 英仏政府は日本政府とは違って秘密管理がしっかりしているので、外に事情が洩れたりはしないでしょうが、たとえばフランスのSSBNの運用についても、じつは米国が、かなり助言をしているのではないかと思います。それが、「核クラブ」の実態でしょう。
 米国は、偶発核戦争の可能性をできるだけ減らす責任を負っており、印支の核バランスについても、面倒を見る気なのでしょう。シナを軍事大国にさせる気は、米国にはさらさらないでしょう。
 ところで、『月刊日本』8月号に、菅沼光弘さんの新著紹介があり、その中にこんなことが書かれています。
 〈米国はNATOとの間で、有事の際の核兵器の運用や手順について具体的な情報を共有している。しかし日本は運用について協議できない。また米側には日本の機密漏洩への懸念も強い。〉
 また、読売新聞の09-7-8記事も引用されています。いわく。――オバマ政権が、2009-12に「核戦力体制見直し(NPR)」をする。日本はそれまでに、有事の日米共同作戦計画に核兵器使用がどう組み込まれるか、運用について説明を受け、日本側の要望を伝える。NPRは非公開。協議内容も非公開――。
 わたしは『2011年 日中開戦!!!』というマンガで、シナとの間に核戦争になった場合、日本政府は海上に疎開することとしました。あの、全通甲板を有する空母モドキの護衛艦ですね。(原作当時はまだ『おおすみ』だけでしたけど。)ああいうところの中層甲板に戦争内閣を置く。
 そして小笠原近海を走り回って、対艦弾道弾(もちろんシナのは核弾頭付きです)から逃げ回ればよい、と。
 日本列島の飛行場事情から、「ルッキンググラス」は非実用的で、将来的には大型ジェット飛行艇がよかろうけれども、とりあえずは太平洋上のフネ利用だな、と判断したわけです。
 どうやら、現実がそれに追いついてきたように思っております。
 シナ軍は、「洋上日本政府」を脅すためにも、ますます対艦弾道弾(水爆弾頭付き)を整備しなくちゃなりますまい。それに対抗するため、日本も「対艦/対潜弾道弾」を持っておくのは、まあ、あたりまえの備えです。
 さらに余談。
 「この戦闘機はなぁ、アメリカ様から貰ったものなんだぞぉ! どうだ、羨ましかろうが!」「おまえのロシア製兵器より、こっちのアメリカ製兵器の方が上だぞ!」「こっちのうしろにはねえ、アメリカ様がついているんだい!」「ねぇアメリカ様、あいつをやっつけちゃってくださいましな!」
 ……こういうのを、「三下根性」、もしくは「妾根性」、もしくは「女中根性」と呼びまして、昔の日本人ならば、心中軽蔑したものです。(女中というのは、御殿女中のこと。「お女中」です。高級町人が、数千石の武家屋敷に頼み込んで、娘に1~2年くらいの行儀見習い奉公をさせる習慣があったのです。)
 昔の日本人なら、〈アメリカ様に北朝鮮をやっつけてもらおう。そのためには、旦那の機嫌をとるために、日本は、インド洋とアフガニスタンで、犬馬の労も取ろう〉なんて言わなかったでしょう。
 そうではなく、「総理、われわれはいつでも北鮮へ出撃し、日本人を奪回する準備ができております! ご命令を!」と、自衛隊はどうして言えないのか? また、政府も自民党も、どうして自衛隊に、そうさせようとしないのか?
 F-22をくれとアメリカに請求する前に、あるいはインド洋でどうするとか議論する前に、この国内的主張があって然るべきだろう。
 それが分からない自民党なら、下野してもらったって良いですよ。
 わたしがこれまで『武道通信』にかかわって来て、「学校では近代柔道ではなく歴史的柔術を教えろ。それも、最も危ない技からな」と主張したいと思っておりますのは、チビで非力な日本人は、江戸時代の柔術の殺伐とした技の数々を知ることによって、過去の歴史のリアリズムに目覚め、国際政治上の妾根性、三下根性からも脱することができると信ずるからです。現代の日本の若者は、素手でも人は殺せるんだという実感をもつチャンスがないから、みかけの格好良さそうな道具に頼ろうと考えるのではないでしょうか。根性なしはナイフを持っても尊敬されることはなく、専守防衛のヘタレ政府がF-22を持っても世界平和の役に立ちません。