歴史の進め方

 前々回の参院選で、いまはない徳田さんの自由連合が、個人としてはおそろしく潤沢な資金を突っ込んで、一挙に多数のタレント/無名候補を擁立して大バクチに打って出たものだ。(今にして思えば、徳田氏は自分の健康について予感があったかもしれない。)
 このときの選挙では、一水会が徳田氏に賭けて、文字通り粉骨の応援に出た。比較しては双方に悪いかもしれぬけれども、今回の選挙で瀬戸氏のよびかけた「新風連」が、維新政党・新風の応援を買って出たコラボの先蹤だ。
 プロレス系では、佐山聡氏(落選)の他に、前田日明氏にも徳田氏から誘いが行った。が、前田氏(被選挙権は既に有り)は固辞したので、懇意の週プロ元編集長の杉山さんが面白ずくの代打で立候補することになったのである。とうぜん、『武道通信』の仲間であるわたしは、政権放送原稿書き、マイクを握っての首都圏駅頭演説、桃太郎までをも含む、さまざまな応援をした。(ちなみにわたしが武通にかかわるようになったのも、一水会に呼ばれて講演したのが縁である。)
 開票の結果は1600票台ではなかったかと記憶する。
 杉山さんには申し訳ないが、「頴男」なんていう、週プロ/格通の平均的読者だって読めもしないし、もちろん書けもしないと思われる名前表記を、意固地にひらがなにすることを拒否し通した、わからず屋の真正泡沫候補者が、当時は今ほども注目されていなかった「武士道」だけを訴えて、全国の1600人以上の、たぶんは会ったこともない有権者に、おそらくは一度も聞いたことがない自分の名前を書かせたという事実が、たいへん印象的で、忘れられぬ。
 この前々回の参院選につきあってみて、わたしが学べたこと、考えを深めることができたことは、甚だ多い。それは、いまだに整理し切れぬほどである。
 まず、強力な集票マシーンたる特殊な組織にいっさい所属していない無名候補は、地上波のテレビ映像を味方につけない限り、万単位で票をあつめることは、できるわけがないのだと実感できた。(当時すでにインターネットはあったが、反朝鮮を露骨に打ち出さない右翼系に関してはインターネット宣伝の手応えはゼロであった。)
 したがって、「電波利権」構造のために東京のキーTV局数がごく限られている日本では、テレビが、国政選挙や地方選挙を簡単に左右できる。
 そのテレビを利用できるかどうかが、泡沫タレント候補の当落の分かれ目になるが、当選するタレントと落選するタレントの違いは、やはり「語力」である。
 ここぞという場面で、ちゃんとした日本語の演説ができない人は、テレビにもとりあげてもらえないのだ。やはり、面白くないのだ。
 思想がどうこうの前に、語る言葉に安定感があるかどうか、である。現に国会議員になっている「タレント議員」には、平均的日本人以上の日本語力が、やはり、ある。タレント議員/知事等を馬鹿にしている人こそ世間知らずである。タレント議員は、自分の語っている言葉が、視聴者にどのような感覚を発生させているか、語りながらモニターし、フィードバックできているのだ。確かにタレント=才能だ。テレビも、有権者も、そこでまず安心ができるのだ。
 次に、選挙カーに同乗して駅前から駅前と飛び回れば、誰にもじきに分かってくることは、わけのわからぬイヤガラセを仕掛けてくるのがたいてい、公明党か共産党、そのどちらかの組織構成員だということだ。これが、当該2党をのぞく、自民党以下のすべての議員および選挙スタッフの体験的心象だろう。
 であるから、苟くもじっさいに自分で選挙を戦って議会に席を得た者であるならば、この2党とのコラボなど、まったく考えられもしないのである。理屈の上ではあり得ても、感情の上で、そんなことは不可能なのだ。(共産党はワサビになる、などと好感している甘チャンは、選挙活動を自分でやったことのない万年アウトサイダーだけに違いない。)その心情は、政治的には、理性にも近いのだ。思想統制集団の非国体的・非日本的なおそろしさの一端に、体感が警告しているのである。
 ところがその不可能なはずのコラボを、小沢氏は始めてしまった。
 禁断の侵襲が加えられ、公明党の増殖が励起され、ついに異物は自民党に転移し、自民党を変異させようとしている。今回の参院選での自民党の低調の原因には、公明党という異物に全身を冒された自民党の活力低下もあるのだろう。早く切除して自力回復を計る良い潮だろう。公明党といっしょに改正する憲法なんて、誰が歓迎するものか。いいかげんにしてもらおう。
 維新政党・新風は、前々回の乱立選挙の前から参院選に参戦しており、今回の参議院選挙がチャレンジ4回目。全国に地方組織ができているから、次回の参院選の前に消えてしまうようなこともなかろう。
 新風は、過去3回は、テレビ局にもテレビ視聴者にもまったく無視された。(わたしも最初の2回は、聞いた覚えすらない。)政見放送は誰の印象にも残らず、注目区で候補者が他候補と対等の扱いを受けたこともないだろう。が、今回は、テレビ局には「無視」という逆の形で注目された。破られたポスターは、一番多いだろう。
 これは、瀬戸氏のキャラクターおよび、瀬戸氏が勝手連として呼びかけたインターネット活動の「新風連」のおかげである。「新風連」にとっては、今回が最初の参院選だったことに注目すべきである。新風の若手党員が、新風連と提携し、それが、魚谷氏ら幹部を動かしたものと思う。
 以下は兵頭の邪推だが、過去3回の新風(の謎のスポンサー氏たち)のスタンスは、次のようなものだったに違いない。
 ――議席なんかどうでもいい。票なんか増えなくてもいいんだ。三年に一度、全国放送のNHK-TVでオレたちの熱い思いを込めた政見放送の原稿を読み上げることができさえすれば、それが無上の価値である。そのために、三年に一度、比例区のある参院選に必要な一億円くらいはつくろうじゃないか――。
 おそらく、このように考える者が資金を担っていればこそ、新風のビラやポスターや宣伝カーのテープは、どうしようもない出来栄えのまま恒久不変なのであり、新風の綱領はアナクロのままで良いのである。外野の兵頭の提案など聞かれないのである。カネを出す者が、広宣する。それで文句はないはずだ。
 国会に議席を有していない新風は、衆議院選挙では、全国向けの政見放送をNHK-TVでする政党の権利が与えられないから、衆院選挙はスルー。また、参院選に使うくらいの資金を地方議会選挙に固めて投入すれば、1議席はとれるだろうが、それではやはり全国向けの熱い思いの宣伝ができないから、やはりスルー。
 つまり、過去3回は、議席を取ろうなんて気がなかった。議席を得ての「政治」ではなく、「政治運動」こそが最終目的だったのだ。
 ところが瀬戸氏の「語力」が絶妙にネット右翼にアピールし、ひょっとすると比例で1議席行けるんじゃないかという気運が若い党員にみなぎった。それが新風の幹部も動かして、今回、はじめて、本当に議席を取りにいく気で、参院選が戦われた。
 よくぞ「アノニマスのスポンサー」氏たちが同意したものだと思う。なにしろ、数千万円を賭けたNHKの政見放送で、瀬戸氏に半分しゃべらせようというんだから。
 だが、この路線変更はあまりに倉卒であった。新風連を組み込んだ選挙戦の準備時間がとれず、必要な票数には到達しなかった。たぶん、瀬戸氏とタッグを組んで3年準備していれば、結果はまったく違い、楽に1議席を決めることができたかもしれない。
 いかに党の方針転換が倉卒で素人臭かったか。わたしは瀬戸氏とは一面識もないので、もし以下のわたしの認識ならびに推定が間違っていたら、ただちに訂正しなければならぬが、魚谷氏以下の党の幹部は、瀬戸氏にすすめられて、例のT女史を新風から立候補させる気だったらしい。
 T女史は、それにいったん同意をした後、当初は納得していたはずの、維新政党・新風の党名や主張を変えてくれとか、いろいろな難題を要求してきたらしい。と同時に、この噂を聴きつけた、旧軍人系の支持者が、東條氏と松井大将系の旧軍将校との悶着のある事実も、魚谷党首に注進した。(わたしは同党のインサイダーではなく、T女史をかつぐという話は、決裂後に知らされた。)
 伊豆半島にある「興亜観音」は、松井石根未亡人らが出資した基本財産の金利で運営されている。松井未亡人が数百万を寄付し、別な方が数百万を寄付し、トータルで1200万円くらいだろうか。平成6年に「興亜観音を守る会」になっている。A級死刑7人のうち、他の6人の遺族は関係をもっていなかったのだが、そこに岩波女史があらわれ、山の中に福祉施設をつくるので出資がどうのという話になり……。
 まあ、詳しい事情は「興亜観音を守る会」に尋ねたら、裁判のことも含めてすべて説明してくれるのだが、T女史はわたしの僻目では、「東條英機」で世渡りをなさっている御方のように印象せられる。
 このT女史かつぎ出し案がポシャッたので、急遽、瀬戸氏みずからが出馬と決まったのである。なんという慌しさ。もちろんわたしは、新風が候補を立てるなら、勝てるのは瀬戸氏だけだと確信し、このニュースを歓迎した。
 議席を取りにいく選挙とするならば、次の点がただちに変更されるべきであった。
1.政見放送は100回くらいリハーサルすること。(かの有名な外山候補は、おびただしくカメリハを重ねてから収録に臨んだらしいぞ。)
2.ポスターは、特にキャラ立ちしている一部の候補を除いては、顔写真は使わせず、文字だけか、顔イラストにさしかえること。徹底してバーチャルイメージで勝負させるため。
3.比例区のポスターは、運動員の数からして、貼れる枚数はたかが知れているのだから、許されるいちばん大きなサイズとし、且つ、政策を文字でビッシリ表示しておくこと。
4.街宣テープは兵頭案を採用すること。(いや、もっとすごい原稿があれば、そちらでも良いのですよ。)
5・ビラのデザインや内容も一新すること。
 ……しかし、準備時間がまったく取れないために、けっきょく、議席を狙わない前回の宣伝選挙の諸道具のまま、告示を迎えてしまった。
 それでも、これまでの政治運動団体が、議席を取りに行く政党に、一瞬にして脱皮できたことは、愉快ではないか。
 その脱皮をさせたのは、瀬戸氏と、新風連と、維新政党・新風の若い党員たちの働きである。
 安倍氏はもうダメだろう。安倍氏の顔では、こんごのどんな選挙も戦えまい。自民党に「隠し玉」の後継人材がないのだとすれば、これから国政は大いに混乱するだろう。
 思想統制組織が、きょうびは、流行らないことも確認できたと思う。テレビによる国民衆愚化にもかかわらず、近代的自我は、まだ朽ちてはいないのだ。自由ばんざい。


そらだま注意報!

 支持部に箸立てを利用する場合。基部と筒部をつなぐ螺子の部分の緊度が弱いものは、強風で筒部から上が飛ばされます。接着剤で、螺子部分をスポット接着することで、この事故は防止できるでしょう。
 白票や無効票は、無意味なのか?
 いいえ。大いに意味があります。
 特に地方区における白票は、「好める候補者はないが、投票日にわざわざ投票場に出向いて自分の一票を投ずるだけの元気なモチベーションとフットワークを保持している有権者が、ここに一人いたぞ」という事実の、強烈なPRになるでしょう。
 その票数は、動かしがたい記録として残されて、選挙後の各党の国会での行動を、微妙に変更させる力を持ち続けます。
 なぜなら彼/彼女は、怒っているのか、不満であるかのどちらかに違いないからです。
 次の衆院選でその怒りの蒸気圧を解放する政党/候補者があらわれれば、その政治的エネルギーはまったくあなどれない――と考えられるからです。
 申すまでもなく、白票をわざわざ投じた有権者が、「組織票頼み」として世に知られている複数の古い政治団体の忠実な構成員などではないことは、特殊な選挙区でなかった場合、自明ですよね。つまり、組織票を頼まない or 頼めない諸政党としては、その数字を見て、「もっかの路線では、これだけの白票投票者の歓心を得られなかった」との反省が生まれなければなりません。
 逆に、組織票頼みの古い政治団体としましても、「この白票が次の衆議院選挙でライバル党の方に吸い上げられたら、どういうことになるのか」と気を回すはずです。
 ですから、あまり非常識な法律が、選挙後についたはずみでいきおいよく次々成立……というような流れになることは、防ぐことができるのです。
 かりにもし、「無効票にするのは損な気がするから、気乗りはしないのだが、どこかへ一票をいれておくか」という行動をすべての有権者がとり、白票がゼロだったとしましょう。選挙後の各政党は、次の国政選挙までの間、何を考えるでしょうか?
 党の既成路線について、自省をしてみるでしょうか? 日本国内の怒りと不満の蒸気圧の潜在について、なにか想像をするでしょうか? まったく新しい政策を創始しなくてはならないと覚らされ、工夫を凝らしてみるでしょうか? 
 また、「この白票の怒りと不満を代表できるのは、自分しかいない」と、未来の救国の大政治家をして、次の国政選挙にはじめて立候補しようという決心をさせることが、できるでしょうか。
 ヒキコモリの皆さん。今日は、テレビやモニターの前にいちにちじゅう座っていてはいてはいけません。
 選管から届いたハガキを失くしてしまった場合でも、最寄りの投票場に足を運びさえすれば、その場で有権者名簿と照合してくれ、投票ができる場合もあります。


ご連絡【善はいそげ】

 「ネットゲリラは潜水艦である」さま。
 『日本エロ本史』の企画書をいちど見たいものだと、荒木町の株式会社サン出版の出版部編集局長の安西さんが、おっしゃっていました。
 右、伝言します。
 以下、兵頭の感触ですが、サン出版の上層部では、其の方向の企画は、あまり好んでは居らぬ模様でした。
 まあ、あたってくだけろ、ということで……。
 不屈のご健闘を祈り上げます。
 (ご承知と存じますが、「サンマガジンビルII」の3階です。)


政策としての核武装

 ※以前に某機関紙に掲載された文章を、一部カットして中立化し、また一部を伏字として週末のパズル等としてお楽しみを戴き度く、ここに再掲する。なお、真の知的娯楽と分析を欲する方は「読書余論」の方でどうぞ。また「放送形式」の意味は、「放送形式」第一回に書いてあります。
――――(以下、記事抜粋)――――
 わが国の××として、日本国の核武装を主張しようとする場合には、その×なりに、世界に対する日本国としての「自己説明」を用意し、天下に明らかにする必要が当然にある。
 北朝鮮の「10・9」核実験は、GDPの小ささに比例して世界経済とのリンクも少ない専制小国が、核武装するのにもう何の口実さえも必要でないという時代を到来させた。これは不可逆的な変化だと思われる。
 しかし、世界に対する責任がGDPに比例して大である経済大国は、小国や後進国や反自由主義政府の真似をして、何の「自己説明」も無しに核武装するわけには行かぬ。日本国民が自由で公平な世界を理想と考えること、そして、その理想のための秩序の実現のために核武装が必要である旨を、堂々と説明できなくてはならぬ。
 核拡散防止条約の第10条には、「各締約国は、……異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する」とあり、その通知において「異常な事態」について記載せねばならないと謳ってある。
 世界最貧国のひとつに分類されながら1980年代からテロ国家と公認されている北朝鮮の核武装は、もう十分に近隣に位置する日本国民の生命の安全にとっての異常事態だから、書式・手続きの上では話は簡単である。
 日本の原発のほとんどは「軽水炉」である。これは70年代に核拡散をおそれたアメリカが世界に普及させた型式で、炉内で天然ウランが変化してできるプルトニウム239を簡単には取り出せないように設計されている。取り出すには原発の運転を止めて炉全体をバラさなければならず、それは人工衛星から確認ができるのだ。プルトニウムは、炉からの取り出しが遅いと、同位体のプルトニウム240が増えてしまい、それを核爆弾にするのは至難である。日本にあるおびただしいプルトニウムのほとんどは、この品質の不純なプルトニウムなのだ。
 しかし「×××」や「××××」や「××」といった高速増殖炉・新型転換炉は、原子炉運転中にもプルトニウム239を取り出すことができる。そこで生産された核爆弾向きのプルトニウムのストックは、日本にはすでに原爆×××発分もある。
 核武装の最大のネックである原料問題は、だから、日本にはない。爆縮式起爆装置は、パキスタンや北朝鮮のような精密機械技術の下地のない国でも完成できた。
 実爆実験は無人島の地下で行なわれる。
 日本が核拡散防止条約を抜けると燃料ウランが買えなくなって原発が止まる――と騒いでいる「×××」がいるが、本末を顛倒した悪質なシナ寄りプロパガンダだろう。同条約からの離脱は、当然にアメリカの黙認が前提である。ウラン購入に支障が生ずることが×××にあっても、原発はそのまま最低×年間は運転でき、ウラン燃料にプルトニウム燃料を混ぜることで、その期間は数倍に増やせる。×年後には名目的「××」も有名無実となる。イスラエル、インド、パキスタンが現在、原子力発電用または研究実験用の燃料ウランの取得に特に困難を感じていないように、米国は日本のウラン取得を妨害しない。アメリカの国債を買い続けている日本の経済活力と日米関係の不可逆的な破壊を望むのはシナだけである。
 マッカーサー偽憲法の支配が続く限り、日本の国会の×××党は決して「戦って自由を守る」政策を打ち出すことはできない。
 米国政府から一目おかれるぐらいに「科学的・軍事合理的」に核武装を語ることだ。
 非科学的国防論は、高い意識を有する有権者の足を、投票場に向かわせる気持ちをそぐ。米国の政治エリート層からの注目も獲得できない。
 兵器解説で知られる××××氏は、地下核実験は活断層を刺激し地震を誘発するから日本では不可能だとNHKや文藝春秋で語っている。2005年にパキスタンとインドの国境で起きた地震を、東京/中日新聞が1998年の両国の地下核実験と強引に関連づけて報道した不可解な記事が論拠ではないかと疑われるのだが、地震学者で承認をする者はまずいない。
 米国政界地図に詳しい×××氏は、日本は潜水艦から発射する巡航ミサイルで核武装すればシナに対する核抑止が完成できる、と繰り返し主張している。××大学教授の××××氏は、日本が××から運用できる長射程の×××××××などを保有すれば、それは米国を攻撃できる可能性がある以上、米国は日本を敵視することとなり、日本の国益は損なわれると反対のようだ。
 こういった「自主規制」が、米国の政治エリート層から尊敬を受けることはない。もし戦略級ミサイルに搭載できるほどに洗練された核弾頭を日本が製造できるのならば、民航機などにそれを匿して遠隔操作で爆発させることは造作もない。これほど人や貨物の交流が日々おびただしい日米二国の間では、どちらかがその気になれば「大量破壊兵器の奇襲」は止められないのである。世界第一と第二の経済スケールを維持する日米両国は、どちらもそのようなテロ政策を考えもせぬという信頼関係の上にある。××氏や××氏は、その信頼関係が将来なくなるかもしれないという事態を想像しているわけで、それこそアメリカ人を不穏な気持ちにさせるだろう。
 NPT幹事国である米国は、核運搬手段である射程1000~3000キロメートル級の巡航ミサイルの技術を、非核国の日本に公然と渡すことは、国際信義上できない。日本のメーカーには、射程3000キロメートルを超えるような巡航ミサイルを開発できる技倆がない。
 北京と日本海との間には朝鮮半島が横たわる。韓国はその領空に入った日本の巡航ミサイルを撃墜するだろうから、わが軍による発射地域はごく限定されてしまい、対策は簡単にとられる。しかも射程3000キロメートルぐらいでは、シナの奥地はすべて核損害の聖域になってしまう。僻地の根拠地に移動するのが得意な中共政権にあらかじめ聖域を保証して成り立つ核抑止などあり得るだろうか。既核武装国の政治家や軍人が聞けば、×××の抑止論でしかない。これでは尊敬はされない。
 日本は、射程6000キロメートルの弾道ミサイルに水爆を搭載し、それを××地方の山岳地帯にトンネル式に配備することで、シナに対する核抑止手段とするのが合理的である。
 日本列島は山がちであり、平坦な可住地に、人口が集まっている。もし敵国から日本の都市に対する核攻撃を受ける場合には、大きな損害を予期しなくてはならぬ。損害を被るのは日本国民であって、アメリカ国民ではない。
 だからこそ、日本に対するシナからの「核の脅迫」は、人口密度の低いスウェーデンや、全国土が長崎市を上まわる山岳地形であるスイスに対するロシアの核の脅迫に比べ、何倍も効くわけだ。
 もし日本人が、核兵器の破壊殺傷力を後ろ盾としたシナ軍人やシナ政治家の言うなりとなると、日本国全体が北京の独裁政権の走狗にされる。具体的には、世界の他の自由主義圏を圧迫するための前衛軍や、貢納者とされるのだ。シナ人とその仲間が唱える「東アジア共同体」とは、日本をシナの奴隷または鉄砲玉に仕立ててアメリカと張り合おう、という計画に他ならない。
 明治維新と「五箇条のご誓文」でアジアに自由主義の未来を示した誇りある日本人が、どうしてシナ人の操り人形になどなる運命を甘受することができよう。
 シナからの脅迫を拒絶し、日本人の自由を守るためには、日本人が、アメリカ政府の口約束などに依頼することなく、自身で核武装することによって「核抑止」を成立させるしかない。NPT幹事国のアメリカは公然と日本に核武装を勧奨し得ない立場であるが、日本人が誠実に決意すれば、対シナの高等政治として、それを認め、密かに支援もする。
 核抑止とは、敵がわが国に対して一発の核弾頭も使用できないように強制する政治のことである。わが国の人口密度が高いからこそ、イスラエルやインドのように、わが国は核武装しなければ危うくなるのだ。
 ××××××は、この「核抑止」を「核戦争で勝利する」ことと混同する反論を、偽憲法を信奉する陣営から聞かされるであろう。それは不思議ではない。マッカーサー偽憲法は「自由を戦って守ることはせぬ」と誓わせた。これを受け入れた一部の日本人は、心から自由を捨てたのである。だから彼らは、抑止の理論など永久に理解はしない。核抑止とは、外国政府のあらゆる脅迫に動揺をせず、こちらも適宜に脅し返すことで、敵に一発の核兵器の発射もさせずに自由を保持していくという決意に基づく、政治家の言葉の戦いなのだから。自由を放棄すると宣言して平気でいる×××の信者たちに、そんな本気の政治外交を想像し得るわけもなかろう。
 マック憲法を否定できぬ××の言葉には、他国人に対する根本の信憑性がない。それではとても核抑止の外交など不可能なのだ。
 日本で核弾頭や核ミサイルを製造するのにも、ハード上の不可能は何もない。あるのは「偽憲法」という、精神の病い、心の支障だけなのである。偽憲法の不道徳性が、戦後の歴代内閣に、ありとあらゆる嘘を公然とつかせてきた。嘘の上に自由はなく、嘘の上には嘘しかありえない。したがって正気の議論が不可能なのが、×××××信者だ。
 偽憲法と自衛軍とは相容れぬものだ。人の道にも、歴史の常識にも背いているのは×××の方である。戦後の政治家は、それを認めるだけの正直さを失っている。
 米国大統領が、日本人のためにシナと核戦争をしてくれるわけなどないのに、×××信者は、その現実を受け容れる理性を持たない。
 彼ら、国民の運命に無関心な狂信の徒と抑止論争をしても、無意味であろう。彼らは、維新の志士たちが持っていた自由を、心から捨ててしまったのだ。
 しかし我々は、彼らなどといっしょにシナ人の奴隷になるつもりは断じてない。我々とともに自由を戦って守る意志を放棄しない有権者は、日本国の中にはまだまだ多いはずである。
 ――――――(記事抜粋おわり)――――――
 以下、つけたりの時評。
 7月なので「盧溝橋なん十なん年記念」と銘打って北京が大宣伝をしかけて来るかと思っていたら、日本の参院選に安倍氏有利のマイナス影響が出てしまうと先読みして、慰安婦ネタ工作に切り換えてきた。
 これに対して日本の総理大臣が、部下を使って対処させようとしていて、ぜんぜん成功していない。アメリカ政府からの根本の支持の約束がある以上、自分は「五カ年計画」だけを考えて、その余事では波風を抑えて邁進すればよいと錯覚しているのであるか。それとも「五ヵ年計画」の邪魔になるから、核武装や靖国や慰安婦の問題ではお前が表に出てくるなとアメリカから釘をさされてきたのか。
 小泉内閣時代に多数の国民が安倍氏に期待をかけたのは、彼が拉致問題で最強硬な有力閣僚と認められたからだ。表に出てきて喧嘩を買っているように見えたからだった。国民は、強力な「護民官」を求めていたのだ。ところが、はじめから成果などありえないと疑われた「6か国協議」にいつまでも丸投げをしていて単独制裁のエスカレートを遠慮している姿、朝鮮総連に破防法を適用できずにせいぜいジャブ1発くらいの痛撃しか与えられぬ姿、これを見て、国民は安倍氏の人となりを知ってしまったのだ。
 宋学以前の本来のシナ儒教では「知」とはギリシャ哲学とは無関係に「使える他者と使えない他者を見分けられる」という意味である。
 今日の日本国内閣総理大臣にとり、朝鮮問題で使える部下は、警察だけ。また、対米宣伝で使える部下は、民間人以外にはない。また、対支&対半島問題に限っては、〈日本の未来を設計するアメリカ人グループ〉は、頼りにならない。この「知」が、安倍氏にはないのではないか。
 とくに外務省は〈パリ不戦条約違反の対米英奇襲開戦を永野/山本/東條と合議して計画し実行にも加担していながら東京裁判でアメリカから海軍省ともども真相開示を猶予された〉〈国交断絶宣言を真珠湾空襲開始前に米国に伝達する気など組織を挙げてサラサラなく、野村大使は、もし伝達が早く行きすぎると思った場合には自分のイニシアチブで確実に攻撃開始後まで手交を遅らせることにつき、大本営との暗黙の了解があった〉という、うしろ暗すぎる過去があるゆえに、第二次大戦に関わる、いかなる史実の弁明活動にも、いまさら乗り出すことなどできはしないのだ。乗り出せば、真相を察知しているシナやロシアや台湾が、外務省の過去のスキャンダルすべてをバラす。
 条約改正がそもそもの組織のレゾンデトルであったのに、日本外務省は、日清戦争いらい一貫して、参謀本部のドイツ流奇襲開戦戦争のための奉仕者となることに、最高幹部レベルで同心し続けた。ハリマンの満鉄経営を児玉に言われて拒絶した背景も、単純にそれだ。だがそれが1929パリ不戦条約批准以降は、自己否定の外道となったのである。条約破りのための外務省になったのだから。近代国家の役所として、死んだのだ。海軍の豊田貞次郎が外相になった時点で、アメリカは日本の出方をむしろ予測し易くなっていた。
 安倍氏には、あと一回だけ、起死回生の演出の自由が残されている。部下に頼らず、じぶん一人で靖国神社に参詣して、シナ、朝鮮、そして米国連邦下院に対し、表に出て喧嘩を売ることだ。


そらだまは快調だ!

 25日配信の「読書余論」は、これまたテキスト原稿データ換算で200キロバイトに迫る分量となってしまった。見ない人はきっと損をします。ただし有料です。
 毎月一回の「読書余論」も、積もり積もると、イッキ読みなど不可能な総体になってしまいますでしょう。バックナンバーを適価で購読できるからと、油断をしていてはいけません。時評絡みのコメント、エクスクルーシフなトリビア種を、タイムリーに読めないのは、やはり損でしょう。
 ちなみに「読書余論」は1ヶ月に1回配信で、その1回分が200円。うち100円は配信係の杉山さんに管理事務費用として取ってもらっていますので、著者は100円の小遣いのために1ヶ月の労力を投入しているわけです。ですから「読書余論」を購読する人は、わたしの労働時間を大いに搾取していると思ってくださって良い。
 わたしは今では「読書余論」の労力の余りで、完全タダ働きである「放送形式」に書キコしているに過ぎません。タダ働きとなれば、いきおい、サービス精神も低レベル。けっきょく宣伝(もしくは知り合いの雑誌編集者に向けた公開的伝言板)。無料CMというやつは、それを読む人の自由時間を宣伝者の方が搾取している構造になっているのに気付く人は、いてもいなくても構わない。あくまでメインの娯楽と教養は「読書余論」の方でしっかりお客様にご提供いたしておりますと、正直に公示しておくのみです。誠実でしょ?
 無料の情報は頭に入らないが、カネを払った情報は頭に入るものです。このメカニズムを利用している他の例が、カルト宗教だ。カネを納めさせることによって、信者は信心しようという気が強まるわけ。それは、凡夫は「対価」を求めますからね。カネを納めたのだから、何か「ごりやく」があるだろう、いや、あるはずだ、あるんだ! ――と、信じたくなりますな。いい仕組みですよね。まあ、その結果、少なくない上納金を十年以上も払い込んでしまいますと、いかに阿呆らしいカルトだと後から成長して気付いても、もう遅い。その宗教からは縄抜けはできないでしょう。だって、過去十数年もの上納金が、ぜんぶ悪い幹部たちの贅沢と権勢欲のための無駄遣いだったなんて、自分では認めたくはないでしょう? 凡夫は決して自分が頭が悪いとは認めません。その現代大衆心理をうまく利用する。古い労組も同じです。くやしいから自分が幹部になって、投資を回収してやれと思い立つ。悪い組織の思う壺ですな。
 「読書余論」は1回200円。3ヶ月分まとめて払っても600円。その価値はないと思ったら、購読申し込みを更新しなければよいだけ。スッパリと縁が切れます。カルト宗教や日教組などと違い、誰も引き止めません。しかし、200円払ったという緊張感が、貴男の頭脳には非日常的な刺激になり、知的体験は、血肉化するでしょう。どうです、良心的でしょ?


卵とニワトリの順番

 加圧水型原発は、米海軍の原潜用のコンパクトなボイラーを陸上に据えつけたものだった。
 その発想をさかさまにし、陸上に人工の池(ドック)をつくり、「前に進まない原潜」を浮かべておけば、どんな大地震がきても平気な原発ができるだろう。ちなみに、米海軍の原潜用エンジンがメルトダウンなどの放射性物質を撒き散らす大事故を起こしたことは、過去に一度もない。初代のノーチラス号から、一度もだ。
 経済社会の安全のため真剣に投資しようという気があるのなら、日本もこのくらいのことはできるだろう。
 ところで米軍は、日本政府や自衛隊が、秘密を満足に保てぬ機構であることを、確認してしまった。
 秘密を守れなくなった理由はシンプルで、日本の防衛はある時点から真剣なものではなくなり、「防衛ごっこ」と堕しているからである。緊張の糸は溶解してしまった。
 MDなんてものが役に立たぬことを、防衛省の役人も、歴代長官経験者も、請負メーカーも、知り尽くしている。しかし核武装ができないから、そんなものにでも打ち込まなければならぬ。与野党の政治家にシナ・北鮮と戦う気概はない。米軍は陸自を対支戦の尖兵に仕立ててみずからは極東を傍観しようとしている。
 日米同盟はソ連に対しては有効だったが、シナに対してはどうだか分からない。なにせ、アメリカが自身でシナと陸戦を闘う気はぜんぜんないのだ。またシナの日本に対する間接侵略の手段は、ソ連とは桁違いに多い。ソ共に一本釣りされた自民党の中堅若手などはいなかったろうが、中共(およびそのエージェントの北鮮)に一本釣りされている自民党の中堅幹部は何人もおり、それが除名もされず、堂々と活動を続けている。
 そりゃそうだろう。そもそも台北にかえて北京を承認したのは彼らの先輩たちだった。1970年代初めに田中内閣が朝日新聞とコラボして「対支賠償利権環境」(=過去の侵略の捏造流布)を整えて国交を回復して以来の腐れ縁がある。
 およそ攻防の協働がうまくいくためには、「遠-遠/近-近」の大法則にかなっていなければならぬ。すなわち、共通の敵国に対して、同盟国の間合いが等しくなければ、うまく働かない。
 たとえばシナに対してモンゴルとベトナムが攻守同盟を結べば、これはトポロジカルには「近-近」の挟み撃ちになるから、理想的である。モンゴルを攻めようとすれば南からすぐにベトナムが出てくる。ベトナムを攻めようとすれば北からモンゴルがすぐに出てくる。そういう関係だ。
 またシナに対して日本とインドが攻守同盟を結べば、これはトポロジカルには「遠-遠」の挟み撃ちとなり、やはり理想的だ。
 しかし日米同盟は、対支の同盟として、トポロジーの条件が、理想からは程遠い。日本はシナにずっと近いが、アメリカは地球の反対側に位置する。おかげでシナは、アメリカを気にせず、近い日本を先に間接侵略してしまえばよいと考える。かたやアメリカも、シナ軍がもし国境外に出てきたら、日本の自衛隊を単独でぶつけさせるのが安全・安価・有利だと、合理的に考える。
 かつてのソ連はアメリカとカウンターフォース・レベルのMADの関係を保とうと全力を傾注していた。経済関係の希薄な日本のことなどにかまけている余裕はとてもなかった。ところが今のシナは、ソ連を反面教師として、狡猾にも、アメリカに対しては、象徴的カウンターバリュー・レベルの「semi-MAD」までしか達成するつもりはない。これによってシナは米国から日本だけを切り離して恐喝もしくは篭絡することが可能になっている。核兵器をバックに、日本に対してのみ狙い撃ち式に間接侵略をしかけることができるのだ。
 これに対抗するには、ソ連のときとは異なって、日本は独自の核抑止力(射程6000kmの弾道弾はシナ奥地をカバーするがカリフォルニア州には届かない)をもつ以外にない。エスカレーションのエンドラインに、相手の大都市を破壊できる核ミサイルが控えているからこそ、海上での通常戦力の挑発に実力を伴った外交で応対する度胸が日本の政治家に与えられるのだ。
 しかし、シナと実力を背景にした外交をすべしと表明するマトモな政党が日本国内にない。
 しかたなく日本の防衛関係者は、実力外交と切断されたMDなどという「ごっこ」((c)江藤淳)にとりくまねばならないのだ。
 MDでは北京はビビらない。間接侵略は継続され、一本釣りは次々に成功する。政党まるごと朝貢団体化させる作戦は、第三党、第二党に関しては、順調に進捗しているようだ。第一党とて、この調子では、分からない。
 こうした政府や議会を戴いて、まじめに国防の一線に執務する者ほど、まじめにヤル気が出てこないから、いきおい、組織全般の精神も頽廃し、同盟国から貰った兵器の秘密もありがたいとも思えなくなるのではないか。
 1960年には、こんな精神頽廃はなかった。なぜなら1960年頃の国防指導層は、核武装を考えていたからだ。
 「30ロケット」と呼ばれた、とっくの昔にスクラップにされている国産の地対地ロケットがある。こうした古い国産兵器のスペックは、後になればかなり詳細に明らかになるのが普通である。公開資料に逐次的に数値が載るのだ。ところが、この「30ロケット」のスペックのうち、弾頭重量と炸薬量だけは、いまだに分からない。自慢にもならぬが、いままでどこにもその数値が出ているのを読んだ覚えがない。(直径30cm、長さ4.5m、弾体全重650kg、射程20km以上、ひょっとすると30km前後かも、とだけ知られている。)
 弾頭重量や炸薬量の秘密がこれほどよく保たれているのは、「30ロケット」が、日本版の戦術核兵器にするつもりで開発されたからだ。シナが核武装しそうだと判ってきた1959に、赤城宗徳氏が自主安保の結論に達した。またちょうど、米軍は世界最小の原爆を実用化しつつあり、その弾頭が核ファルコンやデイヴィークロケットに搭載される。核弾頭の直径は最小で30センチにおさめられるらしいとわかっていた。その直径30cmは、1960年から本格開発がスタートし1968に部隊配備された「30ロケット」と同じである。
 とうぜん、核弾頭は通常弾頭より軽く、よって、「30ロケット」の最大射距離は、二種類あったのだろう。やはりいまもって詳細は公示されていないけれども、通常弾頭で20km前後、核弾頭で30km前後だったのではないかという想像はつく。その二種類のイマイチはっきりせぬ数値が、過去の一般向け媒体の中に散見されたからだ。
 1960年代には、まだ旧軍の砲兵将校の生き残りがたくさん居た。「30ロケット」の弾頭重量や炸薬量が洩れると、「それは大距離射撃でありながら多連装でない狙撃的運用、しかも非誘導とする以上、通常弾頭としてはディスパージョンの関係から合理的ではあり得ず、おそらく核弾頭にするつもりなのだな」と容易に気取られてしまって、中共の手先である新聞どもが騒ぐに違いない、と懸念されたのだ。
 対支にかんしてはアメリカは頼れず、日本国は自前で核抑止力をもたねばならないという正しい使命感に燃えてこそ、関係者は責任を痛感し、国家秘密を守るのである。
 自衛隊が秘密が守れないから日本が核武装できないのではなく、日本の政治家に核武装する気がなくなったから、自衛隊にも「ごっこ」以上の緊張感が生じようがないのである。
 原発関係者が役人化しているから日本が核武装できないのではなく、日本政府に核戦備の緊張感がないから、原発関係者も弛緩しっ放しなのである。
 アメリカの原子力委員会は、核兵器を製造するための物質を管理する役目もあるゆえ、人選は厳重であり、秘密を洩らす者はすぐに逮捕される。
 それにひきかえ、日本の原子力委員会には、核武装反対という政治的スローガンを信奉する反日的分子が入り込んでいて、誰も「核武装しよう」と意見表明できないような空気に満ちている。これは、初期の科学技術庁が明瞭に「核武装準備庁」だったので、ソ共が、全力で工作員を関係諸機関に送り込んだ成果もあろう。とうとう、科技庁そのものも、1970年代のある時点から、核武装をあきらめてしまった。これは、佐藤栄作と田中角栄の二人の「負のリーダーシップ」と関係がある。以後の科技庁は「不具合隠し」にしか興味がない役人の集まりだ。
 ところで、故・宮澤喜一氏が存命中に、誰かが訊くべきだったことがある。昭和17年に死去している宮澤氏の祖父・小川平吉氏(元鉄道大臣)がもし終戦後まで生きていたならば、日露戦争いらいの政友会幹部としての華々しく勇ましい経歴からして、A級戦犯容疑で巣鴨拘置所に収容されたに違いないところだ。しかるに宮澤氏は、自民党の幹事長だったときに、日本の歴史教科書の編纂について、特定アジア国からの註文を特別に反映させろと指導する「近隣条項」を推進した。宮澤氏は、あるいは小川平吉がもし昭和23年まで生きていてもA級有罪になったはずはないと確信をするがゆえに、「近隣条項」などに賛成したのであるのかどうか。
 「靖国=東京裁判」絡みでシナから何度もイチャモンがつけられた折々に、宮澤氏にインタビューする機会のあったヘタレ記者たちがこの詮索を一度も正面から試みなかったために、われわれは今となっては想像をすることしかできない。
 しかし晩年の中曽根元総理との対談の中で、宮澤氏はいくぶん赤裸々に戦後の政府が選択したスタンスを告白した。片岡鉄哉氏が特に注目するように、それは、大国でありながら国家としての道義は忘れるという没義道の道である。近代国家倫理からの超脱だ。
 中曽根氏も、1970年代以降、シナが米国の味方になってソ連と敵対する構図が、世界を多角バランスさせるといった、キッシンジャー流の自由道徳排除趣味を肯定していたように見える。科技庁が創設された頃の中曽根氏は、核武装論者だった。それが、佐藤内閣が核武装をあきらめ、シナの要求どおりにアメリカが横田基地から核攻撃部隊を撤去すると、自由か反自由かのイデオロギーはどうでも良くなった。宮澤氏の同類となったのである。
 シナに屈服するという根源的な不健全路線を政治リーダーが選択しているときに、役人に国家のことを思えといっても、そりゃ聞こえない。
 日本はげんざい、ひきつづいて、シナ・朝鮮から間接侵略を仕掛けられている。攻撃されているのである。脅威は日常、いたるところに迫っている。国民の各層はそれを直感している。官僚までが「護民官」役を放棄して久しいのだ。
 政治リーダーが自主防衛を将来もずっと放棄し続けると裁断した1970年代から、役人の私益指向が進行した。米ソ対立のおかげでうまく隠されていた日本のパワーエリートの腐敗精神が、ソ連崩壊後、日照の下に顕かにされつつある。それが今日の事態だ。
 では目下、シナ・朝鮮から日本人をまもってるくれる「護民官」は誰なのか。
 人々はそれを知りたがっている。にもかかわらず内閣総理大臣は「五ヵ年計画」で頭が一杯だ。
 岸信介を峻絶した60年安保いらい、日本人は、「満州臭い」やり方を、ご尤もとは思わなくなっているのである。
 有権者に対して何の責任も負っておらず、今後5年は自主退職する気もない中堅官僚が「五ヵ年計画」を夢想するというのは、あり得るし、自然なことだ。
 またアメリカのシンクタンクが「日本はこれから五年でどうなるべきか」を考えるというのも、学問思想表現の自由で、ご勝手だ。
 当選を果たした参議院議員候補者が、さてこれから任期6年の間に何をしてやろうかと抱負を蔵するのも結構なことだ。
 しかし国の議会と衆議院議員選挙を通じて国民に責任を負う代議士である内閣の筆頭大臣が、もし「五ヵ年計画」のスケジュールをガチガチに固めて自分の最初の組閣をしたとしたら、それは、自信過剰かもしれない。五ヵ年計画の強力な推進役と、護民官役とを、一人二役に演ずることは、超人でなければ不可能である。
 護民官は急場の役に立たねばならず、突発案件に十分に集中できなければならない。国家も、あっという間に亡びることがあり得る。スタッフには任せられない。
 北京政府の攻撃手法も、決して相手に息つく暇など与えるつもりはない。不断に揺さぶりをかけてくるのだ。それに備えるだけでも、日本政府の筆頭者は、五ヵ年計画どころではなくなってしまうはずだ。
 戦後日本のリーダーは、護民官、集票マシーンに徹するべきであり、五ヵ年計画は、じぶんの後継、もしくは自分よりも眼識があると見込むナンバーツーの有能な閣僚(一人で無理なら複数でもいい)に託すべきなのである。小泉氏は、これをやったから偉いのだ。ブッシュ氏はチェイニー氏に中期計画をゆだねているだろう。
 日本のナンバー2クラスの閣僚ではないすべての衆議院議員は、仕事期間が保証されていないからこそ、五カ年計画ではなく、百年後の日本を誤らせぬための心配を、日々、国民と共にするのでなければならぬ。その訓練がベーシックになされていなければ、総理大臣が五カ年計画を任せるべきナンバー2も、どこにもみつからないだろう。
 そのベーシックな訓練は、GDP大国日本が核武装に向かって歩き出したあとからでなければ、確実に行なわれることはないだろう。


航空法と消防組織を変える必要がある

 原子力関連施設の上空と、川崎コンビナートの上空は、やむをえない場合や管制官の指示による場合以外、原則として、民航機も自衛隊機も飛べないことになっている(空航第480号、防運第2899号)。
 なお、敦賀と美浜原発の場合は、2000フィート以上の水平飛行に限り、許されている。(おそらく、海岸線が大きく内側に引っ込んだところに立地しているため、すべての民航機に大きく避けて通れというのが不合理だから。)
 こんかい、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の空撮映像が無いらしいのは、だから、当然だ。もしあったら、その放送局と航空機を出した会社は、国交省との関係が、まずくなるだろう。
 「ヘリを飛ばせないなら、裏山の稜線から撮影すればいい」と報道会社は考えたはずだ。が、そのような写真も、インターネットで巡回した限り、リリースされていない。
 このことは、北朝鮮ゲリラにとっても、刈羽原発の襲撃の下見がしにくいことを意味するのだろう。良いことだ。
 ところで、『力の意志』7月号にも寄稿した如く、スイスはあのような小国で、しかも陸封されており、海岸というものがないにもかかわらず、ちゃんと原発を複数稼動させてきた。
 スイスとスウェーデンは、新型の原発の独自開発と販売のための合弁企業もつくっている(戦間期のスイス・エリコン社やスウェーデン・ボフォース社がワイマール・ドイツの兵器技師の避退温存先だったように、たてまえでは原発を放棄すると言っている今のドイツだって、将来、ヨーロッパ情勢が激変すれば――それは今のロシアを見ていれば誰でも想像することだが――思い立ってすぐに、原発や原爆を獲得できるのだ)。
 スイスに見習って、日本のすべての都道府県が原発(もちろん高速増殖炉)をもつのが望ましい。そのくらいでないと、来たるべきオイルショック(これはシナある限り、必ず来る)で、日本はシナといっしょに沈没してしまう。1県に最低ひとつの最先端原発を建設するという国家サバイバル・プロジェクトは、日本の株も上げるだろう。(川の最下流にバラ蒔いて年収500万円未満の労働者の老後貯金を増さしめるだけの旧套型ケインズ政策と、軍事ハイテクという川の最上流に一点かけながしして日本の産業構造を新陳代謝させ景気も好転させる、あたらしいケインズ政策との違いを、23日発売の『別冊正論』7号で、是非確認して欲しいと願う。これは、どの政党が採用しても構わない、日本にとって最善かつ必要不可欠な政策である。また、文科省の学制の統制を撤廃することによる、家庭の学資貯蓄の必要減→消費拡大という策の方は、8月1日の雑誌上で詳しく話す。)
 ただし日本中に原発をつくろうという以上、昭和46年の航空法は、少し変えなければならないだろう。だいたい、現行のままでは、ヘリコプターで原発の火事を消すことも考えられないではないか。
 〈地震で電話回線が混んでいて119番通報ができなかった〉という今朝の「共同」発のニュースはほんとうだろうか? なんのために、電力会社はマイクロ・ウェーブ通信網をもっているのだ? それに、電力線をつかった有線通信(データ伝送)も、やっているのではなかったか?
 こんなていたらくでは核武装は無理、と思う人もいるだろうが、話は逆なのだ。シナ・朝鮮などに隣り合わせる経済大国でありながら、核武装から逃げているような没倫理の社会は、必然的に、役人を頽廃させるのである。公共度が高い電力会社は、准公務員組織である。
 前々から提言がされているが、消防を自治体だけに任せていたら、有事のさいの国民保護はできない。国が「空中機動消防隊」を全国数箇所に展開し、大災害が発生したところに、外部からかけつけるようにすべきなのである。もちろん原発側はその機動消防隊本部とのあいだに複数の直通回線を構築するであろう。


お知らせと御礼

 1月27日に募集をかけました支那事変カウンター・プロパガンダ漫画用のボランティア作画家さんが大阪でみつかりましたので、ひとまず募集を締め切ります。


参院囈語

 参院選比例代表用のテープ原稿(既定)を点検しよう。
 これは全部で28パラグラフあり、そのすべてのパラグラフは4行の文章から成っている。
 第一行目は、「こちらは維新政党・新風です」で、最初のパラグラフから最後のパラグラフまで、すべて共通だ。
 第二行目は「めざめよ日本!」というものと、「取り戻せ国家の誇りと日本のくらし!」というものの2種のパターンがあって、1パラグラフごとに、交互に唱えられる。
 第三行目が、具体的な政策や訴えで、パラグラフごと、ひとつひとつ違う。つまり計28種類ある。
 第四行目は3種のパターンがある。「参議院選挙比例代表の一票は新風へ」「参議院選挙比例代表は新風、新風とお書き下さい」「参議院選挙比例代表は新風、新風への御支援宜しくお願ひ申し上げます」。これが順繰りに使われる。
 わたしは以下のように注文をつけた。
 まず第四行目だが、これは全パラグラフを通して「参議院選挙・比例代表は、しんぷう、とお書きください」で統一すべきであろう、と。
 なぜか。
 この第四パラグラフは、軍隊の命令で言えば、「貴隊は7月29日0900、×××小学校の体育館付近に進出し、別命あるまで確保すべし」といった、いちばん肝腎な行動命令の部分に該当する。
 さて、このテープをたまたま聞いて感心した有権者は、何をどうしなければならないのか? 耳に残るだろうか? 間違いなく理解するだろうか?
 どの投票場に行き、どの用紙に、何と記入すればいいか。それを、選挙カーが歩行者の近傍から遠ざかってしまうまでのごく短い時間に、極端に物分かりが悪い子供でさえもしっかりと把握するように、忙しい人の耳にも残るように、あいまいさを排して、いちばん簡潔に伝えねばならない。しかも、一回聞き逃しても、二回目に確認できるように、言い方を変えてはよろしくない。
 支持政党が無い一人の市井人を、たまの日曜日に投票所に行かせるというのは、それだけでも大変なことだ。既定原稿は、そこが分かっていない。選挙のアマチュアだ。人々は皆いそがしく、他に興味のあることや気がかりなことがたくさんあって、しかも大衆は、ほとんど衆議院と参議院の区別も意識しておらず、いわんや地方区と比例区の違いなど承知してはいないのだ。
 「フール・プルーフ」――馬鹿でもぜったい間違わないマニュアル式に、誘導できるかどうか。無効票とならぬように徹底親身に配意して、誘導ができるかどうかが、およそ宣伝の骨法である。
 「よろしくおねがいします」なんていう、何をしたらよいのかさっぱり分からない曖昧情報を、第三行目に関心を持った有権者は、期待してはいないはずだ。しかも、下手に出る態度によって、そこには泡沫オーラさえ滲むであろう。ダークホースだからこそ、昂然としていた方が、見ず知らずの他人から、頼もしく思われる。
 次に、第三行目の全28パターンを、逐条的に検討する。
 以下、●は、オリジナル(既定)原稿であり、○は、それについての兵頭の校訂案である。
 校訂案はけっきょく魚谷党首によって採用されなかったので、全国の皆さんは、これを耳にすることはない。
 ※は、校訂理由の説明だ。
 【 】は原稿のパラグラフに便宜的にふった番号だが、テープ(MD?)はエンドレス再生だから、聞く側にとっては、意味はない。
【1】
●新風は、日本の現状を憂へる国民有志によつて、草の根的に結成された唯一の政党です
○新風は、強い国家と、個人の自由を両立させようとしている、唯一の政党です
※「草の根的に結成された唯一の政党」と言い切ったら、それは公的な嘘になるのではないかと用心するのが公人の心がけではないか。「憂国」を強調すればバカ右翼や全体主義者と混同されて無党派層が引いてしまう。逆に個人の自由をこそ強調すべきなのである。
【2】
●新風は、利権保身と無縁な唯一の政党です
○新風は、どんな不公平な特権勢力も許さない。法の下の平等を実現する政党です
※既定原稿は、他党の候補だって一様に口にすることであり、新味なく、忙しい有権者にとって無価値・無内容な情報であり、通行人の右の耳から左の耳に抜けて行くだけで、次のパラグラフへの興味もほとんど失わせるに足るものであろう。せっかく、せと氏が部落や創価学会や在日と対決しようとしてくれているのに、そこを強調しないでどうするのか。なおかつ、党としては、合法的な金儲けに反対するマルキストや、レイシストではないことを、「法の下の平等」という短いキーワードで、インテリ層にも説明できるのである。
【3】
●新風は、誤魔化しとタブーに満ちた戦後政治をただせる唯一の政党です
○新風は、マスコミがおそれて報じないタブーをすべて批判できる唯一の政党です
※ここでも、そんなことを言って公的な嘘をつくことにならないのか、自動的に自省できないようでは、公人公党の資格に疑問符がつくであろう。聞き飽きた、手垢のついたような、紋切り型の呼びかけに、どんな通行人が耳をそばただせるのであろうか。大衆に関する想像力がまるで乏しい人の書いた原稿に違いない。
【4】
●新風は、北朝鮮拉致犯罪に十三年前から取り組んだ唯一の政党です
○新風は、北朝鮮の拉致犯罪と十三年前から戦ってきた、皆さんを守れる政党です
※拉致の公然化は特定の誰かの手柄ではないのではないか。それよりも、拉致が公然化したあとに6か国協議などに組み込まれて同胞救出の手を打たない既製の与野党を叩くレトリックを考えるべきだろう。
【5】
●新風は、勇気と信念で真の政治改革を断行できる唯一の政党です
○新風は、役人や特権勢力が、国家と国民を食いものにしないように見張っています
※「勇気」「信念」「政治改革」なんていう常套句を使ったが最後、無党派の有権者はソッポを向くにきまっているではないか。無党派層とは、じつは皆リアリストであり、無内容なスローガンによってどんな幻想も喚起されることはない。現実の壁を知っているからこそ、当選確率の高いタレント候補に投票して、己れ一個の存在の手ごたえを知りたがるのである。とにかくパンチがなさすぎるぜよ。
【6】
●新風は、真面目に働く労働者、心ある日本人の怒りを真に代弁する唯一の政党です
○新風は、外国人の不正な就労を禁じ、日本人の雇用と給与を劇的に改善してみせます
※大正デモクラシーがなんで続かなかったか。当時の政党政府は、国全体が貧乏で、しかも人口が増え続けているときには、ケインズ政策が不況対策として最も道徳的であるという判断ができなかったのだ。逆に、利子生活者の味方になってしまって、大衆から見限られたのだ。ダークホースの政党として、目下の構造的なデフレと戦う施策をもっているのか。一個の具体策も挙げないのでは、「口だけ」「中味なし」と疑われておしまいだ。これまたパンチがなさすぎる。「不法就労者を追い出す」と言えるのは新風だけなのだから、そこを強くPRせねば。
【7】
●新風は、日本の正義を回復させる憲法を制定できる唯一の政党です
○新風は、天地の公道に基くまっとうな憲法を実現し、隣国からの脅威は実力で防ぎます
※公的な嘘をついていないか? 「天地の公道」は五箇条の御誓文を指す。つまり、明治憲法へ単純に戻れとは叫ばない。それはバカ右翼と思われるだけ。
【8】
●新風は、治安悪化の一因である不良外国人の追放を強く主張してゐます
○新風は、不法な外国人を国外へ追放し、正直者が安全平和に暮らせる社会を防衛します
※「不良」だから追放するのではなく、「不法」だから追放するのが近代国家だろう。ここが分かっていないと思われることは、近代法哲学と議会制民主主義政治そのものを理解していないと疑われるもとになろう。それに「強く主張しています」って何だ? ちっとも強そうに聞こえないんだよ、そんなテープじゃ。頼りなさげのオーラ出すぎ。
【9】
●新風は、公立学校を週六日制に戻し、子供たちの学力の向上を図ります、
○新風は、中学からすぐに大学へ進学できるようにして、日本の学問水準を引き上げます
※他党でもやるといっており、趨勢としてそうなるに決まっていることを、仰々しく宣伝して何になる? 前向きの、斬新な提案をしなさい。あるいは日教組を名指しで叩くべきところでしょ。
【10】
●新風は、農業や林業・漁業の新興に努め、安全な食糧確保と自給率向上を図り、豊かな日本の自然環境の維持に全力を尽くします
○新風は、農林漁業は国家の安全保障問題だと位置づけ、輸入品との競争から保護します
※長すぎる! 選挙参謀は、一度はスーパーマーケットの売り子のバイトをした方がいい。客は7秒で眼の前を通り過ぎる。だから7秒以内で、なぜ今このトマトを買わないとあなたは損をしてしまうのか、明確に分からせるのが口上だ。この一行だけで7秒使ってしまう。次の投票行動の説明は車が遠すぎて聞こえないだろう。しかも、内容が陳腐で、いかにも本気なさげ、「お義理でとってつけました」感全開でしょう。有権者の耳には「耳タコ・フィルター」がかぶさってるのよ。だから、既定原稿では、少しも記憶に残るまい。
【11】
●新風は、男性は男らしく、女性は女らしくが社会の基本と考へます。行き過ぎた男女共同参画条例に反対してゐます
○新風は、新しい時代の個人の実現を支持し、反日フェミニストの利権暗躍を許しません
※アルカイダ級のセンスの無さ。これで大衆有権者の支持が得られるとでも思っておるのか? 敵は誰なんだ。有権者の半分である女なのか、外国の工作員なのか。本当に議席が欲しいならば、有権者を侮るな。
【12】
●新風は、真面目に働く勤労者や中小企業事業者が報はれる簡素な経済システムの確立に努めます
○新風は、中小企業事業者の会計業務を最も簡便にする新しい税制システムを提案します
※労使をいっしょくたにして短いアピールなんかできないよ。短く分けてアピールしなきゃ。労働者には別パラグラフですでにアピールしてあるから、ここは零細事業主に訴えかける。「簡素な経済システム」じゃ、2.26の皇道派バカ将校と同じと思われるネ。北一輝もそんなこと言ってないよ。
【13】
●新風は、テロ国家・北朝鮮による拉致・誘拐を断じて許しません。金正日体制を打倒する徹底的な制裁を実行します
○新風は、不良外国人や北朝鮮のテロと戦う警察官を応援し、警察官の数を倍増させます
※テロや拉致に選挙で賛成を唱える政党なんてあるわけないんだから、自党の差異化にあまりならないし、「断じて」とか「徹底的に」という力瘤が、逆に痩せ犬の遠吠えのイメージを醸し出すことに気付いて欲しい。大衆は「できもしないことを言いやがる」と、見抜いてますよ。それよりも警察官を味方につけろ。警察官に朝鮮人や共産党員やカルト宗教信者はいないんだから。
【14】
●新風は、矛盾だらけの現行占領憲法を破棄し、自衛隊を国軍として再編し、力強い国家を創ります
○新風は、防衛力を先進国の平均水準まで高め、近隣諸国の横暴から国内を安全にします
※憲法と防衛は票につながらない。大衆は興味を持っていない。それよりも、ヘタレどもやサヨク工作員からの讒謗に対する反論を展開しておく。先進国の平均水準とは、GDPの5%である。その世間並み水準の防衛支出で、フランスやイギリスのような核武装国を凌ぐ核抑止力の確保ができるのである。だが選挙カーのテープで長ったらしい説明はできない。新風は1930年代のファシズム路線を目指していないという端的な説明である。
【15】
●新風は、アメリカ追従の外交から、独立主権国家として毅然とした外交を展開します
○新風は、アメリカからの理不尽な要求をたしなめられる、当たり前のつきあいをします
※なぜ入学試験の1時間目は「国語」なのか。どの国でも、国語ができない人には、複数の他者を自分のために働かせるパワーはないからです。国語がおかしい人に議会で法律をつくってもらいたいとは、誰も願わない。もちろん、文法的におかしくてもインパクトのある表現はあるが、既定原稿はそれに相当すまい。それと、沖縄暴行事件のようなトピックスが伴っていれば格別だが、何もトラブルがないときにやみくもにアメリカを攻撃して、誰の支持を得たいのか。これでは反日サヨク工作員と差異化できないではないか。
【16】
●新風は、ロシア・中国・北朝鮮の核の脅威に対抗して核保有を前提とした国防政策を実行します
○新風は、脅しで日本を屈服させようとする外国には、適切な核武装で対抗します
※経済活動は、手段は有限、目標は無限。しっかり合法的なら、一人で何兆円かせいで贅沢三昧しようと、ご自由なわけです。逆に、国防は、法秩序が敵の暴力で蹂躙されようとする危機的異常事態なので、目標が有限(法秩序の回復)、手段は無限(自律軍法のみが顧慮される)でなくては成り立つものではない。しかし短い選挙カーのテープでこんな難しい話はできない。核武装を公約にしている珍しい政党なんだと印象づけることができればそれでいい。わざわざ敵国の名前を列挙する必要はありません。有権者ひとりひとり、憎らしい外国が違うのです。そこに投網をかける印象誘導ができなくなる。
【17】
●新風は、人権擁護法案や在日特権などに反対してゐます
○新風は、法の下の平等に反した在日特権、人権特権、団体特権などに堂々と反対します
※大衆は「人権擁護法案」の何が問題なのか、ほとんど知りません。朝鮮人や同和マフィアを攻撃するのは、かれらが「法の下の平等」を歪め、近代民主主義を破壊しているからです。そのキーワードを入れて常に強調をしていかないと、逆差別団体だと人々から思われる可能性がある。バカ右翼まるだしで「民族」というのもやめましょう。それは Racism に他なりません。
【18】
●新風は、台湾・チベット・南トルキスタン・南モンゴルの解放独立を支持してゐます
○新風は、国外の反近代的な専制政治の暴虐の犠牲者を無視せず、救援の手を講じます
※頭を抱えるとはこのことだ。大衆は未だ、シナが世界の癌だという認知に達するレベルではない。なのにその先の話をしてどうする。4つを敢えて列挙している背景も不審だ。
【19】
●新風は、子供たちに正しい歴史を教へ、国家と伝統文化に誇りの持てる教育を推進します
○新風は、子供たちに正しい歴史を教え、公的教育から、悪らつな反日工作を除去します
※自民党がいいそうな奇麗事を新風が言ってもインパクトは無い。新風は敵を識別済みであると印象づけよ。
【20】
●新風は、大都市と地方との格差是正に努めます
○新風は、大都市の地方税を、大都市の国際競争力を維持・向上させるために還元します
※都市部の浮動票をあつめなかったら、1議席もとれないんだっていうこと、分かってます? 都市に媚びようよ! そこが票田なんだから。「格差是正」じゃ民主党と同じだし、あまりに具体案なさすぎて、ああ、誰も何も考えちゃいないんだ、ってことが、もうバレバレ。
【21】
●新風は、家族を解体する夫婦別姓に反対し、伝統的生活文化と家族の絆を守ります
○新風は、反日工作員が、日本の家族文化を破壊しようとする策謀を見破り、粉砕します
※新風に投票してくれるであろう、ニート、ひきこもり達には、別姓なんて何の興味もない話。また、同じことを言うのにも、後ろ向きでネガティヴに聞こえる言い方と、前向きでアグレッシヴに聞こえる言い方があるわけ。大衆は、攻撃精神や元気のない候補はちゃんと見破っていて、ハナから何の期待もかけないわけ。
【22】
●新風は、靖国神社に代はる新たな戦没者追悼施設建設の策略に反対してゐます
○新風は、靖国神社に外国が口を出すことを認めず、そのような外国とはつきあいません
※「反対」してるのは何も新風だけじゃない。多くの団体や個人が反対を表明してるんだ。その他に何をするんだ、新風は?
【23】
●新風は、年金・健保制度を一元化し、相互扶助的社会保障制度の確立に尽くします
○新風は、年金・健保を税金に統合し、国家が個人の保証人となる安心な制度を作ります
※漢字を11コ並べて、「確立に尽くします」だぁ? 有権者を舐めるんじゃないよ! 「ああ、この政党は頼りになりそうだなあ」という印象を、これっぽっちも与えないよ。
【24】
●新風は、真の行財政改革を断行して、巨大赤字のつけ廻しを中止させます
○新風は、武器の輸出も解禁し、最先端産業の成長を通じた財政の健全化を提案します
※せっかくの選挙カーなんだからさぁ、沿道で聞いた人を「エッ?」と注目させちゃうようなこと言おうよ。前々からいろんな人や団体が言い散らかしてきた定型表現を並べられても、誰の耳もピクリとも反応しやしませんよ。「断行」ってのは、政権党か野党第一党が使う言葉であって、1議席もない新風が使ったら、いかにも滑稽でしょ? 「真の」って何か説明してよ。真空としか受け取られませんよ。
【25】
●新風は、労働環境・社会秩序を悪化させる安易な外国移民受け入れに反対してゐます
○新風は、病院経営の統制しすぎを見直して、医療従事者に真の働き甲斐を与えます
※不法就労者の話はすでに前のパラグラフでしているよね。これからは病院や介護施設で勤務する労働者や医師の「士気(モラール)」の問題が必ず浮上します。新風はそこにツバをつけておいた方がいい。医師たちは本当に悩んでいますよ。
【26】
●新風は、靖国神社問題などの内政干渉を繰り返す中国・韓国には安易な妥協を行ひません
○新風は、公務員の国家反逆罪を新設させ、スパイや工作員を、政・官界から一掃します
※靖国の話は前に出てきたし、「靖国神社問題」と手前で「問題」なるものを肯定するのはおかしなもんだし、安易な妥協を行ひませんと力んだって泡沫政党が何を決意して腕まくりしたって敵には視界外でしょ。シナ・朝鮮の手先になっている日本人を征伐しようと街宣すべきじゃないの? それは選挙後の政界にも残響を刻み付けますよ。
【27】
●新風は、中国・ロシア・韓国による不法な領土侵犯に断固とした外交姿勢を主張してゐます
○新風は、日本領土を不法に占領している外国との交流をあくまで制限し、筋を通します
※日本の大衆は、面倒な問題、特に内国問題ではない外国の問題からは、できれば関係を断ってしまいたいわけ。忘れ去りたいわけ。その素朴な感情を代弁する政党が、これまではなかった。
【28】
●新風は、宮沢・村山・河野談話を撤回して、内外に歴史の真実を堂々と訴へることを主張してゐます
○新風は、宮沢・村山・河野談話を撤回させ、対外宣伝省を設けて世界に真実を伝えます
※ポジティヴに行きたい。外務省ではもうダメなのだという共通認識は既に有権者にはあるんですよ。そこをどうするのか。


雑。

 新風比例区のテープ原稿を直したという話をしましたが、吹き込みは、旧原稿のママで行なわれた模様です。
 地方区の録音はとっくに終わっているそうですから、これで、次の参院選の新風の選挙カーから聞こえてくるエンドレスのテープの内容は、兵頭二十八とはいっさい関係ないことになりました。以上、訂正のお知らせでした。