舌鼓打法

 10月8日に、維新政党・新風の「広報ビラ53号」が郵送されてきた。
 じつに良いことが書いてある。クリーンヒットだ。
 ところが、この「広報ビラ53号」を、新風の公式ウェブサイトで閲覧することができない。
 じつにマヌケだ。
 かつて日本映画には同じ役者ばかり出てきた。70年代以降の米国映画はそうではない。これは人材の厚さが桁違いだからだ。ところが米国で「親子大統領」が出た。さらに来年は「夫婦大統領」が出るという。(戦前には「叔父・甥」大統領が出たことあり。)
 政治の最良の人材は、米国ですら不足なのである。もはや役者などは誰でもできるぐらいに周辺のシステムが発達しているのだが、大統領候補は、依然として、滅多な新人にはできぬ特別なスキルであり続けている。
 それを世間に分からせた「大統領の息子の大統領」は疑いもなく、米国の可能性そのものの幅の狭さを世界に印象させてしまった。
 かほどに政治の人材は得がたい。(広報は政治の尖兵である。)
 日本の(共産党をのぞく)政党のマヌケな広報体制があらたまるには人材が改善されねばならない。しかし、それには何十年もかかるだろう。しかたのないことだ。
 以下、ビラ所載の「政党、選挙に関する 新風6つの提言」への意見。
 「3」の投票日は、平日の2日間ではなく、日曜&月曜の2日間とし、月曜午前を半ドンにしてもらうのが、庶民に最も歓迎されるだろう。
 「6」の参議院の改革は、あきらかに無理で、しかも暴論だ。「各界各層からの推薦によ」ったら、新風の既製の候補者で当選する者など、一人も居りはすまい。
 参議院など廃止するのが本筋である。しかし参議院選挙にしか参戦していない新風からは、それを言い出せない。だったら、言及しなければ良い話だ。
 ネット時代にこそ、沈黙による誠実さの担保に心掛けるべきだ。
 なお10月18日には「よねくらホテル」に泊まるので、青森の探奇マン諸君に面会することも可能だ。わたしの秘書に申し込んで欲しい。


恐怖のししがしら

 「クロスライン」に間違いがあった。
 ディズニーの絵本には、若い牡鹿同士が喧嘩をして、一方の角の一部が折れている絵が、掲載されている。しかし、アニメには角が折れるシーンはない。
 絵本の作画をした人に訊いてみたい。「あんたは『ウスリー探嶮記』を読んだのですか?」と。
 また長谷川四郎は、函館市郊外の地名の「七飯」と、民族名の「ナナイ」の一致に、どのような感想を持っていたのであろうか。


マシラの惑星

 イスラエルのイラン爆撃とアメリカの北鮮爆撃は同時にやるつもりだったのか。
 それを察した北鮮がシリアに技術者を拡散させたのか。
 北京は手駒のキッシンジャーを経由して元中曽根番記者の元レフト学生の新聞屋に工作を手伝わせ、福田政権を実現させたのか。
 まあ北鮮核実験の時点で安倍を見限って新風を支持した俺は勝ち組なわけだが……。


『荒野の呼びりん』――遅まきながらタングステンの心臓の持ち主ハケーン

 『東京裁判の謎を解く』の児玉誉士夫の項目の中で、彼の獄中日記の「昭和21年3月10日」で指弾されているところの、元海軍報道班員でありながら、戦後に戦争中の日本を糞味噌にたたいた本を出した小説家の「H・N」とは、「丹羽文雄」であると分かりました。
 板垣直子著『現代日本の戦争文学』(S18-5pub.)をどこかの図書館で閲読したときのメモを見ていて、さとりました。
 板垣によれば、丹羽は、日本で初めて海戦を実見して小説にした、プロ作家の第一号であるそうです。1942年9月1日に、「ツラギ海峡、壮烈な夜襲戦」という新聞記事を寄稿。
 さらに、単行本の『海戦』まで出していたのです。船から魚雷を撃つと、「シユッ・パチャン」と聞こえる……などという、生々しいリポートを、してくれていたらしい。


街道でイク!

 ウォルト・ディズニーの1950年以前のビジネスは、アニメの一作ごとが、賭けだった。というのは彼はほとんど裸一貫でハリウッドにやってきたので、資金繰りは常にショートしていたのだ。短編であっても2回連続でコケれば、銀行からの借り入れは返せず、スタジオは解散するしかない。
 準備と制作に3年以上もかけて1942-4にリリースした長編の『Bambi』が、得られて当然の高収益を上げられなかったのは、まったく日本軍の真珠湾攻撃のせいである。彼が日本人嫌いになったのは、当たり前だろう。
 そのディズニーが1953にリリースした『Peter Pan』の中のキャプテン・フックの台詞に、「ひとさらい」の意味で“shanghai”という動詞が出てくる。
 既刊の「読書余論」でも紹介した『郭沫若自伝4』を見よ。1926~27頃の上海の娼婦、街娼、妾は、蘇州の小作農家の女房や娘が売られたものだ、と郭はちゃんと書いているだろう。
 直木賞作家の榛葉英治の『夕日に立つ』(S50、日本経済新聞社)には、こんな記述があった。
 「〔1945後半の長春市の〕日本人会の仕事は、ほかにもあった。日本人のためのただひとつの興安病院の経営、何千という穴を掘りつづける墓地、いっぽうでは、キャバレーまで委託経営をした。さらにソ連兵を接待するための特殊婦人を使っての慰安所の開設……。」「特殊婦人はもとからの水商売の女、難民の女なぞが千人ぐらいいて、この女たちがソ連兵から金をとれないときには、日本人会が立替えて支払った。この慰安所は、ソ連兵の日本婦人への暴行を、いくらか防いだかもしれないのである。」「奉天と鞍山の中間にある遼陽という町では、日本人会は、ソ連軍の高級将校には一人ずつの慰安婦をつけてサービスにつとめた。」(pp.83-4)。
 さて朗報だ。ポシャッていたと思っていた某劇画が、じつは進行していた! あきれた遅筆の作画家氏が、1年半遅れで完成させたらしいのだ。なんのことを言っているのかさっぱりわからねーだろうが、投下した労働時間が無駄にはならなかったという、リアルどんでん返しの片鱗を、味わったぜ。(シナリオを公開してある奴、および大阪のデザイン事務所に現在発注中の奴とは別件なので、念のため。)


住民より意見具申

 昭和公園には老人のボランティア監視員が24時間詰めた方がいいね。
 富岡中央公園には、監視カメラ(360度タイプ)を設置するしかないでしょう。


チャック・ノリスケ『ガンキチ王』(「ラジオ深夜体操」所載)

 子供用に買い集めたアニメの中古ビデオを逐次、視ていると、かつて映画館で観た覚えの無いものばかりなので、「アレッ」と思う発見をする。
 『バグズライフ』が、黒沢の『七人の侍』を不必要にマニアックになぞりすぎて、肝腎のキャラが弱くなってしまい、展開がモタモタし、CGのテクニカル面の話題以外ではクリーンヒットしなかったのだと、いまさらながら承知した。(8年くらい前の公開なのな。)
 では、終末近くのクライマックスで雨を降らせるのは、そもそも、何処の何方がおっ始めたドラマ演出法なのか?
 濫觴は分からんが、昭和12年のディズニーのフルカラー『スノウ・ホワイト』が、それをやってるんだよ。ちょうど1910生まれ、芸大中退の黒澤氏が駆けだしの助監督ぐらいで、とても影響を蒙り易い時節だネ。ハイホー!
 さて、こんな中古アニメ探しにかまけている時間などあるはずのないわたしのために、誰かディズニーの『ピノキオ』と『バンビ』の中古完全版ビデオを、タダで拙宅まで恵投してくれないか。字幕版だとうれしいです。DVDは謝絶。


つか・みどり著『コンマドー』(不審人物往来社)

 やべえ、明日配信の「読書余論」にかまけ過ぎ、単行本の執筆進行が遅れとる!
 ところでわがPCでは「まぐまぐ」の配信物はほとんどがスパム認定で自動削除されてしまう。そのため後藤さんのメルマガも、バックナンバーで読むしかなさそうなんだが、第二回を自分で確認できないのだが、どうしたら良いものだろうか。
 先日の夕方、さびれ切った市内旧中心地に近い某町の盆踊りをひやかしにいったら、なんと、会場のミニ公園に面したあばらやの板壁に、前々回の参院選の「自由連合」のポスターが、3枚きれいに並べて貼ってあるではないか。色褪せてはいたが、6年間雨ざらしにもかかわらず、破れてもいなかった。最高の印刷を使ってたんだね。
 これほど潤沢にカネを投じ、こんな地方の隅っこまでも運動員を動員し、あんなにも候補者を増やして投網をかけたのに、それにもかかわらず、けっきょく徳田さんは、一人分の比例当選に必要な票数を掬い上げることもできなかったのですなあ……。合掌。
 選挙はカネでもなく、運動員の数でもない。有権者に「言葉」が通じているかどうかでしょ。
 あと、貼ったポスターは責任もって剥がさんといかんわな。


訂正

 いやー北海道も暑くなってきた。7月にストーブをつけた日もあったくらいなのに……。
 07-8-6の本欄で、十五榴=実測152ミリと書いたが、それは英国&ソ連規格で、旧日本軍の15Hおよび15加はイタリア規格の実測149mmでした。
 武器オタ系の著作から遠ざかってあまりに久しいため、こんな誤記を平気で書いてしまう。皆さん、活字とWEBとに異なったことが書いてあったら、「著者校正」のチェック段階が入っている活字の方を信用しましょう。
 ついでの余談。これも活字じゃないから頭から信用しないでくれ!
 どうも日本の家庭とオフィスへの通信可能PC普及率はざっと5割だ。そのPCで毎日インターネットを利用する人が3割だ。つまりざっと、有権者の15%がインターネットの常連訪問者総数だ。
 そのうち掲示板にカキコするようなヒマ人は2割と考える。つまり有権者の3%ぐらいが掲示板にカキコしている物好きだろう。
 以上が正しいとすれば、インターネットの掲示板が、ある政党のマンセーカキコだけで埋め尽くされたとしても、それはせいぜい有権者の3%未満の嗜好が知れるにすぎない。
 じっさいには、掲示板にカキコする全ヒマ人のうち1割が、カキコの9割を投稿しているのかもしれない。とすれば、有権者の0.3%未満か。
 いわんや、支持政党が掲示板の中で割れているなら、そこから第三者は、いかなる趨勢も読み取ることなどできはせぬ。
 地上波テレビが、いかに悪魔の道具か、わかるだろう。
 とりあえず総務省か民間調査会社はインターネットの利用実態調査をしとかないと、ネット工作の仕方の見当もつかないだろうね。


防衛省はさっさと「英語宣伝チーム」を創っとかないと、外交官に潰されるぜ

 毛沢東時代のシナは、ほとんど鎖国状態の独裁国家だった。このシナとの貿易を日本が始めるとすれば、極端な統制貿易からスタートするはずだった。
 統制貿易の初期の利潤はベラボーなものであり、それを許認可する権限のある者は、莫大な賄賂を、表向き合法的に、特定関係団体から、得ることができる。戦中の統制経済を知る官僚にとっても企業人にとっても、それは経験的な常識だった。
 左右を問わず、戦後日本の売国的政治家の誰もが、最後の巨額利権源を開拓し、手中にした資金力で、日本の中央政界に君臨したいと欲望していた。
 そして田中角栄グループが、とうとうその勝負に勝つ。
 田中氏の勝利に貢献したのは、外務省の中堅高級官僚の売国的アイディアだった。まず、朝日系文人らとコラボして、「対支侵略史」を捏造する。日本国内に「日本は戦時中シナ人民に一方的に迷惑をかけたのであり、1970年代の今日、蒋介石ではなく北京の中共にこそ日本から金一封を送り届けるのが当然だ」という、まったく理屈に合っていない「空気」をみなぎらせる。
 北京はもちろん、その工作のすべてを大歓迎し、田中氏を引き立てることに決める。
 田中グループは、ODAを象徴とする賠償代わりの諸便益を合法的に半永久にシナに向けて供出する財政慣行を固定した。そのマージンの一部が、田中グループに、表向き合法的に、還流するのだ。このプロットに協力し、田中氏を儲けさせ、北京をも悦こばせるアイディアを出す中堅官僚たちには、堅い出世が約束される。
 「日中友好」関係の、官営/半官営/ヒモつき民営の機関が次々に新設され、そのおいしいポストがまた、田中派から官僚に与えられる餌となった。(たぶん金丸信氏は、似たような権益構築パターンを、対北鮮で再現しようと試みて、失敗したのだろう。)
 こうした売国的工作、否、国家叛逆の記録を、げんざいの中共は、もちろんすべて保管していることであろう。したがって、いまごろになって、たとえば安倍総理から「シナの慰安婦プロパガンダに対抗してカウンタープロパガンダを米国で打て」と外務省が命令されても、外務省は、それを実行できるわけはない。もし本気でそんな動きをすれば、北京は田中時代いらいの秘密を、小出しにバラしていくだけだ。うしろぐらい日本外務省は、自国の政府に対して、一貫して面従腹背のサボタージュを続けるしかないのだろう。
 この外務省の売国的工作には、防衛庁を除く多くの省庁が合法的に加担をし、あまりにも多くの与野党の現役政治家が、関与してきた。
 それらを廓清することなく、「スパイ罪」を制定するのは難しいだろう。なにしろいちどスパイになったら、足抜けは絶対にできない。相手国が、それを許しはしない。だから、スパイ罪などが制定されたら、過去にスパイを働いた官僚氏や政治家氏は、まちがいなく、やがて刑務所にいくか、さらにスパイを続けて日本を売り続け、それを別な有力な利害国から指摘をされて社会的に抹殺されるか、道は二つ、ゴールは一つしか、なくなってしまう。
 マック偽憲法を戴いている戦後の日本ほど、スパイ罪や国家叛逆罪が定着しそうにない国家もないであろう。朝鮮総連に破防法が適用できぬのも、総連から逆襲的に過去をバラされると困ることになる人士が、日本には多すぎるせいだろう。
 ところが、日米が航空宇宙および核戦備関連の先端軍事技術で協力するためには、スパイ罪はどうしても必要なのである。それについて、防衛省にはなんの異存もない。しかし、外務省には、異存があることだろう。
 シナは「米空軍恐怖症」に罹っており、F-22のライセンスを日本に供与させないためなら、なんでもやる気だ。おそらく日本外務省も、その工作の手先になれと、はたらきかけられている最中だろう。
 この局面で、外務省の唯一の「抵抗の武器」は、英語になっているのだろう。
 アメリカの権力エリート層はイギリスの権力エリート層と違って、外国語の習得にまったく不熱心だ。国務省すら然り。大統領府は、さらに然り。英語が話せる外国人の使者は、それだけで好感され、優待される。
 これにいち早く着目したのが、シナ人であり、韓国人であり、それに続いていま、日本外務省も、気付きつつあるのだろう。英語でそれらしく要求しただけで、米国務省の下僚や連邦下院議員は、腰軽に動いてくれる。
 北京だけがいくら「F-22を日本に置くな」と叫んでも、アメリカには馬耳東風だったろうが、もしも日本の外交官の口から「F-22を航空自衛隊が持つことは、近隣アジア諸国を刺激し、アジアを不安定化させる」とか「防衛省と自衛隊にはF-22の軍事機密を守る能力はない」と英語で吹き込まれたら、効果はおのずから別だろう。
 おなじく、北京だけがいくら「大東亜戦争についての田中時代の捏造侵略史観を撤回するな」と叫んでも、アメリカには何のことか分からぬだろうが、もしも日本の外交官の口から国務省の小者に対して、「東京裁判史観をくつがえそうという勢力が日本国内にあり、首相までがそれに乗ろうとしているが、この動きは日米関係にとっても米国のアジア外交にとっても、致命的になりましょう。というのは国内に余計な論争をひきおこし、政権を短命にし、アメリカが求めている構造改革が遅れるからです」との警告を吹き込まれたなら、それは国務省の上の方へ、さらには大統領府にまで通じ、「安倍は靖国神社に二度と肩入れするな」との厳命が、ワシントンから下されることにもなるだろう。
 日本外務省は、大本営の対米開戦奇襲に最高幹部が協力した過去を抱えている。その外務省のパリ不戦条約違反をアメリカがおめこぼししてくれた東京裁判を、シナといっしょにマンセーし続けなければならない立場にも置かれている。そんな過去を呼び醒まされる靖国神社には、彼らは関わりたくはないのだ。
 いよいよ防衛省には、覚悟が必要だ。