「新々・読書余論」――『アセチレン・ガスの初歩』(1909年改訂版)

 オンラインで読めるようになっている本邦未訳の珍古書を、摘録をまじえて恣意的に短くご紹介する「ちんこハンター」最新弾です。
 AIを使った下準備の全文訳を、上方の篤志機械翻訳助手さまにお願いしました。
 なお、図版類は省略しています。
 テキストを公開してくださっている「プロジェクト・グーテンベルグ」さまはじめ、各位に御礼を申し上げます。

 原題は、『Acetylene, the Principles of Its Generation and Use』です。

 著者は、F. H. Leeds と W. J. Atkinson Butterfield のふたり。ただしリーズさんは1908年に急逝しました。
 リーズさんは、『アセチレン』という専門雑誌の編集部にいた人。
 バターフィールズさんには『ガス製造の化学』という著書があります。

 1903年の初版では、カルシウムカーバイドと水からどのようにアセチレンが生成されるかの説明から始め、白熱照明その他に利用する人を教育しました。
 異なる有効圧力でアセチレンを供給するための主管および供給パイプの適切なサイズの表を載せたのが、親切ポイントでした。アセチレン照明システムの設置に関わる業者を、大いに助けたはずです。

 英国では、照明システム用に、石炭ガスやオイルなども使われているが、最小の燃料容積で最も明るく照らしてくれるのは、アセチレンである。蝋燭よりも、体積あたり、明るい。

 ということは、ビルの建設のさいに設備が必要なガスタンク(ガスホルダー)のサイズも、最小にできるということ。

 アセチレン・ガスの売り物としてのコストは石炭ガスよりも高いが、その生成はじつに簡単であって、カルシウムカーバイドを輸送するコストも低い。だから、石炭を原料とした石炭ガスよりも、総合的には経済的である。

 アセチレンの燃焼は安定的であって、自己持続し、ちらつかない。燃焼時の騒音も、石炭ガスのバーナーよりは抑制されている。しかも、光が白くて柔らかい。
 また、石炭ガスやオイル・ランプよりも、空気を汚さない。

 アセチレンの1体積が完全に燃焼するためには、2.5体積の酸素を必要とする。大気の中には、21体積の酸素と、79体積の不活性ガス――主に窒素――がある。アセチレンの1体積の燃焼過程で、約11.90体積の空気が、人の呼吸には適さなくなるわけだ。

 石炭ガスは、燃焼時にその体積の約6.5倍の空気しか必要としないのであるが、体積あたりの光量がアセチレン・ランプの三分の一から十五分の一と暗いために、けっきょく、アセチレン照明以上に空気を損なってしまう。

 アセチレンの1体積は、燃焼時に2体積の二酸化炭素を発生する。石炭ガスの1体積は、約0.6体積の二酸化炭素を発生する。

 かつて、実践的に達成が可能な最高のレベルまで精製されていたロンドン市の石炭ガスは、平均して100立方フィートあたり10から12グレインの硫黄しか含まず、実質的に他の不純物を含まなかった。
 しかし、現在ロンドンおよびほとんどの地方都市では、石炭ガスは100立方フィートあたり40から50グレインの硫黄を含む。

 一部の都市では、石炭ガスに100立方フィートあたり少なくとも5グレインのアンモニアも存在する。

 粗アセチレンも、硫黄およびアンモニアを含み、現在良質のカルシウムカーバイドから来るものは100立方フィートあたり硫黄を約31グレインおよびアンモニアを25グレイン含む。

 粗アセチレンは第三の不純物、すなわち石炭ガスには混じらないホスフィンまたはリン化水素を伴う。それはアンモニアまたは硫黄よりも、好ましくない。
 これら不純物の除去方法は、第V章を見よ。

 本書は主張する。等しい照明効果を得るのに、アセチレン照明の方が、石炭ガス灯よりも、室内の空気を悪くしないようにできる。

 石油ランプは、ほやの日常的な清掃を要求する。また、住居内全体を石油臭くしてしまう。
 アセチレン照明システムは、パイプ継手作業が適切に行われていれば、臭いをまるで伴わない光を提供できる。清掃の手間はゼロである。

 大邸宅のランプ室は、可燃性オイルの貯蔵と、油まみれのぼろ布のコレクションにより、火災のリスクを常在化させる。

 アセチレンのガス発生器小屋は、本邸からある距離の別棟に設備されるので、安全であり、また、ガス発生時の臭気は、屋内にはこもらずに、すぐ屋外へ消散する。

 アセチレンは燃焼時に石炭ガスの約3.5倍の熱を発生するが、光の量と質が優れているので、石炭ガス照明バーナーよりも、同じ照明仕事をさせたとき、排熱量は減る。ただし、電気ランプよりは、3倍の廃熱があるであろう。

 生火の照明は、屋内の天井を黒く汚すか? じつは、今日の商業的な生火照明は、黒煙・煤・炭素を、ほとんど発生させてはいない。しかし、室内の空気中の塵を、長期間、天井の一点に吹き上げ、吹き付ける対流を起こすことにより、必然的に、天井がすすけてくるのである。

 アセチレンの焔を通過した空気は殺菌される。

 げんざい、照明用の石油、ケロシン、またはパラフィンオイルの産地は、米国ペンシルベニア、ロシアのコーカサス、およびスコットランドぐらいに限られている。

 20キャンドル光量相当の大オイルランプは、燃料1ガロンあたり約55時間燃焼する。
 大ランプは、大邸宅の玄関ホール、リビングルーム、キッチンで使用される。下層階の通路や小部屋には、ずっと小さいランプが使われる。

 ろうそくは、下層階が石油ランプで照明されている邸宅の寝室で使用されるものである。
 もし、そのような家にアセチレン・システムが設備される場合、それは主要な寝室およびドレッシングルームだけでなくリビングルームにも採用される。
 ディナーの前に着替えようとする女性は、ランプの光量ではまったく不満に感ずる。

 実感では、30本の良いろうそくが、大オイルランプや、アセチレン室内照明に匹敵する。

 アセチレンを水と反応させて得る原料は、カルシウムカーバイドと呼ばれる固体である。
 現在、この物質は電気炉でのみ商業規模で製造されており、将来的にも電力以外で大規模生産される可能性はほぼない。
 その電気炉は、安価な石炭または水力が豊富な大規模工場でのみ経済的に稼働可能であり、一般消費者が自らカーバイドを製造することは不可能である。

 カルシウムカーバイドは現在、水や含水液体、吸湿性固体、結晶水を含む塩と反応させてアセチレンを発生させる以外にほとんど用途がない。
 将来、価格が下がれば、さらなる利用可能性も増えるだろうが、そうならないうちは、アセチレン生成以外の用途はない。

 カルシウムカーバイドは、水と接触すると可燃性、場合によっては爆発性のガスを発生するため、建物内に存在すると火災リスクが増すと誤解されている。
 実際には、水がなければカーバイドは完全に不活性である。火災現場から複数回、カーバイドのドラム缶が無傷で回収された例がある。

 1ポンドの小缶(自転車照明用など)を除き、カーバイドは頑丈な鉄製ドラム(リベットまたは折り目接合)に詰められる。その蓋が外れていなければ、気密・防水であり、消防ホースで注水しても問題ない。

 いちどドラムを開封して内容物の一部を使用した場合は、火災リスクだけでなく大気中の水分による劣化を防ぐため、蓋を再度、気密に封印(ただし半田付けはダメ。加熱で開いてしまうから)するか、残りを完全に密閉可能な別容器に移すことが推奨される。
 ある種の特製ドラム缶は、開封後も気密に再封可能である。

 さらに、安全弁付きの容器を使用すれば、急激な加熱による空気・アセチレンの膨張による破裂リスクを排除できる。

 英国の多くの地方自治体は、カーバイドの保管に規制を設けている。たとえば5ポンド超の保管には、許可証が必要だ。

 1分子のカーバイドは、1分子の水と反応し、1分子のアセチレンと1分子の石灰を生成する。
 水が過剰なら、余剰水は未反応のまま。カーバイドが過剰なら、余剰のカーバイドは未反応のままだ。

 カーバイドと水の反応は、大量の発熱を伴う。
 水を過剰に存在させておくことが、安全につながるだろう。

 カルシウムカーバイド1分子量が分解され、アセチレン1分子量が生成されると、水の2分子のうち、1分子のみが分解され、もう1分子は水酸化カルシウムに移行する。

 カーバイド64gを水で分解、または水18gをカーバイドで分解(いずれの場合も副生成物は水酸化カルシウムまたは消石灰であり、後者の場合はさらに18gの水が必要)する際、29.1大カロリーが放出される。

 水酸化カルシウムを完全に溶液状態にするのに十分な水が存在する場合、放出される総熱量は3カロリー増加し、合計32.1大カロリーとなる。

 28大カロリーの熱量は、水1000gを28℃上昇させられる。

 カーバイドの装置は、大きいほど、水を余計に存在させる必要がある。

 ※兵頭いわく。本書の後半部のほとんどを省略します。今日、世界的に工業火薬が不足しつつあるため、重量2トン前後もある片道特攻無人機を1基のカタパルトからたてつづけに何十機も発進させようと思ったら、「火薬を用いるRATO」ではない、なにか別な離昇アシスト手段が必要です。カーバイド反応は昔からよく知られているもので、レアな物質は一切必要としないで、安価に、即席に「高圧水蒸気」を得られる手段にできるのではないかと直感します。「火薬を用いない蒸気ピストン」、それも、「燃料」のカプセルを1回ごとに使い捨ててしまうようなやり方が、可能なのではないでしょうか?


タイヤが重くて交換作業に難儀している初老の皆様に朗報。

 軽自動車ならば今でも平気でなんとかなろうけれども、普通自動車のタイヤは重い、と感じられる今日このごろ・・・。
 何がキツイかといって、ボルトの穴を合わせるときに、しゃがんだ姿勢でタイヤを数十センチ、床面から離して浮かせ、体前に保持し、なおかつ、薄暗いガレージ内で、5ツ穴と5本のボルトの位置を篏合させねばならない、その十数秒間。視力が衰えているために、この「垂直空間」の微調整に起因する心身の疲労が、翌日にずし~ん、と来てしまうのだ。

 これは参ったと感じた小生は、そこで昨年6月にオートバックスに立ち寄った折に、6290円のエマーソンのタイヤリフター「クルピタ丸」とかいう、タイヤ交換作業の補助具を見掛けて興味を抱き、買ってしまったのであった。

 このほど、夏タイヤを冬タイヤに換える作業にあたって、初めて、この秘蔵のツールを使ってみた。

 結論。これはイイ。
 わたし的には、ボルトとホイールの穴位置との微妙な高低差のすり合わせは、リフターの転把をくるくると廻すよりも、車体を持ち上げているジャッキを操作したほうがてっとり早いぞ、と思った。

 このツールのおかげで、今回、腰の負担は覚えなかった。また、タイヤ溝に挟まった小石の除去作業も捗った。タイヤを接地させて回転させる必要がないのだ。ラッキーな買い物であった。

 ただし、真に「面倒くさがり」の人は、このツールを最初に買ったときの「組み立て作業」で、厭になってしまうかもしれぬ。そのおそれある人は、買い上げた販売店のその場にて、ツールを組み立ててもらうようにするのが、「吉」であろう。

 次。
 TWZニュースレター の2025-10-31記事。
  8月いらい、露軍は「9M729」という巡航ミサイルを数十発、ウクライナ領内へ射ち込んでいるという。

 この巡航ミサイルは、INF条約に違反する性能をもっている。それをロシアが部隊配備したことから、米政府は2019年に、INF条約から離脱したのだ。
 ロシアが今それをばんばん発射しているということは、米国に対する挑発的な誇示なのである。

 NATOコードは「SSC-8 スクリュードライバー」。実戦に使われたのは、8月21日が最初だ。
 それいらい、23発が、飛来している。

 クレムリンは8月4日、旧INF条約の制約を超えた射程を持つ核搭載可能なミサイルの配備を制限しないと発表した。

 ロイターによると、10月5日に飛来した「9M729ミサイル」のうち1発は、落下までに1200km以上、飛行しているという。
 INF条約では、地上発射型ミサイルは500kmしか飛んではいけないことに決められていた。ロシアは、最初からそんな条約など守る気はなかったということが、またしても証明された。

 CSISの見積では、9M729は実際には2500kmのレンジがあるという。
 IISSのダグラス・バリーは、2000km以上は確実だと言っている。

 ※トマホークは、海上から発射するものは何千km飛んでもお構いなしだが、陸上から発射して500km以上飛ぶものだと、それはINF条約に違反することになってしまう。その点からも「地ージス」の《何でも発射できますラーンチャー》は、筋悪だったのである。敵国からの余計な誹謗中傷を、惹起してしまうのだ。


輸入された300台以上の中国製の乗り合いバス(電気自動車)が、メーカーからのリモコン信号によってスイッチ切断できる仕様であると分かり、ノルウェー政府がサイバー・リスクの調査開始。

 手っ取り早い対策は、車両固有の通信機からSIMカードを抜いてしまうことだという。

 次。
 Vladyslav Khomenko 記者による2025-10-30記事「Bradley Field Workshops: Rheinmetall to Create Infrastructure for Rapid Repair of Armored Vehicles in Ukraine」。
  ラインメタル社は、米国製のブラドリー装甲車を、移動式野戦修理工作車に改造する注文を3100万ドルで受けた。
 この改造野戦修理車は、米陸軍とウクライナ軍が、使う予定。

 2027-3には、米軍によるテストが始まるであろう。

 ※ブラドリーもFPVドローンには襲われてしまうのだが、ヒットされても車内の完全破壊は免れる。そこが、高く買われていることが分かる。

 ※今回のAPECにやってきた熊プーは、開催地が微妙であったためなのか、彼らの常套である「揺さぶり演出」ができず、調子が出なかった。もし首脳会談が中共領内でなされたのならば、「神舟」の打ち上げや、新型ステルス軍用機の初飛行などが、そのタイミングでなされたはずだった。身構えていた全員が拍子抜け、といった格好で、トランプがGoサインを出した韓国向け原潜燃料支援方針だけが、一定の余韻を残した。


「新々・読書余論」――『1889年のエッフェル塔のエレベーター』(1961年刊、Robert M. Vogel著)

 オンラインで読めるようになっている本邦未訳の珍古書を、摘録をまじえて恣意的に短くご紹介する「ちんこハンター」第四弾です。
 AIを使った下準備の全文訳を、上方の篤志機械翻訳助手さまにお願いしました。
 テキストを公開してくださっている「プロジェクト・グーテンベルグ」さまはじめ、各位に御礼を申し上げます。

 原題は、『Elevator Systems of the Eiffel Tower, 1889』です。
 著者は、スミソニアン協会米国国立博物館の機械・土木工学副館長である由。
 1889年のエッフェル塔に備えられていた、3タイプの昇降機を調べた。

 注目すべき理由。1889以前だと、電力モーターが普及する前であること。塔の脚部の曲率にエレベーター・シャフトを沿わせるという、今日では選ばれない技法にチャレンジしていたこと。

 1832年にウェールズのエンジニア、リチャード・トレヴィシックは、高さ1000フィートの円錐形鋳鉄塔(計画は中止)のために、構造物の空洞中心管内で圧縮空気によって上方に駆動されるエレベーターを構想した。これが頓挫し、プロジェクトが忘れられたのは、彼の評判にとって幸運であった。

 19世紀初頭から、さまざまな形態の動力駆動ホイストとエレベーターは使用されている。
 巻上ロープの破断のリスクは、除去されなかった。だからそれらは、工場や倉庫で、人ではなく貨物を垂直移動させる役目に、使われることが多かった。

 筐体が落下する事故を確実に阻止してくれる、最初の実用的な安全装置を考えついたのが、ニューヨーク州ヨンカーズの機械工エリシャ・G・オーティス(1811~1861)である。

 アメリカ合衆国では、1855年に、最初の貨物用のエレベーター・システムが据え付けられた。それは蒸気ピストン動力を使うものだった。
 乗客用の、最初のエレベーターが、何だったのかは、つきとめられぬ。しかし、おそらく1857年、オーティスがニューヨーク市街の店舗に設置したものであったろう。

 南北戦争後の10年間に、高層ビルがしだいに出現し始め、ホテルや店舗の経営者は、機械によって顧客を地面から1階か2階上げることで得られる商業的利点を徐々に認識するようになった。初期には蒸気が動力だったが、ビルの高さが増加するにつれ徐々に、油圧、さらに最終的には電気システムに、置き換えられた。

 液圧エレベーターを工業的に実用化させたのは、大砲で有名なウィリアム・アームストロング(1810~1900)であった。1846年、彼は、丘の上200フィートにあるタンクからの水圧を利用した水力クレーンを開発した。

 超高層ビルが、エレベーターの発明を促したのではない。反対に、エレベーターの継続的な改良が、ビルの軒高の急速な増加を可能にしたのである。

 欧州人は、エレベーター筐体をケーブルで吊る方式を、本能的に信用しなかった。

 電気モーター動力で昇降するシステムを最初にこしらえたのは、ドイツの電気技師ヴェルナー・フォン・ジーメンスその人である。彼は1880年にモーターとデッキ下のウォームギアによってラックを登る車を実験した。

 エッフェルは、塔の昇降機については、バックマンという人物に任せようとした。
 バックマンは当初、ねじとナットの組み合わせて、筐体を「ねじ上げる」システムを考えた。

 オーティスのヨーロッパ支店であるアメリカン・エレベーター・カンパニーは、当初、規定によって入札に参加ができなかったが、フランス国内では塔の昇降機は調達できないとわかったときに、契約をかちとった。1887年7月のこと。

 オーティスは、急勾配を上下するケーブルカーに似たシステムを提案した。動力は油圧。

 フランスの面目を保つため、東と西の橋脚に据えられた国産のエレベーターが、塔の第1段階まで、来場者を運んだ。

 第2プラットフォームから上への垂直輸送は、レオン・エドゥーのプランジャー・システムとした。水圧動力利用。
 エドゥーはエッフェルの古い学友で、フランスで数千のエレベーターを建設していた。

 脚注。ワシントン記念碑内には、工事の材料を上げるため、1880年にエレベーターが設置され、その後、乗客サービスに切り替えられている。毎分50フィートのスピードで、高さ500フィートまで持ち上げた。

 脚注。電気動力エレベーターの今日的な完成体は、1904年にオーティスがシカゴの劇場に初めて設置した。モーターはケーブルを巻き取らない。送って動かしてやるだけ。ケーブルの他端が、カウンターウェイトに取り付けられている。100フィートを超える上下のためには、長い間、この方法しかなかった。

 《完》


「新々・読書余論」――『達人釣り師がきわめたフライ・フィッシング術伝授』(1825年刊、Robert Venables著)

 オンラインで読めるようになっている本邦未訳の珍古書を、摘録をまじえて恣意的に短くご紹介する「ちんこハンター」第三弾です。
 AIを使った下準備の全文訳を、上方の篤志機械翻訳助手さまにお願いしました。
 テキストを公開してくださっている「プロジェクト・グーテンベルグ」さまはじめ、各位に御礼を申し上げます。

 原題は、『The Experienced Angler; or Angling Improved』です。
 注目点は、英本土の内水における当時の擬似餌針フィッシングでしょうか。生き餌釣りのコツは、数百年ではあまり変わらないでしょうからね。

 原著者のヴェナブルズ大佐(一時は将官)は、1654年の対スペインの遠征において、武運に見放されてしまった人のようで、あまり詳しい事歴が伝わっていません。しかし彼が1662年に印刷して販売した貴重なテキストを、後世の釣り界の権威アイザック・ウォルトンがめざとく発掘し、編纂・出版させました。
 つまり、17世紀時点での最先端の釣りのテクニックが、19世紀に改めて斯界に共有されたらしい。

 古諺にいわく。「趣味については争うべからず」。
 原著者いわく。鷹狩りと狩猟にくらべて、釣りの趣味は、なんだか貧乏くさいと思われている。
 だが釣りは、無害であって、誰でもすぐにできるし、他者とは争わないのだ。
 釣り糸を垂れて何も釣れずとも、川辺の散策は面白く、感覚はよろこびに満たされるであろう。

 釣りの門外漢に必要なのは、率直に技術を伝授してくれる、正直で熟練した釣り人である。それが私だ。

 人造ハエ(疑似餌針)を使う場合、それを絶えず水面で動かせ。特に暗い日、水が濁り、風が吹いているとき。
 雨で濁った川で釣るなら、普通より大きな体の疑似餌にしなくてはいけない。さもないと水中の魚が、見つけてくれない。
 擬似フライは、その色の目立ち度(明るさ)を三段階、違えたものを、あらかじめ用意して行くべきである。

 水が透明なら、小さな体の細い翼のハエ。
 暗い天気および暗い水では、ハエも暗く。

 羽虫模型の腹の色が重要である。魚が最も見るのはそこだから。
 擬似餌針で釣る時、糸は竿の長さの2倍でよい。

 投げたとき、フライが糸よりも先に水に落ちるようにせよ。糸が先に落ちてしまうと、それが魚を驚かせる。そのさいには、引き戻し、再び投げたまえ。

 旱魃で大地が乾燥し、川の流れが普段よりはるかに弱い時、釣りを試みても無駄である。

 羊飼いや農民が羊を洗う時、その洗いはじめには、魚が非常によく釣り餌を食う。羊から落ちる汚れが、撒き餌のように魚を引き寄せると考えられる。

 どんな魚も産卵後、強さと食欲が回復するまで、ほぼ何も食わない。

 夏の真っ只中でも、雨雲が近づくや、魚は食わなくなる。魚は人よりも早く、突如、嵐の接近を覚り、安全を求めて隠れる。

 突然の激しい雨で川が少し濁り、水位が上がったとき、その雨中または直後に、赤虫の生き餌で、よく釣れる。

 絹糸に靴屋の蝋を塗ると、喰いつきがよくなる。

 魚や魚卵を食ってしまう獣や鳥はすべて射殺するとよい。特にカワウソ。
 もっと憎むべきは、網を使う密漁者である。

 最初に釣った魚の腹をナイフで解剖し、慎重に、消化管内を検分し、今日は何を喰っているのかを見極めるべし。たとえば、水面の羽虫を食べているのか、それとも水底の川虫を食べているのかが、分かるから、続く釣り餌の選択で、無駄をやることはなくなる。

 太陽や月は、正面に置け。さすればあなたの振り回すロッドの影で、魚が驚くことはないだろう。

 マス釣りでは一箇所で4回キャストして駄目なら、河岸を変えな。

 ペーストには、亜麻、綿、羊毛などの繊維を加えて練っておけば、針から脱落しにくくなる。

 あなたが苦労をして釣った魚でも、病者や貧しい者がそこにいたならば、喜んで配分してやれ。
 娯楽を職業にしてはならない。過度な愛が、自他ともに不愉快にしてしまうのがオチであろう。

《完》


「新々・読書余論」――『罠の科学』(1909年刊、Elmer Harry Kreps著)

 オンラインで読めるようになっている本邦未訳の珍古書を、摘録をまじえて恣意的にご紹介する「ちんこハンター」第二弾です。この要約については、AIへは委託していません。というか、石器時代人の愚生には、その操作の仕方がどうもよく分からない。とにかく手続きが面倒すぎるんだよ! 容量制限とかありやがって、ゆるせねえわ。テキストを公開してくださっている「プロジェクト・グーテンベルグ」さまには、御礼を申し上げます。

 原題は、『SCIENCE OF TRAPPING ―― DESCRIBES THE FUR BEARING ANIMALS, THEIR NATURE, HABITS AND DISTRIBUTION, WITH PRACTICAL METHODS FOR THEIR CAPTURE』。
 このうちの、特に第12章の「The Bear」の内容に注目します。さっさと日本の熊どもを根絶するためにね!

 原著者はみずから、北米の罠猟師。大小あらゆる野生動物を捕獲し、その毛皮を売って商売している。インディアンの罠猟に随行して勉強も重ねて来た。だから、内容は、信用できる。

 かつて、鋼鉄製のトラップ――とらばさみのようなものや、弾撥ピンチのねずみとりのような構造――が適価で市販されていなかった頃は、「deadfall」(圧殺罠)や「snare」(括り罠)が多用された。しかし今日では、スチール・トラップが全盛だ。安く手に入り、高機能なので。

 スチール・トラップの主流形態は「jaw trap」(トラ挟み)である。餌ありでも餌なしでも機能し、水中にもそのまま仕掛けられる(ビーバー用)。大型獣にも、小型獣にも、対応する製品がある。

 オーストラリアとアフリカには、クマはいない。

 チベットにもボルネオにも熊はいる。
 ボルネオの最も小型のクマは草食性である。攻撃性も低い。

 北極ぐまは冬眠せず、まったく草食しない。

 アメリカ黒熊はメイティング・シーズンが6月から8月。仔熊は通常2頭が翌年の1月から3月に産まれる。Den=巣穴は大概、地表の穴や地物を利用しているが、木の洞[うろ]を使っていることもあり。

 「熊道」は、他の獣道とは容易に区別がつく。沿道の樹木にマークが認められるから。
 それは、一定のインターバルで認められる。
 クマは後ろ脚で立ち、樹木の外皮をぐるりと1周、齧り取る。地上から5フィートぐらいのところだ。
 このマークは、メイティング・シーズン中に付けられる、と原著者は聴かされた。

 熊道を熊が頻繁に通るのは、春から夏にかけてである。

 熊の大好物は魚である。

 熊は例年、11月15日に体重と栄養のピークに達する。
 北方の熊は6月15日までは、毛の生え変わりのための脱毛が始まらない。だから毛皮猟師にとっては、春に仕留めるのが有利なわけだが、罠に容易にかかってくれるのは、秋である。

 黒熊用のトラバサミは、商品番号が Nos. 5 、 15 、 50 、そして 150 Newhouse である。
 より大型のクマ用鉄罠としては、 No. 6 が使われることもあるが、グリズリー用は、 No. 5 でいい。

 「NEWHOUSE NO. 5 TRAP」は、顎を開いたときの大きさが11と「3/4」インチ。重さ19ポンドだ。チェーン付属。

 熊用の罠は、陣地の築城が必要である。
 古い丸太を使って、一方が開放されているV形の「板囲い」を構築し、その奥へ、誘いこむのだ。
 奥行は、8フィート。
 間口は2~3フィート幅とせよ。

 高さは3フィート。特に奥の丸木組の高さは3フィートにする。
 入口付近はももうすこし低くても可い。

 ベイト(誘引餌。生き餌のことあり)は、最も奥に縛り付ける。そして虎挟罠は、入口の付近に仕掛ける。

 良く撓[しな]る、長さ8インチの小枝。これでトラップのPan(踏板スイッチ)を下から支持させておく。これは、野鼠のような小動物が踏んでも作動しないようにするため。枝の一端は地面にしっかりと突き刺す。他端は曲げて、Panを下から持ち上げるように、ひっかけておく。

 セオリーでは、25ポンドの重さがかかっても、作動しないようにするべきであるという。しかし原著者の観察したところでは、多くの罠猟師たちは、もっと軽い踏み圧でも作動するようにしている。

 あたりまえの話だが、Panの設定作業をするときは、常に、罠の顎の裏側から手を届かせるようにする。

 しかけた罠の、ほとんどの部分は、枝や落ち葉で覆い隠す。
 Panの表面には、苔をかぶせておくと、熊は安心してそこを踏んでくれるという。
 罠猟師によっては、囲いの内側の地面に、尖った短い枝(長さ6~8インチ)を植立し、熊の脚がおのずから、そこを避けてPanの上に来るように「小径」を整備する。

 罠は、鎖によって、立ち木や clog (繋ぐ重し。重い材木や岩でも可い)に結びつけておく。

 熊は学習する。一回逃したら、同じ場所に罠を仕掛けても無駄である。
 熊道を探せ。ベストなロケーションは、「水溜まり」に通じている区間である。

 そこは、他の人間が通りかかるような場所であってはならぬことは、申すまでもないこと。
 ある猟師は、「丸木囲い」は用いず、ベイトを、森林中の高さ6フィートの空中に吊るして、その真下に、虎挟みを置く。

 「deadfall」(圧殺罠)や「snare」(括り罠)で熊を取ることも可能である。しかし連日頻繁に見回りをするロケーションでない限り、得策ではない。発見したときに毛皮がひどく傷んでしまっている確率が高い。

 ベイトには、魚が最善である。次善なのは、ポーク(塩まぶしでもよいし、生肉でもよい)。マトン、ビーフも可なり。
 同類の熊肉も、ベイトになることは覚えておけ。
 蜂蜜にも、かなりの誘引力がある。

 匂いで誘うなら、「フィッシュ・オイル」、セリ科植物のアニスの油など。
 ある種の「raccoon」の匂いもクマを安心させるという。これは、北米の各地では、現地種の「raccoon」とクマ類とが、利益共同体のような関係を作っているからだという。

 注意。ここで言っている「ラクーン」は「badger」(アナグマ)のことではない。

 《完》


フィラデルフィア港には、長らく閉店状態の米海軍工廠があって、そこにHanwhaが投資して「Philly Shipyard」を開業しているが、今は商船専用であり、原潜建造のための設備は無い。

 つまり米造船業のために韓国が1500億ドルを投資しますよというその内実は、軍艦を建造するインフラが備わっていない韓国資本のフィラデルフィア造船所を、軍艦(理想的には原潜だが、かなりハードルは高かろうと予想)が建造できるまでに機能拡張しますよということだ。

 ジョージア州のヒュンダイ工場と、同じ風景になるのではないだろうかと私は想像する。米国内も人手は不足なので、韓国人の職工をおびただしくそこに連れてくるしかないであろう。それはしかし、トランプとのディールによって、「問題はないよ」というお墨付きが、先行して、得られたから、これから、堂々とやれるはずだ。

 さらに10年後を予想すると、「Philly Shipyard」では、けっきょく原潜は造られないと思う。しかし、そこまでの過程で堂々と原潜のノウハウを米海軍から吸収できた韓国企業が、韓国国内の造船所で、勝手に原潜第1番艦を建造してしまうことになるだろう。その建前は、あくまで「2番艦」として事業をスタートさせたのでしたが、「米国造船所での1番艦の事業が遅れてしまっているために、仕方のないなりゆきで、こっちが先となりました」ということにするわけ。米政府の公式のお墨付きが2025年に与えられているので、それを2035年に米政府が止めることはできないのである。

 次。
 Sania Kozatskyi 記者による2025-10-30記事「Germany to Buy 12,000 Kamikaze Drones ―― Brigade on the Border with Russia First to be Armed」。
  ドイツ軍は、これから数億ユーロの予算で、1万2000機の自爆型ドローンを調達する。
 国内の3企業、ヘルシング社、スターク・ディフェンス社、ラインメタル社が、それぞれ3億ユーロ規模で受注する。

 製品は、一部だけが即納される。残りは、完成後、無期限に企業内の倉庫に保管される。というのは、ドローン戦争の世界では、ソフトウェアやハードウェア(特に通信関係)が日々、進化し続けているので、メーカーの手元に置いて、逐次にアップデート改修を施すようにすることが、合理的だからだ。この流儀は、ウクライナで実行されていて、正しいことが証明されている。

 ウクライナ戦線では、両軍によるイノベーションが数週間サイクルで発生し続けている。軍の倉庫に収めてしまったら、そのイノベーションに追随することはできず、倉庫内において、すべて、ジャンクの山と化してしまう。

 なお、この話とは別にドイツは、イスラエル製の「スパイク」対戦車誘導ミサイルを20億ユーロで購入する。これも、非常にレンジが長く、ほとんどロイタリングミュニションのようなもの。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2025-10-29記事「China Building SAM Sites That Allow Missiles To Be Fired From Within Bunkers」。
  9月に民間の偵察衛星が撮影した画像から、カシミール高原に隣接するチベットの2箇所の基地にて、中共軍は、SAMを地下シェルター内に収容し始めたことが分かった。発射も、地下からそのままできるようにしていると思しい。

 場所は、ひとつはガー郡、ひとつはパンゴン湖の東端付近。
 SAMは「紅旗9」。これは露軍のS-300Pシリーズの後期モデルと似る。

 TELごと地下壕に入れてしまい、発射時にはシェルター天蓋をオープンにする。すべて垂直発射である。


Electromagnetic-induction driven single crawler track may be an all terrain self-propelled catapult for heavy UAVs.

1条の無限軌道履帯だけからなる、地上の自走体。このクローラー履帯の駆動力として、電磁誘導を用いる。(メリットのひとつは、もし履帯に横方向の不意の力が加わり、スプロケット・ホイールやアイドラー・ホイールやガイド転輪から外れそうになっても、電磁力がそれを正中位置に引き戻してくれるので、「履帯脱落」は起きない。)

 この電磁式「モノ・トラック」の履帯の上面の上にある「台座」に、これから離昇させたいUAVを、クラッチ結合する。自走体の両側面から、それぞれ側方の斜め上へ、支柱が延び、その上に「台座」は固定されている。台座の下面と履帯上面との間には、合理的なクリアランスが保たれている。

 また、自走体の両側面から、それぞれ側方の斜め下へは、「補助輪」も突き出している。この補助輪は、高速前進中は、左右ともに地面から浮く。

 「台座」後端は、履帯後端よりもやや後方まで延び、「斜路」のように下垂しているので、1トン以上あるUAVを、台座上に載せる作業は、はかどる。

 この「mono-track」の全長が、仮に10mしかなくとも、それ自体が自走前進するため、「理論上の滑走路長」は、随意に延長し得る。

 電磁力によって履帯を駆動させて徐々に加速し、離昇速度に達したところで、台座のクラッチ金具を解放すれば、UAVは離昇する。

 このシステムのメリットは、正規の飛行場ではない、非舗装の道路や放牧場のようなところからでも、重いUAVを射出できることである。
 そして、ある程度の傾斜地形すらも、UAV射出場として、随意に利用ができるようになるであろう。

 また、もし「モノ・トラック」の前路に、敵の爆撃などによって不意に瓦礫が堆積しても、無限軌道の電磁クッション機能が、そのバウンドを吸収してしまえる。

 次。
 Anzhelika Kalchenko 記者による2025-10-29記事「Russian Troops Use “Goat” Tactic: Disguising Soldiers as Civilians Near Pokrovsk」。
  ドイツ・メディアの『ビルト』によれば、ロシア軍はいよいよ、戦時国際法違反の「便衣」兵を、堂々と使い始めている。

 男女のロシア兵が、軍服を一切着用せず、ドローン偵察機からは民間人としか見えないような服装で、軍務に従事している。特にドネツク戦線。


「新々・読書余論」、始めます。

 オンラインで読めるようになっている本邦未訳の珍古書を、要約と摘録によって1冊ずつご紹介して参ろうと思います。要約は小生がしておりますが、その前段階の欧文和訳作業には、各種のAIを駆使できる有り難い方々のお力添えを、忝うしました。卒爾ながら一括して御礼を申し述べます。

 「こうした資料があるよ」という情報さえ、簡略に案内がされたならば、あとは、ご関心おありのめいめいが、各自にアクセスしてAI翻訳を試みたら可いわけでございましょう。

 まず初回は、Dillon Wallace氏著の『Packing and Portaging』(1912刊)です。
 この原著者さんは、ほとんど命知らずと評し得るほどのレベチなアウトドア野郎で、NYCを拠点にし、南米ラブラドール荒野や、ロッキー山脈などまで広く跋渉した人。しかし本業は弁護士でしたので、言っていることに説得力があるのです。

 登山用語の「パック」は、馬の荷物のことも言う。
 「ポーテージ」とは、カヌーでの探検中、内水航路が行き詰まって、短い区間、カヌーと荷物を担いで陸送しなければならない区間のことを言い、また、そうする行為の動詞でもある。

 全長16フィート×幅33インチ×深さ12インチ以上のカヌーは、2人の人間と、10週間分の食料を積載できる。
 3人乗りのカヌーも可能だ。数値は省略。

 長期の巡航旅行では、予備のパドルも1本用意せよ。
 急流遡航には「ポール」を使う。その材は、現地で切り出せばいいのだが、先端にスパイクを固定する必要がある。

 ロープは直径1/2インチのものを100フィートほど用意せよ。

 全長24インチまたは28インチの、3/4サイズの斧が、キャンプ用斧として使い勝手が良い。
 斧は「2本用意すべきであり、そのうち1本は短いハンドル、もう1本は少なくとも24インチ、できれば28インチのハンドルを装着したものが望ましい」。
 このサイズ未満の玩具級の斧しかなくば、夜のキャンプファイヤーは諦めるしかない。

 水に浮くタイプの石鹸があり、これを推奨する。沈んでしまう石鹸に比べて紛失する可能性が低いので。

 ブヨや蚊から頭部を防護するには、肩にかぶるタイプの黒いボビンネットに腕の下を縛る紐をつけたものが最適。

 ハエ避けの薬を事前に用意できなかったときはどうするか。あるインディアンから教わったこと。脂肪の多い塩漬け豚肉の皮をポケットに入れ、時折その脂ぎった面を顔や手に擦りつける。

 革製の銃ケースは濡れると重くなるのでダメ。キャンバス製ケースにすべし。

 ライチョウを撃ちたいのなら、「.22口径」のシングル・アクションの長銃身ピストルが、携行していて負担にならない。

 重量物を一人で運搬するスタイルとして、「タンプライン」に是非、習熟すべし。
 背負子の一種だが、革製の幅広の帯を、前額部の高い位置で前に押し、首の強力な筋肉によって負荷を分担する。肩紐やその他の補助具は一切必要ない。

 カナダのハドソン湾会社の荷運び人や、インディアンたちは、すべての肩掛け式運搬具を排して、タンプラインのみを使用している。
 タンプラインを使い慣れた熟練の荷運び人は、180kg以上もの荷物を平気で運んでいる。著者は、1名の熟練者が260kgを背負う光景を見たこともある。

 タンプラインの頭帯は、長さ約45~60センチメートルで、幅広の革帯。その両端に、通常2m強の革紐がある。したがって全長は4.8m。
 よくできたタンプラインは、荷担ぎ後に、バックルで長さ調節ができるようになっている。

 初心者は、まず30kgの荷物でタンプラインに慣れよ。それを2週間続ければ、45kgの運搬が苦にならなくなる。
 肩だけだと、23kgまでが、人が快適に負担できる限界の重さである。

 「経験豊富なポーターでハーネスを使用する者はいない」。
 タンプラインは、緊急時に簡単に安全に荷物を脱することができる。ハーネス系背負子では、そうはいかない。

 カヌーのヒビ割れを修繕する方法。トウヒの樹液が入手できる地域では、フライパンで樹液を加熱し、冷ましながら、硬くならぬ程度の油を加える。樹液が熱いうちに傷口に注ぎ、開口部にしっかりと流し込んで外側にも均一に塗り広げる。

 カヌー旅の鉄則。必ずロープで全ての荷物を固定せよ。
 原著者は、最寄りの補給基地から数百マイルも離れた急流で転覆し、ほぼ全ての食料、銃器、斧、調理器具を失い、雪原を3週間かけて基地まで戻らねばならなかったという、苦い経験を有する。

 探検のための乗馬や駄馬の選び方。
 野営のあいだ、馬には野草を喰っていてもらわねばならない。ロープで繋いだ範囲の植生では、体力は維持できない。したがって、つながなくとも奔馬しない性質の馬である必要がある。

 険しい山岳地の狭い山道では、ラバの方が足取りが確か。
 ただし、優れた乗馬用ミュールは稀なのだ。メキシコ以北では、みたことなし。
 騾馬の主な欠点は、湿地帯の道で臆病になること。理由は、蹄が馬よりもずっと小さくて、簡単にぬかるみにはまってしまうことを、彼らは自覚しているので。

 驢馬は、もう一日の仕事は終えたと自己判断し、そこで立ち止まって、ぜったいにそれ以上は動かなくなる。
 だから、セージブラシの残骸しかないような砂漠を旅する場合以外は、ロバは使うな。
 ミュールと同様、沼地を歩かせたり、渡河が必要な川を無理に渡らせたりするのは困難である。

 すべての馬にはホーブルズ(放牧するとき脚を縛る紐)と、荷物の積載卸下のときにおちつかせるブラインド頭巾が必要だ。
 それらは、西部のほぼすべての村の雑貨店で購入可能だ。
 首ベルも、馬を放牧させるときには、あると便利だ。

 トボガン〔インディアン式のアキヲ〕は、曳き手の体重に等しい荷物を、搭載可能。もし体重150ポンドの人が2人で曳くなら、300ポンドを載せてよい。

 8頭に曳かせる犬橇は、通常は800ポンドが満載上限。条件が悪いところでは、600ポンドでも重すぎる。
 原著者は、犬ぞりで1日に60マイル進んだこともある。が、条件が悪いときには、1日に10マイル未満となる。

 極地でズボンの毛皮を裏返しにして着用すると、エスキモーに嗤われる。
 「動物は毛皮を内側にしない」とエスキモーは言う。
 汗の湿気が凍結して、とんでもないことになるのだ。

 犬には、1頭あたり1日1ポンドのペミカンを、夜にのみ、与える。ペミカンがなければ、脂肪0.75ポンドと、肉または魚0.75ポンドを与える。純粋な脂肪食は病気を引き起こすから、避けるべし。

 白人が犬チームを効率的に扱えるようになるには少なくとも1年の経験が必要である。それでもエスキモーの技量には及ばない。要するに、北極を探検したいのならエスキモーの犬ドライバーを雇え。それを厭うから、多くの北極探検は失敗したのだ。


1個55kg前後の風船66個がベラルーシから飛ばされてリトアニア領空に侵入した。

 Tabitha Reeves 記者による2025-10-27記事「JUST IN: New Microchip Offers Secure GPS Alternative」。
  イリジウム電話中継衛星群は、GPSと違って周回衛星なので、軌道が地表に近い。つまり、そこから送出される信号は、地上において、はるかに強い感度で受信可能。このアドバンテージを利用して、イリジウム・コミニュケーション社は、GNSSサービスを刷新する。人々が使っているいろいろなデバイスの中に、同社の専用のマイクロチップ1個を追加すれば、GNSS信号を、誰でもイリジウムから受け取れるようになる。それはGPS信号ほどには万能ではないが、ロシアや中共の電波妨害によってGPSが使えなくなりがちな地域では、とりあえずのナビゲーション・バックアップの役に立つであろう。

 次。
 Vladyslav Khomenko 記者による2025-10-28記事「Interceptor for “Less Than $50 Thousand”: MARSS Presents Interceptor-MR Kinetic UAV」。
  「MARSS Defense Labs」社が、砲弾型のクォッドコプター「Interceptor-MR」を公表した。全自動で「シャヘド」型特攻機を迎撃してくれるシステム。
 社長の Stephen Scott は、MBDAに16年間、務めていた。

 対応高度は5000m。対応敵速は288km/時。5分弱の滞空が可能。いわば電動のSAMである。

 発射は地表から垂直になされる。上昇中に地上からデータを貰う。そして上空で、自律モードに切り替わる。
 自前のセンサーは赤外線カメラ。

 攻撃を途中でキャンセルさせる無線コマンドが可能。その場合、ふたたび地上に軟着陸するので、無駄な損失にならない。
 操作は非常に簡単で、二等兵でもすぐ習熟する。

 このインターセプターの1機のコストは5万ドル。だから、МANPADSより安い。

 これから、西側諸国が、石油備蓄基地やガスタンクや発電所を敵のドローン攻撃から守るために、こういうものが、たくさん必要になる。