ウクライナがチェコから古い装輪自走砲を買った単価が154万ドル。

 2020-11-30記事「Florida Poly builds first pipeline to elite US Navy officer program」。
    フロリダ工科大学は、海軍の核動力の専門技術将校を志望するなら1年生から海軍の奨学金が適用されるという新制度を全米にさきがけて導入した。パイプラインプログラムと呼ぶ。

 米海軍はこれまで、理系の大学三年生以上に対し、卒後に核動力専門技術将校になるという条件で奨学金を提供してきた。※ROTCの専門科バージョンという感じ。

 フロリダ工科大ではまず12名の学生からこの適用をスタートする。1~2年生は、秋に5000ドルの奨学金を貰う。
 2年生の2学期に、海軍の核動力将校育成プログラムを併せて受講することにすれば、海軍は2万6000ドルの奨学金を与える。その金額は、3年生と4年生では年額5万3000ドルに増やされる。
 以上は必ずしも海軍入営を意味しておらず、返済して民間に就職することもできる。しかし海軍に入る契約を結べば、一時金ボーナスが1万5000ドル、追加される。

 この制度、3年生以降は海軍軍人にだけ適用される健康保険に加入する資格が与えられる。海軍基地内のジムや組合売店を利用できるIDも交付される。

 さらに、海軍兵学校式に「メンター」(指導役上級生)も、1人ずつついてくれる。何でも相談すればよい。


 次。
 Addison Nugent 記者による2020-11-29記事「Why Heron’s Aeolipile【アイオロスの蒸気球】 Is One of History’s Greatest Forgotten Machines」。
   西暦62年、ローマ帝国の文化的な首都はエジプト北岸のアレクサンドリアだった。

 この都市でギリシャ人のヘロンが、「アイオロスの蒸気球」を製作した。人類が製造した最初の蒸気エンジンかもしれない。蒸気の噴出し口が芯に対してオフセットされているので、下から加熱すると、噴出しの反作用により、軸を中心に回転する。

 ヘロンについては確実なことが伝わっていない。西暦10年から70年にかけて生きていたようだ。彼はアレクサンドリアにあった当時世界最大の図書館に入り浸っていた。

 彼が書いたものはアレクサンドリア図書館の焼き討ちによってギリシャ語では失われたのだが、それをアラブ人が翻訳したもののおかげで、7冊分が、後世に伝わっている。大学で学生に読ませる教科書のように段階的に詳しい解説がなされている。あきらかに彼はアレクサンドリアの大学の教員だったのだ。

 彼は、コインを入れると聖水やワインが出てくる、世界最初の自販機を、寺院内に設置した。
 機械の鳥に歌を歌わせ、ロボットも製造した。ロープの結び目や歯車の歯によってプログラムができる、機械の仕掛けだけで、10分間の劇を上演した。
 寺院の「自動ドア」も作った。

 風車の力で空気がパイプに送り込まれ、エアリードが振動して音が出る、無人吹鳴装置も作った。
 彼は数学者でもあった。三角形の面積を求める式は「ヘロンの公式」と今でも言われる。

 ヘロンはとつぜんすごいものを発明したのではない。紀元前222年に死んでいるクテシビウスが、圧縮空気とポンプの作用を書き残しているからだ。ヘロンはそうした文献を図書館で見たのである。

 ではなぜ蒸気動力を利用する産業革命は1700年代まで起きなかったか?
 これは冶金術の進歩と関係がある。高圧蒸気を閉じ込めておけるボイラーを、それ以前の技術では、工作しようがなかったのだ。

 また、奴隷や役畜を使う方が安価にエネルギーを取り出せる社会では、蒸気動力を産業に利用しようなどとは誰も考えない。

 1543年、スペイン海軍のブラスコ・ガライ大佐が、風をたのまずに船を前に進ませる方法がある、と神聖ローマ帝国に提案している。
 銅板で蒸気ボイラーをつくり、その力で外輪を回すというものだった。

 ついに1689年、地下深くの炭坑に溜まる水を地表まで汲み揚げるためには、人力や蓄力ではどうにも間に合わないと認識され、初歩的な蒸気ピストンが製造された。あとは、1954年の原子力発電所まで、一直線だ。



技術戦としての第二次世界大戦 (PHP文庫)


日本人が知らない軍事学の常識


寒冷地に幸あれ。

 David Poyer 記者の記事「The war with China, as I saw it」。
  ※このひとは本業が海軍大佐で、プロの物書きではない。

     十年前、わたしは数人の知り合いに、《第三次世界大戦》スタイルで近未来の米支戦争を予言する軍事フィクションを出版しようじゃないか と呼びかけた。わたしが海戦分野を分担執筆するつもりでいた。これは世間に対する好い警告になるはずだった。

 ところが同僚たちはみな、断ってきた。米支戦争なんて可能性ゼロだ、と、彼らは口にした。

 そこでわたしは単独で『ザ・ウォーズ・ウィズ・チャイナ』を書くことにした。これは6部作で、今年の11月に、最終巻が出る予定だ。版元は、セントマーティンス/マクミラン社。

 今日では、対支の軍備については毎日、誰かが語っている状況である。

 米支戦争は、こっちの準備がないときに始まり、まず壊滅的な損害は不可避だろう。
 《ひとつ前の戦争》に対応することばかり考えている米軍は、《最新版の戦争》にはすぐに対応できない。これは永遠のパターンなのだ。

 あらためてわたしの小説のこれまでの(第一部~第五部の)あらすじ。
 パキスタンとインドの戦争がエスカレートして核の投げ合いになる。
 中共がパキスタンの完敗を禦ごうとして介入する。米国はインドの側に立つ。

 ちょうどWWIのときのように、次々に参戦国が加わる。ベトナムも中共と戦闘状態に入る。
 パキスタン側には、イランがつく。

 日本、欧州、フィリピンは、洞ヶ峠を決め込む。
 ロシアは両陣営に石油と武器を売る。
 人工衛星はぜんぶダメになる。

 中共軍は、戦略プランニングをAIに立てさせることで、緒戦で連合軍を圧倒する。
 第一列島線は、占領される。
 韓国軍は壊滅する。
 中共軍は台湾に侵攻する。

 米本土では、サイバー攻撃や第五列工作員の暗躍のために、総力動員がさまたげられてしまう。

 中部太平洋では中共軍潜水艦相手のASWが続く。
 ベトナムとインドネシアからは、南シナ海への反撃が成功する。

 やがて日本は連合軍に加わり、北鮮と台湾への逆上陸戦闘が始まる。
 米国も戦略AIを前面に立てて、中共の戦略AIとわたりあう。

 連合軍は海南島と香港に侵攻する。米支は、全面核戦争になる前に停戦する。

 最終巻では戦後世界の様相が描かれる。
 インドネシアとベトナムは強国として台頭する。
 中共は「シナ連邦共和国」になる。

 次。
 Matthew Cox記者による2020-11-28記事「New M240 Machine Gun Suppressor Gets Rave Reviews from Army Maneuver in Test」。
    7.62ミリの分隊軽機「M240」用のあたらしいサプレッサー。これを銃口にとりつけると、射撃しながら隣の兵隊と会話ができるくらいに音が抑制される。

 敵からすると、こっちの機関銃の位置がなかなか分らなくなる。
 M240の交戦距離は1100mもあるので。

 次。
 Heziel Pitogo記者による2014-2-7記事「Revisiting the Battle of Stalingrad through German Letters」。
    スターリングラードの勝利後、ソ連軍はドイツの野戦郵便局からドイツ兵の手紙などを集めた。その一部は、宣伝や教育のため、1944に印刷配布されている。
 たとえばこんなものがある。

 ――WWIのヴェルダン戦を近代兵器で戦っているようなものだ。毎朝攻勢をかけて20m前進するが、夕方にはまたソ連軍に押し戻されてしまう。(兄弟宛て。オッペルマン一等兵。)

 ――1942-9-1には仲間が140人いたが、11-13の今、16人しか残っていない。残りは戦死か負傷。いまや、師団にも指揮をとってくれる将校と下士官がいない。毎日1000人弱の負傷兵が、後送されて行く。(マルシュス一等兵。)

 ――中隊に30人しかいねえ。手紙には全部は書けねえ。こんど面会したら話してやるが、ここでは地獄を見た。仮埋葬墓地がどんどん膨らんで行きやがる……。(古参の伍長。)

 ――11月19日。この戦争に負けたら、ロシアから報復されるのは必至だろう。キエフとハリコフで、女子供を数千人も殺してしまった。(野戦憲兵軍曹の日記。次も同じ。)

 ――12月6日。寒気がますます厳しい。この3日間、糧食がなく、凍えるため眠ることもできない。又聞きの噂。わが軍から脱走投降兵が続出していると。

 ――昨日は僕らはウォッカにありつけた。そして4匹目の犬をバラバラに刻んで仲間たちとたいらげた。犬のヒレ肉はごめんだと、口にしない仲間もいたが……。カラスも射ち落として料理したよ。(第227歩兵連隊の兵。女宛ての手紙。)
  ※犬食文化はどのように発生したかを考えると、やはり飢饉の襲来が頻繁だと、それがいつしか文化になるのだろう。野犬とカラスは、農業が壊滅しても、最後まで人の目につくところに居るのだ。

 ――1月15日。われわれの周囲で頻繁に地雷が爆発する。(第212連隊の将校の日記。)

 ――1月15日までの2日間で部隊は60名が戦死・戦傷あるいは凍傷で戦力外。30人以上が逃亡。弾薬は、15日の夕方で尽きるだろうと思われた。3日間、糧食なし。残りの多くの者も足に凍傷を負っている。そこで1月10日に拾った勧降パンフレットが説得力を持った。(部隊投降した歩兵大隊長とその副官の証言。)



地獄のX島で米軍と戦い、あくまで持久する方法―最強の米軍を相手に最悪のジャングルを生き残れ! (光人社NF文庫)


日本有事―憲法(マックKEMPOH)を棄て、核武装せよ! (PHP Paperbacks)


生還の可能性ほぼゼロの襲撃か。

 Joseph Trevithick記者による2020-11-27記事「Everything We Know So Far About The Assassination Of ‘The Father Of Iran’s Nuclear Bomb’」。
   イランの核科学のトップ、モシェン・ファクリザデが、自動車で移動中に暗殺された。

 バイデン政権は、トランプが脱退したイラン多国間合意に戻ると考えられている。それでトランプが大統領の任期が尽きる前にイランを爆撃するのではないかというルーモアが流れていた。

 ※これが小額の予想賭博であったなら、《来年1月20日までトランプの方から対イラン戦争は始めない》に一点張りしていれば99%当たり続けるだろう。トランプは過去の人生の中で、自分が戦争を指導する想像をしてこなかった。イスラエルから、《対イラン戦争を始めてくれ》と、いくら頼まれても、どうしていいか、見当もつかない不動産業者さんなのである。だからFDRやマッカーサーのように周辺者を納得させ引っ張っていく大演説はできない。広く通用する理屈を立てられないということは、大政治の世界では、手も足も出ぬということとイコールだ。側近部下に大演説が得意な超大物が居れば別だが、トランプのキャラクターはそのような重鎮は閣内に招かなかったのでいまさら仕方がない。モサドは、イランの誰だろうと、いつでも殺せたのである。それが今のタイミングになったということは、これは《トランプにはがっかりした》という、憤懣をあらわした、対米メッセージだ。一人の技師が死んだぐらいでイランの核武装が止まることはない。止まるものなら、とっくにやってるわけだ。

 ファクリザデを殺害した場所は、アブサルド市内。テヘランから東に50マイルである。
 IRGC(イラン革命防衛隊)に近いメディアによれば、初めに1発の銃声が響き、ついで、爆発が1回起きたという。それ以上の詳しいことは伝わっていない。

 SNSには、黒い日産乗用車が銃弾孔だらけになっており、そのそばの地面に血溜まり――という写真が出回っている。

 別な写真には、爆発物にやられた別なもう1台の車両残骸が映っている。爆発が、路肩爆弾なのか、それとも車体に仕掛けられた爆弾なのかは判然としない。
 ※モサドがイラン国内でよく使う手は、オートバイでターゲット車両を追い抜きざまに車体に磁石爆雷をとりつけ、その直後にドカンというもの。

 銃弾が射ち込まれた車体の写真からは、ガンマンは四輪者または二輪車で並走しながら側面から銃撃したことが推定できるという。

 現場では3名か4名が死んだ。その中には犯行グループの者も複数含まれると。
 ファクリザデじしん、IRGCの幹部である。

 ※アメリカに戦争をしてもらおうと希望するなら、受益国としても、このぐらいの犠牲を払い、ヤル気も示さなければならない。それにしても、《自爆テロ》の手法をとらなかったところは、特筆される。決死作戦はよいが必死作戦はダメなのだ。



アメリカ大統領戦記1775-1783独立戦争とジョージ・ワシントン2


ニッポン核武装再論


オフザシェルフでできるものも試されていないのでは、イライラしますよね。

 Tyler Rogoway記者による2020-11-25記事「How The Once Elusive Dream Of Laser Weapons Suddenly Became A Reality」。
  ロッキードマーティン社は40年間もレーザー兵器を研究している。
 その主任に話を聞いた。

 レーザーは1960年頃から知られている。しかし武器として今まで普及していないのは、システムの小型化ができなかったからである。
 典型的な事例が「ボーイング747」をベースとした「エアボーンレーザー」。「YAL-1」ケミカルレーザー砲のシステムだけで、ジャンボ機内がいっぱいになった。それでも威力は不足であった。
 10年にしてこの計画は放棄された。

 その後、民間分野で大発展があった。
 光ファイバー・ケーブルの技術だ。
 発光ダイオードを使った半導体レーザーの光を、通信用として何kmも到達させる研究が90年代に加速された。
 2000年代前半に通信レーザーの業界バブルはしぼむ。そこで通信用光ファイバーを研究させていた各企業が、新市場をもとめて、数百キロワットのレーザー利用を研究所で模索させた。

 ファイバー用レーザー技術は、とても効率よく、電力を光力に転換してくれる。かつての半導体レーザーの転換効率は10%だったが、いまでは35%だ。
 効率がよいということは、冷却にも苦労しないということ。※ケミカルレーザーでは大問題だった。

 今日すでに鉄工所で鋼鈑をレーザーで切るのは見慣れた風景だが、あれは、光ファイバー・ケーブル研究の知見が土台になっているのである。
 キロワット級のハイパワー・ファイバー・レーザーによる切断加工が、いちじるしく普及した。

 距離数センチで動かない鉄板をカットするのと、2km先の空中の迫撃砲弾に穴を開けるのとは、また別な話になる。
 しかし民間で発達した光ファイバーと工業用ハイパワー・レーザーのおかげで、レーザーの兵器化は急に現実的になりつつある。

 ロッキードマーティン社のレーザー兵器部門では「スペシャル・ビーム・コンビネーション」と呼んでいる。複数の、工業用の強力なファイバー・レーザーを、ひとつのビームに束ねるのだ。

 イメージとしては、ピンクフロイドのアルバム『ダークサイドオブザムーン』のジャケットカバー絵にあるプリズム。複数の波長のレーザーを一本化して出力させる。「リバース・プリズム」とわれわれは呼ぶ。

 ※レーザーの怖いのは「逸れ弾」だ。ビームを一本化するのは悪くないが、標的の向こう側にある無関係な人やモノが毀害される危険をどう回避するか。そのためには、散開的に配置した多数のビーム銃(E.Q. 複数の車両)を、三次元空間の一点に精密に指向し集中させる方式がよい。超音波パルスを周辺から焦点にあつめて人体内の結石だけを砕く医療機器と同様に。つまり「フェイズドアレイレーダー」のレーザー版をめざすのが、早く、安全性と破壊力を両立させられる道だと思うぞ。オフザシェルフのサブシステムだけで組みあがるんだから。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-11-26記事。
    UAEに売ろうというMQ-9 リーパーの数は18機である。30億ドル。
 過去20年間、UAEはJDAMキットを1万個、米国から買っている。
 すべてはイランの脅威に対応するため。

 UEA軍は6万5000人しかいない。しかもその三分の一は外国籍人である。
 UAE内の全住民のうち市民権を有しているのは2割ほど。
 またUAE内の住民のうちアラブ人は1割である。8割はパキスタン、バングラデシュ、インドからのイスラム系出稼ぎ人。1割は他の外国人。

 イランやイラクからの脅威を考えてクウェートは徴兵制を採用したが2001年にもとにもどした。
 しかし2017年にまた徴兵制を採用した。
 カタールは2013年に徴兵制を採用。
 UAEは2014年にそれに続いた。

 2018年、UEAは徴兵の服役年限を延長した。
 高卒者は16ヶ月以上に。中卒者は24ヶ月に。
 このようにしておけば、将来のいざというとき、傭兵ではなく、予備役を頼ることができる。
 当初の目論見では、大卒者はさらに長く軍隊で訓練させ、予備将校にするつもりだった。
 UEAとしては、有事に27万人を動員できるようにしたいのである。

 次。
Olivia Murphy 記者による2020-5-5記事「Guide to the Classics: Mary Shelley’s The Last Man is a prophecy of life in a global pandemic」。
  『フランケンシュタインの怪物』の作者メアリー・シェリーは1826年に『The Last Man』を発表し、パンデミックで人類が根絶されんとする世界を描いた。

 西欧文明は1811年に「恐竜」化石を、太古に滅びた生物種として認識した。その頃から、次は人類もまた滅びるのではないかと、人々は恐れ始めていた。

 1792年から1815年まではナポレオン戦争のため大量死が珍しくなくなった。
 1815年のタンボラ火山の噴火は、一挙に地球を寒冷化させたように見えた。

 バイロン(シェリーと親交あり)は1816に「ダークネス」という詩を書いた。動物も植物も全滅した世界を。
 メアリー・シェリーは、他の動植物はそのままで、人類だけが、疫病のために数年にして滅びる災厄を想像した。

 タンボラ噴火は大飢饉をもたらしていた。

 1817~1824にはコレラのパンデミックが初めて観測された。発症地がインドで、そこから中東まで徐々に蔓延が進んだ。そこで止まらないのではないかと欧州人は恐怖した。
 英国では、殖民地インドとの商売で稼いでいた銀行や貿易業者が次々と破産した。

 ※CSでシェリーの伝記を視て、この作品の存在を知り、とりよせて読もうと思ったら、2007年の訳書は古本までも品切れ。原書は300ページ以上あるらしく、とても時間が許さない。そこで以下に、英文ネットでみつけたシノプシスから、描写の要点を抜く。
 レイモンド卿(あきらかにバイロンがモデル)はギリシャでの戦争に勝利して、英国に帰還してきた。
 レイモンド卿はトルコと近東を征服したいと思っている。
 レイモンドは対トルコ戦争で消息不明に。仲間たちが、彼を探しに英国を発つ。
 レイモンドは投獄されているらしいという風聞。
 レイモンドは病身となって戻る。
 ギリシャが攻勢に出る。するとペストがコンスタンチノプルで発生したとの報。
 トルコ軍はコンスタンチノプルを抛棄した。だが攻囲軍もペストが怖くて誰も入城できない。
 レイモンドが単身市内に入る。卑劣なIEDが大爆発。
 レイモンドは死に、ギリシャで葬られた。
 ライオネルはペルディタをつれて英国に戻らんとす。
 だが途中で難船。一人の生き残りも奇病で死亡。
 悪疫はコンスタンチノプルからギリシャに広まったとの噂。
 7月に黒い太陽が昇った。
 ついに悪疫がフランスとイタリアの港に定着した。
 難民が発生し、公園は耕作地に変えられる。
 ついにウインザー城でも死人が発生。
 ヨーロッパは疫病と洪水で憔悴する。
 英国社会は分裂する。
 夏になり、アウトブレークが盛り返す。
 アメリカ人がアイルランドに殺到し、無秩序が……。さらに英本土へも……。
 ロンドン市民はアメリカ人を迎撃するため武装を整える。
 全英に荒廃が広がる。
 ロンドンを捨てて南方へ流浪しようとする人々の動きが。
 日没近く、彗星が現れ、高潮が起きる。
 フランスでは偽預言者が人々を導いていた。
 パリを経てスイスまで逃げたところで、生き残りは4名となる。ペストは終焉。
 そこからイタリアを目指す。
 ヴェニスに着いたが、クララがさらにギリシャまで行きたいという。
 それで船に乗ったら、嵐で転覆。
 ライオネルひとり生き残り、イタリア半島の岸にたどり着く。
 ライオネルは彼の体験を書き終えると、世界のどこかにまだ生き延びているかもしれない、コンパニオンを探すべく、小型帆船で地中海へ彷徨い出た。終わり。



日本転覆テロの怖すぎる手口 スリーパー・セルからローンウルフまで (PHP新書)


無人機とロボット兵器


サウジはイランの核武装がもはや不可避だと考えて《イスラエルの核》と同盟することにした。

 Joseph Trevithick 記者による2020-11-25記事「Oil Tanker In Red Sea Struck In Mine Attack With Similarities To Past Iranian Strikes」。
   またしてもフーシによる吸着機雷(リムペットマイン)攻撃だ。サウジとイスラエルの国交正常化交渉が、イランにとっては相当の打撃で、焦っているらしい。

 紅海のサウジ沿岸に近いところで、マルタ島船籍の原油タンカーがやられた。ただし例によって小被害。
 吃水線上なので、普通の機雷じゃない。ボートで近寄って爆薬を貼り付けたのだ。

 昨年はオマーン湾で日本のタンカーがこれにやられている。
 今回の被害船は『MT Agrari』号。傭船していたのはギリシャの船会社の「TMS タンカーズ」社。

 船はロッテルダム港から何かを運んできたというのだが積荷の詳細は不明。
 サウジの「シュカイク」港(スチーム発電プラントあり)で何か卸す必要があって寄港した後だった。だから沿岸に近かった。 ※いったい原油タンカーが原油以外の何を運んでいたんだよ?

 爆弾は喫水線より1m上で爆発した。炸裂時にはまだシュカイク港内だった。破孔はできているが、オイル漏れはない。

 フーシはまだ犯行声明を出していない。

 こんかいの現場辺り(紅海南部)で、フーシの爆破工作艇のマザーシップになっていると疑われる船は、貨物船の『M/V Saviz』である。サウジは、これをイランが操っていると看做している。

 ※トランプ氏は、娘夫婦(クシュナー氏はユダヤ系)を4年後の大統領選挙に擁立するため、じぶんの最後の仕事としてサウジとイスラエルの国交正常化に注力することにしたのかもしれない。実現すればレジェンドになる。サウジをゆさぶる手段としてまずUAEにF-35を売ったのだとしたらこれも妙手だ(日本にF-35を売れば韓国もそれ以上に必ず買わずには気がすまんというのとほぼ同じライバル関係なので)。だとするとイスラエル政府はあらかじめすべてを理解していて、表面的な演技として「UAEへの売却に反対する」と唱えたことになる。そういうこともあるだろう。一連の動きの背景には《もはやイランの核武装は止められない》という判断があるはず。関係者全員が、その認識に到達したのだ。サウジはイスラエルの核に頼ってイランと対抗するしかないと考えた。ということは、その前にビンサルマンは、《パキスタンの核は将来、頼りにできぬ》とも見極めたはず。その理由となった事情が知りたい。

 次。
 Sandra Erwin記者による2020-11-23記事「Germany to become the first foreign military buyer of U.S. jam-resistant GPS receivers」。
  妨害されないGPSの最新版を「M-Code」という。まずドイツ軍が受信機を大量発注した模様。
 現状、31機のGPS衛星のうち22機が「M-Code」を送信している。

 ※ドイツは、ナゴルノカラバフで大活躍したイスラエル製の「ハロプ」無人機を前々からライセンス生産している。それに、スプーフィングに強い「M-Code」を組み合わせたら、ロシア軍はタジタジとなるはずだ。あとはロシアが頼れるのは核だけとなってしまうが、イランが核武装すればそれも中和される。弱るのはロシアだけだ(米国は国内ガスだけで足りているので中東で核戦争が起きたところで困りはしない)。オホーツクでは駆逐艦『アドミラル・ヴィノグラドフ』が『ジョンマケイン』をラミング態勢で脅したそうだが、衰弱した蛸の必死の反撃といった風情か。



空母を持って自衛隊は何をするのか: 朝鮮半島危機後の安全保障を再考する (一般書)


[新訳]名将言行録 大乱世を生き抜いた192人のサムライたち


沿海州のピーター大帝湾にて『ジョン・マケイン』がFONOP実施。

 Joseph Trevithick 記者による2020-11-23記事「Yemen’s Houthi Rebels Say They Struck Saudi Oil Facility With New Type Of Cruise Missile」。
   サウジアラビアの紅海沿岸の積み出し港、ジェッダを、フーシがイラン製の巡航ミサイルで空襲した。
 イスラエルとサウジの国交正常化交渉にイランが反発しているのだ。

 「クッズ2」という巡航ミサイルであるという。
 巡航ミサイル攻撃は、11月22日の夜におこなわれた。
 400マイル以上飛んだと主張されている。
 衛星写真をみると、すくなくとも1発がオイルタンクの側面をブチ抜いて、火災を生じさせている。

 サウジの実質リーダー、モハメド・ビンサルマン王子と、イスラエルのネタニヤフ首相、および、モサドの長ヨッス・コーヘンは、紅海沿岸のリゾート地であるネオムで秘密会談していた。
 米国からはポンペオ長官もやってきた。サウジ広報は、王子はポンペオと会っただけだと説明。

 イランは2019-9にもサウジの油田を巡航ミサイルでフーシに攻撃させた。
  ※このときはトランプはどうしてイランに報復攻撃しないのかと非難された。今はレイムダックなのでますます無理。そういうタイミングを狙った。

 次。
 Mindy Weisberger 記者による記事「’Superbolts’ are real, and they flash up to 1,000 times brighter than regular lightning」。
        平均的な落雷の100~1000倍も明るく光るいなびかりを「スーパーボルト」という。

 1970年代から観測されてきたが、単に衛星のカメラアングルによって明度の違いが生じてしまうのではないかという疑問が払拭されなかった。

 2018年に全米でソーラーパネルが発電したエネルギーは163ギガワットである。
 それに対して毎年米本土上で観測されるスーパーボルトのエネルギーは100ギガワットになるという。

 ようやく分ってきたこと。
 ふつうの落雷の直前には、雲がマイナス、地面がプラスに帯電している。
 しかしスーパーボルトの場合は逆で、雲がプラス、地面がマイナスに帯電しているらしい。

 海外における大気圏内核爆発を探知するため1969年に軌道投入された衛星「ヴェラ」は、ついでの仕事として落雷の観測もしてくれた。
 地球で最もスーパーボルトが発生する場所は、北太平洋だともわかった。

 落雷1000万回のうち、5回はスーパーボルト。つまり、非常にレア。

 2019年2月19日に米国南東部で観測されたスーパーボルトは、7秒近く持続した。長さは数百kmであった。
 横に長く延びるこのような雷光を「メガフラッシュ」という。

 次。
 Uwe Buse, Christoph Reuter und Thore Schroder 記者による2020-11-19記事「Anatomy of the Explosion that Rocked Beirut」。
   8月4日に2750トンのアンフォが爆発したベイルートの事故。その轟音は、チュニジア、カザフスタン、ケープヴェルデ諸島でも、聞くことができたという。
 ドイツの気象台は、大気圧の変動を探知している。

 まず火事が起こり、倉庫内の温度が爆発点まで上昇した。最初の爆発はアンフォではない別の物質の小爆発で、これが倉庫の屋根を吹き飛ばした。続いてアンフォが大爆発した。現地の午後6時。

 負傷者6500人以上。死者200人以上。いまだに正確な人数が分らない。

 爆発した倉庫「ハンガー12」には、2009末において、15トンから25トンの花火が貯蔵されていた。
 続いて、ニトロセルロースのシンナーが蓄積された。ケロシンも置かれた。数千個の自動車タイヤも。

 仕上げが『ロースス』号の積荷の硝酸アンモニウムだった。
 煙検知警報機も、スプリンクラーも、その倉庫には無かった。窓は割れており、屋根は雨漏りする状態だった。
 カプタゴンという合成ドラッグをつくるための設備が入ったコンテナも2013年から置かれていた。

 『ロースス』号の積荷のアンフォは2750個の袋に小分けされていたが、そのうち1950個は荷卸しするときに意図的に破られた。レバノンの環境法により、袋は除去しなければいけなかったのだという。

 倉庫の裏手の穀物貯蔵塔。ここには電灯の設備がなく、鼠だらけだったという。
 穀物サイロは「ハンガー12」から40m離れていた。

 2018年2月に、繋留されていた『ロスス』号が嵐で沈没した。
 7ヵ月後、裁判所は、この沈船を引き揚げて引き取る者に500ドルで売ると決めた。
 誰も手を挙げなかった。

 2020-7-31に「ハンガー12」でシリア人労務者3人が、穴塞ぎとドア修理の溶接工事を始めた。誰も作業を監督していなかった。誰も倉庫の中味を知らなかった。



近代未満の軍人たち―兵頭二十八軍学塾


東京裁判の謎を解く―極東国際軍事裁判の基礎知識


こんどのアゼルバイジャンの圧勝でパニックになっているのはロシア軍部

 Tom Payne 記者による2020-11-20記事「One in three motorists cannot afford even the cheapest electric car, warn experts in blow to Government plans to ban petrol and diesel cars by 2030」。
   英国で自動車に乗る人の三人に一人は、最も安価な電動自動車すら、買うことができなくなるだろう。

 英国で手に入る一番安い電動自動車は、スコダ社製の「シティゴ」であるが、これには毎月170ポンド【=2万3662円】の経常費がかかる。

 CEBR(経済ビジネス研究センター)の分析。最低でも毎年2100ポンド【29万2375円】を支出し続けないと、電動自動車を個人は維持できない。

 毎月1800ポンド【25万539円】を支出している世帯は、かろうじて電気自動車を維持できる。しかし、月々1400ポンド【19万5000円】でやりくりしている家庭なら、電気自動車はもてない。

 つまり英国の全世帯の三分の一にとって、電気自動車は、実現不可能な夢でしかない。

 英政府は2030年には石油燃料自動車の販売を禁ずるとした。そのために120億ポンド【1兆6700億円】の予算をつけるというのだが、現状、英国内の自動車の0.3%だけが電気自動車なので、それは不可能に近いだろう。

 初級レベルの電動自動車の購入価格は、だいたいガソリンエンジン自動車よりも5000ポンド【70万円】高い。

 ただし、廃車にするまでのライフタイムランニングコスト(購入費含む)の平均で比較すると、電気自動車が52100ポンド【725万円】なのに対してガソリン自動車は53600ポンド【746万円】となる。

 全英で給電所が280万箇所必要になるが、市町村の6つに1つは、住んでいる町の道路では給電所を見つけられないことになるだろう。

 貧乏人と、かつかつの零細企業にとって、現政府が唱える「グリーン・リボリューション」は、破産宣告に等しいのである。

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 Robyn Dixon 記者による2020-11-12記事「Azerbaijan’s drones owned the battlefield in Nagorno-Karabakh ? and showed future of warfare」。
     停戦まで44日続いた、今次のナゴルノカラバフ紛争。6週間戦争と言えよう。
 休戦は火曜日=2020-11-10だった。開始が9-27。

 アゼル側は毎日、ビデオを公表した。国防省がウェブ発信した。バクーの街中の大画面でも放映された。
 シュシャ市は、アルメニア人の発音では「シュシ」市となる。
 塹壕の中のアルメニア兵がUAV攻撃で吹き飛ぶフッテージもあり。

 シリア傭兵はナゴルノカラバフには投入していないとトルコ政府。
 カーネギーの国際平和基金の職員でコーカサスの専門家であるトム・デウァール氏いわく、アルメニア軍の戦車の三分の一がUAVにやられてしまったと。

 アゼルは緒戦で11機の改造「アントノフ2」を無人で飛ばした。これでアルメニアのAA陣地を把握した。

 トルコは、リビアでヒフター軍閥軍の所有する「パンツィールS1」自走SAMをUAVでやっつける方法を会得していた。それを夏のうちにアゼル軍に教えた。
 ※ゲイディ氏の別記事によると、パンツィールは超低空目標には対処できないのだそうだ。これを打ち消すのに露人の回し者が躍起である。

 アゼル側公表の画像を調べた人によると、アルメニア軍の185両のT-72戦車、90両の歩兵用装甲車、182門の砲熕兵器、73両の多連装ロケット台車、26両の自走SAM(1両のTorと、5両のS-300を含む)、14基の防空レーダーもしくは電波妨害アンテナ車、飛行場に駐機していた1機の「スホイ25」攻撃機、451両のトラックが破壊された模様だという。

 それに対してアゼル軍は、戦車22両、41両の歩兵戦闘車、1機の有人ヘリ、25機のドローン、トラック24両をやられた。

 以上は確定値ではないが、確かなのは、アゼル側が圧勝であった。

 ※ゲイディ氏の別記事によると、アゼル軍は徹底的にISRを準備して開戦した。かたやアルメニア側は永久築城はおろか、野戦築城も甘すぎ、そのため塹壕内でむざむざやられている。AFVも蝟集させすぎていた。散開して移動し続けろという原則が分っていなかった。それと、これからはSAM車じしんが対UAV防空しなければならんというのが一教訓だと。この戦争については次の兵頭の1冊の中で戦訓をまとめてみるので、お楽しみに。



戦争の正しい始め方、終わり方


「新しい戦争」を日本はどう生き抜くか (ちくま新書)


有害鳥獣駆除用途の「レーザー鳥獣駆逐銃」「電磁波利用の鳥獣駆逐器」の取扱い免許を新設すべきだ。

 人畜を失明させたり熱傷を負わせることはないが、有害鳥獣に、その場にはいたたまれなくする苦痛を感覚させ、農地や植林地や住宅地等から追い払い、遠ざけることのできる専用のツールの所持と使用の免許である。
 このレーザー銃は、ケースから出している間は常にボア同軸の録画装置が作動し、不適切な使用がされなかったかどうか、所轄の官公署のクラウドサーバーに記録が残される。
 その代わり、日没後であろうと、住宅密集地であろうと、政令のガイダンスにしたがう限り、随時随所に使用ができるようにする。
 若い狩猟家が今後増えることはまずないだろうが、殺傷性が限りなく低いレーザー銃を18歳くらいの青年に持たせて町をパトロールしてもらうことはできるようになる。
 これでクマは住宅地を恐れ、サルも果樹園に近寄らず、カラスは公園から出て行くであろう。
 「電磁波利用の鳥獣駆逐器」は、アクティヴディナイヤルシステムの小型版である。これを自動発射式の罠やリモコン式として使うことは不測の事故もあり得るので認められないけれども、教習後に免状を受けたオペレーターが、器材から離れずに臨場し、あらかじめ申請して許可を受けた照射覆域に限定して管制発射する限りは、夜間であろうと発射を許可する。
 仮眠もできるサイズの車両のルーフトップにこれが装備されるようになるだろう。
 やがて器材やソフトウェアが洗練されてくるだろうから、それにつれて、運用規制をゆるめて融通を利かせられるようになるはず。夜間の市街地に現れた羆を警察車両装備のアクティヴディナイヤルシステムで即時に排除することだって、可能になるだろう。

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 JOHN VANDIVER AND IMMANUEL JOHNSON記者による 2020-11-20記事「US special operators and Army artillerymen flex muscles in groundbreaking Black Sea drill」。
    黒海での演習。独のラムステイン基地からHIMARSを黒海沿岸のルーマニアの航空基地まで緊急空輸。着陸後、ただちにHIMARSが自走して陣地進入。海岸から洋上目標に向けて、GMLRSを発射した。

 空輸した飛行機は、特殊作戦航空隊が保有するMC-130J「コマンドーII」である。超低空飛行ができ、まともな滑走路の無い場所に着陸できる機体である。パイロットもその特訓を積んでいる。※ニジェール人質奪回作戦に投入されたのと同じ機種。

 洋上の目標に関する座標データ入力などは、輸送の途中、つまり空中でなされた。
 目標は海岸線から25マイル沖にあった。複数のロケットが命中。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-11-22記事。
   韓国軍は17機あるCH-47Dを5年かけてF型にアップグレードしつつあるのだが、なんと、新品のCH-47Fを買うよりも、1機あたり10%コスト高になってしまうことにいまさらながら気づいたという。

 これはF型のいくつかの部品が、少量バッチの受注生産品であるためであるという。
 もしF型をまるごと発注していれば、もっと早く、もっと安く入手できただろうという。

 F型の既存のブロック1にするか、それとも未成であるブロック2にするかも迷ったという。2にするなら納期は2025年頃となり、コストは確実にブロック1より高くなる。

 2014年に韓国は、在韓米軍が使い古していた14機のCH-47Dを1億3000万ドルで買い、これによって陸軍と空軍が保有するD型の総数を43機にした。
 在韓米軍は大助かり。というのは、古いチヌークを1機、米本土へ持ち帰るだけでも100万ドルかかるし、はたまたスクラップにするにしても100万ドル近くかかってしまうからである。

 アフガニスタンでは、ゲリラを急襲するのに、CH-47Fが絶対に欠かせない。高地で、しかも夏が高温である=空気がますます薄くなる ため、エンジンの弱いD型ではダメなのだ。ましていわんやUH-60では役には立たない。
 ※ヒマラヤ戦線では、米国からチヌークを買えるインド軍が、チヌークの同格品を買えないシナ軍よりも、空輸力の点では有利。

 アフガニスタンでは、チヌークF型が1機で、ブラックホーク×5機分の活躍をしてくれる。チヌークは完全武装した50名を載せられるが、ブラックホークは11人。速度もチヌークの方が30km/時、上回る。航続距離はF型は426kmある。ブラックホークは2.1時間しか滞空できないけれども、アフガンでのヘリボーン作戦は平均2.5時間以上の滞空が要求されるのだ。

 米陸軍はD型からF型へのアップグレードを2018年までに終えている。
 もし新品のF型を購入すると、1機3500万ドルである。

 米軍はF型を2060までは使うつもりだ。ブロック2の次にはさらに性能を強化したブロック3が2030年頃にできる。そうやって半永久に進化を続けて行く。

 次。
 Ilya Tsukanov 記者による2020-11-22記事「Riding off success of new satellite, Iran official calls for creation of permanent space-based radar」。
      イランは7月に、中東最大の米軍基地を人工衛星から撮影した写真を公表した。ようやく衛星の姿勢制御ができるレベルに到達したわけだ。
 そして次はレーダー偵察衛星を打上げると言っている。



日韓戦争を自衛隊はどう戦うか


文庫 「日本国憲法」廃棄論 (草思社文庫)


米海軍は対潜ヘリに磁探を持たせる。

 Joe Concha 記者による2020-11-19記事「The new marshmallow media in the Biden era」。
   マシュマロ・メディアとは、質問にはあらかじめ台本があり、記者が取材相手を気遣いまくる、そのような報道態度である。
 11-16のバイデンの記者会見はまさにそのようなものだった。誰が質問するかはバイデン側のスタッフによってあらかじめ指名がされていた。

 民主党の候補指名を得てから以後のバイデンの記者会見では、なぜか指名された記者たちは、トランプについての質問ばかりした。バイデン本人の政見についてはほとんど質問しなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制をバイデンはどうするつもりなのかについて、だからわれわれは何も知らないのである。

 16日にバイデンは12個の質問を受けた。答えを聞いてさらに食い下がった記者は1人もいなかった。回答の途中で口をさしはさんだ記者もなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制についての質問は、そもそもゼロであった。

 もうひとつの奇観。
 バイデン陣営は、カマラ・ハリスの単独記者会見を、許していない。なんと民主党大会で副大統領候補に決まってから、投票の前後を通じて、カマラの記者会見は、これまで、皆無なのだ。透明人間状態にされている。

 2016年の大統領選挙のときはどうだったか。トランプの記者会見の2日前に情報機関の長が、ロシアが選挙戦に介入したと発表。これにより記者たちは会見にてプーチンに関して13回質問し、ロシアが介入しなくてもトランプが勝てたということをトランプが証明できないかぎり有罪だという態度で責め立てた。なんという相違であろうか。

 ※来年1月末から在野の私人になるトランプ氏は、政治評論家として隠居する気はないだろうから、バイデン政権が何かするたびに、自身の政策と対比して罵倒・非難し、メディアに最高のネタを提供し続けるだろう。バイデン政権はこれを《ノイズ》として無視することはできないだろう。無視すれば次の中間選挙で民主党の地すべり敗北に結びつきかねないからだ。

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 Flight International 誌の記者による2020-11-20記事「Why UAE F-35 deal makes sense to Washington – and Israel」。
      2019-11のドィバイ航空ショーにはF-35は展示されなかった。しかしこのたび米国はイスラエルの反対を押し切ってUAEへの売却を決めた。
 UAEはF-16E/Fを保有している。これだけでも強力なのだが、そこにF-35が加わる。
 UAEがF-35を取得するころには、サウジも対抗のためF-15SAを、バーレーンは16機のF-16Vを、クウェートは36機のタイフーンを調達するだろう。

 カタールはイラン寄りのため湾岸で孤立しているが、それでも36機のラファールにさらに23機を加え、F-15も23機買い、タイフーンも24機買う。

 UAEは、50機ものF-35Aと、18機の武装攻撃型「MQ-9B リーパー」を取得することになる。
 またUAEと米国間の民航路線の直行便も認められるという。
 これは、イスラエルとの外交関係を正常化したご褒美なのである。
 イラン以外のすべての湾岸諸国には、これは朗報なのである。

 ※サウジは実質上、対イランに関してイスラエルとは攻守同盟関係にあるが、だからといってイスラエルを公式に承認すると、メッカの地主としての沽券にかかわってしまう。また米国もあの人殺し王子をあまり調子づかせるわけにはいかない。UAEを強化してやるのは、対サウジと対イランの両面の意味がある。

 UAE空軍はサーブ製の「グローバルアイ」空中警戒機によっても強化される。イラン軍は圧倒されるはずだ。
 イスラエルはいま「F-35I」を23機有する。計画ではその総数は50機まで増やす予定。
 イスラエルはF-35の運用経験で一日の長があり、さらに、独自の改修強化ができる国なので、近隣国がF-35を手にしても、その優位が脅かされることはない。

 ※オバマ政権時代に中共の悪事が放置された機序は、以下のようなものだと思われる。すなわち、スーザン・ライス氏などDCでのしあがる黒人は、白人に認められることに人生のエネルギーを傾注してきたので、政府中枢要人にのしあがると、いよいよ欧州首脳との付き合いに熱中したがる。欧州人から熱心に促されるままに、中東とロシア方面に米軍の資源を集中させてしまう。アジアの首脳たちと深くつきあっても、じぶんの《身分》《家格》が上昇したようなテレビ映りとはならないから、アジア・アフリカ・ラ米政策の立案から実務まで、あらかた他人へ丸投げとなる。中共がつけこんで体よく利用できる隙が、そこにはふんだんに生ずる。思えば、ブッシュ政権のコンドリーザ・ライス氏が学生時代にソ連を専攻していたのも、それが欧州政治家たちから一目置かれるテーマだからだろう。そしてまたトランプ大統領が「反支のブラックボックス」としてアジア諸国から歓迎された所以は、政界入りする前にセレブであるドナルド・トランプには《家柄》を向上させたいといった《小人スノブの野心》がまるで無かったおかげだ。彼にもし貴族崇拝があったら、娘をユダヤ人とは結婚させないからね。そんなだから、トランプは欧州人の機嫌も取らなかった。さて日本はバイデン政権に期待せずにさっさと中共を亡ぼす算段を立てねばならない。複数のオプションがあることは、すでに著書の中で呈示しておいた。

 次。
 Jamie Hunter 記者による2020-11-20記事「America’s Elite Flying Unit That Made The Recent Long-Range Hostage Rescue In Africa Possible」。
    ニジェールから隣国ナイジェリア領に拉致された米人フィリップ・ウォルトンを山賊の手から奪回した2020-10-31の作戦の詳細がやや分った。

 英国内の基地からMC-130J(×4機以上)で「チーム6」が南下。途中、スペインのロタ軍港基地に立ち寄り。ニジェールでパラシュート降下。これが現場への潜入。
 脱出にはCV-22B(×6機)を使った。

 オスプレイのうち4機が先行して密かにニジェールに到達していた。

 空中給油は棚田灌漑式に実施された。まず複数機のKC-135Rが、MC-130Jに給油してやった。そのMC-130Jが、こんどはオスプレイを満タンにした。
 この空中給油がなければオスプレイも片道1700マイル〔ノーティカルマイルならば3146km〕以上も飛べやせぬ。

 現場の上空援護のために1機のAC-130Jが参加している。
 また全般の通信確保等のために海軍が1機のP-8Aを飛ばしていた。

 レイセオン社製の「サイレントナイト」と呼ばれる、凹凸のある地形の上を暗夜に超低空で安全に飛べるレーダー航法システム。これがMC-130Jには装備されている。
 CV-22Bにも同じ特殊レーダーを近々、載せる予定だが、このたびの作戦参加機がどうだったのかは不明。



日本の武器で滅びる中華人民共和国 (講談社+α新書)


[新訳]孫子 ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法


米軍がアフガンから撤収すれば中共がイスラムに包囲される。トランプはそれを狙っているのか。

  Gretchen Morgenson and Courtney Kube 記者による2020-11-20記事「Nearly one out of four sailors from the Navy destroyer USS Michael Murphy test positive for Covid」。
    太平洋艦隊のイージス駆逐艦『マイケル・マーフィー』内で新コロ、アウトブレーク。
 300人ほど乗務しているが、その四分の一がテストで陽性と出た。

 陽性者は全員、ハワイに上陸させられた。入院が必要な者はゼロ。
 艦はパールハーバーに繋留され、消毒作業待ち。

 さいわい同艦はローテーションでメンテナンス&基礎訓練サイクルにあり、2021年まではどこにも派遣される予定が無かった。
 海軍のポリシーにより、同艦で確認された陽性者の人数は公表されない。
 陽性者と濃厚接触した者、および手空きの乗員は、2週間の自主隔離に入る。

 パールハーバーでは『ウェイン・E・メイヤー』艦内でも最近、数名の陽性者が出た。この艦も、非任務サイクルにあった。

 次。
 Tanner Greer 記者による2020-11-19記事「Susan Rice is Asia’s Worst Nightmare」。
    次期政権の国務長官として、スーザン・ライスが起用されるんじゃないかという噂がある。ほんとうなら、アジアにとっての最悪の人事だ。
 ※同姓のコンドリーザ・ライスとは別人なので読者は混同すべからず。スーザンはオバマ政権下の国連大使だった。コンディは共和党ブッシュ政権下の国務長官。

 オバマ政権で国家安全保障補佐官を勤めたスーザンを、オバマ自身が今、バイデンに売り込んでいるところだと、一メディアが報じた。

 スーザン・ライスは、2012のベンガジ大使館襲撃を放置した無能無責任の醜聞にまみれており、いらい、共和党優勢の上院が彼女の準閣僚級要職への就任を支持する可能性はない。だからこそオバマが大物フィクサーとして出てくる必要があるわけだ。

 ※スーザン・ライスはアラブの春を焚きつけた。つまり今のおびただしいシリア難民もISテロもリビア内戦も、皆こいつのせいで発生しているのである。「出てくるんじゃねえ」パーソンのNo.1級と申せようか……。

 またスーザン・ライスは中共に媚びまくっていた過去があり、アジア人にとっても忌まわしき人物として記憶されているのである。

 ことし前半、バイデンの副大統領候補としてスーザンの名も挙がった。するとシンガポールのベテラン外交官のビラハリ・カウシカンが異例の辛口批評を公表した。スーザン・ライスは歩く災厄である。アジアに全く興味関心がなく、ロシアや中共級の強敵と外交戦争を戦うガッツはないくせに、人権が彼女の脳内基準以上に守られていないすべての中小国の政府は暴動によって転覆されるべきだと無責任に信じているのだから。

 オバマがノーベル平和賞をもらえたのは、当時のキャメロン(英)、オランド(仏)、メルケル(独)との関係を徹底重視したからである。裏を返すと、欧州以外の地域はどうでもよいとした。その時代がまたやってくるおそれがある。

 民主党政権はイランの核武装問題については、イスラエルと相談するのではなく、ドイツと相談した。
 ロシアがクリミアを併合したときは制裁を加えたが、中共が南シナ海でスカボロ礁を占領するなど好き勝手を進めていても制裁しなかった。

 スーザン・ライスは回想録の中で、中共はホワイトハウスのなかのたった一人のリーダーと交渉することを望むのだとし、だから国務長官ではなく、安全保障補佐官の自分が対中共交渉を仕切ったのであると自慢をしている。

 スーザン・ライスは中共と米国との永続協調を絶対視し、他のアジア諸国については無視する。
 オバマはプーチンと会う前には必ずメルケルから意見を聴取していた。しかしスーザン・ライスは、対中共外交に関して、日本を蚊帳の外に置いた。

 トランプは中共や北鮮のトップと会う前には安部から話を聞いていた。スーザン・ライスがバイデン政権で要職に返り咲けば、ふたたびオバマ時代に戻るだろう。つまり中共は日本抜きでアジアを仕切れる。

 ライスの自叙伝は482ページあるのだが、そのうち中共については13ページしか使われていない。彼女が誇る在任中の手柄は、中共の対米サイバー攻撃を止めさせる交渉がメインだ。しかし人も知るように、中共の約束はひとつも守られていない。

 またこの自叙伝中では、インドや日本については、ときたまその名詞が言及されているだけ。まったくライスの関心外であることがよくわかる。フィリピンに関してはわずか1センテンスの言及しかない。そして、おそるべし、「Taiwan」という単語は、索引に載っていない。

 ※別なニュースによると、レアアースの中共依存を減らすため米政府は1270万ドルを投資する。

 次。
 William H. Johnson 記者による2020-11-20記事「Simple Lethality: Assessing the Potential for Agricultural Unmanned Aerial and Ground Systems to Deploy Biological or Chemical Weapons」。
   新刊紹介である。
 ヤマハ発動機の「RMAX」や、DJI社の「MG-1」は、バイオ/ケミカル テロの道具になる。
 通販で購入して 25リッターの農薬散布用タンクをとりつけ、飛行ルートをプリプログラムし、タイマーによって放出させればよい。誰でもできてしまう。

 ※なんという古臭いアレゲーションであろうか。それよりも提案がある。地雷原の啓開のためにロケットを使うのは、準備と調整の時間がかかりすぎてよくないわ。アンフォ入りの長いチューブの途中5箇所くらいを、5機のマルチコプターで掴ませて持ち上げ、そのまま敵陣前のFEBAまで空中を運ばせて、そこで落下させ、爆発させるのだ。「スウォーム制御」のもうひとつの応用だよ。マルチコプターは何度でも繰り返し飛ばせられるから、カネの節約にもなるはず。今は1機で60kgぐらい持ち上げられるものがあると聞く。それが5機なら300kgだよ。

 次。
 Neel V. Patel 記者による2020-11-20記事「Rocket Lab has successfully recovered a booster for the first time」。
  ニュージーランドの民間ロケット会社。がんばっている。
 彼らは独特のブースター回収を考えている。
 スペースXのように、ブースターの残燃料で自律着地させるのではなく、パラシュートを開かせて落下させ、それが着水する前に、ヘリコプターでキャッチするというもの。キャッチする高度は5000フィート。
 この実験が成功した。

 ※これならブースターの燃料を打ち上げのためにぜんぶ使い切ることができるから、合理的だよね。天候のちょっとでも悪いときは打ち上げもないのだから、ヘリは必ず飛べるわけだ。こういう着想のある人が、「第二のイーロンマスク」を目指せばよいので、その着想のないお金持ちは、違うところにそのお金を使った方が世のためになるだろうよ。



アメリカ大統領戦記1775-1783: 独立戦争とジョージ・ワシントン1


兵頭二十八の防衛白書2016