太平洋は明朗化する。米国のINF脱退で。

 中共が、多国間条約としての「New-INF」条約に加盟することは、査察問題だけを考えても、ありえない(ICBMですら、それを認めたことはない)。したがってこれから世界はINFフリーの状態がずっと続く。大朗報だ。
 たとえば米軍が南九州の陸上基地から南支沿岸全域を巡航ミサイルで狙うこともできる。おなじことは、ブルネイやベトナムやフィリピンについてもいえる。ベトナムは米国から通常弾頭の「対艦弾道ミサイル」を買って海南島を照準することができる。フィリピンは楽々とパラワン島を防衛できるようになる。
 ついに、A2/AD構想は破綻し、終わった。いままでが、おかしすぎたのだ。
 この脱退通告には国務省も反対しない。中間選挙の追い風になるだろう。
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  Sam Blum 記者による2018-10-16記事「Researcher Discovers Way to Trace 3D-Printed Guns?With a Few Caveats」。
       3Dプリンターで作られた拳銃にはシリアルナンバーが無いので、犯罪捜査が不自由すると懸念される。
 そこでバッファロー大学のシナ人教授がいいこと考えた。
 この発明を「プリントラッカー」と称す。
 3Dプリンターにも微細な個癖がある。フィラメントやノズルごとに特徴的な年輪、積層パターン、皺を作り出すのだ。それをインフィル・パターンといい、1mm未満の世界の話ではあるが、検出は可能。
 かくして、プリンティングのプロセスそのものが製作者特定の識別手掛かりとなるのだ。
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  Mark Harris 記者による2018-10-19記事「Video doorbell firm Ring says its devices slash crime――but the evidence looks flimsy」。
     テレビドアホンのことを米語では、ビデオドアベルという。
 この分野に、リングという名のメーカーがある。アマゾンが今年10億ドルで買収した。
 リング社は、世界中の侵入盗を新システムによって撲滅すると吹聴している。
 リング社は2013年に、モーション・センサーとドアベルを連動させるシステムを市販し始め、それはヒットした。
 アプリをダウンロードすれば、スマホによって遠隔地から、自宅に訪問した人物の動画にアクセスできる。
 現在製品は1個が180ドルで売られている。
 しかしリング社は、もしコミュニティーが積極導入する気なら、そこから100ドルを値引きしてもいいよ、と提案している。
 すでに全米の12以上の市町村がこの提案にとびついた。
 すなわち、個人に買わせるのではなくて、コミュニティーがまとめ買いして、希望世帯に配布するのである。だから総額は巨大である。新種の商売だ。
 ところが、この宣伝方法に疑問がある。
 全戸の10%がリング社の装置をとりつければ、地域の侵入盗は半減するとかいう統計値は、大袈裟宣伝だ。
 ※玄関前を横切っただけの通行人も例外なくしっかりと録画されるから、泥棒がその地域を横行し辛くなる。したがって犯罪抑止効果があるのは確実であろう。定性的にではなく、定量的に説得しようとするから、擬似科学に堕してしまうのだ。このシステムには追加機能が必要である。市警察が必要と判断したときには、無線で、当該時刻の現場近辺のビデオ録画データを一斉収集できるようにする機能だ。もちろん世帯ごとに供出の諾否を可能にするきめこまかなオプションが用意されねばならない。たとえば、いつでもなんでもデータは取っていいよ、という事前全諾から、撮影画像はすべてクラウド保存させるけれども、裁判所命令がない限りはその提出は断る、などまでの。これによって地域の「迷宮入り強盗殺人」はゼロになるはずである。それが地域を以前よりも安全にさせないことがあろうか? 人間心理との戦いである犯罪抑止を定量的に論述しようとするのが最初から間違った態度なのだ。
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 Joe Pappalardo 記者による2018-10-19記事「The U.S. Doesn’t Want a No-Fly Zone Over the Korean DMZ. Here’s Why.」。
       11-1からのノーフライゾーンを韓国が勝手に決めたことについて在韓米軍の司令官たちは怒っている。
  ノーフライゾーン設定によって、敵のSAM陣地の位置を恒常的に電子偵察することができなくなる。
 ※最強のJ-SATRSでさえ、側方150kmのSAR撮像ができるだけだとすれば、マイナス40kmはデカい。
 北鮮がノーフライゾーンの約束を破ったときはどうする? 相手は核武装したままなのに、どうして強制が可能になるのか。


もし在韓米軍を日本が引き取るとしたら? 今から鳥取・島根に土地の確保が必要かもしれない。

  Hyonhee Shin 記者による2018-10-18 記事「U.S. opposed to Koreas’ plan for no-fly zone over border: sources」。
      韓国外相はポンペオとの電話会談で意見が一致しなかったことを認めている。
 韓国によってノーフライゾーンを設定されてしまえば、米空軍はCASの演習が不可能だ。
 11-1から発効するノーフライゾーンは、西部DMZについては南北に40km幅、東部DMZについては南北に20km幅で設定される。いずれも、軍隊の固定翼機が対象である。
 DMZの近くでは固定翼機(主にF-16)からの空対地ミサイル攻撃と連動した陸軍の実弾演習は不可能になる。
 韓国軍も米軍も、2018-6に演習停止宣言するまで、この種のCAS訓練を頻繁に実施していた。
 なお、ヘリコプター、ドローン、バルーンは一律には規制されない。また、民間機による患者輸送、災害救助活動、農薬散布などは規制の例外と認められる。


困ったときの核だのみ。

 ストラテジーペイジの2018-10-18記事。
  イスラエルがイランの金庫から持ち出した大量の機密文書。
 モサドによる文書窃盗作戦は2018-1-31に実行された。その事実は5-1に公表された。内容は核兵器開発に関する最高機密であった。
 ただちに米大統領に対して直接に梗概が説明されている。
 イランのファルシ語を読める核エキスパートが、イスラエルにはたくさんいる。彼らの英訳作業(およびヘブライ語訳作業)は、まだ進んでいる。文書は半トンもの分量なのだ。
 この逐次に届けられる英文資料を見て、3月までにトランプ政権は、イランが2015合意を破っていると確信したのである。
 イスラエルが5月に公表したのは、それによってトランプが合意から脱する説明に苦しまなくて済むから。
 他の5ヵ国は、資料の全容が知らされるまでは態度保留の方針。
 イランは核物質や機材を国内に徹底分散させている。イスラエルは、部品を組み立てればセベラル個の核爆弾がすぐできあがるという段階に、すでにイランがなっていると疑う。ただ、実験はしていないというだけなのだ。
 ※原爆のために全外貨を投じているのだとしたら、革命防衛隊が2015合意直後に外国製の新品の戦闘機を輸入させなかった理由が、整合的に説明される。運搬手段としてはSSBMがあるので、戦闘機はいらない。ロシア製の対地攻撃機は、訓練飛行時間が足りないので使えないだろう。じっさいシリアではイランは有人機を1機も作戦させられぬありさま。
 モサドは2016前半に、イランが密かに原爆開発を進めている倉庫を特定した。そこで、その倉庫に忍び込んで文書を持ち出す作戦が立てられた。
 だが倉庫の中には巨大な金庫が32もあり、そのうちのどれに核文書が入っているのか、特定するのに、時間がかかった。
 この盗み出し作戦では、1人のイラン人も死傷しなかった。だからニュースを聞いてもイラン人は別に怒っていない。イラン国民のあいだには特に対イスラエル敵愾心や対米敵愾心はない。その逆にテヘラン政府と革命防衛隊は、対イスラエル戦争しか考えていない。
 5万5000ページの紙と、写真を含む5万ファイルが入った183枚のCDが、イスラエルに持ち去られた。
 モサドは2台の車両で500km走り、アゼルバイジャン国境を越えた。
 イランは、サダムのイラクが原爆開発を進めているので、それに対抗して原爆研究を始めた。ところがサダム体制が崩壊してわかったことは、サダムは去勢を張って嘘をついていただけで、核爆弾など開発してはいなかった。こうなるとイランの開発の正当化が国際的に難しくなったとテヘランは判断した。
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 Scott Stewart 記者による2018-10-18記事「A Sting Operation Lifts the Lid on Chinese Espionage」。
    オハイオ州のGE社の新エンジンの複合材部品の技術を盗み出させようとしたシナ人公安幹部Xu。
 設計に通じているGE社員に眼をつけて誘い出した。
 まず南京航空宇宙大学の副学長と結託して、GE社員を南京に旅行させた。旅費等の経費はもちろんすべてシナ側で精算してやった。
 この社員は大学で講演した。2017-6-2のこと。
 謝礼金は別途、3500ドルであった。
 ここで副学長は、GE社員を工作幹部Xuに引き合わせた。もちろんXuは架空のアイデンティティを偽装する。江蘇州の某技術研究所の者であると名乗った。
 Xuは、講演料を出したのはじつはウチの研究所なのだよとGE社員を食事接待しながら告げた。
 Xuは、このGE社員を手下として取り込む。
 帰国したGE社員にメールで、技術情報を漏らしてくれれば、次の講演旅行を用意しようとオファー。
 Xuは、GE社が設計部の社員たちに支給しているラップトップのHDの中味に何が書いてあるのかに、強い関心があったようだ。
 GE社員はしかし、とっくにこうした誘いかけについて会社に詳細を報告していた。
 GE社は、社員たちが中共側からこのような誘いかけをうけたときにどうすべきか、しっかりと教育をしていたのだ。もちろんすぐにFBIへも知らされた。
 GE社員は会社によって巧みにクリーニングされたハードディスクの中味をXuにコピーして与えた。囮捜査の開始である。
 このラップトップは中共へ持ち出すことは許されていなかったが、西欧へなら持ち出せた。そこで、ベルギーで会おうということになり、ベルギー当局がXuを逮捕し、国外追放し、米国がその身柄を確保した。
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 Victor Abramowicz 記者による2018-10-18記事「Beware of Fighter Pilots Bearing Gifts」。
       9月後半、退役したロシア戦闘機パイロットを装うインスタグラム投稿者が、シリアでスホイ35によって退けられたF-22の赤外線写真なるものをアップロードして、ロシア機の優越を宣伝した。
 怪しい点。スホイ35に搭載されている Infrared Search and Track (IRST) 装置、固有名「OLS-35」は、在空の敵機(赤外線源)の位置を点で示してくれるもので、写真のようなイメージを示してくれるものではない。
 百歩ゆずり、IR写真が撮れるものだとしようか。
 この投稿写真、F-22の機体背景に道路が写っているので、俯瞰撮影とおぼしい。そしてなぜか、片側の主翼下のエンジン吸気口部分が見えていて、もう片方のエアインテイクは、掻き消えている。
 合成だと疑える。
 さらに怪しい点。
 ロシア機と擬似空戦に近い空中接近があったのなら、米軍はロシア側の「アンプロフェッショナル」な行為だとして公式に非難するのが常なのに、この「一件」に関しては米側からそのような声明がなされた記録はない。
 もっと怪しいこと。ロシア軍人が、最先端センサーで得られた画像を世間に初めて公開しようというのであれば、上級組織から正式の許可を得てこれを掲載するのだ、という説明表示が付いているのが至当であるのに、それも皆無。
 センサー画像を公表すれば、敵陣営はその性能を察知してしまい、対策も立てやすくなる。それはただちに味方パイロットを危険にさらす結果につながるかもしれない。
 だからセンサー技術で米側に対して圧倒的な優越を誇っているわけでもない露軍は、そんな資料をみだりに部外に公示することを許さない。
 もし君が戦闘機パイロットなら、フェイクであっても、こんな画像付きのニュースには喰いつくのは当然だ。もっと見たいであろう。が、得体の知れないファイルを開くときには気をつけてくれ。それはトロイの馬になっている可能性がある。
 ※イランが2013年に公表した国産なんちゃってステルス機もいっこうに現物が登場せず、イラン国民すら、あれはフェイクだと理解するようになっているそうだ。
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 Charlotte Jee 記者による2018-10-18記事「There has been a dramatic slowdown in getting the rest of the world online」。
   インターネットアクセスの増加趨勢が減速した。
 いま世界で、インターネットに接続していない人口は、38億人である。
 かつて国連は、2017年までに世界人口の半数がインターネットにアクセスすると予言したが、その実現は2019-5までずれこむだろう。
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 Sandra Erwin 記者による2018-10-17記事「The next battleground: What do we really know about what adversaries do in space?」。
        敵国のたくさんの衛星が軌道上でいったい何をしているのか、平時から詳細に把握しておく必要が生じているのだ。これが宇宙軍創設の背景。
 あくまでセンサーや情報の戦いであって、レーザー砲の戦いではない。
 敵国は、敵国の衛星からどんな軍事情報を得つつあるのか。それをこっちで正確に知っておきたい。写真偵察衛星だけではない。さまざまな電波傍受衛星がある。
 ※そのために、敵衛星と地上受信局(または中継通信衛星)の間に傍受スパイ衛星を割り込ませて、敵衛星から地上へリポートされている信号内容を宇宙において盗聴する必要があるのか。しかしマイクロサットのスウォームになったらどうする?


バラ撒き奨励策が、米国では天下りの弊害を回避してきた。

 Lara Seligman 記者による2018-10-16記事「Pentagon Criticized for ‘Spray and Pray’ Approach to Innovation」。
  T・ステフェンス氏。ベンチャー投資会社「ファウンダーズ・ファンド」や「軍用AI企業「アンドゥリル工業」の経営者である。
 彼はペンタゴンのためのAIプロジェクト「メイヴン」も推進している。
 従来のペンタゴンの新技術養成戦術はこんな感じだ。
 もしここに1億ドルの使える資金があったとしたら、それを25万ドルづつの400枚の小切手に分割し、400社のベンチャーにばら撒く。
 ステフェンスは批判する。このやりかたでは、ごくわずかのベンチャーが、新案の製品化にまで漕ぎ付け得るにすぎない、と。
 25万ドルでは、有望ベンチャーにとって、小さなスタートアップにも足りない額だ。
 中共のやり方は違う。もっと数社に絞って、公的資金をドーンと突っ込んでやる。すると、そのベンチャーは市場から見ても有望だと信じられるので、そこからさらに民間資本をかきあつめやすくなる。
 たとえば1億ドルの育成資金が政府にあるのなら、それを2500万ドルの小切手4枚に分け、4社に対して資金を与える。何かベンチャーに投資したいと思っている民間機関投資家は、その明瞭なサインに食いつくだろう。
 ※法的な「公平」などという価値観をハナから無視できる儒教圏だからこそ、斯かる政策マヌーバが可能なわけだ。
 ※そしてもうひとつ。米国流ならば「天下り」が関係なくなる。DARPAの成功因だ。日本政府のやり方は、このシナ流でも米国流でもない中途半端流だから、成果が貧しいのか?
 ステフェンスの焦り。中共方式はとにかくスピーディに事業を前進させられる。米国流バラマキ育成方式では、どうしても芽が伸びるのが遅い。
 ※そのかわり基礎分野での大躍進の種が発芽するだろうが!
 ステフェンスの驚き。民間でソフトウェアの天才を示している開発者たち数百人にペンタゴンの代理人として会って話をもちかけたのだが、彼らは誰もペンタゴンとの仕事には関心を抱いていないことがわかった(けっきょく、たったひとりだけが応じてくれたと)。
 ペンタゴンの仕事を請け負うといえば、すなわち窓のない地下室で延々と仕事に打ち込まされるのだといったキャリア未来図を、有能なコンピューター系大学院生に想起させてしまう。これではなかなか人材は集まらない。
 アンドュリル社についてのステフェンスの抱負。軍用AIに関心の強い人材だけをリクルートできる、そんな会社を立ち上げたかった。ペンタゴンと組んでスタートアップをやるからには、ゆくゆくその無名会社を、ノースロップグラマン社とかロッキードマーティン社に匹敵する巨大軍需企業にまで育てたいんだよ。
 ※つまりてめえの会社に政府から巨費を投資してくれよってこと? 腐敗の第一歩だろうが。
 アンドゥリル社と対蹠的なのが、中共のセンスタイム社だ。同社は顔認識AIを北京政府から請け負って開発している。大群衆の中から指名手配容疑者をすばやくピックアップできるのだ。
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 John Ismay 記者による2018-10-16記事「Neil deGrasse Tyson on the Surprising Alliance Between Astrophysicists and the Military」。
  軍事技術がいかに天体物理学を進歩させたか。それを書いた新著の著者にインタビューした。
 最初の望遠鏡はそもそも陸軍用であった。それが17世紀に天体観測用に転用されたのだ。
 「キーホール」スパイ衛星があったから、「ハッブル」宇宙望遠鏡もできた。
 天文学が軍隊に貢献したという話ではない。まさにその逆。
 ただし核兵器は然らず。
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 Courtney Kube and Carol E. Lee 記者による2018-10-17記事「Trump administration has new plan to drive Iran out of Syria」。
   トランプ政権は、シリア再建にかかわろうとするロシア企業やイラン企業に制裁を課すつもり。
 在シリアの米軍は勝手にイラン系傭兵と戦争することはできない。2001に米議会から法律によって授権されている戦争条件がある。米軍は彼の地では、ISおよび2001-9-11テロに責任あるグループとだけ交戦してもいいのだ。
 もしイラン軍とシリア内で戦争したいならば、そのための新授権法が必要だ。※イスラエルが望んでいること。
 米政権が標榜している4つのゴール。
 ISをやっつける。
 アサドに化学兵器を使わせない。
 ダマスカスの政権交代。
 シリア国内からイラン傭兵は撤退させる等してシリア内でイランが影響力を発揮できないようにし、それによりイスラエル等を脅威し得ぬようにする。
 ※原文ではイスラエルの名は挙げていない。これが「政策はAIには決められない」理由のひとつ。レトリックで示唆することしかできぬ問題が、現実政治には多々ある。それを堂々とデータ入力してしまうと、漏洩したり後年に情報公開されて、大スキャンダルとなってしまう。
 ※このような「ゴール」をまず公式に掲げる米国軍事外交の技法については、並木書房の新刊『作戦司令部の意思決定』がわかりやすい。著者は元海将の堂下哲郎氏。
 トランプ個人は、ISが片付いたら米兵はとっとと帰国させたいと念じている。
 米軍が去ればISとイラン傭兵はシリア内で盛り返す、と米政権の軍事系アドバイザーは口をそろえる。


子育ては消費行為。消費税を実質マイナスにもっていかぬ限り、日本の世代別人口比が好転するわけはない。

 MATTHEW M. BURKE 記者による2018-10-16記事「New Marine correctional unit goes against stereotype with mindfulness and goal setting」。
   米海兵隊の懲治監房。5月から沖縄のキャンプハンセン内にリオープンしており、なかなか成績はよさそうだ。
 昔の懲罰部隊のイメージは、延々と続く炎天下の岩石割りだったが、今はそんなことはさせない。
 要矯正兵は7日から30日くらい、ここで過ごす。
 居室は独房である。
 収監容量は最大32名まで。
 看守長の一等軍曹による訓示。「ここには希望があると知れ」。
 新入りは最初の1週間は怒鳴られまくられて規律を再注入される。ブートキャンプのやりなおしに等しい。
 朝4時半起床。髭剃り、歯磨き、ベッド直し、そしてPTの準備。
 その後、シャワーののちに朝食。
 だいたい3週間にして、ほとんど矯正の必要はないと認められるようになる。
 憲兵大隊とともに3マイル走ることもある。歩調の歌を叫びながら。朝の6時に。※つまり営外か?
 ぶちこまれるのは、酔っ払って喧嘩したとかいう者がほとんど。その性格をどう直すか。何かに怒る前に「良い判断」をしろと教える。「悪い判断」ではなく。そのためには行動をスローにしていいのだ。
 この懲治房制度はもともと1979年にスタートしている。
 それ以前は部隊長としては除隊をさせるしか選択はなかったのだが、除隊させないで矯正する道ができた。
 しかし、イラク&アフガンで人手をとられるようになり、いったん2004年に制度が中断している。
 近年、在沖縄の海兵隊では、この制度の復活が必要だと考えるようになった。そして今年、復活した次第。
 ※日本では大正12年以前には陸軍懲治隊があったのが、陸軍教化隊と改称している。たしか姫路にあったはず。治らない札付きは、全国の師団司令部所在地にあった陸軍刑務所送りとされた。このような施設は先進国のすべての軍隊につきものなはずである。米軍は1979以前はどうしていたのか謎だ。
 次。
 James A. Schear 記者による2018-10-16記事「Partner Capacity-Building’s Next Phase ? Embracing Civil Works?」。
    中東とアフリカでアメリカの味方をいかに増やして行くか。これは中共やロシアとの世界分割競争に勝つために、とても重要だ。
 わかってきたこと。
 いちばん効率が良いのは、初歩級のエンジニア(工兵)となる職業訓練をしてやることである。
 そうすれば、現地国軍に入って道路を建設する工兵にもなろうし、爆弾処理も自力でできる。水道工事、災害復旧工事も、あとは現地人だけで面倒みれるようになるのだ。
 模範国はセネガルである。いまや同国軍の工兵隊が、国土保全、インフラ維持だけでなく、国民のヘルスケアや教育まで面倒をみている。


またしてもわが提案が実現可能性を帯びてきたよ。

 MATTHEW BROWN 記者による2018-10-15記事「US eyes West Coast military bases for coal, gas exports to Asia」。
   トランプ政権は、米本土内産出の石炭および天然ガスをアジアにもっと輸出するため、アラスカ沿岸にある米軍基地に、民間貨物輸送のための「貨物トランジット港」としての機能を兼帯させる案を検討している。
 APがこの話を聞いたソースは、米内務長官と、2人の共和党下院議員。
 西海岸諸州は、石炭輸出港を新規に建設することには反対の立場である。ならば、州権の及ばない米軍基地内につくってしまえばいいだろうというのが、政権の目論見だ。
 オレゴン州選出の民主党員の上院議員や、環境保護主義者は、この案に大反発。
 他方、トランプ政権は、国内の石炭火力発電所を削減させる意思はない。
 アラスカ州のどの基地が有力候補か。それは岸壁の水深が、より大であるところであろう。
 海軍の基地か、さもなくば、連邦保有の沿岸部施設。
 ズィンク内務長官のイチオシは、アリューシャン列島アダック島にある海軍航空隊基地の跡地。ここを天然ガスの輸出ハブにしてはどうかと。「ノース・スロープ」からいったんバージ船でここに天然ガスを集めるのだ。
 アダック基地は1997に閉鎖されている。基地城下町には、いまでも300人の住民が残っている。
 では石炭輸出港に使える連邦政府所有港とは? ズィンクはこっちについては沈黙。
 ワシントン州とオレゴン州には、石炭輸出港の候補地が6箇所ある。すべて地元は消極的である。
 たとえばワシントン州のロングヴュー港を、ユタ州の採炭企業が6億8000万ドルかけて石炭輸出港として整備する計画があったが、二酸化炭素排出削減を是とする州が昨年、ダメ出しをしている。
 「ミレニアムばら積みターミナル港」と名付けて、年に4400万トンを輸出できるはずであった。
 ちなみに合衆国最大の炭層は、モンタナ州とワイオミング州にまたがっている。
 ワシントン州は自己満足かもしれないが、内陸部の6つの産炭州や、石炭で商売している企業は怒る。彼らはワシントン州知事のジェイ・インスリーを非難する。
 ロングヴュー港の開発計画を阻止した連中は、合衆国憲法の商法規定に反するじゃないかと。輸出についての規制を決められるのは連邦議会だけなのに、なんで州議会が規制するのかと。
 ズィンクの前歴は、モンタナ州議会議員だ。
 テキサス州も、大産炭地である。その知事だったリック・ペリーが、今の連邦エネルギー長官だ。
 商務長官も石炭輸出に賛成している。
 2017年の、対韓国、対日本、対中共向け等のアジア向け石炭輸出は、2倍以上に増えた。
 今も急増中。
 ※徳間書店『空母を持って自衛隊は何をするのか』の121~125ページをご覧ください。まずはアラスカのLNG積み出し港の整備に日本は一枚噛むべきです。ついでに説明すると、米国ではこういう大工事に、陸軍工兵隊を使うことができる。そこは、彼らの強みになっています。
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 Will Knight 記者による2018-10-15記事「MIT has just announced a $1 billion plan to create a new college for AI」。
   MITが発表。10億ドルを投じて、新カレッジ〔AI専門大学〕を建設する。AI、マシンラーニング、データサイエンスを他の学問領域とも結合する。
 2022年に開校させる。有力出資者はブラックストーン社のCEOのステフェン・シュウォーツマン。
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 SETH ROBSON 記者による2018-10-15記事「US military tightens base access for South Koreans in Japan」。
    米軍は、在日米軍基地内に、「友人を訊ねる」「イベントに加わる」などの理由で立ち入ろうとする韓国人に追加のスクリーニングを実施せよ――と布告した。
 部外者が米軍基地内に入るには、基地内の者によるエスコートが不可欠である。が、ヨコタ基地の営門警衛には、基地内の者がエスコートして招じ入れてはならぬ者の国籍として、従来の北鮮、中共、ロシア、イラン、アフガニスタンなどに、あらたに韓国も追加されると指示された。
 もし韓国人が在日米軍基地に立ち入りたい場合は、事前に支援機関が調整して、基地司令からの承認を受けたあとでなくてはならぬ。
 立ち入り申請は訪問希望日の30日前であるのが望ましい。
 韓国内においては、パスポートを所持した日本人は、基地内の者のエスコートがあれば、随時に在韓米軍基地内に立ち入ることができる。
 いったいこれまで韓国人が何の用があって在日米軍基地に立ち入っていたのかというと、米軍将兵と婚姻している韓国人がいるのである。その友人や親戚が、面会に訪れる。今後は、それらの者は、事前の基地司令の許可がない限り、営門で追い返される。
 すでに先週からこの新規則が施行されている。
 ※アパッチロングボウレーダーの使えなさぶりを暴露するなど、韓国人は米国人が困惑する「事実ばらし」をしてくれるので、そこが嫌われましたかな。


ゾンビがゾンビリしているよ

 Joe Pappalardo 記者による2018-10-10記事「China’s “Guam Killer” Is Forcing B-2s To Practice Strikes From Pearl Harbor」。
     米空軍は、3機のB-2爆撃機と、地上整備員200名を、8-15から9-27のあいだ、グァムからハワイ基地へ移駐させていた。これは中共軍に対して、グァムを東風26で攻撃しても無駄だぞ、というメッセージを送ったのである。
 ちなみにヒッカム基地がB-2を受け入れたのは、今回が初。
 ハワイには州兵空軍のF-22があるので、B-2とF-22の合同訓練も可能になった。
 ※ハワイを出発基地にするB-2に余裕をもって中共空爆をさせるためにはタンカーが出動する必要がある。そのタンカーをF-22で護衛させるのか。
 1機のB-2は、ウェーク島の滑走路上で、「ホット・ピット」――すなわち、エンジンをかけっぱなしにしたまま燃料を満タンに補充してもらう訓練を実施した。
 ※対支有事にはウェーク島にも散開しますよ、とデモしたわけだ。
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 Kyle Mizokami 記者による2018-10-12記事「The Entire U.S. F-35 Fleet Is on Worldwide Stand Down」。
       サウスカロライナ州ボーフォート基地近くで9月28日に海兵隊のF-35Bが墜落した事故を承けて、米軍および購入国のすべてのF-35が10-11から暫時飛行停止に。
 48時間かけてエンジン内部の燃料チューブを総点検する。悪いチューブとまともなチューブがあって、まともなチューブが取り付けられていたなら、無問題。
 ※14日の朝霞の観兵式でフライパスしたF-35は、まともなチューブが取り付けられていたのか。
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 Joe Pappalardo 記者による2018-10-13記事「The Social Media Crime Fighters at FireEye Are Helping Facebook Find Fake Accounts」。
      イラン時間の木曜日から金曜日にかけて書き込みが鈍るフェイスブックのアカウントは、イラン工作員によるフェイク人格である可能性を疑える。それはイランの「週末」に同期したパターンなので。
 次。
 Joe Pappalardo 記者による2018-10-11記事「Ballistic Reentry: How Astronauts Survive a Failed Launch」。
      じつはソユーズの打ち上げ史の中では過去に3回、このたびのような「バリスティック・リエントリー」、すなわちカプセルによる上昇途中のロケットからの乗員の緊急生還がなされている。
 この緊急生還は、分離されたカプセルの姿勢を安定させるために回転をかける。乗員には甚だしい加速度〔減速の? それとも遠心力成分?〕がかかる。
 カプセルは大気圏への再突入のあいだ、確実に、耐熱底面を下にして落下し続ける必要がある。そのため、ライフル銃弾のように旋転を続け、それで姿勢を安定させるのである。
 たとえば2008のソユーズTMA-1のバリステック・リエントリーの際には、乗員は、6Gで上昇していた途中からカプセル脱出することになったが、再突入中は、8Gの遠心力に耐えねばならなかった。
 お客のひとり、ペギー・ウィットソンによると、回転がキツくて壁に押し付けられる感じになり、ほとんど呼吸も難しかったと。
 2008の別のお客、韓国人のイ・ソイェオン(♀)は首の筋肉と背骨を傷めてしまい、着地回収後、病院へ運ばれた。
 その後、システムはやや改善されており、今では7G以下の加速度まで抑制されているという。


どうなるかわからない話。

 Jeff Jeong 記者による記事「South Korea to buy ship-based interceptors to counter ballistic missile threats」。
 韓国軍艦がSM-3を導入する。
 これは韓国軍のJSC=統合参謀本部が2017-9に決定した。
 米艦はすでにSM-3を装備しているが韓国艦はまだ装備してなかった。
 レイセオン社いわく。SM-3のキルビィークルの衝突エネルギーは、時速600マイルの10トントラックに等しい。
 また韓国は、イスラエル製のアイアンドームを改造して採用したいとも思っている。
 それによって北鮮軍の長距離砲の大砲のタマも迎撃するのだという。
 また韓国陸軍は、北鮮の野砲を精密破壊するための射程120kmの国産弾道ミサイルも配備する。その着弾誤差は2mだという。


永遠の終盤戦

 Noah Barkin 記者による2018-10-12記事「Five Eyes intelligence alliance builds coalition to counter China」。
     5アイズ+独日で、アンチ中共シフトを敷く。
 独日をファイヴアイズに混ぜるという話は、最初に、8月の豪州ゴールドコースト会談から、漏れ伝わってきた。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-10-12記事。
 中央アフリカ共和国にてシナ人鉱山会社と現地民との間で殺し合い発生。10-4にシナ人社員3人が群集によって殺された。警察署の中に逃げ込んでいたのだが。
 その前に、鉱山幹部のシナ人たちと同舟していた一人の現地人が、水死。転覆事故だと説明されたが、これに現地は反発した。
 9-20には中共軍の戦闘工兵等100名が、コンゴに着任。1年間のPKFである。


厚真町の荒蕪化した山林は「放任寒地農業」実験特区に指定するとよい。

 裸地になったところを中心に。
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 ストラテジーペイジの2018-10-11記事。
    米軍の派遣先の外地のSNSで飛び交っている話を自動収集し、それを英訳して逐次に教えてくれる情勢分析ソフトを米陸軍が開発しようとしている。
 ※防衛省は「E-2D」を追加で9機発注するという。この決定は、冷戦後のわが国の装備調達の歴史における久々のクリーンヒットだ。操縦者の配分は簡単に融通が利き、同時に多数機を飛ばすわけじゃないから運用経費も無理がない。フィリピン海を往来する味方艦隊・船団に手厚い早期警戒スクリーンを提供できるだけではない。無線傍受による常続的で広範囲の敵情把握ができるようになる。南西諸島に潜伏するゲリラやスパイ、対岸の敵性漁船団や洋上の海賊船の交信。そして空自機が比島を疎開地として利用する場合の途中の警固……。理想的な「フォース・マルチプライヤー」。政治的には、少数機の調達で大きな金額となるので、トランプ政権を黙らせやすい。
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  Steve Leonard 記者による2018-10-8の新刊紹介記事「How Social Media Will Drastically Change the Way Wars Are Fought. Unless It Doesn’t.」。
     『いいね! 戦争』という新著が出た。書いたのはP・シンガーとE・T・ブルッキングの二人組。兵器化されたSNSが、戦争も政治も変えてしまう。
 武器としてのSNSは、いわば山火事であり、接触感染する熱情である。