ロシアは北鮮が事を起こすのを待っている。極東事変と同時にバルト三国を占領してしまう気だ。三代目はその期待も理解している。

 ストラテジーペイジの2018-1-1記事。
 さいきん脱北してきた北鮮兵の血液検査をしたら、炭疽菌に対する抗体ができあがっていた。すなわち、炭疽菌ワクチンの予防接種を受けていた。
 ワクチンは北鮮の全国民分はとうていない。全兵士分もない。
 しかし、炭疽菌を製造したり輸送したり兵器に搭載したりする関係者には接種するはず。
 そしてまた、開戦奇襲で炭疽菌で汚染した地域に突入する予定の部隊に対しても接種しておくだろうと考えられる。
 三代目は2015に新装開店なった平壌微生物研究所を視察して宣伝している。
 炭疽菌は自然界では草と土にについており、羊は根こそぎ草を引き毟るのでよく炭疽病に感染する。
 羊毛業者や、皮剥ぎ業者も、しばしばアンスラックスに罹る。
 この炭疽病を兵器化してみたのは英国が早かった。WWII中である。
 ドイツがワクチンを開発する前に使えば有効なはずだった。
 炭疽菌の胞子は自然状態では空中を長距離漂ったりしない。
 長距離を漂う兵器にするには、胞子同士がくっつかないように工業的に処理しなければならない。
 そこまでしても胞子は日光で死んでしまう。
 すくなくも1万個以上の胞子を吸い込ませないと、人は死なない。5万個でも死なぬ人もいる。空気中にバラバラに漂わせれば、それだけの数を1人に吸い込ませることができない。難物なのだ。
 過去最悪の炭疽菌事故は、ソ連のスヴェルドロスク市郊外の生物兵器工場から漏洩した1979のケース。数千人の付近住民が炭疽菌の強化株に感染してしまったが、死者は100人に達しなかった。
 しかもほぼ全員が老人か慢性の肺疾患持ちで、健康な兵役適齢者の死者はゼロ。
 威力としては、その程度である。
 この犠牲者たちは、ソ連政府が生物兵器事故であることを公式に否定したがために、正しい治療を受けさせられずにまったく放置された。それでも100人は死ななかったのである。
 その後、ソ連政府は、死者たちは炭疽菌に汚染された食肉を口にしたために死んだのだと公式発表を訂正。
 ソ連崩壊後、現地に始めて西側の調査チームが入り、生き残った人々の血液を調べた。人々は、炭疽菌ワクチンは注射されていなかったが、もともとナチュラルな抵抗力を備えており、それが機能して感染症と戦うことができたのだと分かった。
 地球温暖化で炭疽菌がアウトブレークしたという例が、2016年の西シベリアにあった。40人が感染したがいまのところ誰も死んではいない。
 原因は、1968に自然流行した炭疽病でトナカイが大量死し、なにしろ永久凍土帯なので埋めた肉が腐り切らず、かなり残っていた。それが2016の35℃の暑い夏に溶けて再び胞子を放出したのだ。
 2012年には南シベリアで炭疽病の小流行があり、1人死んでいる。
 キルギスタン内で露軍が借り上げているカントという飛行場の20km郊外でも小流行があった。
 米国の炭疽菌テロは2001の話。封筒に炭疽菌が入っていて、1人死亡、12人罹患。
 問題は、こういう事例に社会と政府が反応して人々におびただしいワクチン投与を始めると、ワクチンに耐性をもった菌種が誕生してしまうおそれがあること。そっちの方がおそろしいかもしれない。
 炭疽菌の作用には大別して二種あり。
 皮膚がただれて激しく痛む症状のものは、真っ黒なシミ状からすぐに炭疽菌と診断されるから、ただちに抗生物質が投与され、完治する。痕は残るが。
 他方、肺から感染した場合は、感染後数日でインフルエンザのような症状を顕す。その場合は死が間近にあると言える。
 というのも、非常に幸運に、それが炭疽菌のしわざだといちはやく気付くことができたときにのみ、抗生物質による正しい治療をしてもらえるからだ。たいていは、そうとは気付けず、インフルエンザと診断されてしまえば、手遅れになる。


「読書余論」 2018年1月25日配信号 の 内容予告

▼松田卓也監修『人工知能の都市伝説』2016-3pub.
 軍艦の砲塔は昔は有人、今は無人。その類の「ロボット歩哨」なら、珍しくもなんともない。
 世界が終わる日には美味しいものを食べに行くと答えた阿呆大学生。レストラン従業員がそんな日に仕事に来るとでも思うのか(p.135)。
 AI研究予算を国別に比較すると、アメリカ:EU:中共:日本は、58:18:8:2である(p.225)。
 このままでは日本は、かつて産業革命で欧米に突き放されて後進地域に転落したムガール帝国や清国と同じようになる。諸国の運命の「大分岐」がAIに関してまた起きる。
▼中島博『カンテラ日記――富士山測候所の五〇年』1985-3
 S13-8-24に、西安河原に航空医学研究所=陸軍軍医学校衛生学教室富士山分業室 が開所。
 S18-6-8、陸軍糧秣本廠が山頂で、圧力をかけられる飯盒で炊爨する実験を繰り返す。山岳戦のためだという。
 大気圏内核実験の放射能灰が日本に来るには、ビキニ環礁からだと貿易風に乗ってまず西へ移動し、ついでフィリピンから小笠原高気圧の周辺を北上。およそ1~2週間で日本に達する。
 南西シベリアやノバヤゼムリヤのソ連実験の放射能は、3日から1週間で日本に来る。
 中緯度の放射能は2週間で地球を1週して、また日本で観測されることになる。
▼草野かおる『4コマですぐわかる みんなの防災ハンドブック』2011-8
 阪神淡路では、6434人の死者。死因の大多数が、圧死。木造住宅が人を殺した。どうしても木造住宅で寝るなら、二階で寝よ。
▼草野かおる『防災&非常時ごはんブック』2014-8
 七輪は炭を入れて燃やすもので、練炭は入らない。
 練炭は、専用のレンタンコンロで燃やす。そのコンロのサイズは練炭に合っている必要がある。
 練炭コンロは煮物に向く。七輪は焼き物に向く。
▼齋藤訓之『有機野菜はウソをつく』2015-2 SB新書
 オーガニックには、お仕着せではない自主選択的なもの、という意味がある。
 スーパーマーケットの側からいわせてもらえば、無機だろうが有機だろうが、優秀な農家は単収が高い。栽培中に丹精など込めている農家は、ダメ農家の証しである。省力、低コスト、しかも健全で安全な栽培は、単収と比例している。
 HACCPとは何か。Hazard Analysis and Critical Control Point……危険なところを分析しておき、急所を制する。
 1997年から爆発的に欧米に普及したメソッド。
▼竹村公太郎『日本史の謎は「地形」で解ける』2013-10 PHP文庫
 著者いわく、江戸城の大手門は将軍の臣下たちの門であって、将軍にとっての正門は半蔵門だったのだろう。
 治水の基本。ある場所で水を溢れさせる。
 今の荒川区と北区の、台地ではない川寄りの地帯は、隅田川が増水したときは全面浸水やむなしとされた、いわば遊水地だった。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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実りの多い一年が暮れる。

 2017年は収穫が多かった。
 出版イベントでは、『アメリカ大統領戦記』に1里塚を樹てることができたのがいちばん想い出深い。
 世界観の変わる体験としては、自動車メーカーディーラー店で最悪の「ゆとり」小僧に当たってしまった。この歳で酷いトラウマだ。現代においてラジオの付いてない新車を届けられたのは俺くらいではないか。わたしの車のダッシュボード上に今も小型のAMラジオが置いてあるのは、その名残なのです。
 初めて自動車オーナーになるからにはこの歳まで持ったことのない携帯電話も持たねばならぬと決意し最寄の携帯ショップに行きiPhone7 Plusを買ったはいいが、ここでも「ゆとり」姉ちゃんに当たってしまって甚だ苦しんだ。今の日本にはこんな店員が何割もいるようになったのか。
 この携帯で初めて電話が通じたという貴重な体験は、12月のMXの入り口がわからなかったときだった。それまでは掛けるのも受けるのもうまくいかなかったのだが……。めでたし。
 乗り物系の素晴らしい体験は北海道新幹線。いうことなしだぜ。
 フレッシュな体験としては、今年わたしは「測量助手」になった。これをやってみないことにはジョージ・ワシントンの青年期も理解はできない。
 今年いちばん暗雲の垂れ込めたニュースは北朝鮮の話ではなく、複数のNHK裁判で偉い判事たちが軒並み基本的法理を捻じ曲げて「NHK帝国」に叩頭九拝阿諛追従してみせたこと。2017年は、自由が金権に屈服した記念の年だ。いったい東大法学部は戦後何を教えてきたのだ?
 民主的選挙にいっさい無関係にマンデイトに国民から実質税を徴収できる「絶対金力」は、人々の志操を腐敗させ、内外の同類を仲間に引き入れ、逐次且つ絶対的に国家と国民を不自由に導く。
 BBCには電波独占特権と引き換えにロシアのスパイをのさばらせない「不文の慣行」がしっかり機能しているから許されるのだが、NHKは労働貴族組合や儒教圏工作員の温床そのものだろう。亡国は、渋谷区から始まるに違いない。


『AI戦争論(仮)』を脱稿した! 来春の公刊をお楽しみに。

  Gareth Evans 記者による2017-12-19記事「UAV innovation: what are the new concepts taking hold?」。
     アダプタブルUAV。
 BAE社の新提案。
 プロペラ推進の全翼型の固定翼機だが、垂直に離発着できる。
 胴体――というか主翼――の真ん中に、天地を向いた大穴。
 そこを繋止捧が貫通する。
 だから「ケパブ」の肉のように何機も重ねて収容され、そこから1機づつ発進させることができる。
 発進するときは、主翼をヘリコプターの回転翼のようにぐるんぐるんと回転させる。
 2つあるエンジンの向きをそれぞれ逆にすれば、それが可能になる。
 繋止捧を離れたら、2つのエンジンを共に同じ向きに揃え、前進飛行を開始。
 着陸(着艦)の手順はその逆にする。


ロシアと北鮮の五十歩百歩感。

 Mark B. Schneider 記者による2017-12-18記事「Additional Russian Violations of Arms Control Agreements」。
        露軍の退役空軍将校のヴィクトル・ボンダレフが明かした。 ロシアはSLBMのSS-N-23を海底に設置し「スキッフ」と称しているという。
 海底に設置するものなので、国際禁止条約違反。大量破壊兵器を海底やその土中に置いてはならない。領海たる12海里内なら別だが。
 巡航ミサイルのカリブルに核弾頭をつけたものは「3M14」という。米空軍の分析ではその射程は2500km以上。潜水艦からでも陸上からでも発射できる。
 別に「9M729」という戦略巡航ミサイルがあって、ゲラシモフ参謀総長が4000km以上飛ぶと吹かしたのはこいつのことかもしれない。いずれにせよ露軍はもはや違反だらけ。
 「イスカンダルM」の発射機から、「9M729」も発射できるのである。※これでスッキリした。いままではBMの二段目にCMをくっつけたのかと思っていた。なんのことはない。
 ただしINF条約のとりきめによれば、一度でもイスカンダルMのランチャーから長射程巡航ミサイルを発射したのであれば、そのランチャーは、ただちに全廃されねばならない。ロシアはどうするつもりなのか?
 イスカンダルのランチャーからは、やや射程の短い「R-500」という巡航ミサイルと、「バスチオン」という巡航ミサイルも発射できる。そしてこの2種は射程が500kmを超えているから、やはり、INF条約違反である。
 バスチオンは、超音速巡航ミサイルで、地上から発射し、「オニックス」対艦ミサイルを運ぶ。※まぎらわしい文章だ。オニックスを対地用にしたのがバスチオンなのか? ハッキリしろ。
 シリアではこれを対地攻撃に使っている。
 ロシアの非公式報道機関によると、バスチオンは沿岸防備ミサイルで、射程は600km以上。
 ロシア側のこうした違反はオバマ政権時代からわかっていたことだ。然るにオバマはこれに対して何もしなかった。
 タス通信によると2016末に新ICBMとして「RS-26 ルベズ」が配備されたという。ところがこれは「ニュー・スタート」条約違反。同条約では、新戦略ミサイルの配備前には、ミサイルおよびその発射機について、米側による視察、寸法計測、撮影が許可されねばならない。それをぜんぜんしてない。
 SS-26はあきらかに、SS-27の一段目と二段目を使っている。
 2017-11の国営『ロシア・ビヨンド』によると、イスカンダルMは8つの異なるロケットであり、そのいずれも、最大で出力500キロトンの水爆弾頭を搭載できるし、射程は600kmであると。
 次。
 Samantha Bradshaw and Philip N. Howard 記者による2017-12-18「Making social media safe for democracy」。
   ロシアがジャンク・ニュースの中から特定世論形成目的に沿う素材を寄せ集めて他国のSNSに集中投下し、以て有権者の投票行動に影響を及ぼさんとする策動は、民主と共和が拮抗していたミシガン州とペンシルベニア州、2017春のフランスにおけるふたつの選挙、6月の英国総選挙、9月のドイツ連邦の選挙において観測された。
 2017ブラジル選挙でも「ボット」が織り出すミスインフォメーションが若年有権者の意見構成を決定的に誘導した。
 今日、どの政府も、ボットによる偽情報キャンペーンへの対抗を大真面目にやらないならば致命傷を負わされる。
 ※繰り返すが、日本ではボットの前に大手テレビ局と新聞が堂々たるフェイクファクトリー。
 フェイスブック社は、2017春の仏大統領選挙の前にボット拠点として蔟生した3万ものフェイクアカウントを抹消した。6月の英国の国政選挙でも数千を抹消。ドイツ選挙では数万を抹消。
 ※訂正。『北朝鮮の核攻撃がよくわかる本』(宝島)の監修者の紹介文のところに「博士」と書いてあるのはもちろん「修士」の誤りです。あまりに字が細かいので著者校で見逃した。老眼鏡は常に持ち歩くとは限らぬところが面倒でござる。最近は「モノクル」は売ってないんだろうか?


ヒューマンとマシンでヒューマシーン

 昨日のMX-TVで言う時間がなかったことを補足しておく。
 ティラーソンが「無条件交渉の用意あり」と言ったのは、てめえんとこの下僚の不用意発言を、ボスとして尻拭いしたものだと思う。60日実験しなければ1対1交渉するだとか、朝鮮系の下僚が平壌に馬鹿な言質を与えてしまった。国務省が嘘をついたといわれるのは困るので、しょうがなくティラーソンが、その下僚のフォローをした。それがあの発言。が、すぐに〈60日ではダメで永久にあきらめろ〉と、政府全体として言い直し、それでご破算にさせた。
 改めて整理すると……。
 マティスは〈北鮮の地下核&空虚ミサイル実験からは forensic な証拠が得られていない〉〈火星15はとうてい北米を核攻撃なんかできないだろう〉と挑発することで、北鮮に「実装・実射・実爆」を大気圏内でやらせようとけしかけている。それが米国の「自衛攻撃」の口実となる。――これが私の見立て也。
 それは兎も角。
 昨日はほんとうにひさしぶりに森本先生に会って、とにかく懐かしかった。二十数年前に江藤先生主宰の麹町のPHP会議室での月イチ勉強会でわたしは面晤の栄に浴したのだったが……。
 今回初めて承知す。森本さんは素では陽性の人なのだ。いままでなんとなく陰キャではないかと誤解してましたスミマセン。素を出してしまっては大臣だとか総長だとかやってらんないもんね。
 なんといまだに拓殖の大学院でも授業のコマを持っておられるのだと。週に二、三度、防衛省にOB登城しつつですよ。どんだけ激務好きなんだ!?
 次。
 ストラテジーペイジの2017-12-17記事。
 火星15は、米国の最も古いICBMの「アトラス SM-65」に似ているんじゃないかという。
 ※つまりスミソニアンかなにかの展示品を模写したということ? ありえなくはない。中共の初期のフィルム回収式スパイ衛星や「宇宙ステーション」だって、スミソニアンの展示品を参考にしたとしか考えられないから。
 SM-65 ATLASは、二段式液燃で、全重117トン。
 バージョンにより、9000kmから14000km飛んだ。
 350基が製造され、ICBMとしては1965年に御役御免。しかしひきつづき、衛星打ち上げロケットとして長く量産されている。
 火星12はスカッド類似の単弾固燃。このエンジンは火星14とたぶん共通。
 火星14は2017に6回テストされ2回成功。
 ※アトラスの真似ですよと開き直ることにより、その性能の予測を米国人技師たちがつけやすいようにしてやり、米国からの承認を期待するのか。
 次。
 Hope Hodge Seck 記者による2017-12-15記事「Coast Guard Would Play a Role in DoD’s North Korea Contingency Plan」。
   米コーストガードが戦争作戦に組み込まれる場合、組織は本土防衛省の指揮下に入る。
 2003-1にも、イラク侵攻に先立ってペルシャ湾に8隻の巡視船が展開し、港湾警備体制を固めている。
 米沿岸警備隊は、北鮮有事の際の配置シフトについてすでに「予令」を受けた模様である。
 ※明日、『宝島ムック』の新刊が発売されるはず。日本や韓国の某地が核攻撃されたという第一報があなたの耳に入ったら、あなたはとりあえずどうしたらよいのか? それは「核アプリ」とでも名付けるAIによってスマホが各人に最適な「隠れ窖[あなぐら]」をガイダンスし、断片的な情報を追加することによって逐次に最適行動アドバイスを更新して行く……という方式にするのがいちばんマシであるはずだ。共同著者の一人としていろいろ提案しているので、ご覧いただきたい。


グーグルのしらべ。アクセスするのに6秒余計にかかるウェブサイトは、客がアクセスそのものを止めてしまう率が2倍になる。

 Alan Tovey 記者による2017-12-13記事「BAE Systems tests drone controlled by blasts of air that could lead to faster and stealthier aircraft」。
   マグマ・ドローンという英国製の単発・全翼型ステルス無人戦闘機。
  BAEとマンチェスター大学の共同開発。
 全翼なのに、なんと、エルロンとフラップを廃止。翼の後縁から空気を噴出すことで、その機能を代替するから。
 B2でさえ、コースを変えるのにフラップを使っている。マグマは、その可動部すらなくす。
 また、単発エンジンのスラスト方向を変更するのにも、メカニカルな「絞り板」「屈曲板」は用いない。高速の空気を吹き付けることによって、真っ直ぐなエンジンのスラストを随意の向きへ曲げてしまう。
 これは単純機構なので、機体はますます軽くでき、安価に製造ができ、故障もしないのでスペアパーツなどメンテナンス費用もかからない。
 次。
 Don Tse 記者による2017-12-13記事「China’s Americanized Military」。
 内モンゴルの朱日和鎮という、演習場に隣接した村には「第195機械化歩兵旅団」という、完全アメリカ式のエリート演習対抗旅団、すなわちOPFORが駐屯する。
 この演習改革は習近平のさしずで2013からスタートした。
 某旅団は内モンゴルの演習場にてOPFORと7日間交戦して完敗を喫した。その政治将校はカメラの前で泣いた。
 これはドキュメンタリー番組化され、第19回中共党大会の数日前に放映された。
 このOPFEORはこれまで演習で1回しか負けていない。
 OPFORはアメリカ式に、核攻撃、絨毯爆撃、電子攻撃、夜間襲撃を加える。尤もハードウェアはぜんぶシナ製の旧装備。それを米式装備と見立てるのだ。
 中共軍は真正面からでは米軍には勝てない。そこで「ギャップをバイパスせよ!」と叫ばれている。ギャップを埋めるのではなく。
 キーワードが「殺手【金間】」=shashoujian=「Assassin’s Mace」。
 ※この【金へんに間】という字が我が辞書には無く、意味不明。


17日に東京とんぼ返りの予定。御用のお方はお知らせください。

 Bill Gertz 記者による2017-12-6記事「China confirms test of powerful DF-41 intercontinental ballistic missile」。
     11月、トランプが北京を訪れる日の2日前に、中共は「東風41」の発射テストをして米国を威圧した。
 2016-4-12、空母『ステニス』が南シナ海に入る3日前のタイミングでも、中共は「東風41」を発射して虚勢を張っている。


真珠湾への第一次攻撃の発艦に失敗したパイロットは『蒼龍』所属と裏付けられたが、いったいその後どんなキャリアを歩んだのか?

  Brian Todd 記者による2017-12-8記事「Air Force developing weapon that could disable North Korean missiles」。
  米空軍はCHAMP(Counter-electronics High Power Microwave Advanced Missile Project)をニューメキシコ沙漠で実験中。
 これで平壌の政府機関ビルのPCをほとんどシャットダウンさせられる。
 ※前々から実験されていたもので、北鮮にプレッシャーをかけるための宣伝的なニュースだが、添えられているイラストレイティヴ動画からは得るところが多かった。こいつを「EMP爆弾」とか「電子レンジ」とか言うのはミスリーディングで、要するにAESAの応用じゃないか。下向きにとりつけた小型のAESA。そいつでもって超低空をフライパスしつつ特定ビルを狙い打てば、強烈なジャミング効果は出る。ただし単価は箆棒になるだろう。おいそれとは発射もできまい。この特殊巡航ミサイル、最後は必ず海まで飛んで落下させることにも決めているようだ。理由は、内蔵しているAESAのノウハウを敵陣営に開示したくはないからだろう。しかし正体がAESAだと見当がついた以上は北鮮も中共もPC端末作業を地下室へ移して、ファラデーケイジで天井を覆うだけだ。米側は、こんなのは役には立つまいと見通したので、映像を公開してせめてものブラフに役立てようとしているのか?
 次。
Kris Osborn 記者による記事「F-35 Sensor Performs Ballistic Missile Defense Missions」。
  F-35に標準装備されているDASという機能を使うと800海里も先からBMの三次元的な動態追跡が光学的に可能。その軌道データを「リンク16」で地ージスまで速報してやれば、それだけで対BMのキルチェーンは完成してしまう。つまりイージス艦も早期警戒衛星も日本は必要なくなるという、空幕にとっては夢のような話。
 ※グロホはますます不要になるという点も強調したい。
 DASはF-35の機体表面にとりつけられた6個のカメラで得られる360度の映像。
 ※ついでに解説しとく。なぜ対支空母用のLRASMはF-35に吊下させて使う必要があるかというと、ESMのテクノロジーがF-35用とLRASM用とで相通じているから。この連繋によって真の対空母奇襲ができる。もちろんF-16やF-2にも吊下できるのだけれども、国産ESMでは性能がショボすぎて結局F-2が対水上の捜索レーダーを使う必要がある。それではLRASMの奇襲力のポテンシャルをフルに活かすことはできない。他方で、なぜ「JASSEM-ER」の方はF-15から運用させるのかといえば、これは対北鮮のTEL撃破用のスペシャルだから。防空レーダーすら無い北鮮相手にステルス機をわざわざ飛ばすのは貴重資源の無駄使いとなるのである。おそらくF-15はほどほどの低空で北鮮海岸まで接近し、急上昇後に「JASSEM-ER」を発射するのであろう。射程にはえらい余裕があるから日本海上の何百kmも手前でリリースしたっていいのだが、それでは着弾までに時間がかかり、敵が先にBMを発射してしまうかもしれない。どうしてもF-15がアフターバーナーを使って急行する必要があるわけだ。帰りは燃料切れになっても仕方ない。そのくらいの覚悟だろう。こちらがそういうプレッシャーをかけ続ければ、敵BM操作兵も手順を焦ってミスを犯す確率が増すだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-12-8記事。
 DMZから逃げ込んできた兵隊は25歳で、父親は北鮮軍の憲兵隊の中佐だった。
 北鮮人は韓国では普通に手に入る「チョコパイ」に感激する。それはWWI中に米国の南部で流行ったスナック菓子に似ている。
 北鮮兵は、兵役が10年もあるのにうんざりしている。
 軍では、浴用石鹸、洗剤、そして歯磨き粉が支給されず、また、兵士はそれを買うカネが無い。
 朝満国境では北鮮兵が徒党を組んで深夜に支那領へ渡り、手当たり次第に物品を略奪して去るという犯罪が頻発している。
 ※松前小島の一件のおかげで、こうしたニュースがガセではないということが日本人にも理解できるようになってきたろう。いや、戦前には常識だったのだが……。二度の元寇で鎌倉幕府がいちばんショックを受けたことは何だったか。高麗からやってきた元軍の手先のみすぼらしい朝鮮兵が、略奪にかけてはプロ中のプロであったということ。これで幕府の「賎民観」がすっかり変わった。爾後、自国内の乞食に対する取締りを格段に強化する流れとなった。なお松前小島が松前城の復元天守3階から視認ができることは『新解 函館戦争――幕末箱館の海陸戦を一日ごとに再現する』の81ページの写真を見てくれ。
 北鮮では首都ですら毎日停電の時間帯があるので、金持ち階級は皆、ソーラーパネルと蓄電池で自家給電するようになっている。平壌政権はパネルにメーターをつけて課税したいと狙っているが、金持ち階級は従わない。
 エジプト、キューバ、イラン、モザンビーク、ビルマ、スリランカ、シリア、アンゴラ、ウガンダの政府は、自国内で北鮮の外交官が外交特権を利用して闇商売を営み、ドルを稼いで本国へ送っているのを黙認している。役人たちが北鮮外交官から賄賂を掴まされているため。
 北京がおそれているのは、米朝有事の後に放射能まみれの北鮮難民がどっと満州に入って来てしまうこと。満州住民はまちがいなくそれに大反発するから。


ロシアの不参加により北鮮が平昌を流会にさせるびっくり作戦の心理障壁は何もなくなった。生物兵器演習もしくは大気圏内核爆発は年内か?

 KIM GAMEL 記者による2017-12-7記事「US aircraft moved due to weather, runway issues during war games in S. Korea」。
   烏山[オサン]基地の米空軍のF-16とA-10が、悪天候を理由として、ソウルから170マイル南にある光州の韓国空軍基地まで移転した。
 烏山のすぐ南の群山[クンサン]基地に移さなかった理由として米空軍の広報は、群山でタキシングしていたF-16の車輪が壊れてしまった事故の処理の関係で滑走路が一時的に使えないので……と説明している。
 ※光州基地は韓国空軍基地だが、いちおう米空軍専用の弾薬庫もある。そのような飛行場施設としては、半島での最南端(群山基地よりもずっと南)。北鮮の300ミリ地対地多連装ロケットによる奇襲破壊を避けるために彼らはいつでも光州へ移転できるように準備しているのだろう。DMZの北から光州を攻撃するためにはスカッド/スカッドERを使うしかない。
 光州の滑走路にはラプターも着陸している。
 次。
 Ankit Panda 記者による2017-12-6記事「The Hwasong-15: The Anatomy of North Korea’s New ICBM」。
   火星14を発射したTELは北鮮が中共製の8軸の「WS51200」という木材運搬トラックを改造したものだが、今回のは9軸。どうやら内製化しているらしい。
 火星15の第一段エンジンは、128秒燃えた。
 第二段は、161秒燃えたという。
 キャセイのクルーが目撃したもののなかには、第二段のフェアリングが含まれているかもしれない。
 ロフテド軌道は、ブースターの調子を自国の近くでより長く確認したいときに便利な軌道である。テレメトリーを終始、発射場で受信できるので。
 日本を飛び越えた火星12×2発のテストでは、どちらもRVが落下中にタンブリングしていた。
 火星15は、RVにオンボードカメラを入れて撮影動画を受信できている。テレメトリーを送受する技術は連中にはあるのだ。
 しかしもし次にMET(最適弾道)で発射するなら、テレメトリーはダイレクトに本国アンテナで受信できないから、衛星で受信もさせられない北鮮としては、観測船を事前に外に出すしかない。