フジ産経グループは早くナヴァロ教授にインタビューし、全力でおもてなししとく方がいいぜ。

 Mark Hosenball and Steve Holland記者による2016-2-26記事「Trump being advised by ex-U.S. Lieutenant General who favors closer Russia ties」。
 ドナルド・トランプがさいきん選んだ軍事アドバイザーは親露派のマイケル・フリン退役中将だ。DIDの長官だった。任期は2012~2014。      
 フリンは2015の晩餐会にてプーチンと同じテーブルに座って撮影されたツーショットがある。
 ※米大統領選は博打みたいなものなので、偶然の風向き次第で当落が変わってしまう。ヒラリーは国務長官時代に北鮮を訪問して「マスゲーム」観覧を辞退して北鮮指導部に地団駄を踏ませた(オルブライトのような無能者ではないと見せ付けた)。トランプは逆のタイプだろう。トランプはプーチンのファンであることを隠していない。そして両名ともに中共と闘った経験がない。ヒラリーは中共から過去の裏選挙資金問題で脅される可能性すらある。中共はもちろんトランプにも「二重張り」しているだろう。不動産ビジネスのボスに合法的に賄賂を渡す方法などいくらでもある。そこで日本が使える切り札は、ナヴァロ教授しかない。すでにこのブログで紹介したように、「反支・親日」のナヴァロ教授がトランプの相談役の一人だ。もともと民主党員なのに、トランプからも買われている。それは「反支」の商品ボイコット提言がトランプから気に入られているからだ。このナヴァロ教授を日本の保守メディアが今から厚遇しておくべきことは、気の利いたメディア経営者ならば当然に判断できることだが、日本のメディア幹部が常に気が利くとはなかなか思えない節もあるから、ここで書いておく。おそらく文藝春秋社は、すでに手を打ちつつあるだろうが……。
 ※ロシアがバルト三国やポーランドを征服すると、ロシアにとってどんないいことがあるのか? 人口と工業を接収できるので、「擬似GDP成長」ができる。経済無策のプーチン氏には、ロシア経済のマイナス成長を逆転させる方法としては、もうそれしかないのだ。まあそんなことより、これからの動乱に備えて、新刊『「地政学」は殺傷力のある武器である。』を読みましょう。早くも増刷が決まりました。


「読書余論」 2016年3月25日配信号 の 内容予告

▼安藤信雄ed.『海軍中攻史話集』S55-3、中攻会pub.
 銀河の前の「泰山」(M-60)も、双発急降下爆撃機のユンカース88を参考にしたものだった。
 揚子江流域の居留民が上海へ引き揚げはじめたのはS12-8-1からで、8日にはほぼ終わった。
 8-14の午前中ににシナ空軍が延べ40機をもって、旗艦『出雲』、陸戦隊、江上の艦艇を爆撃した。
 中攻への給油は、総計3000リッターぐらい。いくらがんばっても3時間かかる。
 ※本書はあまりにも濃密且つ大部なので、今回は途中まで。この作業の皺寄せで今回は『海軍』および『帆船時代のアメリカ』の摘録はナシ。
▼横森周信『海軍陸上攻撃機』S54
 本庄は、96陸攻のアスペクト比は計算上は10がよかったが、なんとなく前例に縛られて8.3にしてしまった、と後悔。
 水平尾翼ももっと大きくすればよかった、と。
 フィリップス提督は、日本の双発機が魚雷攻撃するとは思っていなかった。
 一式陸攻の最長作戦行動は、往復1750海里(3240km)、11h以上の対艦爆撃ミッション。
▼矢島祐利[すけとし]『アラビア科学史序説』1977-3、岩波書店
 紀元前2000年頃のバビロニアの粘土板に、二次方程式をこなしている計算が多数記されている。
 したがって代数の発明者はイスラム教徒ではない。
 だが、それをまとまった書籍にして残したのは、アラブ人。だからアルジェブラが英語の代数になった。
 コーランには絵のことは何も語られていない。しかしマホメット言行録たる『ハディース』の中で神学者たちが、人物を描くことは神の創造を真似ることでよくない、という教えを作り上げてしまった。
 ハディースはたくさんある。が、アル・ブハーリー(810~870)の『キターブ・アル・ジャーミ・アッ・サヒーフ』(完全な収録の書)が有名で、非常に尊重されている。
 A.D.8世紀には、アリストテレス学派の著作から注釈まであらかたアラビア語訳がでた。ユークリド、プトレマイオスなどもアラビア語で読めるようになる。そうしなければ諸外国と太刀打ちできないという危機感があった。
 コーラン釈義の文法から修辞学、哲学に発展したのが9世紀。
 次の1世紀で教養的諸科学が発達。翻訳を脱して独自研究に移る。
 11世紀に、イスラム・オリジナルの科学を生産。
 歳差運動はギリシャ天文学では100年に1度とされている。とすれば春分点が全天360度を回るのに3万6000年かかることになる。インド人はこれを大周期だと考え、それが輪廻思想になり、ピタゴラスにまで影響を与えた。
▼防研史料 航本『一式二五番二號爆弾説明書』S16-12
▼防研史料 海軍火薬廠・海軍造兵大佐・中谷達次郎『爆薬炸填法ノ講義』S3-2
▼防研史料 『駐独海軍武官情報(爆弾・機雷関係)』S17-1-17~S18-2
 ソ連とドイツの対艦用徹甲ロケット爆弾のデータはすべてここにある。
▼山本正・他『北海道山菜誌』1980-5
 ロンドン軍縮会議に出発する若槻礼次郎が盲腸炎になったが、ハコベの汁を飲んでよくなった。
 M35-1の八甲田遭難。前岳の北斜面の竹藪中に入ったために進退きわまった。もちろんネマガリタケ=チシマザサ。
 クルミの樹は、ハエやアブを遠ざける。だから畜舎や堆肥場のまわりに植えるとよい。
 マタタビの茎・葉・実に含まれる謎のスピリットは仔猫と牝猫には効かないという。性ホルモンではないかという。
 マタタビは雌雄同株。ミヤママタタビは異株。
 ホテイシメジは、酒と一緒に食べると酔い方が数倍になる。
▼高橋英一『生命のなかの「海」と「陸」――ナトリウム・ケイ素の生物誌』2001-10
 唐朝が発明した「塩税」。肉食できず穀食頼りの下層民は追加の塩無しでは病気となるので、政府が塩を専売にして消費税を上乗せしてしまえば徴税コストはゼロでなんぼでも重税化できる。しかし典型的な逆進税であるため、闇塩結社犯罪と易姓叛乱のタネが制度内にビルトインされたようなものだった。
▼『今昔物語』 巻28の続き
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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第三次大戦を始めんとするツァーリに執拗に面会を求め、しかも「四島返還」以外のオプションは持ち合わせぬという一群の人々。頭だいじょうぶか?

 Thomas Gibbons-Neff記者による2016-2-26記事「U.S.-made missile goes up against one of Russia’s most advanced tanks」。
  ロシア最新のT-90戦車に、米軍のTOWミサイルを命中させたならどうなるのか。シリアのアレッポの北西にある町で、CIAが反アサドゲリラに供与したTOWをじっさいにT-90に命中させた映像が遂に撮影された。それは2-26にUpされた。
 T-90は、ラタキア飛行場の守備のために2015-9から持ち込まれている。残念ながら、当該戦車のクルーがロシア人なのかシリア人なのかは不明である。
 TOWは砲塔に水平に命中した。
 つまり、T-90には付いていたはずの、ショトラなんとか、という、対戦車ミサイルの照準や誘導を狂わせるデバイスは、実戦では機能しなかった。
 しかし、クルーがハッチから五体満足で逃げ出しているから、HEATは砲塔装甲を貫徹しなかったと考えられる。
 すなわちリアクティヴ・アーマーはTOWに対しては鉄壁なのだ。ちなみに、露軍用のものは、輸出用よりも高性能といわれる。
 ※ロシア製リアクティブ・アーマー(反応装甲)に対しては、もはやトップアタックか、7kg以上の炸薬(155ミリ榴弾相当)を足回りにぶつけてやるかの選択しか、ミサイルには無いということがこれではっきりしたと思う。
 ※ところでいったいロシアはシリアで何をしたいのか? まさに、こういう実験がしたかったのである。これからプーチンはバルト三国とポーランドに対して戦争を起こす。バルト三国は露軍25個旅団を集中してD-Day+3日で完全制圧できると計算されている。なにしろ現役軍隊が三国ぜんたいで6万人しかいないのだ。NATO空軍の活動を3日間だけ麻痺させればそれはうまくいく。それは物理的に可能である。しかしクラウゼヴィッツの言う「潤滑油の回っていない軍隊」は実戦では思わぬ摩擦で止まってしまうかもしれない。だから「潤滑油を熱くして機械の隅々に回しておく」準備があらかじめ必要なのだ。それをプーチンはシリアで露軍にさせているのである。では、どうしてロシアはバルト三国の支配にそんなにこだわるのか。そこが知りたい人は、兵頭の最新刊を読みましょう。地政学の問題なのです。
 次。
 Matthew Cox記者による2016-2-25記事「Army Says Weapons Treated with Permanent Lube Will Eliminate CLP」。
  米陸軍があたらしい小火器用の潤滑剤DSL(durable solid lubricant)を発明し、来年以降に導入する。グリースとは違う、乾燥状態の固体潤滑剤で、この潤滑作用は半永久に長持ちするから、整備の手間が軽減されるという。小火器の製造工程からこの潤滑剤を使う。
 とりあえず、M4カービンと、M240分隊軽機に、この新潤滑剤を採用する。
 従来は、CLP(cleaner, lubricant, and preservative)という小火器専用の液剤(洗い油と潤滑油と防錆油の機能を全備)を塗布していた。このCLPが、小火器についてはもう要らなくなる。
 小火器部品の中のボルト・キャリアーとボルトで比較してみた。CLP塗布のボルトキャリアーの表面からは75%の燐酸塩が失われた。ボルトの表面からは90%の燐酸塩が失われたた。しかしDSL塗布の場合、どちらも、燐酸塩は5%未満しか減損しなかった。
 しかし小火器専門家にいわせると、DSLは、チャージングハンドルや緩衝バネやその他のパーツについては適用性がないのではないかと。
 さらに専門家からの疑問。その銃が、まさに新品同様の状態であったならば、非液体の乾いた潤滑剤というのもアリかもしれないが、戦場で使い込む環境では、やはり液状・ゲル状の潤滑油がなくては、摺動パーツの「ひっつき」が起きてしまうのではないか?
 時が経てば、ハッキリするだろう。
 ※この記事は腹立たしいほどわかりにくい。記者は元空挺さんだが、科学記事の書き手ではないし訓練されたリポーターでもない。だから多義的であいまいな語を安易に使う。固体潤滑剤とはグラフェンを使ったものなのか? その正体についての何のヒントもない。小火器専門家とは、潤滑油やケミカルのことがよく分かっている専門家なのか? そこも甚だ疑われる。


兵頭二十八、「リッピング」を学ぶ(w)

 RIPというので何を引き裂くのじゃと思ったら、そうではない。「やすらかにねむれ」(レスト・イン・ピース)でも無論ない。
 ビット変換して記録することをそのように呼ぶらしい。
 要するに、カセットテープのダビングのようなものであった。ただし、デジタル時代の!
 実はわたしはずっとこれを探していたのだ。昔のラジカセのような感覚で、ごく平易に、市販の音楽CDから、どこにでもあるUSBデバイス(サムチップ)へ、1曲づつ選別的にコピーできる、ただそれだけの機能を。
 それがあった。しかも偶然についてきた。
 大災害発生時の情報収集手段の確保のために「ワンセグのチューナー」を買ったらついてきた。「リッピング機能」が。(※動画のコピーはできません。)
 この商品は「アーウィン 10.1型フルセグ&ワンセグテレビ搭載ポータブルDVD&マルチプレーヤー APD-106F ver.2」という。人に頼んでアマゾンで調達してもらったところが、予想外にすばらしいものなのである。
 商品名からは、CDのステレオ再生ができるとは想像をしなかったが……。
 CDからUSB外部メモリーにコピーするときにビットレートを選ぶのだが、これは最高値の320ビットにしないと音質が劣化してしまう。しかし、8ギガバイトの安物USBチップを買ってくればメモリ容量には余裕ありまくりなので、数十曲を詰め込もうが、ファイルサイズなどぜんぜん気にする必要はない。(ちなみに16GBのUSBでも作動に問題がない。ただしマニュアルでは推奨をしておらず、じっさい、未使用メモリーがえらく無駄に思われる。)
 これがたとえばPCを経由して、商品CD→PC→空CDという手順を使うとすると、本体メモリーにも受け側CDの容量にも制約があるは、操作は訳が分からんはで、面倒なことこの上もない。わたしのような原始人だと何度チャレンジしてもダメである。だからこれまで努力を中断していた。
 しかし音楽ファイルをリッピングによってUSB外部メモリーにいったん収納してしまえば、あとは文書ファイルと同様な感覚でいじれる。ファイル名を書き換えるのも随意。消してしまうのも簡単。追加の書き込みも自由。一切が簡単になってしまった。
 また助かるのは、USB再生にしておけば、機械がモーターをドライブする必要がないから、内臓充電池だけでも長時間作動してくれる。CDプレーヤーでは気になった回転音ノイズもしなくなる。
 これで眠気覚ましのBGM環境が整ってしまった。
 「非常時用のポータブルTVを買っておこうと思ったら、日常のCD編集機+USB再生機になっちまった。何を言っているかわからねえとおもうが……」
 まるで中学生に戻った気分である。


「無意識過剰」とは「無知全開」のソフトな言い換えであったのだと覚る。

 本日、全国の書店で新刊の『「地政学」は殺傷力のある武器である。』が並ぶはずです。
 次のようなニッチ疑問を抱いておられた方々は、本書を手に取ることによって、積年の疑問が晴れ、スッキリされることと存じます。
一、防大はウェストポイントをモデルにしたというが、そのウェストポイントはフランスの士官学校をモデルにしているという。そのあたりの実態はどのようなものだったのか? →マハンの章をごらんください。すべてハッキリします。
二、加藤友三郎提督はそんなに偉い軍人政治家だったか? →266ページ以降をごらんください。2.26事件の遠因も、ロンドン条約などよりもむしろ、加藤友三郎が大正時代に承引したワシントン条約、なかんずく太平洋防備制限条項にあったのです。この仮説はわたしが大学院1年生のときに抱き、資料を集中的に読んだものの2年間では結論が出せず、まとまった文章にすることができたのは、じつは今回が初めてです。遅れ馳せの修論のような気がしています。
三、なぜ戦前のドイツ軍のAFVとトラックはガソリン・エンジンにこだわったのか? →159ページ以降をごらんください。以前わたしは、精密な航空エンジンを量産できるメーカーに余計な仕事をさせないためだろうと想像しましたが、間違っていました。
四、B-29の空襲を阻止する簡単な方法はあったか? →310ページ以降をごらんください。マリアナのB-29だけじゃない。日本が戦前から航空機や潜水艦による機雷散布戦術をしっかり研究していたなら、浜松市や水戸市や室蘭市を沖合いから艦砲射撃されるなどといった事態はまず絶対になかったでしょう。特攻機を出す必要もありませんでした。敵軍の泊地に機雷を投下して帰ってくる戦法に資源を集中した方が、はるかに効率的に米軍の動きは止められたからです。機雷や衝撃爆雷の研究が遅かったことが、幕末史もゆがめました。南北戦争時代の技術を再現できていただけでも、嘉永年間に「黒船」が品川沖まで到達する事態は拒止できました。江戸市街を砲撃圏外にでき、不平等条約を呑む必要もなかったのです。もちろん「薩英戦争」で鹿児島市が艦砲射撃されることもなければ、四ヵ国連合艦隊が下関海峡を横行することだって不可能だったでしょう。機雷は、歴史を大きく変えられる技術だったのです。その認識を、本書によってあらたにしてください。


そうだったのか、地政学! ……と既に唸っていらっしゃる方々へ。

 謹告。
 『「地政学」は殺傷力のある武器である。』の318頁9行目、「200機」とありますところは、「100機」の誤りでした。お詫びして訂正します。
次。
 Rod Lyon記者による2016-2-24記事「THAAD, South Korea and China」。
 間違った議論が広がっている。THAADの問題は、短距離ミサイルには何の防御力も発揮しないことだとか。
 逆である。THAADは、ミディアムSSMと、インターミディエイトSSMに有効なのだ。
 2015-11のデモンストレーション実験では短距離SSMにも、ミディアムSSMにも命中させた。
 ※インターミディエイトSSMに対するTHAADの迎撃実験は聞かない。しかしグァム島に1個大隊が配備されているということは、少しは効くのかもしれない。ICBMには全く無効である。速度が違いすぎるので。
 THAADと一体であるAN/TPY-2レーダーは、短距離SSMの発射から着弾まで全経路を見張れる。だからむしろ短射程SSM迎撃スペシャル兵器だ。
 韓国は2015から、そのパトリオットのPAC2をPAC3にアップグレードする行程に入っている。
 THAADはPAC3よりちょっと広い面積を防空できる。
 THAADのレーダーは、米本国のGBIにトラッキング・データを伝送することで、米本土防空の役に立つ。
 しかし米国は、日本の車力と経ヶ岬にすでにAN/TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)を展開済み。※なので、日本にTHAADが置かれても米国は情報面では新たに得るものはない。米国のミサイル・メーカーが得をするというだけ。
 ひとつ言えること。AN/TPY-2レーダーなしでは、THAADは何も迎撃できない。
 ※グァム島へのTHAAD配備くらい謎なものはない。ホントにあの距離で迎撃できるのか? イージスからの情報リレーがあっても、落速が大きすぎるだろう。GCC諸国がイランからの弾道弾攻撃に対抗してTHAADを買いなさいとアメリカから勧められているが、距離的にはPAC3で十分に足りるのに、なぜTHADなのか? 二つの考え方がある。ひとつは、Xバンド・レーダー情報をアメリカが統一的に役立てたい。もうひとつ。じつはPAC3の弾道弾迎撃能力に不足がある。だが、現実にサウジはイエメンから発射されてくるスカッドを次々と迎撃に成功しているのだが……。
次。
 Ian Duncan記者による2016-2-23記事「Female midshipmen will now wear trousers, not skirts, at Naval Academy graduation」。
  アナポリスの海軍兵学校の卒業任官式典は毎年5月にあるが、今年からは、海軍および海兵隊の女子の士官候補生がスカートを着装しなくなる。男子と同じトラウザーズとする。
 ちなみに2016年の卒業予定組の24%にあたる266名が女子だ。
 なお、海軍/海兵隊の女子制服からスカートがなくなるわけではない。
 ちなみにウェストポイント陸軍士官学校では、女子は、卒業式でどっちでも選べるようになっている。
 コロラドスプリングスの空軍士官学校では、ずいぶん前から卒業式では女子と男子は同じ制服にすると決めている。
 ※円安政策は中共の不公正な「元安攻撃」から日本国民の生活を防衛するためにやむなくしていることだと政府は(日本国内の英字新聞のデスクを使って間接的に)ただちにヒラリーに反論しろ。その責任は「対ドルの不当な元レート」をこれまでずっと放任してきた歴代米国政権にあり、特に1998に「G2」を演出したクリントン大統領の罪が重い――。こう衝かれればヒラリーは日本をスケープゴートにはできなくなる。このような「致死力」のある反撃宣伝をすぐに日本の英字新聞の見出しとして打たせないから、日本の外務省は穀潰しなのだ。


さいきん良い本が無いとお悩みの貴男へ。

 本日の午後以降、神保町の書泉グランデへお運びになられますと、良いものを御覧になれるかもしれません。何が良いのかは、チト申し上げられません。
 ……ところで日本までがTHAADを買わされるという情けない話がついに出てきてしまいました。森本敏氏著『防衛装備庁』の103頁によれば、――平成二十年代の前半まではFMS〔米日政府間でドル決済で兵器を輸入すること〕による米国製武器の調達額は日本円に直して500~1000億円ほどにすぎなかった。ところが27年度の計画額は4700億円。すなわち防衛省の装備調達総額1兆4000億円のじつに「三分の一」弱を米国からの装備輸入〔それにはイージスの電子部品だとかソフトウェア改修も含まれる〕のために当てざるを得なくなっている――のだそうで、1基1000億円もしやがるというTHAADがまたまた加われば、この趨勢はかなり手酷く昂進して行くでせうね。
 要するに、国内軍需メーカーに防衛省から支払われるカネは、これから先、どんどん細って行きます。円安政策を採るならば、なおさらです。最新装備といっても全部ブラックボックスなので、日本人は整備をさせてもらったとしても「お勉強」はできない(ただ「弁当箱」ごとの交換が許されるだけ)。THAADは「日本製兵器」の先行き展望へのトドメの一撃になるのでしょう。
 これも「赤紙」なんでしょう。政府としてこの赤紙に抵抗するには、「だったらF-35の調達数を減らします」と公言する一手しかないです。(韓国は「核武装します」と騒ぐことでTHAAD代金をチャラにしてもらう気です。)
 遡ると、オスプレイを買おうという話の直前、政府が防衛予算を漸減させたことが祟っています。そこで怒り狂った部内役人が切り札を使った。「赤紙」です。赤紙を米政府から出してもらえば財務省はノーと言えない。だからCV-22などは議論も無しに簡単に決まっちまったのだけれども、財務省は防衛省予算の総枠は拡大してくれませんから、省内においてどこかの費目を削らなくちゃならない。それでアパッチとチヌークとブラックホークのラ国が消えた。最初は最弱者の富士重だけ泣かすつもりが、それでも足りなくなって川重にも泣いてもらうことになった。井の中の覇者の三菱だけが無傷です。さりとて三菱が儲かるわけでもない。無傷というだけです。
 最新鋭の米国製新装備のアイテム種類ばかりが増える。しかし国内産業は衰滅する……。
 ならば政府の兵器行政はどうしたらいいのか? わが国の関連企業はどういう道を目指したらよいのか? 政府注文で生き残れなくなったら外国へ出ればいいのか? 海外兵器企業への日本からの「投資」はアリなのか? 三菱重工による川重や富士重の吸収は不可能としても(かつて通産省はそれを望んでいたはずだが)、外国兵器企業による日本の大企業内の兵器部門や中小企業のM&Aはアリなのか? ……等々につきましては、兵頭の次著(たぶん今年の半ばに出ましょう)に、ご期待ください。
 ちょっと内容予告しておけば、インドに日本が大型兵器を売るのは絶対無理だから。新明和さんはそんな話にホイホイのったらダメ。致命傷を負いますよ。


新刊『「地政学」は殺傷力のある武器である。』は2月25日配本です。

 版元は徳間書店さんです。
 誰もさからうことのできない盛衰の宿命をあきらかにし、儒教圏に勝てる地政学を提示します。
次。
 ストラテジーペイジの2016-2-17記事「Europe Invaded By Refugee Scams」。
 西欧に押し寄せる「難民」の正体については、海外に派遣されたことのある将兵と文民エイドワーカーたちが、よく知っている。
 まず、彼らのほとんどは政治難民ではない。また貧困ですらない。密入国ブローカーに大金を払って、そのブローカーから、どうやれば国境での西欧官憲の訊問にうまく答えて難民資格を得られるかという入れ知恵もされている、ふざけた連中なのである。
 テレビの無責任なリポーターは、あたかも「難民」のほとんどがシリア人であるかのように報道する。間違いである。総体のたった2割が、シリアから来ているに過ぎぬ。
 残り8割は、ただ「稼ぎ」のチャンスを求め、別に迫害などされてもいないのに、難民面をして押し寄せているのだ。だから彼らの態度は非常に悪い。難民らしくない。見ればすぐに分かることなのに、リポーターはそれは報じない。
 真の難民ならば、女の比率は男と同じくらいあり、さらにもっと多数の子供や老人が混じるはずである。ところがじっさいにやってくるのは働き盛りの元気な男ばかり。7割もが「若い男」だなんてあり得るか? こんなことも一目瞭然なのに、テレビ・カメラはごく少数の女・子供を撮影して、偽難民の犯罪を幇助するのだ。
 中東、アフリカ、欧州では、「人間密輸」のビジネスは、2015年時点で10億ドル産業となっているのである。それはとにかく儲かるのである。
 儲かるから市場競争原理が働いて、ブローカーが用意する手口も高度化し洗練される。精巧な偽書類などあたりまえ。訊問への答弁も矛盾がない。
 どこの国が「難民」受け入れに渋くなったかという情報も素早く伝わる。目下、英国とドイツは、目的地としての人気が下落している。
 オーストラリアのやり方は参考になる。難民船は、絶対に本土には接岸させない。難民だと主張する者たちの身柄は、必ずインド洋上の離れ小島の収容施設にすべて送り込み、そこでたっぷりと時間をかけて、本当に難民なのかどうかを調べる。それがハッキリするまで、絶対に彼らには「臨時労働」などさせない。もちろん絶対に本土へは上陸させない。
 この対処法が知れ渡ったので、今ではバングラデシュからオーストラリアに働きに出ようとたくらむイスラム教徒の「偽ミャンマー難民」は、ほとんどいなくなった。
 一回はじかれた偽難民は、また何度でもトライしようとする傾向がある。西欧では、「難民」からは必ず指紋と虹彩の画像を取って、そのデータを諸国の入管と警察とで共有している。これによって、「リピーター」が根絶されつつある。
 2014年に英国政府は、イラク人たちによる、「英国兵に拷問され、殺されたので補償して欲しい」という訴えの真否を調査するため4000万ドルを費やし、糾明した。結果、57件のクレームは嘘であった。イラク人は、英国政府から補償金をふんだくろうとして、誣告を平気でするのである。
 これへの対処法は、駐留部隊が住民票をつくり、指紋や虹彩データを集めることしかない。
 アフガン人の欧州への「難民」は、タリバンやISから脅されている証拠だという「脅迫状」を持参する。じつはアフガンではテロリストは2012年以降はそんな脅しの手を使わなくなったのだが、「難民」は2015年になってもそうした手紙を偽造して持ってくるのである。
 当局がこの「脅迫状」をスキャンして筆跡を比較すると、多数の手紙が同一人の手によって書かれていることが判明し、「難民」の嘘も明らかになる。だから先進国ではこういうスキャンと比較ができるシステムも用意していなければならない。
 アフガンでは、どこか過疎地に西洋軍のスマート爆弾が着弾すると、すぐに、近くの村人が、それとはなんの関係も無い「最近怪我した奴」を探してきて、それを「おたくらの爆弾で負傷した者」に仕立てて訴え出、西洋諸国から補償金をせしめようとする。
 死体も利用される。夜中に着弾点の近くに埋め直しておいて、あとで米軍に「この男はおたくの爆弾で死んだ」と訴えて、村長が補償金をせしめるのだ。
 人間だけでなく、病死したヤギも役に立つ。それを着弾点近くに埋葬して、土饅頭を盛っておく。確かに異臭がする。掘り返せば動物だとわかるのだけれども、「墓の掘り返しはイスラム法に背く」と村長が主張すれば、米軍は手が出せず、確かめる方法はない。こうして、爆弾で村人が死んだこととなって、アフガン人は補償金にありつく。
 だいたい、1人の死者について1000ドルから5000ドルが相場である。
 戸籍謄本や住民票というものがあれば、こんなトリックも不可能なのだが、アフガンにはそれがないのである。
 2008年にアフガンのある村長は爆撃で村民90人が死んだと主張した。手間をかけて確認したところ、じっさいは村民の死者は15人で、プラス、タリバン1名であった。
次。
 Bill Sweetman記者による2016-2-17記事「New World Ordnance At Singapore Airshow」。
 シンガポール・エア・ショーにF-15SGが出展された。
 ロックマートは、F-35は非ステルス世代の戦闘機に対して空戦では「6対1」の優位である、と公言している。米空軍がそれを信じているかどうかは私〔スイートマン先生〕は知らない。しかしもし信じているのなら、30年以上使っているF-15Cのアップデートに何十億ドルも予算を割いたりしないはずだよね?
 すでに2012-10の話だが、空母『GW』がマレーシアを訪問したときに、マレーシア空軍のスホイ30MKMがスパホといっしょに上空を飛んで写真を撮らせてくれている。そのスホイにはロシア製のKNIRTI SAP-518というアクティヴ・ジャミング・ポッドが吊下されていた。デジタル無線周波数メモリーを内臓しており、アムラーム(AIM-120C)のシーカーをこれで無効化できるというのが、ロシアの宣伝文句である。
 米空軍は敵AAMに対する味方戦闘機用ジャマー・ポッドの開発を、1980年代から怠っている。米海軍はステルスを追求しないかわりに、スパホ用にALQ-214を開発させたが。
 イスラエルのエルビット社は、F-16Dの自機防御用ジャマーや、F-15SG用の自機防御用ジャマーを、すでにシンガポール等に売り込んでいる。
 アムラームは、敵機が最新型スホイのように俊敏に回避機動できる機体だと、撃墜率は悪くなる。だから、新AAMのメテオールが新開発されたわけだ。
 グリペンは今年からメテオールを装備できる。
 アムラームもサイドワインダーも、F-16の翼端にフィットするように、胴径が決められていた。これはモーターの能力を制限していた。
 しかし新開発のドッグファイト用AAMは、胴径が7割増しになる。


カーボンヒーターの切り替えが600/300/150wというのはないのか?

 800/400/200wでもいい。とにかく上限が900w未満で、発熱線が1本で、首振り機能は要らないが、出力は三段階可変のもの。これがわたし的には最も便利だろうと想像している。
 上限が900wとか1200wだと、追加で電子レンジを使えばブレーカーが作動するレベルなのと、どうしても無人で放置されて火事……という局面が想像されてしまう。
 あと、この冬の大発見。炬燵も炬燵布団も要らんのじゃという真理に到達した。量販店で初夏に売られている安物(2000円しない)の封筒型寝袋。これを炬燵テーブルの下に突っ込んでおけば、体温だけであたたかくなる。ファスナーを開ければ、シュラフが「簡易掛け布団、しかも無圧」となる。表面は裏表ともにナイロン地なので埃取りの掃除は一瞬で終わる。もちろん背後には別なストーブが必要だけれども、炬燵には通電する必要がないし、卓上を布でカバーする必要もないのである。単なるちゃぶだいでよかったのである。1年で最も気温が低くなるここ数日でも大丈夫だということを、遂に確認できた。オススメ。
 国道五号線の七飯駅近くの「らーめん武蔵」がずっと前から気になっていた。昨日とうとう立ち寄ることができた。驚いたのは、何年も営業しているはずなのに、それにともなう「疲れた感じ」が無いこと。ラーメン評論家ではないので、味を表現できないのが残念である。
 『朝雲』#3194 に「X2」の報道公開写真が載っている。その1葉。「危険」「ECS高温排気」と、ご丁寧に排気口の近くにペイントしてある。
 これを書かせた奴は阿呆かよ!
 シナ人スパイが通りすがりにのぞいたときに、意味が取れないように、こういうところはぜんぶひらがなかカタカナにしとかないとダメだろう。
 「サハルナ」とか「あついぞ」とか「ノルナ」とか。
 いちばん平和ボケしているのは、三菱重工なのではないかと、ふと思った。


中共の秘密は自動的にアメリカに渡る仕組みができているという驚愕。

 Bill Gertz記者による2016-2-3記事「Chinese Defector Reveals Beijing’s Secrets」。
 KGBの秘密が一人の文書係のメモ持ち出しによって全部バレてしまったという冷戦直後の事件については兵頭の既著で紹介済みだが、それと同じくらいのドレーンパイプが中共から米国の間では構築されていた。
 胡錦涛は2015-5を境に姿を消している。習近平がライバル排除のためにあることないこと罪状をでっち上げて取り調べしているとも噂される。
 その兄弟Aは2012まで党書記だったが〔以下ぜんぶ個人名付きだがシナ人のアルファベット表記を漢字でどう書くのか分からないので書かない。興味ある人は原文に当たれ〕、2015-7に逮捕されている。そいつは党の文書庫の管理人だった。そしてこんなこともあろうかと、もうひとりの兄弟Bに重要文書のコピーを預かってもらっていた。もし自分が逮捕されたら、その文書をCIAに渡すぞと脅迫させるつもりだった。
 兄弟Bは加州サクラメントで不動産業とゴルフ場をやっていた超富豪。今は身柄が秘密の場所に保護されている。
 ところが習近平がその兄弟Aを釈放しないで逆にアメリカ政府に公式に兄弟Bを引き渡せと要求したので(これをすっぱぬいたのは2015-8のNYT)、兄弟Bはアメリカに亡命し、文書を全部CIAに渡した。
 それはとてつもない情報だった。
 シナ指導部が核兵器の使用を命ずるときにどんな手順なのか、それが書かれているのだ。
 中共の中枢、奥の院は「ゾンナン海」という。その建物の内部についても兄弟Bは詳しかった。これでNSAはどこに照準を絞ったら秘密がとれるかが分かるようになった。じっさい、サイバーアタックが集中してきたので、いま中共では内部システムをごっそり入れ替え作業中だという。
 ピルズベリーの2015の本『百年マラソン』は、五人のシナ人亡命者に取材して書かれている。そのピルズベリーも、今回の亡命者(兄弟B)は過去30年で最大だろうと言っている。
 中共は世界金融をどう支配しようとしているのか、それも文書でバレそうだ。
 ※この事件は氷山の一角だ。シナの旧政権の要人は、否、現政権の要人すらも、誰もが同じことをやっていると見るべきだろう。すなわち早くから米国で一人の親戚に商売をさせておき、日ごろから、超ヤバい秘密文書をできるだけ多く持ち出しては、預かっておいてもらう。じぶんの身の上にもし現政権や次期政権による弾圧が及んだら、その秘密文書をもってCIAにかけこみなさい、と言っておくわけだ。誰も自分の国の政府を信用しない、そして近代的法治などあり得ないというシナ文化が、このようなシステムを育てた。これは、将来もなくなりはしないだろう。現在も、営々としてこの文書持ち出し作業は、党の有力高官たちによって、せっせと遂行されているのだろう。習近平だって永遠の生命は持たないからだ。その次の政権から家族が弾圧されない保険が必要なのだ。日本にとって幸いなこと。シナ人の悪意が米国指導層の奥の院にはもうバレているので、2017にどんな阿呆が米大統領になろうとも、これから数十年、米国がシナ以上に日本を敵視することはまずありえないと考えてよいこと。日本にとって警戒すべきこと。その上でアメリカは、アメリカ軍によってではなく、あくまで日本軍や韓国軍によってシナ兵と戦争させようと、たくらむであろうこと。