自我自惨

 『エヴィエーション・ウィーク』のサイトをみていたら載っていた Amy Butler さんの署名記事(2009-3-17付)。
 以下、ちょっと意訳してみます。
 ――ボーイング社は、韓国・シンガポール・日本・イスラエル・サウジ向けに、ストライクイーグル改である「サイレント・イーグル」を提案する。
 セントルイスのボーイング工場は、ジョイントストライクファイター提案でロッキードマーチン社に敗れたので、いまのところF-18の仕事しかなく、必死だ。
 セールスポイント。
 拡大したコンフォーマルタンク内にAAMと対地攻撃兵装を収納してしまう。
 燃料搭載量は犠牲となり、航続力は減る。
 大型の対艦ミサイルまでは収納できない。
 といっても、この新型タンクはボルトで着脱できるから、元のストライク・イーグルの姿にはいつでも簡単に戻せる。
 垂直尾翼は15度外に傾けてステルス性を増す。
 将来は、「ステルス・コーティング」でアンテナ部などの強い反射を抑え、またすでにF/A-18E/F のエンジン吸気口部にとりつけられているようなレーダー・ブロッカーも後付けをして、F-35並の正面被探知率にする。
 このような「サイレント・イーグル」は、韓国が最初に調達するかもしれない。F-15クラスのF-Xを60機、求めているからだ。
 ちなみに韓国はそれと別にステルスのKFXを独自に開発国産して120機配備する計画でもある――。【部分意訳おわり】
 これを読んでの偶懐。
一、航続距離が減るというだけでも日本式の用法にはそぐわなさそうですね。ステルス性よりも滞空時間=航続距離を劇的に改善する工夫はないんですか、ボーイングの技師さん。
二、エアインテイクのレーダーブロッカーやアンテナのコーティングなるもの、どうして国内メーカーは独自に工夫をしないのか。
三、ええ、わかってますよ。予算が取れないんでしょう。だったらどうして国民向けの啓蒙と対内宣伝を強化しないんでしょう、防衛省さん。
四、金丸長官以後、涜職構造が昂進してしまった防衛族=防衛省の世界は、DoDがとっくに開催しているような、安全保障テクノロジー系のブロガーを集めての会議を設けたとしても到底しょうのないレベルに当分はあるのだろうが、必要な予算獲得のための啓蒙宣伝を堂々と彼らに依頼することはできるはずだ。というか、若い内局官僚がとりあえずできることはそのぐらいだ。
五、防衛省は、軍事ケインズ主義がどうしてバラマキにはあたらず、日本の景気を救済し、日本の競争力を高められるのか、「経済が分かっている防衛通ブロガー」を集めて会議を開いて対内宣伝しないと、じきに一切が間に合わなくなるでしょう。
六、ついでながら、内局大臣官房広報は、TV局クルーと同等以上の映像取材便宜を、映像発信が得意なオタク系ブロガーに与えるべし。早くやるべし。
 じつは日本の敵はハードウェアで攻めてくる敵ではなく、日本と近代世界のしきたりを破壊するのが得意なので、その対策を講ずることなしには安全保障も独立もおぼつかないという話を、『予言 日支宗教戦争』で書いております。「サイレント・イーグルを買おう」などと反応してしまいそうな「分かってない」オタクは、『予言 日支宗教戦争』を購入するか最寄の図書館に注文し、「概況」から勉強いたしましょう。


「携帯学校」を創立しよう!

 かねがね小生は、「高校全廃論」を唱えてきた。今の日本国には、高校は要らない。中学と大学だけあればいいのだ。
 余分で有害な3年間! 呪われた戦後の新制高校――。このくだらない既得利権が、全日本の中学生徒から、健強な独立心を奪い去り、万事に卑屈たらしめ、少数の世界レベルの天才の芽をもまた17歳前にして早々と枯らし尽くして来たのだ。
 のみならず、他国には稀な、終身あらたまらぬ種々の変態キャラクターをこの日本社会にビルトインする、悪徳ビョーキ製造工場ともなっていよう。
 しかし遺憾ながら、余輩の高校全廃論は世論の説得に一向成功しなかった。
 そしてとうとうこの度、貧困限界線の世帯が、高校3年間の家計負担を支えきれないとの予測から、有為の子女の高等教育を諦めてしまう、なげやりの垂直ループを懸念すべき経済景況に、わが国は突入するに至った。
 もはや議論や説得の余暇はなくなったと観ぜねばならない。
 「携帯の学校」(ケータイ高校)が必要である。それしか救いの道はなかろう。
 14~18才くらいの、限界学力少年が、その携帯サイトを一日ながめていれば、三流高校に一日通学した以上の学徳が身につく、そのようなコンテンツを、すぐにも有志教育者が開発し、有志資本家が提供しないならば、今から10年後には、日本国はとりかえしのつかないことになっているだろう。
 困ったことに、わたしは携帯電話を所持したことがなく、今後も所持する予定(予算)が無い。
 そこで、まず、携帯サイトの仕組みに詳しい人で、わたしにレクチャーしてくれる方を探す。ご連絡を乞いたい。
 そのあとで、雑誌記事を書いて訴えよう。
 最初に正しい方向と仕組みを示すことができれば、あとは有志の活動によって、回転が始まるだろう。ちょうど、あの「史実を世界に発信する会」が軌道に乗ったように。
 ……では、30歳代ヒキコモリはどうやったら救済できるのか? そこが知りたい方は、巨大書店ですでに発売中の『予言 日支宗教戦争』を探せ!


ふところ手でGET

 櫻井忠温についてネットで調べようとすると、たいてい、旅順の第一回総攻撃で「全身蜂巣銃創」を負っただとか、〈死体と間違われて火葬場に運ばれる途中で生きていると確認された〉という話が出てくるのだが、昭和5~6年の『櫻井忠温全集』をサラリと斜め読みした限りでは、誤りだらけである。いったいこの無名人たちは、揃いも揃って、何のつもりで、確認容易な他人の経歴を脚色するのか?
 ネットで古書の『肉弾』を注文するだけで、こんな誤りはチェックできるだろうに、それを誰もしていないようだ。その手間を惜しむのなら、さいしょから、赤の他人の履歴なんぞ、書かなければいいじゃないか。
 ネット上に歴史上の公人のありもしないエピソードをもっともらしく書き込んで得々たる者たちの無責任感覚は理解を超絶する。半ばはチラ裏か。
 「全身蜂巣銃創」は、身に数十弾を受けて死んでいるために1発ごとの詳細な検死所見をとても書類に書き込んでおれないことから軍医が苦し紛れにつくり出した用語であることは、全集1巻の『肉弾』の147~8頁に書いてあることから推定容易である。櫻井の受傷はそのようなものではなかった。櫻井は両手両足だけをやられたから生還したので、その傷のひとつひとつの具体的な診断は全集6巻所収の『顔(自叙伝)』の501ページに列記してある。
 個々の傷について個々の観察をせずして負傷者を治療なんてできないんだから、あたりまえの話だろう。ちなみに最も酷かったのは右足で、脛は貫通銃創で完全骨折し、腿には盲貫銃創を受けた。軍医界の大幹部の菊池常三郎がじきじきに術式を指図して、この骨をつなげたのだ。
 右手は、吹っ飛ばされたとは『肉弾』には書いてない。ブラブラになったことまでは書いてある。『顔』には、大正10年後半の小倉聯隊附の中佐時代に、サーベルを紐で右手に縛りつけて抜いたけれども苦しかった、とある。切り離したとすれば、病院で切断手術を受けたのであろう。全集にある著者の写真には、両足(足袋着用)は写っているが、右手は写っていない。
 左足が義足になったというネットの文章も見たのだが、その切断はいつなのですかとお尋ねをしたい。
 火葬直前に生きていると判明した……という話に至っては、出典の見当がつかない。全集を隅々まで読まないうちは断言できないが、『肉弾』には生還の模様も具体的に記してあって、疑問の余地はないと思う。
 誰が最初にこの話を広めたのか、そっちをむしろ知りたい。
 『肉弾』と『銃後』の間には7年のインターバルがあるが、櫻井は『肉弾』の直後にも雑誌に何篇か寄稿していた。その副業的な活動が陸軍内で不快がられ、〈寄稿を止めないなら陸軍を辞めろ〉という圧迫を受けたので、彼は生計の方を重視して著作活動の方を一時中止したのである。『肉弾』中の表現が陸軍部内で問題にされたとは兵頭にはとても思えない。あの程度の悲惨な体験描写なら、日露役直後の出版物の中にいくらもある。
 『肉弾』の初版を乃木が見て、何箇所かの修正を櫻井に求めてきたので二版でそれに応じたことが『顔』に書いてある。この「差分」はどんなものだったろうか。誰かもうすでに調べてくれた人はいるんだろうか。
 『銃後』には、松山に捕虜になっていたロシア将校の証言として、対陣中に日本軍は、松山捕虜収容所は風光明媚で温泉もある良いところだから来いという伝単を播いたけれども、そんなものに引っかかる者は少なかった――とある(全集第2巻p.10)。
 然るに、わたしは未読なのだが、ネットによると、櫻井が敗戦後の1954年に書いた『哀しきものの記録』中には、この投降勧告ビラがすこぶる効果があったように書いてあるらしい。
 ひょっとして櫻井は昭和20年8月以後になって思い出を改造するようになったのではないかとわたしはピンと来た。すると、火葬場の逸話も、晩年に至って櫻井が語ったことでもあったのだろうか。
 とにかく、弥助砲や四斤砲の話を書いていたり(きっと新聞班の古い資料にアクセスしたのだ)、陸軍宣伝映画の脚本を書いたり、内務省のナワバリだった新聞雑誌検閲に陸軍省を割り込ませたり、対ソ戦のための国論喚作を考えていた田中義一に見い出されたりと、興味深すぎる人物だといまさらながらに気がついたから、次の次の「近代未満の軍人たち」で、是非とりあげようと思っております。(過去には、乃木調べのかたわら、スルーしてしまったんですよね。彼の孫子解説は国会図書館で読んだ覚えがあります。そのときは特色がないと思いました。孫子に挑んだ下地は、彼の「ニー」好きにあるんでしょう。)
 他では読めない「老子の兵法」解説を収めている、兵頭 二十八の最新刊『予言 日支宗教戦争』(並木書房)は、現在、好評発売中です。地方にお住まいの方は、各種ネット通販や、セブンイレブンの店頭経由の注文、などの方法で、ご購入ください。
 図書館を利用できる人は、リクエストしましょう!


シナ大陸に花粉症は無い――というのは本当か?

 森さま。スポーツ用品を拝受しました。ありがとう存じます。
 さて、7日の質疑応答の時間が足らず、余した質問用紙が多かったのは甚だ遺憾でありました。そこで、記入済み用紙のコピーを軍学堂さまから頂戴しましたので、この場で簡単にお答え申し上げたく存じます(一部重複と割愛あり)。
Q:日本軍が作った風船バクダンというのは、無人兵器か?
A:その通りであります。サイバネティクスを応用した兵器はロボットだと申せましょう。つまり直進魚雷がすでにロボット兵器だったのであります。そして、高度12000~15000mを維持するように工夫してあった、わが「ふ号」兵器も、立派なロボット兵器でした。
Q:無人兵器を敵に奪われたら、困るのではないか?
A:そんな心配をする前に、日本の周辺国が、有効な無人兵器を、日本より先に、日本より大量に整備したらどういうことになってしまうか、それを心配するべきでありましょう。防衛族は利権まみれだし、既存の大メーカーは提案をしないし、防衛省は2流官庁化まっしぐらだし、軍事評論家はまだF-22がどうとか言ってるし、このままだと、どうしようもないですぜ。
Q:オバマ大統領は、軍需産業に白紙小切手を切る時代は終った、といっていますが。
A:既に大きな産業に公的資金を突っ込んでも乗数効果が生ぜず、不景気への治療薬にならんということですね。ちょうど、支那事変中の日本の軍事予算がそうでした。ほとんどが、弾薬代に消えてしまいました。しかし、小さなハイテク産業を大きく育てる場合は違うんです。長期的にその国の競争力を高めることは間違いがないからです。ですので、DARPA予算などは減らぬはずです。
Q:集団自衛権を認めたうえで、日米安保条約の片務性を解消すべきだと思うが。
A:おっしゃる通りです。『属国の防衛革命』などの太田述正さんの記事がご参考になるでしょう。
Q:もし79年にベトナムがカンボジアのポルポトを打倒していなければ、東南アジアはどうなったか?
A:「ポルポト=中共=北朝鮮」ですから、東南アジアは暗黒時代に遷移したでしょうね。
Q:世界不況の中で、中国・北朝鮮が、食うに困って他国を侵略する可能性は?
A:ないです。侵略者は、国ぜんたいの元気が余っているときに近隣を侵略するものです。これは歴史から誰でも簡単に読み取れるパターンの一つでしょう。
Q:最悪の事態である亡国状態に日本がおちいった時に兵頭氏はどこの国に逃げますか?
A:「官僚は国民と運命を共にせよ」と公言している小生が、日本国外への逃亡なんて考えるわけないでしょう。でももし宝くじで200億円くらい当たったら、アンティグアみたいな暖かそうな島へ移住したいですね。
Q:最近の注目のSF作家/SF小説は?
A:ヴェルヌ、ウェルズ、チャペックですね。新しい発想を得たくば、だんだんと古典へ遡ってみることです。これは、何の分野でもそうです。
Q:ロボコンはどうですか?
A:無異議だとは申しません。しかし、「撃ち合い」の要素を採り入れることは文科省の支配下である限りは不可能でしょう。「穴掘り競争」とかの新発想が欲しいですね。
Q:無人兵器をどの国と組んで開発すべきか?
A:国ではなくメーカー単位で考えるべきです。「ダッシュ」のメーカーが左前になったときがありましたが、そういうときに、買収してしまうという着眼も必要かもしれませんよ。たしかDARPAは外国人にもプロジェクト応募の門戸を開いていたでしょう。その真似をすれば良いだけです。
Q:国産兵器技術の進化・発展に関して国内でいちばん決定権を持っているのは、防衛省でしょうか、国民世論でしょうか。
A:いまのところは、天下り受け入れ法人なんじゃないですか。とにかく自民一党支配が続く限り、腐敗は止まりません。
Q:なぜ1920~60’sのSFなのか。70’s~現代のものはどうなのか。
A:もちろん米軍は最新SFも参考にしています。しかしほとんどのアイディアは過去に何度も出てきているものなのです。それを読み漏らすことの方が、怖いでしょう。
Q:無人兵器の運用も民間委託できませんか。戦争請負会社に。
A:戦場で人殺しをする権限を民間人に与えていいわけないじゃないですか。
Q:新しい別な有料メルマガを配信する意向は?
A:ありません。もっかのところ、「読書余論」がわたしの活動のメインです。
Q:軍事や兵器に関する数字をリアルに把握する方法は?
A:多読しかないですね。「読書余論」は役に立ちますよ。
Q:国の規制がありすぎるので、街工場の自動車参入は至難ではないのか。
A:その通りです。だから法律を変えて、ふつうの車道の法定速度を「時速35キロ未満」にしなくてはなりません。私有乗用車の最高速度が人の全力疾走以下に規制されれば、車体の安全基準も簡単になり、町工場の技術力・資本力でも参入が可能になります。
Q:Youtube などで見られる瀬戸弘幸さん、西村修平さんらの「行動する保守」運動について、どうお考えでしょうか?
A:わたしが新風を買っているのは、瀬戸さんがいるからですよ。
Q:我が国が真の独立国となるために、個人レベルで何から始めたらよいか。
A:新風の選挙運動にボランティアで飛び込んでください。ポスター貼りの仕事からあります。それと、今週から好評発売中の拙著『予言 日支宗教戦争』の宣伝カキコなどを、諸方のサイトで展開してくださいませんか? ご批判でも構いません。
A:無人兵器を開発するために旧軍のような「工廠」が必要か。
Q:あたらしく別な機構をつくるまでもないのでは。
A:本を探したり読んだりする秘法はないですか。
Q:いちど、公共図書館の分類番号の000から999まで、数冊づつランダムに読んでみることです。乱読から入門すると、自分の興味が分かってきます。自分の興味が分かれば、その分野での必要な案内人も、おのずと見えてきますでしょう。
Q:『経○○学会』という雑誌と兵頭のかかわりについて。
A:『ヤーボー丼』所収の2篇の「研究ノート」(「論文」よりも完成度の落ちるもの。研究ノートよりも学術的に格が下がる文章は「エッセイ」です)をまず御覧ください。初出が書いてあります。それが『經○○學会』であります。研究者は無論のことですけれども、修士課程の大学院生でも、できれば、何らかの学術雑誌に論文やエッセイを載せると、若いうちから箔がつくわけです。また、「この発見はオレが世界で最初だぜ!」という公的な証明にもなります。学術雑誌に寄稿するには、その学会に所属しなければならず、それには年会費とか推薦人とかが必要です。しかも、権威のある学術雑誌のレフェリーは、出来のよくない論文が寄稿されてもリジェクトしてしまいます。ところが、中には、会費さえちゃんと払っていれば、推薦人も要らず、かなり〈?〉な内容の論文でも、ときおりは載せてくれるという、間口が広くて鷹揚な「学会誌」もある次第です。おわかりでしょうか? 今日では、自分の特異な見解を一刻も早く世界に公表したかったら、インターネットにアップロードすればよいだけです。ところが、20年くらい前は、商業雑誌に載らない文章をいかにして活字の紙印刷媒体に変換してもらうかを、苦労して考えねばなりませんでした。学会誌は「抜き刷り」というものを別に印刷して寄稿者に売ってくれますので、寄稿者は、その抜き刷りを他の研究者に郵送したりして自己宣伝をしたわけなのです。
 ――こんな感じで、雑駁ですいません。
 あとN・龍太さん。管理人さん経由で絵を見せてください。いつでも良いです。
 以下は余談。
 英文サイトの「ディフェンス・ニューズ」を見たら、 William Matthews 氏が、石炭から合成ジェット燃料をつくろうという米空軍の本気プロジェクトの話を書いている(09-3-2)。
 ちょっと部分意訳をしてみよう。
 原油はバレル150ドル弱から40ドル以下に下がったが、そんなの関係なく、USAFは、石炭、天然ガス、動物脂肪等からジェット燃料を取り出すつもりだ。
 2016までに米国内のジェット燃料の半分は合成品にしたい。
 モンタナのマルムストロム空軍基地で、石炭合成ジェット燃料の本格計画がスタート。 すでに B-52、 B-1、 C-17 で合成燃料を使って確認。次は、 F-22、 F-16、 B-2、 KC-135、C-5、 T-38 を、半分合成燃料を混ぜたJP8で飛ばすつもりだ。
 国際民航協会IATAでも、2025までには四分の一の燃料は合成油にしたい、と。
 原油が バレルあたり60~70ドルになれば、合成油は経済的に競争力をもつ。
 米国は全消費油の7割を輸入している。そうである以上、原油はいつか必ずバレル170ドルにもなるに決まっていよう。※そうそう。「投機家の操作だ」とか言ってる能天気な経済専門家が日本には多いんですけどね。安全保障関係者ならそんな甘い見通しは抱かないわけ。常に最悪の可能事態を考えましょうよ。
  Fischer-Tropsch 法という製造工程を用いると、石炭、コークス、木材、トウモロコシの茎などを、華氏1600度でガス化できる。
 そのガスから水銀や硫黄を除去し、一酸化炭素と水素を残す。二酸化炭素と水素を反応容器に注入すると、鉄の小片が触媒となって合成ワックスができる。それを精製すると航空燃料やらディーゼル燃料やらが取り出せる。
 製造過程と燃焼消費時とをあわせ、ふつうの石油に較べて2倍近くも二酸化炭素を生じてしまうのが、合成石炭油の一大欠点だ。
 これについても解法は研究されている。たとえば液体中から二酸化炭素を隔離・捕獲して土中に埋めてしまう方法。実用化すれば、JP8よりも1~2割、二酸化炭素を減らすことができる、と開発メーカーは主張。
 〔部分意訳、おわり〕
 どうです、この本気度。
 これから、我が国が原発を百基つくったとしても、飛行機だけは液体燃料で飛ばすしかないんですから、日本でもマジメに取り組みましょうや。この分野でもアメリカに置いていかれたら、目も当てられませんぜ。
 ちなみに、日本にも炭鉱の鉱脈なら、まだいっぱいあるわけです。ただし、採算が合わないので、もう掘ってないというだけ。
 石炭をうまく液化できるなら、なにも地上まで掘り出す必要はないんです。プラントを地下に設けて、ロボットに掘らせながら、その場で液化すればよい。そのやり方なら、日本でも採算は合うはずなのです。
 全力で取り組むべきだと思いますね。


お詫び第二弾!

 『予言 日支宗教戦争』の206ページの手紙の画像が違っておりました。
 正しくは ↓ であります。
http://www.namiki-shobo.co.jp/image/yogen_206p_02.jpg
 関係者の皆様に謹んでお詫び申し上げます。


本日は書店に行かばや!(ただし大都市居住の方のみ)

 ミリタリーのコーナーが特別に充実している大型書店だと、おそらく10日(火)の夕方までに、『予言 日支宗教戦争』が、棚に配列されると思います。鵜の目になって探してみてください。
 ついでに、月刊『文藝春秋』では別宮先生が座談会にご登場ではないか! だが、待つんだ! もし貴男の今月の可処分所得が2300円くらいしかなかった場合、先づは『予言 日支宗教戦争』(¥1600円)の方をお求めくださいね。両方買えば2350円になっちゃいますからね。
 新渡戸は、もちろん「ウルトラC」を狙ったのです。まったくゼロから、近代日本教としての“BUSHIDO”を捏ね上げようとチャレンジしました。いわば、パウロやアウグスティヌスがやったような仕事に手を掛けた。この新渡戸の後続を断ったままにしてはいけない。ルース・ベネディクトの誘導に、アクロバットで応じてみせなければならない。漢字で書く「武士道」は、最後には閉塞する道でしかないのです。
 ところで、いきなりで申し訳ないんですけども、直しがあります。
○53頁 うしろから4行目
 しかし「自衛の倫理」を人材を欠いた日本政府は
  ↓
 しかし「自衛の倫理」と人材を欠いた日本政府は
○108頁 最終行目
 材木製品として切り削などの加工をほどこす前の
  ↓
 材木製品として切削などの加工をほどこす前の
 ※送稿原稿は「切削」なのです。しかし、なぜか活字は「切り削」と変わっている。なんでだろ~? 読み方はもちろん「せっさく」ですよ。
○211頁 うしろから5行目
 最先端を行なってますね。
  ↓
 最先端を行ってますね。
 ※わたしはこういう混同が厭なので、「おこなって」と読ませるときには必ず、「行なって」と、「な」を加える主義です。しかしこの箇所は「いって」と読ませたかったのです。だからモトゲンでは「な」は加えていなかったのですが、校正をした人が統一したいという欲求に負けたらしい。
 ミリタリー専門書店の無い地域に居住しておられる大多数の皆さん! 書籍はもうフツーの本屋で探す時代じゃないですぜ。貴重なサーチコストを節約しましょう。
 インターネット環境の無い方でも、セブンイレブンなどの一部コンビニで、店頭で取り寄せることができるようになっていますよ。店員の方にご相談ください。
 近所の図書館なら利用できるという方。図書館備え付けの、購入リクエストカードに、『予言 日支宗教戦争』と書き込みましょう!


皆様、どうもありがとう。

 講演出張から帰りました。
 ノーカットだと2時間くらいになるんでしょうか。誰かが音声または絵音を、長尺でアップロードしてくださるだろう。
 「軍事情報」さま。拙著についての(またしても)過分のご紹介を賜りまして恐悦至極に存じました。並木書房さんに聞いたらば、あの紹介だけで、『予言 日支宗教戦争』のアマゾンのランキングがガラリと変わったそうであります。改めて御礼を申し上げます。
 「ネットゲリラ」さま。今まで一面識も無かったにもかかわらず親しくお話をうかがうことが出来、望外の勉強をさせて戴きました。わたくしはお連れのドライバーの方を拝見して、ふと、1991年頃のいくつかの映像ソフトに出演していた方にえらく似ていらっしゃるなという不適切な連想をしてしまいました。お許しください。
 とにかく「隠士」は現代日本にもいるんだ――とびっくりしました。
 もしヨットで北海道南岸にお立ち寄りの節はぜひ事前にご一報をください。わたくし海岸で焚き火をしながら、イカとコップ酒を炙りつつ、お待ち申し上げたいなと念願します。
 応援スタッフの皆さん。まさかこっそりカンパまで頂戴できようとは思いませんでした。これは現物で何か拝領するよりも、遥かに有り難いのであります。局地災害の場合、毛布など現物の「災害救恤品」は実は誰にもよろこばれず、ほんとうに被災者やレスキュー機関のためになるのはマネーなのであるという、世の中と人生の非常時の機微がよ~く分かっていらっしゃる方々だなぁ……とつくづく感動を致しました。これからもコジキ街道をまっしぐらに歩みます。(プリンターは寄付者があらわれるまで待ちます。今回の講演は手書きメモだけでやってみまして、それでなんとかなるということが分かりました。)
 廣宮さま。あなたはかならずメジャーになれるので、さらに間口を広げてどんどん攻めましょう。
 武道通信ご一同さま。わざわざ恐縮です。また面白い話を聞かせてください。Kenさんの運動はできるだけ広めないとね!
 FDR(パソ通時代からある軍事フォーラム)の関係者の皆さん。いつもネタを貰うばっかりですみません。有効な提案に結び付けられるよう努力を続けて参ります。
 かなり遠方よりお越しの皆々様。講演につきものの質疑応答コーナーは時間無制限でやりたいというのが小生の本来の希望なんであります。しかし会場レンタルの都合上、そうはいきませんのが、いつもいつも詢に残念でございます。面倒な講演部分は抜きで、もう質疑応答だけをオープニングから延々と素面でやり続けるというイベントを、誰か企画してくれないでしょうかね?
 答え切れなかった質問用紙についても後日、なんとかどこかでコメントできればいいなと思っております。
 軍学堂さま。NHKの国際報道部の偉い方であったとか別宮先生から承りまして驚愕致した次第でございます。その人脈でプロのアナウンサーの方も司会を引き受けてくださるわけですね。
 皆様のますますのご発展を、心よりお祈り申し上げます。


選挙が(小沢氏にとり)至福のレクリエーションではなくなる日

 ひきこもっていると一生絶対にわからないのが、選挙の面白さです。
 そこでわたしは杉山穎男さんが平成13年の参院選に出る(それも前田日明さんの代打として)と聞いたとき、『落ちるに決まってんだろ。家族の人もたいへんだな』と思いつつ、面白半分で街頭演説を何度かひきうけました。佐山サトルさんや、一水会の木村さんと肩を並べてね。いや~、あの一夏で、あまりに多くのことを学ばせていただきました。
 街宣車は、選挙期間中は、交通警察の取調べを、事実上、受けないのです。ふだんは駐停車などゆるされぬような場所、たとえば駅前ロータリーに停車させて、拡声器で演説を始めることができる。「法律われに関して何かあらん」という、〈法的な透明人間〉になれるわけです。
 何という非日常の2週間! そしてそこから生まれる同志的な共感。ふだんは気づかなかった、組織的な気色の悪い「政敵/公敵」が街のあちこちに潜伏していたことへの気付き。(大橋巨泉は憎々しかったね。)ここには学生クラブ活動の延長線上の異時空があるのです。これでわたしはピンと来た。小沢さんは、こういう演劇興行空間の中毒力からもう脱けられなくなっちゃったんでしょう。ショウほど素敵なものはなかったんだ。
 GHQ民主主義の議会実験の土台として「聖化」されてきたがゆえに、触法行為に対して部分的に錦の御旗となってくれる、国政選挙。しかし選挙が終わると、関係者は、法的な透明人間ではなくなってしまいます。つまりませんわね。
 若い時に司法試験にチャレンジして果たせなかったと聞く小沢さんには、高級国家公務員式の法運用スキルに対して、コンプレックスがあるだろうと想像します。選挙のときだけ、その法匪どもに対してじぶんがオールマイティになれるんだという錯覚が、彼をやみつきにしてしまったと想像しています。(でも御父君が「一郎」なんていう単純明快な名を敢えて息子につけたのは、はじめから息子を将来の代議士選挙に立候補させる用意であって、法科英才教育などさせなかったから、弁護士になれなかったんだと想像ができますよね。とすればご本人は、弁護士資格をとってみせることで、己れの父親を乗り越えようとしたのかしらん。)
 また、小沢氏とマスコミの相性の良さも、シンデレラ舞踏会中毒の同病だというところにあるんでしょう。時計の針を何度でも12時前に戻し、日常の埒外の楽しいイベントだけを、永久に、延々と、死ぬまでも反復して行きたいという共通願望。
 わたしは、小沢氏退場後の検察がヒーローになり、その検察とマスコミが、演劇空間中毒の麻薬注射の射ち回しをし始めぬように、今から祈りたいと思います。
 それじゃ皆さん、横浜でお目にかかりましょう!


オピニオンを「買わせる」ことの不自由さ

 『諸君!』が休刊ですって? ネットで聞き及びました。不況と「政界ドゥームズデイ」に敏感なのでしょうね。文藝春秋社の株(もちろんバーチャル)は、上がるんじゃないでしょうか。
 社内では、ウン十年前みたいに、総力を投入した重量級のインベスティゲイティング記事のために、優秀な記者さんたちを五、六人くらいも貼り付けて行ける、そんな体制を、また、とりたいのかもしれません(むろん、これはアウトサイダーの憶測です)。
 考えてみれば、「第二の立花氏」も、未だに社内で育成できてません。
 としますれば、月刊『文藝春秋』本誌や、『週刊文春』の、近未来の破壊力増強が期待できそうだ。
 しかし個人的には、週刊誌の発売日が遅い田舎のヒキコモリ自営業であるために、わたしは週刊誌をタイムリーに読む機会がゼロですので、とても残念です。
 文春の雑誌記事のために社会的評価を致命的なまでに落とす「巨悪」が次々と出る――、そういう時代が近々、来るのだと信じて忍ぶことにしましょう。(あるいは、庶民が誰も予測もしなかったような大疑獄事件が、まもなく立て続けに表沙汰にされるのかもしれませんね。)
 追懐です。
 1997年頃と思いますが、自分の力作の寄稿が載った『諸君!』の最新号(書店発売日よりも早く郵送されてくる)をママチャリのカゴに放り込み、上野の不忍池まで出掛けて、ベンチでじぶんの記事だけ2回繰り返し読んでから、また文京区のボロアパートに戻って行った、あの初々しい痛快感を、新人寄稿者がもう味わうことはないのだな…と思いますと、寂しいですねぇ。(これらの記事はそのご私の単行本には収載されていませんから、図書館で読んでみようという人以外には、存在しないも同然ですな。)
 雑感です。
 プロ・ライターの気分は、輓近、「編集長」化してます。ネット普及が一定以上に達した、だいたい西暦2004年以後の、日本国内の傾向でしょう。
 そのせいでしょうか、近ごろは、あちこちの大物ライターが、自己都合で書きたい記事を押し込んでくる圧力に、異動の頻繁な、あるいは多忙すぎる編集者たちが、イージーに屈しているんじゃないのか――、と思うような誌面に、しばしばお目にかかります。
 (それを言うと、オレの96年論文も江藤淳の押し込みですよ。でも、斉藤禎さん時代、つまりオレが学生だったときには、原稿は江藤のプッシュに関係なく、見事にリジェクトされているのです。その原稿がどんな内容だったかは、1995の『日本の防衛力再考』の巻末附録から、ご想像ください。)
 こうした記事の共通な特徴は、1頁で語れるはずの話を3頁くらいにも引き伸ばしていることです。要するに読者本位ではなく、ライターの営業収益本位(字数に応じて原稿料が増え、取材費は編集部に負担させた上、何号かまとめて単行本にすれば二期作で印税も稼げる)なのです。
 江戸時代の民間大工がわざと工期を延ばそうとチンタラ仕事をしていたのを武家屋敷の発注主も強腰の監督指導ができなかった、そんな図が思い浮かぶでしょう。
 もしそんな記事が1号中に複数、いつも登場するような状態になったなら、左翼主義雑誌だって閉塞するのではないでしょうか。つまり、雑誌社が特定のライターたちにたかられている状態ですよ。わたしもたかる術はないかと冀求し続けているコジキの一人ですけども、長い記事を書くときには読者にぜったいに損をさせないように新ネタを仕入れます。当然なことに、それはネット上の無料テキストと重複がないようにしなければならない。
 オピニオン雑誌に、興味の細分化している現代の読者の気をひくような、短くて高濃度の完結記事が、ひとつ載っていたとします。それは、立ち読みされておしまいでしょうね。
 しかも、ほとんどの読者は、異論を脳内でスルーしますので、真のオピニオンは伝達されないことが多いんです。(たとえばわたしは公然たる反遠洋捕鯨、反霊璽簿、反田母神論文、一億総背番号制大賛成の記事を何度か書いてきていますが、雑誌の常連購読者は誰も認識してないでしょう。この空しさたるや……。)
 オピニオン雑誌向けの長い記事の2~3本分の文字量(=労力)で、薄い新書を1冊つくることができます。新書は、興味の細分化している消費者に、立ち読みでなく購入を誘いかける引力をもつでしょう。
 良心的ライターにとっては、実売部数の少ないオピニオン雑誌で1ヶ月間だけ力作が掲載されるよりも、書き下ろしの新書をプロデュースしてもらった方が、いまやメリットが大きいかもしれません。
 おしまいに、『諸君!』4月号の「秦 v. 西尾」対談について。わたしは秦氏を支持します。しかし田母神論文のタイトルは「日本は侵略国家であったのか」なんですから、秦氏はこれに対して明瞭に「日本は侵略国家であった。なぜなら……」と答えねば、スッキリしないんじゃないでしょうか。編集者はどうしてそこをはっきりさせないんだ?
 わたしは、はっきりさせました。並木書房の『予言・日支宗教戦争』は、昨日、見本が刷り上ったようです。田母神論文騒動に興味がある方は、是非、この本の前半3章をお読みになってください。
 以上、「オレにもっと書かせていれば、『諸君!』も潰れなかった」と歎いているあまたのライターの代弁にはすこしもなっていないカキコでした(w)。


そろそろ「日仏防支協定」を結ぶ時じゃね? ア○公は抜きでさ。

 尊敬する台湾のメーカーにご提案したい。
 3000円くらいのA4モノクロ・プリンターを作ってくれないか。
 とにかくエプソン/キヤノンはもういい。
 カラーインクが一色なくなりかけただけでプリントのコマンドを受けつけなくなるとか、突如、原因不明の故障を起こすとか。……うんざりなんだよ。
 墨汁だけ補給したらとりあえず印刷できる、モノクロ・プリンターを作っとくれよ!
 印刷後に透明ラッカースプレーでもかけりゃあ、雨の日に出すハガキにも使えるだろうし(まあ、オレは出さないけど)。
 あれほど潜在需要のあった2万円ラップトップPCを、日本のメーカーがどっこも作れなかったのと同じで、この3000円プリンターだって、作れるとしたら、きっと台湾のメーカーだけだろう。期待してますよ。
 圧倒的にエコだし。携帯につないでFAXを受信できるようにもなるよ。そうなれば、貧乏フリーライターにとって、どれほど朗報になるだろう?
 それから、3-7の横浜講演ですけど、割高入場料金で当日ブラリと立ち寄ることも可能みたいです。なお、録音・撮影・録画した人は、かならずインターネットにアップロードしてくださいね。個人として楽しむことは厳禁します。