来週あたり、『別冊正論』が出るだろう

 小泉内閣以降の日本政府の公式見解は、〈在日米軍司令部には行政権(渉外機能)はあるが統帥権(オペレーションのコマンディングパワー)はない。統帥権は太平洋軍にある〉というものでしょう。
 ところがそれだと「極東条項」と整合しなくなりますから、外務省条約局や政府としては困るわけです。
 そこで、これから米陸軍の第一軍団の司令部が座間にくるのを機に、この外務省条約局をなだめるため、名目的に、在日米軍に、太平洋軍が、日本国内での限定的な統帥権を分与する「仮構」を、纏わせるんでしょう。
 つまり、UEY広域司令部たる米本土の「太平洋軍」の隷下で、UEX作戦運用司令部たる「第一軍団」が座間に占位するが、在日米軍はその第一軍団の隷下のUA実働部隊でありながらも、日本国内限定の統帥権をも分与される。つまり完全な上下関係ではなく、UEXとして第一軍団と対等になる……。
 しかしこれはペンタゴンとしては統帥が乱される可能性があります以上、ぜんぜん歓迎できないのです。軍事的に合理的でない。
 米国政府が日本政府に要求しようとしていること――将来の希望――は、かんたんに想像できようと思います。
 すなわち、長期的には、
 米本土の太平洋軍 > 座間の第一軍団司令部 > 「在日米軍すべて+自衛隊すべて+豪州軍その他の地域同盟軍」
  という統帥序列を整えて、全太平洋と全インド洋を支配したいのです。
 最初は、自衛隊のうち、空自の全部(PAC-3部隊も)と、陸自の中央即応軍(新編される)が、米軍の指揮下に名実ともに入ることになるんでしょう。海自はもうすでに、全部が指揮下にあるようなものでしょう。
 わたしが個人的に注目していますのは、米海兵隊です。第一軍団は陸軍なんです。その陸軍の指揮下に、在日米軍の海軍、空軍、そして海兵隊も入る。
 これが意味しますことは、陸軍よりも兵員数が少なく、装備も中途半端(重装甲でなく、さりとて空中機動スペシャル隠密フォースにもならない)で、正規戦ではカジュアリティ続出でホワイトハウスを窮地に追い込むこと必至であるため、将来のシナ軍相手の作戦にはまず絶対に出番が来ない、したがって北京からナメられ、アジアの戦争抑止の役には立たなくなってしまった海兵隊が、とうとう陸軍のパシリに落とされるということです。
 米軍のトランスフォーメーションとは、いまやイラクの治安維持の補助憲兵としての使い道しかなくなってしまった米海兵隊のリストラ(陸軍への吸収→組織消滅)を含意しているのです。
 この、組織消滅の危機に、海兵隊は、猛然と反撃に打って出ています。
 それが黒字駐留である沖縄利権へのしがみつき(「グァムへ出て行けや」と圧力をかけ続ける日本政府に対するゴネまくり抵抗)であり、さいきんの「硫黄島」を舞台に設定した宣伝映画(日本人も持ち上げるが、海兵隊も偉く見せる。よって沖縄から追い出さないでくださいませよ!)でしょう。
 住民のいなかった硫黄島での戦いを描こうというイーストウッド氏の映画が、米海兵隊の組織サバイバルのための請負い宣伝映画になるのではないかと予感したわたしは、月刊誌『正論』のコラムで公開前にその注意を呼びかけました。
 しかし案の定というか、「感動した」だとか「愛国心を考えさせられた」だとかの阿呆評論が相次いでいるようです。
 〈沖縄から海兵隊が出て行ってはアジアが困る〉といった、ほとんど海兵隊司令部のエージェントもどきの文章を雑誌に載せた日本人もいるそうですなあ。
 困りません。海兵隊は、もう戦争では使えない部隊なんです。「10.9」でそれが証明されたでしょう?
 あとは、海兵隊は、「いつリストラされるか」だけが、課題なんです。
 「米軍」と「投降兵殺しの達人・米海兵隊」を同一視する日本人は、目を醒ましましょう。
 沖縄に海兵隊専用の滑走路などつくるのは、やめましょう。これは利権固定化の悪あがきの策動でしかない。軍事的に意味がありません。
 南支からの短距離弾道弾や、通化の「東風3/東風21」が届いてしまう沖縄に、固定的な出撃拠点を設けても、価値はありません。
 本格的な兵力拠点はグァムより遠く下げておこうというのは、ペンタゴン上層の、しごく尤もな判断なのです。米海兵隊だけが、軍事的に非合理的な理由(黒字駐留利権)から、それに反対しているのです。


いまどきの怪談

 エンデュランスの比較結果が出てきた。ニッケル水素電池は、最初の数回の充電でパフォーマンスが変わっていくこともあり得るから、これはまだ最終の評価ではないが……。
 送料込みで5000円だった「ソーラーライト マルチムーン」(イエロー)は、1月中旬の晴れた日の日照、それも直射は午前9時半から午後3時までという条件で、夜明け(冬は6時半頃が薄明)まで衰えずに発光し続けることが分かった。
 また、曇った日中のわずかな日照による発電でも、かすかに午前4時台まで燈がともっている。値段が高いだけの実力があることがハッキリした。冬の北海道で使う製品の性能として、これは申し分がない。
 これに次ぐのが本体価格¥1000-未満のスグレモノのオーム電機製の「ソーラーボール」(黄)で、冬晴れの受光条件で夜明け近くまで、また、冬曇りの受光条件でも夜9時前後まで持つ。
 送料抜き3990円の「ソーラーボール グローブライト」(アンバー)は、設置場所は前2製品よりも受光条件が恵まれているのにもかかわらず、オーム電機製「ソーラーボール」よりも早々と光が消える。近くのホームセンターで2000円前後で売っている白色のソーラーライトよりはやや長く光るが、点灯開始のタイミングが国産安物ライトよりも数十分は遅い(たぶん欧州では冬は午後3時台からトワイライトゾーンなので相当に空の暗さが増さないとスイッチが切り替わらぬようにしてあると思われる)のを勘案する必要がある。輝度は終始、よくない。
 輝度では、1000円の「ソーラーボール」が断然に最も良好だ。3990円の「グローブライト」は、真の暗闇をバックグラウンドとしないと、ほとんど目立たぬ。明治以前の行灯のような感じだ。5000円の「マルチムーン」は、輝度では二位だが、十分に電球らしく目立つ。
 というわけで、冬期の北海道で、黄色系で、しかも日陰になる時間が多い場所に設置するのならば5000円の製品が最適である。
 冬でも一日じゅう陽当たりが良い場所なら、オーム電機製のソーラーボールがリーズナブルである。
 だが話はここで終わらないのだ。また、わたしのリコメンデーションもこれが最終ではない。世の中にはもっと、とんでもない無名のスグレモノが転がっているようなのだから。
 わたしは久々に、ゾッとする体験をした。
 じつは今回このように商品比較に傾斜するきっかけとなったのは、隣家の花壇に無造作に4本並べて挿してあるソーラーライトであった。
 その花壇は車庫への私道に面しているのだが、街灯の光が届かないので直角カーブのところに夜間は目印が必要なのだ。さもないと土地不案内な来客は、車を真っ暗な花壇に突入させたうえ、さらに谷底までも転落して行きかねない。
 それで、4本のソーラーライトが、光のガードレールとなっているのだ。
 で、その製品はどのようなものかというと、旧ドイツ軍のポテトマッシャー型手榴弾の頂部を斜めにカットし、そこに面積の狭い発電パネルをはめたような、特に変哲の無いものである。頂部を斜めにしているのは、もちろん、斜めからの太陽光を受けるためであるが、その角度は浅いものなので、積雪防止の意味は大して無い。
 発光部(散光部)は筒状である。四周と下方に白い光を放射する。輝度からして、LEDは1個ではないかと思われる。
 この製品を「商品Ⅹ」と仮称しよう。じっさい、まだ不明なのだから。
 「商品Ⅹ」の点灯タイミングは、わたしが今回あれこれと購入してみた内外の7種の製品の、どれよりも速い。夕方、早々と光が点る。つまり、高緯度な欧州で設計されたものではなく、国産品ではないかと推量できる。
 そして「商品Ⅹ」は、一晩中、点灯している。それも、夜明け前の5時台に見ても、いつも、まったく光量が衰えていない。
 そして「商品Ⅹ」は、本曇りや雨天が何日も続いた後でも、同じように一晩中、光り続けている。
 わたしはそれを見て「なるほどソーラーライトは便利なものだ」と早合点し、そもそも最初のIRIS製品をホームセンターで買ってきた次第なのだ。
 しかしIRIS製品を初めとする売価2000円前後の国産品は、夜明けまでどころか、宵口までしか発光してくれないことが分かった。ここから試し買いの連鎖が始まってしまったのだ。
 ちなみにわたしは「商品Ⅹ」と同じものも、ホームセンターで探し求めた。しかし、4本一組の類似品はあったものの、それはポテトマッシャーの頂部が斜めにカットされてはいないものであったので、購入を見送った。その形状では、雪はすぐ積もるし、発電効率も絶対によくないはずだからだ。
 「商品Ⅹ」と同じものは、地元のショップだけでなく、ネットの通販カタログでもどこにも見かけることがない。これは不思議だが、そんなものかなと思うしかない。
 やがて通販で取り寄せたオーム電機の「ソーラーボール」すら、「商品Ⅹ」の発電力と持久力に及ばぬということが分かって、俄然わたしは「なーんだ」と気抜けがした。お隣の「商品Ⅹ」は、地中に電線が埋設してあり、ローボルト給電をしているのだろう。小面積の発電パネルと見えたのは、じつは明暗センサーにすぎないのだろう、と。
 よく観察すれば、日中、「商品Ⅹ」の発電パネルに雪が積もっている日がある。これではロクに発電できているはずがない。それでも一晩中、光が消えないでいるのだから、これはもう、外部から給電されているとしか考えられぬではないか。
 これで謎は解決したと思った。
 ところが先般、わが地方にも低気圧による強風が吹きまくった。
 この風で、4本並んでいるお隣の「商品Ⅹ」のうち、1本の地中杭が、花壇が軟土であるために支えきれず、倒された。
 わたしは、戸外の雪かき道具が風で舞わないようにヒモで縛るついでに、倒れているその1本に近寄ってみた。根本が露わになっているのだから、そこに、埋設されている、ローボルト給電ケーブルが見えるのではないかと期待したのだが、それらしいものはどうも視認できなかった。
 ついに先日、わたしはお隣のご主人と立ち話のついでに、ぶしつけに、謎の「商品Ⅹ」ソーラーライトについて質問してみたのだ。「地中電線につながっているのですか」と。
 答えは、意外であった。「商品Ⅹ」は、お隣の奥さんが「ホーマック」で適当に購入して来たものにすぎなかったのだ。そのホーマックに「商品Ⅹ」は既に置いてないことは、わたしはとうに確認済みである。
 充電式電池の寿命の常識から考えて、「商品Ⅹ」が購入されたのはここ2年以内のはずなのだが……。
 かくして7種製品の性能比較実験は一応の結論を得られたものの、代わりに最大の謎が生まれてしまった。
 「商品Ⅹ」は、発電力と持久力とで、オーム電機のソーラーボールより高性能である(輝度は互角)。さらに、1個5000円する「マルチムーン」におそらく匹敵する(点灯時刻の早さ、発電パネルの面積あたり効率では、マルチムーンを上回る)。
 いったい、国産「商品Ⅹ」のこれほどの驚異的パフォーマンスの秘密は、何なのか? これほどのスグレモノがどうして市場で評価を受けておらず、何故、げんざい入手の術も無いのか?
 仮説は可能である。「商品Ⅹ」は、特別な発電パネルと高価なニッケル水素電池を複数用いた、製造コストのかなりかかるもので、マーケットシェアをとるためだけに一時的に市場に投入されたものの、他社が売る見てくれのよい低性能製品に、けっきょく駆逐されたのかもしれぬ、と。
 ソーラーライトに関しては、日本の積雪地域のユーザーによる製品評価情報は圧倒的に不足している。それが積雪地に不向きな製品を、現地のホームセンターや通販カタログ上にはびこらせる原因となっていることだけは、間違いがない。


またしても比較実験を開始!

 太陽発電パネルといえば黒いものと相場は決まっていたが、ヨーロッパでは早くも「インヴィジブル」、つまり無色透明な発電パネルが実用化されている。
 なんと、可視光をガラスのように透過しつつ、それで発電ができてしまうわけだ。
 この透明パネルとLEDが組み合わされれば、民間用の照明のスタイルは近々、一変するに違いない。
 またもちろん、庭用マーカー・ライトの設計も限りなく自由化される。LED発光体をケーシングする球体の表面に、太陽の方向にのみ、この透明パネルを内張りするという方法が、デザイン上、なんの見苦しさもなく、可能になってしまうだろう。
 しかし現時点ではまだ、ヨーロッパにもこの透明パネルを応用した庭用ソーラーライトはない。
 そこで話は変わるが、「オーム電機」製のあまりに安くしかもパフォーマンスが素晴らしすぎるソーラーボール(黄)を凌ぐ、北海道の天候にヨリ適した製品が、高緯度地方のヨーロッパにはないのかどうか、わたしは非常に気になっていた。
 そこでまたしても女房の目を偸み、大枚をはたいて2つの通販製品を買ってみた。ひとつは送料抜きで3990円の「ソーラーボール グローブライト」、ひとつは送料込みで5000円の「ソーラーライト マルチムーン」である。(ちなみに後者と全く同じものと見られる「ソーラーマルチムーン」を送料抜き5250円で広告している通販サイトもあった。)
 いずれもコストはオーム電機の「ソーラーボール」の4~5倍もする。果たしてこの凄い値段だと、どのくらい高性能になるのか、否が応にも関心はつのらざるを得まい。
 色はもちろん、冬になごめる「アンバー」と「イエロー」を指定したのである。
 果たして取り寄せてみて判明したことは、この2つの製品は、同一の外国メーカーの異バージョンである。
 外から分かる明らかな違いとしては、電池の数(一方は、1.2ボルト AAAニッケル水素電池 単四・650ミリアンペア×1本。もう一方は、それが2本直列つなぎ)と明るさ(とうぜん後者が明るい)だけである。外寸や付属品や機構はまるで同じ。
 製造はどちらもタイで行なわれている。
 両方の箱にダブって使われている、同じ原版と思しい写真も一枚確認できる。
 「グローブライト」は輸入販売元が駒ヶ根市の伊藤電工だ。こちらの商品には、欧州で販売されているときのオリジナルの4種類の欧語の説明書が添付されており、そこから、この製品は英国オクスフォードシャーに所在する「smart SOLAR」社が設計した「solar globelight」なのだと判明する。箱も欧文のデザインのままである。
 こちらが、単四電池×1の方である。
 和文の使用説明書から、日本での製品名は「グローブライト」であると判明する。
 もう一方の製品は、和歌山県のタカショーが取り扱っている「ソーラーライト マルチムーン」で、箱は和文のデザインになっており、「STL-02」という製品コードがついている。この「02」というナンバーは、LEDの発光色「イエロー」に対応し、01はLEDがホワイトである。球形のケーシングは「01」も「02」もどちらも半透明の白である。
 箱書きによると、このソーラー発電パネルは、ドイツ製だとある。しかし最終アッセンブルは「MADE IN THAILAND」と表示されていることは、グローブライトと全く同じだ。
 さて例によって川沿いの柵上に、低い太陽軌道に照準して斜めに固定するために、次のようにした。
 付属のグラウンドスパイク(ABS樹脂製の地中杭)を半分くらいの長さに切断し、キリで3箇所に適当に孔をあけ、金物屋で別に買い求めた、複数の穴があいている小札状の薄い金属板に針金で縛着する。その金属板の端をペンチで45度に屈曲させ、その部分を2本の木ネジで木柵上に固定した。
 まず深夜の完全放電状態を見届け、その翌日の曇天充電をまち、その次以降の夜間の発光パフォーマンスとエンデュランスが「ソーラーボール」よりも良好か否か、これから観察&比較するであろう。
 石油の値段が何倍にもなる日は遠くない。国民は備えるべきである。しかも見よ、先般の低気圧通過のさい、帯広市周辺には強風のために広範な停電が生じ、運転に電力を必要とする家庭用の暖房器具が、真冬だというのに、すべて機能停止してしまったのであった。かかる事態も決して他所事ではなかろう。日本のメーカーは危機意識をもって頭を使え。
 ソーラー庭ライトの次は、火鉢・七輪の研究にも、いずれ着手せねばなるまいて……。


暖冬季・大船温泉の現況

 国道278号線を、川汲から鹿部町へ向かって北上する。右手が太平洋である。
 短いトンネル(豊崎トンネル)を抜けると、そのあたりは「臼尻」という土地だが、広い左折路がある。そこで左折する。
 もし大船川の橋を渡って「大船小学校」を過ぎてしまったら、行き過ぎ。広い左折道は、一本しかない。
 これは地方道の980号線で、大船川に沿って西へ遡行するが、舗装は山の途中で行き止まっている。(6月から11月の無雪期、オフロード向きの軽4×4を使えば、さらに悪路を辿って三森山の西麓を巻き、トラピスチヌ修道院まで出られるが。)
 なお、私設道標に、「大船」ではなくて「大舟」と書かれているものが認められた。
 この980号線の舗装のほぼどんづまりに「大船温泉・上の湯」がある。ただし、2007-1-5時点では工事中で、営業していない様子だった。
 「上の湯」が工事中ということは、とうぶん278号線から車両の往復は頻繁にあるということであり、980号線の舗装部分は、雪が降ったとしても適時に除雪されるものとおぼしかった。
 上の湯から278号線まで引き返しつつ、左手、つまり大船川の谷底を見ていけば、「大船温泉・下の湯」の建物が見つかる。炭焼き農家のような風情である。
 「下の湯」は2007-1-5の昼の時点で営業中であった。
 この「下の湯」の案内標識や看板等は、途中にも現場にも、皆無であった。
 980号線の途中にある、大きな石切り場の付近に、谷へ降りる細い斜路が2つあるのだ。このうち、上流側の細道を下りなければならない。目印は、金網製のゴミ置き場くらいだ。ものの見事に「下の湯」の看板などは無い。
 ちなみにもうひとつ下流の斜路、まちがった道を下りると、ちょっとした砂防ダムが見え、そこは人工の滝のようになっている。
 正しい斜路を降りると、モータープールがある。そこから歩いて鉄板製の橋を左岸に渡る。渡りながら左手、すなわち上流側の大船川左岸を見ると、樹林の間を濛々と湯煙がただよっている。
 橋を渡ると「下の湯」の住人らしい若い女性が屋内から出てくるので入湯の意志を告げると、大人ひとり¥200-を申し渡される。
 木造の小屋は女湯と男湯に分かれており、引き戸を開けると、8人くらいは入れる、ただし暖房も自販機も無い脱衣場があり、そのすぐ奥が、5人くらい入れる内湯である。トイレはない。
 洗い場になるような板張りのスペースはあるが、カランも鏡もない。洗面器だけが置いてある。要するに、ここは身体を洗う温泉ではなく湯治場だというメッセージと見えた。
 河っ縁だが窓の眺望などもない。天井に明り採りがある。露天風呂はない。青森県の酸ヶ湯温泉のサイズを極小にして、混浴でなくした感じに思えた。
 熱湯は、戸外から引っ張ってきて、木製の樋から細々と落滴供給され、逐次に洗い場へと溢れ出している。調温などはできない。
 酸ヶ湯ほど刺激性はないけれども硫黄臭があり、かなり混濁していて湯槽の底は見えず、熱めであった。短時間で異常に暖まる。
 しかしファミリー連れにはまったくおすすめできない。
 以上、この温泉に関する最新の情報がネットで見つからなかったので、大きなお世話乍ら、リポートした。


無人ヘリ輸出で年始そうそうに逮捕者か

 読売のウェブを見て知りましたが、これは2007年、つまり今年じゅうに「武器輸出三原則等」が解禁されるのに合わせた演出(警報一発)だと見て良いでしょう。
 防衛庁が省になることで、許認可権は防衛大臣の手に移ります。これまでは経産相だったのでシナ向けミリテク垂れ流しもありだったのですが、今後はそうはいかねえというアメリカ向けのポーズです。
 F-35下請け参入への流れも整えられるかもしれません。
 あと、対中東用にヒュミント班が自衛隊内にできるらしいですが、将来、これのシナ向けをつくると、戦前の「特務機関」と同じことになって、逆に政治家ぞろいの有力シナ高官の手先に利用される(初代の青木までは対等だったが、二代目の板西機関以降はほぼパシリ化)のがオチですから、十分に気をつけましょう。
 特務機関は軍隊の外交部です。外務省の大使以下はキャリアの腰掛け感覚で数年ローテで去って行くが、特務機関員は同じ国にのべ20年くらいも駐在させ、顔を効かせる。予算も陸軍ですから外務省の十倍以上あった。それで外務省から対アジア外交権をぜんぶ奪おうというところまで戦中は進んだんですが、結果(戦犯裁判で首魁はみな刑殺)をよく分析することです。


 新年 あけまして おめでとう存じます。
 小学校いらい、はじめて、今回は年賀ハガキを一通も出しませんでした。
 限りある資産と時間をば有効に使って参る所存です。
 皆様のご多幸を祈り上げます。


今年もおしつまり、賀状を書くのは諦めますた

 なにー、シナの奥地まで9000kmねえだとー? このグーグルアースをみやがれ! ……あれ??? ……はひゃっ???
 えー、どうもウチのトンチキなソフトが変な数字を出してくれたようで恐れ入ります。ご指摘、ありがとう存じます。
 盛岡市役所から近めのロサンゼルスまで8440kmしかなく、イスラマバードまで計測しても5956km、カブールまで計測しても6224kmってことは、シナとインド国境までだと6000km弱と考えていいのか? (既知の都市以外で入力するとまた変な数字が出るからな…)
 となると、昔から中川スクールがなぜ日本の弾道ミサイル保有が米国政府を刺激し怒らせることになるとのたまうのか、さっぱりわかりませんな。シナに国内聖域を許さぬ6000kmの弾道ミサイルを日本が持って北上山地にトンネル機動式に配備しても、米本土には届かないわけでしょ? 東部の近目のボストンでも10299kmで、遠目のワシントンだと10423kmですよ。まったく問題ないじゃん?
 これが問題であるとあれこれ工作を展開しそうなのは、1970年前後にシナの大物エージェント第一号にされてしまった○ッ○ン○ャー氏くらいじゃないですか。
 ついでに詳しい方にお聞きしたいのですが、わがエプソンのPM-740Cの三つある灰色ボタンの中間のやつが赤く点滅しやがって、プリンターとして機能しなくなっちゃったんですよ。どうもインク・カートリッヂそのものを認識していないようで、インク残量インディケータが黒の方もカラーの方も真っ白け。カートリッヂを新品と交換しても現象が直らないんで……。どうしたらいいんですかね。
 もう来年は虚礼を廃止するか! よーし、そうしよ~~。


チラ裏節考

 先日あがった技術試験衛星は、携帯電話の電波をアンテナで捕捉できるそうだが、これは「エリント/シギント衛星」の雛形でしょうね。
 平山昇氏によると、関西では寺に初詣する人はいないとのこと(『BAN』2007-1月号)。
 これは靖国神社が祈願の場であった歴史を思い起こさせる話です。久々の靖国論は『正論』最新号でお読みください。
 『諸君!』最新号には幾つかの面白い記事がありました。
 フランシス・フクヤマ氏いわく「アメリカ政府は『イラクの脅威』を過大評価して、大失敗しました。中国が十年後、二十年後にどのような国になるのか、誰も知らないのです」(p.96)。※1ページの典拠を示すときにはp. と書きます。pp. と書くのはそれが2ページ以上にわたっている場合です。「.」は省略記号です。これなども論文を書くときの基本と思いますが、知らない大人が多そうなのでちなみに書いておきます。
 年予算が2000億円とかいう世界最貧国の北鮮すら核武装したわけですよ。
 北鮮が核実験するまでは、米軍によるイラク占領が正しいか正しくないか、外国人にはチト判断ができませんでした。
 しかし、「10.9」以後は、イラク占領の正しさは証明されたと言える。金親子と違い、オイルマネーで何を買うのにも不自由しないサダム・フセインが、毒ガスの次は原爆を持とうとするだろう――と疑った米国政府の判断は、日本人の権力にとって、やはり好結果をもたらしたのです。北鮮にできたってことは、どの国にでもできるってことですから。
 いま、イラク政府はぶっ壊され、イラク全土がひきつづいて混乱状態におかれています。巨億のオイルマネーとイラクの政体はアメリカに都合よく分断されたまま。おかげで、イラクが核武装することはありえない。日本には好都合なことじゃないですか。
 アメリカは、これからイラクでどんな目に遭ったって、「10.9」以後はもう絶対に、中東からは足を抜けられませんよ。「第二のサダム」が石油と結合する危機は、ペルシャ湾岸には常在しているわけです。それは地理の産む文化ですからね。ハンチントンが正しいのです。
 超あやしい記事も出ていましたね。「グループ市ヶ谷」著、「『核武装なき日本』に明日はない」とかいうやつ。
 これが『諸君!』に出ると分かっていて、産経は核武装リポートの記事を出したんじゃないですか。そして産経の元種の話だって、このグループが関与してるんじゃないか。しかるに北海道には産経新聞は売ってねーんですよ。だから全文をまだ読んでない。いつ読めるかも分からない。まあ、そのうち、忘れちゃうでしょう。そのくらいの価値しかなさそうです。アマチュアがプロになりすまして政府の無教養な誰彼を騙した答申だと、サワリを聞いただけで見当がつくのです。
 『諸君!』のグループ市ヶ谷さんとやらは、どうも日本は核ミサイル40発保有すべきだと考えているようなんですけども、「日本の核の対象はあくまでも敵対的近隣諸国に限定される。なお米国との同盟関係を壊さないために、筑波大学の中川八洋教授の主張する通り、米国本土まで到達するICBMの開発は避けるべきである」(p.104)なんて書いてある。
 あのね、岩手県の盛岡市からシナの奥地まで9952kmあるんですよ。定規の当て方によって、増減しますがね。兎も角、一番遠いシナの「奥地」はインドとの国境付近で、そこまで1万キロ近くもあるわけです。新疆のカシュガルまでだったら盛岡基点として5447kmしかないんだけども。
 それで、盛岡市からシカゴまでは9673kmですよ。NYまでは10355km、一番遠そうなマイアミでも11543kmですよ。ロサンゼルスだと8440kmだ。
 シナ奥地に報復手段を届かせようと思ったら、つまりシカゴくらいまでは必然的にその射程内に入っちゃいますよ。でも、それは日本の責任かい? シナ奥地よりもシカゴの方が日本から近いのは、日本の責任なのかよ?
 すくなくとも9952km届く報復手段を持たなかったら、敵は「聖域」を確保できるでしょ? 聖域を敵に許したら、米軍だってシナに勝てないんだよ。日本がシナに聖域を与えてどうやってシナの核を抑止するんだ?
 「現職自衛隊幹部」を名乗っているようだが、だったら辞表の書き方を調べておけ。
 お前ら尉官か佐官かしらないが、現役だったら特別国家公務員の分限をわきまえろっての。軍事的合理性の上に政治的思惑を展張してるんじゃないよ。日本がシナの核を抑止するために長射程ミサイルを持ったらアメリカが怒るかどうか、それはお前の考えることじゃなくて政治家の考えることなの。敵に勝つために給料もらってるプロ軍人が、雇い主の政治に口を出してどうするんだ。番犬は泥棒を噛み殺すことだけ考えてろ。ったく「桜会」でも気取ろうってーのかい。
 少年時代から核戦争のことだけ考えてきました—っていう「現職自衛隊幹部」の結論の表白……なら、奇貨おくべしで、「懲戒免職だけは勘弁してやってくれ」と弁護に乗り出す気にもなるんだけども、それを想像させるような思索の深みは薬にしたくとも見当たらない。ただの「戦後憲法中毒患者」の一変種ですよ。つまらない。
 「なおMDの撃墜効率を著しく高める方法がある。それはMD用ミサイルの弾頭を核弾頭にすることである」として1960年代のスパルタンとスプリントの2種のABMの例を挙げ、「日本が核武装した後には、MD用ミサイルの核弾頭化も検討すべきであろう」(p.104)とも提言をなさっておられる。
 オレの本読んで勉強したと思うけど、これは逆なんだよね。シナが日本のMDに対抗する方策は、対空砲で自国上空に原爆をまず1発うちあげ、いちはやく高空炸裂させることなんですよ。さらにミッドコースやターミナルコースでも、1、2発無駄に炸裂させてやる。途中の空間をEMPだらけ、赤外線だらけにするわけです。
 その核爆発を煙幕スクリーンorスタングリネイドにして、真弾頭を打ち込めばいいだけです。
 敵のデコイに対してもこっちはいちいち、小型核弾頭で応戦する? 効率的なわけないでしょ。しかも下僚がそんなこと判断するのか? 逆にこっちのレーダーや通信が使い物にならなくなるだけだとなぜ思わない。
 この一節を読んだだけで直感したけども、グループ市ヶ谷には、核戦争について10代の青年時代から脳内シミュレーションを重ねた、そういう核戦争フリークは混じっていないね。「俄か」ってやつの匂いがするよ。
 有名なキッシンジャーですら、アメリカ合衆国の対ソ戦能力という「己れ」を知らなかった。あんなのはリアリストではなく、ソ連の宣伝を信じてアメリカが有事に弱いと思い込み、シナのエージェントに成り下がった、宣伝上手な無道徳漢ですよ。キューバ事件当時のカーチス・ルメイは実に正しかったとつくづくわかりますよ。それはフォン・ノイマンの合理主義的結論とも一致していました。
 グループ市ヶ谷は、日本は小国だと信じ込んでいる点で、キッシンジャーと同じです。「己れ」を知らない。佐藤内閣時代に日本は核武装しても損だという御用リポートを出した学者グループがありましたけども、あれはキッシンジャーの頭の中の「答解」をそっくり推測したものに他なりません。キッシンジャーの不道徳な工作に、恥しらずにも乗ったものなのです。そのキッシンジャーはシナから工作されていたのですから、なにをかいわむや。
 現在の日本の原発から取り出されたプルトニウムは「核爆弾にはまったく価値がないプルトニウム241を多く含む屑プルトニウムである」(p.105)。「国内に使えるプルトニウムは、せいぜい核爆弾二~三発分しかないだろう」「本格的な核抑止力を構築するためには、黒鉛減速炉を最初から建設する必要がある」(p.105)。
 これはひょっとして産経新聞の記事の先取りですか? 241の前に240の言及があるべきだと思いますがね。この辺のいいかげんさが、ある種の「プロファイリング」を想起させますよ。ほら、大学教授にもよくいるでしょう。語っている内容が、権威ありげな「肩書き」を、すっかり裏切ってくれちゃっているような御仁が。アカデミズムの恵まれた調査環境を手にしていながら、手間を惜しんで「Fact」を調べる努力を省いて平気なヒトが。
 日本には実験炉や研究炉や高速増殖炉もあって、そこからはかなりピュアなPu239が取り出し済みだと思いますぜ。そのストックがどのくらいあるか、調べてないんでしょう。たぶん、あの大前研一さんよりも新型転換炉について十分の一もご存じないと見た。違いますかね?
 ソーラーボール報告(続き)です。前夜完全放電後の、冬の「曇りときどき雪」の日の充電でも、夜8時前後まで点灯してくれました。また、前夜完全放電後の、冬の午後2時までの間歇的な直射日光による充電(断雲による)でも、翌朝4時台まで点灯してくれました。やっぱり、すばらしすぎるぜ、埼玉県の(株)オーム電機の「ソーラーボール(黄色、売価約千円)」はヨォ!! また北海道のホーセムセンターの仕入れ部長は、もっと身を入れて地元にふさわしい商品を選んで棚に並べとかんかい!
 ソーラーボール(黄色)の唯一の弱点は、夕暮れの点灯時刻が他製品より遅いことです。夕暮れ時の点灯を重視する人は、点灯時刻の早い他製品を同じ場所にダブルで設置しておくとよいでしょう。


芥川龍之介とモルガン一族

 読書余論にとりあげた『モルガン家』は、邦訳が1993年に出てるんですよ。
 で、その中にこういう情報が載っていた。
 ――ピアポント・モルガン(1837-1913)は、鼻に難治の皮膚症があり、容姿コムプレクスに生涯、囚われていた。彼は自分の広報写真はすべて修正をさせ、また、欧州王室の薦めるあらゆる治療法も試みた――。
 さて、ここからクロニクルです。
 1903年、つまり明治36年に、別人(だが親戚筋)の若き美術蒐集家のモルガン氏が日本の芸妓を身請けした。労作『モルガン家』から想像するに、当時の日本人は、J・P・モルガン本人と、その周辺のモルガン氏またはパートナーまたは同名会社(たとえば英国にも系列投資銀行があった)の区別はまったくついていなかった。
 1913年に、アメリカの金融王J・P・モルガンは死去した。
 1916年、つまり大正5年の2月、 24歳くらいの帝大生・芥川龍之介が雑誌『新思潮』に発表した「鼻」を、漱石が本人あての手紙で激賞した。
 卒業後の龍之介は一時、海軍機関学校の英語教官をしていた。
 1926年、つまり大正15年の3月、芥川は「モルガンお雪」がかつて住んでいた京都の広い空き家に住むことを検討した。
 ……おそらく作家芥川は1913以降にモルガン関連の情報を収集したでしょう。
 J・P・モルガンの死没直後には、モルガン銀行創始者の一代記が米国の新聞や雑誌に載ったはずです。右寄りの媒体もあれば、左寄りの媒体もあったでしょう。英語の得意な芥川は、そのいくつかを東大の図書館で読むことができたでしょう。
 さらに、当時の芥川の近辺には共産主義者がたくさんいました。共産主義のインナーサークルにおいては、モルガンのような大資本家のスキャンダルは組織的に丹念に拾い集められ、悪宣伝の材料とされていたでしょう。
 作家が駆け出し時分に集めた資料は歳をとっても作品のモチーフになることがあるかもしれません。つまり、芥川の「鼻」以降の他の作品にも、20代であつめたモルガン一族関連情報が反映しているかもしれませんね。
 時間のある若い研究家諸士は、この辺に注意して読み直すと、発見があるんじゃないでしょうか。
 ところで……今日は日中は曇天で戸外の太陽電池は充電がほとんどできなかったと思われます。つまり、今晩から明晩にかけて、いよいよ「ソーラーボール」の真価が試されるでしょう。
 いまのところですが……、他の製品と比べて、段違いにすばらしすぎるぜ(株)オーム電機の「ソーラーボール」はヨォ!


ガーデン用ソーラーライト実験報告

 太陽電池パネルと充電池とLED電球と暗闇センサーと自動ON/OFF回路などを主要素として組み込んだものがソーラーライトです。主に日中に陽が当たる庭用です。
 LEDも1灯レベルではとても「照明」とは呼べない。蛍の光や窓の雪よりは高輝度でしょうけども。それでも十分に「目印」やイルミネーション代わりにはなるのです。
 ところがあるソーラーライトのメーカーのWEBページを見ますと、北陸から東北の日本海側の県と北海道では、積雪や、冬期の曇天のため、ソーラーライトの設置には向かない、とされています。
 わたしはこれは納得できません。と申しますのは、ガーデン用のソーラーライトは、イギリスやドイツのような高緯度地方でも生産され、利用されているのですよ。函館市の緯度はローマやNYと同じなんですから。さすがにスカンジナビアでは聞かないが。
 そこでわたくしはこの冬から、「道南地方に向いた庭用ソーラーライトはどんなものか」を探る実験をはじめることに致しました。
 じつは拙宅(借家)は、護岸工事を施してない原始的な河川に面しておりまして、対岸がまた荒蕪地であり、人家までも遠いものですから、夜間、住民道路からすかして眺めますと、背景が真っ暗闇に近い。
 冬期の日没後など、たえまない水音と、川岸の落葉した雑木のシルエットが、一層、凄壮な雰囲気をかもしだすわけです。
 また、住民道路のどんづまりですので、街灯のサービスも、川の土手際までは至っておりません。
 そこで、この漆黒の庭の一隅に、常夜、ソーラーライトを点灯することによって、寒々しい冬景色を少しでも暖かくし、なおかつ犯罪者が跳梁しにくくなる地域環境にも協力しようと思い立ちました。
 ブロックの一画だけ夜間、暗くなっていますと、そこを犯罪者が利用しますからね。近隣への責任というものです。
 さっそく、近郷近在でいちばんでかいホームセンターに赴きまして、まずIRISオーヤマという仙台市のメーカーの、やたらに明るそうな灯篭型(ポール付)のソーラーライトを1個、求めて参ったわけです。発色は、なごみ系の黄橙色(白熱灯色)を探したのですが、白しかありませんでしたから、やむなく白を買った。価格は二千数百円です。
 これは確かに明るい! 近づくと本が読めるくらいです。LEDを2球、光らせているらしい。……だが困ったことに、夜の8時前にはもう電力が尽きてしまうことがわかりました。
 設置場所は、冬期は午後2時台には家の日陰になってしまう「北東角」です。東側には落葉した雑木以外の障害物はないので、朝は9時台から直射日光が当たります。
 単純に計算しますと、たとい、冬の日中、つまり午後の3時台まで、めいっぱい直射日光を受けたとしても、このソーラーライトは、夜の8時台にはバッテリーがあがっちゃうんじゃないか。
 ここでわたしは憤然としたわけです。
 こんなのはあきらかに北海道の冬に売ってよさげな商品じゃあるまい、と。夏用じゃねーかよと。ホーマックも、冬の地元向けのソーラーライトだけ選んで棚にならべとけよと。
 しかもよくみればこの製品、太陽電池パネルの透明カバーに、傾斜がほとんどつけられていません。つまり容易に雪が積もって太陽電池を影にしてしまう。積雪期に使うことをほとんど予期していないわけだ。そりゃ仙台市は太平洋気候で雪は降らないし、冬は連日、よく晴れていてくれるでしょうけどね。
 ちなみにスペックは、ニッケルカドミウム電池、2.4ボルト、600ミリアンペアと書いてある。
 一つ学習をしたわたしは、そこで、また違う製品を買ってみることにしました。こんどはLEDが1灯のやつを選べば、消費電力は半分でしょうから、2倍の点灯時間が得られるのではないかと考えた。
 一千数百円という値段の安さと、電池パネルの面積が最初の製品と同じであることから、また同じIRISの、ケピ帽形の製品を購入しました。(色はやっぱり白しか置いてないのはどういうわけでしょうか? 黄橙色は当地では人気がないのか? 北国ではそれはおかしいと思うのだが……)
 ソーラー電池パネルのカバーは、フラットです。が、こんどはわたしには考えがあり、特殊な金具を別途、買い求め、柵の上の杭の上に、斜めに角度をつけて、冬至の南中高度に発電パネルが正対するよう、柵の杭の上にネジで固定しました。これで充電効率は向上し、しかも発電パネル面に知らないうちに雪が積もることもおのずから防がれるはずです。
 ところが期待は裏切られました。何晩か観察した結果、ここまでしても、最初のLED×2灯型の製品よりも、じゃっかん長く点灯してくれるだけであることが判明しました。冬の日照では、やはり夜の8時前に放電し切ってしまうのです。
 点灯時間がこんなにも短い理由は、電気部品の知識の乏しいわたしには分かりません。が、せめて夜の12時くらいまでは点いていてくれぬと、地域貢献にならんという気がするわけです。
 いっそ、ローボルトの有線給電LEDにしてしまうというのも一解法でしょう。が、あいにく借家には外部コンセントがない。フラットケーブルで窓から線を出すのは電気工事法違反のような気がしてためらわれてしまいます。
 ヨーロッパでは、ニッケル水素電池を使っているという話です。蓄電池の差なのかもしれないと思い、ヨーロッパで設計されたものだという謳い文句の製品を2種、ネットで注文してみましたが、どれも「品切れ」という返事でした。日本ではあまり売れぬのかもしれません。比較実験できなくて残念です。(それにしても品切れ商品を漫然とWEBに掲載し続けている中小企業が多いということを、今回はからずも知った。在庫数について明記していないサイトは要警戒ですよ。)
 次に、近畿圏のメーカーの、半透明ドーム型のソーラーライト(ポール付)を、また同じホームセンターで一千円台で購入しました。やはり黄色がないので、白色で我慢しました。発電パネルを覆うカバーがドーム型ですから、積雪が充電を妨げないことが期待できるでしょう。
 しかし実験の結果、これは点灯状態においてかなり暗く見える上に、現時点までで購入&比較してみた製品の中で、最も早々と消灯(放電)してしまうことがわかり、失望させられました。暗い理由は、ドームの直径が20センチ近くもあり、光源のLEDから遠すぎるためではないかと疑われます。また、太陽電池の面積も小さいのかもしれません。
 ちなみにスペックを読みますと、電池はNi-Cdの単三型1本で、1.2ボルト、600ミリアンペア。白色LEDランプは0.024ワットで、毎時1.2ボルトを消費する、とあります。このスペック表で気付いたのですが、黄色LEDランプなら、0.019ワットなのですよ。ということは、黄色LEDの方が点灯時間は長くなるはずだ。
 ますますわたしには不思議に思えるわけです。なぜ冬の北海道のホームセンターで、冬の北海道向きの製品を置いてくれぬのか――が。
 この製品の性能が不満足な原因は、太陽電池パネルの面積が小さいからではないか、とも思ったのですが、どうもそうではない。
 そう判断できるわけは、発電パネルの面積の等しい、また、そのパネル中央から白色LED球が顔をのぞかせているという構造までも同じな、別な社の製品の方が、点灯時間が長いのです。(尤も、やはり冬の夜の8時前には消えてしまうんですが。)
 こちらは、製造元が不詳で、半透明・白色・球型のソーラーライトです。価格は三千円台(デコラティブな台座の輸送&保管コストが大きいと思われる)でした。
 カバー球の直径が小さいためか、同じ光源なのに暗闇の中にくっきりと浮かび上がって見える。また小型のボール状の外形は、夜間の積雪が内部の発電パネルに冬の朝日が照射することを妨げないという点では、最も望ましいものです。
 ただし付属の説明書に、LEDおよび電池のスペックなどが皆目記載されていませんので、それらの部品の違いでパフォーマンスが違っているのかどうかは、断定ができません。
 さて、以上のすべての製品を凌ぐ、スグレ物を、わたしはとうとう手に入れました。これは地元ホームセンターには売っておらず、ネットで注文したものです。送料抜きだと900円未満であったと思います。
 届いた箱に「(株)オーム電機」と書いてあって、一瞬ギョッとするのですが、埼玉県の会社で、もちろん「OHM」をカタカナにしたものでしょう。
 この「ソーラーボール」、全体がちいさな球形であり、発電パネルの下にイエローのLED×2の光源があるようです。発電パネルの上面を覆う球面だけは外殻プラスチックが無色になっていて、太陽光の入射を弱めません。
 台座も支柱も付属品としては無いので、梱包緩衝材として入っているブリスターに、透明荷造りテープをロール状に貼り付け、それを両面テープのようにしてボールを接着し(冬至南中高度に傾斜させるようにする)、そのブリスターの裾部をネジで柵上に固定して、台座として代用することとしました。
 斜めに固定できることは北海道では殊に重要でしょう。冬の高緯度地域での太陽電池の充電効率を改善し、かつ、積雪が充電を妨げにくくするからです。
 夕方、観察していると、点灯のタイミングが、ずいぶん遅い(他の製品は夏の庭の観賞用を主眼としているせいかトワイライト時に早々と点灯開始する)ために、これは不具合品かと思ったぐらいですが、周囲が暗闇となり、いったん点灯すると、なんと朝方までつきっ放しです。初期充電をせずに、午前中の直射日光の充電だけなのですが……。
 スペックを見ましょう。電球の消費電量は記載されていません。蓄電池に違いがあるようです。「Ni-MH」で、1.2ボルト、900ミリアンペア、と書いてある。――MHというのがよくわからんがカドミウムじゃないことは確かだ。やはり電池が決め手なんでしょうか。
 コストを下げようとして、電池を安いニッカドなどにしてしまうと、北海道の冬には向かぬ製品しかできないのでしょう。そのように、見当がつけられるように、思えます。
 この「ソーラーボール」は完全防水構造で、分解ができない。したがってユーザーは電池交換もできません。2年以内に、充電回数の限界がくるようです。しかしこの性能に毎年900円を投ずるのに、わたしはやぶさかではない。
 最近は街灯も白色ばかりなため、黄色の常夜灯は暗闇の中で目立ち、昔の裸電球の門灯も髣髴とされ、いたく満足しております。
 あと、イギリスやドイツと比較するのは酷かもしれないが、日本の北国の電機メーカーは、積雪地で冬の好天日も少ない裏日本や高緯度地方の地元の需要に応ずる技倆がないのではないか、と、今回のテストで感触できました。これは、地場のホームセンター/DIYショップも同様です。