学校の先生全員が、バスの「大型二種」免許も持つよう、諸制度を改訂すれば、難問題が、すべて解決するんじゃね?

 たとえば沖縄の高校が修学旅行で夏~秋の北海道に来るとする。観光「オン」シーズンだから、観光バスのドライバーなんて、一人も現地には余っていない。
 しかし、この「新制度」の下では、観光旅行手配会社は、現地にバスの車体だけを用意すれば済む。それを運転するのは、生徒たちを引率してきた先生たちなのだ。

 もちろん引率先生×2人以上が交替しながら、1台の大型バスを運転するわけである。

 朝から夜まで、時間も機材も人材も、ことごとく、融通が利くようになるだろう。
 たとえば200km以内の移動は観光バス、それ以遠はJRにしたっていいわけだ。駅を下りたところで、次のバス機材が置いてあるようにすればいいのである。

 学校の授業でも、先生が思い立ったなら、即、レンタルの大型バスで、隣町や山奥まで往復ができるだろう。
 少人数の課外クラブ活動では、道の駅で車中泊したっていいのだ。旅館が満杯でも関係ねえ。

 超僻地では、平日の先生の出勤・退勤に小型バスを使ってもらい、そのまま「通学バス」として、途中の道すがらで、生徒児童を便乗させてやることができるじゃないか。通学の自転車ごと、バス車内に入れられるようにしたら、毎日のルートだって、この上なく効率化するぞ。

 長い夏休みや冬休み中には、先生たちは、臨時の観光バスor長距離バス乗務員として、全国各地でアルバイトしてもいいことにする。

 エロ事件を起して学校を永久追放された先生は、第二の人生を、バス運転手やタクシー乗務員やトラックドライバーとして、遠くの異郷で探せばよい。保険医療機関や行政の高齢者サービス事業でも、マイクロバス・ドライバーの需要は無限にある。

 教職に向いていなくて鬱になってしまった若い先生も、さっさと学校を辞めて、フリーの観光バスドライバーにでも転職したらよい。いったん教員就職したあとの、途中からの人生のオプションが倍増するゆえ、俄然、「教職」は、大人気職業として浮上するだろう。それにより、ますます、良い人材が教育現場に集まるだろうと期待できる。(二種免許が取れないような人は学校の先生にそもそもなれない。)

 南海トラフ大地震が来たときも、地元のすべての学校の先生が大型バスを操縦できる場合とできない場合とでは、大勢の人々の生存率は、まったく変わってくるはずである。

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 SETH J. FRANTZMAN 記者による2024-6-26記事「Iran’s multi-front war on Israel has diminishing returns」。
    イランが後援するイラクの武装集団「レジスタンス・イン・イラク」は水曜日に声明した。イスラエルのエイラート港をドローンで攻撃した、と。

 IDFも認めている。紅海からエイラートに向かって無人機がやってきたが、沖で叩き落した、と。
 海岸では「空襲警報」サイレンが鳴り響いたそうだ。

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 Susan Crabtree 記者による2024-6-26記事「China to Marco Rubio: Corruption Bill Challenges Red Line」。
   中共政府は、米連邦上院議員のマルコ・ルビオと、下院のアンディ・オグレス(ともに共和党)に、集中砲火を指向中。
 この2名が今、通そうとしている《ど腐れ排除法=コラプション・ビル》、より正確には「共産党悪性影響法」が可決成立してしまえば、中共首脳にとっては大痛撃となるからだ。

 この法律ができると、米連邦政府の国家情報局長は、90日以内に議会に報告書を提出しなければならない。その内容は、熊プー以下の中共の高級党員の誰がどのくらいの富豪であるのか、資産額をすべて明らかにする。

 資産の多くは、米国内のトンネル会社や、カリブのタックスヘイヴンにある。それらも一切合財、暴露されるだろう。

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 Defense Express の 2024-6-26記事「Single Propeller-Driven Yak-52 Took Down Eight Orlan-10 and ZALA Drones」。
    たった1機のプロペラ複座練習機「ヤク52」が大活躍ちゅう。すでに「オルラン10」無人偵察機を6機撃墜し、また「Zala」特攻機も2機、落としているという。

 最大の謎。どんな火器を使って落としているのか、いまだにヒントは非公開。ただ、どうやら「小火器」を使っているらしいと推定されるようになってきた。

 公開写真のヤク52のキャノピーには布が掛かり、中が見えないようにされている。これは、キャノピー内にその「武器」があることを示唆する。

 ※第一次大戦が蘇ったね。

 「ヤク52」の単価は、5万ドルくらいである。


「しねはら・ですし」という名前の人がいたら、こわいよね。

 Gram Slattery and Simon Lewis 記者による2024-6-26記事「Trump handed plan to halt US military aid to Kyiv unless it talks peace with Moscow」。
    ロイターがドナルド・トランプの有力アドバイザー×2名から聞き出した。この2名はトランプに提案した。
 11月5日の大統領選挙で勝利したあと、ウクライナ政府に通達する。ロシアとの和平交渉を開始しないならば米国から武器弾薬はもう送らないと。

 ロシアに対しては、《交渉を拒否するなら対宇支援を増やす》と通告する。
 交渉中は現戦線で停戦させるという。

 これを考えたアドバイザーの1人は、キース・ケロッグ退役中将。
 もう1人のアドバイザーは、フレッド・フレイツ。

 両名ともに2017~2021年、トランプ政権のNSCに居た。
 ケロッグとフレイツは今、「アメリカ・ファースト・ポリシー・インスティテュート」というシンクタンクを領導している。

 バイデン陣営の選挙対策広報係・ジェームズ・シンガーいわく。トランプは、プーチンと対決する話にも、民主主義の防衛にも、関心など無い。

 先週のポッドキャストのインタビューによると、トランプは、当選したらすぐに、ウクライナに対する援助の削減に動くつもりである。

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 Isabel van Brugen 記者による2024-6-25記事「Zelensky’s Surprise Move to Replace Top Commander Raises Questions」。
   月曜日にゼレンスキーは、毎晩定例の自国民へのよびかけの中で公表した。軍総司令官のユーリィ・ソドル中将を解任したと。ソドルは今年の2月から現ポストにあった。

 後任の総司令官は、アンドリィ・フナトフ准将だという。

 ソドルに対しては、アゾフ郷土防衛旅団の参謀長ボーダン・クロテヴィッチが糾弾を土曜日から開始していた。その言い分によれば、ソドルは職権濫用者であり、作戦の司令官としては無能で、ウクライナ領土の喪失の多くに責任があり、いかなるロシア将軍よりも多くのウクライナ兵を戦死させたという。

 裏でロシアに内通していないのかどうか、取り調べるべきだとまで要求した。


歩兵が使える「対ドローン」兵器としては、「モーター付きブーメラン」が、有望ではなかろうか。

 手投げしたあとに、何らかの動力で、旋転を維持させる工夫は無いだろうか?
 たとえば「同軸の二重反転式 boomerang」は、考えられないだろうか?
 短辺の部分で上下に2枚、重ねるのだ。

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 Naval News Staff による2023-6-24記事「The U.S. Army successfully used two Precision Strike Missiles (PrSM) against a moving target at sea」。
    米軍の実艦撃沈演習を「SINKEX」と呼ぶ。このたび「ヴァリアント・シールド」演習の一環として「VS24 SINKEX」がパラオ近海で企画され、初めて米本土外に、米陸軍の「なんでもラーンチャー」AMLと、精密攻撃ミサイル「PrSM」が持ち出され、陸上某所から洋上を動いている標的艦に対して2発を撃ち込んで命中させた。6-16のことという。

 ※中共は、洋上の標的艦に「対艦弾道弾」とやらを命中させた動画を一度も公表したことはない。なぜならそれは存在しないからである。それに対して米軍は、動いている標的艦に、陸上から弾道ミサイルを発射して、実際に当てた。これは1960年代にジェミニ計画が Agena 標的衛星を使ってランデブー~ドッキング実験を次々成功させ、スプートニクで先行したソ連の宇宙技術を逆転したことが、斯界通には疑いもなく理解された、それと同じ類いのイベントのように思う。今や「対艦弾道弾」を当てられる唯一の軍隊は米軍となり、中共は拡声器付きの張子の虎にすぎなくなった。

 それに先立ち、グァム島の「Won Pat」国際空港からはHAB=高高度バルーンが複数放球され、ESMセンサーによって高度5万フィートからマリアナ近海の電波放射源を見張るとともに、味方の無線通信を中継した。

 続いて「Vanilla」という超長時間対空無人機が離陸。この機体は内燃機関エンジンで8日間弱も空に浮いていられる。ISRに任じた。

 PrSMはロッキードマーティン製で、最短射程は60km、最大射程は650kmである。
 HIMARSのトラック車体からも発射できる。
 米陸軍は、現用のATACMSを、このミサイルで更新して行く。
 INF条約が生きていた時は、レンジ500kmを越える弾道弾を米国は保有できず、中共沿岸ではこれがいちじるしく不利だったが、その縛りは既に消えている。すべてはプー之介の侵略のおかげである。

 ※フーシがGPSで終末誘導できる地対地ロケット弾を商船に当てているのは、AIS情報から商船の未来位置は簡単に計算ができるから。なにしろ、本船の位置座標、移動しつつある針路方位、現時の速力を、航洋型の商船は、リアルタイムで「放送」しているのである。むしろ、低速で巨体のタンカーにそれが命中しないことのほうが、不思議であろう。航路も、いたって限定されているのだ。無誘導のUAVが商船に当たることがあるのも、AIS情報からの予測なのであろう。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-6-24記事「Humvee-Mounted Low-Recoil 105mm Howitzer To Make Combat Debut In Ukraine
   AMジェネラル社のHMMWVの車体上に「ソフト・リコイル」の105㎜野砲を搭載した兵器が、すでにウクライナ軍へ供給されており、宇軍がそれを最前線で使っていることが、いきなりあきらかになった。

 商品名は「Hawkeye Mobile Howitzer System」という。

 ウクライナに向けて送り出したのが4月だったそうだ。それからたった2週間、使い方を教授した。要するに、実戦で実験してもらおうというのだ。

 ソフト・リコイルの基本原理。発射の前にあらかじめ砲身だけ大きく後退させておき、まずその砲身を前進させ、その勢いが止まらないうちに装薬を発火させることにより、砲身の前進モーメントと、発射反動のモーメントを、相殺する。

 米軍の牽引式の十榴である「M119」は、放列砲車重量が4270ポンドある。そのうち、砲身と閉鎖機だけなら1389ポンド。それに対して、ソフトリコイルの研究開発をリードした「Mandus」グループによれば、Hawkeyeの砲身と閉鎖機は1145ポンドで、それに砲架や駐退機を加えても2550ポンドに抑制されたという。

 Hawkeyeは、通常、毎分3発、撃てる。しかし、必要とあらば、毎分8発の連射を3分間続けても、安全であるという。

 この大砲から発射できる、米国製のロケットアシスト付きの105㎜砲弾「M913」ならば、最大で19.5km飛んでくれる。

 ※このアイディアは昔から知られていたが、正式に採用しようという軍隊はなかった。何か、うまくないところがあるのだ。しかし、その試作品をウクライナに送って実戦で使ってもらうことには、別段の意義があるだろう。ところでハンググライダーのフレームは、体重125kgまで対応している。セイルの重さは10kg台。機体トータルで32kg。調達コストは50万円。これで巨漢の成人1名を飛翔させられるわけだ。その乗員をたとえば100kgの爆弾に換えることはできないかといったらできるに決まっている。それを夜間に小型の商用トラックの屋根から「トレビュシット」で飛ばしてはいかんのか? 市場で買い集められる模型飛行機用の超小型ジェットエンジンを添えれば20kmくらい行くだろう。あつらえむきの風に乗せて放ったら、もっと楽に行く。今、カナダ軍やインドネシア軍が使っている「LG1」という105㎜榴弾砲の単価は200万ドル前後。Hawkeyeがそれ以下になるとは考え難い。200万ドルあれば、ハンググライダー滑空爆弾は400発くらいも用意できるだろう。100kg爆弾はゆるくないよ。HIMARSの弾頭威力の2倍くらいあるはずだから。


ノルウェーのコングスベルグ社と、ドイツのMBDA社は、超音速の空対地ミサイル「3SM Tyrfing」の共同開発で合意した。

 ストラテジーペイジ の2024-6-23記事。
   2022-2いらい現在までに露軍は562機の軍用機を失った。そのうち415機は破壊されたもの。147機は宇軍の手におちたもの。

 ヘリコプターはこれとは別に300機以上を失った。
 今日ではもうウクライナ領土内には露軍の有人ヘリはやって来ない。

 戦闘機でよくやられているのは、複座・39トン・双発の「スホイ34」と、単座・34トン・双発の「スホイ35」だ。
 高額な戦闘機ゆえ、両機種あわせてぜんぶで260機くらいしか製造されていない。

 ウクライナ空軍の「ミグ29」のうち稼動機は2023年には50機、今は60機くらい。増えているのは、飛ばない状態であったストック機の整備が進んだので。

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 ストラテジーペイジ の2024-6-23記事。
   スペースX社は2024年、黒字化した。
 予測では今年の稼ぎは38億ドル。支出が32億ドルなので。

 同社が最初の60機のスターリンク衛星を軌道投入したのは2019年。
 そして現在まで、3万機を打ち上げたと見られる。
 周回高度は300km。

 打ち上げロケットの「ファルコン9」が逐次にバージョンアップされてきているのが収益改善に貢献している。ブースターロケットの繰り返し使用回数が延びている。

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 SARA CLINE 記者による2024-6-22記事「Louisiana becomes first state to allow surgical castration as punishment for child molesters」。
    ルイジアナ州議会は、13歳未満の児童に対する性犯罪で有罪となった受刑者に「去勢手術」を施すことができるという州法案を、合衆国の州としては初めて可決した。

 その手術を命令できるのは、裁判官である。
 げんざい、ルイジアナ州の知事は、共和党のジェフ・ランドリー。APが取材したところでは、知事はこの州法案に署名して発効させる意向だ。8月1日から施行されるだろう。

 もっか、すでに国の刑法として性犯罪者に外科手術をして去勢してしまえるところとしては、チェコ共和国と、ナイジェリアがある。

 ランドリー知事は6月19日に、別な州法案にも署名している。ルイジアナ州内のすべての公立学校の教室には「十戒」を掲示しなくてはいけない、というもの。

 ルイジアナ州の刑務所には、児童に対する性犯罪者2224人が収獄されているが、この連中に遡及して新法が適用されることはない。しかし8月1日以降、こやつらが出所後に再犯すれば、適用があり得る。

 去勢には、薬物を使うケミカルな処置と、睾丸を切除する外科手術によるものとの2種類がある。テストステロンの生産をブロックさせるだけのケミカル去勢術は、すでにもう、ルイジアナ州、カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州において性犯罪者に対して適用され得る。そのうち一部の州では、受刑者が特に望んだなら、ケミカル去勢を外科的去勢に変えてやることも可能。
 このたびのルイジアナ州の新刑法は、有無をいわさず即座に外科去勢する権限を裁判官に与えるもので、これが全米初なのである。

 ところで、もし裁判官からこの命令を申し渡された性犯罪者が、外科手術を断然拒絶したならどうなるのだろうか。この場合、不服従の罪となって、懲役年限が3年から5年、延ばされるという。

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 2024-6-23記事「Beirut airport bosses deny it is being used to store Hezbollah weapons」。
   レバノン国内から英紙『ザ・テレグラフ』に対してタレコミがあり、それによると、イランはベイルート空港に堂々と武器弾薬を空輸していて、射程200マイルの短距離弾道弾を含むそれらの兵器類は空港内の秘密の貯蔵所に匿されている。そこからヒズボラが受領できる仕組みだという。

 一空港労働者も匿名で証言する。昨年11月、ラフィク・ハリリ空港に、異例に大きな「箱」がイランから届いた、と。

 タレコミ人はこれとは別人で、4年前からイランは空港ルートでヒズボラに武器弾薬を供給し続けているという。


ロシアの漁船が、オランダ政府による露商船入港禁止令をくぐりぬけるため、バレンツ海で獲った冷凍鱈を洋上でノルウェー船に売り渡しているという。

 Alexander Riedel 記者による2024-6-20記事「‘You can never give up’: An inside look at how Ukrainian tank crews in Germany train for war」。
   グラフェンヴェールの戦車訓練施設では、独兵が6ヵ月かけて学ぶことを、ウクライナ兵が数週間で詰め込まれている。
 毎朝、5時半起床。しばしば課業終了は12時間後になる。
 指揮官教程はさらにハードで、夜まで続行。

 5月の独経済週刊ニュースによると、「レオ1」はすでに90両、ウクライナ領内に届けられている。

 「レオ1」を教えられる現役教官は数が足りないので、ドイツ軍とデンマーク軍は、予備役の老教官もここに駆り出している。

 ここに来ている宇兵たちは、毎日6ユーロを「小遣い」として売店で消費して可い。

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 Anika Arora Seth 記者による2024-6-22記事「Weapons of choice in China’s territorial disputes? Axes, knives, ‘jostling.’」。
    第二トマス礁のことを比島人はアユンギン礁と呼ぶ。
 2023-6-17に比軍の補給船に中共の海警船が衝突。

 海警は「鉤付き斧」と「ナイフ」を振り回して『シエラ・マドレ』号に乗り込んで来た。その模様はビデオに撮影されている。

 2022年にヒマラヤでインドの国境警備隊と衝突したときも、中共兵は投石と棍棒だった。中共はブータンから領土を毟り取ろうとしており、インドはそれを禦ぐ立場にある。

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 Defense Express の2024-6-22記事「russia Starts Using New Iranian Drones to Attack Ukraine」。
    ウクライナ軍は6月20日、ミコライウ州にて、イラン製の固定翼型特攻ドローン「アラシュ2」を初撃墜した。

 飛行速度は300~500km/時で、レンジは1600km以上だろうという。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-6-21記事「What Is This Mystery Row Of Spheres In A Ukrainian Field?」。
   ウクライナの戦地に出現した、謎の球状物体。
 バルーン状の球面表皮の内側に衛星アンテナが入っている、通信用の機材なのか。

 たとえば米国の「GATR テクノロジーズ」社が、それと似た、風船式のアンテナを市販している。

 畑の中に一列に並べられているので、敵のドローン操縦電波の発信源を探知するセンサーだという見立てもあり。謎。


コンテナ貨物が紅海を迂回しようとして、船から船への積み替え仕事が急増したシンガポール港がパンク状態。

 ILLIA NOVIKOV 記者による2024-6-21記事「Ukraine claims three oil refinery strikes inside Russia as Moscow says naval attack thwarted」。
    金曜日のウクライナの発表によると、ロシアの黒海艦隊に給油してやる施設に対して前夜、海空から一斉にドローン攻撃が実施された。精油施設×3箇所が被弾。同期して水上無人特攻艇も襲撃を加えた模様。

 また、ロシアがライセンス生産している「シャヘド」自爆機の貯蔵倉庫がある「Yeysk」町にも複数の無人機が特攻空襲した。

 露側では、特攻機を百数十機撃墜した、とフカしており、このことから、今次戦役で最大規模の無人機空襲が実行されたのだと分かってきた。 ※プー之介がベトナムを訪問したのは6-19で水曜日。北鮮を訪問したのは18~19で火・水曜日。その前の金曜日ということは、この空襲は6-13夜に実施され、14日昼に発表されたのか。

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 Ellie Cook 記者による2024-6-20記事「Russia Approaches Grim Milestone in Reported Tank Losses」。
   火曜日にウクライナ軍が公表した統計を信ずるなら、もうじきロシアは、今次戦役で破壊された戦車のトータルが、8000両の大台に達するだろう。

 発表の時点では、7987両を破壊しているそうである。

 英国のシンクタンク、IISS=国際戦略研究所 の独自の集計では、2024-2月時点で、露軍は3000両以上の戦車を喪失。この数は、2022-2時点で露軍が持っていた現役戦車の総数よりも多いのだという。

 また英国の国防大臣レオ・ドチャティは4月後半に語った。露軍は3000両弱の戦車を失った。装甲車なども含めたAFVトータルだと、1万両以上を失っている、と。

 オランダに活動拠点があるオープンソース解析集団Oryxの見立てでは、2022-2いらい露軍は、すくなくも3139両の戦車を失った。これは写真によって確認ができる車体のみのカウントである。

 2024-1月後半、英政府が推定したところでは、ロシアは現在、月産100両のペースで、戦車を製造できているようだと。

 げんざい、露軍が保有するいちばん性能が確かな戦車は「T-90」だが、それすらも宇軍のFPVドローンで手もなくやられているのは公開動画の数々が示している通りだ。

 ※雑報によると「T-14」の試作車にはげんざい、152㎜砲の搭載が試されているという。最前線に出ることは諦め、はるか後方から野砲弾を発射するプラットフォームにするしかない、との判断か……。

 Oryxによれば、露軍はこれまで144両の「T-90」を破壊されたことが、確認できているという。

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 Defense Express の2024-6-21記事「ATACMS is Better Than Storm Shadow, IISS Says After Seeing Impact of Both in Ukraine」。
   ロンドンのIISS(ミリバラの発行元)の2人の研究者が、結論している。
 クリミア半島での戦果を比較するかぎり、ウクライナに援助して著効があるのは「ATACMS」であつて、「ストームシャドウ/SCALP」空対地巡航ミサイルではない、と。

 ATACMSはすでに、ベルベク飛行場のミグ31×2機を吹き飛ばし、コルヴェット艦『Tsiklon』を撃沈し、ケルチの渡船桟橋を破壊した。

 ストームシャドウは実証された実戦レンジが250kmしかない。ATACMSの方が実用レンジが長い。これが決定的である。

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 2024-6-21記事「Pink Russian MiG-31s spotted in Crimea: What could this color mean?」。
    クリミア半島のベルベク航空基地はこれまで数度、ウクライナ軍による爆撃を蒙っているが、そこに、ピンク色の「ミグ31B」が2機、駐機しているのが民間衛星写真で分かるという。

 これはじつは、迷彩ではない。

 「ミグ31」は、塗装の「下塗り」(プライマー・コート)の一環で、コクピット周辺などに独特のピンク色のシール剤を使うようなのだ。ピンクで下地を塗ったあと、その上から、本格的な迷彩を塗装するのだろう。

 ちなみに、一般に、飛行機のプライマー塗装は緑色か黄色である。

 ※まさかATACMSで破壊したと思われた「ミグ31」が、生存していた?

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Steven Hermans 記者による2024-6-17記事「Can sea lettuce breathe new life into the Philippines’ seaweed sector?」。
   フィリピンの陸上での「アオサ」の養殖産業が、有望である。
 比島で海藻類の養殖が試みられたのは1970年代以降のこと。

 ただし養殖海藻の中でも「あおさ」が比島で着目されたのは2012年以降である。この年、ヨーロッパ市場に向けて、乾燥させた「アオサ」が輸出された。(アオサは「シーレタス」の名で流通中。)

 比島内では、家畜の餌にまぜるものとして需要がある。
 また中国のアワビ養殖場で、その餌にもされる。

 日本では2020年に「あおのり」の供給が止まるほど収穫量が記録的に減り、あわてて某食品会社が養殖場に投資した。

 ※年間平均の海水温が逐次に上昇すると、日本の沿岸養殖業はどうなっちまうのかと心配されるが、そのためにも、比島での養殖に注目する価値がある。つまり、あそこで収量の減らないものを、いちはやく日本にもってきておいたら、海水の温暖化に先手が取れるわけだ。

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 John Kemp 記者による2024-6-19記事「China’s hydropower generation surges and coal ebbs」。
   今年中国には大雨が降ったので、各地のダムは満水となり、それを反映して5月には石炭火力発電量を減らすことができている。

 2023-5の水力発電量が820億キロワットアワーだったのに対し、2024-5の水力発電量は1150億kWhに達した。逆に言うと、ことし4月以前の河川の渇水が酷かった。

 ちなみに中国で過去、1ヵ月間の水力発電量のレコードが記録されたのは、2022年で、1220億kWhである。その年も、春に大雨があった。


ドリームジャンボタニシ。

 2024-6-19記事「Ukraine Shrinks its Suicide Drones to Match Smaller Russian Targets」。
   黒海のロシア艦隊の活動が低調化し、遊弋する軍艦も小型艇ばかりになってきたので、ウクライナ軍は、これまでの1艇25万ドルする自爆ロボット艇ではなく、6万ドルで製作できる小型の無人特攻艇を開発した。

 エンジンも市販の船外機がとりつけられている。「ストーカー 5.0」と称す。

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 The Maritime Executive の2024-6-19記事「Houthis Show Methods Used to Sink the Bulker Tutor」。
   フーシの商船攻撃がおさまらない。
 派手なビデオも公開された。

 また、今年の1月には、バブエルマンデブ海峡に、フーシの特攻無人ボートが漂着し、それを検分したところ、C4爆薬が25kgと、TNTが50kg、積まれていたという。電気信管は3つ、とりつけられていた。

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 AFPの2024-6-19記事「Senate probe urges France stop importing Russian LNG」。
   ロシアの天然ガスは、パイプライン経由に関してはもはやフランスまでやってきてはいないのだが、シベリアの北極海の港から、LNGタンカーがフランスまで届け続けている。それを買っているのは「TotalEnergies」社だ。
 米国の連邦上院の調査委員会が、これを問題視している。

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 Dmitri Alperovitch 記者による2024-6-19記事「This Is What Would Happen if China Invaded Taiwan」。
    時局モノの新刊が出た。『瀬戸際の世界――いかにしてアメリカは21世紀レースで中共を叩きのめすか』。
 この本は2028年11月に中共が台湾を侵略した場合の予言戦記である。

 著者は、ドミトリー・アルペロヴィッチ。じっさいに台湾の現地を踏査し、要人取材も重ねた上で書いている。

 ※この記事、本の作者本人が、じぶんで紹介をしているのである。

 ことし3月後半、台湾のデータアナリストが気づいた。内モンゴルに中共軍が、台北市の総統府近辺の街路を再現して攻略演習をしていると。

 台湾では11月から3月が、いちおう冬である。この期間、台湾海峡の波は高まる。というのは強い北東風に押された大陸の沿岸流と、北流している黒潮とが衝突するからだ。ということは、サーファーにはこの時期がおもしろい。

 ときおり台風が通りかかるのは、5月から10月まで。
 すなわち、台湾海峡に関しては、「このシーズンなら波が静かなので大規模渡洋侵攻作戦に適する」と前もって言えるような時節は、考えられない。

 台湾海峡の気象統計によると、年に150日は、風速が20ノットを越えている。それは「荒海」を意味し、上陸用舟艇にはキツい海象だ。

 舟艇の着達に適するような限られた海浜には、とっくに台湾軍が要塞式の防備を構築している。

 結論として中共軍は、まずは空挺堡を確保することを考える。空挺部隊が港湾を占領した直後に、船舶集団が台湾本島に着達するようにタイミングを調整する。

 中共軍は、本番の数年前から、次のような手管を展開する。
 多数の民間船艇も徴用し、それに数万人の兵隊を乗せた大規模な上陸演習部隊を、台湾本島から12浬の線まで一斉に前進させて、そこで引き返すのだ。

 これが年中行事化して台湾側が慣れてしまったときに、演習をとつじょ本番へ切り替えるわけである。
 ※フロンティヌスの大昔から知られている韜晦術で、サダトのエジプト軍もこの手でまんまとスエズ渡河に成功したものだ。

 中共軍が最初に確保しようと考えている港湾は、台北港だ。
 首都に近いところで、重装備の大軍が荷解きできるので。

 2028年にはロサンゼルスで夏の五輪が開かれるので、米国政府は、中国と紛擾を起したくないと思う。そこもつけ目である。

 さらに2028-11-7には米国の大統領選挙がある。このとき、上院議員のうち34議席も改選される。外交政策を握る連邦上院もしばらく金縛りになるはずだ。

 大統領選挙が終わり、次の大統領が決まっても、翌年1月までは、政権の移行期間なので、その期間を狙った海外の大戦争に関しては、米国は、「参戦の決断」ができかねる。

 この小説は、中共軍のミサイル攻撃が、嘉手納や岩国やグァムにとどまらず、ミズーリ州の「B-2」の基地にまで着弾すると予想する。


露軍は公式に認めた。2024-2-23に1機の「A-50U」が撃墜され、乗員10名が散華したと。

 Dylan Malyasov 記者による2024-6-18記事「Russia confirms second A-50 downed by Ukrainian missile」。
   ところで、米国の報道機関は、別なA-50Uが撃墜されていると2024-1に報じていた。
 つまり、合計で2機、露軍のAWACSは撃墜されてしまったらしいのである。

 ※ソ連時代にPKKを育てた黒幕であるロシアはクルド人を「対日難民兵器」として送り込む工作を推進中だと疑われる。クルド人入国問題はすでに人道問題ではなく、「対露防衛問題」だろう。

 次。
 Julian Spencer-Churchill 記者による2024-6-19記事「Canada is America’s Least Helpful Ally」。
   カナダの国防大臣ビル・ブレアは、北極圏から飛来する戦略級ミサイルを早期警戒する新しいネットワークについて、それを建設するとすればカナダの防衛予算はGDPの2%を越えてしまう、と言った。

 これが、いつもの《カナダ節》なのである。

 カナダは、「1個旅団」規模を超える兵力を極圏に配備するつもりが、まったく無い。
 NATOの公式統計によれば、カナダ政府は今、GDPの1.33%しか、国防に投じていない。

 そのGDPは世界の第9番目だが、一方的な軍備解体志向に関してならば、世界第1位だ。

 カナダは貧乏国ではない。2015年から、公務員の数を40%増やした。今は35万7000人いる。2019年から2022年にかけて、公務員の人件費予算は30.9%増額している。

 エストニアには1個大隊を送り出している。台湾海峡でのFONOPもやった。それらは最小費用で最大の宣伝効果があった。北極圏向けのレーダー網の改修も、じつは同様の話。アメリカ世論を意識した針小棒大の宣伝なのだ。

 カナダは地勢的に、ロシアとの間に、たのもしい障壁を有している。1867に英帝国が米国に売り渡したアラスカに米軍が常駐警備していることによって、極東ロシアからの渡洋侵攻はまったく心配しなくてもよくなっている。また、グリーンランド(デンマーク領)が大きく横たわっているおかげで、バレンツ海からの艦船や航空機の接近も、気にしなくて済んでいるのだ。他の中間部分は、北極点を挟んだ真の不毛地帯で、大規模な軍隊の作戦など考えられもしない。

 進歩保守党のジョン・ディーフェンバッカーがカナダの首相だったとき(1957~1963)、同内閣は、米軍の核兵器をカナダ領内に展開させようとした。ところが彼は議会で不信任動議をつきつけられて、総選挙で敗北している。これは今でもカナダ政治家の教訓だ。

 次の首相のレスター・ピアソン(1963~68、リベラル党首)が、核兵器導入を実現した。

 しかしピアソンから次のピエール・トルドー(首相在任1968~84)にかけて、冷戦のさなかにカナダ軍を縮小させる流れが創られた。
 ドイツ駐留のカナダ軍部隊は1個旅団にすぎなくなり、2隻あった航空母艦はスクラップに……。

 2015から首相になっているジャスティン・トルドー。彼らの世代のカナダ政治家は、国内経済と「グリーン化」にしか関心がない。必然的に「中共万歳」を唱える。

 トルドーは、WWII前に首相だったリオン・マケンジー・キングを思い出させるだろう。キングは1937に訪独してヒトラー・ドイツに魅せられた。そして、ラインラントの非武装維持やチェコスロバキアの独立のためにカナダは出兵はしないぞ――と英国政府に告げた。

 カナダは、WWI前のベルギーや、WWII前のオランダを教訓とすべきである。
 この2国はいずれも小国ではあったものの、工業先進国であり、カネは十分にあった。もし本気で国防に努めていたならば、ドイツ軍に侵略を思いとどまらせるくらいの軍備ができた。しかし、それをしなかった。

 1913年に英国はドイツの最大の貿易相手国だったのだが、1914に欧州大戦が始まっている。1940に日本工業の対米依存はとても大きかったが、日本から米国を奇襲した。通商は戦争を遠ざけない。今、中共商人に甘い顔を見せているカナダ政府は、きっと、ほえづらをかくだろう。

 ※雑報によると米国製のTOWはすくなくとも1000発、ウクライナへ譲渡されている。


知床半島の「世界自然遺産」と、欧米の「不法移民保護」に共通した偽善。

 どちらも、住民や中流以下の労働者を危険にさらしてかえりみず、政府は得たいのしれない団体から称賛をされながら同時に治安基盤を侵蝕され、奇麗事を語る金満階級はその私邸が厳重に警備されているおかげでまったく危険とは無縁に暮らし、作為した環境から私的な収益を上げ続けられる。

 住民を守れない政府は政府ではない。増やしてはいけない羆をこんなに増やした責任を環境省や文科省は取らねばならない。

 知床の「世界自然遺産」はただちにユネスコに返上し、北海道の羆は皆殺しにする法令を整備しよう。そして知床海岸には高さ600mの電波灯台を建設し、その電源にはアイソトープ電池を使おう。

 (2022年に「Booth」で世に問うた「鳥獣から人間を保護する法律が必要だ」の提言は、今日ますます有意義だと思います。)

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 Boyko Nikolov 記者による2024-6-18 記事「Russian Su-34 NVO wings seem to overheat when launching a missile」。
   17日の速報で、露軍は「スホイ34」の最新型である「M型」もしくは「NVO」型を受領していることが確認された。
 何が変わっているかというと、チタン合金でコーティングした防炎板が、追加された。
 これが意味すること。これまでの型の「スホイ34」からある種のミサイルを発射すると、主翼の特定部分が危険なまでに熱せられていたのではないか?

 あるいは、主翼内にある電子部品が、これまでは、ミサイル発射時の昇熱で壊れることがあったのではないか。

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 Clarence Oxford 記者による2024-6-13記事「Heat-Resistant Metal Alloys Under Study」。
   「デザイン・アロイ」と呼ばれる新合金の模索がせかいじゅうで続けられている。原子レベルで挙動が「見える」ようになってきたので。
 無銹鋼は、鋼鉄にクロムを混ぜることで表面に酸化膜ができ、それ以上の腐食を食い止める。

 この昔からあるステンレススチールをさらに改良強化することで、核融合炉やジェットエンジンの高熱にも耐えられる合金素材を得ようというのが、研究者の野心だ。

 米国の一チームが今、探索しているのは、コバルト、クロム、鉄、ニッケル、マンガンを等量ずつ混ぜた「カンター合金」を出発点としたもの。

 クロムとマンガンは、いちはやく酸化して皮膜となる。鉄とコバルトは膜の下に潜る。ここで、アルミが加えられていると、それ以上の腐食は食い止められ、高温にさらされたときの焼蝕にも強くなるという。

 新世代合金の発見には、これからAIが投入されるようになるだろう。ここでも、競争が始っている。

 ※2024-6-18『北海道新聞』によると、日本製鋼所の社長が2024-6-14日に、5年間の中期経営計画の説明会にて発表。これから5年間で室蘭の子会社に200億円設備投資する。新工場も建てる。防衛装備品や鍛鋼品の受注増を見込んでいる。……これって十五榴の砲弾ラインがとうぜんに含まれるよね? パトリアのMICVも室蘭で造るらしいし、このまま《日本のラインメタル》に大成してくれ!

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 Defense Express の2024-6-18記事「Manufacturer Reveals Specifications of Mace UAS, the Ukrainian Counterpart to Lancet」。
    「ユーロサトリ2024」にウクライナ版ランセットが出展された。
 このロイタリングミュニションは、ウクライナ国内では「ブラヴァ」と称され、輸出営業では「メイス」と名乗っている。

 ※外見は、イスラエルの「HERO-400」とクリソツである。というかそもそもランセットがHERO初期型の図面流用だと私は強く疑う。

 会場の説明看板によれば、メイスのMTOWは11kg。弾頭重量は3.6kg。成形炸薬+サーモバリックの合体にしてある。
 時速100kmで50分、上空ロイタリングを続けられる。
 動力は電池である。
 翼丈1.6m、胴長1.5m。

 センサーは「マシン・ヴィジョン」と一体。昼夜、機能する。

 ※アル・ゴアの豪邸を空撮した写真がSNSに出回っていて、屋根に太陽電池パネルが1枚も見られない。象徴的すぎた。


BOOTH
鳥獣から人間を保護する法律が必要だ──「害獣退治庁(仮)」の組織および装備を提言する


仏南西部の航空基地で「アルファジェット」を使って、ウクライナ人のF-16操縦候補生が練習中。

 Daniel Foubert 記者による2024-6-17記事「Macron introduces Le Pen to Machiavelli」。
   マクロンはマキャベリストなので3年後を読んで行動している。
 マクロンは選挙で一回も選ばれていないのにフランソワ・オランドにひきたてられて経済相にしてもらった。オランドはマクロンがこれを恩に着て、大統領選挙で自分を支持すると期待した。

 が、2年後に大統領になったのはマクロンであり、オランドの2期目はなかった。マクロンは、親分を斬ってのし上がった。

 このほど、マクロンがフランス議会を解散すると決めたのは、発作的な思いつきではない。3年先の計画に沿っているのだ。

 3年後に大統領選挙があるが、マクロンの任期は2027年で終わり(2017に当選し、5年任期×2回がMax)だから、それには出馬できない。
 そこで、この議会選挙後に、ル・ペンを首相に任命して3年やらせる気だろう。

 フランスの投票者は、現に権力をもっている人物の側には加担しない癖があるので、ルペンの党=「国民連合」は、大勝するだろう。

 大統領と首相・議会の方向が違っている場合、今のフランスの制度では、大統領は無力だ。つまりマクロンの意向は3年間、ルペンによって無視される。それを承知でマクロンはルペンを首相にする。そこがマキャベリストなのである。

 ルペンがフランスを混乱させ、人々が、これは失政だと思えば、3年後、マクロンは新大統領から、「首相」として任命される可能性がある。もしそうはならず、しばらく政界から遠ざかる場合でも、WWII直後のドゴールのように、「不在」が大衆人気を再燃させるパターンはあり得る。それはかつてナポレオン1世と3世が使ったマヌーバだ。マキャベリストならそこまで計算する。

 もっとさかのぼると、ルイ14世時代のマザラン枢機卿。彼は2回、フランス王国を離れて、内戦を外部から焚き付け、王宮が困り果てたところで、秩序の回復者として、迎え入れられている。

 議会選挙の2週間後に、パリ五輪が開催される。新首相ルペンは、その内閣のスタートから、いきなり最悪のカオスに翻弄されるだろう。すべてはマクロンの術中なのだ。

 ルペンやその仲間はすべて草莽だから、テロから首都を防衛する方法を知っていない。それを知っているのはマクロンが属する頭脳エリート層だけなのだ。困り抜いたルペンは、マクロンが紹介してくれる頭脳エリート人材を、治安の要所に任用するしかない。

 ※この論者は、ルペンはマクロン一派のサボタージュに遭って3年にして疲弊すると予言するが、果たしてそうかな? 雑報によると、ギリシャのコーストガードは地中海で、ボートで密入国を図るアフリカ人を海に投げ込んで殺している。イタリア沖でもじつは類似の案件があるという。メッスではアフガン「難民」がまた複数人をナイフで刺した。住民の安全を守れない妄想憲法とそれを利己本位に操るエスタブリッシュメントが、草の根から見限られつつあるのではないか?

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 Clarence Oxford 記者による2024-6-13記事「New Cargo Drone HH-100 Completes First Flight」。
   中共のAVIC社が開発した大型の輸送無人機「HH-100」が水曜日に初飛行。場所は西安市の藍田空港。
 双発エンジンの固定翼機で、貨物700kgを積める。
 最大速力 300km/時。 ※エンジン馬力の言及無し。

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 2024-6-17 記事「Patria introduced a new FAMOUS caterpillar armored personnel carrier」。
   フィンランドの装甲車メーカー、パトリア社が、「ユーロサトリ2024」に、新型の全地形兵員輸送車「FAMOUS」を出展した。

 幅広履帯によって、積雪地や湿地を踏破できる。

 外観から察するに、エンジンはフロント置き。

 開発の狙いはイマイチ、よくわからない。発表もない。だから想像するしかないが、「装甲防御」の万全は最初から諦めてしまい、むしろ、走破力を重視しているようだ。

 アーマーは、せいぜい、小銃弾を防ぎましょう、というレベルに見える。
 操縦席には大きな「フロントガラス」。そして側面窓。

 おそらくは、フィンランド軍が400両ほどもっている旧ソ連製の「MT-LB」を、これでリプレイスしたいのだろう。

 また、フィンランド軍は、高性能だが高額でもある、前後重連式の浮航可能なスウェーデン製装軌車「バンドヴァーゲン308」も、この新型装軌車でリプレイスしたいのかもしれない。というのは、FAMOUSの方があきらかに安価だから。

 ※新製品の評価はやはり誰かがユーザーとなってから2年以上経たないとわからない。今から2年以上前、ドイツに本拠がある「Worx」社が、「長さ23インチ×幅20インチ×高さ58インチ」の「8徳荷車」を売り出した。これは今、楽天の通販サイトでは「ワークス多機能手押し車 カート」の名で、7万円台で売られている。何が凄かったかというと、車幅の狭い、2輪の手押し車(1輪猫車の2輪版)なのだが、アタッチメントを変えるだけで「サックトラック」になるのだ。すなわち、梃子の原理でジュースの自販機をフォークリフトのように掬い上げてしまう、アレである。しかも、別売りアタッチメントの「排雪ドーザー板」を取り付けると、手押しの除雪マシンにも変身するとの謳い文句だった。これが今、日本の積雪地で活躍しているという話は聞かない。そのような動画にもヒットしない。要するに、雪は甘くない。フィンランド人はそれがよくわかっているはずだ。そのフィンランド人が、バンドヴァーゲンを「ぺらぺら装甲の雪上車」で更新するという。本当にそうなるのなら、注目しないわけにはいかないでしょう。夏でも使える雪上車というものが可能なら、それは北部方面隊にとって朗報だ。「二重装備」を解消できるんだから。