原油の国家的戦略備蓄は、「社会分散形備蓄」を最善とす。

 特定少数の備蓄基地に集積させていては有事にいっぺんで破壊されて燃やされるのがオチである。
 それより、輸入、精製、そして全国の最終的な大口ユーザーに至る、すべての段階で、それぞれに、ほどほどに、原油や石油製品等の「余分なストック」を抱えているというスタイルが、不測事態が起きたときの靭強性の担保という点で、一層、望ましい。

 危険物取り扱いの諸法規がとうぜん適用されるから、これによって社会が特段に危険になることはない。

 この社会分散備蓄を推進するためには、油脂類の「在庫」に関する免税特例が必要である。
 在庫にいちいち課税されていては、市中でのストックなど、進むわけがないので。

 こういうところに頭を使うのが、大政党の「調査会」の役目だろう。

 次。
 indomilitary の2021-11-24記事「There is an allegation that the British F-35B crashed because the Air Intake Cover forgot to be removed during take-off」。
   11-7に空母『QE』から英軍のF-35Bが発艦しようとして海中に転落したのだが、飛行甲板に引き出す前にエアインテイクのプラスチック製カバーを外し忘れ、エンジン内にそれが吸い込まれたのが原因ではないかという憶測が浮上している。
 それを最初に報じたのは英大衆紙『ザ・サン』の11-23号だ。

 海没した付近の海面に、赤いプラスチックカバーが浮いているのを、軍艦乗員が目撃しているという。

 しかしそんなミスはありえないという話も有力である。

 墜落時の模様だが、飛行甲板を滑走して、スキージャンプ台の先端をかわるかかわらないかの時点でパイロットはエジェクトしたらしい。
 そして、降りてきたパラシュートは、『QE』の舷側に絡まったそうである。

 げんざい、英空軍は21機のF-35Bを取得している。うち18機を『QE』で運用していた。

 次。
 Steve Balestrieri 記者による記事「Retired Russian Admiral Blames the Sinking of the Kursk Submarine on NATO」。
   2000年8月に沈没した原潜『ミンスク』は、NATOの潜水艦と水中で衝突して沈んだのだと、またしても退役露軍提督がほざいている。

 『ミンスク』は、てめえで積んでいた魚雷の推進薬が艦内に漏れて火が着き、誘爆して沈没したのだが、そういう失態は認めたくないらしい。

 次。
 AFPの2021-11-24記事「South Africa jails two Chinese for abalone poaching」。
    南ア沖で違法にアワビを乱獲しまくっていたシナ人の密漁犯人2名が南アの刑務所にブチこまれた。
 ほとんどが、香港で消費されるものだそうである。

 次。
 indomilitary の2021-11-25記事「Replace Tiger Helicopter, German Army Lyrics AH-64 Apache Attack Helicopter」。
   ドイツ陸軍は、オーストラリア陸軍に倣うようにして、エアバス製の「ティーガー」攻撃ヘリを捨て、米国製の「アパッチ」に切り替えたがっている。
 独国防省がRFIを米政府に対して正式に求めた。

 次。
 Taufik Rachmat Nugraha 記者による2021-11-24記事「Op-Ed: Indonesia Deserves Transparency About China’s Research Drones」。
   2018年以降だけでも、インドネシアのEEZ内でおびただしくシナ製UUVが発見されている。
 たとえば長さ225センチ、ウイングスパン50センチの「シー・ウイング」。
 全体が黄色く塗られている。



「標的」を設ければ、誘導技術など無いないことがバレてしまう。だから誰も見ていない、何も存在しない海面に落とす。

 John Vandiver 記者による2021-11-24記事「German tax collectors continue to target US airman after he returns to America」。
    米国の国税庁のことをIRSというが、それのドイツ政府版が、退役した米空軍の下士官がドイツ駐留中の所得税をドイツ政府に納めていなかったとして、執拗に罰金追徴をかけようと迫っている。いまはフロリダで家族と暮らしているマシュー・ラーソン元曹長。求められている支払い総額は30万ドルを超えるとか。

 これに対して米国務省は異論を唱える。NATOの合意によって、ドイツ政府はNATO軍将兵たる米兵やDoD職員に所得税や追徴罰金をかけられないはずだと。この退役曹長のケースは、独米政府間の揉め事になっている。

 ラーソン曹長は7月に空軍を除隊。彼はラムステイン空軍基地からフロリダに引っ越した。

 だがドイツ税務署は追いかけてくる。11月8日にクセル・ラントシュトゥル(基地所在の地)の税務署からの手紙が届いた。2019年にラムステインの基地外に住んでいたのに所得税を納めていない。だから罰金200ユーロを納付しなさいと。

 ドイツの税務署は、給与だけでなく、基地外住宅を手当てされたこと、米兵特権として安いガス料金を適用されていたこと、基地内売店の特権、米軍関係者が通学する学校の学費が無料であったこと、なども課税対象だとする。それらを合計するとラーソンがドイツ税務署に納付すべき金額は30万ドルという。

 どうしてラーソンだけこんなことになっているのか。彼がドイツ女性と結婚したことと関係はあるだろう。

 米政府の見解。「ミリタリー・ヴィザ」を発給されている米軍軍人や軍属は、その給与所得に関して、海外の現地税務当局から課税の対象とはされない。

 しかしドイツの税務署は言う。NATO合意の「アーティクルX」に明記されているじゃないかと。すなわち、その米軍軍人が、純然、軍務のために来独しているのならば、ドイツ地方政庁は彼らに課税しない。けれども、このラーソン君の場合、純然軍務ばかりしていたとは看做せないのだ、と。

 ドイツ市民と婚姻したこと、ドイツ国内を旅行したこと、不動産を購入したこと、自動車を私有したこと、ドイツの学校に子どもを通学させたこと。ドイツ当局は、これらを軍務だとは認めない。

 なお、ドイツ以外の米兵駐留国(大きなところでは、日本、韓国、英国、イタリア、スペイン)では、米軍関係者の誰も、現地の地方税務当局からこんなイチャモンはつけられたためしがない。

 ラーセン以外に、ドイツには3万2000人以上の米軍将兵と数千人の軍属が居るはずだが、彼の他にも、地元の税務署とやりあっているケースがあるのかどうかは、米国側では把握していない。が、クセル・ランドシュトゥル税務署によると、400件くらいもあるそうだ。

 次。
 Nathan Picarsic & Emily de La Bruyere 記者による2021-11-23記事「How China Is Trying to Turn the U.S. against Itself」。
   2015年に習近平がはじめて訪米したとき、彼はまずシアトルに立ち寄った。そこでは中共と合衆国による第三回の「知事会」が開催されていた。

 中共は、全米の大小の地方自治体、地場産業、ローカル企業等に広範に地下工作を浸透させることによって、最終的に米国を転覆できると考えている。その活動のロードマップまであるのだ。

 地方のトップ3企業の経営陣、米中友好を標榜する地方の諸団体、メディア、NPO、そして知事や市長以下の地方公務員を篭絡する。この活動を、全米の規模――津々浦々で、展開するのだ。

 ようするに、強大な米国の連邦政府を打倒しようと思ったなら、まず「馬」から射て行くのが、遠回りなようでも、早道である。

 なべて地方レベルの人士は、「国防」はじぶんの問題ではないと思っているから、御し易いのである。

 この中共の仕掛ける大戦略に対抗するためには、米連邦政府はもっと積極的に地方の出来事を監視し口出しをして啓蒙しなければならないし、また地方の人士も、今ローカルに展開しつつある中共発の工作が、国家レベルの安全保障を脅かす目的に基づいているという危険意識を正しく持たねばならない。

 中共国内各地のソーラー関連企業が、めいめい、巨額の投資をチラつかせて、合衆国各地のメーカーと提携するケースが相次いでいる。とうぜんながら、これもローカルのビジネスの話ではない。地方政治を牛耳ることによって、中央政府が何もできないようにしてやれる。米国内に「米国政府の敵」を扶植して行く、大戦略なのだ。

 2015年に習近平が、ワシントンDCを訪れる前に西海岸で多数の地方要人と面談を重ねた行為は、かんぜんに、外交プロトコル違反であった。これを許認したのは、当時の国務長官のジョン・ケリーである。そして6年後にバレた事実。ケリーは、ウイグル人を奴隷労働させてソーラーパネルの低価格を実現して米国市場を席捲しようとしている中共の試みを阻止する法案に、反対するロビー活動をしている。

 ケリーは11月にインタビューで言い放った。ウイグル人などどうでもいい。俺とは関係ねえ。ソーラーの方が大事なんだ。

 このように中共は、米国務長官を取り込むこともできるのである。「地球温暖化」のようなテーマ設定にからめとられている西側の政治活動家に、そのテーマで協力しますよと申し出れば、敵は転ぶのだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-11-24記事。
  タリバンの新アフガン(IEAと称す)政府が、先週から、エッセンシャルな公務員たちに対する給与の支払いを始めた。※ちなみに崩壊した旧政権はIRAと略される。

 この国庫の財源は、麻薬事業である。いまや数十億ドルは使えるはずだ。ちなみに銀行システムはパキスタンのものを使える。

 米陸軍は、解隊していた「第56砲兵コマンド」を復活させた。
 このコマンドは、射程500kmから5500kmまでの地対地ミサイルを差配する司令部だったのであるが、米ソINF禁止条約が批准されたことから、お役御免になっていたのである。
 しかし2019に米国はINFを離脱したので、昔に戻った。

 米陸軍は、2023年までに、三種類の新型地対地ミサイルを揃える計画だ。すなわち、レンジ500km級の「プレシジョンストライクミサイル」。レンジ1600km級の「ミッドレンジストライクミサイル」。レンジ2700km級の「ロングレンジハイパーソニックミサイル」。

 長射程を手早く得るために、米陸軍は、海軍の「SM-6」や「トマホーク」の既存コンポーネントも利用する。



露軍は122ミリのMLRSまで物料傘で空挺投下させるつもりらしい。

 Maritime Executive の2021-11-23記事「Israel Identifies Two Iranian Drone Bases Used to Strike Shipping」。
   イスラエルの国防大臣ベニー・ガンツはオンラインで発表した。オマーン湾で商船をしきりに襲撃している謎の無人機の発進基地は、イラン南部のチャバハールとケシュム島に在り、と。

 自爆ドローンの新型は「シャヘド」である。

 イランの攻撃手段はひとつではない。サウジ領内のアラムコの施設を攻撃したときは、無人機の発進点はシリア領内であった。またイランは、ヒズボラを教育して、イスラエル領内に対するドローン精密攻撃を実行させようとしている、と国防相。

 ヨルダン川西岸のパレスチナ人にもイランは無人機を供与し、シリア領内からイスラエルに向けた攻撃をさせようとたくらんでいる。

 イスラエルは「シャヘド141」を既に撃墜している。

 またイランは、反イスラエルのゲリラたちに武器弾薬を送り届ける手段としても、ドローンを活用しようとしている。

 イランのカシャン市の近くには、ドローン用の第三の基地があり、そこに中東じゅうからシーア派の武装グループを集めて、自爆ドローンの取り扱い術を、教育してやっているいるようだ。

 次。
 APの2021-11-23記事「Iran appeals ban from world judo events for avoiding Israeli opponents」。
   イランの柔道連盟は、国際柔道試合への出場資格を4年間、剥奪されている。理由は、イスラエル選手との対戦を選手たちに拒否させている行為が、人種差別にあたるからだ。そのような対戦があり得る大会そのものを、イランはボイコットしているのだ。

 ※選手本人の自主判断でボイコットするのは問題ないと思われる。

 国際柔道連盟がイラン制裁にふみきったのは、前の世界チャンピオンであるサエイド・モラエイが、2019世界選手権を辞退しろと圧力をかけられたのに反発して、イランを捨てて亡命してしまった事件の直後であった。

 モラエイはドイツで保護された。その後、国際オリンピック委員会は、モラエイがモンゴルの代表として出場することを認めた。モラエイは東京五輪の81kg級で銀メダルを得た。

 この銀メダルを、モラエイは、イスラエルに捧げた。イスラエルのスポーツ界から、何年ものあいだ、支援してもらっているからだという。

 2月、モラエイはテルアビブで開催された国際グランドスラムに出場して、銀メダル。このときもCNNに向かって、イスラエルへの感謝を表明している。

 当初、国際柔道連盟は、イランを無期限資格停止にしたのだが、スポーツ仲裁裁判所が、それを4年に短縮したのである。

 次。
 Kayla Kibbe 記者による2021-11-15記事「Joe Rogan Could Suck His Own Dick, If He Wanted To」。
   テコンドーからブラジリアン柔術まで黒帯である大物コメディアンのジョー・ローガンに、あらたなる珍伝説が……。
 彼はなんと、じぶんでじぶんの股間を舐められるのだそうである。オート・フェラチオ。

 大金を稼いでいるポッドキャスターとしては、おそらく最も「軟体」である—と彼は自負している。

 できるかどうか試したことはあり、できると知っている。けれども、敢えて、そんなことはせんのじゃ—と彼はのたまう。

 彼は請合う。そんなことしても、楽しくねえんだよ。
 ちなみに彼はどストレート。ホモ嫌いで鳴らしている。

 それは非常に疲れるから、という話もあるのだが、それができる人以外、わかることではない。

 ※ナインギャグでとんでもない動画を視た。サルが観光客の前でセルフフェラチオして射精しているのだ。大昔に『がきデカ』に描いてあった話は、ただの空想ではなかったようだ。しかし、そのサルのその行為の前後の観察は、欠落している。そこが気になる。

 次。
 indomilitary の2021-11-23記事「This is -37-800М ? Ejection Seat in Kamov Ka-50/Ka-52 Attack Helicopters」。
   ロシアのカモフ社の、二重反転ローターの攻撃ヘリ「Ka-50/Ka52」。
 複座型だが、そこになんと、エジェクション・シートを後付けした製品がお目見えした。

 この改造をやったのは、NPPズヴェズダ社。改造機は「-37-800M」という。ゼロ・ゼロ射出でも安全だそうだ。

 手順としては、まずローターが外れ、ついでキャノピーの天井が極細の導爆線により粉砕され、直後にシートがロケットで射出される。

 ※ゼロ・ゼロ射出といっても、ローターが十分に遠くへ離れてくれるまでには何秒も時間がかかってしまうだろうから、その間に地面や崖に叩きつけられたらおしまいであろう。ただし、この装置は、水上に不時着水したときには、クルーの生存率を高めてくれるかもしれない。いくらプールで訓練したって、まっ暗闇の海の中で逆さにひっくりかえったコクピット内から悠々と泳ぎ出せるわけはないので……。



オーデリック(ODELIC)株式会社製の長管天井シーリング蛍光灯(長さ120センチ、FL40ss/37ワット形)の、さかさカマボコ形カバーの外し方が分かったの巻。

 古いマンションに後から入居すると、新旧さまざまな設備が混在しているため、古い電球の交換などのメンテナンスが必要になったときに、急に頭とカラダの体操を強いられる。

 このカバーの外し方は、カバーの長軸の一方の端面近くに、小さなイラスト付きの短文で表記されている。だが、おそらく、これを読んですんなりと外せた一般人は、いないのではあるまいか。
 それほど、手引き書/案内マニュアルとして「なってない」。

 天井まで手を延ばしての作業は、じきに腕が疲れてくるので、体力の無い人は、トライを続けられずに、途中で諦めてしまうだろう。

 そこで、おせっかいのようだが、四苦八苦してカバー外しと直管交換に成功した小生が、私の表現で手順をしるす。自身の備忘のためにも。

 まず、作業開始前に安心すべきこと。
 このカバーは、パカッと外した瞬間に、落下してしまうことはない。そこは、考えてある設計になっているのである。(キツイのも、その設計のせいなのであろう。)

 したがって、120センチ以上ある長軸の両端を、同時に手で押さえる必要はない。

 長軸の、任意の片いっぼうの端だけに、集中して作業すればよい。それで、カバー外し操作は、安全・迅速に行なえる。

 まず、長い「逆さ蒲鉾」の、その長軸のどちらかいっぽうの軸端を、両手で掴み、その軸線の延長方向へ、軽く引っ張る。すると、カバー全体が、数センチ、スライドしたような気がして、すぐにストップするであろう。

 そのまま、その軸端を、天井へ押し付けるようにする。ここまで、まったく馬鹿力は必要としない。両手は、押さえたままだ。

 ついで、こんどは、軸を中心として、その軸回りに45度、ねじるようにする。
 あたかも、極太なねじまわしの柄を両手で左回しするようにして(あるいは右回しするようにして)、軸端を、大きく捻る。このとき、ねじりまわす回転の向きは、左右のどちらでもよいのである。
 ねじる力は、やや、こめる必要がある。

 このとき、じぶんから遠い側にある長軸の端については、気にしなくてよい。カバーは決して落下したりはしない仕組みなのだ。

 たちまちにして、カバーが長軸まわりにガクッと半回転し、内部の蛍光管が端から端まであらわとなり、交換のためのアクセスが可能となる。カバーから両手を離しても、カバーは落下しない。

 壁のON/OFF点灯スイッチが「切」になっていることを再度確認してから、蛍光管を交換する。

 管には蛍光管の型番がプリントされている。わが天井灯の場合「FL40ss-EX-N/37-B」であった。

 インターネットで調べると、使われている蛍光管がFLで始まる型番であるなら、その照明器具は、「グロースタート形」=「スタータ形」か、さもなくば、「インバータ形」である。

 これら「FL」対応の120センチのLED蛍光管は、歩いて往復できる巨大電機店へ行けば、税込み4000円くらいで売っているはずだ。

 ところがここで悩みが……。スターター形ならば付属のはずの、「グローランプ」らしきものが見当たらない。すくなくとも、簡単に手でアクセスできる場所に、グローランプらしいものはついていない。

 ということはインバーター式なのか? 電気設備系の職歴がないので、なんとも判断ができない。

 もし、隠れた場所にグロランプがついており、それをほったらかしのままLED管に交換してしまうと、通電しても点灯しなかったり、照明器具の故障、さらには天井裏の電気火災につながる懸念もある。
 やはりこれは、37ワットの消費電力はしのんでも、パルックの長寿命蛍光管(税込み1540円)にしておくのが無難であろうと判断した。

 サカサカマボコ形のカバーを再び嵌めるのは、造作も無い。力も細工もまるで無用。ただしその前に、カバーの内側を、拭き清掃しておくべきだろう。数年分のホコリが侵入しているはずだからだ。

 次。
 Joseph Hammond 記者による2021-11-22記事「VIDEO: Ruling The Skies? Astonishment As Russian Fighter Pilots Use Slide Rules In Mach 2 Jets」。
   ツポレフ160爆撃機に乗組んでいるロシア空軍のクルーたちは、航法の計算に、特製の「計算尺」を使っている。その模様が動画で公開されている。

 米軍や米国の工科系大学でも1970年代の前半までは計算尺を使っていたが、急速に電卓に切り替わったものだ。

 だが露軍のジェット機内では今も計算尺が現役なのだ。それがベラルーシ上空をパトロール飛行している。Tu-160の最大速力はマッハ2。計算尺の使い方が悪かったら、どんな不測のトラブルを起こしてくれるのか、予見ができない。

 米空軍の士官学校では、E6Bという、円形のアルミ製の計算尺で航法を計算させる授業がある。ロシア式の直線状の計算尺よりも、進歩したものであるという。

 露軍に詳しい人いわく。計算尺にもメリットがある。たとえば、湿度や気圧が変化すると、それにつれて、燃料消費はどのように変わるのか。素早く簡単に知ることができる。電源は一切不要。遠くで核爆発が起きても、内部の回路が壊れることはない。

 1976年に函館空港に奇襲着陸した「ミグ25」のべレンコ中尉を思い出そう。彼も、日本の防空レーダーとF-4ファントムの機上レーダーをすべて回避するための最善の飛行コースを、1人で計算尺を使って決めていた。たとえばマッハ3を出した場合、燃料消費は箆棒な率になるから、計算もしないでスロットルを動かしていたら、ソ連軍パイロットは長生きできない。

 「ミグ25」は、EMP対策として、意図的に真空管も用いていた。トランジスタ回路よりも、電磁波パルスの悪影響を受けにくいからであった。

 ロシアの軍関係者は、常に核戦争を大前提としているのだ。戦略爆撃機「ブラックジャック」のクルーが計算尺を使うのは、彼らとしてみれば、あまりにもあたりまえのことなのだろう。

 ※地下空間の蛍光灯は、爆圧で割れてしまいやすいという一大欠点がある。核戦争が起きる前に、早く、ぜんぶLED管に交換しておくべきだろう。



ウクライナ軍がいよいよロシア製AFVに対して米国製のジャヴェリンを使い始めた。

 ストラテジーペイジの2021-11-23記事。
   米空軍のWC-135は、他国が実験した核爆発や核事故の正体を窺知するため、空中の塵を採取する機材として、1960年代から飛んでいる。

 ぜんぶで11機が製造されたものの、今は、たった1機だけが現役だ。そしてその1機は、西太平洋に張り付いている。いつでも核実験しそうな対象国は、北鮮ぐらいだからだ。

 だが10月の後半、WC-135は、南支海岸を任務飛行した。
 人々は、こう疑った。
 南支の原発のひとつから少量の放射能が漏れているにもかかわらず、中共当局は、その炉を停止させないばかりか、却って漏出レベルを緩めさせる指示を出している。国内の電力需要に比して総発電量が不足であるためだ。

 だがWC-135は大きな漏出を検知しなかった。
 そして判明した。
 じつはこの飛行機は、南シナ海で船体を破損させたSSN『コネチカット』から放射能が漏れなかったかどうかを、調べたのであると。

 『コネチカット』は浮上してゆっくりと2週間かけてグァム島まで戻っている。

 なおこの水中衝突事故に関して、艦長、副長、先任兵曹長の3名が解職されている。航法手順は無視されており、乗員の訓練もなっていなかったようである。

 2006年に別なSSNが海嶺に激突した事故では、VMS(デジタル海図)のアップデートをしそこなったか、アップデートしていたのにそれを正しく利用していなかったことが事故原因だったようである。

 次。
 Chad Garland 記者による2021-11-23記事「Navy security officer arrested on sex trafficking charge in Virginia」。
    火曜日、勤続27年、47歳のチャールズ・クランストン海軍中佐が、リッチモンド市近くのヘンリコ郡警察によって逮捕された。
 売春婦の不法入国就労を手配し、客を斡旋してカネを稼いでいた容疑。

 もとからの将校ではない。最近まで、ノーフォーク軍港にある米海軍連合艦隊コマンドの警務部門に在籍。「先任警衛兵曹(マスター・アット・アームズ)」として。FY2022に中佐昇進が決まったばかりだった。

 ※古株の兵曹からいきなり中佐へ昇進できる人事の仕組みがあるとは知りませんでした。

 ※すべての海軍には暗闇があるが、米海軍の場合、古手の兵曹がアルバイトとして売春宿を経営する。これは米国内だけでなく、海外基地の城下町でも、手広くやっている。組織として米海軍は、これを根絶する気はないようである。海軍の将校団は、下士官・兵の世界には干渉をしないのだ。今回の事案は、地元警察の目に余ったのか、あるいは、海軍将校団の、この特務士官に対する嫌悪感がリミットを越え、地元警察に動いてもらったという可能性もあるだろう。

 次。
 Patrick Howell O’Neill 記者による2021-11-23記事「NSO was about to sell hacking tools to France. Now it’s in crisis.」。
    フランス外務省が、イスラエルの「NSOグループ」から、「ペガサス」というスマホ監視ソフトを、大金を払って購入しようとしている――という報道がなされ、仏政府は足元に火がついている。

 というのは「ペガサス」は、世界の人権無視政府が、自国内の政治家やジャーナリストや人権活動家たちのスマホをこっそりと監視するためのスパイウェアとして、悪名高いからだ。

 米商務省は今月、「NSO」社を制裁リストに加えている。もし米国人がNSO製品を買えば、処罰対象だ。

 「ペガサス」を公然と調達している西側国家としては、ドイツ、スペイン、メキシコがある。
 組織犯罪やテロの取り締まりには、ほぼ理想的なツールだからだ。
 メールのやりとりだけでなく、スマホに保存されている写真まで、こっそり取得できてしまう。

 次。
 『サウスチャイナモーニングポスト』の2021-11-23記事「 Chinese hypersonic test included path-breaking second missile launch, say US reports」。
   6月27日のテストで、中共は、マッハ5で飛翔する「母機」からミサイルを分離・射出してみせた。
 分離されたその「子ミサイル」はロケットで動力飛行し、南シナ海に突入した。

 この特だねは『フィナンシャルタイムズ』と『WSJ』が報じている。

 第一報は『FT』紙で、週末。
 それを『ウォールストリートジャーナル』紙が月曜日に裏付けた。

 27日の実験は、まず弾道弾のブースターを北向きに発射。その弾頭部は、地球を半周以上して南から南シナ海上空へさしかかり、ハイパーソニック滑翔弾となり、「子ロケット」を分離。その「子ロケット」は、何もない南シナ海に墜落した。母機のハイパーソニック滑翔体はそのまま飛び続けて、内モンゴル砂漠に落下した。

 次。
 Joseph Trevithick Thomas Newdick Tyler Rogoway 記者による2021-11-22記事「China’s Hypersonic Mystery Weapon Released Its Own Payload And Nobody Knows Why (Updated)」。
    『フィナンシャルタイムズ』は11月21日号にて、6-27の中共HGVはマッハ5以上で飛びながら「ペイロード」を分離投射してそのペイロードを南支那海に落としたと報じた。「子弾」を分離した高度は、大気圏内であった。

 打ち上げブースターは「長征2C」だったと考えられている。
 HGVはFOBS軌道をとった。

 ※これは報道されていない「X-37」(無人宇宙爆撃機)による能力誇示が先行していると私は見る。ロシアはそれをSAMで撃墜しようと敵愾心を燃やしていて、この前のASAT実験を強行した。かたや中共は、「俺たちにもX-37と同じことができる」と主張したいのだろう。米空軍には特に慌てる様子が無い。とっくの昔からX-37にはFOBSやHGV以上の仕事ができるのだろう。

 中共HGVから分離されたペイロードだが、ペンタゴン内部の幾人かは、それはAAMだったのではないかと想像しているという。だが記者は疑う。それは合理的ではない。※オフザシェルフのAAMでは強度不足ですぐ壊れるはずである。空気抵抗で。

 核爆弾の模擬弾だったと想像する方が合理的だろう。中共は《米軍のMDなど無駄だぞ》とデモンストレーションしたいのだろうから。

 『FT』によると、落下した海上には何の「標的」もなかった。

 米空軍は1960年代に「X-20 Dyna-Soar」という有人のハイパーソニック爆撃機を計画したことがある。メーカーはボーイング社。
 中共分析プロのアンキット・パンダは11-22にSNSに投稿した。中共は「X-20」の無人版を試作したのではないか、と。



みなさんタイヤは換えましたかい?

 コロラドエンサイクロペディアの記事「Columbine Mine Massacre」。

   1927年11月21日、コロラド州の民兵隊が、ウェルド郡のセレン町にて、炭坑夫のストライキ集団に向けて銃を発砲。6人を殺し、20人を負傷せしめた。
 コロンバイン虐殺事件と呼ぶ。

 合衆国ではその13年前に、ルドロウ虐殺事件というのがあったが、労使対立の構造はその頃から変わっていなかった。

 コロラド開発の初期には、山師たちは金銀などの貴金属鉱脈を捜し歩いた。しかし19世紀後半になると、鉱山所有者に最大の富をもたらす鉱物は、石炭となっていた。

 石炭が近代産業の基本燃料だった。それなくして、金属鉱物の精錬もできないし、鉄道レールの鋳造もできない。

 またデンヴァーのような都市部では、石炭が冬の暖房を成り立たせていた。

 東部とは事情が異なって、コロラドの炭鉱業は、少数の企業だけで寡占していた。代表的な2社は、「コロラド燃料&製鉄社」と、「ロッキー山地燃料社」である。

 坑夫の仕事はキツくて危険だった。1920年代といえば、もう労働運動の長年の成果もあがっていて、坑夫の労働環境は相当に改善されてはいたのだが、それでも、1日の労働時間は12時間であり、週休は1日のみであった。

 坑内の炭塵は坑夫たちを肺病に罹らせた。「黒肺病」と呼ばれた。
 落盤や出水事故、坑内火災もザラであった。

 炭層からたちのぼり、坑内に充満するガスも危険だった。だから毎日、操業を開始する前には、坑内の空気が点検された。
 点検がいいかげんだと、炭鉱ガス爆発が起きる。
 1884年のジョーカーヴィル炭鉱の坑内爆発事故、それから1896年から1918年にかけて三回大爆発事故を起こしたヴァルカン炭鉱も有名だ。

 20世紀前半、この危険な職場で労働組合が結成されたのは自然な流れだった。
 ルドロウ炭鉱には1914年にUMWAという産別組合が定着したのだが、揮わず、1920年代には撤退した。代わってIWWという過激なユニオンが入り込む。IWWは共産主義を理想視していたので、1910年代後半から20年代にかけて、新聞や州政府と敵対する。

 1927年8月23日、マサチューセッツでサッコとヴァンゼッティが死刑に処された。この2人はイタリア移民で無政府主義者だったが、殺人犯容疑に関しては無実だった。

 この件に、移民の組合員が多いIWWが反応し、コロラド州では炭鉱ストを打った。サッコとヴァンゼッティへの連帯をあらわすストだという。まる1日の職場放棄に1万人が参加。

 その後、IWWの要求は、日給6ドルを7ドル50セントに賃上げすること、各坑夫の掘り出し作業量を計量する係としてユニオンの者を雇うこと、労使合議委員会を置くことなどにあらたまる。

 10月時点でコロラド州全土で8400人の坑夫がストライキを続行していた。知事のアダムズはIWWを認めず、ストは違法であると宣言した。

 コロンバイン炭鉱では、数百人の組合員のかわりに、150人の「スト破り」を雇い入れることで、かろうじて操業を維持していた。
 この炭鉱は1919年に「ロッキー山地燃料社」が開発したが、1923年には出炭量で州最大となり、それにつれて坑内の死亡事故が増えていた。

 IWWは扇動者を派出して「スト破り」労働者を攻撃させようとするので、会社が雇っている武装警備員は炭鉱城下町のセレンを要塞化して、扇動者を締め出し、「スト破り」たちの身体を保護しようとした。
 冬の石炭需要期が迫り、労使間の緊張は高まった。

 11月21日、組合員炭坑夫とその妻ら500人がセレンのゲートに向かい、行進。スト破りの坑夫たちが坑口へ出勤するのを阻止しようとした。

 アダムズ知事は、会社の武装警備隊の応援として、コロラド州兵(テキサスレンジャーズに倣ってコロラドレンジャーズと称していた。志願制の警察軍)を現地に派遣していた。

 デモ隊が町の入り口ゲートを強行突破しようとし、コロラドレンジャーズは催涙ガス弾を発射した。
 デモ隊の前衛は投石に加えてナイフで立ち向かってきた。デモ隊の後衛には、銃器を持った一団がいたが、先頭には立っていない。

 ついに警察軍は、デモ隊前衛に向けて銃器を発砲。
 デモ隊側にいわせると、それは「機関銃〔たぶんトンプソンSMG〕の十字砲火」だったという。

 2名がその場で即死。4名は負傷後に死亡。他に20名以上が被弾負傷した。
 会社警備員と警察軍側にも負傷者が出た。

 その後も州政府はIWWを認めなかったが、その要求した坑夫待遇の改善には同意した。
 コロラド州でのスト騒動が終焉したのは1928年5月である。

 「ロッキー山地燃料社」の新社長は女性で、週給を7ドルに上げてやり、UMWAを会社の公認組合とした。



人々の疑問に大手新聞が答えず、ユーチューブ番組が応えている例。

 Sabine Hossenfelder 氏による2021-11-20の語り「The 3 Best Explanations for the Havana Syndrome」。
    ※これはユーチューブ番組のテキスト起こしである。

  「ハヴァナ・シンドローム」は2016後半、在キューバの米国外交官たちがさまざまな謎の健康不調を愁訴したのが早い報告だった。

 続いて、在シナ、在ロシア、在オーストリーの米国外交官たちも、類似の愁訴を始める。ついには米首都、ホワイトハウスの近くでも症例が報告された。

 特に酷くやられたのは、モスクワで仕事をしていたひとりのCIA職員で、彼は退職を余儀なくされた。

 数週間前、また新しい症例がニュースになった。ひとりのCIA職員がインド訪問中に具合を悪くしたというのである。

 ハバナ症候群のすべての健康被害愁訴者に共通しているのは、繰り返し「音」が聞こえるというもので、しかしながら、その音源については、皆目、分からないのである。

 どんな音か? APの記者が、録音を取得した。録音された場所は、在キューバのひとりの米外交官の私邸内であるという。
  ※ユーチューブのコンテンツでその音を再生できるようだ。

 ただし、キューバに赴任して体調を悪くしたすべての米政府職員が「ミステリアスな音」を聞いているのではない。
 また、ここで録音が公開された音と同じ音が、他の健康被害者たちをも病気にしたのかどうかも、確かめられてはいない。

 医師たちは、ハヴァナ症候群を説明するには、三つの仮説があり得るという。
 ひとつ。集団ヒステリー(噂に怯えた者の思い込み)。
 ひとつ。マイクロ波(高周波の電波)。
 ひとつ。超音波。

 集団ヒステリー仮説は、在キューバの外交官らに関しては否定されている。現地で米軍病院の某医師が診断し、ほとんどの愁訴者の「内耳」がじっさいにダメージを受けていることを確認した。あきらかに、外部からの「力」が、内耳に作用したと考えられるという。

 ただ、この症候群を発症する前の患者の内耳の健康状態のデータが不完全で、ロクに揃ってはいないために、患者がいつそのダメージを蒙ったかを、特定することができないという。

 ※日本外務省は海外赴任予定職員の内耳の写真を出張前に撮影してデータ保存しておくべきだね。用心に越したことはないから。

 米国で2018年、この症候群について調べた作業は、しょうもない水準であった。
 しかし2019年に神経学者たちが『全米医学協会雑誌』に寄稿したものは、説得力ある証拠を示している。

 その研究チームは、ハバナ症候群に悩んでいる米政府職員40人の脳を核磁気共鳴撮影。それを、別な48人の無関係な患者(ただし年齢、性別、学歴ができるだけ比較対照に似ている人)と比較してみた。

 何が判ったか。
 両グループの灰白質には、なんらの顕著な差異も認められない。
 思考や企図にかかわる実行制御分ネットワーク(executive control subnetwork)領野についても同様。

 だが、白質に、顕著な差異が認められた。白質は、ニューロン同士を結びつける組織を内包する。
 ハヴァナシンドロームの患者たちは、この白質が、縮んでいた。ふつうの人よりも、体積にして、27立方センチ、白質が減っていた。これは白質の総体積の5%が失われていることを意味する。

 ※3センチ×3センチ×3センチだな。

 この発見の「p値(有意値)」は、0.001以下である。※とうてい偶然だとは考えられぬ、という示唆。

 また、脳の左右半球のあいだのつながりに関して、ハバナ症候群の患者たちは、あきらかに「より低い平均拡散」(lower mean diffusivity)を示した。 ※MRI業界の術語らしい。
 それが何をもたらすかは未解明だが、他の人と比較してこの差異があることだけは、p値が0.001以下で、あきらかに有意と思われる。

 聴覚をつかさどる脳領域の機能結合も、低下していた。そのp値は約0.003である。
 ※p値が0.05よりも小さいなら、まず偶然ではないと人を説得できる。

 空間識をつかさどる脳領域の機能結合も、低下していた。そのp値は0.002である。

 これらの数値から、論文の主筆者は『NYT』記者に説明した。ハバナ症候群の愁訴は、心因性や精神性の想像産物だとはほとんど考えられぬ。リアルに実在する障害だ。

 キューバでハバナ症候群にかかった最初の患者の話は、半年間、報道機関に漏らされてはいなかった。
 しかるに、その半年のうちに、セベラル人の同じような愁訴をする患者が病院にやって来ているのだ。このことは、ハバナ症候群が集団催眠術ではないという情況証拠になるだろう。
 それらの患者は口々に、奇妙な鋭い音が聞こえるといい、ただしどこからやってくる音なのかは特定ができないと訴えた。

 ではこの病状を引き起こしたのは、マイクロウェーヴなのだろうか。
 冷戦中、モスクワの米国大使館は、46時中、マイクロ波で覆われていた。ソ連当局の狙いはよくわからなかったが、米国外交官を病気にしてやろうとしたのではなく、信号防諜の意味があったのだろう。つまり、米国大使館の敷地内の傍受アンテナで、モスクワ市中をとびかういろいろな無線信号を採取されるのを邪魔してやろうとする目的の電波輻射であった。

 しかし1970年代に、駐ソ連大使のウォルター・ステッセルは、ひどい病状を呈した。眩暈と貧血。片目の出血。これは一体……。

 今日、秘密解除されている公文書によれば、1975年にヘンリー・キッシンジャーは、ステッセルの病気がマイクロ波と関係があるとみなしていた。そしてそのことは秘密にしておかなくてはならない、と電話で語っていた。
 ステッセルは白血病で死亡した。66歳。発病してからおよそ十年後である。

 では超短波の電波は、ハバナ症候群の原因か? 不審がある。ならばどうして「音」を感ずる? 人の聴覚には「電磁波」は聞こえないだろう?

 ところが、聞こえるのだ。
 米国の神経学者のアラン・フレイは1960年に、あるレーダー技師の耳には、マイクロ電磁波のパルスが聞こえるということを知った。そして確かにフレイ自身にも、それは聞こえたのである!

 そこでフレイはいろいろな実験をしてみた。
 たくさんの実験台の人たちに、低い出力の、マイクロ波帯のパルスを浴びせては、何か聞こえるかどうかを、尋ねたのだ。もちろん、安全な保護体制を講じた上でだ。

 結果、すごいことがわかった。

 みんな、電磁波であるパルス波を、音として知覚したのだ。それも健常者だけじゃない。聾唖者であっても、電磁パルスの「音」を聞くことができるのである。今日、この現象を「フレイ効果」と呼ぶ。

 電磁パルスが音として認識される機序は、フレイによれば、こうだ。
 まず電磁波の放射源からやってきたエネルギーは、人間の頭蓋骨の表面に近い組織にて、吸収される。
 その組織内で、吸収されたエネルギーが熱に変わり、短時間、昇温する。
 といっても、摂氏にして、僅々「500万分の1度」の温度上昇にすぎないのだが。
 それでも組織全体は、この昇温によって「膨張」し、またすぐに「収縮」する。

 この膨張と収縮が反復されると、圧力波が生じ、内耳の蝸牛を刺激するに至る。脳神経は、それを「音」として解釈するわけである。

 そのようにして人体内で創り出された「音」の周波数は、興味深いことに、人体が浴びたマイクロ波の周波数とは相関が無い。
 これは「共振・共鳴」現象なのだ。あなたの頭の大きさや、あなたの頭皮組織の振動特性が、特定の、聞こえる音を創り出すのだ。

 ハバナ症候群患者が訴える《怪しい音》の正体として、その起源がマイクロ波であることは、まったく、あり得るだろう。

 1970年代に、米国の電気技術の教授 ジェイムズ・リン は、みずからを実験台として、実験室内で、超短波を浴びてみた。
 そして何篇もの研究報告を公表している。彼が記述している自覚症状は、ハバナ症候群そのものである。

 サンディエゴ大学の、ベアトリス・コロム教授は長年、マイクロ波の健康におよぼす影響を調べている。そして、中共で酷い目に遭っている米国外交官たちを助けようと、助言をしている。
 BBCに対して彼女は説明した。外交官といっしょに海外で暮らしている家族は、市販の道具を使って、マイクロ波攻撃を受けているかどうか、確かめられるという。

 NYTの記事によれば、マイクロ波の輻射装置は、誰かを密かに攻撃する兵器としては、サイズが大きすぎるきらいがあるという。
 しかし国家機関やそうした分野のプロが製作すれば、その輻射装置を、ヴァン型商用車の車内に、収められるだろう。その乗用車を、敵性大使館の近くに位置せしめればよいのだ。

 最後に残る疑問は、そんなイヤガラセ攻撃をしてロシアや中共にはどんな得があるのか、だ。

 いくつかの国では、暴徒を遠ざけるための警察の装備として、超音波発生装置が採用されている。これについて全米聴覚医学会は昨年、警告した。その超音波を浴びせられることにより、いろいろな障害や後遺症が出るおそれがあるぞ、と。列挙されている症状は、ハバナシンドロームと大きく異ならない。

 2018年にミシガン大学の研究者たちは、一仮説を唱えた。中共のスパイ道具として超音波を発するものがあって、それが複数仕掛けられると共鳴が生じ、耳に聞こえる音になるのではないかと。つまり、仕掛け方が下手であるためにバレるのではないかと。
 この仮説の難点は、すべての拠点でシナ人スパイは下手ばかり打っているのかという反問を解消できないことだ。

 英国リンカン大学のフェルナンド・モンテレグレ教授は「こおろぎ」の専門家。彼は、ハヴァナ市内で録音された、その謎の音響は、「インド短尾コオロギ」の泣き声と、音波形がマッチする、と主張している。

 中共国内で報告された「ハバナ症候群」は、キューバでの被害が公けに報じられた後の報告なので、あるいは、そっちに関しては、集団ヒステリーかもしれないという疑いの余地はある。



進化論と戦術

兵頭二十八の放送形式 Plus

 わたしたちの現実世界では、すぐ先の未来に何が起きるか――すらも、完全な予測はできないものです。
 あなたが最善だと信じて選択したコースの結果が、よくなかった――ということは、しばしばあるでしょう。
 第二次大戦の後半、旧ソ連軍は、東部戦線のドイツ軍を西へ向かって押し返すときに、北から南まで連続して延びている長大な対峙線の、どの一点を次に突破するのかは、あらかじめ決めないようにしておくことが、有効であると学びました。

 全線をほぼ同時一斉に圧迫し、すべての箇所で、浸透や突破を試みる。
 するとそのうちどこかで、ドイツ軍が防備をもちこたえられない場所が偶然に見つかり、そこで小規模な前進が成功します。
 ソ連軍司令官は、その「現にうまくいっているように見える場所」に、手元に控置していた予備のありったけの兵力を注入して、戦果を拡大しました。

 この流儀は、進化論の智恵そのもので、豊田章男氏(トヨタの会長)がさいきん言っていることにも近いものなのです。

 すなわち「脱炭素」を実現するために何か特定のアプローチ(たとえば乗用車に関しては完全な電動自動車化、発電方式に関しては再生エネ)を、政府の智恵の足りない少数者が「これがベストだ」「これしかない」と信じ込んで闇雲に選別してしまい、全国民にそれのみに限った努力をおしつけ強制せんとする流儀は、進化論的に非合理的で、みすみす国家的な不利益を背負い込み、とりかえしのつきにくい損失を国民の行く末に課してしまうおそれがあるのです。

 進化論的に政策を推進するようにしたら、このような「騙されやすい政府が善意のつもりでハマってしまう禍害の陥穽」は、避けられるでしょう。

 すなわち、脱炭素のためのあらゆる方法を、各法人・各私人がめいめい自主的に多様に考えて追究することを奨励する。そのなかから、おのずから「他の方法よりうまくいく」方法が現れてきます。だんだんとそれを見定めて、政府は、じっさいに他よりもうまくいっている方法を、手厚く応援するようにして行く。
 この流儀こそが、かつてないチャレンジとなる目的を集団的に達成するためには、いちばん合理的なのです。

 なおソ連軍式に関してもうひとつ覚えておくとよいことがあります。
 攻勢作戦において、攻撃が頓挫してまさに全滅の危機に瀕しつつある味方部隊が幾つかあっても、上級司令部ではその地点をサクッと見捨ててしまい、決して増援部隊などは送らない方針を貫いたことです。

 突破と前進に成功している箇所に全予備をまとめて投ずるのが、攻勢作戦での全線勝利の鍵なのです。
 すでに攻撃が頓挫し停滞していると判明した箇所に、貴重な有限資源をあとから分割投入してはいけないのです。

 ソ連崩壊後のロシア経済――とくに2010年よりも前――は、このソ連軍式の適用をしなかったせいでうまくいかなかったのか、それとも、まさにこのソ連軍式を経済行政に採用してしまったがために破滅的な結果を招いたものなのか、そこを知りたいとは思っているのですが、わかりません。

 さて、進化論については、ほぼすべての人が、一知半解です。
 にもかかわらず、おおぜいが、じぶんは進化論を十分に知っている と思い違いをしているところから、癌患者が伸ばせるはずの寿命を、むざむざ縮めてしまっているよ—と啓蒙する本が訳刊されています。

 キャット・アーニー氏著、矢野真千子氏tr.『ヒトはなぜ「がん」になるのか――進化が生んだ怪物』(Kat Arny“Cancer, Evolution and the Science of Life”, 2020. 邦訳/河出書房新社 2021)が、それです。

 ある経済的な恩人からわたしはこの本を頂戴したのでしたが、一読して、すべての軍司令官はこの本を読む価値がある—と、膝を叩きました。対ゲリラ作戦を組み立てるときのヒントに満ちているからです。

 人体にとって、癌細胞は「敵」です。しかし通常、36歳以下の若い人のカラダは、その「敵」が爆発的に増殖することをゆるしません。
 じつは健康な若い人も、癌細胞を体内に抱えているのです。いるけれども、国家の治安力のようなものが働いていて、その身中の敵の爆増を許していない。癌細胞があっても、それが増殖しなければ、ヒトは、健康でいられるわけです。国家のどこかに犯罪者予備軍が存在するが、その跳梁は、力のバランスによって抑止されているようなもの。見かたを変えますと、社会と敵とのしずかな共存状態になっているのです。

 成人が、もはや子どもをつくれない年齢にさしかかると、体内の癌細胞の増殖を抑える力は、弱まります。というのは、生き物のDNAにとっては、子孫を残すことが優先順位の最上位ですので、子孫を増やせなくなった年寄りの個体は、もう死んでくれてもいいからだそうです。

 それで、老人の体内を仔細に調べれば、ほぼ全員、どこかに癌細胞を持っているのが見つかるそうです。

 しかし、その癌を悪化させることなく長生きして老衰死する老人もいる。本人は、病院で医者から指摘されないかぎり、じぶんの体内に癌細胞があるとは知らないで、一生を送るのです。

 体内に癌細胞はいくつもあるけれども、それが爆発的に増殖しない。それがじつは、「健康」の真相であったのです。

 ということは、人体内の「癌細胞を根絶してやろう」という医療の目標設定は、根本的な誤りです。

 若い人のカラダがしぜんに実現できていたように、敵との共存状態を、老人になっても、できるだけ長く維持させる。癌細胞は存在しているけれども、それを爆増させないように保つ。それこそが、成人医療の目標設定であるべきだったのです。

 そこで大事なことは、敵は一枚岩ではない、というリアリティの把握です。
 敵集団の中に、必ず、マイノリティが混じっている。
 じつは、敵も「多様」であったのです。

 敵集団の中に、複数のマイノリティが混在し、敵集団の中でも「三すくみ」のような「力の均衡」状態が生じていた。それがあるおかげで、癌細胞集団ぜんたいとして正常細胞にうちかつことはできず、どの癌細胞も爆増できないでいるのです。

 もし、正常細胞に炎症(たとえば煙草を猛烈に吸えば肺は炎症状態になります)などの攪乱が加えられると、正常細胞と癌細胞の「力の均衡」が崩れ、癌細胞にとっては爆増のチャンスが到来します。

 そしてそれだけでなく、特定の癌治療薬が投与されたときにも、癌細胞集団の中の「力の均衡」が崩れて、いままで逼塞していたマイノリティの癌細胞が、驥足をのばして、あらたに爆増することになってしまうのです。

 既視感におそわれないでしょうか? 中東情勢は、これと似たところがありませんか?

 米国がイラクのフセイン体制を打倒したら、それまでイラク国内の統治者集団だったスンニ派が失業して、やむなくアルカイダを結成し、かたやイラン(シーア派本尊)を憎んでやまない米国がサウジアラビア(スンニ派本尊)を甘やかした結果、アルカイダが世界じゅうに転移し、タリバンが強化され、さらにISという変異株まで生んだ。

 米軍がISを叩けば、イランから後援されているフーシやヒズボラやハマスが元気になって、サウジアラビアやイスラエルをテロ攻撃します。

 アルカイダのテロ攻撃を受けた米国が、サウジアラビア人のビンラディンをかくまったタリバン(アフガニスタン民族主義運動にしてスンニ派)を弱めようとしたら、表向きタリバンではないという地方ボスが芥子畑経営を米軍からなかば公認され、その巨額の麻薬収益が賄賂やタリバンの軍資金となって、アフガン政府・軍・警察を骨の髄から腐敗させ、けっきょくは元の木阿弥。

 近年までの癌治療は、海外の前近代的部族社会と似たこのような「力の均衡」のリアリズムを敢えて無視してきました。そのために、癌治療の延命成績も、みすみす、悪くされていたのです。

 本書は、くりかえし、強調しています。
 ある人の体内の癌細胞は、その出現の最初から、すでに多様である、と。

 多様であるために、一種類の抗癌剤で、絶滅させることは、ぜったいにできないのです。

 本書の白眉は、この真相に気づいた医師たちが案出している、薬に耐性をつけてしまった癌細胞を爆増させないための、さまざまな新戦法です。

 たとえば、「囮薬」。
 古くからある高血圧の薬、ベラパミルには毒性はほとんどない(したがって患者にもやさしい)。それを、癌治療薬に耐性をもっている癌細胞にふりかけると、その細胞は、分子ポンプを総動員してフルスピードでベラパミル成分を外へ押し出そうとする。それにかかりきりとなるために、もはや増殖のエネルギーが残りません。

 その結果、抗癌剤に耐性のない癌細胞が数的に優越している、つごうのよい状態が維持されてくれる。
 これが、患者の寿命をいちばん延ばす—といいます。

 その耐性のない癌細胞を、敢えて全滅させない。増殖させずに存在だけさせておくのです。
 非耐性の癌細胞が腫瘍内でマジョリティとして存在し続けるから、ライバル関係の耐性癌細胞の方はいつまでも驥足を伸ばせず、爆増できない。耐性細胞は、その耐性を発揮するために余計なエネルギー消費をしていますので、そのままなら、けっして爆増はできないものなのです。
 非耐性の癌細胞を除去してしまったら、そのときは、耐性癌細胞が爆増します。なぜなら、それまで非耐性細胞の存在が、耐性細胞の増殖を抑制していたからです。耐性癌細胞にとっての「制がん剤」は、非耐性癌細胞なのです。

 この考え方を、「ゲイトンビーの適応療法」というのだそうです。

 イスラエルがガザ地区で展開している作戦は、この方針に近いようにも思えます。定期的に、ハマスの幹部だけ殺し続ける。イスラエル軍にとって、パレスチナ人を絶滅させることはたやすいでしょうが、敢えてそんなことは考えないのです。ハマスという、過激だが一面でくみしやすい分子をほどほどに除去し続けることによって、ハマスよりも有能な脅威かもしれない新手のテロ集団はガザ地区内ではいつまでも成長しないのかもしれません。

 本書は教えてくれます。植物も同じだよと。
 つまり、農薬に耐性をもつ雑草は、ふだんは、農薬に屈しやすい雑草よりも優勢になることはありません。耐性を発揮するために使わざるをえないエネルギーの消費負担が大きいからです。そのため増殖のために使えるエネルギーの余裕はなくなっていて、ずっと小さな集団のままで推移するのです。
 しかしもしも、農薬に屈しやすい雑草が根絶されてしまったなら、その瞬間から、耐性種にはライバルがいなくなるので、じぶんたちの天下となって、爆増できることになるのです。

 「カクテル療法」も、ヒントに満ちています。
 1950年代からあり、複数の抗癌剤を組み合わせる、多剤併用法だそうです。

 たとえばウイルスが三つの異なる薬に同時に耐性をつけるよう進化する確率は、1000万分の1しかないそうです。
 だから、三剤か四剤まで薬を増やせば、一個の癌細胞がすべてのメカニズムに耐性をつけることはまずありえないという考え方。

 たとえば野鼠にとって、鷹に食われないように適応する方法はあるでしょう。そしてまた、蛇に食われないように適応する方法もあるはず。しかし、鷹にも蛇にも食われないようになる、そのような都合のよい適応や進化は、なかなかできないものでしょう。
 わが国の領土である島嶼を侵略してきた敵兵を全滅させるためには、やはり空からも陸からも同時に逆襲するのが、確実になるのでしょう。

 《効いている攻撃方法を、そのままダラダラと続けてはいけない》という戒めが、最近の癌治療の化学療法の分野にはあるようで、これも知っておく価値がありそうです。

 まず「第一の薬」を与えて、その「第一の打撃」で大量に癌細胞を殺す。ただし、全滅させようと望んではいけません。全滅するまで同じ薬の投与をしつこく続けようとするのが、癌との戦いでは、最悪手になるといいます。癌は、かならず進化するからです。

 まず第一の打撃により、敵集団の個体数と遺伝子多様性を減殺するのです。
 が、少数の癌細胞は生き残っている。でも、いいのです。そいつらは、一番目の薬剤を細胞外へ追い出すのに多大なエネルギーを使ってしまっているので、疲労困憊の状態です。肩で息をついている。
 そこで、早いタイミングで、サッと別の作用機序の薬に切り替える。これが「第二の打撃」。
 第一の打撃に耐えて生き残った癌細胞は、この別種の新打撃に対応する体力の余裕を、残していません。
 念のため、さらに、第三、第四の別種の薬に、テンポよく切り替えて行き、四回連続で、たてつづけに別種の打撃を与えるようにすれば、四種のまるで成分の異なった薬に耐性を発揮して生き残るような癌細胞は、ほとんどない—という次第です。

 このとき、一番目の薬が効いているからと、それをダラダラと使い続けると、癌細胞が耐性をつけてしまうのは、時間の問題。ですから、同じ攻撃法を長く続けることは、有害なのです。

 『孫子』は、《敵が進化する》ことを、ちゃんと警告してくれていました。

 『孫子』は「拙速」を強調しました。この「拙速」は、攻める拙速ではなく、撤退の拙速のことです(詳しくはPHP刊の兵頭著『新訳 孫子』を参照)。

 遠征軍は、決して、敵国内に長くとどまったらいけないと言っているのです。
 どうしてでしょう?

 どんなに弱っちい現地軍であっても、侵攻してきた占領軍が長居をすれば、占領軍の弱点を理解するようになり、ゲリラがそこを衝けるようになるからです。敵が早く進化し、「耐性」をつけてしまうのです。

 イラクやアフガンに長居をした米軍は、どうなったでしょうか?

 「一撃離脱」の外征戦争を繰り返すようにすれば、敵が「耐性」をつけてしまうリスクはありません。
 これが『孫子』の教えなのですが、わたし以外に、誰もそこを正しく読めていませんね。残念なことです。

 アメリカ人は、中東での敗因を依然として言語化できていません。そのままですと、また同じことをやりそうですね。



ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物


[新訳]孫子 ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法

(管理人Uより)

 兵頭二十八の放送形式 Plusは当サイトが兵頭先生へお金をお支払いして記事を発注する企画です(微々たる額しかお支払いできていませんが)。

 因みに兵頭二十八先生の傑作『[新訳]孫子 ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法』は、Kindle Unlimited会員なら0円で読めます。


退職自衛官たちがベンチャーを起業しないという覇気の無さが、日本の問題なのである。

 ストラテジーペイジの2021-11-21記事。
   ポーランドは、ロシアによる侵略戦争の脅威に直面して、国防軍の規模を、倍増するしかなくなっている。まもなく、トルコを除けばNATO内で最大の30万人規模に膨れ上がる見通しだ。

 現在のポーランド軍は、陸軍11万人、空軍1万6500人、海軍7000人、特殊部隊3500人、憲兵4500人、総司令部と支援部隊に9000人といったところ。

 そのうち陸軍の構成は、4個師団+5個独立旅団、支援部隊、そして総勢3万人強の地域防衛軍(郷土防衛隊)だ。

 規模拡大によって、常備軍は25万人、郷土防衛隊は5万人になるであろう。
 すごいのは、これが全部、志願兵なのである。ポーランドには徴兵制は無い。

 あらたに志願兵を募ると同時に、志願兵の一任期の長さを延ばす。

 ポーランドはすでにGDPの2.2%を国防費に充てている。金額にすると131億ドルである。
 これと並ぶ努力は、NATOの欧州加盟国では英国のみ(同じくGDPの2.2%)。

 ちなみに米国はGDPの3.7%、ロシアは4.3%を国防費に充てている。

 非欧州だと、たとえばインドはGDPの2.9%、韓国は2.8%、豪州ですら2.1%を国防努力に投じている。
 (北鮮はおそらく25%を割いているが、その分母のGDPのサイズは韓国の5%でしかない。)

 金額で見ると米国の軍事費は全世界の軍事費の39%にもなる。それは米国に続く14カ国の合計よりも大きい。

 ポーランドの立場は、国軍が必要とする兵器弾薬のほとんどを輸入に頼るサウジアラビア(GDPの8.4%を国防費に支出)とはずいぶん違う。自国内で、一線レベルの軍艦を建造できるし、終末誘導できる長距離地対地ロケット弾もライセンス生産できるのだ。だから、国防費の多くは国内経済に流し込まれる。

 郷土防衛軍(TDF)は、米軍の「予備役部隊」と似ていて、毎年30日間だけ、訓練召集がある。これも志願制である。
 編制は旅団規模で、ポーランドの全16州と首都に、合計17個、置かれる。旅団は5個歩兵大隊から構成される。
 ※五単位制は、防御に適している。三単位制は、攻撃向きである。

 このTDFと同様の制度は、バルト三国にも在る。

 米国は、バルト三国とポーランドに、それぞれ1個大隊(1000人)をいつでも急派できるような態勢にある。しかしロシアの野心を阻止するのにそれで十分とは思えない。

 次。
 AFPの2021-11-21記事「12-year-old girl’s marriage causes stir in Iraq」。
   イラクで12歳女子の「児童婚」が法廷沙汰になっている。
 イスラム圏の各地では現在でも15歳未満の女子を親が強制婚姻させてしまう慣行が見られる。

 しかし今回のケースでは、母親が大反対したので裁判になった。父親が娘を誘拐したと訴えられている。

 イラクの俗世法では、合法婚姻可能な下限は18歳である。しかし宗教法では15歳まで可能とされ、慣行ではもっと低年齢でも「あり」だ。

 次。
 Pierre-Henry DESHAYES 記者による2021-11-19記事「First electric autonomous cargo ship launched in Norway」。
    完全に無人運航の、電池とモーターで動く貨物船が、ノルウェーの内航路線に投入される。全長80m、3200トンの小型貨物船(たとえば肥料入りの120個のコンテナを積める)が、ノルウェーの造船所でできあがった。

 巡航速力7.5ノットで、12kmの沿岸航路を往復する。
 これから数ヶ月、試験航海させてみる。

 従来の「機関室」は電池室になっており、充電容量は6.8メガワットアワー。テスラの自動車×100台分だ。
 ノルウェーは水力発電の電気が余っているので、この充電のために二酸化炭素が増えることはない。

 現況、海の船舶が放出している地球温暖化ガスは、全人類の放出する地球温暖化ガスの3%を占めている。

 ある海上交通の専門家氏いわく。電動式の商船は、短距離でルートが定まっている路線、たとえば短距離のシャトル便的なカーフェリーやタンカーであったら、すぐにも導入でき、じっさいノルウェーには多いのだが、長距離の外航船となると、難しい。

 自動航海も、とうぶんは、短距離の沿岸路線でノウハウを洗練しなければならない。
 充電用のインフラ整備の課題もある。

 次。
 2021-11-20記事「British Navy tests new .50 machine gun mounting system ASP」。
    英国海軍の『23型 デューク』級のフリゲートには、12.7ミリの単装舷側機関銃が備えられているのだが、このピントル式銃架が、まったくぶれないように半自動で安定し、命中精度を高めてくれる、最新のシステムに、このたび更新された。ASPと称している。

 このASPを使えば、小型のスピードボートに対し、非常に正確に射弾を送ることができる。
 従来は、こっちが揺れの大きいフリゲートで、相手が高速小型艇だと、めったに機関銃のタマは当たるものではなかったのだが……。

 次。
 2021-11-20記事「British Royal Navy tests drones which could be adapted to carry supplies and cargo to ships and personnel」。
    物資だけでなく、人間ひとりを吊り上げて、補給艦と軍艦の間を輸送することができる、強力で小型のマルチコプターを、英海軍は公募していたが、良いモノが見つかった。

 いちどに100kgを運搬できる。
 競争試作に勝ち残ったメーカー2社は、さらに、吊り上げ能力を、200kg以上に向上させると言っている。

 じつは英国では、シリー諸島のような沿岸離島部に郵便を届けるためのシステムとしても、ドローンが公募されて実験されていたのである。だから複数のベンチャーが国内で育っており、下地がある。



フィリピン軍はレバノンから中古の「AH-1」攻撃ヘリをタダで貰った。

 indomilitary の2021-11-20記事「Russia Successfully Destroys Spy Satellite in Low-Earth Orbit, Washington Immediately Disturbed」。
   11月15日にASATで爆砕されたのは「コスモス1408」だという。機能しなくなって久しいスパイ衛星であった。

 ロシア側からはほとんど情報が出ていない。米国務省は、ロシアが地上からミサイルを発射して撃破したと主張している。

 ミサイルの種類は「A-235 PL-19 ヌドル」だという。このミサイルは、高度800kmまでの衛星を何でも破壊できる。
 「ヌドル」ミサイルの飛翔スピードは、秒速3kmらしい。

 「ヌドル」は、ブースターが三種類あり、これは、標的までの水平距離と垂直距離に応じて変える。
 「51T6」というブースターを使うと、水平距離1500km、高度800kmの衛星に届く。
 「58R6」というブースターを使うと、水平距離1000km、高度120kmの衛星に届く。
 「53T6」というブースターを使うと、水平距離350km、高度50kmの目標に届く。

 ※高度50kmでは大気圏上層だ。これはFOBSの迎撃用なのか?

 ロシアは、米空軍が4機運用している「X-37」(無人スペースシャトル)を撃墜することに、非常な熱意を注いでいるようである。

 今日の、米軍が持っているMDシステムは、敵が弾道ミサイルを発射したのを探知してから、40秒ないし50秒後に、それを破壊するという。

 次。
 Jaroslaw Cislak記者による2021-11-19記事「Belarus’s “Little Green Men” [REPORT]」。
    ポーランド国境の手前のベラルーシ側の難民殺到地帯に、所属部隊も国籍もまったくわからなくした戦闘服を着用した男たちがウロウロしているのが、ポーランド側から視認されている。

 ロシアがウクライナ侵略に駆使した、グレーゾーン工作部隊のおでましだ。

 この覆面の特殊部隊兵士たちは、KGB(ベラルーシの国家安全委員会。げんざいのロシアのFSBの子分のような機関)によって指揮されている。

 国境に送り込まれているクルド難民どもは、全員が、ミンスクの空港からやってくる。その送迎をやっているのも、KGBなのである。