《note》 https://note.com/187326mg/  の最新リリースは、★《続・読書余論》ゲリラ戦 関係 摘録集 です。

 The Maritime Executive の2022-2-4記事「Cyberattack Disrupting Northern European Oil Hubs in Major Ports」。
    西欧の複数の港の原油荷上げ施設に対する、ロシア発と疑われるサイバーアタックが起きていた。
 まずドイツで、ついでオランダとベルギーから、事例が報告されていた。

 1月29日に、かなり高度なサイバー攻撃がドイツの「Oiltranking Group」と「Mabanaft」社を狙い撃ち。

 「BlackCat」というランサムウェアだという。

 米国東部の燃料パイプライン網を麻痺させた2021-5のサイバー攻撃のリバイバルだと、誰もが思っている。

 次。
 2022-2-5記事「Shock in France after giant trawler sheds 100,000 dead fish off coast」。

 オランダ船籍のトロール漁船『FV Margiris』は、世界で二番目にでかい漁船であるが、10万尾以上の死んだ魚を大西洋のフランス沖で海上に投棄しているところを環境団体によって写真撮影されてしまった。
 会社の説明によると、網が壊れてしまったのだと。
 巨大トローラーの網は、全長が1kmを超える。

 ※底引き網で海底パイプラインが破壊されたという事例は寡聞にして知らないが、通信ケーブルをロシアの「漁船」が錨で切断する荒業は昔から有名だ。次に来るのはこの事態かもしれない。


★《続・読書余論》ゲリラ戦 関係 摘録集


最新の《続・読書余論》 https://note.com/187326mg/  は、『ヒュースケン 日本日記』1989年 岩波文庫刊・他 です。

 Jim Crotty 記者による2022-1-30記事「Synthetic Drugs are Different, Our Response Must be Too」。

   過去20年で麻薬ビジネスは何が変わったのか。工業的に合成できる薬物の登場である。たとえばフェンタニルや、メタンフェタミン。

 もし、コカインやヘロインなど、芥子栽培が前提となる麻薬ビジネスを始めようとすると、広大な土地をじぶんの思い通りにできる必要があり、しかもその土地は、芥子栽培に適した気候帯でなければ、失敗する。

 ところが合成ドラッグにはそんな参入制約がないのだ。

 製造コストは低い。製造から貯蔵まで、隠しておくことも容易。
 運び屋の視点からすれば、パーフェクトなドラッグだと言える。

 消費者側から言うと、合成ドラッグは、オーソドックスなドラッグより、致死的である。

 合衆国では今日、合成ドラッグの過剰摂取による死者が、他のドラッグが原因の死者数を、上回っている。
 この犯罪がらみの暴力やテロ行為も、アメリカ社会をいちじるしく脅かしている。
 もはや米国人の安全保障にとって、最大の害悪源泉だと見てよい。

 2001年以来このかた、違法薬物に関連して殺されている米国人の数は、なんと100万人を超えているのである。
 特に、フェンタニルは、筆頭だ。その過剰摂取は、18歳から45歳までの成人死因の第1位。自動車事故死よりも多いし、犯罪暴力による死亡よりも多いし、新コロによる病死よりも多いのだ。

 フェンタニルの原料は、中国からメキシコに輸入され、製品は、メキシコの工場から北米の南西海岸へ持ち込まれる。

 メキシコの麻薬カルテルの筆頭は、シナロア一家と、GNJG。この2グループによる寡占支配である。

 そして米政府の調べでは、昨年、違法薬物を使った米国人は、8000万人以上。

 トム・クランシーには申し訳ないが、今そこにある危機とは、メキシコから来るフェンタニルである。このサプライを撲滅しなければいけない。

 2019に米政府は、フェンタニルをメキシコへ輸出するな、と中共政府にかけあい、その結果、中共製の違法薬物は減ったのだが、こんどはそのかわりに中共から前駆物質がメキシコへ輸出されるようになった。メキシコの工場でフェンタニルが製造されるようになったのである。

 提案がある。もっか、米国の沿岸警備隊は、南米から北米へのコカインの密輸出を集中して取り締まっている。その努力を、中共からメキシコに運び込まれるフェンタニルの前駆物質の阻止に、振り向けるべきである。

 これは、コーストガード船が太平洋域で中共の商船を監視するということだから、米海軍の対支態勢の助けにもなる。意義が二重に大きくなるだろう。

 ながらく米政府は、大量破壊兵器がコンテナ船に仕込まれて米国港湾に送り込まれるという悪夢と戦ってきた。だが数値を見よ。過去12ヵ月で、違法薬物は10万人の米国人の命を奪っているのである。これこそ大量社会破壊兵器ではないか。現実を見るがいい。

 イラクとアフガニスタンで米軍は、ある技法をマスターした。それは、自家製爆薬を手作りできる技能を有するごく少数の爆薬プロ職人を探し出すテクニックである。
 このすぐれた捜査戦法を、こんどは、メキシコでフェンタニル合成工場を操業している、少数のケミカル専門家たちに適用することだ。そやつらこそが、合成麻薬撲滅に直結する、キーパーソンなのだ。

 ※前の大統領のトランプが建設させたメキシコ国境の壁は、不法労働力の密入国は防いだが、ヤクの流入を減らせていない。ならば、彼はどうすればよかったのか? メキシコとの陸上交通を全面遮断し、メキシコからの米国入国は、必ず空港を経由しなければならない――ということにするのが、最善であっただろう。それで、自動車・トラックに麻薬を隠して持ち込むことは不可能になった。それで米側は、薬物取締りのマンパワーを空港に集中することで、違法ドラッグの流入を激減し得たと思う。もちろんそうすると、メキシコに工場を持っている米国資本は、海送か航空便で製品を米国内に搬送するしかなくなるので、商売が成り立たなくなる。けれども、トランプは「雇用も守る」「中国に出て行ったメーカーは反アメリカ」と言っていたので、ポリシーの首尾は一貫する。国境の陸路往来封鎖によって米国経済が蒙る物質的損失と、数万人単位の自国民の人命の救済を天秤にかけたなら、答えは明らかだと思うのだが、何ゆえ、米国の司法哲学は、この結論を避けようとするのであろうか?


★《続・読書余論》『ヒュースケン 日本日記』1989年 岩波文庫刊・他


摂氏50度のトンガ海岸で豪州海軍の揚陸用ヘリ空母『アデレード』が動力故障し立ち往生。水兵グロッギー。

 おまけに艦内で新コロに70人以上罹患していて参っているそうだ。

 ※この点、シナ海軍はちゃんと考えていた。「病院船」という名目で、実質、「海外派兵軍人のための休憩船」を用意した。これなら、病気が蔓延する外国の土地に寄港/上陸しなくとも、クーラーの効いた船内で、将兵がリラックス&リフレッシュできるわけである。わが国が「病院船」を造る合理性は無い。しかし、海外派兵自衛官のための洋上休息施設となるプラットフォーム船は、あっていい。それはいざというときは「隔離施設」にも供用できるし、普段は物資貯蔵船にしておける。平時の人件費は最小で、緊急非常時の融通性はMax。こういうモノを考えられるようでなくば、日本の造船会社の衰退もいたしかたないだろう。

 次。
 Florian CAZERES 記者による2022-1-31記事「Ukraine tensions jumble up Germany’s energy puzzle」。
   今、ドイツが輸入する天然ガスの、55%は、ロシア産である。これは2012年と比べると40%も増えている。異常な政策が採用されてきたのだ。※ちなみにメルケルは2005末~2021末の期間、ドイツ連邦首相。

 ドイツが消費する全エネルギーに閉める天然ガスの割合は、げんざい、26.7%だ。
 またドイツの2世帯に1世帯は、暖房が天然ガスストーブだ。

 という次第で、ドイツがロシアに経済制裁を加えると、ドイツの方が痛いという愚かしいことになっている。
 今のドイツ外相は、「ノルドストリーム2」も制裁アイテムに含まれていると明言した。
 このパイプラインには100億ユーロ=120億ドルが突っ込まれている。メルケルはこれによって、リニューアブルエネルギーがドイツの総需要を満たせないときにも安心だと考えたのだ。

 ただし現実には、ノルトストリーム2が運開すればドイツのロシアへのエネルギー依存は2倍になってしまう。ロシアに地政学的な兵器を与えてやるようなものである。欧州の政治評論家たちは、メルケルの政策は危険すぎると警告してきた。その通りになってしまった。

 ドイツ政府は、国土の2%に風力発電タワーを建設することや、あらゆる建物の屋根にソーラー発電パネルを設置させる大計画を推進中である。

 ある経済研究所の試算。原発を2022末にフェイズアウトさせ、2030には石炭火発もゼロにすると、ドイツはこれから8年間、必要なエネルギーの三分の一を天然ガスに頼るしかない、と。

 次。
 The Maritime Executive の2022-1-31記事「Los Angeles and Shanghai Plan World’s First Green Shipping Corridor」。
  上海市とロサンゼルス市は、長期的に、カーボンを排出しないコンテナ船の海上回廊を構築することになった。

 ※「上海~LA」航路が巨大コンテナ船にとってはドル箱路線なので、途中の日本の港にわざわざ大隈海峡から北上して立ち寄っている時間などは惜しい、という現象が既に発生している。そこで、中型~小型のスペシャルなコンテナ船が、日本のメーカーと商社専用に、必要になる次第だ。それはいったいどんな船内設備を持っていなければならないか、過去のブログを見て欲しい。

 次。
 最新の《note》 https://note.com/187326mg/  は、ケンペル著『江戸参府旅行日記』です。今、ロシアや中国は「鎖国」を目指している。メルケルは、ドイツの鎖国は不可能だと考えた。ところがプーチンはそう思ってないわけです。しからば、日本にとっては、鎖国がよかったのか、開国がよかったのか? 江戸時代を覗いた外国人の記事くらい、その参考になる資料はないでしょう。


★《続・読書余論》エンゲルベルト・ケンペル著『江戸参府旅行日記』1977年訳刊・他


■《note》 https://note.com/187326mg/  の最新Upは、日独伊三国同盟について米内光政を軸に見直したい人のための摘録集成であります。

 ただし小磯国昭の自伝摘録が今回は収まらなかったので、後日別な米内本を紹介するときにまたこの関連テーマで一挙ご紹介をしたいと思います。

 いまドイツ人が何を考えているか?「ロシア牽制のために中共が強くなって暴れてくれればいい」と思ってるんじゃないか。

 これは1930年代以降のソ連周辺諸国の外交オプションが、姿を変えてまた生長しているのだとも看做し得る。国防の死活的要請があるならば、敵国の反対国境に所在する好位置の「悪者」と軍事同盟するべきなのか? 米国もWWII中はスターリンと同盟し、冷戦期後半には中共と結託しました。

 次。
 BEN FOX and VLADIMIR ISACHENKOV 記者による2022-1-29記事「Russia’s risky options beyond full Ukraine attack」。
    2014にプーチンがクリミアを切り取った。同時にドンバス地方で武力内乱を起こさせたが、これですでに1万4000人もが死んでいる。

 ロシアは石油の生産量において、サウジアラビア、米国に次ぐ、世界第三位である。そしてヨーロッパ人が消費する天然ガスの40%を供給している。

 また、あまり注目されていないが、主として発展途上国向けに、穀物も大量に輸出している。

 ロシアからの輸出が止まれば欧州は迷惑するが、この迷惑は一回きりである。なぜならそんな経験をしたら二度と欧州人は、ロシアのガスには依存しようなどと思わなくなる。ロシアは「ガス禁輸」のカードを、優良顧客とともに、永久に失うのだ。

 プーチンは、北京冬季五輪の開会式に参席するという。


★《続・読書余論》豊田穰著『激流の孤舟 提督・米内光政の生涯』講談社 昭和53年刊


『くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!』は BOOTH のみにて絶賛発売中。

 2022-1-26記事「Thai cleanup underway after oil spill off eastern coast」。
   タイの東海岸の工業地帯。その沖合い20kmのところで、原油のパイプラインが裂けてしまい、16万リッターが漏出したと見られる。

 次。
 James Purtill 記者による2022-1-28記事「Direct air capture machines suck carbon dioxide from the atmosphere. Are they part of the solution to climate change?」。
   空気中の二酸化炭素を直接捕獲し、それを地中の岩石層に送り込んで閉じ込めてしまうという民間プロジェクトがすでにアイスランドで運開している。1年に数千トンの二酸化炭素を減らせるという。

 ある試算。オーストラリアが2年間で排出する二酸化炭素は10億トンである。これを森林によって吸収させるには、ニューサウスウェールズ州と同じくらいの面積に植林しなければならない。

 つまり、「もっと木を植える」という作戦では、なかなかはかどらないわけ。
 しかるに、直接空気捕獲法(DAC)の工業プラントなら、同じ仕事をさせるのに必要な面積は、ニューサウスウェールズ州の0.3%でいい。

 豪州国立大学の気候変動研究所所長氏いわく。地球気温上昇を1.5度まで抑制するには、たんにエミッションを減らすだけでは追いつかない。二酸化炭素の吸収除去が併用される必要があります。

 大型扇風機が空気を吸い込むと、その先には、薄いプラスチックの板があり、その表面には、水酸化カリウムの溶液が流れている。
 この水酸化カリウムが二酸化炭素の分子に結合して炭酸塩になる。

 また、別の方法もある。スポンジ状のフィルターで二酸化炭素を吸収させ、次にそのスポンジをガス貯蔵容器の中で再加熱することで二酸化炭素を吐き出させる。

 そしてアイスランドでやっている方法。捕えた二酸化炭素を、地中1kmの溶岩の中に注入する。
 2年以上経つと、それが玄武岩と反応して、硬い炭化物質に変わるという。

 カナダの「カーボン・エンジニアリング社」は、やはりDACの企業だが、捕獲した空中の二酸化炭素を原料にして、軽油や灯油を人造する方法を模索している。これならば、大気中に余計な温暖化ガスを増やすことにはならぬ。すなわち、カーボン・ニュートラルである。

 アイスランドのDACプラントは、年に4000トンの二酸化炭素を捕獲する。
 これは地球に1年間に放出される二酸化炭素の「1000万分の1」の量に相当する。

 空気を吸い込むためのファンを廻すために電力を使うのは面白くないというので、「メカニカル・ツリー」を考えているグループもある。高い塔に多数の隙間が設けられていて、そこを風が通るときに、二酸化炭素が捕獲されるという。

 豪州には、耕作に向かない広大な土地がある。そこに、小型のテント状の構造を多数置き並べて、太陽光線をエネルギー源にして二酸化炭素を空気中から除去しようという計画もある。
 この試作品は今年中にできあがる。

 ※極地や高地など、内部の保温を特に必要とする建築用のブロックに、二酸化炭素を封入するという考えがあっていいはずだ。二酸化炭素の泡(フォーム)で部材を軽量化し、且つ、温室効果を発揮させる。

 次。
 Ben Turner 記者による2022-1-27記事「Out-of-control SpaceX rocket will smash into the moon in weeks」。
    7年近く前に打ち上げられた「スペースX」のロケットが、いま、月に向っている。月面に落下させて処分するためだ。

 2015-2に「ファルコン9」ロケットの二段目が、地球から150万kmも離れたラグランジュ均衡点に投入された。そこで、太陽嵐と、地球の気候の両方を、観測させるために。しかし、軌道維持のための燃料がなくなりかけている。このままでは重さ4トンのデブリになってしまう。

 衝突させるのは月の裏側である。2022-3-4がその予定日となっている。
 月の赤道上に落ちるだろう。

 次。
 2022-1-26記事「Southern Ocean storms cause outgassing of carbon dioxide」。
   南極の周辺の海は冷たいので、たくさんの二酸化炭素がその中に溶けている。特に深海部分に。
 しかし烈風が吹くと、深層水が上昇してきて、さらに海面から大気中への、二酸化炭素ガス放出が促される。
 グーテンベルク大学が、筏ロボットなどを使った観測により、これをつきとめた。

 ※その逆の現象もあるはずだよね。熱帯と温帯の降雨は、大気中の二酸化炭素を捕捉しているだろう。


BOOTH
くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!


《note》 https://note.com/187326mg/  の最新号は、 ★《続・読書余論》 ポーランドの防衛問題・軍事史 摘録集 です。

 Fehim Tastekin 記者による2022-1-24記事「Why Turkey wants to mediate in Ukraine crisis」。
    トルコの苦悩。
 それは1936モントルー条約。
 黒海の沿岸国ではない国の軍艦は、ボスポラス&ダーダネルス海峡を自由勝手に通航できないようにする仕組みだ。
 トルコがNATOから抜ければこんな条約はロシアには強制できなくなる。
 だからNATOの東方拡大にトルコは賛成するしかない。しかしそうするとロシアとの対決必至。
 ウクライナの次に、露軍の攻略対象にされてしまう。

 というわけでエルドアンは、外見的には「トルコは中立」と見せるしかない。

 エルドアンは2月にキエフを訪れ、その足でモスクワに向かい、緊張緩和をなんとか斡旋したい。

 ※TB2が大活躍してしまうとプーチンからエルドアンが恨まれるので、予防線を張るのにてんてこまいという感じだ。ところで北海道にやってくる最大の猛禽である「オオワシ」は、体重が9kgある。これは、「手投げ式自爆UAV」を新規に設計するときの、標準の目安になるのではないかと思う。最大離陸重量を9kgとして、そこになんとか4~5kgのサーモバリック爆薬(この分量ならばMBTにも有効)を充填し、ごく低速で飛翔させて、250mくらい先の目標を襲撃させる。レンジを欲張らなければ、じゅうぶんに安く大量生産ができるはずだ。市街戦の場合、敢えて「誘導させない」という選択もあるはずだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-1-26記事。
   イスラエルはUAEとは2020に外交関係を正常化した。それいらいイスラエルの軍事メーカーがUAE内に支社を置いているのだが、エルビットのUAE現地法人であるESELは昨年末、でかい商談を成立させた。

 UAEの保有するエアバスA330機、とくにそのタンカー型(正確には「マルチロール・タンカー・輸送機」MRTT)の、消極自衛装置一式だ。

 敵ミサイルの飛来を赤外線パッシブセンサーで探知して自動的に敵ミサイルを幻惑させる。

 すなわちフレアを投下するとともに、ターレット式の赤外線レーザー銃によって、飛来する敵ミサイルのIRシーカーを塗り付け、盲目化させるのだ。

 じつは欧州各国では、民航機がフレアをバラ撒くことを禁じている。下界の民家に火事を起こしてしまう可能性があるからだ。

 エルビット製の、ロボット式IRレーザー砲塔は、この問題をクリアする。

 センサーの構成だが、2個から6個の機外カメラによって、接近する敵ミサイルをパッシヴに探知する。脅威度を判定するのはAIである。そして、球形ターレットで首振りするレーザー銃を指向せしめる。

 ※おなじようなシステムを今では韓国メーカーも国外市場へ売り込んでいる。誰も解説しないのが不気味なのだが、スターウォーズの「R2D2」もどきといえるボール型レーザー砲塔(銃身は外には突き出さない。ドームの内側で動くだけ)は、赤外線波長を可視光線波長に変えれば、そのまんま、敵戦闘機のパイロットを目潰ししてやれる兵器になる。WWI中の「複座戦闘機」のリバイバルだ。ここにも進化論の大原則があてはまっている。いったん、進化の階梯を何段階かあともどりさせ、そこからあらためて別分岐の進化をやりなおさせることで、革命的システムを入手できるのである。

 次。
 Andrew Eversden 記者による2022-1-25記事「Oshkosh Defense announces first hybrid electric JLTV」。
   オシュコシュ社は、自主的な社内投資として、JLTVを30分だけ、電池&モーターだけで走らせられるようなレトロフィットキットを開発した。

 静かな偵察が、短時間だけ、可能になるわけ。

 JLTVはすでに米陸軍と海兵隊に計1万5000両以上、納品されている。

 このためのバッテリー容量は「30キロワット・アワー」。
 しかもこの改造をほどこしたあとは、JLTVじたいが「発電車」になることができるので、外部に115キロワットアワーの電力を給電してやることもできる。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2022-1-26記事「Here’s What Those ‘Bunker-Defeat’ Rockets The U.S. Sent To Ukraine Are Actually Capable Of」。
    米国はウクライナに、大量の「M141 バンカー破壊弾」を供給している。歩兵1名で携行して発射できる、使い捨て式の万能ロケット弾である。

 米空軍が公表した写真によると、1月22日に、デラウェア州のドーヴァー空軍基地から、「M141」をボーイング747貨物機に満載して、キエフに空輸したようである。
 この機体は「ナショナル・エアライン」が運用する。

 今日、この兵器はBDMと略称される。「SMAW」(Mk153 肩射ち多目的アサルト火器)という既存の使い捨てロケット弾から派生させたものゆえ、当初は「SMAW-D」と呼んでいた。ちなみにSMAWは使い捨て型ではなかった。
 1990年の開発当時は、この火器の使用目的は、敵の、コンクリートで強化された塹壕であった。

 もっとさかのぼると、イスラエルに「B-300」という歩兵用のロケット火器があり、SMAWはそれをベースにマクダネルダグラス社が改良したのである。海兵隊用に。1980年代の話。

 最新のBDMは、二重機能高威力炸裂弾頭(HEDP)を発射する。
 SMAWが500m飛翔したのに比してBDMは250mに抑制。

 ものすごく簡単に説明すると、BDMは、「M72 LAW(軽量対戦車弾薬)」の現代版なのだ。

 市街戦でビル壁の向こう側の敵兵を殺傷するのに役立つ。
 しかしMICVくらいのAFVなら、そのアーマーも破壊できる。

 ※キエフやハリコフで、近代軍が苦手とする市街戦が、延々と続くぞ、という「悪いプロスペクト」を露軍の参謀本部作戦課員に持たせようという「軍to軍」の心理戦である。政治家がBDMと聞いても、その意味までは分からないが、それでいいのだ。敵軍の参謀が分かっていれば。

 ※SMAWについては拙著『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』の pp.174~177 にいささか概説してありますので、どうかご参照ください。

 ※ところで先日クビになったドイツ海軍の制服の長だが、あいつはわざと辞任したくて、計算ずくであんな発言をしたのではあるまいか。ということは、穿って考えると、米海軍は今、黒海で、所在の露艦艇を全滅させてやるつもりで準備を進めているのではないか? 《クリミア砲撃にドイツ海軍もNATOとして加われ》と迫られたら、とても困ってしまう。バルト海に飛び火するからだ。それで、ノイローゼになり、わざとクビになる道を選んだのではないか?


★《続・読書余論》 ポーランドの防衛問題・軍事史 摘録集


尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法


今日もみんなでトロピカろう! ……じゃなくてツイッタろう!

 ぜ~んこくのTwitterをご利用あそばされているファンの皆々さま。「#敵地攻撃力はこうすればいい」・「#敵基地攻撃能力」・「#兵頭二十八」のハッシュタグにて、BOOTHで売り出したばかりのできたてほやほや電子書籍『くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!』の感想を大いに呟き、内容を論じ合おう!

 わたしはツイッターやフェイスブックのアカウントを持っていないので、論争に参戦することはないが、そのかわり、どんな悪口でもOKだ!

 《論ずることはないけれども賛成だ》という人は、この200円のパンフレットの内容をそれぞれ自分のことばで要約&敷衍し、ブログや多様なSNS上での認知度を高める作戦に加わって欲しい!

 それによって、こんな「薄い本」の提案が、リアルな「国策」になる。選挙など待つまでもないのだ。

 じっさいに、海自護衛艦がソリッド弾頭の弾道ミサイル・・・もとい、「対艦準中距離ミサイル・高弾道」(略してASQIM・H)を1発ずつ試験搭載することになり、それらは閣議を経れば一夜にして反日隣接諸国の「権力構造」を崩し得る実戦的抑止力となって、明日のわが国民の人命・財産を救うことになるのである。

 この有意義な協同戦線に、キミも参加せよ!

 デジタルの成熟した議論で、国会の未熟な議論を塗り変えるのだ!

 次。
 ロシア軍はベラルーシからウクライナに侵攻するとみせかけてポーランドに突出するという投稿が英語圏の某サイトにあった。これはあり得ますぜ。

 そこで緊急資料展示として《note》に「ウクライナと核戦争特集」をUpしました。こちらは100円でございます。

 次。
 2021-9-16記事「New York: Hundreds of migrating songbirds die after crashing into skyscrapers」。
  古い記事だが重要情報。
 9月になるとNYCでは渡り鳥が高層ビルの窓にぶつかって死ぬ。それはNYCを通過点にしている鳥たちである。

 強風を伴う悪天候が、特に小鳥の衝突を増やすという。

 衝突は、曇天の夜間に起きる。屋内照明が、災いするという。

 屋内照明をもっと暗くして、硝子をもっと見えやすくすれば、夜間衝突は減るだろうという。この季節だけ、夜、ブラインドを下げてくれればいいのだ。

 鳥が衝突する窓の高さは、主として地上の歩道から200フィートまでの窓である。

  ※つまり、高度60m以下を鳥と同じスピードで飛翔する自爆型UAVは、きわめて高性能な専用のレーダーでもないかぎり、もはや鳥と区別することはほとんど不可能ということ。イランですら、低速UAVを1000km飛ばすことができている。どうして日本でそれができないのかという話。


BOOTH
くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!

★《続・読書余論》ウクライナと核戦争特集


1月20日付け『朝雲』#3485 の「新刊紹介」氏に敬意を表す。

 昨日、すなわち22年1月23日に拙宅に届いたバイウィークリーの自衛隊機関紙。
 それに、21年12月下旬に見本ができたと記憶する『亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか』の新刊紹介が載っていて、びっくり仰天。

 しかもコレ、あきらかにじっさいに全部目を通してから自分の言葉で要約をしているのである。
 こんな早業ができる新聞社だとは思わなかった。わたしの著書に関しては、このスピードは前例がないです。

 ぜひとも、この方には、昨日発売の最新デジタルパンフレットである、 https://inaina0402.booth.pm/items/3555955 の『くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!』(¥200-) も、ご一読を願い上げたい。

 けど、BOOTHの電子出版物の場合、どうやって見本を人にプレゼントしたらいいんだ?
 そもそも相手の連絡先も知らないし……。

 次。
 DAVE COLLINS 記者による2022-1-23記事「Youth’s overdose death renews pleas for naloxone in schools」。
   コネチカット州の中学校で13歳の少年が、フェンタニル(鎮痛オピオイドで、ほぼ麻薬)の過剰摂取で死んでいるのだが、市役所では、オピオイド拮抗薬のナロキソン(静注剤)を置いてなかった学校が悪いと批難。

 学校の運営体であるハートフォード市は、学校の医務室は「ナロキソン」くらい備えておけ、と勧告。つまり少年のヤク中はいまや普通にありえるのだから、と。

 学校の保健室の人は、ヤク中生徒が何か急性症状を呈したとき、その原因を判定して適切に応急処置できることが望ましい――と、ハートフォード市の中毒対策課の中のドクターは言う。

 ナロキソンは静脈注射する必要があったが、近年「ナルカン」という、鼻腔にスプレーすればいい新製品があるので、これを推奨しているものと思われる。

 ※クスリ絡みのこんな話がある。先の大戦中、あるフィンランド軍兵士が、ロシア軍の捕虜にされそうになったため、ありったけの覚醒剤をキメて10時間以上走り続けて生還した。直後に心拍数を図ったら正常人の3倍くらいあったと。しかもこの兵士、戦後、80歳以上まで長生きすることができた。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-1-23記事。
    フィリピン軍は昨年末に、イスラエル製の「ATMOS 2000」というトラック車載型の155ミリ自走砲を12両、発注した。
 この自走砲はアジアでは先にタイ陸軍が、6両購入している(2015年)。

 単価は1両400万ドル弱だ。

 比軍では、これ6両を以て1個射撃大隊とする。

 この榴弾砲を使う相手はシナ軍ではない。ルソン島より南側の諸島のジャングル内のイスラムゲリラと共産ゲリラである。※どちらも野盗山賊である点は同じ。違いは、同姓婚を認めないか認めるか。

 比政府軍は、まず空中からゲリラのキャンプを見つけ、そこに15榴を撃ち込む。

 15榴のタマは最長で41km飛翔する。もしGPS誘導したければ、1発1万5000ドル。しかし比軍は、無誘導の1発150ドルのタマを発射するだろう。射距離が30km以内であれば、それで精度も十分だ。

 ソルタム社製の「ATOMS 2000」は、自重22トンの6×6トラック。即応弾薬は27発。これを6名で操作する。
 バーストにする場合、1分間に6発を発射できる。

 なお、車載155mmのいちばん軽量なシステムは、フランス陸軍の「Caesar」で、18トンだ。
 中共の「PCL-181」は25トン。

 スウェーデンの「アーチャー」だと30トンもある。これは湿地を機動する必要があってエンジンが強力なのである。単価は500万ドル。

 次。
 Wyatt Olson 記者による2022-1-21記事「Army breaks ground for high-tech hangar at Wheeler Airfield in Hawaii」。
    真珠湾攻撃の日に地上で83機が破壊され、33人が死んでいる、ハワイの「ホイーラー陸軍飛行場」。なんと1930年代からの格納庫がまだ残っているのだが、ようやく最先端のハイテク整備格納庫群に建て替えられる。
 ちなみに新格納庫群の設計・施工は、ホノルルの陸軍工兵隊。

 整備作業を合理化するため、ヴーチャル映像を高速通信できる環境を全面導入するのが、未来型の飛行機格納庫の新機軸。これによって整備兵の訓練までやってしまえる。

 1935年、アメリア・イヤハートもこの飛行場から離陸して、ハワイから加州までの単独初飛行をなしとげたのだそうだ。

 次。
 The Maritime Executive の2022-1-21記事「MOL Seeks to Develop Wave Energy for Japan Through Bombora Investment」。
   2020年に『わかしお』の座礁で迷惑をかけてしまったモーリシャスに対するお詫びのしるしとして、三井OSKライン社は、波力発電のベンチャーである「ボムボラ・ウェイヴ・パワー」に投資する。その設備をモーリシャス沖で稼動させてやるのだ。

 ボムボラ社は豪州のパースにある。2012年創立。

 ボムボラは、いい特許をもっているのだが、まだ規模が小さい。
 MOLが資金を出して、もっと巨大なモノを完成してもらい、ゆくゆくは、それを日本沿岸や欧州にも普及させたい。



亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか 国防秘策としてのプロスペクト理論

くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!


遂に発売! 200円で(笑)

BOOTHというところで、「薄い本」を売ることにしました。

販売サイトのURLは
https://inaina0402.booth.pm/items/3555955

です。


(管理人Uより)

 お世話になっております。

 くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!

 私は先ほど買いました。読むのが楽しみです。
 兵頭二十八収益多角化計画、大きな前進となる事を祈ります。


緊急出版! BOOTHから「薄い本」が、近日発売になります。

 内容はいやらしくありません!
 その表紙を貼り付けておこうと思ったが、できねえ! 貼り付けに失敗した。前はできたんだが、年をとるとそんなの覚えてねえ。

 しょうがないのでこの表紙は「ノート」の方に貼っておきます。あっちは何も考えずに貼れるから。

 今回は新記録をつくった。原稿を書き上げてから1週間にして「発売」できそうです。
 このくらいの機動出版でないと、書いた内容がどんどん古くなってしまうのが、従来、こまりものでした。とくに最新の軍事情勢解説本となりますとね。

 紙の出版物には、脱稿から店頭発売まで半年くらい間があっても内容がけっして古くならないような、そんなテーマを選ぶ必要が、これからはあるだろうと考えます。たとえば『武器が語る日本史』のようなものだったなら、そんなに急いで刊行して貰わずとも、著者としてはOKなわけですよ。

 それで、どうも北鮮は北京五輪のさなか、世界のマスコミが極東に集結したところで大気圏内核実験でもやらかすんじゃないかという気がする。だったら2月になる前に、こういう本を出しておこうと思いました。
 ボリュームとしては、普通の単行本の「1章」分くらいです。

 ワンテーマに絞れば、これでじゅうぶん。書き始める前に1冊分の「章建て」を考えなくていいのも新鮮。単価も安くできますし……。

 こういう新しいこころみを、どんどんやって行きますので、ご注目ください。

 次。
 Jen Judson and Joe Gould 記者による2022-1-22記事「THAAD, in first operational use, destroys midrange ballistic missile in Houthi attack」。

 今週の月曜日、THAADが火を吹いていた。そして実戦での初迎撃に成功していた。
 ユーザーはUAE。飛来したのはフーシの弾道弾(イラン製)である。アブダビ上空。

 THAADは、アルダーフラ航空基地の近くにある石油施設を防空するように展開されていた。

 げんざいUAE軍は対イエメンの干渉戦争に直接兵力を送らないようにしているが、そのかわりにフーシの対抗武装集団を支援しているので、フーシ=イランからは、サウジとともに大いに憎まれていることに変わりはない。

 今回の迎撃について詳細の発表は無い。フーシの攻撃は、弾道弾、巡航ミサイル、自爆ドローンをミックスしたものである。

 ※もし弾道弾ではなく巡航ミサイルか自爆ドローンを落としたのだと後から確認されたりしたら、まったく費用対効果が悪いことになり、メーカーのロックマートとしては逆宣伝になりかねない。近くでは第三国の機関も電波情報をとっているだろうから、ますます詳しい発表は難しくなる。


兵頭二十八 note デジタル出版活動は前進する!