無人艇の「マグラ V5」が2日夜、リモコン交戦にてロシア海軍の「スホイ30」を初撃墜。ノヴォロッシスク軍港の50km西方海上(黒海)。

 『Defense Express』の2025-5-3記事「Ukrainian Surface Drone Shoots Down russian Su-30 Aircraft with R-73 Missile For the First Time in History」。
   無人艇には「R-73」というミサイルが搭載されていた。ほんらいは空対空ミサイルであったものを、艦対空型にコンバートしたものである。
 作戦は、宇軍のGUR麾下の「グループ13」が実行した。

 無人艇(おそらく複数)はルーマニア国境近くの海岸からはるばる、黒海を横切ってノボロシスクへ接近。
 これがクリミア半島内の航空基地から露軍の戦闘機を誘い出す、「釣り出し」行動だったという。

 撃墜されたパイロットはエジェクトし、漁師の船に拾われたと。
 「スホイ30」は1機が5000万ドルすると見られる。

 同じ海面では2024-5に、やはり「マグラV5」が「R-73」を発射して露軍の有人ヘリコプター「ミル-8」を撃墜している。

 ※輸送用ヘリは、長時間洋上で低徊し、側面ドアにしつらえた機関銃によって低空からUSVを銃撃することができる。しかしもしもSAMで返り討ちを受けた場合は、乗員が脱出できるチャンスはほとんどない。これに対して戦闘攻撃機は、射出シートを備えるので、被弾しても乗員の生還率が十分に高いと期待できるが、長時間の洋上哨戒には向かず、また、これまでUSVに銃撃を加えたという実績も無い。

 ※先島群島海面での中共軍のグレーゾーン侵略に合理的に対処するには、戦前の「96式艦戦」をひとまわり小さくした、非爆装のレシプロ無人機を、いつでも石垣島や下地島、あるいは商船改造空母から飛ばせるようにしておく必要がある。この無人機は、領空侵犯した敵有人機を即座に空中衝突によって阻止することができる。衝突の必要がなくなったときは、無人機は帰投させねばならないから、「固定脚」が備わっていることが有利である。固定脚がついているなら、カタパルト射出などの面倒もなく、開発はたちどころに終了するだろう。敵はいずれ、無人機+海警船の組み合わせで尖閣領空を溶解させに来る。いちいち有人のジェット戦闘機をスクランブルさせていては、「疲労競争」に負けてしまう。

 次。
 現代の歩兵のために「一枚楯」(「持楯」の下位概念)を復活させる必要があるだろう。

  すでに自爆型/攻撃型のドローンは、最前線の歩兵の戦死傷原因の第一位になっている。1人の敵兵を1機以上の無人機が襲う時代なのだ。

 歩兵の背嚢は、アルミ製の縦長な「背負子」に縛着するようにする。その背嚢の生地を防弾&防刃素材でこしらえておいたなら、歩兵は常に「一枚楯」を持ち歩いているのと同じだ。

 「背負子」はまた「伸縮梯子」の機能を兼帯するものも、考えられて可いだろう。

 もし、身を隠せる地形・地物のない海岸の砂浜のような場所で、敵ドローンから攻撃を受けたとき、歩兵はこの「背負子」を盾にとって、冷静に対空交戦することができるだろう。
 反撃の武器としてはソウドオフのショットガンが理想的であるけれども、それがなければ「ブーメラン」「釣竿+テグス」「石ころ+ビニール紐束」など、ふだんの携行の邪魔にはならない「変わり道具」をいくらでも工夫ができるはずだ。

 敵ドローンが自爆する距離がほんの少し遠ざかっただけでも、歩兵の生存率は有意に上がる。衝撃波のエネルギーは距離の三乗に反比例するからだ。

 耐爆ゴーグルが嵌め込まれた、防弾素材の「面頬」も、商品開発しなくてはいけない。歩兵は、普段はそれを、鉄帽の上や後頭部に、縛り付けておくのである。

 「持楯」と「一枚楯」の関係については、拙著『武器が語る日本史』(2019)でも参照をして欲しい。


ウクライナでの各国製の自走砲の成績を調査したところ、スウェーデン製の「アーチャー」が、ドイツ製の「PzH2000」よりも優秀だと分かった。

 Defense Express の2025-5-2記事「Ukraine’s War Experience Shows Balloons and Satellites Can Fix the British Watchkeeper Drone Problem」。
   英軍がプレデター級を目指して開発してきた「Watchkeeper WK450」無人機が、大失敗プロジェクトとして了ることが確実になった。13億5000万ポンドもこれまで突っ込んでいる。少数生産されたうちの7機がすでに喪失。

 英陸軍は過去7年間、「ウォッチキーパー」を使ってきた。
 しかしとうとう2025-4に、この無人機に代わる、別な無人機を模索することに方針を定めた。用途は、戦域のISRである。

 これについて英国シンクタンクの RUSI (Royal United Institute for Defense Studies) は、むしろ高高度気球とか、低高度のマイクロサットを使うことにしてはどうかと提言している。ISR用の気球はウクライナ軍が現用していて、それが参考にできるという。

 ウクライナ戦線で立証されていること。軍隊が前線に持ち出す戦術偵察用無人機は、1機が20万ドル以上するものではダメ。高額な無人機は、その1機が落ちたときに、おおごとになってしまうから。

 「高性能である」ことよりも「廉価に大量生産ができる」ことの方が、今日の無人機戦場では、重い価値が認められるのだ。

 これは難問だ。英陸軍は、縦深50km以上のリモコン偵察機を欲している。しかも、米軍提供の通信アセットなどには、一切、依存したくない。そんなシステムをどうやって廉価に製造する?

 「MQ-9 リーパー」を米軍は2023年後半よりこのかた、イエメンのフーシのためにすでに15機も撃墜されてしまっている。こいつは1機が3000万ドルする。かつては、長時間、長距離を飛ばしたかったら、どうしてもそのくらいになってしまったのだ。

 そこで米空軍は「ULTRA」という無人機を開発した。単価は875万ドルに抑えられている。

 しかし英陸軍は、その単価でも高すぎると考えている。
 ウォッチキーパーを更新させるISR無人機のために充当できる英軍の予算は、1億7300万ドルである。

 この難問を解こうとしてRUSIは、固定翼の無人偵察機というコンセプトから脱却すべきことを説いているのだ。高高度気球も、LEO衛星も、イランが提供するSAMでは、撃墜できない。そこが重要なのだとRUSIは言う。

 ※雑報によるとバリ島で大規模停電発生。ジャワ島からの送電ケーブルが切断された疑いがある。


安定的でないソーラー発電由来の再エネは、広域グリッドからは切り離されているべきである。これがイベリア停電の教訓。

  雑報によると、インドはパキスタン航空が領空に入ることを禁止した。
 そのため、たとえばクアラルンプールからの帰国便は、まずシャム湾を北上し、タイ~ラオス~蘭州まで北上、そこで左ターンして、新疆の上空を西行。カラコルム山脈から南転して、イスラマバード空港へ着陸している。

 次。
 Oleksandr Yan 記者による2025-5-1記事「The US Army has launched a large-scale drone reform」。
   『WSJ』が伝えた。米陸軍は、車両の調達契約を大量にキャンセルし、使える資金のより多くを、大量のドローン調達に振り向ける。

 まず10個の師団に、それぞれ1000機の無人航空機を運用させる。
 これら無人機は、ISR、攻撃、そして最前線に対する弾薬補給に用いられる。

 現状でも米陸軍部隊は長距離無人偵察機を数十機、装備しているが、それらは10年以上前の設計で、ウクライナの戦訓を反映していない。

 この改革のために余計な予算を使ってはならないというのが政権の方針である。
 そこで陸軍はまず HMMWV と JLTV の調達を、停止した。

 また新開発の「M10 Booker」軽戦車は、調達しないことにした。
 さらに、年代の古い「AH-64 Apache」攻撃ヘリを、逐次に除籍して行くという。

 ※空母『トルーマン』がなぜ大転舵をする必要があったのかについて、諸説紛々。あるライターは、対艦弾道弾らしきものの発射を探知したといった警報に反応したのだろうという。スパホは舷外エレベーターから転落したらしい。機体の秘度が低いのと、サルベージ船もまた特攻攻撃に曝される危険があることから、揚収は試みられぬ模様。


沖縄ではすでに、積載量5トンの「ナルコ・サブ型」無人半没艇で海兵隊が実験を開始しているそうだ。航続2000浬可能。

 Anton Hordiienko 記者による2025-4-30記事「France Tested Its Own Kamikaze USV to Practice Countermeasures」。

 仏海軍は、ウクライナの「Magura V5」に寸法がほぼ同じ、無人の爆装特攻艇「Seaquest S」を国内企業に試作させて、それを標的船に対して突っ込ませる実験を済ませた。

 標的船は、廃船の元貨物船『Chaland de Transport de Materiel (CTM)』である。
 特攻ボートで激突させるつもりであった舷側部位には、古タイヤと金属板で「増加装甲」を施した。というのも、衝突破孔からもし大浸水して標的船が海没してしまうと、貴重なデータを得られなくなってしまうから。

 ※しかし今回、ボートは狙った部位よりも逸れてしまった模様。

 仏海軍は2025-2には、現役のフリゲート艦『クールベ』のすぐ近くで実機雷を轟爆させて、水上艦の電気系統等がどのくらい仕事を中断されてしまうか、影響の具合を確かめている。近未来の本格海戦のための生々しいデータを集めようというプロジェクトが、2021から進められているのである。

 仏海軍はまた、陸上の自走高射砲である「Jaguar」を軍艦の最上甲板に鎖で固定して、空と海からスウォームで突っ込んでくる敵のドローンを撃退できないかという試験も済ませた。

 ウクライナ戦線では、ほぼ6ヵ月ごとに、新しい技術進化が繰り返されている。他国もできるだけリアルな実験を繰り返しておかないと、最先端の知見から、遥かに取り残されてしまう。

 韓国海軍は、空母建造計画をとりやめ、有人の旗艦が多数の無人艇を引率する「ドローン艦隊」を構築する方向へ針路を変えた。
 台湾軍も、USVの戦力化を急いでいる。


世界の終末に読む軍事学


空母『ハリー・S・トルーマン』がフーシからのミサイルを回避する「盆踊り」のさいF/A-18 スーパーホーネット×1機を格納甲板から降り落とした。

 事故発生は28日・月曜日。場所は紅海。

 一ソースによると、これは4月25日の同空母の航跡を撮影した衛星画像と辻褄が合うという。

 強い遠心力と外側傾斜のため、トーイング車両ごと舷外へ落水したのだが、牽引していた作業兵は無傷。戦闘機パイロットは、慌てて飛び降りた際に、軽傷を負ったという。

 機体は1機、6000万ドルする。

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 AFPの2025-4-28記事「New Zealand cracks down on foreign actors surveilling space activity」。
   ニュージーランドの防諜当局は、同国内で民間の研究所を装い、その実、同国内にある宇宙事業関係の地上局の通信内容を傍受していた外国軍系のスパイ組織を、昨年、壊滅させた。

 こうした宇宙活動関連の地上インフラ施設の通信を傍受する行為を、NZ政府は昨年7月の立法により、2026-3-1にかけて段階的に禁ずることにした。

 この法令を無視して、傍受用機材などを持っていた個人には、3万米ドル相当の罰金+1年の禁錮が、最大で課せられる。法人であれば15万米ドル弱の罰金が……。

 ※米国は、59両の豪州のM1A1戦車をウクライナへは移転させないことにしたという。背景の理由は、それが対支戦争で必要だからだという。これで腑に落ちたこと。台湾は、装輪式戦車を完成寸前だったのだが、最近、突如としてそのプロジェクトを放棄してしまった。その戦車の備砲が105粍で、それでは威力不足だと説明された。おかしい。真相は、120粍備砲のM1を大量にタダで貰えるかもしれないという期待が、強まったのだろう。

 ※ニューズウィークの記事によると中共はトランプ・タリフへの対策として「元」の為替レートを30%切り下げるかもしれず、そうなった場合、安すぎる中共製の物品でロシアの地場産業が完全に支配されてしまうという。


コンブの干物は、袋詰めの前に機械で千切りにし、できれば「ウィスカー状」の姿で市中に出してくれ。

 大きな袋入りを、人から貰っても、手拭いサイズの堅い板の消費の仕方に困じ果てて、けっきょく、すぐまた別な人へのプレゼントとして横流しされることに……。さらにその先様でも同様の処遇しか考えられない……。あたかも、贋金の慶長大判のように周流しさすらい続ける進物が、「乾燥昆布」ではなかろうか?

 乾燥した短繊維状であれば、あらゆるものに混ぜ易く、呑み込み易く、保存容器の形状は問われず、大量に保存していても苦にならず、きょくたんに大量になりすぎたときにはそのまま畑へ撒いて肥料にしてしまってもいい。すなわち、便利である。

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 Volodymyr B. 記者による2025-4-28記事「Ukrainian Armed Forces to Launch New System for Analyzing Combat Operations」。
   月例会合で宇軍の総司令官・オレクサンドル・シルスキィは、最新戦訓の共有や、敵情解析のための物資収拾の流儀を、体系的に整えるべきことを要求。

 さらに、作戦の遂行と、なにより宇軍将兵の人命節約に結びつく努力として、訓練の必要を強調した。

 基礎教練では、止血帯を、兵隊がじぶんで応急的に使えるようにしておくことが大事。これは通り一遍のお座なりな形式的教習ではけっして身につくものではないので、受傷直後、ほとんど心手期せずして止血処置のできるまでに、何時間もかけて繰り返し、演練させざるべからず。

 実戦の一作戦でも、訓練でも、一段落したらすぐに、各級部隊長は「AAR」(実行直後反省会)を設けること。実行前に何を計画したのかの再確認。どのように実行が展開したかの確認。そして将来の改善のためにどうしたらよいのかを話し合え。

 この反省会は、オープンに、建設的に催されねばならない。上官が部下の誰彼を批難して終わり、では、何の役にも立たない。あらゆる戦訓を抽出し、それを全員で吟味するのである。

 AARは米軍の作法。それをウクライナ軍に導入し、古いソ連流から蝉脱してもらおうとしているところである。

 ※クラウゼヴィッツは、戦争のイデアとして、対手の絶滅(絶対戦争)を仮定し、しかし現実にはそのイデアが実現することがなく、すべて当事者の妥協によって停戦すると総括した。イデアにまで至らずに腰砕けになる原因は、物心両面の疲弊である。ところで今、ロシアの有権者はプー之介の戦争続行路線を支持し続けている。つまり物心両面の疲弊に至っていない。だったら西側は、疲弊するまで続けてもらうしか、当面、手はないのである。それがいつになるのかは、誰にもわからないが、そうさせる以外に、どうしようもできはしないのだ。彼らが続けようと思っている限り、それは続くのだから。見たところロシア人には自己隷従癖が骨まで染み着いているようなので、今ていどの疲弊では、独裁者の命令に逆らう理由にもならないのだろう。

 次。
 Jim Fein 記者による2025-4-25記事。
  1943のクルスク戦で、ソ連軍の大砲1門が、2万8000発を発射した。今、米国内では、155粍砲弾を、毎月2万8000発製造できるだけである。

 ※エストニアは年産600トンの能力のRDX生産工場に大投資しようとしている。原材料のサプライチェーンとして、同国が自前で採掘しているシェールオイルを役立てるという。

 細々した仕様についてDoDは口を出すな。最終の「機能」だけを要求せよ。それならメーカーは働き甲斐がある。

 設備投資したのにその設備能力がフルに活かされないような、政府からの発注の縮小が起きたとき、その「逸失利益」を政府が補償してやれ。そうすることでメーカーは、いかなる年でも熟練工をフルに抱えたままでいられるから、とつぜんの急速増産要請に、即応することができる。

 次。
 マリタイムエグゼキュティヴの2025-4-24記事。
  寧波で大爆発を起こした舶用コンテナの中味は、プラスチック原料のひとつ、TBPB(tert-butyl perbenzoate)だった。リーファー・ボックスなので、電源につないで冷蔵させる必要があったのに、船員がその配線をせずに漫然と航海したため、ボックス内に熱が籠って化学反応が進行したという。


「アサルト・バス」があらわれた。

 Roman Pryhodko 記者による2025-4-27記事「Russians Use A Bus to Storm Ukrainian Armed Forces Positions」。
  ロシアで路線バスに使われている「KAvZ-39765」がクルスクの最前線で宇軍のドローンにやられて炎上。
 兵員を輸送した後、農道上に放置されていたように見える。ドローンは車体底部を狙っている。

 「KAvZ-39765」は、2008年に製造を了えている、ダブルタイヤのモデル。同年、ボンネット型のバス全種が、ロシアで製造中止と決まったので。

 露軍は、民間のオフロード・ヴァンである「UAZ Bukhanka」も前線に持ち出している。APC代わりに突撃に参加させることもあり。

 ※本格的APCにプラスして厳重に金網柵をめぐらしても、FPVドローンにはやられてしまう。だったら少数の兵員と多数の需品を、屋根の高い乗り合いバスで運ぶことに割り切った方が、コスパが良いかもしれないわけ。

 次。
 2025-4-26記事「Netherlands Select Oshkosh Defense to Produce Dutch Expeditionary Patrol Vehicles (DXPV)」。
   オランダ軍の海兵隊は、オシュコシュ社の欧州工場である「Oshkosh Defense Europe B.V. 」ならびに米国本社である「Oshkosh Defense, LLC」に対して150両の「Dutch Expeditionary Patrol Vehicles (DXPV)」を発注することにした。これはJLTVをベースに、オランダ軍向けにカスタムした車両である。
 別名「Future Littoral All Terrain Mobility – Patrol Vehicle (FLATM-PV)」。ただし浮航性は無い。

 JLTV は、米国とオランダの他に、リトアニア、スロベニア、モンテネグロ、北マケドニア、モンゴル、ラトビア、スロバキア、ルーマニア、イスラエルが採用している。

 米軍はJLTVを2万2000両ほど、すでに受領した。
 欧州向けの受注残は1600台ほど。

 オシュコシュは軍用車ばかり作っているわけではない。多種多様な製品が世界150ヵ国に輸出されている。

 ※22日の報道によると、韓国の Hanwha Aerospace 社は、韓国軍の揚陸艦上から運用できることを実証したジェネラル・アトミクス社製の「MQ-1C グレイ・イーグル」をベースに、艦載用の攻撃型無人機を共同開発するつもりらしい。


烏山基地の米空軍のF-16が155%に臨時増強されたという。

 Boyko Nikolov 記者による2025-4-26記事「Kremlin: Russia retook Kursk, Ukraine faced shocking defeat」。
  四月二十六日、ゲラシモフ参謀総長は、クルスク州内に宇軍が確保していた最後の拠点「Gornal」を奪回したと報告。

 4-22には宇軍のチープなFPVドローンが、露軍の高価な「S-400」の格納庫を直撃するビデオが「X」に投稿されている。

 シンクタンクのISWは2024後半に推定した。宇軍はすでに20万人以上が死傷したと。
 かたや露軍は60万人以上が死傷したと。2022-2以来のトータルで。

 ※「ストラテジーペイジ」によると、宇軍は対車両用の「磁気地雷」を道路脇にドローンによって配達しているそうだ。詳細が不明だが、そもそも安価に市場で調達できるオープンソースのドローン用のフライトコントローラ(FC)のチップには、コンパス用としてのチープな磁気センサーがくっついている。そのセンサーからの信号を取り出せば、それが「磁気変化感応信管」ともなってしまうのだ。それを応用した地雷を敵の「鉄道」に対して執拗にしかけ続けなさいというアドバイスを俺はず~っとしてきたつもりだが、まだ「道路」の段階かよ!

 ※「一帯一路」の発明者はセルゲイ・ウィッテである。中共は、百年前のウィッテが鉄道ビジネスを核として推進しようとした世界侵略ビジョンを徹底研究して、現代の自国政策に反映させている。ウィッテは、軍隊輸送のためだけに鉄道路線を策定してもそれはまったく実りがない、と若いときに把握していた。鉄道は、とにかくまず商業的に儲かる線を敷設して、それを太らせることを考えなくては、持続ができないものなのだ。今の日本の「第三セクター」を見たら、ウィッテはすぐに「不採算線は廃線となるのが正しい運命なのであり、人為的に長期的に救うことはできないよ」と諭してくれるだろう。

 ※では沿線利用者をどのように救済するか。それが「サイドカーの規制緩和」である。馬力や最高速度を抑制した低速旅客手段として、誰でもフィリピン型のサイドカー商売をしてよいことにするのだ。高校生がバイト代をそれで稼いでもよいことにする。もちろん高校生が通学用に低速サイドカーを運転してもかまわない。ところで単車の左側に「舟」のついたサイドカーの場合、勢いよく左折しようとすれば遠心力で空荷の「舟」がもちあがって、危険なことになりがちだ。低速走行を心がけている限りは防げる危険なのだが、今日では、「舟」側にバッテリーとインホイールモーターを備えさせ、AIで制御させることによって、昔から解決至難だったこの問題も、劇的に改善できる可能性があると思う。

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 AFPの2025-4-24記事「Panama president says moving toward reopening contested mine」。
  パナマの大統領が木曜日に声明。南米最大といわれている「Cobre」銅鉱山。いままで環境グループからの反対を考慮して開発を中止していたが、それを再開させる、と。

 この鉱山は露天掘りである。カナダの「First Quantum Minerals」社の子会社が開発していた。しかし2023に裁判所が閉所を命じた。
 それをこんどはパナマ人だけで操業するという。

 鉱山は、カリブ海側に近い。

 「Cobre Panama」鉱山は2019から操業開始。年産30万トンの精錬銅を得ていた。それは同国の輸出稼ぎの75%に貢献し、同国GDPの5%を担っていた。創出雇用は3万7000人。

 しかし2023-11に同国の最高裁判所が、前の大統領時代の採掘権契約が違憲だと判決。

 対して「First Quantum」社は国際司法仲裁機関に訴えて200億ドルの損害賠償を求めていた。
 しかし先月、同社は、この訴えを中断すると声明。パナマ政府と事業の再開の話し合いが始まったからだと。


笑かされた。「イースター・アイランド」をチャットGPTに描画させたら、モアイの顔がウサギ化したという作例がSNSに出ていた。

 Sofiia Syngaivska 記者による2025-4-25記事「Straight Out of Sci-Fi: Tracked Combat Robot Armed with the Browning Machine Gun and Thermal Vision Is Now in Ukrainian Service」。
   「Droid TW 12.7」という装軌式のUGVを、宇軍はすでに前線に持ち出していると主張している。

 スターリンクもしくはLTEによってリモコンされる。人の端末はタブレットもしくはゲームパッド。
 火器はブラウニングの12.7mm。

 標的認識と測距連動の銃身指向はAIによって半自動化されている。
 夜間用にサーマル・カメラも搭載。

 センサーの標的探知距離は、ひるまは1.5km、夜は1km。

 マシン全体をピックアップトラックで運搬し、そこから5分の準備時間で、オペレーション状態にできる。

 ※システムの写真が公開されている。重機関銃の反動はヤワなものではなく、こんな華奢な構成では、うまくいかないぞ—-と直感した貴男。あなたは私のナカマである。

 ※別記事で了解したのだが、沙漠のようなメキシコ国境であっても、IR暗視装置は必要不可欠だという。霧がかかって見通しが悪くなることがあって、赤外線の助けを借りずしては、監視が行き届かないそうだ。

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 Oleksandr Yan 記者による2025-4-25記事「South Korean Helicopters to Replace Soviet Aircraft in Kyrgyzstan」。
  キルギスタン政府は、韓国製の「KUH-1」ヘリコプターを2機、調達する。
 KAI社製。
 2機あわせて7100万ドルだろう。

 ※エンジンは何だろうと思って調べたら、GE社製の「Т700」だった。米議会の承認が得られなければ輸出ができない案件だ。

 韓国政府はキルギスに、2025から2029まで、5億ドルのパッケージのローンを与えて、それで韓国製の兵器を買えるようにしている。キルギス議会はこの枠組みを見直そうとしている。

 キルギスはロシアからは「S-300PS」などを買っている。

 次。
 今週、私はとうとう気が付いてしまった。

 昨年末に買い換えた、中古品ながらも「ウインドウズ11」が入っているPCで、英文記事にアクセスしたときに、それをただちに日本語に機械翻訳させることが、さいきんではワンタッチでできるということに……。

 機械翻訳ゆえに文章の意味がストレートにアタマには入りにくいが、いままで長時間(毎朝、数時間)をかけて抄訳メモを作っていた手間暇を思ったら、タイパには雲泥の差がある。

 従来だと、たとえば十個の記事タイトルに関心を惹かれても、そのうちの二、三しか本文内容を検分することはできず、残りの七個の記事は「時間切れ」のためにまったく読まずに終わらせるほかは無かったのだが、その十個にもすべて簡略に目を通すことができるのだ。このAI時代の「新事態」を承けて、私も長年のルーチン作業を変えることにしようと思う。

 AI翻訳のおかげで、これまでならすっとばしていた疑問を、少しばかり深く調べる余裕のできた例をご紹介する。

 ひとつは「ラウンドアウト・コンセプト」。1990年に州兵の野戦旅団を急遽、「師団」に編成して湾岸戦争へ動員しようとしたとき、これが不評であったという。米陸軍の師団は3個旅団からなる。しかし平時には1個旅団は欠なのだ。現役の2個旅団に、1個の急速充員招集旅団を併せて、海外派兵用の1個の師団をつくった。このしくみは、欧州有事を想定して、ベトナム戦争後に考えられた。しかしデザートシールドでは、こんな師団は使えないと認定されてしまった。

 もうひとつ。「蛇腹鉄条網」を、英文では「concertina ワイヤー」と呼ぶ。concertina とは楽器のアコーディオンのことである。あちらでは「アコーディオン」と言ってもイメージが通じないのか? 日本人には「レイザー(カミソリ)ワイヤー」の方がピンと来るかもしれない。


インドは世界のレアアース供給の1%にしか貢献できていない。

 これは精錬時の残滓や汚水の処理に関してインド当局の規制が決して甘くはないことを意味している。南米は甘い。だから米国としてはむしろ南米に投資するのだろう。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2025-4-24記事「China’s gallium ban threatens F-35’s radar and US air power」。
   F-35のレーダー「AN/APG-81」の構成には、ガリウム砒素を使ったチップが欠かせない。
 2023統計によると、世界の精錬済みのガリウムは、供給の98%が中共からである。それを中共は米国に売らないことにした。

 ガリウムは、やわらかく、銀色をしている。アルミや亜鉛を精錬したとき、副産物として得られる。

 旧来のシリコン・チップでは、最先端の軍用のフェイズドアレイレーダーは構成できない。

 中共にはボーキサイトの膨大なストックもあり。

 2024-12に中共は、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンの輸出を統制した。国家安全保障上の理由から。米政府がAI用の先進チップを対支輸出させない政策を推進していることへの対抗だった。

 CSISによると2024年にガリウムの価格は50%以上、上がっている。

 ロックマート社は毎年、150機くらいのF-35を製造しつつある。
 ひとつの「AN/APG-81」には数千個の送受信素子(この素子が規則的に平面配列されてフェイズドアレイとなる)が必要である。その素材にガリウムが必要。他には、通信機にもガリウム砒素チップを使う。

 次。
 Keith Bradsher 記者による2025-4-23記事「China Has an Army of Robots on Its Side in the Tariff War」。
    中共の工場は今や日本やドイツ以上にロボット化されているんだそうである。ただし、労働者1万人あたりの産業ロボット数で比較すると、韓国、シンガポールには負けるそうだ。

 中共国内の金属加工の零細工場が、中国製の、カメラ付きのロボットアームを、4万ドルで購入できるようになった。ロボットには8時間労働の縛りがないから、これはペイできるのだという。

 というわけで、すべての工場でロボット密度が急増中である。

 昨年、Hefei市に、フォルクスワーゲン社が、電気自動車を製造する工場を建てた。そこに配置されたロボットのうち1台だけがドイツから持ち込まれた。残り1074台は、上海で製造されたロボットだという。

 中共の大学からは毎年、35万人の、機械工学を専攻した学生が卒業する。
 米国の大学からは、毎年、4万5000人である。

 高卒の工員でも、ロボット作業の監視はできる。しかしプログラミングの知識が無いから、ロボット化が進むにつれて、彼は解雇される確率が高まる。

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 Taras Safronov 記者による2025-4-24記事「Ukraine to cooperate with croatian arms exporter Agency Alan」。
    クロアチアの国営武器商社「Agency Alan」は、同国とウクライナの武器メーカーを仲介する。
 今後、クロアチアがウクライナ製の武器を買うこともあり。その逆もあり。

 ※クロアチアは12.7mmの単発狙撃銃を安価に量産できる。こういうのを台湾のすべての飛行場の周辺の郷土防衛隊員に持たせておけば、ヘリボーン急襲を受けても撃退できる—-と2022年刊の徳間の本で私は主張した。しかしそれがなぜできないかの理由は、並木書房の最新刊で解説しています。