地球総人口が減少傾向に転ずれば、それだけで二酸化炭素問題は解決してしまう蓋然性がある。

 『World Nuclear News』の2021-5-4記事「Foratom highlights nuclear’s role in EU hydrogen economy」。

    欧州の原子力機関である「フォラトム」がポジション・ペーパーを発表。

 2020-8にヨーロッパ委員会は、「EU水素戦略」を採用した。
 それによると、2024年までに100万トンのリニューアル水素を製造できるように、総計6ギガワットの電気分解プラントの建設をEU内で推進せねばならない。

 2025年から2030年のあいだには、トータル40ギガワットの電気分解プラントが必要である。それによってEUはリニューアル水素を1000万トン製造する。

 2030年から2050年にかけては、リニューアブル水素技術は成熟し、脱炭素化のハードルが高い産業交通分野にも、広く普及しているはずだと。

 この戦略が用いている「リニューアブル水素」とは、リニューアブルなソースから得た電力によって水を電気分解して得た水素のことを指す。

 リニューアブルではない水素としては、化石燃料から抽出した水素がある。それは二酸化炭素回収プロセスを伴わせることで「低炭素水素」になる。
 この「低炭素水素」と「リニューアブル水素」が、温室ガスの排出を、経済活動の上流から下流までトータルで、抑制する。

 さてところがこの「戦略」文書では、「低炭素電源」としての原発についての言及がまったく無い。

 フォーラトムは疑問を呈する。大量の水素を製造するためには、電気分解のための、大量の電力供給が、安定的に必要なはずである。それを、原発抜きで実現できるのかと。

 無理に原発抜きでその目標を追求しようとすれば、それは「コスト・エフェクティヴ」なアプローチにはならぬだろう。

 そこでポジションペーパーのタイトルは、こうだ。「原発による水素製造――欧州脱炭素の鍵をにぎる低炭素技術」。

 EUは、水素を増やして二酸化炭素を減らすというゴールのためなら、技術中立政策を採るべきである。すなわち、反原発の立場に立つな。何が悪で何が善かは、ライフサイクルトータルでの二酸化炭素排出量を基準にするとよい。原発が発生している電力は、まちがいなく低炭素電力である。

 ※オランダやベルギーは海面が上昇しただけで国土が半減してしまうので地球温暖化が恐怖なのはわかるが、北欧諸国が温暖化に反対して何の得があるのか? 海岸線の海抜ゼロメートル線に沿って町が密集しているからなのか。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-5-9記事。
   イエメンのシーア派はサウジ国境にはりついている。サウジ国境は1800kmあるが、そのうちの100kmくらい。

 イランがイエメンのシーア派に渡してサウジを攻撃させている「巡航ミサイル」は、値段はトマホークの十分の一と考えられる。トマホークよりも低空を低速で飛ぶ。そのためペトリオットでも迎撃が難しいのである。
 ※撃墜ができたとしても、ペトリの方が何倍も高額なので、戦費の上で持続は不可能。

 サウジはまたフーシが放つ片道特攻ドローン(巡航ミサイルよりもさらに低速で安価)を阻止するのに悩んでいる。F-15からAMRAAMを発射して撃墜したビデオが公表されている。しかしAMRAAMは1発100万ドルするのだ。

 同じ問題に先行して悩んだイスラエル空軍は、ドローンの撃墜には、赤外線誘導AAMを用いている。単価はAMRAAMの半分だ。

 またイスラエル空軍機は、独自の火器管制ソフトによって、爆装ドローンの迎撃に20mmガトリング砲も使えるようにした。従来、逸れ弾が地上の民家に降り注ぐとえらいことになるので、基本的に機関砲は低空では使えなかったのだが、独自ソフトは、逸れ弾が敵性隣国の領土に落下する場合にのみ、引き金を引けるようにつくられた。

 イスラエルは、マイクロ波を使った対ドローン高射砲「キメラ」も開発中。2020年から試射も始めている。敵のスウォームから、空港のような重要施設を防護するには、こうしたビーム兵器を使うしかない。コンセプトとしては、EMPに指向性を与えたものといえる。
 指向性を与える手法は、AESAと同じく、フェイズドアレイ技術である。
 HPM=ハイパワードマイクロウェイヴ とも呼ぶ。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

宇宙投資がなぜ重要かの理由のひとつ。

 Ankur Kundu 記者による2021-5-7記事「Satellite Startup Tracks Ships’ Radars and Radios From Space」。

 ヴァジニア州にあるベンチャー企業の「ホークアイ360」は、小型ELINT衛星の群を周回させて、海の上で電波を出しているすべての船舶の位置をモニター/トラッキングするという構想で出資を募ろうとしている。
 探知する電波エミッションは、VHFの音声マイク無線から、レーダー波、AIS、対衛星通信電波までも含むという。

 受信した電波を解析し、船舶に危険を知らせるのには、マシンラーニングのAIを使う。「アマゾンズMLソリューションズ研究所」が提供するソフトウェアが役立てられる。

 この計画が野心的であるのは、船舶集団の動静を「パターン」で認識して、非合法活動に関係している疑いのある怪しい船をたちどころに識別し、且つ、その個々の嫌疑船が次にどう動くかも予測してしまうことにある。
 すなわち、密輸船、不法人身移送船、経済制裁破りの抜け荷船、非合法の瀬取り渡し、違法漁労、GPS妨害犯罪などを、パターン解析から炙り出してしまおうというのだ。

 非合法活動船がAISのスイッチを切っても、瀬取り相手との交信にVHF無線は使うし、対水上レーダーは常に回しているものである。そのエミッションから、追跡を継続できる。

 次。
 Ankur Kundu 記者による2021-5-7記事「New Wave of COVID Cases Hampers South Asia’s Shipbreakers」。
   インドで新コロが爆発的に流行しているために、廃船の解体業務がストップしてしまっている。
 というのも、金属を焼き切るためのガスバーナーに必要な酸素ボンベが、今は全部、病院へ回されているのだ。

 隣のパキスタンやバングラデシュでも患者が急増していて、事情は類似する。
 この三国が、世界じゅうの廃商船を格安でスクラップにしてくれるリサイクリングビジネスの中心地なのであるが。

 地中海ではトルコが中心。

 次。
 Mayank Aggarwal 記者による記事「Philippines President Duterte apologises for taking Chinese Covid vaccine before it has been approved for citizens」。
   比島のドゥテルテ大統領は国民に謝罪した。中共「シノファーム」社製の新コロワクチンを、保健省が国民に対してまだ使用を許してはいないのに、ひとりだけ先に注射したので。

 ドゥテルテは中共の駐比大使に対して、「1000射分のシノファームをぜんぶ、持ち帰ってくれ。このワクチンはまともにテストもしてないという批判があるから」と言った。

 今後は、もうひとつの中共製ワクチンである「シノヴァク」だけを、中共は比島に出荷すべきである、とドゥテルテは言ったそうだ。

 比島政府はもっか、「シノヴァク」と「アストラゼネカ」の2種のワクチンの国内使用を承認している。なぜドゥテルテがそのどちらかを接種しなかったのか、その理由がまったく謎である。

 げんざいまで、比島で新コロで死んだ人はトータル1万7800人だという。


ベーシックインカムがあれば、飲食店長が従業員を解雇しても、自責の念に苛まれなくていい。

 ストラテジーペイジの2021-5-8記事。
  中共が南シナ海の砂盛島への補給に大活躍させているのは、たった2杯の補給艦である。

 その1番艦『三沙1』は2015就役。2番艦『三沙2』は2019就役。
 まだ就役して日も浅いのだが、酷使でガタが来たため、メンテナンスと改修工事を予定する。

 2隻とも7800トンの「Ro/Ro」船である。
 補給物資2200トンを搭載して、砂盛島まで運搬し、陸揚げする。

 ヘリパッドは、4トン級の小型ヘリにしか対応していない。『直9』だ。

 改修には「DLS-16T」の増設工事が含まれる。これは超望遠光学監視システムである。

 海の上にみいだされるものは、なんでもかんでも動画で記録する。
 すでに「ウッディ島」などの陸上基地にも据えつけられているシステムだ。

 ※陸地都市部の監視カメラ網の海上版だと考えると、狙いがわかりやすいだろう。熊プーは南シナ海沿岸市の共産党幹部として出世したので、内陸沙漠開発といってもピンと来ない。海に進出するという思いつきしかできないようだ。ビンサルマンが進めているアラビア半島の「THE LINE」のようなものは、中共がもしやる気を出せばゴビ砂漠やタクラマカン砂漠で先に実現できてしまう投資規模なのだが……機会は見捨てられている。


イラクの米軍基地に未明のドローン攻撃。飛行機格納庫に命中した。

 Eric Betz 記者による2021-5-7記事「How will life on Earth end?」
    生命は靭強である。地球上にはいまから40億年も前に登場した。
 隕石が次々に地球を打撃していた期間も、生命は全滅はしなかった。何かは生き残ったのである。

 超新星爆発、巨大噴火、突然の気候変動があれば、地球生物の多くが絶滅に瀕するだろうが、生命はかんたんには全滅せず、また種類を増やして行くだろう。

 6600万年前にメキシコ湾に、1都市サイズの隕石が衝突して、恐竜が滅びた。おかげで人類が在る。もし恐竜の地上支配が続いていたら、哺乳類は驥足を伸ばせなかっただろうから。したがってこの事件こそは、人類史上の最大イベントなのである。

 NASAによれば、地球には平均して100万年に1回、大隕石が命中するらしい。次に大隕石が落ちてくれば、人類は一人残らず死に絶える確率は高い。しかし地球生命が全滅するわけじゃないのだ。

 2017年に『ネイチャー』誌に載ったシミュレーションによると、衝突によって地球全体を沸騰させてしまう、そのくらいのインパクトを与えられる隕石のサイズは、太陽系で最大級の小惑星である「パラス」だとか「ヴェスタ」と同程度である必要があるだろうという。その場合、地球生命はたぶん全滅する。

 地球の大気が大量の酸素を含むようになったのは、いまから25億年近く前のことだ。
 海中のシアノバクテリア=青緑藻 が、その酸素を生産した。
 この酸素のおかげで、多細胞生物が存在できるようになった。

 しかし今から4億5000万年前、こんどは逆の環境変化が……。大気中の酸素濃度がとつじょ、低下したのだ。それが数百万年も続き、その間にかなりの生物が絶滅した。後期オルドヴィス大量絶滅と呼ぶ。

 オルドヴィス期には、地球上にはたったひとつの大陸「ゴンドワナ」が存在した。生命のほとんどは海中に在ったものの、ゴンドワナ大陸の上には植物が進出していた。ところがオルドヴィス期の末期には、この大陸がすべて氷河で覆われてしまったのだ。

 しかしなぜ酸素濃度が急低下したのかの原因論争は決着を見ていない。ひとつの仮説は、氷河によって海面レベルと海表面水温が低下し、それにともなって、酸素を生産する海中植物に異変があったと考える。

 それはともあれ、後期オルドヴィス期には地球生物の8割が死滅した。

 近年の一部の学者いわく。げんざい、また酸素濃度低下が、海洋中において観察されていると。それは気候温暖化のせいであると。そして海中酸素濃度が低下することによって、生存ができなくなる海洋生物種もあるはずだと。

 そもそも、後期オルドヴィス期の地球気温低下は、何が原因で始まったのだろう?
 数年来、複数の学者が唱えている仮説は、「ガンマ線バースト」だ。

 超新星爆発のような天体現象にともなって、ガンマ線が飛び出す。
 まだ現代天文学者は、われわれの銀河系の中で「ガンマ線バースト」を観察したことはない。しかし他の銀河系内では、それが起きていることが観察されている。

 こんご、われわれの銀河系の中のどこかで「ガンマ線バースト」が起きれば、地球ではふたたび、大絶滅が起きるであろう。

 ガンマ線に地球がさらされる時間は、たったの10秒かそこらだ。
 しかしその10秒間で、地球大気のオゾンの半分は、破壊されてしまう。
 オゾン層が除去されると、太陽が放っている紫外線などがモロに地表にまでふりそそぐので、えらいことになる。

 ガンマ線も紫外線も、海中深くまでは到達しないけれども、海面付近は、やられる。それによって浅海中の緑藻類が死滅すれば、現在の地球大気の酸素濃度は、維持できなくなる。

 またガンマ線は、大気中の酸素分子や窒素分子をばらけさせる力がある。ばらけた直後から、大量の二酸化窒素がつくられてしまうだろう。
 1970年代に先進国の大都市部を覆っていた有害なスモッグと同じガスが、地球全体を覆ってしまうようになるかもしれないのだ。
 この半透明のガスは日射を遮るから、地球は急速に寒冷化に突入するはずだ。

 ところで、3月に刊行された『ネイチャー・ジオサイエンス』は、ガンマ線バーストが来ても来なくても、いずれ地球の酸素はなくなる、という論文を載せている。

 いまから10億年経過すると、太陽が高齢化して巨大化するので、その影響で、地球大気中の酸素濃度は、青緑藻が登場する前の初期地球のレベルに、急激に低下するだろうという。

 まず、太陽から来るエネルギーによって、地球大気中の二酸化炭素が分解されるまでになるという。
 そうなると、二酸化炭素をとりこんで光合成によって酸素をつくっている植物は、生存できなくなる。

 この、酸素がなくなって行くイベントは、スタートしてから約1万年がかりの変化である。
 そのときどうすればいいのか。いまから10億年かけて考えるとよいだろう。

 ※「進化の地政学」もあるという気がする。先へ進めば、棲み難く、且つ、狭くなる。そのような地形に追い込まれたら、その生物は絶滅してしまう。先へ進めば、棲みにくいが、広くなる。そのような地形をたどった生物には、サバイバルのチャンスがある。たとえば、深海から海面に突き出ている火山地形。この海中部分(急傾斜)は、深くなるほど住みにくいが、広くなる。したがって、その斜面をすこしずつ下ってけば、誰かは生き残る可能性が高い。環境は深いほど悪いので、天敵は減る。それでシーラカンスも生き残れたのだろう。ぎゃくに、この海上火山の陸上部分はどうか。標高が上がるほど住みにくく、しかも狭くなる。住みにくいので天敵との競争は熾烈になる。天敵もろとも死ぬこともあり。その先には、逃げ場がないのだ。地球の気候が一時的に非常に悪くなり、かつ激変したとき、孤島火山地形の水面下部で生き残っていた種が、再上陸を強いられ、やむをえずして陸棲種になったこともあろう。

 ※究極のサバイバルシティは、深度変化ゼロの砂漠の「THE LINE」ではなく、孤島の海中斜面に、斜めのエスカレーター式に建設した、深度変化が無限である、「傾斜海中トンネル構造」なのではないか。海水温度の変化に応じて、棲息深度(マイナス標高)を、調節して行けばいいのだ。誰かがそのような実験を始めるべきである。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

対米戦はなぜ1941年に回避できなかったんだと言う世間知らずなお坊ちゃんは、いまもって店を畳めない飲食店を見よ。

 Eileen Guo 記者による2021-5-7記事「Covid killed UBI; Long live guaranteed income」。
    パンデミックの前、「ユニバーサル・ベーシック・インカム」がいいぞ、という話を聞いても、インテリたちすら懐疑的であった。

 ふつうに就職していた人が、たとえば癌にかかってホームレス・シェルターに暮らすようになる。そんな目にじぶんが遭うと、月に500ドルの「ベーシック・インカム実験」がすばらしいものだと認識する。これは命綱だと。

 時間はかかったが、保守主義者も民主党支持者も、ベーシックインカム制度のほうが、現行の社会保障制度よりも税金の節約になるのではないかと思い始めている。

 ミルトン・フリードマンは、それは「逆所得税」だと言った。
 リチャード・ニクソン大統領すら「収入保証プラン」に前向きだったのである(これは連邦上院が反対して潰した)。

 これまでUBI(ユニバーサルベーシックインカム)を実験してみた国には、2017年のフィンランドを筆頭に、カナダ、イラン、スペイン、オランダ、ドイツがある。

 米国では、ニクソンのプランがデンバー市とシアトル市で実験されたのが早い。
 1982年、石油収入で潤ったアラスカ州は、成人の全住民に平均して毎年1100ドル配るというファンドをつくった。

 アンドリュー・ヤンが2020に民主党の大統領候補に立候補したとき、月額1000ドルのUBIを標榜している。
 しかし「まともなアメリカ人は、他人からタダでカネなどもらわない」という伝統的なモラル・バリアーにはじきかえされ、相手にされなかった。

 とはいえ追い風がある。全米の各地で実験がなされて、データが集積されつつあるのだ。

 ミシシッピ州ジャクソン市は、2018-12に実験を開始した。20人の低所得の黒人の母親を選び、口座をつくってやり、毎月1000ドルを振り込んでやる。それを1年続けた。だいたいこのひとたちは年収が2倍になったので、もらったカネは子どものための貯金になった。
 この実験は、母親の人数を110人に増やして、その後も続けられた。

 2019-2から加州ストックトン市が125世帯に対して実験(月額500ドル×18ヵ月)したデータによると、もらったカネの37%は食費に使われており、アルコール・煙草代にまわったのはちょうど1%であった。また、失業していたが再就職できた率は、この500ドルをもらっている人の方が、もらっていない人よりも2倍、高かった。
 つまりベーシックインカムがなければ失業者は職探しもできかねるのだ。実態として。

 ストックトン市長のタブスは、父が刑務所、母が10代という家庭で育った苦労人。
 「バイアスをもとに議論するのではなく、データをもとに議論すべきだ」、とタブス氏。

 アンドリュー・ヤンはもっかのところ、NY市長選に立候補している。しかし「ユニバーサル=無差別」のベーシック・インカム導入論は引っ込めた。極貧世帯に対して年収2000ドルを保障するという政策に切り替えている。

 次。
 Tyler Rogoway 記者による2021-5-6記事「The Definitive Answer On Why F-16s Carry AIM-120 AMRAAMs On Their Wingtip Rails」。
   三沢基地の米空軍のF-16Cは、はるばる南シナ海まで下って長時間パトロールするさいには、AMRAAMを5発とサイドワインダーを1発、吊下させている。
 このサイドワインダーは翼端ではなく、内側に吊るしている。なぜなのだろうか。

 翼端にAMRAAMをつけておくと、主翼のフラッターを抑制できるので、とても都合がよいのだという。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-5-7記事。
   ウクライナがUH-1のライセンス生産を今年から始めた。8月には1号機がロールアウトする。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

中共がキリバス(フェニックス諸島)のカントン島に航空基地を建設する。

 先の大戦にて、帝国海軍が南東方面戦域にて最も東に確保できた拠点はタラワ(ギルバート諸島)だったが、カントン島はそれより1000km以上東。
 対米宣戦しないで、FS作戦=米豪間遮断作戦 を進捗させるという、地政学マヌーバの凄技だ。

 中部太平洋のミッドウェー島よりもカントン島は東にある。
 ただし、北太平洋のキスカ島に比べれば、カントン島はまだ西だ。

 それほど米本土に近いキスカ島から日本軍はまんまと撤退することができた。米軍も北太平洋にまでは戦争資源を割けなかったわけだ。

 次。
 James Durso 記者による2021-5-5記事「U.S. Bases in Central Asia: Where Will They Go?」。
   アフガニスタンから米兵は9-11までに総撤収ときまっているのだが、他の中央アジアの米軍駐留地はどうなるのか。
 米政府は、対テロの情報収集や出撃拠点に使うためにひきつづき、残すと言っている。

 カザフスタンは米国とは良い関係を持っている。同国内に多数の米軍用航空基地が所在する。しかしカザフとアフガンは陸続きではないから、中間の他の諸国の許可を得ないと対アフガンのいかなる航空作戦も不可能だった。こっそりやろうとしても、すでにその空域は民航機が飛びまくっているので、秘密にできないのだ。

 カザフには中共が莫大な投資をしている。カザフ産の石油/天然ガスの半分は、売り先が中共である。

 トルクメニスタンはアフガンと長さ500マイルの陸上国境を有する。しかし天然ガス資源が豊富なので、「永世中立」を指向し、それは国連特別決議ですでに認められた。だから米軍は基地を同国内には置けない。

 キルギス共和国は、2001年から2014年まで、マナス国際空港を米軍の対アフガニスタン作戦のために使わせてくれた。
 だが米軍用の燃料の売買契約をめぐるスキャンダル、キルギス民間人を米軍が殺したという容疑、などの芳しくない話がいろいろあって、政府間関係もすでに親密ではない。

 ※ホスト諸国にとってのこの地域での米軍プレゼンスの問題としては、米兵の犯罪を訴追しないことを米政府がホスト国に求めること、非軍用航空機を使った軍事支援活動を勝手に展開しようとすること、など、あまたある。

 ウズベキスタンとタジキスタンはアフガニスタンと国境を接するが、第三国の軍用機が対アフガン作戦のために自国上空を通過することを渋っている。

 ウズベキスタンは、米軍による対テロ合同訓練、対麻薬の協働活動には加わるものの、そこまでである。

 ウズベキスタン内には、タシケント空港とナヴォイ空港がある。
 タシケント空港は首都の飛行場であり、そんなところに米軍機がいると目だってしょうがない。米軍は、その機体が目立つことのない、田舎空港を使いたいのである。
 マナス空港も同じ理由で、米軍にとっては理想的ではないのだ。

 2001年から2005年まで、米軍は、「カルシ・カナバド」飛行場を利用していた。しかしそこはもう使いたくない。環境汚染がひどくて、駐留兵が健康を損ねるほどなのである。

 アフガン国境に近い「テルメズ」飛行場は、ドイツが対アフガン補給拠点として使っていたところだが、ここは補給の中継基地等として、使えるだろう。

 ウズベクとアフガンの国境線はたったの89マイルと短い。そこは陸路の麻薬密輸を見張るために警備がとても厳重だから、外国軍もそんなところでは活動はしにくい。

 タジキスタンはユニークである。露軍、支那軍、インド軍の基地を国内に置かせているのだ。
 イランとも、合同軍事活動していくことで合意している。
 タジクはアフガン産の麻薬の通過点になっているから、米軍としてはそれ対策を名目に駐留したいところだが、あまりにも他国軍の目が過密であるところが不都合だ。

 ウズベキスタンは、国境にあるハイラタン市から、アフガニスタンのマザリシャリフまで鉄道を敷設しようとしている。またアフガンの若者をテルメズ市の教育センターで受け入れている。またアフガンに対して電力も格安で輸出してやっている。
 首都タシケントにタリバンの使節を迎えたこともある。2018年に。ウズベキスタンは、タリバンと戦争する気はない。

 タジキスタンは、要するにウズベキスタンよりも資源がなくて貧乏なので、セキュリティを他国に頼りたいのである。そういう弱い立場。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

ナポレオンの死因は末期癌であった。

 John Feng 記者による2021-5-5記事「China Reveals Multiple Double Mutant COVID Cases in Country」、。
   中共政府が認めた。二重変異株の新コロにインドで感染して帰国した者が先月3名いたと。
 この帰国者たちは20代から30代で、ニューデリーの南東にある市の携帯電話工場のプラント建設に2019年から従事。このたびネパールにも3日間出張して、4-21にニューデリー空港から重慶に戻ったところで、感染発覚。
 N95マスクなど感染防止服装を厳重にしていたのに、それでも感染したらしい。

 先週、中共の感染学者の長老が、複数の都市ですでにインド型変異株の患者がいると明かした。しかし都市名は伏せられている。

 次。
 NED POTTER 記者による2007-1-18記事「What Killed Napoleon?」。
    ナポレオン・ボナパルトは1821-1-17に死亡した。

 ナポレオンの主治医は、死因は胃癌だと報告している。
 しかし過去200年間、いろいろな人が「毒殺だ」と主張して止まない。

 たとえばナポレオンの髪の房が残されており、その中に砒素の含有が認められたという。
 またナポレオンの従者の日記も毒殺を裏付けるという。
 1840に遺骸を掘り返したら、その状態が良好だった。毒に浸されているからだといわれた。

 事実はどうなのか。

 セントヘレナ島での最後の6ヵ月、彼は病気であった。主治医のフランチェスコ・アントマルキの報告。患者は強い胃の痛みを訴えている。むかつき・嘔吐。寝汗。そして逐次に弱っている。

 解剖所見もある。フランス人も陪観していた。ナポレオンの胃は、コーヒー滓のような黒い物質で満たされていた。胃の中の一方から反対の端まで癌が大きく成長していた。

 胃腸上部位からの出血が、死の直接因だろう。

 ナポレオンの遺髪からは通常の38倍の濃度の砒素が検出されたという。これは最近50年くらいの所見である。
 ところがナポレオンの1805年当時の髪の毛も伝わっていて、それを調べたらそこにも砒素が……。

 もし誰かが毒殺をくわだてたのだとしたら、それは1821よりもずっと前からだということになる。
 ちなみにワーテルロー敗戦は1815である。

 パリ警視庁の毒専門家いわく。髪の毛からみつかった砒素は、ワインおよびヘアートニック由来であろう、と。
 そして1800年代前半においては、砒素は梅毒の治療によく使われた。ナポレオンも一穴主義の人ではなかったであろう。

 砒素によって毒殺された人の皮膚や手指の爪は真っ白になるといわれているのに、死体所見にはそんな記載は無い。皮膚の色は普通だったのである。

 ナポレオンが着用していたズボンが12着、全欧各地の博物館に伝わっている。うち8着がセントヘレナ時代のもの。その寸法を調べた結果、ナポレオンのウエストは、死の直前の6ヵ月間で、43インチ〔=109.2センチ〕から38インチ〔=96.5センチ〕に縮んだことがわかった。

 ナポレオンの身長は5フィート2インチ〔=157.5センチ〕だったといわれている。
 そこから推定して、ナポレオンは最後の半年に体重を30ポンド〔=13.6kg〕減らした。

 このことも胃癌死因説を補強し、砒素毒殺説を斥ける。


ザッカーバーグの嫁は偉いよ。最終勝者だね。

 Thomas Newdick 記者による2021-5-4記事「Turkey Now Has A High-Speed Missile-Like Drone That’s Launched From A Larger Drone」。
   トルコの無人機業界がまた先進的なひらめきを見せている。

 トルコ国産の小型の高速ターゲットドローンである「シムセク」に爆発弾頭をとりつけて、その機動ミサイルを、より大型の無人機(プレデターもどきの国産機「アンカ」)の翼下から発射できるようにするのだ。

 メーカーは「Turkish Aerospace」。
 「シムセク」のカミカゼ・バージョンは2020から存在が公表されている。弾頭重量は5kgである。レンジは、リリースされる高度によるが、高空から放てば200kmに達する。

 「シムセク」はターボジェットで飛翔する。2009から国内開発していた。SAMやAAMの試験に使うための、標的機だ。最高速力は400ノット。高度は1万5000フィートまで昇れる。低空飛行はちょいと危険なので1000フィートまでだ。

 「シムセク」を地上や艦上から単独で射出することもできる。その場合はカタパルトが使用される。

 低速で長時間滞空していられる中型の無人機と、高速で200km飛翔する自爆無人機を組み合わせることで、中型無人機が敵のSAMの餌食になることはなくなる。まことに合理的な考え。

 シムセクの特攻バージョンには、イスラエル製の「ハロプ」のような光学センサーはついていないし、長距離用のデータリンク無線機も搭載しない。すなわちロイタリングミュニションではない。
 だから安価に量産できる。

 高性能センサーと長距離データリンク無線機を搭載した「母機」のUAVは、敵のSAMで落とされると金額的にかなり痛いが、そのリスクが局限される次第。

 言うなればシムセクは、ターボジェットエンジンで短距離を巡航する空対地ミサイルなのだ。その突入標的は、発射前から標定されているのである。

 シムセクの詳細は非公表。しかし31マイルの距離であれば陸上とのデータリンクはできる。これはターゲットドローンであれば、とうぜんだ。戦闘機と同じような機動が随意にできなくてはいけないから。

 弾頭炸薬が5kgしかなくとも、時速800kmくらいで機体が敵のレーダー車両に突入すれば、その衝撃力だけでも敵のSAMシステムはぶっこわされてしまう。SEAD任務の安価な巡航ミサイルとしては、じゅうぶんだ。
 ※尖閣にやってくる海上民兵のボロ船を片端から撃破するのにも、コスト的にふさわしい。

 ターゲットドローンとしてのシムセクは、パラシュート回収ができるようになっている。しかし巡航ミサイルとして用いる場合には、回収は考えずに、使い捨てにする。それでも別に苦しくない値段なのだ。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2021-5-3記事「Honeywell Fined Millions Over Exporting Sensitive Info On F-22, F-35, And More To China (Updated)」。
   ハネウェル社がやらかしていた。F-22、F-35A、B-1、トマホーク巡航ミサイル、エイブラムズ戦車、等々の武器部品の設計図面を、中共やその他の外国に売り渡していたという。これはAECA=武器輸出管理法、ならびに、ITAR=国際武器取引規制法 違反である。

 ハネウェル社はお詫びのしるしに、連邦政府に罰金1300万ドルを納めることで合意した。
 ただし国務省は、そのうち500万ドルを、同社の社内是正プロジェクトのために使うことを認めた。

 ※正式裁判にすると国防機密が却って天下にバラされるだけなので、内済でペナルティが決着する。

 2011-6から2015-10にかけてハネウェル社は、71点の図面(すべてITARで規制されるべきもの)を、国務省の許可なく外国へ売った。ハネウェル社はそれについて2016に「自首」してきた。そこから2年間調査がすすめられ、他にもいろいろ違法に売っていたことがわかっている。2018にこの一件は政府によって公表された。

 部品は、C-130、アパッチ攻撃ヘリ、「T55」ターボシャフトエンジン(チヌーク用)、「CTS800」ターボシャフトエンジン(コマンチ用だったが、今は英海軍ヘリとトルコ陸軍ヘリが採用)にまで及んでいた。
 いずれも、図面をサプライヤーと共有するときに普通に使われる「DEXcenter」というデジタル図面書式であった。

 中共以外への違法な図面の売り渡し先としては、カナダ、メキシコ、アイルランド、台湾が含まれている。
 ※台湾に渡れば中共までは筒抜けだ。カナダも支那系が多い。

 会社側の弁明。それらの図面には、特別に専門的な加工技術の詳細は記載されていないのである、と。

 AECAとITARは、民間人が市場で手に入れられるようなテクニカルマニュアルでも、それを軍需メーカーが勝手に輸出すれば、厳しく咎めるように運用されている。

 ※しかし『サウスチャイナモーニングポスト』紙によると、ハネウェルは2003にアジア太平洋支社をシンガポールから上海に移転した。さらに2017には上海に1億ドルを突っ込んでビルを建てている。かんぜんにとりこまれつつあった。もっと真っ黒なんじゃないか?

 次。
 Paul McLeary 記者による2021-5-4記事「India Getting P-8s In New Deal That Includes Local Investment」。
    米国務省はさらに6機の「P-8」をインドに輸出する件を承認した。この6機の一部の部品(価額にして3割相当)はインド国内で製造されるという、オフセットとりきめ。

 インドは2009年に「Direct Commercial Sale」によってボーイング社から「P-8」を買い、2016年にさらに追加で買い増して、いま12機を運用している。名前は「ポセイドン」ではなく「ネプチューン」と付けている。
 ※FMSではないというところがさすがインド人である。他国からかけられる契約の縛りを最小限にしてしまう智恵が常に働く。もしインドが2020夏季五輪の開催予定地であったなら、IOCには1銭も払わずに開催を放棄できたであろう。わが国は、文系の法律官僚に、たよりにならぬ奴が多いのか。困ったもんだ。

 げんざいロックマート社は、現地のタタ社と組んで、F-16のインドバージョンである「F-21」を売り込もうと、長い交渉を続けている。もちろん、インド国内で組み立てることがオフセット条件だ。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

IOCから脱退しよう!

 プロスペクト理論によると、われわれは追い詰められると「一発逆転」を欲するようになる。
 日本政府はいま、五輪利権と新コロ対策の間で、追い詰められて、窮している。

 では、一発逆転の秘策を授けよう。

 IOCから離脱するのじゃ。
 とうぜん、五輪など開催しない。

 一発、先制的に「脱退宣告」をブチかまし、もしもIOCが日本に復帰してもらうことを望むのならば、「違約金」をチャラにしなさい、という交渉に、ただちに持ち込むのである。

 むこうが渋るなら違約金を払う。それは血税であるから、広く日本国民のあいだにIOCに対する怒りをかきたてるだろう。したがって、二度とIOCへの復帰の線はなくなるはず。

 そうなれば、却って善いことじゃないか。
 わざわいではなく、福音である。
 プログレッシヴで明るい吉報なのだ。

 「近代オリンピック」は、すでに時代遅れで、人類の現状と進歩の方向からは後落している。そのいかがわしい商業利権構造も、今後も廓清される見込みはまるで乏しい。

 たとえば中共が開催するという次の冬季五輪を思ってみたまえ。
 近代議会も選挙もなく、ジェノサイドと主権侵害と知財窃盗を持続中の人類の敵である中共政府が「近代オリンピック」精神を体現しているとは、世界中の誰も思わない。しかしその大会の開催を停止させることはIOCにはできない。カネの力が常に健全な精神を屈従させる政治ショー。これ以上のパロディがあろうか?

 わが国がIOCから脱退してしまえば、このような腐れ大会には二度と関わらなくてすむのである。じつにせいせいする話ではないか。

 日本が率先して、IOCに引導を渡し、北京冬季五輪をボイコットし、古臭いIOCに代わる、あたらしい時代にふさわしい国際スポーツのテスト大会を、提案するべきだろう。

 えっ、そんな大構想を組み立てられる人材が、日本のスポーツ界にはいない?

 だったらマスかいて寝ろよ。



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このGW中に店を畳んだ飲食店は多いはず。それは賢明ではないか。

 Graham Warwick & Thierry Dubois 記者による2021-4-30記事「What Are The Electric-Propulsion Challenges In Commercial Aviation?」。
   民航機を電力で飛翔させようとする場合の最大の難関は、バッテリーのエネルギー密度が旧来の航空燃料よりも桁違いに希薄であること。
 航空用ジェット燃料は、1kgの中に、1万2000ワット・アワーのエネルギーを内包している。
 しかるに、民需用に流通しているリチウムイオンバッテリーは、セルの中味1kgあたり250ワット・アワーしか充電はできない。
 しかもジェット燃料は燃やすにつれてタンクが軽くなって行くのに、バッテリーは放電後も死重がそのまま機体に残る。現状、飛行機のエネルギー源としては、不利すぎるのだ。

 リチウムイオンバッテリーは、セルの周囲を、断熱・耐圧の頑丈なケースで密封しておかないと、空中で破裂したり燃えたりして、航空機に対して危険である。このケースの重量が、さらに「重量あたりのエネルギー密度」を2割も悪くする。

 電動旅客機のパイオニアたちは、19座席以下で、片道250マイルまでしか飛ばさない「小型近距離」機ならば、電動でもなんとかできるという手ごたえを得ている。

 バッテリー技術も日進月歩だ。だいたい1年で5%から8%ずつ、効率が向上しているという。
 NASAによる技術予想では、2030年までには、1kgあたり350ワット・アワーのエネルギー密度を、セルの中味に関しては実現できるであろう(安全外殻であるバッテリー・ケースの重量は別)。
 そのような電池が使えるのならば、30シートの近距離旅客機を運航できる。

 遠い将来、1kgあたり500ワット・アワーのエネルギー密度が電池で実現したら、50座席のリージョナル機や、通路1列で150座席ある旅客機も、設計可能になるだろう。

 NASAの見通しでは、今のバッテリー・ノウハウで実現ができそうなのは、おそらく1kgあたり400ワット・アワーくらいまで。そこが壁だ。もし、それよりも高性能な電池をこしらえたくば、まったく斬新な新技法が発見される必要がある。

 では液体水素と大気中の酸素を原料として化学反応で発電させる「燃料電池」はどうか。
 液体水素は、同じエネルギーを内包する「ジェットA1」灯油よりも、軽量だ。

 ところが、タンク容積は余計に必要になる。ケロシンよりも液体水素の方が、重量密度が低いからだ。

 エアバス社が考えているのは、燃料電池と内燃機関のハイブリッド推進。すなわち積んでいる水素の一部を、ガスタービンエンジンの中で燃焼させようというもの。水素を燃やすガスタービンエンジンの効率は、燃料電池で動かす電気モーターよりも悪いのだが、パワーは大きい。
 離陸と上昇のときは、燃料電池で起電した電力でモーターを回し、プロペラもしくはファンの回転をアシストする。すなわちガスタービンと電池モーターの併用。
 巡航時は、水素でガスタービンだけをちびちび燃やすという。
 すくなくとも二酸化炭素はまったく出さない方式である。

 もうひとつは電気モーターやパワートランジスターの効率。今の電気モーターは電力を回転力に転換する効率がよくなくて、不必要な「熱」を発生してしまう。途中の回路も同様である。熱は除去しなくてはならず、冷却システムが余計に必要になり、ますます無駄が嵩む。

 たとえば1メガワットの電気モーターに1%の無駄があるとすると、1キロワットもの無駄な熱を生産し排出することになる。

 ケーブル途中の電力損失を減らすには、電圧を高めて、アンペアを減らせばいい。そうすればケーブルは細く軽くし得る。

 この同じ理由で、従来28ボルトであった旅客機の配電電圧は、270ボルト化しようとしているわけである。
 全電化飛行機の場合、現状では500ボルトくらいを使うが、数十人の旅客を運ぶとなれば、できれば3000ボルトには高めたいところだ。

 しかしそうなると、気圧の低いところでは、絶縁部材内部での「部分放電」とか、コロナ放電が起き易くなるから、悩ましい。

 そこでエアバス社では、超電導モーターや超電導ケーブルの採用を模索している。これなら発熱しないが、そのかわり冷却をどうやって保つのかの難題が……。

 そのためには、液体水素の低温を使ったヒートポンプ冷凍機が有望かもしれない。

 次。
 Meredith Roaten 記者による2021-5-3記事「Analysts Question Uniqueness of Hypersonic Weapons Capabilities」。
    さきごろ『サイエンス・アンド・グローバル・セキュリティ』誌が「Modeling the Performance of Hypersonic Boost-Glide Missiles」という研究論文を掲載し、ハイパーソニック弾が旧来式のミサイルより迎撃困難かどうかには疑問があるとした。マッハ5ぐらいでは、古い弾道ミサイルよりもはるかに低速だからと。

 2000年代に、トライデントSLBMに、落下途中で機動できるRVを搭載して実験がされている。その結果わかったこと。すでに多弾頭型のトライデントにおいてこの上なく精密な命中精度が実現されてしまっている。

 ※ICBMやSLBMの既製のRVを途中で破損させられるようなビーム兵器を誰も開発できていない。それは既存RVの超高スピードのおかげでもあるだろう。ハイパーソニックのマッハ5レベルなら、終末段階で却ってビーム兵器による迎撃時間が長くなるかもしれないのだ。

 米国がすでに持っている技術である、「弾道ミサイル+機動RV」の組み合わせが、現時点で無敵である。そのRVを落下途中で毀損できるような兵器を敵は開発できていない。

 戦略級射程のものよりも、弾道ミサイルのスピードは低速であるところの戦域級射程においても、なお、弾道ミサイル+終末誘導子弾の組み合わせが、ハイパーソニック弾よりも勝っている。

 次。
 Anne Barker 記者による2021-5-5記事「Malaysia Airlines flight MH370 left ‘false trails’ before disappearing, new research suggests」。
   2014-3にインド洋で行方不明になったマレーシア航空の「MH370」便は、航空管制の目をあざむくために、何度も意図的な針路変更をしていたという。

 同機は239人を乗せてクアラルンプールを離陸したが、目的地の北京には着かず、インド洋に突入した。
 さいきん、あらためて導入された解析技法によって、それが確認された。

 すなわち機長のザハリエ・アーマド・シャーは、飛行途中で気が違ったわけではなく、離陸前から綿密に計画を立てていたのである。

 件の「ボーイング777」型機の墜落海面が南緯34.5度であるという推定(複数の衛星が受信した信号強度からざっくり割り出した)は、当時も今も、不変。
 ただし、そこに至るまでの推定コースは、これまでは分らぬ部分が多かった。

 このたび、MH370便の謎を独自に探求している航空技師リチャード・ゴドフリーが、WSPR(weak signal propagation report)を見直した。全地球的に飛び交う微弱な電波信号がある。それは航空機の通過によってかき乱される。それを2分ごとに解析した。

 これを、当該事故機が英国のインマルサット通信衛星に向けて1時間おきに自動送信していたデータ信号とつきあわせることによって、かなりのことが分るのだという。

 彼の結論。機長はあらかじめ、管制網を韜晦するための数度の針路変更やスピード変更を周到に計画していたことが、明らかだ。

 ゴドフリー氏はWSPRを解析する独自のソフトを開発している。その名もGDTAAA(どの空域のどんな飛行機も全地球的に探知し追跡)。

 パイロットは、サバンとロクセウマウェにある航空管制レーダーが作動している曜日と時間帯を承知していたようだ。
 パイロットは、その機がどこへ向かって飛んでいるのかを、知られたくなかったようだ。

 WSPRの送信局は世界に5000箇所以上あるのだという。
 そして当日、MH370便は、WSPRの伝達経路を518回、横切ったのだという。

 GDTAAAシステムを使えばMH370便が沈んでいる海底を、誤差18海里で割り出せる、ともゴドフリー氏は請合う。



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