こんどのアゼルバイジャンの圧勝でパニックになっているのはロシア軍部

 Tom Payne 記者による2020-11-20記事「One in three motorists cannot afford even the cheapest electric car, warn experts in blow to Government plans to ban petrol and diesel cars by 2030」。
   英国で自動車に乗る人の三人に一人は、最も安価な電動自動車すら、買うことができなくなるだろう。

 英国で手に入る一番安い電動自動車は、スコダ社製の「シティゴ」であるが、これには毎月170ポンド【=2万3662円】の経常費がかかる。

 CEBR(経済ビジネス研究センター)の分析。最低でも毎年2100ポンド【29万2375円】を支出し続けないと、電動自動車を個人は維持できない。

 毎月1800ポンド【25万539円】を支出している世帯は、かろうじて電気自動車を維持できる。しかし、月々1400ポンド【19万5000円】でやりくりしている家庭なら、電気自動車はもてない。

 つまり英国の全世帯の三分の一にとって、電気自動車は、実現不可能な夢でしかない。

 英政府は2030年には石油燃料自動車の販売を禁ずるとした。そのために120億ポンド【1兆6700億円】の予算をつけるというのだが、現状、英国内の自動車の0.3%だけが電気自動車なので、それは不可能に近いだろう。

 初級レベルの電動自動車の購入価格は、だいたいガソリンエンジン自動車よりも5000ポンド【70万円】高い。

 ただし、廃車にするまでのライフタイムランニングコスト(購入費含む)の平均で比較すると、電気自動車が52100ポンド【725万円】なのに対してガソリン自動車は53600ポンド【746万円】となる。

 全英で給電所が280万箇所必要になるが、市町村の6つに1つは、住んでいる町の道路では給電所を見つけられないことになるだろう。

 貧乏人と、かつかつの零細企業にとって、現政府が唱える「グリーン・リボリューション」は、破産宣告に等しいのである。

 次。
 Robyn Dixon 記者による2020-11-12記事「Azerbaijan’s drones owned the battlefield in Nagorno-Karabakh ? and showed future of warfare」。
     停戦まで44日続いた、今次のナゴルノカラバフ紛争。6週間戦争と言えよう。
 休戦は火曜日=2020-11-10だった。開始が9-27。

 アゼル側は毎日、ビデオを公表した。国防省がウェブ発信した。バクーの街中の大画面でも放映された。
 シュシャ市は、アルメニア人の発音では「シュシ」市となる。
 塹壕の中のアルメニア兵がUAV攻撃で吹き飛ぶフッテージもあり。

 シリア傭兵はナゴルノカラバフには投入していないとトルコ政府。
 カーネギーの国際平和基金の職員でコーカサスの専門家であるトム・デウァール氏いわく、アルメニア軍の戦車の三分の一がUAVにやられてしまったと。

 アゼルは緒戦で11機の改造「アントノフ2」を無人で飛ばした。これでアルメニアのAA陣地を把握した。

 トルコは、リビアでヒフター軍閥軍の所有する「パンツィールS1」自走SAMをUAVでやっつける方法を会得していた。それを夏のうちにアゼル軍に教えた。
 ※ゲイディ氏の別記事によると、パンツィールは超低空目標には対処できないのだそうだ。これを打ち消すのに露人の回し者が躍起である。

 アゼル側公表の画像を調べた人によると、アルメニア軍の185両のT-72戦車、90両の歩兵用装甲車、182門の砲熕兵器、73両の多連装ロケット台車、26両の自走SAM(1両のTorと、5両のS-300を含む)、14基の防空レーダーもしくは電波妨害アンテナ車、飛行場に駐機していた1機の「スホイ25」攻撃機、451両のトラックが破壊された模様だという。

 それに対してアゼル軍は、戦車22両、41両の歩兵戦闘車、1機の有人ヘリ、25機のドローン、トラック24両をやられた。

 以上は確定値ではないが、確かなのは、アゼル側が圧勝であった。

 ※ゲイディ氏の別記事によると、アゼル軍は徹底的にISRを準備して開戦した。かたやアルメニア側は永久築城はおろか、野戦築城も甘すぎ、そのため塹壕内でむざむざやられている。AFVも蝟集させすぎていた。散開して移動し続けろという原則が分っていなかった。それと、これからはSAM車じしんが対UAV防空しなければならんというのが一教訓だと。この戦争については次の兵頭の1冊の中で戦訓をまとめてみるので、お楽しみに。



戦争の正しい始め方、終わり方


「新しい戦争」を日本はどう生き抜くか (ちくま新書)

有害鳥獣駆除用途の「レーザー鳥獣駆逐銃」「電磁波利用の鳥獣駆逐器」の取扱い免許を新設すべきだ。

 人畜を失明させたり熱傷を負わせることはないが、有害鳥獣に、その場にはいたたまれなくする苦痛を感覚させ、農地や植林地や住宅地等から追い払い、遠ざけることのできる専用のツールの所持と使用の免許である。
 このレーザー銃は、ケースから出している間は常にボア同軸の録画装置が作動し、不適切な使用がされなかったかどうか、所轄の官公署のクラウドサーバーに記録が残される。
 その代わり、日没後であろうと、住宅密集地であろうと、政令のガイダンスにしたがう限り、随時随所に使用ができるようにする。
 若い狩猟家が今後増えることはまずないだろうが、殺傷性が限りなく低いレーザー銃を18歳くらいの青年に持たせて町をパトロールしてもらうことはできるようになる。
 これでクマは住宅地を恐れ、サルも果樹園に近寄らず、カラスは公園から出て行くであろう。
 「電磁波利用の鳥獣駆逐器」は、アクティヴディナイヤルシステムの小型版である。これを自動発射式の罠やリモコン式として使うことは不測の事故もあり得るので認められないけれども、教習後に免状を受けたオペレーターが、器材から離れずに臨場し、あらかじめ申請して許可を受けた照射覆域に限定して管制発射する限りは、夜間であろうと発射を許可する。
 仮眠もできるサイズの車両のルーフトップにこれが装備されるようになるだろう。
 やがて器材やソフトウェアが洗練されてくるだろうから、それにつれて、運用規制をゆるめて融通を利かせられるようになるはず。夜間の市街地に現れた羆を警察車両装備のアクティヴディナイヤルシステムで即時に排除することだって、可能になるだろう。

 次。
 JOHN VANDIVER AND IMMANUEL JOHNSON記者による 2020-11-20記事「US special operators and Army artillerymen flex muscles in groundbreaking Black Sea drill」。
    黒海での演習。独のラムステイン基地からHIMARSを黒海沿岸のルーマニアの航空基地まで緊急空輸。着陸後、ただちにHIMARSが自走して陣地進入。海岸から洋上目標に向けて、GMLRSを発射した。

 空輸した飛行機は、特殊作戦航空隊が保有するMC-130J「コマンドーII」である。超低空飛行ができ、まともな滑走路の無い場所に着陸できる機体である。パイロットもその特訓を積んでいる。※ニジェール人質奪回作戦に投入されたのと同じ機種。

 洋上の目標に関する座標データ入力などは、輸送の途中、つまり空中でなされた。
 目標は海岸線から25マイル沖にあった。複数のロケットが命中。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-11-22記事。
   韓国軍は17機あるCH-47Dを5年かけてF型にアップグレードしつつあるのだが、なんと、新品のCH-47Fを買うよりも、1機あたり10%コスト高になってしまうことにいまさらながら気づいたという。

 これはF型のいくつかの部品が、少量バッチの受注生産品であるためであるという。
 もしF型をまるごと発注していれば、もっと早く、もっと安く入手できただろうという。

 F型の既存のブロック1にするか、それとも未成であるブロック2にするかも迷ったという。2にするなら納期は2025年頃となり、コストは確実にブロック1より高くなる。

 2014年に韓国は、在韓米軍が使い古していた14機のCH-47Dを1億3000万ドルで買い、これによって陸軍と空軍が保有するD型の総数を43機にした。
 在韓米軍は大助かり。というのは、古いチヌークを1機、米本土へ持ち帰るだけでも100万ドルかかるし、はたまたスクラップにするにしても100万ドル近くかかってしまうからである。

 アフガニスタンでは、ゲリラを急襲するのに、CH-47Fが絶対に欠かせない。高地で、しかも夏が高温である=空気がますます薄くなる ため、エンジンの弱いD型ではダメなのだ。ましていわんやUH-60では役には立たない。
 ※ヒマラヤ戦線では、米国からチヌークを買えるインド軍が、チヌークの同格品を買えないシナ軍よりも、空輸力の点では有利。

 アフガニスタンでは、チヌークF型が1機で、ブラックホーク×5機分の活躍をしてくれる。チヌークは完全武装した50名を載せられるが、ブラックホークは11人。速度もチヌークの方が30km/時、上回る。航続距離はF型は426kmある。ブラックホークは2.1時間しか滞空できないけれども、アフガンでのヘリボーン作戦は平均2.5時間以上の滞空が要求されるのだ。

 米陸軍はD型からF型へのアップグレードを2018年までに終えている。
 もし新品のF型を購入すると、1機3500万ドルである。

 米軍はF型を2060までは使うつもりだ。ブロック2の次にはさらに性能を強化したブロック3が2030年頃にできる。そうやって半永久に進化を続けて行く。

 次。
 Ilya Tsukanov 記者による2020-11-22記事「Riding off success of new satellite, Iran official calls for creation of permanent space-based radar」。
      イランは7月に、中東最大の米軍基地を人工衛星から撮影した写真を公表した。ようやく衛星の姿勢制御ができるレベルに到達したわけだ。
 そして次はレーダー偵察衛星を打上げると言っている。



日韓戦争を自衛隊はどう戦うか


文庫 「日本国憲法」廃棄論 (草思社文庫)

米海軍は対潜ヘリに磁探を持たせる。

 Joe Concha 記者による2020-11-19記事「The new marshmallow media in the Biden era」。
   マシュマロ・メディアとは、質問にはあらかじめ台本があり、記者が取材相手を気遣いまくる、そのような報道態度である。
 11-16のバイデンの記者会見はまさにそのようなものだった。誰が質問するかはバイデン側のスタッフによってあらかじめ指名がされていた。

 民主党の候補指名を得てから以後のバイデンの記者会見では、なぜか指名された記者たちは、トランプについての質問ばかりした。バイデン本人の政見についてはほとんど質問しなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制をバイデンはどうするつもりなのかについて、だからわれわれは何も知らないのである。

 16日にバイデンは12個の質問を受けた。答えを聞いてさらに食い下がった記者は1人もいなかった。回答の途中で口をさしはさんだ記者もなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制についての質問は、そもそもゼロであった。

 もうひとつの奇観。
 バイデン陣営は、カマラ・ハリスの単独記者会見を、許していない。なんと民主党大会で副大統領候補に決まってから、投票の前後を通じて、カマラの記者会見は、これまで、皆無なのだ。透明人間状態にされている。

 2016年の大統領選挙のときはどうだったか。トランプの記者会見の2日前に情報機関の長が、ロシアが選挙戦に介入したと発表。これにより記者たちは会見にてプーチンに関して13回質問し、ロシアが介入しなくてもトランプが勝てたということをトランプが証明できないかぎり有罪だという態度で責め立てた。なんという相違であろうか。

 ※来年1月末から在野の私人になるトランプ氏は、政治評論家として隠居する気はないだろうから、バイデン政権が何かするたびに、自身の政策と対比して罵倒・非難し、メディアに最高のネタを提供し続けるだろう。バイデン政権はこれを《ノイズ》として無視することはできないだろう。無視すれば次の中間選挙で民主党の地すべり敗北に結びつきかねないからだ。

 次。
 Flight International 誌の記者による2020-11-20記事「Why UAE F-35 deal makes sense to Washington – and Israel」。
      2019-11のドィバイ航空ショーにはF-35は展示されなかった。しかしこのたび米国はイスラエルの反対を押し切ってUAEへの売却を決めた。
 UAEはF-16E/Fを保有している。これだけでも強力なのだが、そこにF-35が加わる。
 UAEがF-35を取得するころには、サウジも対抗のためF-15SAを、バーレーンは16機のF-16Vを、クウェートは36機のタイフーンを調達するだろう。

 カタールはイラン寄りのため湾岸で孤立しているが、それでも36機のラファールにさらに23機を加え、F-15も23機買い、タイフーンも24機買う。

 UAEは、50機ものF-35Aと、18機の武装攻撃型「MQ-9B リーパー」を取得することになる。
 またUAEと米国間の民航路線の直行便も認められるという。
 これは、イスラエルとの外交関係を正常化したご褒美なのである。
 イラン以外のすべての湾岸諸国には、これは朗報なのである。

 ※サウジは実質上、対イランに関してイスラエルとは攻守同盟関係にあるが、だからといってイスラエルを公式に承認すると、メッカの地主としての沽券にかかわってしまう。また米国もあの人殺し王子をあまり調子づかせるわけにはいかない。UAEを強化してやるのは、対サウジと対イランの両面の意味がある。

 UAE空軍はサーブ製の「グローバルアイ」空中警戒機によっても強化される。イラン軍は圧倒されるはずだ。
 イスラエルはいま「F-35I」を23機有する。計画ではその総数は50機まで増やす予定。
 イスラエルはF-35の運用経験で一日の長があり、さらに、独自の改修強化ができる国なので、近隣国がF-35を手にしても、その優位が脅かされることはない。

 ※オバマ政権時代に中共の悪事が放置された機序は、以下のようなものだと思われる。すなわち、スーザン・ライス氏などDCでのしあがる黒人は、白人に認められることに人生のエネルギーを傾注してきたので、政府中枢要人にのしあがると、いよいよ欧州首脳との付き合いに熱中したがる。欧州人から熱心に促されるままに、中東とロシア方面に米軍の資源を集中させてしまう。アジアの首脳たちと深くつきあっても、じぶんの《身分》《家格》が上昇したようなテレビ映りとはならないから、アジア・アフリカ・ラ米政策の立案から実務まで、あらかた他人へ丸投げとなる。中共がつけこんで体よく利用できる隙が、そこにはふんだんに生ずる。思えば、ブッシュ政権のコンドリーザ・ライス氏が学生時代にソ連を専攻していたのも、それが欧州政治家たちから一目置かれるテーマだからだろう。そしてまたトランプ大統領が「反支のブラックボックス」としてアジア諸国から歓迎された所以は、政界入りする前にセレブであるドナルド・トランプには《家柄》を向上させたいといった《小人スノブの野心》がまるで無かったおかげだ。彼にもし貴族崇拝があったら、娘をユダヤ人とは結婚させないからね。そんなだから、トランプは欧州人の機嫌も取らなかった。さて日本はバイデン政権に期待せずにさっさと中共を亡ぼす算段を立てねばならない。複数のオプションがあることは、すでに著書の中で呈示しておいた。

 次。
 Jamie Hunter 記者による2020-11-20記事「America’s Elite Flying Unit That Made The Recent Long-Range Hostage Rescue In Africa Possible」。
    ニジェールから隣国ナイジェリア領に拉致された米人フィリップ・ウォルトンを山賊の手から奪回した2020-10-31の作戦の詳細がやや分った。

 英国内の基地からMC-130J(×4機以上)で「チーム6」が南下。途中、スペインのロタ軍港基地に立ち寄り。ニジェールでパラシュート降下。これが現場への潜入。
 脱出にはCV-22B(×6機)を使った。

 オスプレイのうち4機が先行して密かにニジェールに到達していた。

 空中給油は棚田灌漑式に実施された。まず複数機のKC-135Rが、MC-130Jに給油してやった。そのMC-130Jが、こんどはオスプレイを満タンにした。
 この空中給油がなければオスプレイも片道1700マイル〔ノーティカルマイルならば3146km〕以上も飛べやせぬ。

 現場の上空援護のために1機のAC-130Jが参加している。
 また全般の通信確保等のために海軍が1機のP-8Aを飛ばしていた。

 レイセオン社製の「サイレントナイト」と呼ばれる、凹凸のある地形の上を暗夜に超低空で安全に飛べるレーダー航法システム。これがMC-130Jには装備されている。
 CV-22Bにも同じ特殊レーダーを近々、載せる予定だが、このたびの作戦参加機がどうだったのかは不明。



日本の武器で滅びる中華人民共和国 (講談社+α新書)


[新訳]孫子 ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法

米軍がアフガンから撤収すれば中共がイスラムに包囲される。トランプはそれを狙っているのか。

  Gretchen Morgenson and Courtney Kube 記者による2020-11-20記事「Nearly one out of four sailors from the Navy destroyer USS Michael Murphy test positive for Covid」。
    太平洋艦隊のイージス駆逐艦『マイケル・マーフィー』内で新コロ、アウトブレーク。
 300人ほど乗務しているが、その四分の一がテストで陽性と出た。

 陽性者は全員、ハワイに上陸させられた。入院が必要な者はゼロ。
 艦はパールハーバーに繋留され、消毒作業待ち。

 さいわい同艦はローテーションでメンテナンス&基礎訓練サイクルにあり、2021年まではどこにも派遣される予定が無かった。
 海軍のポリシーにより、同艦で確認された陽性者の人数は公表されない。
 陽性者と濃厚接触した者、および手空きの乗員は、2週間の自主隔離に入る。

 パールハーバーでは『ウェイン・E・メイヤー』艦内でも最近、数名の陽性者が出た。この艦も、非任務サイクルにあった。

 次。
 Tanner Greer 記者による2020-11-19記事「Susan Rice is Asia’s Worst Nightmare」。
    次期政権の国務長官として、スーザン・ライスが起用されるんじゃないかという噂がある。ほんとうなら、アジアにとっての最悪の人事だ。
 ※同姓のコンドリーザ・ライスとは別人なので読者は混同すべからず。スーザンはオバマ政権下の国連大使だった。コンディは共和党ブッシュ政権下の国務長官。

 オバマ政権で国家安全保障補佐官を勤めたスーザンを、オバマ自身が今、バイデンに売り込んでいるところだと、一メディアが報じた。

 スーザン・ライスは、2012のベンガジ大使館襲撃を放置した無能無責任の醜聞にまみれており、いらい、共和党優勢の上院が彼女の準閣僚級要職への就任を支持する可能性はない。だからこそオバマが大物フィクサーとして出てくる必要があるわけだ。

 ※スーザン・ライスはアラブの春を焚きつけた。つまり今のおびただしいシリア難民もISテロもリビア内戦も、皆こいつのせいで発生しているのである。「出てくるんじゃねえ」パーソンのNo.1級と申せようか……。

 またスーザン・ライスは中共に媚びまくっていた過去があり、アジア人にとっても忌まわしき人物として記憶されているのである。

 ことし前半、バイデンの副大統領候補としてスーザンの名も挙がった。するとシンガポールのベテラン外交官のビラハリ・カウシカンが異例の辛口批評を公表した。スーザン・ライスは歩く災厄である。アジアに全く興味関心がなく、ロシアや中共級の強敵と外交戦争を戦うガッツはないくせに、人権が彼女の脳内基準以上に守られていないすべての中小国の政府は暴動によって転覆されるべきだと無責任に信じているのだから。

 オバマがノーベル平和賞をもらえたのは、当時のキャメロン(英)、オランド(仏)、メルケル(独)との関係を徹底重視したからである。裏を返すと、欧州以外の地域はどうでもよいとした。その時代がまたやってくるおそれがある。

 民主党政権はイランの核武装問題については、イスラエルと相談するのではなく、ドイツと相談した。
 ロシアがクリミアを併合したときは制裁を加えたが、中共が南シナ海でスカボロ礁を占領するなど好き勝手を進めていても制裁しなかった。

 スーザン・ライスは回想録の中で、中共はホワイトハウスのなかのたった一人のリーダーと交渉することを望むのだとし、だから国務長官ではなく、安全保障補佐官の自分が対中共交渉を仕切ったのであると自慢をしている。

 スーザン・ライスは中共と米国との永続協調を絶対視し、他のアジア諸国については無視する。
 オバマはプーチンと会う前には必ずメルケルから意見を聴取していた。しかしスーザン・ライスは、対中共外交に関して、日本を蚊帳の外に置いた。

 トランプは中共や北鮮のトップと会う前には安部から話を聞いていた。スーザン・ライスがバイデン政権で要職に返り咲けば、ふたたびオバマ時代に戻るだろう。つまり中共は日本抜きでアジアを仕切れる。

 ライスの自叙伝は482ページあるのだが、そのうち中共については13ページしか使われていない。彼女が誇る在任中の手柄は、中共の対米サイバー攻撃を止めさせる交渉がメインだ。しかし人も知るように、中共の約束はひとつも守られていない。

 またこの自叙伝中では、インドや日本については、ときたまその名詞が言及されているだけ。まったくライスの関心外であることがよくわかる。フィリピンに関してはわずか1センテンスの言及しかない。そして、おそるべし、「Taiwan」という単語は、索引に載っていない。

 ※別なニュースによると、レアアースの中共依存を減らすため米政府は1270万ドルを投資する。

 次。
 William H. Johnson 記者による2020-11-20記事「Simple Lethality: Assessing the Potential for Agricultural Unmanned Aerial and Ground Systems to Deploy Biological or Chemical Weapons」。
   新刊紹介である。
 ヤマハ発動機の「RMAX」や、DJI社の「MG-1」は、バイオ/ケミカル テロの道具になる。
 通販で購入して 25リッターの農薬散布用タンクをとりつけ、飛行ルートをプリプログラムし、タイマーによって放出させればよい。誰でもできてしまう。

 ※なんという古臭いアレゲーションであろうか。それよりも提案がある。地雷原の啓開のためにロケットを使うのは、準備と調整の時間がかかりすぎてよくないわ。アンフォ入りの長いチューブの途中5箇所くらいを、5機のマルチコプターで掴ませて持ち上げ、そのまま敵陣前のFEBAまで空中を運ばせて、そこで落下させ、爆発させるのだ。「スウォーム制御」のもうひとつの応用だよ。マルチコプターは何度でも繰り返し飛ばせられるから、カネの節約にもなるはず。今は1機で60kgぐらい持ち上げられるものがあると聞く。それが5機なら300kgだよ。

 次。
 Neel V. Patel 記者による2020-11-20記事「Rocket Lab has successfully recovered a booster for the first time」。
  ニュージーランドの民間ロケット会社。がんばっている。
 彼らは独特のブースター回収を考えている。
 スペースXのように、ブースターの残燃料で自律着地させるのではなく、パラシュートを開かせて落下させ、それが着水する前に、ヘリコプターでキャッチするというもの。キャッチする高度は5000フィート。
 この実験が成功した。

 ※これならブースターの燃料を打ち上げのためにぜんぶ使い切ることができるから、合理的だよね。天候のちょっとでも悪いときは打ち上げもないのだから、ヘリは必ず飛べるわけだ。こういう着想のある人が、「第二のイーロンマスク」を目指せばよいので、その着想のないお金持ちは、違うところにそのお金を使った方が世のためになるだろうよ。



アメリカ大統領戦記1775-1783: 独立戦争とジョージ・ワシントン1


兵頭二十八の防衛白書2016

アフガン人にスーパーツカノの操縦を米国内で教えるのを空軍は止めた。

 Kay S. Hymowitz 記者による2020-11-17記事「What’s the Matter with Hispanics?」。
    11月3日の投票の結果について民主党が嘆いている。なんで37%ものヒスパニック有権者が、4年間ずっとラ米を罵っている現職大統領にわざわざ投票をしているのか? ……と。

 特に国境州のテキサスでヒスパニックがトランプを支持するとは、バイデン陣営には心外であった。

 マサチューセッツ州のローレンスは住民の8割がヒスパニックで、また人口の4割は外国生まれ。そんなところでも民主党は切り崩せず、トランプが票を集めた。

 ヒスパニック票専門の選挙コンサルタントに言わせると、民主党の選挙戦術は間違っていたという。

 2019年に民主党の大統領候補選びの予選に出馬した唯一のヒスパニック系であるジュリアン・カストロ。期待していたヒスパニック票はぜんぜん取れなかった。ヒスパニック系の民主党員のたった7%しか彼に投票してくれなかった。

 じつは多くの米国内のヒスパニック住民は、じぶんが「有色人種」だとは思ってないのである。白人であると思っている。それゆえ、ヒスパニックを黒人とをいっしょくたにして人種平等を騒ぎ立てる候補には、ぜんぜん共感などしないのだ。

 さいきん、意識高い系リベラルは「ラティンクス」という新造名詞を使う。「ラティノ」だと男性名詞であり、「ラティナ」だと女性名詞である。それはよくないので、性別中性的な表現を心がけよう、というわけだ。
 これも、当のヒスパニックたちからは、まったく支持されてない。民主党は、ヒスパニック系有権者に媚びようとして、却って浮いてしまっているのだ。

 以前はヒスパニックといえばメキシカンが大宗であり、プエルトリコやキューバ系がその次に多かった。これらヒスパニックたちは出身地ごとに固まって棲み、交流も混交も無かった。今はまったく違う。やたら多様なのだ。もはやヒスパニックをひとつの出自キャラクターで代表させることはできない。

 学歴やキャリアもすっかり多様化している。ヒスパニックがみんな高校中退の皿洗いやヘルスケア職員だと思ったら大間違いだ。

 いまや彼らの61%はじぶんたち自身を、ありきたりの米国人だと思っているのである。
 雑婚率も高い。米国生まれのヒスパニック系の39%は異人種と婚姻する。ほとんどが白人と。

 テキサス州では白人もヒスパニックも皆、生活に困っている。彼らはじぶんたちが「ブラウン」だと思っており、黒人差別問題にはまったく関心がない。気候変動などにも興味はない。彼らにとって大事なことは、生計維持なのだ。キッチンテーブルの上にパン〔ここは「トスタダ」とでも言い直すべきか〕があるかどうかなのだ。民主党はそこに焦点を当てなかった。だから票がトランプに流れた。トランプはロックダウンをするなと言い続けたからだ。

 ヒスパニックには、親の世代より子の世代の学歴が上回るという歴然とした傾向がある。彼らは社会的地位を上昇させ続けている。いつまでも低スキル・ワーカーではなく、いまや、経済政策の一点で共和党を支持する世代集団にも変貌しつつあるのだ。

 2016年のデータでは、大卒者は民主党を支持し、共和党は高卒者をとりこんでいるように見えた。
 今日では、そもそも国外から米国に移住する時点で、ヒスパニックの25%以上もが学士である。
 もはや過去の米国ではないのだ。急速に、米国の有権者地図が、変わりつつあることを知れ。

 次。
 Richard R. Burgess記者による2020-11-18記事「Admiral: Submarine-Launched UAS Proving ‘Awesome Capability’」。
    米海軍は、潜水艦から発射して潜望鏡視界よりも遠くの情況を偵察してくれるUASを装備化しつつあり。その調子は好いという。

 これらを「SLUAS」と称する。ロサンゼルス級SSNが、潜望鏡深度で潜行しながら、海面上に射出できる。どのくらい遠くまで飛ぶのかは秘密。
 ※無線の送受信は潜望鏡脇のアンテナを水面上に出してするのか。

 敵水上艦に対して、どの雷撃射点を占位するのが最善なのか、ソナーだけでは絞り込めない情報を、SLUASはもたらしてくれるという。魚雷の最大レンジで発射するにも不安がなくなる。



封鎖戦 中国を機雷で隔離せよ!


米中「AI大戦」

来月の地政学講話は12月16日を予定します。

 ネット中継は今回、都合によりできなかった模様。
 来月も、どうなるかはわかりませぬ。

 次。
 Abhishek De 記者による2020-11-18記事「Explained: India has dismissed as ‘fake’ a report about China’s use of ‘microwave weapons’. What are they?」
   英国の日刊紙『ザ・タイムズ』が中共の教授の主張を引用し、中共軍がラダク東部でマイクロウェーヴ・ウェポンを使ってインド兵を追い立てたとする記事について、インド陸軍は、《根拠のないフェイク》である、とツイッター上にて斥けた。

 ロンドンにある『The Times』が「China turns Ladakh battleground with India into a microwave oven」という題の記事を、ウェブ版で公表したのが、11-17であった。引用されている中国人民大学(北京)の教授は Jin Canrong 〔ウィキペティアによれば1962生まれ。金【火へんに山】【栄のツがくさかんむり】。米支関係の専門家で米留学もしている。〕

 金によれば電波攻撃は8月後半に実施されて成功したという。

 同じ記事を豪州の日刊紙の『The Australian』も掲載した。その記事タイトルは「China’s microwave pulse weapon defeats Indian troops at Himalayan border」。

 『ザ・タイムズ』も『ズィ・オーストラリアン』も、どちらも、ルパート・マードックの「ニューズ・コープ」が株式を支配している。

 8月29日にインド兵たちはパンゴンツォ南岸の瞰制高地を確保している。

 金は大学の教室で、学生相手にこうフカシた。中共軍はインド軍が占領するふたつの緊要地形の丘をマイクロ波で攻撃し、インド兵を追い払ったと。通常の銃火は1発も飛び交わなかったと。電波兵器が配置について15分にしてインド兵たちは全員嘔吐しはじめ、立っていられなくなり、逃げたと。中共もインドもこの事実を敢えて報道していないのである、と。

 『デイリー・メール』紙によれば、中共は2014年の航空兵器ショーで「Poly WB-1」なる4輪トラック車載のショボそうな《電波兵器》を展示したことがある。 ※米国の「アクティヴ・ディナイヤル・システム」のパクリをめざしたものだろうが、一見してパラボラの面積が小さすぎる。

 過去に米軍はアクティヴディナイヤルシステムをアフガンに持ち込んだことがあるが、人に向かって使う前に、上層の判断で撤去させられた。 ※反米勢力の宣伝に利用されるだけだからである。

 2017年後半、ハヴァナ市にある米国大使館が、謎の音響兵器によってイヤガラセ攻撃を受けているという報道があった。同じ症状が、2018年、広州の米国領事館員の身に起きた。

 これら領事館の関係者、合計30人以上が、ホテルや住宅の内部で「マイクロ波兵器」による攻撃を受けた疑いが持たれた。
 耳障りな音、突然の室内気圧の変化や微動なども体感されているという。

 結果として眩暈、頭痛、睡眠障害、聴覚障害が生じた。一括して「ハヴァナ症候群」と名づけられている。ただし国務省もFBIも、その原因が「マイクロ波兵器」だとは指摘していない。

 国防総省は「アクティヴディナイヤルシステム」について、これには発癌性はないし、人を不妊にさせる作用もない、とFAQで説明に努めている。

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 Didi Tang 記者による2020-11-17記事「China’s microwave pulse weapon defeats Indian troops at Himalayan border」。
   ※これが『ザ・タイムズ』と『ズィ・オーストラリアン』に最初に載った記事だと思われる。これを誰がそのまんま拡散しているかを調べれば、中共のマスコミ工作網も、浮かび上がるだろう。

 金教授によると、中共軍は丘の麓に電子レンジ兵器を据えて、丘の頂上を電子レンジ化したのであると。

 ※アクティヴディナイヤルシステムのミリ波(周波数95ギガヘルツ)はもちろん、電子レンジのマイクロ波(2.45ギガヘルツ=波長12センチ)ですら、直進しかしない波長なので、低地から高所に向けて照射した場合、地形そのものが大障壁となる。稜線陣地内の監視兵は、単に姿勢を低くするだけでもその電波が上半身に当たらないようにできる。まして胸壁裏や反対斜面に位置していれば何の影響もありはしないのだから、命令によって守備についている緊要地形を放棄する理由がない。その前に、米軍のアクティヴディナイヤルシステムですら威力はせいぜい1kmまでしか及ぼせられないのに、どうしてインド軍の警備兵はその中共軍車両の至近距離までの肉薄と15分もの「攻撃」に対して銃弾を応射しないことがあろうか? ヒマラヤで1km以内といったらほとんど指呼の間にすぎぬ。そもそもミリ波とマイクロ波とを混同し、95GHz波は触覚神経を強く刺激するものの人肉を沸騰させる作用は無視できるレベルであることを知らぬことに加えて、この《国際関係論教授》に軍隊の素養がないことは明らかである。フェイク宣伝要員として、上層から命じられるままにマスコミ工作に挺身しているのだろう。

 金教授いわく、丘の上のインド兵たちは15分のうちに全員、嘔吐し始めたと。
 マイクロ波兵器は8月29日に使われたそうである。
 金教授の話が本当なら、これは軍事史上初めて、敵部隊に対して実際に使われた殺傷性の電波兵器ということになる。

 金教授が学生相手に語ったところでは、2つの丘を占領したのはチベット人傭兵であったという。
 これに対して中央軍事委員会が怒り、丘を奪い返すことと、そのさいに1発も銃弾を発射してはならないことを命じたという。

 現地の海抜は5600mである。
 ※高地順応していない兵隊がそんなところに行かされたら、頭痛や吐き気はすぐに起きます。この点、インド兵の方が低地から昇らされているので不利。フェイクの背景には、そういう事情がある。ひとつまみの「真実」が針小棒大に膨らまされる。

 広州の音波兵器攻撃は2018のこと。
 キューバでの音波兵器攻撃は2016で、カナダの外交官もやられた。

 ※ついでなので、国産のあきれたミスリーディング見出しがあったのでご紹介しよう。「三菱重工、1000キロ先のドローン操作 防衛技術を転用」というものだ。どこが載せている記事かは各自でチェックできるだろう。
 このタイトルを見ると、UAVに興味のある者ならギョッとする。無人機を、たとい高度2万mで飛ばしたとしても、水平距離200kmを超えて地上とのマイクロ波の双方向無線データ通信がつながるとは信じられないからだ。地球は丸いのだ。それが1000km? まさか軍用の短波利用の「リンク16」でも民需機に使ったのか? ……と一瞬、想像してしまう。だが2019年の関連記事を見ると謎は氷解する。この1000kmというのは有線回線の話なのだ。ふざけるなよ!



日韓戦争を自衛隊はどう戦うか


日本有事―憲法(マックKEMPOH)を棄て、核武装せよ! (PHP Paperbacks)

本夕の地政学講話(#3)では「飛行機の地政学」をお話しします。

 David B. Larter 記者による記事「The US Navy is moving to put more ship-killer missiles on submarines」。
   対艦型のトマホーク(潜水艦発射用)はレンジが1000海里である。新型の対艦バージョンは2023に配備が始まる。
 しかしこの射程になると、中間での最新目標情報受領が欠かせない。到達するまでに敵艦は大きな距離を移動してしまうので。この中間誘導は、別な航空機や衛星からするしかない。

 次の国防長官に就任するであろうミシェル・フローノイは、2020-6月号の『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿して、対支開戦後72時間にして、南シナ海に所在する中共のすべての軍艦、潜水艦、商船を撃沈できるように米軍の能力は整備されるべし、と揚言している。頼もしい。

 ※ペンタゴンは2025年までに、シナ軍艦艇の数の5倍の対艦ミサイルを保有したいと考えている。フローノイは全面賛成だろう。

 次。
 H I Sutton 記者による2020-11-16記事「Rare Electric Narco Submarine Seized in Colombia」。
        コロムビア政府が11-5にツイッターで公表したところによると、同国のククルピ川沿いの麻薬組織の秘密造船所を奇襲捜索し、新型の密輸用潜航艇を押収した。

 建造コストは1隻150万ドルと見積もられる。
 運べるコカインは6トン強。米国での末端価格は1億2000万ドルとなるので、建造費は安いものなのだ。
 近年、途中で米コーストガードに邀撃された場合のリスクを分散するため、1隻あたりの積載荷物量を1.6トンくらいにして小型化するのがトレンドだった。しかしこの艦はトレンドに逆行している。

 大型化した判断の根拠は、北米海岸に接近したところで完全潜没航行すれば、探知されないという自信を持ったからだろう。
 近年の小型密輸艇は、全没性能がなく、正確には、乾舷高ゼロの半没艇だった。
 しかし米コーストガードの探知センサーが充実して、これでは被発見を免れなくなった。

 全没艇はディーゼルだけで航走することはできず、電池とモーターが不可欠である。
 そして新発見の大型潜航艇は、内燃機関をもっておらず、10トンの電池と2個のモーターだけが動力であった。

 10トンのバッテリーを搭載すれば、3ノットで12時間、潜航できる。それでおよそ32海里を前進できる。
 ※「3×12」は36じゃないのかよ?

 コロムビアから北米海岸までの距離はもちろん32海里どころじゃない。じつはこの潜水艦、出発してからほとんどの行程は、水上船に曳航してもらうようになっているのだ。
 そのために、船首先端に小さな曳航用のリングがある。

 深度調節は、船体の前方と後方に1組ずつついている、水平潜舵翼による。

 このタイプの潜航艇は2017-7に初登場した。そして米沿岸警備隊はいままでこのタイプを洋上では一度も、捕獲できていない。だから敵は成功を確信して大型化したのだ。

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 Rupert Darwall 記者による2020-11-16記事「Joe Biden’s Net-Zero Isn’t Normal」。
     バイデン&ハリスは、ウェブサイトで、2050までにネットゼロエミッション経済を実現するとブチあげている。
 これはアメリカの敵どもをよろこばす政策である。
 というのは風力タービン、太陽光発電パネルなどの製造のためには中共やコンゴ共和国やロシアからレアメタルを大量輸入し続ける必要があるからだ。

 2017年の一試算によれば、同じ電力を生み出すために必要な労働者の数は、石炭発電なら1人で済んでしまうが、天然ガスなら2人必要であり、ソーラーだとしたら79人必要である。
 つまりエネルギーをソーラー化することで、失業者に職を与えることができるだろうというもくろみがバイデン政権にはある。

 ソーラーと風力が生み出す、「1メガワット×1h」の価値は、しかし、火力発電より低い。というのも電力は蓄積することができず、電力消費者たちの需要の増減に応じて供給を加減しなければならないのに、ソーラーや風力にはその加減は不可能だからだ。質が悪いのである。

 げんざい米国人は1人あたり年に16.56メトリックトンの二酸化炭素を排出している。先進国では、豪州がこの数値を上回っているが、とにかく先進国中では突出しているといえる。

 ボリス・ジョンソンとエマニュエル・マクロンは「ネットゼロ」を高唱するのが政治的に利巧である。というのは英国人は1人あたり年に5.65メトリックトンの二酸化炭素しか出しておらず、仏人は5.20トンだからだ。これはEU平均の7.53メトリック・トンより少ない。米豪とは無論比較にもならない。だからこの2国は、「ネットゼロ」とフカシていさえすれば、他のどの先進国よりも威張れるわけだ。

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 Liu Zhen 記者による2020-11-17記事「China now has the nuclear strength to hit back at a first strike, former PLA colonel says」。
    王湘穂のフカシの第二弾が明らかになった。
 莫干山で、こんなことをしゃべった、と報道されている。

 中共のICBMは「地下の長城」と呼ばれるトンネル網内を車両機動するので、米国からの第一撃に対して無傷で生き残ることができ、すぐに射ち返して米本土を焦土化させられる、と。

 王は典拠を示さなかったが、複数の米国の見積もりが、米中核戦争になった場合には、中共国内には、北米に射ち返せる核弾頭は1個ぐらいしか残らないとしているという。
 王はそれに反論したのだ。

 ※トライデントSSBN×1隻でも中共の戦略核能力を先制的に一掃することができる。これは誇張ではない。ただし議会で予算を取らねばならぬ都合上、そういう見積もりは公表はされないのである。バイデンとハリスには、これからブリーフィングされるはずだ。ブリーフィングを受ければ新大統領は中共に対して強気になってしまう。そうなる前に宣伝工作を打って、中国の怖さをバイデン=ハリスの深層心理に刷り込んでやろう――というのが、『超限戦』の著者の作戦だ。トランプは政権移行作業を邪魔し続けることによって、敵の宣伝工作がつけいる時間を提供しつつある。



「地政学」は殺傷力のある武器である。〈新装版〉 ニュー・クラシック・ライブラリー


日本史の謎は地政学で解ける (祥伝社黄金文庫)

ケツの穴の小さなボスには、すでに一家を成した者はついて行かない。外部の実力派エリートは参集しない。それがトランプ陣営の敗因。

 Tom Joyce 記者による2020-11-14記事「Bernie Sanders as labor secretary would be (mostly) bad」。
       ヴァーモント州選出の上院議員でもあるバーニー・サンダースは、もしバイデンから労働省長官をオファーされたら、それを承ける、とCNNのインタビューで語っている。

 しかしもしこれが実現すると、好い結果にはむすびつかないだろう。

 サンダースは AFL-CIOのような巨大労組との結びつきが強いので、新政権との橋渡し役には適役である。
 だが、バイデンは労働ビザの拡充に前向き。かたやサンダースは、低スキルの外国人を入れるから米国人の労賃が上がらないのだという立場だ。タダ働きを認める企業インターンシップ制度にもサンダースは反対する。

 サンダースはどこから見ても社会主義者なので上院多数の共和党が承認させないだろう。バイデンも社会主義者ではないのでサンダースと心中はしないだろう。

 ※メキシコ人を入れないという方向性ではサンダースとトランプは一致していたわけである。老人なのに権力欲があるサンダースが、民主党の大統領候補から脱落したときこそ、トランプ陣営には、彼を取り込むというウルトラCのチャンスがあった。副大統領候補扱いしなくても、閣僚級待遇は約束できたはず。それでどれほど選挙戦が有利になったか計り知れない。最左傾州にしてカマラの地盤でもあるカリフォルニア州を、ガタガタにしてやれただろう。

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 Thomas Newdick 記者による2020-11-16記事「NSA Spied On Denmark As It Chose Its Future Fighter Aircraft: Report」。
      デンマークメディアがすっぱぬいた。
 その報道によると、米国のNSAは、デンマークの財務省、外務省、そしてF-35開発に協力している企業であるテルマ社の交信を監視していた。

 デンマーク領のアマゲル島に、デンマーク国防情報局のデータセンターがある。その建設にはNSAが手を貸しており、事実上、NSAも使用している。デンマーク領内を通過する光ファイバー通信線は傍受され、データはそこに溜められている。

 デンマークはその空軍装備機であるF-16をF-35で更新するという決定を2016-6に下しているが、この決定がなされるかどうかにNSAは2015から集中的な関心を向けた。
 とうぜんながら、タイフーンを提示していたユーロファイターCmbH社、グリペンを提示していたサーブ社の通信記録も、アマゲル島のデータセンターに溜まっている分が調べられた。グリペンは2014にコンペから脱落しているが。ちなみにもうひとつの対抗馬はボーイング社のスーパーホーネットであった。

 次。
 Roger McDermott 記者による2020-11-16記事「Russia’s Interest in UAV Strike Capability Gathers Pace」。
   露軍幹部は2000年代後半までUAV革命がおきていることを気にしていなかった。とつぜん気づいたが米軍との懸隔はもう埋められなかった。
 西側ならば、UAVのサブシステムを市場から選んで開発時間を節約できる。サブシステムに詳しい技術者層も厚い。ロシアにはそのすべてがなかった。一つの事業体で、川上から川下まで面倒見切れるわけがない。
 これがロシアにいまだに攻撃型UAVやスウォーム特攻機が無い理由。

 ※香港人と台湾人が尖閣に強行上陸してから24年経つわけだが、日本の砲兵界はその間に、99式と19式という、射程がせいぜい60kmしかなくて、ヘリコプターで運ぶこともできない、尖閣有事には何の役にも立たない無駄な装備の開発にうつつを抜かしてきた。また、沖縄本島から尖閣海域まで400km、先島群島からは200kmあるのに、射程が「百数十km」しかない12式地対艦ミサイルなどをこしらえていた。日本は兵器技術で提携すべき相手先を見間違えている。イスラエルと組んだトルコは、200km先への空爆や、片道500kmの特攻飛行が可能な無人機を運用している。これこそがわが国に必要な「砲兵」なのだ。



文庫 北京が太平洋の覇権を握れない理由 (草思社文庫)


無人機とロボット兵器

極秘ブリーフィングが次期政権の側に共有されないことの危うさとは

 中共が「対艦弾道弾」の実験に成功してなどいないことは、写真情報、レーダー情報、NSAの通信盗聴等から確実です……という報告が、関係官衙から直接に、あるいは大統領側近を経て、大統領には提示される。国務長官その他の枢要な役人もその報告のまとめについては共有する。

 ただし、すべての真相を知った上で、そのことについて黙っているのは政権の勝手だ。中共のフカシ宣伝を放置していた方が、対中共用名義の対抗予算は議会で通りやすくなるからだ。

 しかし今回のようなケースでは、バイデン側がその真実の報告に接することができないために、次期政権の側近や中枢要人の中に、シナ側の宣伝を真に受けて、「開戦」についてビビる者が出てくる可能性は高い。
 それが「超限戦」の宣伝工作の勝利ということなのである。

 これから来年の1月下旬まで、中共の無責任ポジションに居る者たちの口から、数々の脅迫と法螺話が発信されて、愚かな俄か軍事オタクがその拡声器になってくれるであろう。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2020-11-14記事「The Army Tried To Turn Nerf Footballs Into Hand Grenades」。
    第二次大戦中にOSS(CIAの前身)は、野球のボールと重さも形も等しくした着発破片手榴弾を開発しようとした。それなら新兵たちの投擲訓練が省略できるだろうと思ったわけだ。
 しかし手榴弾と着発信管の組み合わせがいかに危いものかを、彼らはわかっていなかった。この「T-13」(別名、ビーノ)の開発中に2人が死亡し、44人が重軽傷を負っている。
 ※時限信管にすれば成功したと思われる。

 欧州正面でのソ連軍戦車の数的優越が著しくなっていた1974年に、米陸軍の開発部門が、歩兵が手で投げられ対戦車擲弾を、競技用のアメフトボールの寸法にあわせてはどうかと考えた。

 競技用のアメフトのボールは、重さが14オンスと定まっている。※28.35グラム計算ならば396.9グラム。

 フォームラバー素材の Nerf を使い、アメフトのボールの外形をつくり、芯部に、成形炸薬弾頭を仕込み、全体重量をアメフトボールと同一にしておけばいいではないかと。

 アメフトをたしなんだ米兵なら、35mのパスは出せる。もちろん立姿での投擲となる。ポジションがクォーターバックだったなら、もっと長いパスを正確に出せる。

 ※旋転を与える投げ方により、ボールの長軸を一定させたまま、遠くへパスすることができるので、空力安定板を附加しなくていいという発想。

 しかしもくろみは挫折した。
 アメフトボール形状の対戦車擲弾の問題は、内部の密度分布がリアルのボールとは逆に、表皮部分ではなく芯部に集中しているため、アメフトと同じように投げるだけでは同じような回転は与えられず、同じような軸安定特性も示されないことだった。

 また、敵戦車の表面に対して、垂直の角度でノーズが当たって起爆してくれる確率は低かった。
 むしろ、距離10mで確実に戦車の天板に下向きに当たる、ソ連式の対戦車手榴弾の方が現実的であった。
 ついに、アイディアだけで終わった次第である。

 ※使わぬときに嵩張り、貯蔵や運搬の場所をとりすぎ、普段の携行にも不便だというデメリットも認められたはずだ。これはむしろ、石器時代の狩猟民が使っていた「アトゥラトル」=尖頭器投擲加速棒 と対戦車手榴弾を組み合わせることを考えた方がよかったのではないか。普通の破片手榴弾の安全装置である「フライオフレバー」の変形進化と考えればいいのだ。



超限戦 21世紀の「新しい戦争」 (角川新書)


武器が語る日本史

さっそく嘘宣伝で揺さぶりをかけてきた。米政権移行期の不安定状態を大いに利用すべく。

 Kristin Huang 記者による2020-11-14記事「China’s ‘aircraft-carrier killer’ missiles successfully hit target ship in South China Sea, PLA insider reveals」。
    
 8月に中共が青島から「東風26B」を、浙江省から「東風21D」を試射したことは既報であるが、1999『超限戦』の共著者のひとりの王湘穂(1954生まれ)が、その複数のミサイルが、パラセル諸島南部海域を航行していた1隻の動く標的に命中したのである、と先月浙江省で非公開に講演していた。そのフカシの内容が、11月11日に印刷公開されて判明した。

 ちなみに『超限戦』の主張は、《地球上の誰も合衆国を軍事的に負かすことはできないので、非軍事的な方法や嘘宣伝によって米国を弱めてやるべきである》というものだった。

 その講演がなされた会場は、上海エリートがよく利用する浙江省の莫干山。内外情勢や次の5ヵ年計画などを討論する、4日間の国内改革フォーラムが開催されていた。参会者は、エコノミスト、引退した政府役人、投資家たち80人であった。

 第二砲兵の学校を卒業し、マスコミ業界で第二砲兵のための著述宣伝活動をすることをなりわいにしている Song Zhongping も、王の発言を補強した。

 ※対艦弾道弾はこれまで移動目標どころか、洋上の静止目標に対してすら、ただのいちども、実射試験がされたことがない。その段階をパスして、いきなり難度の高い移動船体を標的に大射程で試射したとし、しかも、1隻のターゲットに複数のミサイルを同日に指向してデータを取りにくくするなど、科学実験のイロハを知る者ならばすぐに嘘だと気づかねばならない法螺話である。このような実射が本当に成功したならば、ロートルの大学教官WangやテレビコメンテーターのSongなどの無責任な口をして語らしめるのではなく、部内者である軍が、軍お墨付きのある写真やビデオを公表すればいいだけの話だ。

 次。
 Lauren Fuge 記者による2020-11-14記事「Can we control where lightning strikes?」。
    豪州では乾季に落雷のために潅木帯に火事が多発して困っている。コアラが焼け出されている。
 そこで、カミナリのコースを制御できないものか、ある実験がなされた。豪州国立大学。
 ふたつの金属板電極の間で、レーザービームを使って回廊をつくるのだ。空気中のグラフェンの微粒子が加熱されることで、電光の通り道になる。

 放電コースをミクロな規模で人工制御することができれば、それは外科用メスの代りになり、非侵襲的な手術の適用が拡がるだろうとも、研究陣は期待している。

 ※落雷のエネルギーは原爆に匹敵するので、それが人工的に制御されるようになったら「気象兵器」が完成するのである。とにかく日本はレーザー研究を急がせねばならない。レーザーを導きの糸とし、大気中の電位差エネルギーを動員することができるようになったら、それによって、ターミナルフェイズの使える「MD」を完成させられるかもしれないからだ。



東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる (講談社+α新書)


たんたんたたた―機関銃と近代日本 (光人社NF文庫)