『Defense Express』の2025-5-3記事「Ukrainian Surface Drone Shoots Down russian Su-30 Aircraft with R-73 Missile For the First Time in History」。
無人艇には「R-73」というミサイルが搭載されていた。ほんらいは空対空ミサイルであったものを、艦対空型にコンバートしたものである。
作戦は、宇軍のGUR麾下の「グループ13」が実行した。
無人艇(おそらく複数)はルーマニア国境近くの海岸からはるばる、黒海を横切ってノボロシスクへ接近。
これがクリミア半島内の航空基地から露軍の戦闘機を誘い出す、「釣り出し」行動だったという。
撃墜されたパイロットはエジェクトし、漁師の船に拾われたと。
「スホイ30」は1機が5000万ドルすると見られる。
同じ海面では2024-5に、やはり「マグラV5」が「R-73」を発射して露軍の有人ヘリコプター「ミル-8」を撃墜している。
※輸送用ヘリは、長時間洋上で低徊し、側面ドアにしつらえた機関銃によって低空からUSVを銃撃することができる。しかしもしもSAMで返り討ちを受けた場合は、乗員が脱出できるチャンスはほとんどない。これに対して戦闘攻撃機は、射出シートを備えるので、被弾しても乗員の生還率が十分に高いと期待できるが、長時間の洋上哨戒には向かず、また、これまでUSVに銃撃を加えたという実績も無い。
※先島群島海面での中共軍のグレーゾーン侵略に合理的に対処するには、戦前の「96式艦戦」をひとまわり小さくした、非爆装のレシプロ無人機を、いつでも石垣島や下地島、あるいは商船改造空母から飛ばせるようにしておく必要がある。この無人機は、領空侵犯した敵有人機を即座に空中衝突によって阻止することができる。衝突の必要がなくなったときは、無人機は帰投させねばならないから、「固定脚」が備わっていることが有利である。固定脚がついているなら、カタパルト射出などの面倒もなく、開発はたちどころに終了するだろう。敵はいずれ、無人機+海警船の組み合わせで尖閣領空を溶解させに来る。いちいち有人のジェット戦闘機をスクランブルさせていては、「疲労競争」に負けてしまう。
次。
現代の歩兵のために「一枚楯」(「持楯」の下位概念)を復活させる必要があるだろう。
すでに自爆型/攻撃型のドローンは、最前線の歩兵の戦死傷原因の第一位になっている。1人の敵兵を1機以上の無人機が襲う時代なのだ。
歩兵の背嚢は、アルミ製の縦長な「背負子」に縛着するようにする。その背嚢の生地を防弾&防刃素材でこしらえておいたなら、歩兵は常に「一枚楯」を持ち歩いているのと同じだ。
「背負子」はまた「伸縮梯子」の機能を兼帯するものも、考えられて可いだろう。
もし、身を隠せる地形・地物のない海岸の砂浜のような場所で、敵ドローンから攻撃を受けたとき、歩兵はこの「背負子」を盾にとって、冷静に対空交戦することができるだろう。
反撃の武器としてはソウドオフのショットガンが理想的であるけれども、それがなければ「ブーメラン」「釣竿+テグス」「石ころ+ビニール紐束」など、ふだんの携行の邪魔にはならない「変わり道具」をいくらでも工夫ができるはずだ。
敵ドローンが自爆する距離がほんの少し遠ざかっただけでも、歩兵の生存率は有意に上がる。衝撃波のエネルギーは距離の三乗に反比例するからだ。
耐爆ゴーグルが嵌め込まれた、防弾素材の「面頬」も、商品開発しなくてはいけない。歩兵は、普段はそれを、鉄帽の上や後頭部に、縛り付けておくのである。
「持楯」と「一枚楯」の関係については、拙著『武器が語る日本史』(2019)でも参照をして欲しい。