鮭の子は鮭。

 Samantha Masunaga 記者による2020-1-13記事「The Battle Against Rust a $3 Billion Problem for the Navy」。
     船の防錆のために昔の西洋人は、羊毛から得られる天然油脂のラノリンを、今のグリスの代わりにしていた。
 1880年代には、シェラックワニス含有石綿布が当てられたこともある。

 軍艦は5年から7年ごとにドライドックに入る必要がある。
 錆びの進行が高速なのは、水線付近だ。塩水と酸素がよくまざるから。

 なぜ水線下のエポキシ系防錆コーティングは赤い色なのか。これはダイバーの目にわかりやすくして潜水作業を助けるためだった。

 錆び落とし作業は、米海軍の艦船オーバーホール費の四分の一近くを占める。2014年の総額だと30億ドル。さいきんの契約例だと、サンディエゴの軍艦2隻の錆び落とし作業をBAE社が1億7000万ドルで受注している。

 側面作業の吊り台のことは「塗装フロート」と呼ぶ。

 ズムウォルト級の艦長をやってた人の証言。錆び落とし作業くらい、考えるたび憂鬱なものはなかった。全身に騒音と汚れを浴びる、危険で疲れる、無限に続く力仕事。真っ暗な狭所の作業も多い。外壁はカンカン照りの太陽に炙られていて、クーラー無し。もちろん粉塵だらけで、特殊マスク越しに息するしかない。誰もあんな作業にかかわりたくはない。しかし、それはどうしても必要な工程なのです。

 ズムウォルト級は、上構部分に、錆びないガラス繊維複合素材を用いるなど、長期の錆び対策を最初から考えてある。それでもだ。

 古いフネだと亜鉛ブロックが鉄板の上に固定されている。しぜんの電気化学反応を利用し、鉄錆を阻止しようとする智恵で、こうすればいいことは19世紀から知られていた。

 次。
 Patrick Howell O’Neill 記者による2020-1-14記事「The NSA found a dangerous flaw in Windows and told Microsoft to fix it」。
      ウインドウズ10の欠陥がNSAにより発見され、警告されている。
 悪党がその欠陥を利用すれば、マルウェアをあたかも正規のソフトウェアのようにみせかけてユーザーのPCへ送り込める。


すくなっ……ゆきすくな……

 ストラテジーペイジの2020-1-12記事。
    米会計年度は9-30で終わったが、果たして米陸軍は、新兵募集目標を、FY2019において達成できたであろうか?
 集計がまとまった。達成できたことが確認された。

 FY2018の陸軍の実績がひどかった(未充足数7000人。かたや陸軍以外の三軍は、ぜんぶ目標達成)ので、陸軍は考えを切り換えてリクルートにとりくみ、それは実を結んだのだ。

 まず陸軍は2019年度の募集目標数を引き下げた。6万8000人だけ募集すると決めた。
 
 次に欠格基準を緩和した。身体不健全、精神不健全、犯歴、心理テストの結果等について、うるさいことはいわぬこととした。

 最大の成功ファクターが、デブの許容だった。肥りすぎていても、ちゃんと高校卒業証書はもっているし、ドラッグはやってないし、逮捕暦もないという人材は、とても多い。そんなポテンシャルがあるのに、肥満体であるというだけで門前払いしていたら、兵隊なんていまどき集められない。

 リクルーターが足りない地域へは、助っ人として、下士官を臨時のリクルーターに任命して、応援に派遣した。
 これをやらなければ、地域担当のリクルーター将校たちにかかる残業圧力が過剰になり、それら将校の離婚率増加にまでつながってしまうということが分かっているのだ。

 地域担当将校ばかりに仕事を押し付けず、しっかり休養がとれるように全体でサポートしてやることによって、プロパーのリクルーターも、士気が上がるのである。

 おもしろい統計もある。海外に展開して実戦をしていた部隊からの若年除隊者は、いったん市井人となっても、また軍隊に志願して、戻って来てくれる率が高いのだ。その逆に、苛烈な実戦とはほぼ無縁なヒマな配置で軍隊生活を過ごしてから辞めた兵隊は、除隊したら、もう、軍隊には入りたがらない。


ハケット小説は、台詞がクールだった。それに尽きた。

 Dr Martin Brown 記者による2020-1-9記事「Why the future of history still matters. An addendum」。
  英国のハケット将軍が書いた『第三次世界大戦』。未来史、というスタイルの、テクノ・スリラーだった。70年代からよく書かれたジャンルだが……。

 記者は、ハケットがこれを書いた動機は政治的な大衆プロパガンダであったと証明できる。
 当時、英国内で、もうデタント時代になったんだからNATOがソ連軍に対するガードを高くしている必要はないという風潮があり、それに対抗する必要を感じた。

 「ハケット研究」と区分けすべき評論が、ローレンス・フリードマンや、ジェフリー・ミカエルズ、アダム・セイップらによって書かれてもいる。

 ハケットの文書は、ロンドン王立大学のリデルハートセンターに収蔵されているが、それを確かめると、彼は、ソ連軍に対するNATOの抵抗力がおそろしく限られていると見積もっていたことがわかる。

 ハケットは、この小説の草稿の段階では、西ドイツ駐留のNATO軍はいったんフランスまで退却させられてしまって、ふたたび西ドイツを取り戻すまでに2年以上かかったというあらすじを考えていた。

 もしその線で完成させていたなら、書籍は、NATO各国首脳を不快にしただろうことは間違いない。

 ハケットと彼の執筆協力者グループは、さまざまなシナリオを検討した。18日で終わる電撃戦。1年以上の長期戦。核兵器が海上や宇宙空間だけで爆発。あるいは核がNATO内の小国に脅しとして落とされるといったケースまで。

 けっきょく「欧州限定で、勝てる、通常戦争」という枠内におちつけたのだが、ハケットご本人にとっては、これは不本意だった。

 じつはハケットは草稿を米軍のウィリアム・デュピュイ将軍(1982にエアランドバトルをまとめることになる人)と、西ドイツの退役将軍ユルゲン・ベネッケに見せていた。すると2人とも、これでは希望がなさすぎる、とダメ出ししてきた。

 その1年前、フランスのゴリゴリの反共将軍ロベール・クロスが『防備のないヨーロッパ?』を公刊し、そこではソ連軍が48時間でNATOに勝利してしまうと主張していて、多数の人々を憤激させていたのだった。

 ハケットの目的意識は明瞭で、誰にも隠されていない。世論を喚起し、もっと駐独英軍の通常戦力に予算を投じていかないと危険だ――と、同意してもらいたかった。

 英労働党内閣は1975年版の国防白書で、デタント時代なのだから通常戦力の予算は削減していいんだという方向を打ち出していた。まさにこの白書に対するアンチテーゼとしてハケットの『第三次世界大戦』は書かれている。

 ハケットの最終目標は、通常戦力の再強化、モスクワの動機を健全に疑い続けること、NATOのガードを高く維持させること。

 おもしろいことに、マックス・ブルックスの『世界戦争Z』は、ゾンビ黙示録の未来記だが、この著者が、ハケットから影響を受けたんだと言っている。

 そのブルックスは今、ウェストポイントの近代戦研究所のフェローとなっており、SFを通じて軍事科学を教授するテキストも2冊、共編している。

 次。
 Gregory B. Poling 記者による2020-1-10記事「The Conventional Wisdom on China’s Island Bases Is Dangerously Wrong」。
    中共は砂盛島を軍事基地として対米戦争に活用しようと思っているわけじゃない。
 砂盛島を足がかりとして、周辺における、軍隊ではないパラミリタリーなプレッシャーをMaxにして、東南アジア諸国に、南シナ海のEEZについての権利要求をあきらめさせようとしているのだ。

 しかし、すでにスプラトリーの3つの砂盛島に72棟の航空機格納庫が整備されている。パラセルのウッディ島には16棟だ。

 比島沖まで、沖縄の米空軍基地からは1300海里、グァムからは1500海里もある。
 緒戦の有利がどっちにあるかは、あきらかだ。

 スプラトリーにはシナ軍のミサイルが300基、ウッディ島には100基、展開されている。 ダンカン島には、中共は、対潜ヘリ用のヘリポートを整備した。

 米軍は潜水艦で密かに近寄って、水中から巡航ミサイルを発射することで対抗するしかないが、潜水艦には他に攻撃したい目標がいっぱいある。

 ※そこで次のような武器が西側には必要になる。途中まではごく低速のUUVで、長距離を潜航し、敵の砂盛島にじゅうぶん近づいたところで、弾頭のロケット部分だけが分離して水上へ飛び出し、そこから先は、短射程の巡行ミサイルとなる、使い捨て・射ち放し式のシステム。これなら、貴重なSSNアセットを無駄使いせずにすむだろう。

 巡航ミサイルによる滑走路攻撃というものが、いかに一時的な効力しかないのかは、2017年にシリアで実証された。米軍は59発のトマホークを放ち、うち58発がシリアのシャイラット空軍基地に着弾した。ところが、同基地の滑走路機能は、被弾後、たったの数時間にして復旧しているのである。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-11記事。
 米軍自殺統計。
 米軍は2011年にはイラクから、2014年にはアフガニスタンから、基本的に撤収を開始し、それにともなってこれら地域では戦死者は減っている。ところが両地域にかかわった将兵の自殺者は2015年からどんどん増えている。なぜか。

 ストレスだ。
 海外の遠隔地に長期間、それも何度も派遣されることは、軍人を精神的に疲弊させる。

 ※いま、米国では、「イランとの戦争が近づいたので選抜徴兵が始まる。こんどから女も徴兵される」といった嘘情報が乱れ飛んでいて、民心を撹乱している。つまり、80年代にはあれほどイランを憎んでいたアメリカ人だったが、それじゃ明日、戦争しますかと言われると、イラク=アフガン帰りの廃人たちをさんざん見ているから、誰もそんな気になれない。イラン内部も、失業と麻薬蔓延でとんでもないことになっている。いつ、反聖職者特権暴動が起きてもおかしくない。IRGCの本質は、聖職者特権に不平を鳴らす平民どもを処刑する治安機関なのだ。だからスレイマニ爆殺というのは、いいところを衝いた。あれはイランの大衆にはウケたのである。というわけで、もうどちらも、戦争なんかできやしない。


どうせBUKだろう。

 ウクライナ上空で起きた2014年7月17日のマレーシア航空17便の撃墜事件は「かんたんお任せスイッチ」がついたロシア製地対空ミサイル「BUK」の仕業だった。
 イラン軍がロシアからBUKを買っているという情報は聞いたことがないが、S-300は買っているから、BUKと類似した機能がついた最新バージョンもあるのかもしれない。

 米軍は電波収集衛星を周回させていて、SAMのレーダーはぜんぶ宇宙で捉えている。だから、なんというSAMが発射されたのかは、とっくに分かっているのに、それを公表しないで、イランがどういう説明をするのか、ニヤニヤと見物しているところだ。

 次。
 Brian W. Everstine 記者による2020-1-9記事「State Department Approves Possible Sale of F-35Bs to Singapore」。
     米国務省は、メーカーがシンガポールに12機のF-35Bを売ってよいという認可を出したことを連邦議会へ通知した。商談が成立すれば27億5000万ドルになる。

 12機のあと、8機が追加されるかもしれない。

 ロッキードマーティン社は、トルコに売れなくなった後なので助かると言っている。

 ※A型でなくB型というところが流石である。国土が狭小で、滑走路は開戦直後にまったく使えなくなると予想しているのだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-10記事。
    イランの地対地弾道ミサイル。「ファテー313」という射程500kmのが2015年からあったのだが、その筒体はスチールだった。これをカーボンファイバーに替えただけで、レンジが750kmに増えてしまった。このタイプを「ゾルファガー」といい、2017年からある。
 2019前半には、また新顔が登場。「デズフル」といい、射程1000km。イスラエルによれば、精度は低い。
 イランの宣伝によれば、製造はぜんぶ地下工場でなされているので、空襲を受けても量産続行できる。

 イランには、カーボンファイバー工場や、固体推進薬工場が、たくさんあるわけではない。だから、その少数の工場をもしも地上に出しておいたら、イスラエルからの先制空爆で、一挙にすべての地対地ミサイル製造能力がゼロになってしまう。
 したがってミサイル関連工場を地下化しておく用心は、ハイテク軍需工業基盤の育成が不十分なイランとしては、とうぜんなのである。

 先進的工業の基盤が不十分だから、たとえば誘導系に必要な無数の些細なパーツを、けっきょくは輸入に頼るほかない。だから経済制裁がこたえる。部品の密輸入は可能なのだが、それはコスト高であり、しかも、イランの収入たる石油も売りにくいので、財布がダブルで窮乏する。

 イランが液燃のスカッド系列から固体燃料に路線を変更したのは2002年の「ファテー110」からであった。これは80年代の中共製の「東風11」の劣化コピーで、レンジ200km、弾頭重量500kgだった。

 イランが保有するぜんぶの地対地ミサイルを発射したとして、目標に狙い通りに到達するのは75%にとどまるだろう。

 次。
 Charlotte Jee 記者による記事「Microsoft has created a tool to find pedophiles in online chats」。
    大人が性的動機からチャットルームを利用して子供を誘い出すことを「グルーム」という。
 このような大人の企てを、現在進行中のオンラインチャットの途中で即座に発見できる監視AIツールを、マイクロソフト社が開発した。「プロジェクト・アルテミス」と称する。
 実験では、「見抜き」率8割を示した。

 マイクロソフト社では、探知の手の内を犯罪者どもに教えることになっては回避対策を考えられてしまうので、機能の詳細は伏せている。


暖冬に油断してハゲちらかした頭を冷やしたら風邪ひいちまった。防寒帽装着でこのテキストを打つ。

 H I Sutton 記者による記事「Demystifying The Iranian Navy’s Submarine-Launched Hoot Super Weapon」。
     ソ連時代に研究が始まっていた、スーパーキャヴィテーションを利用した高速魚雷。弾頭部から泡を出し、その気泡の中を進む。従来の魚雷よりも3倍高速になる。

 IRGC(イラン革命防衛隊)は、これを持っているんだぞと宣伝している。

 このロケット魚雷の欠点は、舵をきればバブルの外に出てしまうこと。だから、至近距離まで迫った敵のSSNを返り討ちにする決闘兵器だと考えられている。

 イランは2004年にオマーン湾でこの魚雷のテストをしている。スピードは212マイル/hに達し、6.5マイル航走したという。

 この魚雷は通常魚雷よりも大きく重い。したがってIRGC(イラン革命防衛隊)のミジェットサブからは運用できまいと思われる。

 高速艇から発射するのは意味がない。だったら対艦ミサイルを放てばいいだけだから。
 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-9記事。
   ノルウェーの国境線からわずか65kmのところ、アンドレーヴァ湾の海軍基地に、古いソ連の核ゴミ捨て場があって、このままでは漁場が汚染にさらされて困るので、ノルウェー政府はロシアに対して資金を援助して、数百km離れたムルマンスクの新ゴミ貯溜場へのゴミ移転を、促進させている。

 原潜の炉心にあった燃料棒などからなる核廃棄物は、14個ずつ、コンテナに密封されて、1隻の輸送船に積んで運ぶ。このコンテナ代だけで56万5000ドルかかる。そして1航海には28万ドルがかかる。これを繰り返す。

 ゴミはムルマンスクで永久ストックされるわけではなく、逐次、そこからさらに鉄道で内陸のチャリャビンスクまで運搬し、そこでより無害な核物質に転換させられる。

 アンドレーヴァ湾海軍基地は、使用済み燃料棒の捨て場として1960年代に建設されている。しかし海中への汚染物質の漏出が騒がれ、1982年に閉鎖された。

 1989年までに77万トンの放射能汚染水がバレンツ海に漂った。
 燃料棒9000本以上を納めた円筒コンテナは1500個にもなる。

 冷戦直後にお払い箱になった原潜だけでも200隻を越えたのだからたまらない。

 なお、軍用燃料棒の処理の15%は極東でなされている。北鮮等がその使用済み核燃料棒を入手するのではないかという懸念も常にある。

 次。
 Tanya Basu 記者による2020-1-9記事「Sex tech is slowly making a comeback at CES. About time」。
    昨年、ハイテク電子おもちゃがあつまるCES見本市に、ローラ・ディカルロは、「オセア」という自社開発商品を出展した。290ドルの器材で、女性のクリトリスとGスポットを同時に刺激してくれる。
 ところがCESの親企業のCTA(消費者技術協会)が、大人のオモチャは公序良俗に反すると騒いだ。
 多くのセックス・テク企業は、女性の経営である。この問題は議論を呼んでいたが、今年の「CES2020」では、泡沫のその他コーナーの扱いながらも、各メーカーの出展を認めている。

 みずからこの分野のベンチャー資本家であり、『ハイテクセックス革命』の著書もあるアンドレア・バリカは言う。
 アマゾンでは、セックスに焦点をあてた健康機器の売り上げが、2018年において、およそ8億ドルであった、と。

 しかし、あなたがセックス器具について熱心に検索した翌日、インターネットのブラウジング中に、それらのオモチャの広告がポップアップしてくることは、決してない。これは、グーグルやフェイスブックが、それらの広告を一方的に提示することを厳しく規制する方針のためだ。多くの人は、仕事中にそんな画像が出てきたら、困惑してしまう。

 ※そこへいくと一部の日本のウェブサイトはひでえもんだな。問答無用で下卑たエロ漫画が表示されてくる。

 今年のCESにエントリーした、突出しているセクテク・カンパニーといえば、デイム社だろう。同社は、セクソロジストと技師がコンビで立ち上げたベンチャー。その主力商品「フィン」は、「キックスターター」での資金集めが認められた最初のセックス・トイであった。2019年には同社は果敢に訴訟を起こし、ニューヨーク市のMTA〔日本の営団地下鉄&都営バスのようなもの〕が同社製品の広告を排除していることは「性差別」という犯罪だと主張した。

 同社の経営者、ジャネット・リーバーマン=リューは言う。ビジュアル広告が公共の場にいつまでも提示されないということは、人々が、他の多くの人々がすでにその商品を使っているのだという事実を、認知し難くさせる。それはユーザーの女性を社会的に孤立させ、じぶんは恥ずかしいことをしているのだと誤解させてしまうだろう。

 市場調査会社のストラティスティクスは予見する。2026年には、セックストイ産業の規模は、1230億ドルに膨脹しているだろう。この産業分野だけの同友会のメンバー企業は、げんざい120社を超えている。


真珠湾攻撃の1ヵ月前に山本五十六を米軍が爆殺したらどうなるんだという話。

 Anthony Dworkin 記者による2020-1-7記事「Soleimani Strike Marks a Novel Shift in Targeted Killing, Dangerous to the Global Order」。
   ソレイマニの爆殺に用いられている理屈は、「ウォー・パラダイム」。あたかも、米国が他国と戦争中であって、その敵将を殺害するのは当然だという理屈を、対テロ作戦に持ち込んだ。

 2013年にオバマ大統領は、戦場とはいえない場所でテロリストを殺す場合には、そのテロリストが、他者の人命に対する継続・急迫した脅威源になっているという条件が必要だという基準を導入している。それが今回、撤回された。

 1986に西ドイツのディスコがリビアの爆弾テロに逢った。その報復として米軍はカダフィ本人と軍事施設を狙って4-15に空襲。それについて国連総会は、国連憲章違反であり、国際法違反だと決議している。

 国連憲章が認める自衛は、他者からの武力攻撃に対する、必要性や均衡性の外見を満たしていなければならない。しかしこんどの爆殺は、その条件を満たさない。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-8記事。
  北斗衛星群が2019-12に完成し、ことし前半から、全世界向けサービスを開始できる。

 高度3万6000kmの静止軌道に6機と、高度2万1800kmの周回軌道に24機。
 
 2019に中共は軌道上に30個の衛星を上げた。これは米国を上回る。他に2機、軌道投入に失敗した衛星がある。成功率98%だ。

 欧州のガリレオは、現役24機+予備6機が揃わないと、完成しない。2020年にはその体制になるという。

 次。
 H I Sutton 記者による2020-1-7記事「U.S. Coast Guard Could Face A Narco Submarine Epidemic In 2020」。
      中南米の太平洋岸から北米を目指す、コカイン密輸用の潜航艇。2018年には35隻、2019年には36隻が、関係諸国の取締り当局によって報告されている。

 コロムビアにおけるコカイン生産量は、2008年から10年間で3倍になったという。

 「ナルコ・サブマリン」と呼ばれる密輸艇の多くは、じつは、真の潜航艇ではなく、乾舷高がほとんど無い、低シルエット半没艇である。このカテゴリーを潜航艇と区別して「LPV」とも称する。

 かつては1隻の輸送容量を巨大化しようとする趨勢があったが、今は、小さい潜航艇を多数建造して送り出す戦術に改まっている。1回の邀撃拿捕で送り手が蒙るダメージを最小に分散するためだ。

 ペルー軍が最近初めてつかまえた密輸潜航艇は、なんと最終仕向け地としてセルビア行きの麻薬を満載していた。コロムビアの太平洋岸の河口を出て、いったんペルー沖まで南下。そこから北転してガラパゴス諸島沖をかすめてメキシコにいったん荷揚げ。そこから欧州へは、さらに別の輸送手段で逓伝される手筈であった。


犬を抱いたオプティミスト、わんちゃんあるでと言っていた。

 Sean Quirk 記者による2020-1-6記事「Water Wars: Stare Decisis in the South China Sea」。
   2019-12-12にマレーシアは宣言し、EEZ限界からさらに続く大陸棚の延長部分であると主張する境界線を2倍に延伸。南シナ海の支配を狙う中共と真っ向から対立する、国連大陸棚委員会への申し立てである。

 インドネシアのEEZ内では、武装海警船の護衛付きでシナ漁船が濫獲しまくっており、インドネシアのコーストガードの退去命令を聞く気がない。インドネシア政府は中共大使を呼びつけて不法侵入を止めろと伝えた。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-7記事。
   2019-10-26のバグダディ殺しの詳細がだんだんにわかってきた。

 彼に反発する、ライバルのイスラムテロ組織から、バグダディの居場所情報が、もたらされていたようだ。

 バグダディの2人の妻をイラク当局が逮捕したのも大きかった。この妻の片方は、伝書使として暗躍していたからだ。
 IS幹部のセイフハウスはどこにあり、どのように運用されるものなのかが、この女の口から、すべて、分かってしまった。

 セイフハウスを、定期的に、転宅していた。

 米国は、クルド人の手先を使って、バグダディが洗濯させるために出した汚れ下着の一部を入手し、そこから、バグダディ本人のDNAを、あらかじめ、採集していた。

 米軍は、バグダディが移動中のリアル座標までは把握できなかったが、どこかのセイフハウスに入って、まだそこからは出てきてない、という情報は、得られたのだ。

 9機のヘリコプターはトルコ領空からアジトに接近した。事前にトルコとロシアには根回しされていた。

 自爆したバグダディの首を切り離してヘリの中に持ち込み、簡易DNA判定機にかけた。
 そのあとで、胴体部分も拾い集めて、いっしょに水葬している。


チープに多人数を満腹させずにおかない「蕎麦シチュー」の作り方。

 2人分くらいの乾麺ソバを、あらかじめ2つにへし折ってから茹で、その湯を取り替えることなくそのまま、余っている野菜の細切れ+めんつゆ少々+粉末シチューを投入。
 最後にそこに「すりおろし山芋」を投入すると、目をつぶって食べたときに、カルボナーラのような味だと錯覚されるぞ。
 そこまでしても30分もかからない。
 それでいて、ほぼ5人前くらいの分量が得られてしまう。
 けっこうイイ味なので「北鮮めし」には分類できぬ。惜しい。
 油はまったく使わない。ただ煮るだけ。よって地球にも人体にもヘルシー。
 
 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-6記事。
 イタリア製の4×4多目的軽装甲車(LMV)のM65リンクスはすごい。
 なにが凄いって、シリア駐留のロシア軍が、ロシア製の車両ではなくて、わざわざイタリア製のリンクスを2016以降に調達して乗り回しているのだ。

 このためイタリアは、2014年の西側の対露禁輸制裁の約束を破って兵器をロシアへ密輸出しているのではないかと疑われた。
 調査したところ、2014以前の輸出契約を実行したものであるという。

 ロシアは2012からイタリア製LMVをテストし、好成績だったことから、60両を輸入した。当初は2500両も買うという大商談であったのだが……。

 完成品輸入ではなく、ノックダウン生産。イタリアが全パーツを供給する。

 2014の国連制裁が決議されるまでに、イタリアは264両分のパーツをロシアに届けていた。

 M65は、自重7トンである。耐IED車体デザイン。

 ※NATOが春に計画している大演習で第82空挺師団がグルジア出張の予定。この演習にコンディションのピークをもっていくという表向きの名目があるなら、その前のどの段階でも、イランに投入され得ることになるにちがいない。あるいはひょっとして米国はイランとの戦争に集中するために、対露牽制役として欧州NATO軍に期待するのかもしれない。ちょうど演習動員されている期間(この春)は、中東に注目したい。


プチ切れポープ。

 Zachary Abuza 記者による2020-1-2 記事「America Should Be Realistic About its Alliance with Thailand」。
    冷戦時代、タイと米国には共通の敵があった。中共とベトナムだ。

 しかし現在、タイの政治は議会民主主義に背を向け、専制になじんでいる。
 軍をバックにしたエリート階層は、中共との結託を望んでいる。

 タイ軍は、王室の藩屏を自認する。民主主義は、王室を終わらせる道だと見る。

 タイが米国から離れて中共にくっつくきっかけになったのは1998のアジア経済危機である。このときに米国はタイを見棄てた。

 2006に軍がクーデーターを起こし、米軍とタイ軍との協力も制約されるようになった。2014にもクーデター再発。

 タイ軍から見ると、中共は軍事的脅威ではない。むしろ、民主主義抑圧において協力ができる同盟者だ。

 米軍にとって、タイの利用価値は、ウタパオ空軍基地にまず尽きる。
 その次には、海軍基地も。
 しかしタイ政府には、米軍が国内基地の利用を要求してもそれを許さない自由がある。たとえば、ビルマのロヒンギャ救済事業に使わせてくれと米軍が頼んできた2017~18には、拒否した。 ※タイもイスラム系の流民にはほとほと迷惑していて、ビルマ政府の追い返し政策にむしろ同情的だからだ。タイは米国流の奇麗事外交には付き合わない。ビルマとは事実上の《仏教同盟》があるとも言える。そのスタンスからは、たとえばマレーシアは共通の敵である。

 げんざい、タイの上院は、軍からの推薦者で全議席が占められている。

 2014のクーデター後、米国は、タイ向けの兵器輸出に必要なローン470万ドルをカットした。その穴は、中共が、親切に埋めてくれた。
 他方では米国は、2013のエジプトのクーデターで凍結した13億ドル分の軍事援助を、さっさと再開している。一貫性がないのである。

 2018にタイは、10年がかりで潜水艦隊を整備することにして、その計画を中共に丸投げした。タイ海軍はべつに切実に潜水艦など必要としてはいないのだが、隣国のベトナム、シンガポール、インドネシア、ミャンマーまで潜水艦を買いそろえているのに、自国だけ持たないのは面白くない。
 いま、サッタヒプ海軍基地が、中共の手によって潜水艦隊母港として改築されつつある。そこには中共海軍も寄港することができるのだ。

 2019-9にはタイ海軍は中共に、2万5000トンの強襲揚陸母艦も、2億ドルで発注した。

 タイ陸軍の主力戦車はながらく米国製のM-41軽戦車だったが、2016以降、それは中共製の「VT-4」に更新されつつある。

 ただしヘリコプターはさすがに米国製が買われている。ブラックホークと、「AH-6i」(ヘルファイア運用型)だ。

 2019にメコン川の水位が史上最低に減った。これはタイに将来の食糧危機を予感させた。
 なにしろ中共はその上流に13ものダムを構築して取水しているのだ。

 次。
 Ali Mamouri 記者による2020-1-3記事「Top commander’s assassination leaves Iran with very few options to retaliate」。
    1-3にバグダッドで爆殺されたソレイマニは、IRGC(イラン革命防衛隊)の尖兵である「クッズ」の司令官。いっしょに爆殺されたアブ・マフディ・アルムハンディスは、PMU=一般人動員部隊 の副隊長だった。

 爆殺現場はバグダッド国際空港の近くで、時刻は深夜の1時だった。
 ソレイマニが空港に着き、そこから車列に乗り換えて動き出したところを、ドローンから爆弾が降って来た。その場で、合計8名が即死。

 数時間後にIRGC(イラン革命防衛隊)が認めた。他に4名のIRGC将官が殺されたと。

 この数字は、なにかどでかい反米テロ計画がたくらまれようとしていたことを暗示する。


半分ヒズボラが支配するレバノンが、犯罪人を外国へ引き渡せるわけがあろうか。

 テロ協力の疑いがあるから誰某の身柄をアメリカによこせ、という要求が殺到してしまうからね。
 犯罪人引渡し協定を結んでいない国のパスポートをもっている人物を社長に迎えた時点で、もうその日本メーカーは終わってたんだよ。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-1-3記事。
   イランはこれまでにガザ地区に1万発、レバノン南部には4万発の短距離地対地ロケット弾を搬入している。

 イランはガザ地区に2013年から、ロケット弾の製造設備も持ち込んでいるので、75km届く地対地ロケット弾「M-75」が、ガザ地区内で生産されてもいる。

 ガザのハマスは、ロケット弾だけだとイスラエルの「アイアンドーム」を飽和できないので、迫撃砲弾も同時に発射する。

 ハマス保有のロケット弾の大宗は「カッサム」という。これは露軍の「B-12」のイラン製コピー品だ。
 径107ミリ、全重19kg、全長86センチ。レンジは6kmで、弾頭炸薬は1.4kgだ。

 他に、122mmの「BM-21」もあり。全重68kg、長さ2.9m、弾頭重量20kgだが、弾着の散らばりは107ミリ・ロケット弾よりも大。レンジは20kmに達する。

 レバノン南部にロケット弾を隠匿しているのは、ヒズボラだ。

 2006年にヒズボラは、1万4000発のロケット弾ストックのうち4000発をイスラエルに向けて発射した。そのほとんどは122mmの「BM-21」だった。

 昨年末に中共は衛星写真を公開した。高度500kmを周回するリモートセンシング衛星から撮ったものだが、地表の人間までくっきりと写っている。ようやく彼らの技術がここまで来たのだ。

 2018-6に軌道投入したリモセン衛星だと、写真分解能が10センチである。
 ちなみに米軍の新鋭偵察衛星だと、分解能は2センチだ。

 最新バージョンのKH-11衛星は、さしわたし2.4mの反射ミラーを有する。これはハッブル宇宙望遠鏡と同じ。※というよりハッブルそのものなんじゃないの? 向きを下向きに変えただけの……?