「断水デマ」を飛ばした最初の人物を各地で特定しよう!

 まさかと思うが外国からのSNS書き込みじゃないだろうな? 全道の主要都市で同工異曲の流言が飛んでいたなんて、不審すぎるぞ。
 このリアル・ケースで、誰がいつSNSにカキコしたかのビッグデータを洗っておけば、将来、サイバー戦争/ハイブリッド戦争になったときに、防禦策を講じ易くなる。是非とも、やっておくべし。
 こんかいリアルで価値を見直したもの。(とっくに製造中止されている)パナソニックのワンセグTV。3万2000円もしたと思うが、防水であるうえ、停電中でも単三電池×4本で視聴ができたのは、なんともありがたかった。家族の気分の上でね。
 今回は「リスク分散の鉄則」「多重バックアップのありがたさ」が銘肝されたと思う。なんでもひとつに整理すりゃいいってもんじゃないよ。コストよりも大事なポイントがあるだろう。
 公衆電話は残すべし。否、増やすべし。
 ロランCやオメガは日本単独でも復活させておけ。(次はGPSがダウンするから。)
 「電動シャッター」はこれからは売れなくなるだろう。7日の早朝に、あちこちの商店主が困っていたよ。停電で、開けられないので。片付けも準備もできやしねえ。
 ラジオの交通情報アナウンスで、ホントに気が利かぬと思ったこと。
 道路の区間名をズラズラと七個も八個も列挙してから、それが「使える」のか「使えない」のかを教えてくれる。
 そんなリスナーをイライラさせるやりかたをしてどうするんだ。平時じゃないんだぞ。
 道路の区間名1個を読み上げたら、すぐにそれが「使える」のか「使えない」のかを明らかにせよ。
 そしてそれに続けて、二番目の道路区間名を読み上げて、それが使えるのか使えないのかを知らせよ。
 逐次に順番に、それを区間の数だけ繰り返しなさいよ。
 そうするのが、非常時式の、お知らせの方法として、ふさわしい。
 それと、災害直後のラジオ生放送で、5秒以上の無音声時間を作ったらダメだ。そこに気が利くのか利かないのかで、局スタッフの「器量」が判る。
 次。
 Brian Melley & Michael Balsamo 記者による2017-9-7記事「North Korean Charged in Crippling Sony Hack, Wannacry Virus」。
    ソニーピクチャーズから2014年に、近日公開予定の映画作品のデジタルデータ(『フューリー』を含む)などをまんまと盗取し、また、別な年に、ランサムウェアのワナクライで全世界を混乱させた、北鮮のハッカーが特定され、米連邦捜査局によって9-6に起訴された。
 被告は現在は北鮮領内にいるであろう。
 バングラデシュの政府銀行から8100万ドルを盗ったのもこやつだと。
 このハッカー、同じ偽名でロッキードマーチン社などにもスピアフィッシングのメールを送っていることが判明している。
 バングラ銀行以外でも各国合計10億ドルくらいがハッカーに盗まれているので、捜査は続行されている。
 ワナクライを仕掛けた集団は「ラザルス・グループ」とも呼ばれる。
 FBIは、大連市郊外の「Chosun Expo」なる北鮮政府フロント企業がハッカーの巣窟だと睨んでいる。同企業のウェブページは2016-7月頃に消えた。
 2014にオバマ政権は5人のシナ人をハッキング犯罪者として起訴した。また2017には複数人のロシア人ハッカーがヤフーに侵入したとして訴追されている。
 次。
 DREW HARWELL 記者による2018-9-7記事「DARPA says it will boost investment in artificial intelligence programs」。
    DARPAのAI開発五ヵ年計画。
 2019からの5年間で、総額20億ドルを投入するつもりだ。
 問題は、シリコンバレーの超大手が必ずしもペンタゴンの企画に協力的ではないこと。
 グーグルの創立者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジも、DARPAから資金協力を受けていたおかげで大卒ぐらいから結構な研究ができたのだが、この6月にはグーグル社が社員の多数意見として、米軍とは戦争ビジネスの新規契約(途切れなく大量に送信されてくるドローン映像をロボットが淡々と解析するソフトの開発=プロジェクト・メイヴン)をしないと声明した。
 DARPAは、「グーグルがやりたくないのなら他社を探すまで。予算はこれだけあるよ」と言っているわけだ。
 6月にDARPAのナンバー2であるピーター・ハイマンいわく。たぶん数百社が手を挙げるだろう。
 プロジェクトは単一ではない。他には、オンライン上の人の声や面相の映像がフェイク加工品であるのかないのかをAIで見破ってくれるソフトだとか、マシンと人間を「共生」させる環境づくり、などもある。
 すでに米連邦行政の事務がパンクしている、新たに雇ったり昇任させたい職員のセキュリティ・クリアランスお墨付きのための身元調査を、人に代わってしてくれるAI、といった開発プロジェクトもある。
 結論だけをポンと示すのではなくて、その理由を人が分かるように説明もしてくれるAI。この「エクスプレナブルAI」のコンセプトも追究される。
 ちなみに、アップル社のアイホンに搭載されている「Siri」も、DARPAが開発に協力したのである。
 トランプ政権は、米国が先頭を走るべき分野として、製造業・宇宙探検・医療における発明を第一、AIを第二番と位置づけ、その順番で研究開発予算も投入すると6月に発表している。
 ペンタゴン内には、「四軍統合AIセンター」が6月に発足している。これは四軍バラバラのAI開発の無駄を避ける調整をすすめる機関だ。
 FY2017に米政府全体でAIに投じた予算は20億ドルだった。
 中共ではアリババやバイドゥが政府と密接に結託しながら無人自動車運転やヘルスケアや国防へのAI応用を進めている。
 街中の監視カメラで全住民の顔をすべて認識する北京政府のAI国民統制網は着々と完成に近づいている。
 そして2030年までにはAI技術で中共が米国を抜くと豪語している。
 しかしながらマイクロソフトとアマゾンの社員は、移民局や地方警察のための顔認証ソフトの開発には反対だとキャンペーンを張っている。
 ※今次災害で内地の自衛隊は道内の諸都市に何を搬入すべきだったか? リアカーに載せた、スマホ充電端子多数付きの給電バッテリー(燃料電池)。これをヘリから兵隊とともに街の目貫に近い公園へ降ろして、6日の夕方から7日の払暁まで、周囲をLEDで煌々と照らすべきだった。集まった民衆は、ほとんど「神さま」扱いしてくれたはず。その場で隊員募集もしたら1万人くらいもサインしただろう。もう遅いけどね。これから地本が倉庫に用意しておくべきアイテムが、ひとつ、決まったと思う。3トン半トラックで牽引できる、水タンクトレーラーと同サイズの「給電機トレーラー」も新開発しようよ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-9-6記事。
  2018-6に英SASの二人組チームが、普通のM2 キャリバー.50 MGを単射モードにし、精密スコープをとりつけて、IS幹部を距離2300mで狙い撃ったところ、胸に命中。斃した。
 過去には、1967に米海兵隊の狙撃のプロが、スコープを取り付けたM2重機で2250mの単射対人狙撃を成功させた例がある。それに次ぐ快挙。
 狙撃専用の12.7mmライフルだと、2500mくらいの狙撃はできるようになっている。2017-5にはカナダ特殊部隊兵が「TAC50」という専用の狙撃銃を使い、3540mの狙撃距離レコードを樹立している。
 ※もとから保有されていた古資産に、比較的安価な最新のデバイスを装着することで、パフォーマンスが倍増することもある。このようなポテンシャルは日本の自衛隊既存装備のいたるところに探すことができるものだ。ただし組織全体に創意を活用する文化が根付いていなければ、無尽蔵の精神資産も、空費されておわり。残念だが。


正直、「FMいるか」よ、ありがとう!

 このコミュニティFMのアナウンサーたちの田舎の大学生的な喋り方は正直従来わたしの耳には苦痛であったのだが、このたびの真っ暗な停電期間中(わが街区に限れば、2018-9-6日の未明3時15分頃から、翌7日の午前8時47分までの約29時間半)、いちばん役に立ったメディアは、ポータブルラジオにて聴取できた「FMいるか」であった。
 遠くの地震に起因する長時間停電に陥った地域住民がとりもあえずいちばん知りたいと思っていることは何か? 震度の見直しでも、震源が活断層かどうかでも、閣僚や気象庁の誰彼の公式発言でもありはしないのだ。
 そんな腹立たしく無益な古情報をLP盤の終末トラックのように漫然と繰り返してくれる放送局ばかりが多かった中で、わが函館山の「FMいるか」放送局は、「復旧変電所情報」「通電再開街区情報」「信号再開道路情報」「給油営業中のGS情報」「営業続行中の食料品店情報」「閉鎖病院情報」等を、主に住民や関係者からのタレコミ情報に基づいて(裏は取らずに)逐次に速報してくれた。後半に至り、同局が契約しているフレッツ光の回線が7日朝4時半にダウンし、インターネットSNS配信は断念されたようだが、携帯電話のボイス通信等で収集は続けられたと察する。
 こうしたコミュニティFM局の電界強度は平時からもっと強くしてもいい。特に災害時には出力を上げられるような準備と法規が必要である。発動発電機の燃料が尽きた南茅部~椴法華方面の僻地中継局が数時間にして早々と停波したらしいのは、じつに気の毒であった。僻地こそ電波情報が必要なのに、これでは社会的使命は果たせない。
 停電が実は全道ブラックアウトだと分かった昨日時点ですぐ考えたこと。
 これは米国発のリーマンショックに準ずる経済的な大災厄である。
 よって、消費税増税はもはや許されなくなった。
 ぎゃくに「復興国債」の発行を検討しなければならないだろう。
 十数年にわたり、女房から馬鹿にされつつ、非難されれつつ、さげすまれつつ続けてきた、戸外におけるLED灯設置実験の意味が、ようやく理解してもらえたのは、嬉しかった。
 これからインフラが復旧すると、北海道じゅうの懲りた人々が、LED懐中電灯を購求せんものと、電気店に殺到するかもしれない。
 各種の懐中電灯をランタン代わりに一晩中点灯してあらためて確認できた所見を記す。
 プッシュボタンスイッチでON/OFFする型式の安物LED灯は、放置しているうちに接触不良を起こして消えてしまう率が高い。
 スライドスイッチ式、または、胴体をねじってON/OFFする型式の、売価1000円弱~2000円弱のスイッチ方式のものが安定していると実感した。電池は、単三を1本か2本使うものが、補給面でいちばん安心ができる。
 単3は、スマホ用のモバイル充電器に装填する電池だから、非常時を想像できる、こころがけのよい人なら、多数のストックを保有している。
 ガスカートリッジ式の卓上コンロは、とても重宝する。冬場だったら、これが文字通り、命を救うだろう。
 家族で朝飯~昼飯代わりに一人2~3個のアイスクリームを食べるときが来るとは思わなかった。長期停電となったら、冷蔵庫の中の冷凍食品から、とっとと始末をつけて行く着眼が必要なのだ。他方、常温保存が利く食品は、最後の命綱として、残しておく。
 長時間停電からの復旧後、最初に急いでやらねばならないのが、冷蔵庫内の大清拭だ。ハイターを使わないと、カビが大繁殖するはずだ。……というわけで、我が指先は今、非常に痛む。爪の隙間に塩素が入っちまうんだよね。
 近所のスーパーマーケットの中には、6日のひるま、店の前の駐車場にて、冷凍食品をすべて無料で配布したところがあった。ぼやぼやしていると融けて腐ってしまうからだ。
 彼ら従業員にもこれから、大清掃の一仕事が待っているはずだ。
 陸上の冷凍設備が使えないのでは、地元の漁船だって出漁しない。
 しかしわたしは「こんがり焼き鯵」の干物をストックしていたので、影響ほとんど無し。
 このような大規模長時間停電では、温泉専用施設だけはでなくて、自家発電機がある大きなホテル付属の浴場もダウンするらしい。これは勉強になった。
 必然的に開眼したのが、「水シャワー」の浴び方である。
 まず、びしょぬれのタオルで全身を拭い、ついで、頭を洗う。そのうちに全身から発熱してくるゆえ、最後は冷水の直噴にも堪えやすくなる。修行者の気分になる。しゃがんで洗うのがコツと思った。そして、夕刻前の明るい時刻に済ませるのが安全也。
 家庭用の風呂用の湯沸し器は、燃料は灯油ゆえホームタンクにふんだんにあるのだけれども、その運転には100V電源が必要な仕様であるので、停電中はまるで使えなくなる。
 北海道の地場メーカーよ! 電力は一切必要としない灯油燃焼式の家庭用給湯機の開発を急ぎなさい!
 さもないと、今回懲りた道民は、プロパンガス燃焼式の家庭用給湯機材に、乗り換えるだろう。個人的には、それでもいいんだけどね。
 女満別空港は、発動発電機用の燃料が涸渇して、6日のうちに運用をギブアップしてしまったとラジオで聞いた。
 安いからといって重油を燃料にしていたのか?
 もし今次の災厄から彼らが教訓を汲む気なら、空港の発動発電機は、燃料を「ジェット燃料」に統一しておくべきだろう。さすれば、航空機に給油するための容量の大きな燃料タンクの残量がある限り、飛行場の機能を維持する電力も保つはずだからだ。
 ブラックアウトの危険が伏在することがわかった北海道に限っては、ドラスティックな「燃料行政」の見直し指針も必要と思う。
 北海道用版のディーゼル燃料として「灯油」を普及させるべきだ。
 発動発電機も、ディーゼル乗用車も、トラックも、そしてビル用暖房、戸建住宅用暖房も、基本的に「灯油」かLNGにする。
 燃料の「灯油での統一」は、米陸軍が世界的にやっていることである。彼らはトラックのディーゼルを、ヘリコプター用の灯油(ジェット燃料)で回している。それで、何の問題もないのだ。兵站がとても単純になるので、車両を動かすときの灯油の仕事効率が軽油よりすこし悪くても、補給コストの低さでペイしてしまうのだ。
 北海道もその方針を採用すれば、将来、冬に大停電や大災害が起きたとき、内地から灯油だけを補給すれば、人々は助かる。
 「デマ」が流れたのは新鮮な驚きだった。6日早朝に「本日午前10時で断水する」とかいう流言が広まった。配水施設は標高の高い所にあるし、ウチは平屋なので、理性では、上水の水圧の不足はないはずだと思いつつ、それでも万一に備えねばと、「水溜め」大作業に励んでしまった。
 さっきPCのメールのフォルダーを開けたら、モノやカネを送りましょうかというご提案を多数いただいており、甚だ恐縮した。
 せっかくなので、停電中でも(モデムやルーターを必要としないで)メールを受信したり送信できる機能のついているモバイルPCの中古品でもあったら、何台でも貰います。
 拙著『空母を持って自衛隊は何をするのか』の中でさまざまに提言した防災上の着眼に関し、今回、特に修正の必要を感じたことはなかった。
 しかし、付言したいことは、おかげさまで、たくさん思いついた。それらはまた、ぼちぼちと語って行こう。
 とにかく皆様、ありがとうございました。当方、無事です。


もしブッシュプレーンが自由に飛べないのならば、「飛ぶ車」が発明されたとしても誰も買わない。

 したがって誰も開発を考えない。
 空の分野では、法制をなんとかしない限り、技術も日本では発展しようがないのだ。
 次。
 Stephen Blank 記者による2018-9-4記事「Russia’s Vostok-2018: A Rehearsal for Global War?」。
      9月11日から15日まで実施される「ヴォストーク2018」大演習は、1981年の「ザーパド(西方)1981」演習以来の規模になる。
 露兵30万人と中共兵3200人参加。モンゴル軍も。
 これほどの大規模演習をする理由は、露軍がいつでも急速総動員をともなう本格大戦争ができるよう、民間人と、地方の役所等も含めて全組織に、活を入れることにある。
 かつての「ヴォストーク2010」は中共を脅しつけるためのシベリア核演習だったが、こんどは中共兵を混ぜてやることによって敵対関係がないことを宣伝する。誰に対する宣伝か? もちろん対NATOだ。
 ロシアはもうじき「スホイ35」も中共に売ってやる。これらによってモスクワ政府はNATOに対し、欧州戦域で開戦した直後に中共を使嗾してロシアの背後を撹乱させようとしても無駄だぞと宣伝しておきたいのだ。
 ロシア側には、事実上の「露支軍事同盟」を結んでおきたいという強い動機がある。
 2012-12発足の安部内閣は露支間に対立緊張があることを前提としてモスクワに粘り強くさまざま秋波を送り続けた。しかし日本がロシアから引き出せたものは5年間、遂に何もなかった。こうして「ヴォストーク2018」が、日本の希望も目に見えるように打ち砕く。
 日本政府は、露支がほんらい似た者同士であり、日本に都合よく対立などしてくれないという現実を受け入れる必要がある。安部内閣の対露構想は、アマチュアたちの夢想に立脚していたのだ。
 豪州などアジア諸国もこれからは「露支一体」を前提として国防国策全般を検討し直す必要があろう。
 ※習近平が弱気になっている。露・支は「宣伝重視」という「癖」では相似ているのだが、その中味には大きな差異がある。簡単に言うと、露軍はじっさいに戦争ができる。アメリカ向けのフェイク宣伝をしていないリアルの「使える」秘匿戦術も持っているのだ。ところがシナ軍は、じっさいにいかなる戦争もできない。徹頭徹尾、フェイク宣伝とフェイク装備とフェイク軍隊しかないためだ。その現実に熊プー(習近平)はさいきん、気付かされた。それゆえ、対米関係が緊張するや、露支間の「気分」の優劣が、たちまち露側に優位になった。平時にシベリア経済を労働者の人海で侵食していても、そんなのはシナ軍の「張子の虎」性をいささかもカバーしてくれない。労働者は脅されれば国家を裏切る気満々なのだ。
 ロシアは、《NATO軍がシリア沖で「毒ガス空襲」を準備している》――といういつもながらの偽ニュースをでっちあげ、アサドがシリア人民を毒ガスで攻撃する口実を用意してやっている。
 例によってプーチン周辺ロシア人特有のパラノイアと虚言症のミックスだが、さいきん、露軍は「NATOを抑止する」という名目でイドリブ市の総攻撃のために北海からも黒海からも軍艦をシリア沖にかきあつめている。ゲリラの潜む市街地に向けて「カリブル」でも乱射させる気なのか?
 そうではない。
 この露海軍の動きは、じつは「ヴォストーク2018」の一環なのだ。さすがに燃料代その他に余裕のないロシア海軍は、全艦隊を極東に集中させる予算など捻出できそうにない。それでやむなく、海軍の大規模動員訓練だけは、シリア沖で済まそうというつもりなのだろう。
 ただし、集中した艦隊は訓練後にまとめて黒海へ移動させ、ウクライナでまたもや新攻勢を始める算段かもしれない。ウクライナでの陸上作戦中、艦隊は、アゾフ海を海上封鎖するのだ。
 もちろんその封鎖は、核の先制使用をチラつかせた対NATOの脅迫を伴う。その「核脅迫」の事前演練が、地中海東部で、見物のNATO海軍相手になされるはずだ。
 このように「ヴォストーク2018」はけっして地域的演習ではない。全地球的な、核兵器運用も包含した大戦争の予行であり、21世紀のプーチン流の瀬戸際外交なのである。
 ※おかげさまで新刊『日本転覆テロの怖すぎる手口』は堅調な売れ行きです。オウムの死刑囚がいなくなって公安調査庁が局に格下げされ、そのかわりに「入国管理庁」が新設されようという流れのその先に、どんな危機が待っているのか? 知りたい人は一読しましょう。
 ※こんどの台風21号の強風が各地で「新記録」を残しました。来年ももっと「新記録」は続くはずです。それに備えるいちばん合理的な方法を知りたい人は、既刊『空母を持って自衛隊は何をするのか』の6章、8章、9章をごらんください。


「東風41」のバスが12個のRVを分離してしまうのは、発射から5分後である。

 これを見張るレーダーを置く場所がない。だから日本のレーダーが強化される。日本のためじゃない。合衆国のため。
 次。
 Fox News の記事「Iran’s secret weapons-smuggling air routes to Lebanon reveald by intel sources」。
  イランの表向き民航会社が、ダマスカス経由(2018-7-9)、および直航便(トルコ上空飛行、2018-8-2)で、レバノンのヒズボラに精密機械の製造機械を届けた疑い。
 ボーイング747型機派生の輸送機で、中味は、短距離弾道弾の工作機械ではないかという。
 先週はロイターが、イランがイラク政府軍のために短距離弾道弾を供給したと報じた。イラク政府は否定した。
 ※イランのカネはどこから湧いてくるのか、じつに神秘也。トランプが拡大制裁したら、日本政府としてつきあうべきなのは当然だ。中共が漁夫の利を得るとか、そんなの世界向けの言い訳として説得力あると思ってるのか。
 次。
 Jeffrey Lin and P.W. Singer 記者による2018-7-12記事「China’s latest quantum radar could help detect stealth planes, missiles」。
   ステルス機も探知できるとする「量子レーダー」。中共の軍用電機大手であるCETC社が、6-22に、高々度飛行物体については探知ができるようになったと吹かした。
 会社の目標としては、まずは成層圏での飛行機探知に用い、ついで、大気圏外の低軌道にも探知範囲を広げたい。
 ※米陸軍は2028までにハイパーソニック兵器を長距離砲代わりに用いるつもりでいるので、その探知は必要。
 簡単に言うと、光のビームが絡んだマイクロ波を上空に向けて発射し、跳ね返ってくるものを観察する。※そうではなく、地上サイトまで跳ね戻ってこなかったとしても、上空で何かにぶつかってビームが乱されたときには即時にその光量子の変動を地上においてリアルタイムに魔法の鏡のようにモニターができるという理屈なのではないのか? 双子同期的な量子の挙動現象を観察して。
 このとき、従来の電磁波ECMのように敵側が反射信号を細工しようとしても、光量子の場合は、発射した側で、細工の有無を確実に識別することができる。したがって原理的にECMされなくなる。
 光量子(フォトン)がぶつかった物体の表面が、いったいどのような物質であるか、それを地上で識別することもできる。プラスチック製のバルーンデコイとソリッド金属の見極めがつくので、ミサイル防衛に役に立つ。
 中共は高度2万mに浮かべる飛行船も考えている。
 これをプラットフォームにすれば、ハイパーソニック飛翔物体の接近を早期警戒できる。
 CETCは2016-9に、世界最長レンジ(といっても100kmだ)の光量子レーダーを建造したと吹かしていた。
 次。
 Stephen Carlson 記者による2018-8-10記事「Bukkehave to provide Toyota pick-up trucks to Syrian allies」。
    「CJTF-OIR」は、イラクとシリアでISと闘っている地元勢力の合同機関である。クルド部隊や、イラク政府正規軍も含まれる。米国防総省は、日本で製造されているトヨタのハイラックスを、フロリダの改造屋「Bukkehave」社の手で「テクニカル(汎用軍用軽トラック)」に改造させ、 「CJTF-OIR」に供給することにした。


AIは、ちっとも人手不足を解消していない。

 ストラテジーペイジの2018-9-2記事。
   「殲20」の量産が依然として進まない理由が国営テレビの報道で明らかにされた。熟練工が集まらないのだという。
 少子化社会になっている中共国内では、民営も官営も、工場労働者が足りない。
 J20 の製造は、やっつけ仕事では絶対にできない。
 胴体の一部は複数の合金から成る複雑な構成である。このモールドと工作は、特に時間を要する工程である。
 殲20が必要とする特殊な部品の供給も、タイトである。
 中共は、J20の開発コストが44億ドルであったと明かしている。製造単価は1億1000万ドルだという。
 殲20は全天候性にも問題があり、その問題はまだ解決されていない模様。
 2017前半に「12機以上がすでに空軍部隊に配備された」とした公式報道は、真っ赤な嘘であった。未だに開発途中なのである。
 ※ブッシュプレーン(アラスカ型の超軽量STOL機)のメーカーや学校が北海道にないのが不思議でならない。量産の反対の、1機ごとの手作り。それも僻地で本人修理が可能なスチールパイプ構造。ツンドラタイヤ(+スキー)の固定脚。昔の九六艦戦みたいにアレスティングフック無しでフラットデッキ船上にも降りて連絡飛行ができる。何の問題があるんだ? 日本の有閑大金持ちは、なぜこの分野に投資をしない? のびしろありまくりだろ。


Gaupillat【ゴピヤー】という名の武器メーカーがあったのねんのねんのねん!

 いや杉浦久也さんにはすっかりご面倒をおかけしてしまった。「Gaupillat」という名のフランスのメーカーがあることを直接にご示教くだすった。
 学匠の手によりそこまで調べがついているのに愚老が余計な憶見妄譚、いまさら慙愧いたすほかなし。まっ平ご容赦を賜ります。
 次。
 Neil Fotre 記者による記事「F-35B Lightning IIs need protection from … lightning」。
      岩国基地の海兵隊は、LBAテクノロジー社から、14本の避雷針を調達する。
 この避雷針は移動式。ハンガーの外に駐機しているF-35Bを落雷の被害から守る。
 特に電撃に弱いのが、F-35のウリであるALIS=自動ロジスティクス情報システムだ。
 地上で機体に被雷した場合、燃料タンクの中にある気化ガスに火が着く恐れもあるという。
 移動式避雷針は、天気予報で雷雲が接近しそうなときにだけ、引っ張り出す。
 次。
 Avery Thompson 記者による2018-8-23記事「Clever New Tech Could Let Subs and Planes Talk Directly」。
     MITが、潜水艦から上空の味方飛行機に、無線ブイを使わずに、信号を送り届ける方法を考えた。
 強力なスピーカーで潜水艦の直上の海面(表面の1ミリの厚さ)を震動させる。
 使用する音波を2種類に決めておき、それを「1」と「0」の代用にする。
 その振動波形を、味方飛行機が、レーダーによって読み取る。バイナリー信号を解読すると、メッセージになるのだ。
 ※室内の会話が窓を震動させるので、外からスパイしている者が窓の震動を可視化できれば会話音声も再現できる――という話と同じなのかと思ったら、違いました。
 ※じつは似たような「軍艦のデコイ」を想像したことがある。一般に、何もない海面は、上空からのレーダー電波を反射しないので、SAR画面ならば黒く映る。しからば、敵のアクティヴ・ホーミング式対艦ミサイルの発するレーダーを強烈に反射できる波形の「さざなみ」を人工的に付近の海面に発生させてやれば、その海面だけ「まっ白」になって際立ち、エグゾセ・タイプの敵の旧式な対艦ミサイルは、ぜんぶその海面へ吸引されるのではないか? 水面のマイクロ波散乱強度を大きくする薬剤は開発できないだろうか?
 次。
 David Hambling 記者による2018-8-30記事「The Science of Russia’s New Silent Sniper Rifle」。
     ことしのロシア陸軍エクスポには狙撃銃「MTs-116M」の消音バージョンが出展された。
 MTs-116Mは20年前からあるボルトアクションで、7.62ミリ弾を使い、700mまで狙えたもの。
 ところがメーカーは今回それを12.7mmに増径し、なおかつ無音化したという。
 7月に公表されたところでは、中東ではISも、クルド部隊のYPGも、消音小火器を使っているのだという。大流行のブームだ。
 ライフルの弾が飛びすぎるときにシーツを引き裂くような音が聞こえる。これが、超音速銃弾が作るソニックブーム。
 そこでタマの初速を亜音速に設定しておけば飛翔中にノイズが出ることはなくなる。問題は、弾速が減少すればタマの貫通力もなくなってしまうこと。
 そこで、5倍も重い12.7ミリ弾を選んだ。これなら亜音速で飛ばしても300m先での対人殺傷威力は維持される。
 メーカーは、ボディアーマーも貫徹する、と主張している。
 ※いっぱんに銃弾の命中時のエネルギーは弾速の2乗に比例するけれども、弾重には1乗でしか効いて行かぬ。さいわい、ライフル弾を亜音速に減速するためには、初速を半分にする必要はない。それに対して12.7ミリ弾の弾重は7.62ミリ弾の5倍あるという。4倍以上あればエネルギー減の補償が可能ではないかと単純に思う。あとは、12.7ミリ弾の素材と形状の工夫か……。
 次の問題は、銃口部からの発射音。ふつうにライフルの筒先に消音機を付け足そうとしたら30cm以上もの長さが加わっちまう。
 だがロシア人は1970年代に、「キャプティヴ・ピストン」というおそろしい発明を、暗殺拳銃用になしとげていたのだ。
 これは、発射薬の燃焼ガスの膨脹が、薬室から前方(すなわち銃身の方向)へは、少しも漏れ出さぬようにしたものだ。だから銃身内にはガスは入らない。
 とすれば、そのガスが銃口において急に大気中に拡散して「パン」という大きな音を立てることもない。したがってサイレンサー自体が不要なのだ。
 拳銃名を「PSS」といった。
 想像するとよい。太く短い薬莢だけを前後さかさまにして、長い薬室に装填する。その薬莢のケツには小さな弾頭部が接着されている。
 薬莢内の発射薬が点火されると、薬莢は後ろ向きに前進するが、薬室の先端部(銃身の尾端部)で、前進は阻止される。片道運動のピストンのようなものだ。しかしその急激な運動エネルギーは、薬莢のケツに接着された弾頭がひきとり、小さな弾頭だけが銃身内を前進・通過し、ターゲットの人体に向けて飛翔する。
 現場に空薬莢が転がることもないし、ポケット内からでも発射ができるし、スパイの暗殺用拳銃としては、メリット大であった。
 このPSS拳銃を試射して発射音を計測したところ、9ミリのグロックの1/6であり、また、0.22インチ口径拳銃の1/8であったと。
 「PSS」拳銃は2011年に改善されて復活し「PSS-2」と称されている。その実包は非常な高額だそうである。「MTs-116M」は、その特殊実包を12.7ミリに応用した。


数名まで絞られた「二十六年式拳銃の設計者」探し。

 ホビージャパン社からA4版フルカラー146頁の『日本軍の拳銃』が出た。素晴らしい内容だ。
 写真は、実物を手にとる必要がないくらいにクリアで多角的。すなわち良心的で行き届き、圧倒的とすら言える。
 解説文も、現時点で及ぶ限りの典拠を探偵したうえでの断案となっており、シビレます。この分野での史料を博捜し解明を試みる作業の面白さにハマったことのあるわたしは、戦後70年間積み重ねられた知見が整理された各所の議論を読んで行くだけで陶酔を覚えた。そして国会図書館が所蔵する大部で稀少な『造兵彙報』『工藝記事』等の紙の匂いがまた蘇った。
 一読者としての白眉は、明治26年に制式制定された、国産初の陸軍用拳銃の、設計者の名前を絞り込んだ部分だ。
 嗚呼、いったい今まで、幾人がこの謎にチャレンジしてきたことか。
 いやしくも日本軍の兵器をカタログ的に解説しようとすれば、いきなりこの「空白」にブチ当たって悩まされたものであった。(あと、軽擲弾筒/重擲弾筒もね。)
 杉浦久也氏は、この拳銃を設計できる立場にあった将校たちを列挙してくれた。
 このうち、少将以上に出世した人は芙蓉書房の『陸海軍将官人事総覧』に載っている。私が注目するのは、《杉浦リスト》にはあってこの『陸海軍将官人事総覧』には載ってない人たちだ。それは、何らかの事情で少将になれずに軍のキャリアを終えていることを意味する。「功成り名を遂げる」ことができなかった人生を想像させる。
 たとえば最終的に少将や中将に出世して戦死もしなかった人が、「ワシが昔、陸軍の拳銃を設計した」と家族に一度も洩らさないでいられただろうか? だからわたしはそれらの「将官」たちは除外しても可いのではないかと思う。
 これが、大佐にもなる前に病気や事故で死亡した人、あるいはなにか事情が生じて退役後に世間から隠れ続けた人だったりしたならば、大尉~中佐時代の自慢話を家族にするチャンスがなかったとしても不思議はないのである。
 水谷悦造大尉と伴正男大尉。どちらも、少将になってないようである。
 天野富太郎少佐と、本庄道三少佐、渡辺忠三郎中佐も、少将にはなっていないとおぼしい。
 こうした、将官にはならなかった将校たちの事績追跡は、戦前の話であり、雲を掴むに似て難しいが、兄弟や親子で士官学校に進むケースもしばしばあるから、名字で調べて見る価値はある。
 すると、たまたまかもしれないが、似たような名の人物も見出される。
 伴健雄という福岡出身の砲兵中将がいる。S11に大佐になっている。まさか、親戚だろうか?
 天野邦太郎という兵庫出身の歩兵中将がいる。大佐になったのは大正5年。無関係だろうか?
 本庄庸三という、佐賀出身の砲兵少将もいる。大佐になったのは大正12年。昭和4年には工科校長。まさか、親類だろうか?
 もしや、その人たちが、年長の血縁者または係累から、「26年式拳銃を設計したのはワシなんじゃ」という話を聞いた覚えがあるかもしれない。
 ところで「ゴピー」式拳銃とは何だろう?
 むかし目黒にあった防研の図書館で『明治20年~30年 陸軍兵器本廠歴史前記』といった古い毛筆書きの史料(たぶん陸軍省納本用の副本。つまり手書きによる複製)を読んでいるときに、これはオーストリー軍が騎兵用に採用していた「ガセール」拳銃のことだと見当がついた。というのは同類毛筆文書(年とともにペン化し、さらに活字化する)の別なところではこの「ゴピー」が「ゴゼー」「ガゼー」等と読める箇所もあるのだ。
 最初の下書き(またはオリジナル記録)が、相当に悪筆だったのだろう。しかしそこにはアルファベット表記が添えてあるので間違いは起こるまいと下書き人(将校または技師)は考えていた。ところが転写筆記人はアルファベットが読めない明治の下士官たちだった。どう書くのが正確であるのかじぶんではなんとも決断ができず、どちらにも読めるような誤魔化した筆致にしているうちに、翌年以降の転写人としてはもはやオリジナルを確かめようもなくなり、最終的に「ゴピー」で定着してしまったのかとわたしは察した。
 今、英文ネットをチョイ読みすると、レオポルド・GASSER氏はウィーンに工場を有していて、オーストリア=ハンガリー帝国のために騎兵用拳銃や郵便職員用拳銃や民用護身拳銃等を製造した。騎兵用の「Gasser M1870」はたぶんシングルアクションの6連リボルバーで、口径11.3ミリ。これをダブルアクションにした「M1898」というのもあった由。1898年は明治31年だから試作品か設計図でも取り寄せぬ限り「26年式」の参考とはなし得ぬ。だがわたしは勝手に、日本はオーストリーからは未完成技術をいろいろ見せてもらえる関係にあったと(たとえば三十年式/三八式歩兵銃の弾倉やボルト)想像している(これについてここでは何の断言もするつもりはない。ただ付言して、後考を待つのみ)。
 GASSER 拳銃には「M1874」(=明治7年だ)という9ミリのタイプもあった由。中折れ自動排莢式で、「Galand ダブルアクション」を採用したものだという。これと「26年式」は、相当に近いのではあるまいか?
 1870型をリファインした9ミリの「Gasser-Kropatschek M1876」というのもあったそうだ。9mm化したのがアルフレッド・クロパチェック氏であるらしい。
 さて『陸軍兵器本廠歴史』という公文書の思い出に戻る。これは砲兵工廠の年次事業報告書のようなもので、毎年、作成され、加上されていた。おそらく正本には欧文固有名詞に添えて「ガセー」と草書体で書き流してあったのだが、手書き清書を命じられた下士官にアルファベットの知識がなく、原本(または下書き)の乱暴な字を「ゴピー」と判読するしかなかったのだろう。そして、それがそのまま副本用の複写でも通用してしまった。ガセー拳銃はわが国では不採用となったから、それで何の不都合も、特に生じなかったものと思量す。
 そればかりか、何かガセールとはまるで無関係な別の(発音もしくはカタカナ表記がしにくい)舶来拳銃の代名詞として、「ゴピー」が通用してしまったこともあり得るだろう。
 ともあれアジ歴がそうした稀少な明治期の肉筆史料を早く優先的にデジタル化して、日本じゅうの博雅の士による闡明に供して欲しいものだと念願して已まない。さすれば、このようなあやふやな回想はもう二度とする必要もなくなる。
 次。
 Lara Seligman 記者による2018-8-29記事「Washington Warns of Sanctioning India Over Russian Missile System」。
    インドはロシアから2020年に「S-400」(高性能地対空ミサイル)を輸入するかどうか熟考中。
 もし輸入と決めれば、米国は、容赦なく、インドを経済制裁するつもりである。というのはロシアからの輸入は、国連の対露制裁決議違反だからだ。
 インドは、米国の対イラン制裁に同調する気も乏しい。※これは宿敵のパキスタンを挟み撃ちする必要から。イランはインドにとっては同盟者なのだ。
 ※ロシアやイラン絡みでインドが米国から経済制裁をくらった場合、インドに投資している日本のメーカーはどうなるのか。心配だね。
 次。
 James Rogers 記者による記事「Marines 3D-print concrete barracks in just 40 hours」。
     3Dプリンター建機による建設。海兵隊の工兵セクションはこのたび、3Dプリンターによるものとしては最大サイズのコンクリート製兵舎を、わずか数十時間にして竣工。
 昨年オランダのアイントホーフェン大学は、強化コンクリートによる橋梁を、世界で始めて、3Dプリンターで施工してみせた。プリストレスト・コンクリートである。
 3Dプリンターでコンクリートを打設すると、大幅なセメント節約になるという。必要量だけそのつど混ぜればいいから、事前に余分に捏ねて無駄にすることがない。
 セメント製造には高熱を必要とし、工場からCO2 をやたらに出す。すなわち3Dプリンター工法は、セメントを節約することにより、二酸化炭素排出も減らす。
 中共も負けてはいない。すでに2015年に、彼らは5階建てのアパートを、3Dプリンターで打設したという。
 ※どなたか川崎の見本市でセキュリティ装備品のカタログを集めてくれませんかなぁ……?
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-30記事。
   7月のロシアのきちがいデモ。3人の乗員をのせたまんまの空挺戦車「BTR-MDM」を、輸送機から空中投下してみせた。大勢の見物人の前で。
 着地後、乗員たちはまず車両からパラシュートを切り離す作業をしなければならない。そののちに戦闘加入。
 だが従来はAFVと乗員を別々に降下させた。着地点が離れすぎていて、乗員がAFVに辿り着けないことがよくあった。それにくらべたら大進歩。
 この問題をなくするために、露軍は2006年から開発を進めてきたのだ。


飛べ! フェイクフェニックス

 Daniel Cebul 記者による記事「Pentagon preparing to test MQ-9 Reaper for missile defense missions」。
       米ミサイル防衛庁は、2023年までにリーパー級の無人機にレーザー砲を搭載して敵ミサイルを破壊できるようにするつもりで、2019予算から5億6350万ドルを支出する計画だ。
 8-21に同庁はメーカーのジェネラル・アトミクス・電磁システムズ部と1億3400万ドルの契約を交わした。M-9の機体を改造し、火器のインテグレーションを取り、専用センサーの空中試験を実施する。
 リーパーには最近、レイセオン製のマルチスペクトラム・ターゲティング・システムが搭載されている。高感度赤外線センサーとレーザー照準装置が一体化したもの。
 2016-6に、米日韓の合同訓練で、2機のリーパーが弾道弾を追尾してみせた。
 だがミサイル防衛庁は「追尾」だけでは満足しておらず、レーザー砲で弾道弾を撃破するところまでもって行きたい。その防衛システムは、多国間で構成する。※あきらかに日本や韓国にも分業させるという示唆。
 ジェネアト社は2020-9までに実験成果をまとめる。※したがって日本にレーザー武装リーパーを買わせる話は2021以降、2023実現を目処に出てくる筈。
 次。
 ロイターのスタッフによる2018-8-29記事「China denies planning military base in Afghanistan」。
    香港の『サウスチャイナモーニングポスト』紙が、中共がアフガン内に基地をつくり、そこでアフガン政府軍を訓練してやるという契約を結ぼうとしている――と報じたのを、中共政府は否定した。
 SCMP紙のニュースソースは匿名の中共軍幹部。
 アフガンにすでに中共軍将兵が送り込まれているのではないかという話には外交部のスポークスマン(♀)は答えず。
 じつはこの事業は今年の1月から露見しており、シナ政府が公式に否定し続けているあいだにアフガンで実態が進んでいると疑われる。
 アフガニスタン内では中共軍の軍用車両が走り回っているのが目撃されている。
 中共の懸念することは、新疆のイスラム住民がアフガニスタンゲリラから唆されたり支援されること。だからカブールのアフガン政府を梃子入れすることで、ゲリラを圧殺してやりたい。
 現在中共軍はジブチに海外基地をもっているが、次はパキスタン内につくるのだろうと米国は観測しているところ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-29記事。
   中共がようやく、解像力10cmの写真偵察衛星を軌道投入した。米軍のKH-11を模倣したもの。
 ただし本家のKH-11は改善が進んでおり、最新のものは解像力が2cmである。1機は40億ドルもする。
 中共の写真偵察衛星のミラー(反射望遠鏡式なのでレンズともいえる)は径1.7m。
 これに対し米軍の最近のKH-11は、ミラー径が2.4mある。これはハッブル望遠鏡衛星のと同寸。
 グーグルアースのシステムは、もともとNGA(国家・ジオスパシアルインテリジェンス・エージェンシー)のために開発された。
 ところがNGAは官僚主義で、陸上部隊司令部のために即刻に現地の衛星写真をよこせといってもちっともよこさない。議会で叩かれると、改善しますと言って予算だけはがっぽりと取り続け、ちっとも改善されない。この不満は1991の湾岸戦争のときから蓄積される一方だった。
 ところがグーグルアースのサービスが2005に民間向けに開放され出すと、米軍の地域司令部の不満は一挙に解消されてしまった。
 問題は、グーグルアースは敵ゲリラも利用できること。そこで米軍は、複数ある民間衛星写真サービス会社に、特定地域の写真を特注するようになった。これで前線部隊にわかったことは、軍専用の偵察衛星もNGAも、じぶんたちには、不要だったのである。
 民間会社から買った写真は、めんどうな秘密保持の対象にならないので、気軽に即座に前線の部隊長へ一斉電送してやれる。NGAの写真だと、写真の解像力そのものが極秘事項だったりするので、このような手軽なやりとりはまず不可能なのだ。


金土土日日祭祭♪

 Lara Seligman 記者による2018-8-27記事「The Incredible Shrinking Defense Secretary」。
  宇宙軍の創設。レガシー・プロジェクトを始めたいのだという大統領のわがままに、マティスが押し切られた。
 ※もういちどマティス氏に忠告したい。ICBMを空軍から切り離して、宇宙軍に包摂させると言え! それですべてがうまく回転する。
 政権初期、マティスはアフガンからの撤収トレンドを反転させた。
 また、トランプが北鮮を攻撃したがっていたのを、やめさせている。
 マティスは気候変動に関するパリ協定からの離脱に反対だった。また米国大使館のエルサレム移転にも反対だった。しかし大統領を止められなかった。
 マクマスターとティラーソンが追放され、政権内には、トランプに楯突く者は減った。※ちょっと待てよ。マクマスターを追放させたのは俺の直感ではマティスだよ。マクマスターはトランプの望みに応じて北鮮攻撃案をまとめたが、それが馬鹿馬鹿しく大袈裟なプランだったのだと思う。湾岸戦争を反省せず、抜け出せてもいなかったのがマクマスター。
 イラン核合意の破棄と、在韓米軍の演習中止は、マティスが2連打で喰らった敗北。
 トランプはシリアからも撤収を始めた。まず安定化基金を停止する。マティスはそれに反対している。IS崩壊後も米軍は残すべしという考え。
 2年目の大統領が側近の言うことを聞かなくなるのは普通のこと。しかしトランプのような露骨なやり方は稀。
 あるシンクタンクの人いわく。マティスは、トランプ大統領が狂ったことを発言するときにその場にいないことにかけては巧みすぎる。
 ※宇宙軍創設命令のときはアドリブで刺されたけどね。
 マティスが馘にならないのは、大統領への注目を横から奪わない心がけがあるからだ。トランプは、自分より目立とうとする奴には復讐する。
 マティスは4月からテレビ撮影込みの記者会見(ペンタゴン内)には出なくなった。代わりにマティスの広報担当補佐官のダナ・ホワイトが顔を出す。
 これはリポーターたちを泣かせている。ホワイトは口が堅く、余計なことを教えてくれない。
 ※この記事の直後にマティスが在韓米軍演習復活を発表。大逆襲だね。
 7月のブリュッセルのNATO会議では、トランプが場をかき乱したが、マティスは人々を落ち着かせた。
 マイケル・フロヌイ評す。マティスとポンペオがますます、同盟国との調整役になっているようだと。※パックマンがリアル化して地球を襲う映画に出てきた元オタクの大統領役がポンペオ氏にクリソツ過ぎて、もう無理だったんですけど、あれは狙ってできるタイミングか? だとしたら偉大。
 パネッタ評。ロシアやイランとの本格対決を控えている今、マティス君の最大の課題は、大統領のツイートをどうやって阻止するかだよ。
 ※朱熹がまとめた『宋名臣言行録』を読み返す価値がある。宰相は適切な人材を臣僚としていかに登用する(=人を官にする)のか。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-28記事。
  米国は対パキスタン追加制裁も絶好調で打ち出しちゅう。
 米軍の軍学校にはもうパキ将校は入れてやらないことになった。
 さっそくロシアが、じゃあウチで留学を受け入れるよ、と誘いかけ。
 ※英チャンネル4が2017年に制作した「ザ・ステイト」というミニ・シリーズ。英国テレビ業界周辺人の底力を見せつけてくれた。アラビア語がネイティヴでない役者にどうやってアラビア語を喋らせたんだ? ロケ地はスペインなのかそれともスペインの北アフリカの飛び地なのか? もちろんこの企画は国家プロジェクトなのだ。ISのリクルートビデオは全部嘘だとあらかじめ暴いてやる、カウンタープロパガンダの一環。日本の放送人にはとても望むことはできない。