Mark Cancian 記者による2024-7-2記事「Is the precision revolution in warfare fading away?」。
精密誘導弾からのがれる初歩の手。掩蔽と散開。
しかし「施設」は、歩いて逃げられない。
また中東砂漠では隠れる場所もなかった。
ウクライナはここが違う。地形に隠れる場所がいくらでもある。
また露軍には高いEW能力がある。
ロシアのEWを克服できず、とうとう「エクスカリバー」は倉庫に仕舞い込まれた。1発16万ドルもするのに、まるで目標から外れてしまうからだ。
JDAMとGLSDBも、外れまくっている。
GMLRSは、まだ完全無効化されてはいないが、苦戦中。クラスター弾頭の再役はその対策でもある。
有人航空機も、戦場上空では、自機の座標確認ができなくなりつつあり。
GPS信号を改良して、敵の妨害を受けないようにしようという試みが、複数、続行されているが、見込みは薄い。GPS衛星は高度2万3000マイルも上空にあり、そこから来る電波がそもそも微弱すぎるからだ。
かたや、たとえば砲弾の中に組み込めるGPSアンテナをあまり大きくできないことは、誰でも分かるだろう。
次世代のINSでなんとかしようという試みも、複数、続行中。しかしそんな超高精度ジャイロがができたとして、当面は非常な高額なものになるだろう。そしてあきらかに、砲弾の射出Gにどうやって耐えさせるつもりなのかは、想像できない。
巡航ミサイル用には、「地形輪郭マッチング」という、パッシヴ光学センサー入力と内臓の俯瞰地形写真データを照合して現在位置を掴む自律ナビゲーションの流儀が昔からある。
※記者は、このようなMAPメモリーはトマホーク級のミサイルにしか積めないと書いているが、チト時代を知らぬようだ。それに、もうひとつの有望なオプションがあることに、無言及(その「ワンチップ」を研究しているはずの世界の軍需電機メーカーが、まったく匂わせる広報すら控えている。これは海上航法の専門家ならば逆に要注意の怪奇現象の筈)。元海兵隊で今CSISといっても、この程度か。だいたい力量が知れたので、以下はパス。
次。
ストラテジーペイジ の2024-7-6記事。
ウクライナ軍の爆装無人ボートのスペックについて。
最大で850kgの爆薬を積めるが、航続距離を1000kmまで延ばすためには、それを減らして、その代わりに燃料を多く持たせねばならぬ。
最高速力は90km/時である。しかし燃費を考えたら、その半分以下の巡航速度でないと、1000kmは行けない。
ということは、ロシアの軍港にたどりつくまでに、20時間も洋上を走り続けねばならぬ。
※中共はリビアにプレデターもどきを「風力発電設備」と偽って密輸出していると、イタリア当局が指弾。
次。
Michael Hochberg & Leonard Hochberg 記者による2024-7-6記事「Grand Strategy for World War III: Weaponizing Oil and Gas」。
ピーター・シュヴァイツァーはその著『Victory』の中で、米国が対ソ冷戦に勝ったのは、石油の値段を低くしてやったからだ、と指摘している。
西側産油諸国が原油を安くすると、2つのよいことがある。ひとつ。西側経済は成長し、インフレは抑制される。ふたつ。ロシア産原油の輸出売価も値下げするしかなくなり、モスクワ政府は外貨を得られなくなる。西側のハードカレンシーが得られなければ、西側の最新ハイテク部品も思うように調達できない。
レーガン政権は、それだけでは足りないと考えた。ソ連が、パイプラインや石油輸出港の施設を拡充したりメンテしたりできないように、対ソ技術禁輸を強化した。
今日、米国は、よいオプションを持っているのだ。ウクライナ軍に、ロシアのパイプラインやタンカーや原油積み出し施設を爆破させる。またイスラエル軍には、イランの石油関連アセットを破壊させる。
その一方で、米国は、国内の原油と天然ガスの生産量を増やす。これでヨーロッパと日本はインフレがおさまるが、中共はインフレになる。
米国は、サウジをイランから守ってやる代わりに、サウジにも原油増産を促す。