意は似せ易く、姿は似せ難し

 昨日の函館で農家の二階から不発弾が発見されたとかで騒いでいたようだ。詳報に接せぬ。
 2009-6-21の JUNG SUNG-KI 氏の寄稿記事。韓国メーカーのLIG Nex1(以前の金星?)が国産の肩撃ち式対空ミサイルのために、新IFF(敵味方識別信号装置)を完成したんですと。今までは米国製かフランス製を使っていたらしい。
 この携行SAMは、射距離7km、射高3.5kmですと。
 なんか厭な予感しかせんですなぁ……。
 また、同メーカーは、射程180kmのSSMを国産している。また、同メーカー製の巡航ミサイルは射程150kmですと。オイ、誰だよ、日本まで届くとか言ってたのは。
 飛行機は往復しなきゃならないが、巡航ミサイルなら片道で良い。だから地上発射ではなく、飛行機に吊るすASM運用を考えると、巡航ミサイルの射程ってのは、意味はぜんぜん違ってきます。短いようでも、じつは長いのです。イージーに、遠くまで弾頭を運搬できる手段。韓国はすでにそれを持っている。吊るすストライクイーグルも持っている。日本はそういうのを持たなくていいんですか、って話になる。F-2にはそのポテンシャルがものすごくあった。その必要調達が阻止された。理由はコストでしょうかね? どうも、間接侵略のてだれである北京が、米国&財務省経由で工作したように思えてなりません。M-Vもまったく同じですよ。
 F-2のコストはむしろ安い。ASM×4発運用可ってのは、他に代替が利かぬユニークな能力なんだから。沖縄から飛べば北京を攻撃できるのです。
 北鮮に対日用SSMを量産させている張本人はシナですから、北京を威嚇できぬ限りは、日本の防衛もまるっきり成り立たないんですよ。武器ヲタクにはここがちっとも見えないですね。F-22がなくとも、北京は空襲できます。
 F-22の輸出可能性で気をもたせておいて、さいごに受け身が間に合わないタイミングでバックドロップにもちこむってのも、シナが米議会を舞台にしての間接侵略工作かもしれませんから、ひっかからないように注意して欲しい。
 25日に「読書余論」が配信されます。
 いろいろ忙しいために、とうぶん折口信夫全集を紹介できそうにないのが非常に残念です。
 折口氏は日本社会の中間構造に迫っていた。朝廷と庶民、あるいは幕府と庶民の中間には伝統的に何もないかというと、大昔から昭和前期までも、それは大アリなのです。
 中間構造など無かったことにしたがる連中、中間構造に入り込んで内側から政府転覆用機関に変えてしまう連中、これがグラムシの徒なのです。今なら、北京の手先と言い換えてもいい。
 遇懐。
 浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』の「事件」は、そもそも「勅使東下」から始まっている。曾我物は関東ローカルの世界観だが、義経、弁慶、菅丞相は、関東よりもむしろ京都を連想させるキャラクターであった。
 当たった芝居の場面ごとの台詞をほとんど諳んじた東都の長屋の八熊が、上方の天皇の存在など知らずに過ごしていたとかいう捏造話も、いわばグラムシ戦術に沿った中間構造の破壊工作にすぎないのだろうが、デタラメも百万遍となえられれば真実めいて聞こえてくるものである。
 あたかも江戸城下には武士と長屋住みの町人の2階級の他居なかったかのように語るのもグラムシの徒。八百八町の長屋のオーナーは誰だったんだ? 町人の地主階級ってものが厳存したのだ。彼らは浄瑠璃以前の古典教養にしっかりと通じていた。
 こうした嘘百万遍を忙しい今日の個人化社会において可能にするのが、反日集団の構成する無数の新中間組織なのだ。
 自由主義のセキュリティ・ホールは、これら反日工作に自然な組織として対抗ができないことである。だから、人工の組織の必要があるだろうし、既存の中間構造をむやみに破壊させないようにも見張らねばならない。


きょうふのふうせんばくだん

 恐ろしい発見をしてしまったぞ。
 シナ製のゴム風船をふくらませ、アルコール性油性マーカーで色をぬりたくり、壁にかけてかざっておく。
 すると1~2日後に、とつぜん、パンと割れるのでおどろかされてしまう。
 フラグメンツを検分してみると、げえぇぇっ……マーカーは乾いていない!
 つまりゴム膜をゆっくり侵蝕し続けていたのか。
 で、パキスタンがえらいことになってます。
 ソ連撤退直後のアフガニスタン政府には1700発くらいもスカッドがソ連から与えられた。その残余がTELごとアフガン人に押収されて、マスードの死後は内戦で使われ、タリバン保有の最後の5発が米軍に爆破されたのが2005年だったといいます。だから連中はテロリストの分際で、液燃ミサイルの発射法をしっかり知っているわけなんですよ。
 それが、こんどは、タリバンがパキスタン内に分散隠匿されている核爆弾やらミサイルやらを押収するかもしれんという勢いだという。
 まあ、いまさら迂遠のようだが、原爆と弾道弾を野放図に拡散させたシナとロシアと北鮮には、世界は声をあげて責任を取れと迫るべきでしょうね。その咎を水に流してちゃいけないでしょ。
 米英を筆頭にイラン報道がヒートアップしています。英国は元進駐国ゆえに、いつイランの核ミサイルでお礼参りされるかわからんという遠い憂慮があるから、イラン国内が無限に混乱し続ければ好都合でしょう。米国は、カーター政権時代の大使館人質事件の恨みをスッキリ晴らせていないので、いまだにイランの宗教政権が憎くて憎くて仕方がない。それで、イラン関係ニュースへの米国民の食いつきが良いものだから、マスコミ各社もハッスルするわけです。やはり米国庶民は深層で(イランの)血に飢えているんでしょう。
 あらためて、あんときカーターがキッチリとイランと戦争してりゃあなぁ……と詮のない空想をする米国人もいるのではないでしょうか。


JSSEOの自己定義(案)

 JSEEOという団体の自己説明を決めなくちゃいけません。今わたしが考えていますのは、ざっと以下のようなものです。
◎団体の概要
○目的
 日本安全保障倫理啓発機構は、近代民主主義国家の国民は、たとい成文憲法にその明記がされておらずとも、なべて「国防の義務」を有しているとの認識に立ち、あくまで健常な自由主義の理念に基づいて、間接侵略に関する調査研究ならびに調査研究支援、間接侵略拒止の言論運動ならびに運動支援、および近代的国防倫理についての啓蒙活動等の業務を総合的に行なうことにより、わが国民の福祉そのものである総合的安全保障の増進に資することを目的とする。
◎業務内容
 日本安全保障倫理啓発機構は、叙上の目的を達成するため、以下の業務を行う。
*)間接侵略とその拒止・排除に関する調査研究。
*)間接侵略とその拒止・排除に関する調査研究を行なっている、機構外の個人や団体に対する後援。
*)間接侵略拒止の言論運動。
*)間接侵略拒止の言論運動を行なっている、機構外の個人や団体に対する後援。
*)防犯、護身術、広義の社会防衛に関係するアウトドアスポーツ等に携わっている個人や団体との勉強会の開催。
*)必要な資金の募集。
*)前各号の業務に附帯する業務。
 ……まあ、これから練って行きます。
 ところで昭和41年5月31日の国会内閣委員会で、保科善四郎代議士(元海軍中将)と松野頼三防衛庁長官とのかけあいがあったのをハケーン! この二人は仲間でしたから、世間向けの定義表明を試みているのです。
【保科委員】 「これは長官にひとつお伺いしたいのですが、この自衛隊の任務は、直接、間接の侵略に対して国の安全と平和を守る。これは自衛隊法の中にあるわけです。直接侵略に対しては、これはもう皆さんおわかりであると存じます。間接侵略に対する任務をお持ちになっていらっしゃるわけですから、これをどういうようなぐあいに自衛隊を教育し、指導し、訓練されているか。これは非常に国民に対してもわからないうちにやられる、たいへんにむずかしい問題である、こういうように思うのですが、一体どういうことを考えておやりになっているか、はっきりしたお考えを示しておいていただきたい。」
【松野国務大臣】 「直接侵略ということについては、わりに明快に答えられております。間接侵略というのは、御承知のごとく、外国からの教唆、扇動によって組織的な国内における治安の撹乱あるいは国民に対する秩序の破壊ということでありますが、現実にはどういうものを想定するかということは、国柄あるいは世界の情勢における問題を把握するにはなかなか容易ではありませんから、日本においても、そういうものが今日あるのかないのかという議論も、これは出ております。しかし、あるなしにかかわらず、常に、任務ですからわれわれはいろいろなことを想定しながらそれに対処して、ある時間をさいて、そしてこの任務に努力しております。」
 ……兵頭の把握はもっと広義です。いずれ、公開的に検討をしましょう。
 ちなみに紫表紙の昭和57年版『陸上自衛官服務小六法』を久々に開いてみたら、自衛隊法の第三条のでだしが、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする」とあるのですよ。
 しかし間接侵略の公式の定義は聞いたことがないし、そもそも政府からして間接侵略からわが国を防衛しようという責任感を捨てて顧みていないじゃないか――というのが、もっかのわたしの認識です。
 たぶん昭和41年時点では、間接侵略、イコール、〈日共の武力革命&外患誘致〉でしょ。それは甘いし古すぎる。
 ソ連崩壊前のさいごのあがきとして反日勢力は「グラムシ戦術」を自己手段化したからです。共産革命とはもう関係もなしに、「グラムシ戦術」だけがゾンビとなって展開され続けている。「社会自爆テロ」だと言っていいでしょう。渾沌を好む特亜にとって、とてもおいしい情況だから、特亜は応援します。無意識的集合的にも、意識的組織的にもね。また、海外勢力から後援されているという実感があって、ゾンビたちもモチベーションをかきたてられるわけです。このへんは自爆テロリストたちと一緒。
 イタリアの共産主義者グラムシが唱えた方法論は端倪すべからざるもので、つまり歴史的にその大きな社会で自然に形成されてきている中小規模の中間的共同体を一つ一つ潰して、歴史の連続性と個人とをすっかり切り離してしまえば、社会も国家も、革命党の好きなようにオペレートできるはずだ、と見抜いたのです。
 バラバラの個人というのは自由主義の理念でもあります。自由主義の本然に由来するセキュリティ・ホールが、反近代文明とその手先によって狙い撃ちされているんです。
 これにパッチを当てるためには、人工的にでも中間的コミュニティを盛り上げる必要があります。その新顔がJSEEOです。
 この日本には、言語才芸において凡庸にすぎなくても、政治的に正しい人達、つまり間接侵略工作の胡散臭さに嗅覚が働いている正常感覚の人達は、じつはたくさんいらっしゃる。
 そのひとたちの、よこしまなき思いが、リアルの政治に反映されないのは一体なぜであるのか?
 中間機関がないからです。
 敵は破壊工作のための中間機関をたくさん持っているが、こっちには防禦のための中間機関がない。
 個人がバラバラのままでは、政治的に無力に決まっています。これがわたしの問題意識です。
 JSEEOはこのような目的意識に合意する擬似共同体ですから、そのHP掲示板では、匿名投稿は一切受け付けさせぬつもりです。
 匿名投稿環境は、組織をバックとした間接侵略工作勢力によっていとも簡単に汚染されてしまう可能性が、今年くらいよくわかったことはありますまい。
 どうぞ正式のチラシの裏をご覧下さい。そのフォーマットで正式の登録をしていただいた方々のみに、JSEEO-HP掲示板の書き込み権を進上しようと思っています。
 匿名タレコミ情報のようなものはすべて事務局でメールを受け付けます。その事務局で裏を取れない情報には取り合いません。
 ところで故・江藤淳は、AM中波ラジオ局が夜間に放送しているような、しんみりした「語り」の番組が好きだと言っていました。わたしも、関東地方に居住していた頃には、中波の米軍放送(これは長野市くらいだと、短波で聴取ができた。キャロル・ツザキさんの頃です)やら、放送大学のFM番組などを昼寝しながら聴いていた覚えがあります。『寝ながら学べるのは良いことだ』と気づいたのはその時分でした。(余談ですが北海道その他の田舎でFMの放送大学をCS/ケーブル抜きでは聴取できないというのは、フザけてますよ。全国から集めた税金で、中央と地方の情報ギャップがますます強化されてるだけじゃないか。税金を投入している放送大学の意義を、その税金を使っている連中は、まったく分かってないのです。もう、腐れ利権ですよ。あんなのは今ならインターネットで済むはずです。JSEEOでは、こういうのを他山の石にしようと決心しています。)
 密室のスタジオのマイクの前で放送原稿を読み上げる式の、内容濃度の濃い「ラジオ講演」の場合、適切な尺数はどのくらいなのだろうか? わたしは1回分が15分から20分の間でおさまっているのが、適当ではないかと愚考しているんですが、皆様にご異論あらば拝聴したいと思います。


JSEEO(日本安全保障倫理啓発機構)の設立準備状況

 すでに2009年6月17日から、日本安全保障倫理啓発機構(Japan Security Ethics Edification Organization)の設立案内のチラシ「設立に向けて」を、都内練馬区の設立準備事務局より、郵送開始しているところです。
 チラシの印刷枚数が少ないので、届いていない方もおられると思います。恐縮です。
 チラシ(裏面が、サポーター/賛同者登録票になっております)をご希望の方は、 inquiry@jseeo.com 宛てに、お申し込みください。
 ほんらいならば JSEEOのホームページで 募集宣伝をすぐに打ち出せば良いのですが、事務局が極少人数ゆえ、HP構築まで未だ手が回りません(URLは取得済み)。7月中旬にはHPを完成して欲しいものだと祈念しております。
 わが国に対する間接侵略工作と、みずから実名を晒して現に闘っている独立系言論人を力強く支援して行く「インターネット・ラジオ講演」は、このHPが正面舞台となります。聴くのはタダ。ゲスト講師にはギャラをお支払いします。
 兵頭はこの非営利の任意団体を当分は函館から指揮監督するつもりです。
 打ち合わせはすべて電子メールで行なうので、将来なにかヤバイ事件とかにまきこまれたときには、サーバーの記録が裁判の証拠になってくれるでしょう。
 なにしろカネが絡むので、会計の透明性の確保には気をつけます。
 ゲスト講師にわざわざ事務局に来てもらってマイクの前でしゃべってもらうというのも、支出の公然性のために必要なのです。
 わたしは、実名を晒してブログを公然運営中の人を、できれば頻繁に招きたいと思っていますが、その理由も、この機構の運用が果たして適宜であるか否かを、寄附者をふくめた不特定多数の人々の目と耳で存分に判断してもらい易いからです。
 JSEEOの社団格と兵頭二十八の人格はおのずから別ですので、兵頭のひごろの主張(ex.真珠湾攻撃は日本の恥、教育勅語はシナ発の間接侵略に近親、靖国神社は霊璽簿を廃棄すべし……etc.)とゲスト講師の主張が完全に一致している必要はないでしょう。というか、そんな人、(個人的なファン以外)いるわけがないっすよ。
 誰もみんな、少しづつ考え方は違うけれども、近代自由主義の根源の価値のために複数の人間が協働できれば、それが大きな社会防衛力になるわけです。自由主義の指向はとうぜんに個人主義なんだけども、バラバラな個人のままでは、反近代勢力の集合的な間接侵略工作にみすみす日本の民主主義を破壊させることになってしまうんですよ。
 そこで、多数の自由な個人の力を無理なく糾合して、有力な社会防衛力に転換する、トルクコンバーターのような中間機関が必要なのです。
 もちろん目をつぶれない一線はありますよ。他者の心の中まで統制したがる方々とは、当機構は一切、縁が無いでしょう。そういう人々は、近代に帰属していないです。
 自由と特権の区別がつかない方々も、近代に帰属していない方々です。
 ちょっと困っているのは録音スタジオです。そんなもの借りる予算はないので、10代の大昔、ティアックの4チャンネルのマルチトラック・テープレコーダーにサイマルシンクの多重録音を、炬燵の中の無反響環境でやってみた実験を、再現することになるかもしれません。わははは……。
 こういう団体でありがちなんですが、立派な印刷物の会報を定期刊行したり、高い会場費を使って講演会を頻繁に開催したりしますでしょ。
 それと同じことをするんだったら、新機構設立の意味はないと思うんですよね。既製の「つくる会」とかに任せときゃいいんじゃない?
 他の団体がそれをするのに反対はしませんよ。それが無駄だとも申しません。
 しかし、当機構はそれをしない。経費の「中抜き」を追求します。ウェブサイトを携帯電話で読めるようにしておいたなら、印刷物の郵送なんて必要ないはずですよ。余分な印刷費や切手代があるんだったら、それをもっと勇敢な個人の言論運動家の支援に投ずるべきです(具体的には、インターネット・ラジオ講演にゲスト講師として何度も呼ぶことです)。そして、そういう勇敢な個人がもっと増えるように社会を誘導すべきです。
 『諸君!』や『正論』のような雑誌のシステムでは、メジャーでない、組織的バックグラウンドのない個人の言論運動家を、その生計について後援することは、不可能なのです。頁数に上限があるし、頻繁に同じようなことを書かせるわけにもいかない。すばらしい警世の長文が1回載っても、1か月後には書店の店頭からは消えてしまいます。せいぜい1億2600万人のうちで1万人が読むか読まないかですよ。しかも雑誌システムは、原稿料が文字数と比例するでしょ。おかしいですよ。真の「警鐘」のオピニオンは、短い文章で済むのです。その価値に対して正当な報酬を支払えるシステムが、まったくなかったんですよ。だから日本はここまで間接侵略にやられてしまった。敵は集合的かつ継続的に工作してくるので、対処が後手後手で、対抗ができなかった。
 それで、おいおいと人手を借りてやりたいと念じていますのが、国会や地方議会の監視ですよ。そこにこそ間接侵略の主戦場があります。
 おかしな法案や条例案や予算案や決議案が議会に上程されてしまう前に、寸刻も早く、その動きを捉えて、世間に警告しなきゃダメでしょ。
 上程されてからじゃ、もう間に合わないことが多いんですよ。
 既製マスコミは特亜からの間接侵略計画に基本的にご賛成のようだから、間に合わないタイミングでしか、これを伝えませんよね。既存マスコミに代わる監視者が必要ですが、それに報酬を出そうという団体が、いままで存在しなかったわけです。
 資金が増えれば、それに専従する人を雇えるかもしれません。そうしたいですね。是非。しかし当分は、そんな資金の余裕はないでしょうな。
 月刊『正論』8月号(7/1売り)でも活動開始宣言を致します。
 そうそう、これからは、当機構のニセモノにもご注意くださいね。(だから早めに、ここでオープンにしました。)まずは、上記のメルアドに、正しいチラシをご請求ください。


生き延びたくば偽善憲法は捨てろ

 日本は米国と軍事同盟を結んでいます。その米国の大統領や上院は、じぶんから先に外国を攻撃しないという言葉の約束は絶対にしません。過去にしたこともないし、これからもしません。これはリアルワールドを経営するための常識です。
 1981年にイラクのオシラク原発をその稼動前に破壊したイスラエルの言い分はこうです。「生き残る権利は国際法に優先するではないか」(レイモン・アロン著『世紀末の国際関係』柏岡富英tr.)。
 西側各国は、口先ではイスラエルを非難しましたが、内心ではイスラエルの公式説明は十分に説得的だ、と思っていました。ここが、世界のほとんどが同情をしなかった日本の真珠湾攻撃との大きな相違です。イスラエルは、嘘をついていません。NPTにも入っていないし、「原爆を持っていない」とも言ったことはありません。そして、事前にも事後にも、自国の行為をあくまで説得的に世界に説明しようとしています。これは近代人の態度です。北朝鮮も、核実験前にNPTから脱退しています。これも近代外交がよく分かっているテクノクラートの態度です。しかし米国は、日本人は肝腎なところでどんな嘘でも吐く連中だろうと疑っています。いまだに真珠湾は正しかったなんて叫んでいるんですからね。呆れて当然でしょう。
 理論的には、いつ外国に対して水爆ミサイルを発射するかわからない米軍に対して、日本は沖縄基地を貸与して、シナを脅し続けていますよね。いわば、鎖の無い放し飼いの猛犬を自宅の敷地に置いています。そうするわけは、シナの水爆ミサイルも、いつ東京に向けて発射されるか知れないからです。北京から見れば、「オレもワルだが、日本人はずいぶん偽善的な連中だよな」と思うのではないでしょうか。
 できもしない言葉の約束をみだりにしないという態度が、近代社会の基礎をつくっています。公人が公式の嘘をついたら、非難されるのはあたりまえです。だから、自衛権すら否定しているようにしか読むことのできない「1946KEMPHO」を、改廃もせずにいつまでも奉戴している日本人は、米国からも信用されはしないのです。日本政府や日本議会の言葉が、信用をされてないのです。閣議や国会で何をどう決議しようが、マック偽憲法が奉戴されている限り、日本人の軍事外交政策に信用などありません。それが、米国が日本にF-22を売らない根源の理由です。
 かつてF-2の機体部分の日本の国産企図を米国は強く警戒して、むりやり共同開発に割り込んできました。米国は、日本がそれを特亜や潜在核武装国へ輸出するのではないかとおそれたのでしょう。「武器輸出三原則」なんて、法律じゃないので、関係ありません。通産省の役人の「行政指導」が海外では悪名高く、とにかく日本人は一夜にして前言を翻すと思われていたのです。
 有人飛行機は、核爆弾の投射手段となるので、あまり性能が良いと、地域のバランスを決定的に崩す可能性があります。しかるに通産省の役人や日本の企業人には、グローバルな安全保障を顧慮する教養など何もなさそうでした。だから、米議会や米政府の意向でいつでも export restrictions をかけやすいように、米メーカーに一枚も二枚も噛ませたのでしょう。
 F-22を売らないという判断のもうひとつの理由は、〈日本には、すでに直接侵略の危険はなくなった〉との地域分析が、あるものと想像できるところです。
 もう、リスクを冒してF-22を日本に売る必要はないし、売った場合の米国のメリットも、リスクを下回ると計算したのでしょう。
 たとえば、もしF-22が、ロシア領やシナ領に不時着してしまったとき、米国大統領ならば、その機体をどんなことをしてでも爆砕するか回収せよ、と、参謀総長に命令できるでしょう。国際法との整合性は、説得的説明によって事後的に調整できるとの自信の下にです。
 しかし、日本政府と自衛隊に、それができるでしょうか?
 たぶんは、F-22の技術が、みすみす敵陣営に知られてしまうことになるでしょう。米国の国益にとっては、大損ですね。
 米軍は、将来は、衛星から世界のすべての飛行機を監視したいという野望も持っているようです。米軍のF-22がそれに映らないのは、かまわないでしょうけど、日本軍の飛行機が監視し難いのは、ちょっと困るでしょうね。
 おそらくF-35は、衛星から見てステルスではないために、大々的に輸出が可能なのではないでしょうか。
 ところで SAM LaGRONE 氏が2009-6-16に英文サイトに寄稿している「Air Launched Hit-to-Kill」の記事を、みなさんは読みましたかい?
  F-15/16/22/35から、弾道弾迎撃ミサイルを発射できるようにして、西欧を防衛しようという構想が浮上中のようです。
 米陸軍のABM弾頭と米空軍のAMRAAMを組み合せるらしい。
 わたしは1995年の『日本の防衛力再考』の中で、核弾頭付きの巡航ミサイルから日本列島を防空するためにはAMRAAMが重宝するだろうという話を書いたことを記憶しますが、とうとう空対空ミサイルで弾道ミサイルを迎撃する時代が来るとは……。
 日本はすでにAMRAAMの同格品を国産しているのですから、国産の「ALHK」も可能かもしれません。
 わたしとしては、GBIとの二本建てを考えて欲しいと思います。サイロ発射式のGBIは、サイズ的にも対北京報復用の中距離弾道弾に即・転用できますからね。もちろん専守防衛ですし、日本国憲法がありますし、改憲を党是としていたはずの自民党はもうじき野党になりそうですし、ヒロシマのようなことは「二度とあってはならない」ですし、北京が灰燼に帰したら甚だ遺憾の意を表明するばかりですよ。


選挙前の良いタイミングで頼むぞ。ポチッとな!

 2月のグァム島のコープノース演習で築城のF-2が米空軍のF-22と異機種対戦闘機戦闘訓練をやってきますたという体験談が最新の『朝雲』(2009-6-11号)に載っていて、「私自身、戦果はともかくF22を相手に“空自ここにあり!”の心意気を十分に示せたことは、貴重な経験とともによい自信にもなりました」などと書いてありました。
 なんてことだ! これじゃ米国指導者はF-22を英国以外のどの外国にも売るべきではないと判断するのが当然ではないか――と思いました。(もちろん英国はF-22を欲しがりません。国連安全保障理事会の常任理事国として世界に威張れるための外見的な資格のひとつとして、「自前で核武装していること」の他に、「エンジンまで純国産の主力戦闘機をもっていること」もあると英国人やフランス人は思っているからです。シナ人もこのことはしっかり分かっています。日本の政治家にこれを理解するセンスが備わらないうちは、P5入りなどとうてい無理です。外務省の温室官僚と日本の馬鹿マニアには、このセンスの受容体がどうも無いんですよね。リアルな国際政治はこういうダンディズムの意地の上に成立しているってことが……。三菱重工はたぶん分かってますが、彼らのポリシーはサイレンスです。)
 現代の航空作戦は「空中管制機」や「ジャマー専用機」と戦闘機がチームで行なうものでしょう。米軍の空中管制機や給油機等にとって、自国の虎の子のF-22と識別しづらい同盟国の飛行機が空中に存在するのは、ハタ迷惑でしょう。空自が米軍機をよそおって半島勢力その他とトラブルになったときも、米国務省は困っちゃうでしょ。
 米国が韓国に300kmSSMをもたせたり、スペインに戦術クルーズ・ミサイルを持たせるときは、「二重キー」を確保するはずです。ミサイルだと「二重キー」をかんたんにつけられる。有人飛行機だとそうはいきません。だから米国がF-16を中進国に売るときはホントに慎重ですよ。重い旧式原爆を余裕で運搬できますのでね。
 日本が米国から対地巡航ミサイルを買えば、やはり「二重キー」をつけられてしまいます。自民党議員はそれが分かっているのだろうか? イージスの場合「リンク16」が二重キーそのものです。
 だから韓国も国産SSMにこだわっている。米国はその射程が180kmを越えるのを阻止しようとしています。おそらく日本がM-Vを廃止していちばん喜んだのがシナ(と米国内の親支派)でしょう。まさかF-2の調達中止も、シナの工作だった……ってことはないでしょうね?
 ところで、AFPが、サウジアラビアが英国製のユーロファイター・タイフーンを2機、6-11に引き渡された、と 6-12に報じています。
 サウジはこれを72機注文していて、その代価の 20 billion pounds (=$32.9 billion) の中に、兵装と長期間サービスも含まれている、と。
 この正式契約が2007-9だったってんですから、2年弱で納入開始ですかい。
 この最初の24機は完成機で売り、残りの48機はサウジ内でノックダウンですと。いったいサウジは誰を相手に戦っているのかといえば、宗派が微妙に異なるイランです。イランは(また青年革命が起きたとしても関係なく)間違いなく核武装するでしょう。それをサウジに潰させようと英国は考えているのか?
 AFPによれば、サウジは米国にF-16を売れと要求中であると。タイフーンの他にF-16を求めるというのは、これは「イラン爆撃機」が欲しいからでしょう。
 ところでゲイツ氏はF-16の退役を早めるつもりだと発表していましたが、生産はまだ続くんですか? サウジが新品を買えるのなら、空自もそれを純国産無人機完成までのつなぎとして買ったらどうですか? スクランブルは戦闘機だけでやるもんじゃないし、これからは対支エアレイドもやってやるぞという強い意思表示にはなるでしょう。性能の劣ったところは、自前でできる周辺システムの増強で補うことです。タンカーしかり、ジャマーしかり、OTHレーダーしかり。
 たとえば下地島飛行場を空自(それもF-2)用に利用するという政治決定を下すだけで、F-22を買ったのと同じくらいの対支威圧効果があるんじゃないですか。ここを考えるのが政治でしょう。
 頭に孫悟空のタガの嵌った武器ヲタみたいな議論をいつまでも展開してちゃ、日本の救いはないですよ。
 北鮮が7月30日以前に大気圏内核実験をすれば、久々にEMPを計測できるでしょう。MDシステムなんて、わざとコースをずらせた超高空のEMP一発で無効化されますぜ。それと、あえて直撃を狙わない水中核爆発による対艦隊攻撃は、『長門』実験いらい、世界の海軍が検討している戦法です。主要航空基地が核攻撃を受けたとき、F-22とF-16と、どちらがよく生き残れるか。リアルワールドで真に頼りになるのは何なのか、これはよく考えるチャンスになるでしょう。
 米国籍ジャーナリストの裁判が、〔フェイクの?〕核実験と連動している様子を見れば、さいきんの動きが(日本のワンパターン・ジャーナリストが大好きな)「軍の暴走」のわけがない。外交宣伝上の言葉遣いだって絶妙でしょ。国家指導部の打つ手が立派にオーケストレイトされている。「日本の戦前政治と一緒にするな」という声が聞こえてきそうです。


四王天延孝の韓国民情リポート

 1904年2月、日露戦争の第一回動員で近衛工兵中尉として鎮南浦へわたった四王天延孝は、上陸地で配属された通訳とともに平壌へ向かった。この通訳は対馬の人で、朝鮮語はペラペラであった。おかげで、投宿した民家では、住民からどんな情報でも訊くことができたという。
 フランス留学組エリートで、1901年に北清事変直後の北支駐屯軍にも小隊長として派兵されたことがある四王天が、半島を歩いて最もいぶかしく思ったのは、全面の禿山のことだった。これは朝鮮の地質や気候が原因なのではない、と住民は教えた。
 もしも、村の裏山に、材木になりそうな松林などがあれば、かならず郡守の官吏がやってきて、〈こんど、郡役所の改築をすることになった。ついては、○月○日までに、これこれのサイズの用材を○百本、おまえらの手で伐採して、郡役所まで運搬するように〉との私物命令を出されてしまう。それを実行できなければ、叛乱を企てたとかいう口実で牢屋につながれ、親戚が大金を集めて賄賂をおくって釈放させぬかぎり、死ぬまで投獄されっ放しになる。だから朝鮮では、いやしくも役人に目をつけられるおそれのありそうな潜在的動産は、住民みずからがすぐに燃料にしたりして消尽させておくのが生活自衛策なのだ、という。これが1904年の話である。
 もちろん、家屋の造作も、あまり立派にすれば危うい。屋根を瓦で葺いたりすれば、たちまち郡役所の官吏があらわれる。そして〈役所の事業に必要だから、おまえは○万円をいつまでに納めよ〉との私物命令を勝手に出されてしまうのだ。渋れば投獄されるのは、材木のケースと同じである。
 こんな政治が何百年も続いているために、朝鮮の庶民はもはや誰もまじめに働こうとはしない。「平等にはなったが貧乏平等で産業も振わず道路も橋梁も鉄道もなく、勿論文化の向上も何もないのだと〔投宿先の朝鮮人は〕長大息を洩らし本音を吐いた」――という(みすず書房『四王天延孝回顧録』pp.15~16)。
 「法の下の平等」がないと、下層民が真面目に働いて中産階級に成り上がることが不可能だと、端的に理解ができるでしょう。
 「近代」は「法の下の平等」とともにやってきました。
 「法の下の平等」が「租税法定主義」や「罪刑法定主義」を実現して、はじめて一人の「自由」が他者の自由と併存可能になるのです。
 たとえば堂々と蓄財して金持ちになることも可能になったわけです。役人や有力者からそれを無法にむしられる心配がないですからね。
 ところが「特権」は、このありがたい「法の下の平等」を破壊します。それは必然的に自由も破壊します。これは民主主義の基本中の基本ですが、多くの朝鮮人には「特権」と「自由」の区別がつきません。近代を知らないのです。
 日本人も、この朝鮮人を、あまり哂えません。あきらかに今日の日本国内にはまだこの基礎教養が身に着いていない者が、左右上下を問わず、多いのです。朝鮮人とそんなに区別できない。
 日本の明治元年の五箇条の御誓文は、法の下の平等と、その後の自由を謳いあげたものでした。
 これを策定した日本人たちは、近代を理解しました。
 ところがその後、近代の基礎をちっとも理解しようとしないシナ・朝鮮に親近な儒教信奉勢力が「教育勅語」で巻き返した。首相にもなった西園寺公望は、この勅語があまりに反近代的で維新精神の破壊でしかないと苦々しく思っていたので、天皇の許可を得て、実質の改訂である「第二教育勅語」の準備にかかったのでした。とうとう実現できませんでしたのは、まことに不幸でした。
 「教育勅語」のどこが問題なのか分からないという人は、朝鮮人を笑うことはできません。
 天皇制は近代とは矛盾しません。日本の天皇制は神武以前からあったという話は兵頭の旧著をお読みください。先史古代において近代に近かったのが南洋の天皇制です。
 島といえば、海上保安庁からタダで頂戴した新刊『海上保安庁進化論――海洋国家日本のポリスシーパワー』(2009-5刊)に、こんなことが書いてあります。
 シナ政府が「蘇岩礁」と呼んでいる東シナ海中の暗礁。韓国最南領土の馬羅島から西南150kmに位置し、干潮時でも水面下4.6mであって、露岩することはない。ところが韓国はこの暗礁(離於島[イオド]および波浪島[バランド]と呼称)に2001から15階相当の巨大な鉄筋建造物を築き、衛星レーダーなどを置いた。シナ政府は外交ルートで韓国政府に抗議する一方で、国内的にはこの問題を報道させていない。それに気づいた香港のネット市民が怒っている――というのです。
 衛星レーダーというのは、こんど南に向けて発射予定の宇宙ロケットの追跡用なんでしょうか?
 それはともかく、北京の遠慮の理由は何なのかが興味深い。これは韓国への配慮というより、北鮮への配慮ではないでしょうか。
 間接侵略拒止が現下の日本の最も重大な課題であると考えております兵頭は、海保の強化に諸手をあげて賛同します。
 『海上保安庁進化論』でも訴えられていますように、海自のイージス艦1隻と、人件費もぜんぶ含めた1年間の海保の予算が同じだなんて、国策の合理的なプロポーションを失しすぎていますよ。
 与那国島や石垣島が台湾人勢力(わたしは昔から、台湾は味方じゃないよと警告をしてきました。近代の孤独に堪えられぬ幼稚な阿呆ウヨ言論人たちは猛省してください)の影響でどんなことになっているかを考えたら、15兆円補正予算の1割くらいを海保に回してもバチは当たらないのではないですか?
 平成18年2月時点で、耐用年数を超過したオンボロ巡視艇が120隻、ガタピシ航空機が30機あるそうです。予算が3500億円つけば、それはすべて新品に代替整備できるそうです。


ひさびさに内局を見直す

 田村代議士のブログにこんどの自民党の案が観測気球として全文紹介されていたのを、はじめは興味がなかったが斜め読みするうちに、ペーパーワークに狩り出されていると思しい少壮内局官僚たちが籠めているテンションが伝わってきて、面白く感じました。
 そこらのブログでしか唱えられてないような案までぬかりなく投網をかけて盛り込まれていたのは「これぞ官僚作業の手本」と感心しました。戦前の陸軍大学校で連続不眠不休の図演を何度もさせて、その成績を参謀人事に反映させたのも、こういうまとめ作業を徹宵集中して15兆円補正予算の決定以前にそつなくやってのけられるほどの人材を、軍の未来のために選ぼうとしたのだよね。(オレには無理。)
 しかし、そこで新たな疑問だ。こういう馬力作業ができる官僚が内局にいるのに、どうしてF-Xではこんなグダグダなことになっちゃってるんだろう?
 やっぱり最有力アドバイザーたる空自幹部に contingency plan の発想が皆無だったのかと疑わざるを得ない。リアルワールドに暮らしてはいなかったんですよ。
 メーカーが学習機会としてF-Xを捉えていて、最先端エンジンを欲するのはあたりまえですよ。しかしメーカーには国防の第一義的責任はない。あるのは制服軍人です。
 制服軍人なら常に contingency plan を抱懐していなくてはならない。この熟語は、しっくりとくる日本語にはなっていないでしょう。記号論的に解けば、日本の伝統文化には contingency plan の発想がなじまないものだから、それを表わすコトバも自生しなかったわけでしょう。
 つまり脇目をふらずに思い込み、正面の一分画だけにしか目配りしないという、どこか朝鮮人的な視野狭窄が、まだ日本人にはあるわけ。(そういえばAFPの報道で、韓国ロケットが7月30日打ち上げだと。ところが射場の完成が6月10日で、ロシアのブースターは来週やっと届けられるんだと。オイ、ぶっつけすぎるだろw)
 某年某月までにF-22の導入の目途が立たなければ乙案、それがだめなら丙案、丁案、戊案と、数段構えのプランを腹案として決めておくのは、リアルワールドを相手にする者として、当然の心構えでなくてはならなかった。空自幹部にはそれは無かった。軍人失格です。押し切られた内局も、もう威張っちゃいけないね。
 「しんしん」(siとshiの違いはあるが、きっと米国人にとっては、有名な刑務所みたいに聞こえます)がF-4リプレイス候補のオルタナティヴとならぬことは、空自のタイムテーブルから自明でした。「しんしん」は米国メーカーからステルス技術の秘密を分けてもらうための、三菱重工としての資格証明書のつもりだったのに過ぎぬと、誰でも想像できましょう。ところが米国指導層の慮りは、ステルスやエンジンの設計図なんかじゃなかったんでしょうね。設計図にならないソフト部分が日本人に知られるのを恐れたと思います。シナへの漏洩ではなくて、日本人に競争力をつけさせるのを恐れた。
 このまえ廣宮孝信さんが〈日本の経済コメンテイターが「経営」と「経済」を同一視するので日本は損をしてきた〉とおっしゃっていたが、フツーの国である米国の指導層は、「経営」と「政治」を同一視してません。F-22のメーカーの経営者がそれを輸出して自分のボーナスを稼ぎたいと思うのは自然です。しかし米国指導者は、それは米国の損になると判断すれば、軍需産業の腰掛け経営者たちをオーバーライドするでしょう。
 ロシアもシナも、米国のトマホークの不発弾を、パキスタンその他から買い取っているはずです。何年もリバースエンジニアリングに挑んだはずだが、同格性能は再現できていません。最先端兵器の秘密は、じつは設計図などにはもう無いのです。
 おそらく仕様書にだって肝腎の秘密は(分かるようには)書かれていない。外国人には解けない秘密がどこかに埋め込まれていて、それが兵器の価値と威力の担保となっている。
 ライセンス生産を外国に許すとすれば、その埋め込み秘密の秘匿措置をいくら(相手国に費用を出させて)特別に講じておいたとしても、生産の試行錯誤の過程で、あたかも暗号解読のようにしてそれが盗まれるおそれがあるでしょう。相手が三菱重工のような高度なスキルをもった企業なら、なおさらそれが心配になるでしょう。つまり見せ金としての「しんしん」は、F-22の秘密を教えてもらうという交渉目的にとっては、逆効果にしかならなかったのかもしれませんね。
 自民党案に話を戻しますが、なんでOTHレーダーの提案が無いのか?
 先日、ブラジル沖でフランス機が行方不明になったときに、DSPとSBIRSが被雷爆発時のブラスト赤外線を記録してるんじゃないかというので仏から米政府にデータ提供が要請されたらしい。ところが2009-6-9のDavid A. Fulghum氏の記事によると、この2種類の早期警戒衛星は雲の下の赤外線探知は苦手だから、これからのMDのためには無人機にIRセンサーを積んで雲の下を飛ばすことが検討されているとあります。いま試験飛行中のロングスパン型グローバルホークでしょうね(これがU-2を代置するのは間違いないでしょう)。赤外線衛星は、下に雲があると、弾道弾が高度1万mの雲のないところへ飛び出してくるまで、ロクに探知ができんという。そんなもの10年後に保有してどうすんねん。雲の下の探知が最も早いのはOTHレーダーなんだから、日本はサッサとそれを持つべきでしょ。巡航ミサイルの移動もトラックできるしね。
 それからこれは前からの不満なんだけども、防衛白書とかでシナ軍の勢力について書くときに、内局は、SIPRIとかミリバラなんかを引用して済ましてるでしょ。大蔵省説得の最終根拠が西洋文典しかないというので日本の官僚がこういうガチガチの引用主義に陥るのは理解するんだけども、世界に対して恥ずかしくないのか? 日本自前の偵察衛星が1基も無いときならば外国文典の孫引きで許されたけども、偵察衛星を持って何年も経っているというのに、いったい何やってんだい?
 シナ軍が東京に狙いをつけている水爆搭載の中距離弾道弾が何基あるのか、そんな大事なことも衛星でつかめないらしいのに、北鮮のトンネル内のTEL/MELを把握できるとは、妄想も甚だしい。
 ついでの雑話。ディフェンスニュースへのAmy Butler氏の寄稿によると、MD実験用の標的に使われている、古いポラリスとトライデントの調子が、メチャ悪らしいね。即応性が高いといわれている固体ロケットも、貯蔵しているうちには、こうなっちゃうんだよ。つまり長期信頼性では、液燃式の方が優っているという再発見ができた。ロシアのこだわりにも、実利的な理由があったのだねえ。


都内某所に事務所を選定。計画は前進中なり。

 6-2 で語った「インターネット講演」は、動画の配信ではなく、音声配信。つまり「インターネット・ラジオ講演」です。言葉足らずですいませんでした。
 これだとスタジオの設備なども最小限にできるだろう。
 いちいち会場を借りる必要もない。
 短期間に何人でも「講演」が可能になるわけだ。
 録音媒体を再生しながら通勤・通学・自動車の運転等は可能である。テレビを視ながらではそうはいかない。理詰めの言論を広めたいなら、動画は不要でしょう。そして、じつは紙も不要なのかもしれない。
 雑誌と違い、1ヵ月後に店頭や図書館から消えてしまう――ということもありません。
 講演音声をダウンロードするのはもちろんFREE。
 講演料は、お呼び立てした「機構」がお支払いする。
 その原資は、寄付金。
 つまり旧来の「保守系論壇誌」という、やたら経費がかかって文藝春秋社ですら維持が苦しかった「言論運動家支援媒体機関」のコストを喰う部分の「中抜き」を企てているわけです。
 アンチ間接侵略の言論運動のために、小は数百円、大は数千円くらいの負担をしても良いと考える全国の個人読者(言論サポーター)と、実名を晒してリスクを取っている個人言論運動家の間の挟雑コストを最小にしてしまう。それには透明な中間機関が是非必要です。
 兵頭が監督する「中間機関」が全国の同憂者からの浄財をあつめ(もちろん団体専用の口座にです)、間接侵略と既に公的に果敢に戦っている言論運動家、それも、大学のような組織に所属してなくて、どこからも安定したサラリーなどもらえてない実名個人を筆頭に、「インターネット・ラジオ講演料」の形で手厚く配給する(もちろんわが団体専用の口座からその人個人の口座への振込みです)。「雑誌をつくって売る」などという余計な中間コストを省いてしまうのですから、この言論運動モデルは持続可能だろうと見込んでいます。
 有名雑誌や動画でなければ、売名にならんと考えている人たちや、すでに複数の雑誌で書きまくっているような人たちには、当機構は、まず無縁でしょう。
 このインターネット・ラジオの宣伝普及のために、プロモーションも考えています。戦前のシナ戦線を舞台にした、熱血ラジオ・ドラマなどはどうだろうか? ひとつ、不朽の名作『決心変更セズ』のシナリオを想起して欲しい。あの場面を、シナ大陸に設定するのだ!
 もちろん登場人物をいくぶん整理しなくてはなるまいが、三田軍曹の一〇〇式短機関銃の咆哮だけは、落とせない……かも。
 組織が公式に立ち上がったあとで、いずれ、プロのシナリオライターと声優を募集しようと思っています。悪いが、今回は、アマチュアの方は、応募ご遠慮ください。
 ただし、以下の特技を持つ人は別だ。一〇〇式短機関銃、十一年式軽機関銃、九四式拳銃、八九式重擲弾筒、九二式歩兵砲……等々の戦場SEを、口だけでうそぶける人。つまり「人間SE」が居たら、素人でも契約を結びたい。シナ兵の雑魚キャラの絶叫とかも必要になるだろう。ひとつ自薦で宜しく頼みます。