ナタニエフが今年中に中共を訪問するというので米国が困惑している。

 ストラテジーペイジの2023-7-10記事。
    ロシアの石油輸出は、過去数十年、日量800万バレルくらいであった。
 2014にクリミア侵略で制裁をくらって、その日量が10%落ちた。
 ロシアはディスカウントで原油を売ることで量をもとにもどそうとした。輸出収益は減った。

 2022年にプーチンはさらに侵略をやらかし、西側から制裁を喰らい、石油収益は前年と比べて20%以上、落ちた。

 ロシアは、石油輸出量のランキングとしては、サウジアラビアに次ぎ、世界第二位。

 ロシアが制裁をしのぐにあたり、イランから多くを学んでいる。イランは昔から強烈な制裁を受け続けているが、同時に、しぶとく原油を輸出し続けている。大先輩としてノウハウがあるのだ。

 2019年早々、シリア沖の海が荒れて、インド船籍のタンカー『Tour 2』が座礁した。この騒ぎで、インド人がイランの石油の密輸出に手を貸していたことが天下に曝された。

 船長は、バレないうちにイラン産石油をシリアのラタキア港(露軍が借用中)に陸揚げしようとして、悪天候を冒したのだ。

 座礁騒ぎの後しばらく、シリアでは明白に石油不足が起きていた。

 イランとシリアは陸続きなのだから、トラックで石油製品を運び込むこともできる。しかしトラックの陸送量でなんとかなるほど現代経済の石油需要は小さくはない。シリアふぜいであってもだ。

 次。
 『NYT』の2023-7-10記事「Putin Met With Prigozhin Days After Failed Mutiny, Kremlin Says」。
   プーチンとプリゴジンは6月29日に、三時間にわたって会談していた。
 クレムリンのスポークスマンが月曜日に公表。

 次。
 Tuqa Khalid 記者による2023-7-10記事「Out with the old, in with the new: Russia-Ukraine heavy weaponry balance may shift」。
    複数のシンクタンクによる中間のまとめ。
 2021時点でウクライナ軍は、戦車987両、155/152㎜榴弾砲×773門、MLRS×354基を保有。
 露軍はそれぞれ、3417両、2304門、1056基であった。

 それが、2023-5-31時点では、宇軍は戦車を471両、外国から受領した(くれるという話は757両)。155/152㎜榴弾砲は379門受領した(くれるという話は556門)。MLRSは66基受領した(くれるという話は89基)。

 ※1911から1915まで海軍卿だったチャーチルが1915-2に海軍省内で立ち上げた「陸上軍艦委員会」。その最初の試作品は、じつは装軌式ではなかった。チャーチルには4×2自動車改造の経験があった。1914のフランス領ダンケルクの英海軍飛行場で、ロールスロイスに4トンの増加装甲をとりつけて、ドイツの騎兵斥候に対処させようとした。このときの仲間がトム・ヘザリントン。しかし4×2自動車では塹壕や泥田(砲弾がやたら落ちると平原が泥田になる)は超えられないとすぐに分かった。それで一部のロールスロイスはエジプトへ送られて、中東砂漠で活躍することになった。ロンドンの「陸上軍艦委員会」でも、最初にロールスロイス装甲車に超壕装置をつけたものを試して、やっぱりこれはダメだと再確認。前後してヘザリントンの思いつきも試した。彼は直径40フィートの巨大な車輪を自走させれば、それによってライン河を渡河でき、戦争が早く決着すると空想していた。実際にはその半分の直径でリンカーン市のウィリアム・フォスター社に1両、発注されたという。まるでダメだと結論された。さらに委員会は、ロンドン市からスチームローラーを2台買って、それを左右に連結したものも試したが、これもダメ。かくしてようやく、路線が「履帯式」に定まったのだ。チャーチルよりずっと早く、退役少将スウィントンが、米国にある「ホルト」装軌式トラクターを英陸軍省に強く推薦し、キッチナーによって無視されていた。チャーチルはダーダネルス作戦の失敗で閣外に去り、一時期、陸軍将校として渡仏していたが、1917-7-17に「弾薬担当大臣」として閣僚復帰。1919-1-9までその職にあった。1917-10にチャーチルは、戦争勝利に最も必要な6アイテムを列挙した。筆頭が大砲。戦車の順位はトラックや鉄道貨車より低いという認識であった。だが戦地で戦車の意義は評価され、英国だけで1918の休戦までに2600両も製造した(菱形戦車と、固定砲塔のホイペット巡航戦車)。フランスも軽戦車のルノーFTを1915後半から休戦までに3000両以上生産した。これに対してドイツ軍は、突撃砲タイプの「A7V」をたったの20両しか製造できなかった。WWIで英軍将兵は99万6000人も死んでいる。負傷者はその3倍だった。チャーチルは、特殊戦車として、水陸両用型と、地雷啓開型の開発も要求していて、これはWWIIのノルマンディまでに間に合った。

 ※もう地雷だらけでにっちもさっちもいかなくなった今こそ、ヘザリントンの「大車輪戦車」は再評価される価値がある。進化の初元までいったん戻し、そこからあらためて再進化させるのだ。今日の技術を投入すれば、無人の自爆型 Oni-guruma にできるじゃないか。かなり低価格で大量生産できるはず。


トルコは、黒海から穀物を搬出せんとする商船を、ロシア海軍の妨害からエスコートするために、トルコ海軍の艦艇をして護衛せしめる。

 再選を果たしたエルドアンが、クーデターでふらついているプーチンに対して強腰になった。ウクライナ国内には「TB2」の工場を建設するし、アゾフ旅団の幹部をゼレンスキーが連れ戻ることも許容した。次は何だ?

 次。
 Niha Masih and Leo Sands 記者による記事「Ukraine live briefing: Moscow calls Azov commanders’ return a violation; Biden faces a divided NATO」。
   ロシア政府はウクライナとトルコを非難した。捕虜交換後、トルコに預けていたアゾフ旅団の指揮官5人が、ロシアに断りなく土曜日にウクライナへ戻り、「再び前線に出る」などと言っているので。

 これは捕虜交換条項の違反である。

 ゼレンスキーはイスタンブール空港でこのアゾフ旅団の元捕虜たちに会った。

 マリウポリ市のアゾフ製鉄所は3ヵ月間包囲され、2022年春に守備隊は投降した。ロシアは、この捕虜たちが、この戦争が終るまで再度従軍しないという条件で、捕虜交換に応じた。アゾフ旅団の捕虜の身柄はトルコに移送された。
 彼らは、ずっとトルコ国内に留まっていなくてはならないはずであった。

 ※この件にかんしてはロシア側の言い分に理がある。捕虜交換協定を一方的に破ったら、リタリエーションが来る。今後は交換してもらえなくなるじゃないか。何を考えているんだ?

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-7-9記事「Japanese F-35’s device avoids the engine resonant vibrations」。
    F-35のエンジンの有害振動を抑制する新デバイスを、空自の装備機が他にさきがけて実装した。位相を反転させた共振により、有害振動を打ち消す。これによりエンジン周りの配管の振動破損は予防される。ソースは『The Japan Times』。

 さらに、エンジンへ燃料を送り込むホースの素材も、新設計の別な物に取り替えた。設計変更の狙いは、やはり振動を最小限にすること。

 昨年、テキサス州で起きたF-35Bの自動ベイルアウト事故。この原因が、燃料パイプだった。振動で疲労し、その破損箇所から燃料が漏れたのだ。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-7-9記事「Unexpected turn: Pakistani JF-17s replace Iraq’s aging F-16 fleet」。
   パキスタンの新聞によると、パキスタン国内でライセンス生産されている中共設計の「JF-17」を、イラク政府が買うことになった。イラク空軍現有の「F-16」を、「JF-17」で更新する。

 以前の報道では、イラクは、原油とバーターで「ラファール」を欲しいと言っていた。その交渉は不調におわったようである。

 ※取得価格だけでなく、維持費がよほど安いのだろう。ミャンマーも「JF-17」を選んでいる。

 公式発表は無い。ルーモアでは、イラクは12機の「ブロック3」を、6億6400万ドルで買う。
 ※1機が5600万ドルしないのか。

 イラク政府は米国からF-16を買った。しかし今のイラク政府は、半ばイランの傀儡のようなものなので、米国がスペアパーツの供給を絞り始めた。それでメンテナンス・コストの負担に堪えられなくなったようだ。

 イラク空軍は、ロシア製の戦闘機も昨年まではオプションに考えていた。しかしロシアの航空産業が軒並み西側の制裁対象となってしまっては、とてもそんなものに手は出せぬ。

 イラク政府は、F-16のパイロットや整備員の育成と保持にも失敗している。その仕事にインセンティヴがないのだ。


ベラルーシ国内には、ロシア軍の徴兵を訓練するキャンプが臨時に3箇所設営されていたが、ベラルーシはその天幕を畳んで片付けた。衛星写真で確認された。

 雑報によると、モスクワ市から建設工事を請け負っている建築会社が、「労務者を兵隊としてウクライナへ送れ。さもなければ今後は工事を発注しない」と脅されたそうだ。プー之介が不人気で、もはや追加の充員招集は号令できない窮地に立たされているため、代わりに、このように隠密に脅迫徴募させる「陰の動員」が進められているらしい。

 ※なぜ自転車の発明は鉄道の発明と同じくらいの「輸送&移動革命」だったかというと、「中間デポ」が要らないのだ。自動車やトラックを軍隊が使う場合「中間デポ(補給廠)」が不可欠である。その中間部分にものすごい人的資源と物的資源をとられてしまう。燃料も、スペアパーツも、タイヤも。それが、人口爆発がとっくに終了しているロシアには、祟っているのだ。自転車は、最前線で戦闘する予定の歩兵が、最後方のBase(補給策源)から、ダイレクトに、じぶん自身用の武器と弾薬と糧食をかついで、長駆移動して、そのまま戦闘加入できる。それも、大して疲労もせずに。ここに直感で気付けたのがマレー作戦前の辻政信だけだったというのは情けない。中世のイスラム軍は、「荷車」の無い軍隊だった。ヒトコブラクダのおかげで、中間デポに人を割かないシステムを構築できていたのだ。13世紀のモンゴル軍は、糧食である羊に自走させた。だから後方兵站なんて必要なかった。「自動車化」は近代の罠だった。これに国力不相応に適応しようとした軍隊は、中間デポの負担をにないきれずに、自滅したのだ。1941年の日本軍には「自動車化」ではなく「自転車化」が必要だった。おそらくそれで戦争に勝てた可能性すらある。2023年のロシア軍にも同じことが言えるだろう。しかし人間の理性は有限である。

 次。
 Karen DeYoung and Missy Ryan 記者による2023-7-7記事「White House defends sending up to hundreds of thousands of cluster shells to Ukraine」。
   バイデン政権の国家安全保障担当補佐官であるジェイク・サリヴァンいわく。露軍が使っているクラスター弾薬は、子弾の30%から40%が不発弾として残留してしまう。これに対してこのたび米国から宇軍へ供与を決めたクラスター弾薬の不発率は、2.35%以下である。

 米連邦議会は2017いらい、不発率が1%を超える米国製のクラスター弾薬を禁じている。歳出法案の承認とコミで。
 しかし大統領には「外国援助法」が定めた迂回の道があって、米国の安全に死活的であれば、議会による禁止を無視できる。

 次。
 Jeff Schogol 記者による2023-7-7記事「Pentagon will no longer support movies, TV shows censored by China」。
    10年前、『アイアンマン 3』を製作したとき、映画会社は、中共市場向けの特殊バージョンを用意した。そちらには、トニー・スタークが心臓手術のために中国へ渡り、彼のパワーの源が、内モンゴルの乳製品であったことを知る、というエピソードが付加された。

 2019公開の『トップガン・マヴェリック』のスポンサーには、テンセントがついていた。しかし台湾と日本の国旗騒動の結果、テンセントはスポンサーを降りた。

 国防総省はこのたび、新しいルールを決めた。中共の検閲に媚びたような編集をする映画製作会社やテレビ番組プロダクションに対して、米軍が協力をすることを禁ずる。

 これをさせたのは連邦議会。予算は法律の一種なので、立法機関たる議会は、国防予算支出を政府に授権する「NDAA」という毎年度の法律の中で細々と注文をつけることができる。

 次。
 ストラテジーペイジの2023-7-8記事。
   中共は9万トン級の砕氷船を建造中である。ロシアの原子力砕氷船『リデル』級の主機をディーゼルに換えたようなもの。

 次。
 Sofiia Syngaivska 記者による2023-7-8記事「Russia Installs Additional MON Mines in Zaporizhzhia Nuclear Power Plant」。
    ザポリジア原発内を露軍はIEDだらけにして、機械室や制御室まで内部に人がたどりつけないようにしている。

 建物内には、トリップワイヤー式の「MON-50/-90/-100」(ロシア版のクレイモア)を仕掛けまくっている。

 ※雑報によると、ウクライナの前線を視察したドイツ連邦防衛委員会の者が報告した。ザポリッジア戦区には「レオパルト2」が6両投入されていて、そのうち2両は地雷とRPGで小破させられているが、修理は済んだ。どちらも、乗員は誰も負傷しなかった――と。


野外の「指揮所」(コマンドポスト)の造作が大規模すぎて、設営準備段階からもう上空から丸わかりだという深刻な問題を米軍は把握し、対策を模索中。砲弾1発で全滅するから。

 Joseph Trevithick 記者による2023-7-6記事「What DPICM Cluster Munitions Are And Why Ukraine Wants Them So Bad」。
   DPICMは、「二重目的・改良型・通常弾薬」の頭文字で、デュアルパーパスとはこの場合、対装甲と対人のどちらの威力も追求されているという意味だ。

 今回、米国からウクライナへ供給することが決まったのは、数あるクラスター弾薬のうちでも、このDPICM。

 この「子弾」は1970年代から製造・納品されている。
 DPICMを仕込める砲弾は、105㎜野砲弾、155㎜榴弾、203㎜榴弾、227㎜ロケット弾(HIMARSから投射できるもの)、ATACMS、などである。

 ※米国製の203㎜砲弾も急にウクライナ軍へ供与されることになったが、それはソ連製の「2S7」自走砲でそのまま撃てる。だからまず203㎜砲弾でDPICMがばら撒かれることになるかもしれない。

 DPICMが詰められた砲弾は、時限信管によって、目標の上空にさしかかったところで、砲弾の弾尾からこのクラスター子弾を放出・撒布する。放出のエネルギーは、少量の火薬による。

 各子弾にはエアブレーキ用のリボンがついていて、これによって、HEATの漏斗口が真下を向いた姿勢で落下し、着弾。信管は、インパクトフューズである。

 ※衝撃信管が不作動となった場合には、タイマーがあって、設定時間が来ると自爆する……という建前になっているのだが、この手の機能は、弾薬をハンドリングしている最中の不意の爆発事故をユーザーに懸念させるので、昔から、軍隊から歓迎されたことがない。たとえばWWII初盤に秘密兵器としてテムズ河口に投下されたドイツの磁気機雷には、敵による分解調査を妨害するための自爆機能がついていたのだが、それが飛行機の中で働いてはたまらないので、クルーはその機能を活性化させずに投下していた。

 HIMARSのロケット弾がDPICMを運搬する場合、1本のロケット弾から644個の子弾がばら撒かれる。

 ※正直、クラスター弾を米国は供与しないだろうと私は思っていた。それを供与することに米政府が傾いた背景を想像すれば以下の通りだ。まず宇軍には砲弾が現状でも足りず、近い将来も慢性的な不足が当分続く。また、その砲弾をデポから砲座位置まで運ぶ段列の兵員が人手不足で、このため「ムダ撃ち」をさせている余裕がぜんぜんない。1発の威力を極大化する必要がある。他方、露軍のECMがなかなか好調で、エクスカリバーのような1発必中誘導弾が逸れてしまうようになった。クラスター砲弾なら多少逸れても完全にムダになることはないだろう。しかもクラスター弾は米本土内の倉庫におびただしくうなっている。さらに、このクラスター弾が落下するのはもともとのウクライナ領内であるから、自国領民に対する無差別攻撃をウクライナ軍が敢てするとは誰も思わない。すでにそこらじゅうを地雷だらけに変えたのは露軍である。そこに、投射数のうちの1%の不発弾が新たに加わることが、住民を著しく苦しめるとは言えない。むしろ、効果的な砲撃によって露軍が早く領土から出て行くことが、戦後のための地雷処理作業のスタートを早め、住民の福利に適う。

 ※まったく報道されていないが、DPICMの真打は、宇軍が保有しているヘリコプターからロクに照準もせずに最大射程で腰ダメ発射させている、あの、燃料とタマ代の無駄以外のなにものでもない「空対地ロケット弾」(ポッド入り)ではないか? あれが、DPICM充填のものに変われば、敵の塹壕陣地にとって少しは効き目がある火力になるから。

 次。
 2023-7-7記事「Russians are developing a replica of Switchblade loitering munition」。
  TASSによると、ロシアは「スイッチブレード300」をコピーして「ヴェクトル-120」と名づけている。弾頭重量は220グラムから250グラムだという。

 つまりスイッチブレードよりは爆発威力がある(スイッチブレードの弾頭は40㎜擲弾そのもの)。

 ※比較して、RPG-7だとHEで炸薬が210グラム、HEATで730グラム、タンデムHEATで1.43kg、サーモバリックで1.9kgというところ。F-1手榴弾の中には炸薬60グラム。

 「ヴェクトル-120」は30分滞空できる。これは「スイッチブレード300」の三倍だ。

 次。
 「strazgraniczna」の2023-7-6記事「The Polish Border Guard acquires holographic sights for HK 416 Rifles」。
   ポーランド国境警備隊の「HK416」小銃にとりつける、ホログラフ式照準器が大量調達される。
 このホログラフィック・サイトの商品名は「Eotech EXPS 3.0」という。

 夜中でも敵兵を適確に射ち倒せる。

 ※ポーランドの国防力投資がガムシャラである。海軍力にほあまりカネを使わなくてよいので、大きな割合を、陸戦兵器に投じてよいのだ。


セントコムの発表によると、シリアで対ISの任務飛行中の「MQ-9 リーパー」×3機に対して露軍の有人戦闘機が、パラシュート付きフレアを前路にばら撒くというイヤガラセを展開中。

 Kurt Robson 記者による2023-7-5記事「Ukraine looking for cheaper ways to destroy Russian ‘suicide’ drones」。
   ウクライナは2023-5月に、300機の「シャヘド」による自爆空襲を受けた。

 「シャヘド」無人機は1機が5万ドルらしい。それに対して、西側が援助してくれたSAMは、1発が100万ドルする。とうてい、釣り合わない――と、ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ。

 彼いわく。「シャヘド」対策専用の、安価な手段を開発しなければならない。

 それで先月、ウクライナ政府は、300万ドルの資金を用意して、3つのチームを呼び、対策を諮問したという。

 そのうちの1チームからの答申。他のドローンより速く飛行でき、かつ航続距離も長い「クォッドコプター」を使うのがいいだろう、と。

 それは垂直に発進して、「シャヘド」を空中で撃墜、もしくは、ECMで飛行妨害するのだという。

 ※ウクライナ政府は良いアドバイザーにめぐまれているとは言えないね。そもそも戦車にこだわって乾季まで攻勢を待ったという時点で「前線の鼻」が利かなすぎる。

 ※ゼレンスキーは、「反攻」が遅々としているのは西側がF-16を早くくれなかったからだ――などと、またしても責任転嫁にいそがしい。この素人司令官が西側戦車にこだわったのが大間違いの大元なのだという反省は、ぜんぜんしてなさそうだ。

 次。
 Defense Express の2023-7-6記事「How Many Shahed Type kamikaze Drones Did the russians Launch over Ukraine in 10 Months」。
   宇軍大本営の作戦次長が公表。ロシアはかれこれイランから1800機近く「シャヘド」型の無人特攻機を受領したと。
 そしてすでに1600機以上を使用した。

 西側ではこの「シャヘド」のことを、そのエンジン音から「空飛ぶモペッド」とあだ名している。

 ※「シャヘド136」が搭載するイラン製エンジンのMD-550は、ドイツのリムバッハ・フリューグモトレン社製L550EFのコピーで、2ストローク、4気筒、548cc.、水平対向、空冷。10馬力から55馬力を出す筈。90オクタン・ガソリンにエンジンオイルを混ぜたものを燃やす。エンジンオイルは、燃料50に対して1の量で混ぜておく。今日、市販のバイク用に2サイクル・エンジンは用いられない。排ガスが良くないのは明白だし燃費も悪い。しかし使い捨ての自爆無人機用としては、これほどシンプルで高出力が期待できて安価なエンジン形式もないだろう。

 イランはロシアのために「シャヘド136」の製造工場も建ててやる。場所は、タタールスタン州のアラブガ工業特別区。ウクライナ国境からは1000km離れている。

 投入される資金は15億ドルになるだろう。

 次。
 Defense Express の2023-7-6記事「What Happens to a russian T-90M After Being Hit With SMArt 155-type Guided Projectile」。
     155ミリ榴弾砲から発射されると、小翼を使って滞空時間を延ばしつつ敵陣上空へ至り、子弾を2個、放つ。おのおのの子弾はパラシュートで沈降しながら、敵戦車を赤外線で捜索しミリ波レーダーで標定。敵戦車の頭上100m前後で炸裂するや、熔融金属弾が砲塔天板に撃ち込まれる……。

 そのような複雑な仕組みのスマート砲弾である「BONUS」弾が、実戦場で、1両のT-90の砲塔天板、中央よりやや後ろ寄りを、ものの見事に穿貫したシーンが、初めて空撮された。T-90Mはボカージュラインの切れ目に潜んでいた。

 ウクライナ軍の第47機械化旅団による、最新戦果。
 金属熔融塊の速度は秒速5000mなので、分厚い装甲鈑だろうと貫徹できる。

 ※敵も負けてはいない。スウェーデンがウクライナ軍に寄贈した高性能IFVである「CV90」――主火器は40ミリ機関砲で全重28トン――が、ボカージュ中に隠れていたのに露軍の無人機からは丸見えで、おそらく小型のHEAT弾で車体上面をやられて、内部で火災が起きたように見えるビデオが、露側からSNSに上げられている。この「CV90」は車体に対空偽装をいっさいしていないのが、動画からよくわかる。いくら高額な最新兵器をあてがわれても、対空遮蔽のような基本の基本も励行できないような低教養の分隊は、人よりも先に殺されておしまいだ。

 ※せっかく40㎜のボフォースを搭載するなら、これからは、歩兵のお客さんなどは乗せず、対ドローン用の対空車両としてまとめるのが、時代の要請に合っていると思う。スウェーデン人は、言われなくとも、もうそこに気が付いているだろう。


オーストラリア陸軍が、AS9自走砲(155㎜)の導入前試験を進めている。近日中に、実車体の下でじっさいに地雷を爆発させて、乗員が防護されるかどうかを見る。

 Gabriel Honrada 記者による2023-7-5記事「China simulates ‘Z-day’ total sea war with the US」。

   『サウスチャイナモーニングポスト』紙によれば、中共軍の中には「91404部隊』というのがあって、そこで対米全面戦争のシナリオをシミュレートした。その研究発表が『船舶研究』〔?〕とかいうタイトルの中国語雑誌に先月、公表されていると。

 それによると中共海軍は「アーレイバーク」級の駆逐艦からなる米艦隊から先に大規模な巡航ミサイル攻撃を受けることになっている。

 中共海軍は、50隻に近い駆逐艦をもっている。その1隻について、各11発の対艦ミサイルと、3本の魚雷が、あらゆる方角から一斉に襲来すると考えている。

 同時にECMによって中共の軍艦は通信ができなくされ、レーダーの働きは平時の4割に低下してしまう。このため中共軍の駆逐艦は防空戦闘能力が設計の三分の一に低下し、艦隊空ミサイルは、2発に1発しか、当たらなくなる。

 ※この雑誌記事が意味するところは明瞭だ。ちかごろ米国内のシンクタンクがスポンサー欲しさに調子に乗って、中共軍のハイパーソニック弾で米日両軍は全滅するみたいな煽り研究を相次いで発表していた。これを真に受けたシナ軍人が馬鹿なことをやり始めたら国家の破滅なので、真相を中国側からあきらかにして、中国内部の跳ね上がり分子に冷水を浴びせようとしているのだ。

 ※シナ軍艦1隻に対して巡航ミサイル11発という数字には迫真性がある。なんとこのごろでは米陸軍も、陸上から「トマホーク」を発射する気まんまんで、複数の巨大トレーラーから成る「陸上艦隊」みたいなのを構築する気になっている。

 ※防空レーダー機能がECMを受けて6割低下、というのはご愛嬌だ。じっさいには、9割、役に立たんと考えておくべきだろう。そのレーダー波をめがけて飛んでくる最新の対艦ミサイルの実力が判明すると、早晩、艦長みずから停波させるようにもなるだろう。

 次。
 Charles R. Davis 記者による2023-7-5記事「Russia has ‘lost nearly half’ of its combat effectiveness since invading Ukraine, UK defense official says」。
   トニー・ラダキン提督は、前に全英軍の制服トップも務め、退役した人だが、今はスナク首相の首席軍事アドバイザー。このラダキン氏が英議会の公聴会で語った。露軍はすでにその全軍事能力の半分近くをなくしたと。
 たとえば、露軍は昨年、1000万発の砲弾を発射した。しかるに、ロシア工業は、努力しても年に100万発の砲弾しか生産はできない。また露軍はこれまで2500両の戦車を喪失した。それに対してロシア工業が1年に製造できる戦車は、最大でも200両である。

 ウクライナ戦争の「前線」の長さは1000km以上ある。この長大な戦線を、如何にして、ウクライナ側の不利な要素ではなくて、ロシア軍側にとってこその不利な要素と変えてやれるか、が大戦略。現在、宇軍が、あちこちで小規模な攻撃軸を臨時に形成して露軍をつついているのは、この大戦略として正しい。露軍の作戦資源を各地でストレッチさせて、全域で無益な消耗を誘い、セルフ兵糧攻めの状態に陥らせてやることができる。

 PBSによれば昨年の侵略発起時点でロシア軍には40万人の兵隊がいた。そしてリークされた米軍内の見積もりによれば、ことし初めまでに露軍はウクライナで4万3000人死亡し、18万人が負傷したそうだ。

 ※使える将兵の人数だけでも開戦から1年で「半減」となったわけ。メドヴェジェフはこの戦争はあと10年続くと威張っているから、10年後にはどこへ行っても「第××連隊、ただし本部中隊以外は欠」なんていう陣容になってるんじゃね?

 次。
 The Maritime Executive の2023-7-47記事「Vietnam Bans “Barbie” Movie Over Depiction of Chinese Maritime Claims」。
   ワーナーブラザーズが配給した映画の『バービー』を、ベトナム政府が上映禁止した。
 作中の背景にわざとらしく「ナインダッシュ線」の地図が表示されているため。

 ハリウッドのアニメ製作現場に入り込んでいる中共の工作員が、「ナインダッシュ海図」を巧妙に作品の背景に置こうとした事件はこれが最初ではない。

 『Abominable』ではもっと露骨な挿入をしてあった。これに気付かないという映画製作スタッフは異常である。ベトナム政府は、それが配給以前のすべてのチェック段階でスルーされているというところを怒っているのだ。この作品はフィリピンとマレーシアの政府も禁止した。

 実写アクションの『Uncharted』もやらかしている。中共系工作員の浸潤は、アニメ製作現場だけではないことの証拠だ。こちらの配給は、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナム、フィリピンで禁止となった。

 ※製作会社はすぐに当該箇所を削除するのだが、これら政府はそんな措置では許す気になれない。中共の宣伝に一方的に有利となったことは自明だし、そもそもそれを内部で見逃しているという闇が深すぎる。会社まるごと中国に乗っ取られていると疑われても仕方がない。

 中共は、『トップガン・マヴェリック』にも検閲圧力をかけ、トム・クルーズのフライト・ジャケットから、日本と台湾のフラッグパッチを消去させた。この行為は米国内から叩かれた。製作会社は、台湾国旗を復活させたが、その結果、中共本土では『トップガン・マヴェリック』は上映できなくなった。会社は、巨大市場と、中国人投資家からの資金調達の道を失った。

 次。
 The Maritime Executive の2023-7-3記事「Mexican Navy Captures Large Semisub With 3.5 Tonnes of Cocaine」。
   メキシコ海軍が、中米の麻薬組織が建造し、密輸目的で北上させてきた「半没艇」を、太平洋の「バハカリフォルニア」沖で拿捕した。積荷は3.5トンのコカインだった。186個の袋に小分けされていた。

 まず哨戒機が、6月27日にこのセミサブを探知したという。

 艇内には5人がいた。全員逮捕された。

 密輸艇は全長が85フィート。空荷自重は10トン未満だと見られる。無補給で洋上を20日、行動できる。
 8ノットで巡航できる。
 3500浬の片道の旅ができる。だからコロムビアの河口からサンディエゴ沖にも直航できるポテンシャルがあるが、麻薬組織はそんなことはしない。はるか手前のどこかで、漁船や貨物船に瀬取りさせる。

 ※5人乗りで、北海道からベトナムまで行けるくらいの航続距離を誇る、10トンの有人艇。乾舷が無いので、水上レーダーではまず発見できない。その航続距離を短縮すれば、3.5トンの積荷を7トンにすることもできるだろう。こういうのを無人システム化して、南方有事に使えるようにするのに、いくらも予算は要らないはずだ。麻薬ギャングにできることが、国家にはできないとは、どういうことか?

 次。
 Nicholas Cecil 記者による2023-7-4記事「Ukraine army has ‘fruitful’ few days destroying Russian fuel and command posts」。
    英国の国防省が解説。ロシアは戦術を変えた。従来のドクトリンの定量を大幅に超える高密度で大量の対戦車地雷をひたすら敷設することによってウクライナ軍の前進を止めようとしている。

 これに対するウクライナ軍の弱点はひきつづき「砲弾不足」である。また、前進する部隊への後方からの兵站補給が、輸送手段の不足のため、届いていない。

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 Nick Robertson 記者による2023-7-4記事「NATO extends Jens Stoltenberg’s term as secretary general」。
   NATO事務総長は、ストルテンベルグの続投が決まった。2024-10まで留まる。

 ※ポーランドの大反対でデンマーク首相の目は消えたのだろう。デンマークはCO2 削減の先頭ランナー。対するポーランドは欧州最大の石炭火力依存大国。馬が合わない。


ウクライナ軍の自爆特攻無人機はクビンカ基地にも墜落したそうだ。国境から400km。

 Caroline Anschutz 記者による2023-7-3記事「The Pedestrian Hummer EV Goes Military」。
   軍用のHMMWVを民間用にしたものが、1992年市販開始の「Hummer」である。

 このたびGMD(ジェネラルモータースディフェンス)社は、前から存在する、GMC社製の「Hummer EV」をベースに、最新EV技術でさらに性能向上を狙った試作モデルを米陸軍に提示した。

 電動モーターは3個。合計で1000馬力〔ママ〕を出す。トルクは11500ポンド・フィート。
 電池容量は205キロワットアワー。「Ultium」というバッテリーパックを二段重ねした。
 満充電の状態で走り出せば、300マイル行ける。

 と同時にこの車体には、12キロワット出力のディーゼル発電機も搭載されている。戦場に充電施設があるほうがおかしいから、バッテリーがあがってしまっても、これで最低限の走りはできるようにしておこうというわけ。自前充電もできる。

 開発を開始してから2年になる。まだ完成品ではない。これは途中経過である。

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 ストラテジーペイジ の2023-7-4記事。
   露軍は、ウクライナ戦線に出している戦車の砲塔に、「ナキドゥカ」と呼ぶ新式の偽装網をかけるようになった。この繊維製品は、熱線の輻射を遮断し、かつまた、ミリ波レーダーの信号反射も弱める。

 各国軍は2000年代以降、MCS(マルチスペクトラム・カモフラージュ・システム)とよばれる、昼夜を問わず敵軍の最新センサーを騙くらかせる偽装網を研究するようになった。露軍も用いてきた。ナキドゥカは、その旧世代よりも、機能が改善されている。これは、敵軍の赤外線~紫外線イメージセンサーの高性能化に対応するものである。

 米軍がストライカーなどにかけているMCS網は、2017年にスウェーデンのサーブ社が開発したものである。

 ※おそらく今、各国のメーカーは、たんなる偽装遮蔽機能だけでなく、「ランセット」のような自爆無人機の突入をぎりぎりで物理的に制止できるような「補弾ネット」の機能も兼備した偽装網の研究にとりかかっているのではないか? それは「支柱」を使うものもあれば、使わないものも考えられるだろう(登山者用テントの無柱タイプを想起すればよい)。さいきんの天気ニュースを視るかぎりでは、日本の自動車メーカーは、「巨大な雹」から、戸外の乗用車のフロントガラスを防護できる、なんらかの製品を、これから大急ぎで開発するしかないと思われる。温暖化にともなって、雹はますます大粒化し、しかも毎年降るようになるだろうから。その民間開発の製品を、きっとAFV用にも役立てられるようになる(個人の想像です)。ついでに「防蚊網」の機能もあれば、野営が快適になるよね。

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 Defense Express の2023-7-4記事「New Details on the Historial Downing of Ka-52 Helicopter With Javelin ATGM: When Mastery Meets Right Moment」。
   歩兵携行型のATGMであるジャヴェリンが「カモフ52」戦闘ヘリを空中で爆砕したらしい。
 7月2日のこと。
 場所はベルディヤンスク地区。
 射手は、第36海兵旅団所属の兵隊であった。

 じつはジャヴェリンのマニュアルには、低空飛行中の敵ヘリコプターを狙って発射する方法についても説明されていて、メーカーとしてはこのような用法も織り込み済みなのだ。ちなみに、弾道モードは「彎曲」を用いる。真上から落下してヘリを直撃する。

 名前が伏せられている射手の兵隊は、今次戦役の緒戦から対戦車戦闘で大活躍しており、すでに戦車×3両とBMP×2両を屠っているエース。もちろん単独行動ではなく、「班」で遊動している。

 広報官は強調する。誰でもこんな活躍ができるものではない。ジャヴェリンのレンジは2500mしかない。この短いレンジで戦果を出すためには、巧妙な「ポジション取り」が必要である。それができる兵隊とできない兵隊がいる。才能と経験の両方必要だ。


雑報によると、パネルで四角く囲ったトレーラーの中に円筒状の焼却炉を隠したロシアの屍体処理車が、占領している都市のまんなかで24時間フル稼働中だと。これも撤退準備の一環?

 Seth Robson 記者による2023-7-3記事「Army watercraft company with 13 ships will be based in Japan, Pacific commander says」。
   在日米陸軍の水上輸送船部隊。ビーチングしてHIMARSなどの車両を砂浜に吐き出せる、あのフネを含めて、日本の港に13隻を常駐させる予定だという。

 この部隊には285名の陸軍船舶工兵が所属する。

 13隻の内訳。LCUが5隻。航洋型タグボートが2隻。MSVが4隻。1隻は、外地で港湾作業を監督するための指揮船。 ※のこり1隻は何なんだ? 国旗を立てた筏?

 LCUは、小型のようだが、C-17×1機と同じ物資を運搬できる。M1戦車ならいちどに5両を運べる。コンテナなら二段重ねにして24個、載せられる。兵員ならば400人。

 陸自(中央軍)の作戦部長(すずき・もとかず大佐)らがこのたび、当該部隊を見学した。その模様を伝える写真は、米軍側撮影のものもふくめて、公表されない。

 ※米陸軍の船舶工兵中隊のノウハウを陸自が編制からまるごと吸収する過程にあると想像する。星条旗新聞に対して報道写真も与えないとは、これは本気だ。話が着実に前進している傍証だろう。欲を言うと、海送の「ラスト20km」は、半没で岸にアプローチできる、小型の「まるゆ」も加えられることが望まれる。これは先の大戦の貴重な戦訓だと思うのだが……。半没輸送手段がこっちにあるという情報だけで、敵はどう対処していいか分からなくなり、そのことが、侵略発動の「敷居」を高くしてくれるのだ。

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 AFPの2023-7-3記事「French ‘tanks’ blamed for Ukraine troop deaths」。
   ウクライナ軍の大隊長(34)が証言した。フランス製の6×6装輪式戦車に載っていた兵隊が1名、敵の野砲弾(榴弾)が至近距離で爆発した、その破片が車内に貫通してきたために戦死したと。

 この人の結論。「AMX-10」は、アフリカの山賊が相手ならともかく、ウクライナの最前線には出せない装備である。

 搭載備砲(105㎜)の威力には満足している。視察器材や照準装置も優秀である。だが、いかんせん、防護力がなさすぎる。

 この「AMX-10」を前線に出せば、次々と敵からの間接照準砲撃によって破壊されてしまうことはもはや疑いもなくなった。だから、出さない。

 この大隊長は、比較して、英国製の「ハスキー〔TSV〕」を褒めた。

 ※ハスキー支援車は、別名、インターナショナルMXT-MV。4×4のAPC。2+2~10人乗り。基本型の重さは15300ポンド。V8ディーゼルは340馬力。NATO共通燃料(灯油系)でも動く。ミシュランのラジアルタイヤは車内から気圧調節できる。中東派遣歴が長いので耐IED用の追加装甲が用意されている。

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 英紙『テレグラフ』の記事「Tractor driver injured by land mine in Kherson」。
   ヘルソン州の農夫が、地元の人々の警告も聞かずにトラクターで畑を耕し、地雷を爆発させて負傷した。顔、上半身、両手に負傷。しかし入院は拒んだという。

 知事氏いわく。地雷処理の専門家が作業していない土地にはそもそも立ち入らないようにしてくれ。

 ※BBCによると、露軍がロケットから撒布する対人地雷をウクライナ人は「ペタル」と呼んでいる。一回啓開した地雷原でも、ロケット撒布地雷は、何度でもすぐに撒き直せるので、毎日、これにやられる者が出る。また最前線では、宇軍の自爆ドローンが宇軍の車両に突っ込む事例もあるんだと。

 ※74式戦車の砲身を撤去して、操縦席を改造して、「後進」によって地雷処理ローラーを押す専用機に改造して援助しては……なんてことを空想していたら、どう考えても、最新型の民間の装輪式の農業用トラクターに専用ローラーを推進させる方が、維持費が安くて省力的になるに決まっているという、現実的な結論に到達する。最近は無人でトラクターに仕事をさせられるAI操縦機能がデフォルトで備わっているしいからね。それで7月6日から10日まで帯広で「国際農業機械展」が開催されるそうなのだが、誰かキャンピングカーで連れてってくれんかな。会場をひとめぐりすれば内外の最新トラクターの資料を一挙にかきあつめられるじゃないか? 誰か私の代わりにそれを集めてくれないか?

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 Ben Knight 記者による2023-7-2記事「Why is far-right populism so popular in Germany?」。
   ライプニッツ大学の最新の調査。
 ドイツでは、旧東独地域の住民に、「レイシスト」傾向が強い。
 それで「ウルトラ右翼」みたいな異常な候補者が選挙で当選してドイツの国政に送り込まれるんだと。


捕虜から分かったこと。ロシアでは62歳の老人が充員招集されている。

 徴兵を受けて2023-6-12付で連邦正規軍の「第35軍」に入営したミハイル・オシペンコは1961年3月4日の生まれ。わずか2週間後にルハンスク州で捕虜となった。

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 ストラテジーペイジの2023-7-2記事。
   ロシア人からなる反政府ゲリラの浸透をふせぐために、ウクライナと540kmの国境を接するベルゴロド州に、鎮圧用のスペツナズが100人ほど、追加投入された。
 しかしその練度は低いという。

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 Andrew Stanton 記者による2023-7-1記事「Russia Could Blow Up Nuclear Plant After Handing It to Ukraine: Zelensky」。
    土曜日にゼレンスキーは警報した。
 ロシアはザポロジア原発をウクライナ人の手に返還した直後にリモコンで爆破してしまうつもりであると。

 だからIAEAは徹底的に立ち入り検査してくれ、と。

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 AFPの2023-6-30記事「Drone Strikes Hit Wagner Base in Libya」。
   リビア東部、ベンガジ市から150km南西にある「アルハッルバ」飛行場にワグネルが分駐しているのだが、金曜日の未明、そこを無人機が襲ったという。死傷者は無かったという。

 やられた側の主張によると、やったのは国連が承認しているリビア政府の軍隊の航空機であるという。
 しかるに、トリポリにある「政府」は関与を否定した。

 リビアでは、政府軍と、ハフター軍閥軍との間でにらみあいが続いている。ハフター軍は2020年に首都トリポリの攻囲に失敗した。その後、2020-10に停戦が合意されている。ワグネルはハフター側についている。

 ※リビア政府軍の後ろ盾はトルコで、トルコはリビアに「TB2」を持ち込んでいる。今回の空襲もそれが疑われる。もしエルドアンがワグネルを攻撃させたのだとしたら、決心のタイミングは絶妙だ。今、トルコがワグネルを叩いても、それでプーチンを怒らせることはないのだから。

 ワグネルはなんのためにハフター軍閥に肩入れするのかというと、ハフター軍閥がおさえているリビア東部には油田がたくさんあり、そのおかげで儲けられるからである。

 ※プーチン政権の今の立場は、経営学で言う「サンクコストの誤謬」に陥っているのだという解説あり。失敗だったとわかってきた初期投資を損切りして清算することをためらう心理から、余計なあがきを重ねて、ますます貴重資源をドブに捨て続け、全組織を巻き込んで、破滅の淵へ転がり込んで行く。

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 2023-6-17記事「U.K. satellite internet provider to cover Taiwan by 2023: Digital minister」。
   台湾のデジタル担当大臣、唐鳳(アンドレイ・タン)はロンドンにてCNAに語った。2023年中に、台湾全島で、「OneWeb」社の周回衛星を使ったインターネット無線通信ができるようになる、と。

 現状、台湾北部だけが「ワンウェブ」社のサービスを利用できる。OneWebは、英政府も出資している半官半民の企業体だ。

 ※なにもスターリンクだけじゃないというわけである。

 タンはデジタルのプロらしく、すでに、離島や台湾奥地の山岳でも「ワンウェブ」が使えるかどうかをテストさせている。テスト箇所は700以上だという。

 台湾人が誰でもインターネット衛星を自由に使えるようになるということは、将来、中共が台湾を侵略した場合、それがどこであれ、リアルタイムで、動画がインターネットに投稿されるということ。海底ケーブルを切断しても、ムダである。
 中共軍がみっともなく敗滅すれば、それもただちに全世界が、動画によって知ることになるだろう。

 台湾政府は「B5G」計画というのも打ち出していて、2026年までには自前の周回型通信衛星を1機、LEO投入するとしている。これはすみやかに6機体制に増やし、最終的には120機のLEO衛星を自前で持つことで、24時間途切れの無いインターネット利用を可能にする。

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 『The Maritime Executive』の2023-6-30記事「India Gives Vietnam a Warship in Response to China’s Regional Actions」。
   艦齢32年の古いミサイル・コルヴェット『キルパン』(1350トン)は、公式に、6月28日にインドの Visakhapatnam 軍港を出港してベトナムへ向かった。このコルヴェットはベトナム海軍に寄贈される。

 その10日前、インドを訪問したベトナムの国防大臣に対して、この寄贈が約束されていた。
 またそのさい、2016年に署名されている「印越戦略パートナーシップ合意」を、2030年まで延長させることも決まった。


ウクライナの最前線では、戦車の車体前方にとりつける「対地雷ローラー」が致命的に不足しているという。

 消耗品だしね。
 そろそろ、こう言い切っていいのではないか?
 軍需品の準備と兵站の世界では、「ジャスト・イン・タイム」流儀を平時に理想視していたなら、誰も安全にならない。

 これは、パンデミック対策品でも、工業製品用の集積回路でも、西側官民が、痛烈に学習させられたことの筈だ。

 戦間期、ドイツの工業は「無駄がない」と他国から褒め称えられた。ではそのドイツ工業はWWIIで蓋を開けてみて米国工業に勝てたかというと、生産数競争で負けてしまった。「無駄を出さない」ことは戦間期のドイツにとっては必要事でまちがいないが、「絶対善」ではなかった。フォードのウィローラン工場の「バッチ」システムは、ドイツ工業から見れば無駄かもしれないが、「短時間で大量生産する」ための最善解で、大極的には、認容限度内の無駄で戦争に勝ったといえる。戦後のトヨタは、戦間期ドイツの工場の延長線上に「カンバン方式」を洗練したと思うが、「機敏に市場を獲る」ことを大目的とした場合、「ジャスト・イン・タイム」の破綻は「認容できない停滞」に直結してしまう。平時は会社が稼げない。戦時は国が亡びてしまう。

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 Ellen Mitchell 記者による2023-6-30記事「US considering sending cluster munitions to Ukraine」。
   DPICM=デュアル・パーパス・インプルーヴド・通常・弾薬 を米国内の倉庫からウクライナへ移送する話は、確かに進んでいる。米政府内の高官が肯定した。7月前半には搬入が始まるのではないかというくらいに。

 DPICMは、地対地用のクラスター弾頭である。

 2008年に多くの国がクラスター弾薬禁止条約に署名した。この条約は、クラスター爆弾が多くの不発弾(爆発しなかった子弾)を残留させ、それが民間住民を戦後も無差別に殺傷することになり、それは古い戦時国際法に抵触するから、禁止しよう――との趣旨であった。

 批准国は、クラスター弾薬の使用、製造や貯蔵だけでなく、「移転」もしてはならない。

 合衆国、ウクライナ、ロシアは、いずれも、この2008条約に署名していないので、今回の移転は違法にはならない。ロシアは最初から使いまくっている。

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 Povilas M. 記者による2023-7-1記事「Drone Carrying Two Other Drones Spotted in Ukraine」。
   米国のアエロヴァイロンメント社製の「Jump 20」という固定翼ハイブリッド無人機がウクライナ戦線で露兵によって目撃されている。この無人機は、兵装として「スイッチブレード300」を吊架しているという。

 「Jump 20」は、VTOL離陸する関係で、そんなに重いペイロードはとりつけられない。総計13.6kgまでである。「スイッチブレード300」ならば、2発吊るしても5kgである。

 メーカーは2022年から、この「親子無人機」の運用をテストしていた。

 「Jump 20」の航続距離は185kmである。「スイッチブレード300」は、ロイタリングミュニションとして10km飛べる。
 ということは、母機は往復して帰還するとして90kmまでは進出できるから、それプラス、兵装が10km突入するとして、母機の発進地点から100km離れた敵目標を攻撃もしくは撮影できるわけである。

 「Jump 20」は、ウイングスパン5.7m、自重97.5kg、滞空14時間可能。

 メーカーが「Jump 20」を宇軍に供給すると発表したのが5月であった。
 宇軍からは未だ、ビデオ広報のようなものはリリースされていない。

 ※メーカーのプロモーションビデオを見ると、巡航用の牽引プロペラは内燃機関エンジンが駆動する。それを地上で始動するためには、オペレーターが、電動工具の手持ちドリルの先にカップラーをとりつけたような道具を押し付けて、スピナーを強制的に回してやっている。

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 Defense Express の2023-7-1記事「rUssians Wanted to Ride a Tank Over Anti-tank Mines in Ukraine and Lost Their Rare T-62M」。
    バフムト市の近くで、露軍のT-62Mのドライバーが、道路上にむきだしで2個置いてある地雷に、直前まで気付かず、なんとか2個の地雷の中間に履帯を入れようと操作したものの失敗し、地雷が轟爆するビデオが、SNSに出た。これは露軍が今次戦役で喪失した61番目のT-62Mになるという。

 なお、「M」型というのは、T-62を輸出用に小改造してあり、いちおう「新型」だ。

 このビデオは、T-62は対戦車地雷を踏んでも車内の乗員は助かるという例証になっている。乗員はただちに戦車を抛棄して逃げ出している。

 この路上の対戦車地雷は、露軍自身が仕掛けていたものと考えられる。とにかく地雷だらけなのだ。

 ※あまりにも地雷が多いので、ドライバーは疲れてしまい、いちいちそんなことを気にしてノロノロ走ってはいられないという心理コンディションなのだろう。

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 Marcel Niedermann 記者による2023-6-30記事「Russian gold trail leads to Switzerland」。
    ロシアは2022-2以降げんざいまでに、総計75トンのGoldを含有するであろう金含有物をスイスに持ち込んだという。スイスには金の精錬工場がある。
 「素材」はロンドン経由で持ち込まれた。

 2019年なかばにロシアの中央銀行がゴールドを買わなくなり、その後、金塊にかける消費税を廃止した。これで、金の輸出が激増したという。
 ※Gold輸出による外貨稼ぎが、モスクワ政府から奨励されたということ。

 スイスは、モスクワの軍資金のためにGoldのロンダリングをしてやっているとも言える。ロシアから持ち出されたときのまんまの金塊や合金素材なら、西側諸国は買ってはいけない。が、スイスで一回溶かされて、純金としてスイスが保証したインゴットに姿を変えれば、それらはふつうに取引可能だ。その金塊にはスイスの刻印だけが打たれているので。

 スイスの極印が打たれた延べ棒には「トレーサビリティ」が無い。最初にどの金鉱山で掘り出されたかなどという情報は、得られなくなるのだ。

 スイス業界からの反論。これらは本格侵略が始まる直前の2022-2にロシアから英国に運び出されていたものであり、違法性はない、と。

 ※日本は「スイスのような国」に、なってもいいのか? この記事はもともとはスイス国内のジャーナリストが、自国政府の没倫理に憤るあまり、すっぱぬいたものである。ところが政府も実業界も「ロシアマネーさまさま」なので、ロシアを困らせるような中古武器供与は、一貫して拒絶し抜く。これじゃ、世界に対して偉そうな顔もできないよ。そんな自己中の守銭奴としてさげすまれる国に、日本もなっていいんですかい?

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 Stew Magnuson 記者による2023-6-30記事「Navy SEALs Seek New Tech for Covert Missions」。
   5月に「SOF(特殊作戦部隊) ウィーク」カンファレンスというのがあって、その場で米海軍の装備開発計画部長の大佐が語った。もうじきロックマートが、SEALs用のミニサブを完成してくれる。潜入隊員をドライ状態で水中運搬してくれるものだ。隊員はその中に24時間いられる。ミニサブは深度330フィートを60浬、自航できる。
 収容力は、乗員2名+お客が8名。

 従来のシールズ用の「Mk 11」水中移動機は、ウェットスーツを着てしがみついていなければならない水中スクータータイプだったから、冷水で身体が疲労してしまう。とても連続して何時間も作戦できるもんじゃなかった。

 新型の潜航艇は、まるごと、『ヴァジニア』級SSNに載せて運べる。