全米ががっくりした ホームレス・アローン(Homeless Alone)

 CLEVE R. WOOTSON JR. & KRISTINE PHILLIPS 記者による2018-8-25記事「They raised $400,000 for a homeless vet – who said they spent it on vacations, casinos and a BMW」。
   ケイト・マクルーアはフィラデルフィア市内で高速95号線から一般道へおりるランプの途中でガス欠に陥ってしまった。
 そこに、ヤク中でホームレスの乞食、ジョニー・ボビットがいた。ボビットは元軍人である。
 ボビットは、車のドアをロックして待てと言い、物乞いで集めた手持ち金20ドルを使ってポリタンク入りのガソリンを買ってきてくれた。
 その後、マクルーアは乞食に礼をせねばならんと思い、捧状に固めたシリアルや冬用の靴下、小銭などをボビットにめぐむ。
 しかし、ネット上でまとまった資金を集めてボビット氏に人生をやりなおしてもらう支援ファンドを興したらもっと善いのではないかと考え付いた。ボビット氏ならそれを受ける資格はあるであろう。
 マクルーアの同棲人、マーク・ダミコ(自宅一軒所有)が義捐ファンドの立ち上げ事業を手伝った。
 彼らはせいぜい1万ドルも集まれば御の字だと考えていた。
 ところがWP紙などが美談としてこの話をとりあげたものだから、とんでもないことになった。ちょうどホリデイシーズン前で、「グッドモーニングアメリカ」が宣伝してくれたり、BBCも取材をして、すっかり全米規模で有名に。
 それから数ヶ月後には、ファンドには約1万4000人からの醵金40万ドルが蓄積されたのだ。
 昨年秋、マクルーアは言った。ボビットに家と、彼の夢のピックアップトラックであるという1999年型「フォードレンジャー」をプレゼントするつもりだと。
 ボビットの方は、彼がホームレスだったときにいろいろと助けてくれた個人や団体に対し、寄付をしたいと考えていた。
 ところがマクルーアとダミコがボビットに与えたのは、家ではなくて、1台のキャンピングカーであった。しかもその所有権はマクルーアとダミコにあって、駐車している場所も、ダミコの親類の所有する土地。
 さらに二人組は、テレビ、ラップトップPC、携帯、衣料、そしてSUVの中古車もボビットに与えたのであるが、このSUVはすぐに故障してしまった。
 現金はボビットの名義口座には入っていないため、ボビットはその40万ドルにアクセスできない。
 ボビットは当初弁護士には相談せず、フィナンシャルアドバイザーに相談した。
 ダミコいわく。現金はまだ20万ドルが残っているが、ボビットがマリワナ中毒から抜け出して正業に就くまでは渡せぬ。
 マクルーアはニュージャージー州運輸局のしがない受付嬢である。ダミコは大工である。しかるにとつぜん、彼女はBMWの新車を購入した。カップルは休暇をとってフロリダ、カリフォルニア、ラスヴェガスを旅し、ボビットはヘリの操縦を習ってグランドキャニオン上空を飛んだ。
 ダミコがヴェガスにおいて幾ら使ったのかは、ハッキリしていない。
 ボビットも麻薬と縁が切れていない。ドナーの義捐金の一部は、確実に麻薬の密売人の収益に化けた。
 ボビットはその後、弁護士を雇った。
 このネット寄付集めの枠組みを提供したのは「GoFundMe」という既存のサイトだが、同サイトにとって本件は、最大の醜聞になってしまった。
 ある内部告発専門サイトの管理人氏いわく。
 ネット上ではプロ詐欺師が、毎日、数十から数百のいんちき義捐金ファンドを立ち上げて、寄付を呼びかけています。たとえば癌治療のカネを集めたいと言う企画者に向かって「最近の診断書を見せろ」と求める人は、いないでしょう。
 それと、善意でファンドを立ち上げたのだが、本人たちに財産管理の能力がなくて、大金を無駄にしてしまうケースも、多々あります。
 ボビット氏のケースの場合、マクルーアにはヤク中患者を立ち直らせる方法について何の知識もなかったことが問題です。どれほどの資金を集めたとしても、ヤク中患者を一晩で立ち直らせることなどできないのです。
 分別のある人は、寄付をする前に、寄付金が正しく必要な人のために役立てられ、ふさわしくない人々の私腹は肥やさないことを、まず確かめねばなりません。それには、会計管理の実態をチェックすることが有効です。支出の細目までが遅滞なく公開されているかどうか。
 ボビットは現在、再びホームレスである。そしてひきつづき阿片中毒者である。ボビットはいまだに、集まった寄付金にはアクセスできていない。自分の名義の口座には振り込まれていないから。
 そしてマクルーアの車がガス欠になったあのランプで、当時と同じように、物乞いを続けている。
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 2018-8-26記事「China’s Navy Is Studying the Battle of Guadalcanal. Here’s Why It Matters」。
   40年間も実戦をしていない大国の軍隊というのはめずらしい。中共軍のことだが。
 ガダルカナル方面作戦で日本は艦船38隻、航空機700をうしなった。じつは米側も同じくらいに損失しているのだが、米側はそれを補充してなお余りある国家の総力を有していた。日本にはなかった。
 中共海軍の公刊雑誌が2017-12月号で、ガ島戦をとりあげた。
 MIでの敗報が正確に伝えられておらず、アメリカの生産力を過小評価し、攻撃主義に囚われていた。
 航空偵察が不十分。
 雑誌は、ヘンダーソン飛行場を早期に米側が確保し、日本の空母はそれに対抗できず、遠すぎるラバウル基地から飛んだ日本の戦闘機はガ島上空に十分なエアカバーを提供できなかったことを重視。
 日本陸軍は夜襲に自信を持ちすぎていた。
 日本陸軍は固有の支援重火器が非力過ぎ、にもかかわらず、艦砲やCASには頼らない主義だった。
 準備火力が無さすぎたのである。
 陸軍の総攻撃は企図がバレバレで奇襲にならなかった。
 部隊を蝟集させすぎていて、米軍火力の餌食にした。
 第一回攻撃は、兵力が少なすぎたが、増援が来たときには、米軍陣地の防備火力も倍増していた。
 日本陸軍に対する補給は悪すぎた。と同時に、米軍の後方兵站を攻撃するという着眼も持たなかった。
 日本海軍は目視を重視したので、日本の戦艦の艦橋は異常に高いのである。 陸戦では米軍の戦車が大いに働いてくれた。
 ※この既視感は何かと思ったら、要するに『失敗の本質』等の日本の古~い文献の受け売りですよね? 連中が数十年前の認識レベルで新しがっているようだと知られたのは一収穫だ。
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 Kelsey Atherton 記者による記事「Who will mass produce the first lethal drone?」。
 ウクライナ戦線では、低価格のドローンが、クォッドコプターから、固定翼型に、シフトしている。ロイタリングして突入自爆するタイプ。
 ことしの4月後半には1機のDJIのクォッドコプターが爆発物を投下している。よって、まだ廃れたわけではない。
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 Liu Zhen 記者による2018-8-26記事「China ‘developing electromagnetic rocket with greater fire range’」。
   レールガン類似の電磁推力で投射して初速を与える地対地ロケット砲を、チベット国境用に、中共軍が開発している。
 射程は未公表だが、200km以上になるだろう。チベット領内からインド軍を叩く。
 中共軍の保有する、直径30cmの地対地ロケット弾は、150km飛ぶ。
 標高4000mからこのロケット弾を発射すると、空気密度は海面の半分なので、空気抵抗は少ない。よって射程は延びる。
 そのかわり、ロケットの尾翼で姿勢を安定させることは難しくなってしまう。したがって着弾は相当にバラけることに。
 そこで、電磁カタパルトによって初速を与えてやることにすれば、正確さと射程の両獲りができる。
 ※電磁カタパルトのメリットとして、加速度を微調整できるので躯体を破壊してしまわずにすむというものがあったんだが、米空母へ実装したものはそうはならず、射出時に機体各部を傷めるらしい。ロケット弾も、筒体を高額な炭素繊維製か、頑丈なスチール製に変えるぐらいの強化が必要なんじゃないか?


世を憤らんよりは、進みてこれを救済すべし。

 Kyle Mizokami 記者による2018-8-24記事「Russian Vehicle Demonstrates New ‘Double Tap’ Anti-Tank Technique」。
       モスクワ郊外で毎年開かれる陸軍エクスポ。2018年度には、8×8の「ブメラン」装甲車が走行しながら2発を同時に発射して誘導できる「コルネット EM」対戦車ミサイルがデモンストレートされた。
 古いT-62が標的に供された。
 ※記者はこれはリアクティヴアーマーを無効化するためだと解説しているが、実戦状況下で敵戦車表皮の狭い一点に2発が続けて当たることを期待するほどロシア人も阿呆じゃない。これは《APSをAIによっていくら進歩させても、同時弾着飽和攻撃のコンセプトで無力化できるぞ》という虚勢なのだ。コルネットはとても重いシステムなので車載でなければなかなか運用もし難い。だとすればその車両は米軍の近傍で探知されずに済むのか?
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 Avery Thompson 記者による2018-8-24記事「NASA’s New Spacecraft Will Fire High-Powered Lasers at Ice」。
   7月に軌道投入された「GRACE」衛星は、複数衛星によって微妙な重力変動を検出する。写真撮影だけではつきとめられない、南極等の深層部の融氷を探知せんとす。
 そしてNASAが9月に打ち上げ予定の「アイスサット2」は、レーザーで南極の氷の表面の高さを精密に測り直す。
 これまでの測地衛星より進歩しているのは、1秒間に発射できるレーザーパルスの回数。だいたい1万発/秒に達する。おかげで、これまでより50倍細密な標高地図が得られる。
 ※この二つの技術を組み合わせて平時に経時的にデータをストックしておくと、イランや北鮮の地下建築工事を見破ることが、宇宙から、できるようになるのだろう。NASAは遊び本位の研究機関じゃないのだ。ところでトランプ氏による「宇宙軍」の創設に反対したい米空軍の起用する御用論客にパッとしたのが1人も見られないのが、最近の驚き……というか「やっぱりね」の慨嘆だ。大きな趨勢は、有人+遊びにこだわる空軍が、「グレイイーグル」などの無人機で無血勝利を探る陸軍と、無人衛星を使う宇宙軍に、挟撃されて地歩を侵蝕されるという流れ。この「無人」性で括るなら、宇宙軍とICBMは統合されてもいいだろう。空軍にICBMを任せておいたら、士気の点でも良いことはないと思う。
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 Jack Baruth 記者による2018-8-22記事「This War-Proven Radar Tech Lets Self-Driving Cars See the Road When You Can’t」。
    地面の下、1~3mがどうなっているか。ボーリングするとはっきりするが、対地中レーダーを使っても、ある程度の層を明らかにできる。
 これをあらかじめメッシュ状にデータ化しておき、そのマップと、車載レーダーから得られる刻々の直近の地下層の変化を照合して行けば、ロボット自動車も、確実にルートを見つけられる。
 すなわち、巡航ミサイルの地表高度マップ照合飛翔術と同じように、陸上車両も、GPSやレーザービジョンに頼ることなしに、正確なルートを辿ることができるのだ。たとえば雪や火山灰によって地表がすっかり覆われてしまって道路の境界がまるで分からぬようなときに、この方法だけが頼りになる。
 ただしこれは万能ではない。たとえば、アスファルトで覆われていない、むき出しの鋼鉄の橋梁上だったら、対地レーダーは盲目同然だから。
 ※ぜんぜん関係ないが、もし滑腔砲身とSABOT付き翼安定弾の組み合わせで加農砲の射程を2倍以上にできることがWWI前に発見されていたら、20世紀の戦争はガラリと変わっていたはずだ。ドイツは長さ150mのムカデ砲を地下に設置しなくとも、トンネル引きこみ式の列車砲でロンドンを砲撃できた。艦砲射撃は超水平線距離から実施される反面、低速大型艦船が幅80km未満の敵性海峡を通過する試みは、要塞砲のために、悪天候時以外は至って危険になっただろう。また、イスラエルの武力建国は最初から不可能になっただろう。


空手の「形」競技は、音楽付きにしたほうが圧倒的に人気は出る。スポーツは人気商売だと理解すべし。

Kent German 記者による2018-8-25記事「Supersonic without the boom」。
   ロックマートのスカンクワークスがかつてこしらえた「Xプレーン」。こいつは高度5万5000フィートでマッハ1.4を記録しているが、そのときの衝撃波(ソニックブーム)は何故かマイルドだったという。
 ここに再着目したメーカーでは、このたびNASAと組んで、コンコルドいらいの民間用の超音速旅客機に挑むことになった。静かな超音速エアラインを目指す。
 地上に衝撃波が届かなくなれば、どこの国でも、陸上飛行路線の制限がなくなる。コンコルドは、海の上しか路線化できないために、商業的に自滅したのだ。
 ロックマートとNASAによれば、地表まで届く新型機のソニックブームは、自動車のドアをバタンと閉めたときに聞こえるレベル位に抑制される。
 コンコルドの衝撃波の音圧波形はするどい2つのピーク・パルスが地上を舐めて過ぎるものだった。これに対して新型機では、地上で感ずる衝撃波の音圧パルスにグラデーションがかかるようにする。だからマイルドなのだ。
 そうするためには、機首はできるだけ長く伸ばして尖らせる。
 また主翼の後退角はできるだけきつくする。
 そして、カナード(先尾翼)の形状にも細心の注意を払う。
 新型機は、新奇な特殊素材には頼らない。すべて既存素材でこしらえる。
 エンジンもオフザシェルフで行く。GEのF414だ。
 ※スカンクワークスの伝統回帰だね。
 ショックウェイヴをマイルドに緩和するためには機体の全長はどうしても長くなる。※最新の新幹線の鼻と同じか。
 機首がやたらに長いため、パイロットの前下方視野はほとんどなくなる。コンコルドはそのために着陸時のみ機首をおじぎさせる面倒なメカを工夫したが、新型機では、前方映像をヴァーチャルでコクピット内に示すことにより解決する。
 ソニックブームは、その飛行機の機体が大きいほど、また、その高度が低いほど、陸上では激しく響く。バン、バンと2連続のパルスに驚かされる。
 ソニックブームは、飛行機が音速に達した瞬間だけ発生するのではない。超音速で飛行しているあいだは、ず~っと、常に、機体の斜め後方にひきずり続けている。
 地表に達する衝撃波は、家の窓を割ったり、古い構造物の傷みを促進したり、野生動物にも悪影響があるので、これを歓迎する住民などいない。
 NASAの計画とは独立に、ボストン市にあるベンチャーのスパイクエアロスペース社は、18人乗りのビジネス超音速機「S-512」を作るつもりである。
 コンコルドのソニックブームが105デシベルだったのに対し、S-512は75デシベルに抑制できると社長は吹かしている。
 ネヴァダ州にあるアエリオンスーパーソニック社は、別な企画「AS2」を持っている。これは「マッハ・カットオフ・スピード」という現象に着目して、きっかりマッハ1.2でビジネスジェットを巡航させることによって、ソニックブームが地表に達しないようにできるという。
 これは大気の屈折作用による。巡航高度より下方の大気は、より暖かい。特定の斜め下向きのソニックブームはそこでおのずから屈折して、斜め上向きに反転してくれるので、地表には届かなくなるという。
 アエリオンはロックマートと合同で設計を進めている。
 次。
 LAURIE MCGINLEY 記者による2018-8-25記事「McCain just ended his cancer treatment ? what does that mean?」。
   マケイン上院議員はなぜ、進行し続ける脳腫瘍の治療を打ち切ったのか。
 このケースの予後は悪い。治療しても平均して18ヶ月しか生きられない。
 すでにあらゆる治療を試した。これ以上は患者の負担がつらすぎる。
 治療を中断すると患者が決心した場合、期待余命は、2週間から6週間というところである。
 別な専門家は、フュー箇月生きる場合もあるというが。
 正確には、悪性型神経膠芽(/膠星状)細胞腫。
 この病気は、そもそも5年期待生存率が5.1%しかない。
 脳の血管には関門があって、治療薬の脳内侵入を阻む。だから投薬による治療が難しい。1998から2014まで78種類の新開発の脳腫瘍治療薬が臨床試験までこぎつけたが、75種類はモノにならなかった。
 かたや、免疫治療法は、ゴールが遠い状況。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-25記事。
  対IEDの電子機材、JCREW。このアップデート型の製造がようやく始まる。
 無線がトリガーになっているIEDを無力化できるものである。
 車両に搭載したJCREWを作動させっぱなしでコンヴォイが移動すると、通り過ぎたところでIEDが炸裂する現象がよく見られる。
 つまり電波のバリアーがコンヴォイとともに移動しているため、直近ではゲリラの指令電波は届かず、コンヴォイが去ったところではじめて指令が有効となり炸裂するのだ。
 ただし地元民の携帯電話も使えなくなってしまうので、その苦情が多かった。こんどのバージョンはその苦情を減らすだろうという。
 踏み板式の地雷ならジャミングされ得ない。が、民間人を殺してしまう確率が高くなる。そうなると、ゲリラが住民から浮いてしまう。住民から背かれないためにも、アフガンのゲリラは、いまや無線の視発装置に頼るしかないのだ。有線だと、現場からどうしても距離が近く、ボタン押し係が米軍から殺される確率が高い。これまた、ゲリラの士気にかかわる。
 ※ゲリラの対応を予測しよう。数十mの有線を地下に引き、その端末を特殊な受光機にして地上に目立たぬように置き、市販品(数千円)のレーザーポインターで、遥か遠くからその地上センサーを照射すればただちに起爆する、という仕掛けが工夫されるに違いない。これでJCREWの方が無力化される。もちろんセンサー自体が有限の受光面をもち、ある特定の方角からしか光は受け付けない。だから路上や空中からレーザーで事前スウィープしても無駄だ。さらに進化すると、レーザーのパルスが暗号パターン化するだろう。これなら広い角度から受光しても、ホンモノの起爆信号だけにしか反応しなくなる。


カケがくえんとは、にわとり学園 ということなのか?

 古語の神秘については本日の「読書余論」をご覧いただきたい。
 次。
 JOHN VANDIVER 記者による2018-8-24記事「NATO receives first lot of US precision-guided munitions」。
  米国製の空対地PG弾薬をできるだけ平時から欧州NATO圏内にたくさん貯蔵しておく。もちろんNATOが購入して。
 これにはフィンランドも一枚噛む。
 有事にある加盟国の弾薬が足りなくなったら、そのNATOのプールから使わせてもらう。こうすることで対米依存を減らす。
 この協定国は下記の如し。ベルギー、チェコ、デンマーク、ギリシャ、ハンガリー、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、英国。
 NATOの支援調達局が米国から直接に買ってプールする。
 2011のリビア干渉作戦で英仏の空対地誘導爆弾がたちまちカラッケツになったとき、他の欧州NATOメンバーから弾薬を緊急融通してもらうことが制度的に至難であることに気付かされた。それで制度を改める。
 2011年に知られた問題の一つは、米国が手持ち弾薬を融通してやろうとしても、欧州空軍の一部の機種にはその弾薬とのマッチングが前もって取れていないものがあって、どうにもならないことであった。
 たとえば仏空軍は、しばらくの間、コンクリート充填の訓練弾に誘導装置をとりつけたものを、リビア政府軍の陣地に落とすしかなかったという。
 ※民衆の海の中にわざと設けられた敵AAMG陣地に対しては、案外最適のウェポン選択ではないか。
 欧州NATO諸国は、このたびの目論見に続き、陸上用PG弾薬や、海軍用PG弾薬についても、平時ストックを充実させて、有事のプール活用を図るつもり也。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-24記事。
  ストライカーにアベンジャーのサイトをつけて30ミリと組み合わせるAAターレットを数年以内に導入する。対露軍用の装備も充実させる必要があるので。
 しかしすぐには間に合わないため、ピンチヒッターとして、ブラドリーにTOWのかわりにスティンガーを搭載させ、それによって臨時のAA車に仕立てる。
 米陸軍の1個旅団には90両のM2ブラドリーがある。これはTOW用にかなりすぐれたセンサーを備えているので、早く改造できるのだ。
 どんなセンサーかというと、GPSとFLIRとレーザーがぜんぶひとまとめになっている。


西暦600年から800年にかけてのイスラムの膨脹は、軍事テクノロジーによっては説明できない。

 だから、宗教的情熱の成果だったとされる。
 その節は、ガックリと寒冷化した200年であった。南北勢力交替の理由の過半はそれで説明できる。
 次。
 「Was Napoleon Defeated By The Weather In 1815?」。
    英国インペリアルカレジのGenge博士による新著は主張する。
 いわく。1815のタンボラ火山(インドネシア)の大噴火が、ワーテルローにおけるナポレオンの敗因だったんだ、と。
 ちなみに1816は「夏の無い年」と欧州では呼ばれたものだが、1815にはどんな影響があったというのか?
 いちばん細かな火山灰が電離層にまで達してそこで帯電した。それが電気的短絡を誘発し、西欧の雲を増加させ、ベルギーに大雨を降らせた。ナポレオンが得意とした機動は、泥田の中では遂行が不可能だった。
 タンボラの大噴火は1815-4月10日。小噴火はそれから半年続いた。
 ワーテルロー会戦は1815-6月18日に決着している。
 ※参考までに。1815-6-28に尾張~美濃南部で大洪水。7-9にも美濃大洪水。これは旧暦かもわからんけど……。
 次。
 Sandra Erwin 記者による2018-8-22記事「Trident Space’s challenge: Standing out from the crowd of SAR satellite startups
   かつて、レーダー偵察衛星で得られる画像といえば、1950年代の白黒テレビのように粗く不鮮明だった。雲に妨げられず、夜間にも撮影できることだけがメリットだった。
 ところがSAR(合成開口レーダー)の技術が発達し、また画像信号処理ソフトにAIが活用されるようになったので、いまや画像の質は光学衛星に近づき、しかもまた光学衛星では得られぬ情報も集まる。
 従来よりは遥かに小型軽量なレーダー偵察衛星を低軌道に多数周回させるという流儀によってそれが実現ができるのだ。
 その流儀を早く採用した民間会社は、全地球的なレーダー画像サービスを、世界の政府や企業向けに適価で有料提供できる大ビジネスを展開できるだろう。
 それをやろうとしているのが、米国ヴァジニア州にあるトライデント・スペース社だ。
 同社は2021年から、SAR小型衛星の打ち上げをスタートし、2027年には計48機をLEOに周回させると吹かしている。
 6機のコンステレーションなら、地球上の中緯度地方の任意の一地点を、連日、20回、レーダー衛星で撮像し得る。(これをリヴィジット回数と呼ぶ。)
 48機のコンステレーションが完成すれば、中緯度地方の地上の任意点に対するリヴィジットの間隔は10分未満となる。
 ※これはすごい。敵偵察衛星を韜晦することにかけてはプロである露軍、北鮮軍、中共軍が、平時においてはもはや欺騙行動が不可能になる。10分間では何もできるものではない。
 トライデントスペース社の衛星は、太陽同期軌道は採用しない。南北両極を通らぬ傾斜軌道で回す。その方が、リヴィジット・レートを高くできるし、光学衛星ではないのだから太陽光線に拘る必要などないのだ。
 小型SARの撮像解像度は、1mから30cmになるだろう。
 1m解像度の撮像イメージを、同社は、1平方キロメートルあたり、10ドルで売り出すであろう。
 SARの性能は、アンテナのサイズに依存する。
 電波はXバンドである。
 同社は結論として、衛星は300kgにまとめることにした。
 300kgサイズとなると、軌道上での寿命は4年である。その寿命が尽きるまでに、1m解像度の地表画像を、4400万平方キロメートル分、撮像できるだろう。
 ※低軌道となるほど小型機でも鮮明な反射画像が得られる。周回頻度も増大する。そのかわりに大気抵抗があるから寿命が短い。ギリギリの選択だね。
 1平米の写真を10ドルで売るのだから、1機が生涯に稼げる収入はMaxで4億4400万ドルだ。それに対して1機を打ち上げるコストは4200万ドル。
 搭載するレーダーは現在、小型セスナ機に搭載してメリーランド州南部でテスト中。
 そのデータ(インフォメーション)から、有益情報(インテリジェンス)を抽出するAIが商売の決め手だ。客に生データを渡して客に写真解析をさせるわけにはいかない。写真を根拠にした有益情報を、顧客に売るのだ。マシンラーニングが決め手である。
 SAR写真のAI分析は、産業として、まだ発展途上。というのは、ラーニングさせるための生データがまだまだ足りないのである。
 ※日本のカメラ付きドローンメーカーがDJI社製品群を凌駕するにはどうしたらよいのか? 陸自が無人機分野の遅れを取り戻すにはどうしたらよいのか? やっと成案が得られた。一発逆転勝利は可能である。どこかで語るチャンスもあるだろう。それにしても技本は不甲斐ない。原始時代のマネージングをやってんのか?


DMZに埋設する警報照明用の対人地雷には、天然ガスに添加される石油系の悪臭素材が混ぜられるとよい。

 KIM GAMEL 記者による2018-8-22記事「Top US commander backs S. Korean plan to remove some DMZ guard posts」。
  韓国国防省は、DMZの哨所を10箇所ほど閉鎖したい。米国も許可を与えている。
 ヴィンセント・ブルックス大将は、在韓米軍司令官であり、国連軍司令官であり、米韓連合軍司令官である。3タイトル兼任。
 哨所はまず2箇所を撤廃し、逐次にその数を加えていく。
 ※警報用の地雷というのは、人が踏んで一歩通り過ぎたとたんに地中から照明弾がポップアップして、侵入者がまさに通過中であることを警備兵に分からせる仕組みになっている、非殺傷性の対人地雷だ。その場の地面が燃え上がって、深夜にその位置を知らせるタイプもある。天然ガスは無色無臭であるが、それでは家庭用として不慮の事故の危険がある。そのためガス会社の拠点工場では、球形のタンクに蓄気する直前の工程で、石油系の「臭い剤」を混ぜる。この原液は途方もなく強烈な臭いを発する。わずかでも身体に付着すれば、風呂に入ったところで数日間は落とせないという。したがって便衣のスパイの密かな浸透は、難しくなるわけである。
 ※半島DMZのフェンスが撤廃されてしまったらどうなるのか? 詳しいことは『日本転覆テロの怖すぎる手口』最終章に書いておいたから、チェックしておこう!
 次。
 SETH ROBSON AND LEON COOK 記者による2018-8-22記事「New technology could eliminate long checkout lines for military shoppers」。
  ヨコタの米軍基地内の酒保は、シアトル市にできたアマゾンアウトレットと類似の、「レジ無し店」を目指す。
 しかしアップルペイなど使いたくはないわという空軍兵の配偶者も多い。
 「スマホを失くすだけでも悪夢なのに、それにデビッドカード機能までも載せておくなんて……」というご心配だ。
 ※哲学者のアンリ・ベルクソンは、身体感覚によるリアルタイムチェックが働かない「記憶」は、われわれが夢の中でありえない非現実を受け入れているように、暴走するじゃないかという指摘を1890年代にしていた(『物質と記憶』)ので、恐れ入るしかない。現今の仮想通貨や電子マネーも同じことで、身体感覚を有しないマシーンがAI強化のマルウェアに犯された場合、マシーンにはデータの真贋の区別などできやしない。われわれ日本人が、カードなどよりも現金(物理的な紙幣と硬貨)を信頼しているのには、AI時代の今日、ますます正しい理由があるのである。まさに日本社会の安全の担保になっている特権材なのであるから、判断力の狂いっ放しの「新・新官僚」などに唆されてこれを捨ててしまってはいけませんぞ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-22記事。
 イタリアの「チェンタウロ2」の装甲は、路肩爆弾に耐えることを第一とし、機関砲弾に対する防弾を第二義とする。
 米軍車両のJCREW類似の、IED起爆信号妨害装置も備える。
 装輪装甲車として初めて120mm砲搭載。45口径長で、NATO軍現用のAPFSDS弾も、そのまま発射できる。
 また、旧チェンタウロと同じ52口径長の105ミリ砲を選ぶことも可能。
 120mm砲は、連続6発まで、半自動装填される。
 自重が30トン。8×8。
 増槽なしで無給油で800km移動できる。
 1991デビューの「チェンタウロ B-1」は、24トンだった。
 米軍はこれを借り上げて、21トンの105ミリ砲搭載型ストライカー駆逐車を完成した。
 こいつは12.7ミリ機関銃を車内からリモコンできる。
 105ミリ砲は自動装填。


今からどういうオッサン顔になるのか想像のつく「高校球児」しかおらんとは……。興醒めですわ。

 自分で生涯インカムを見通して設計もできるスポーツ少年が増えることは、悪いことじゃない。コーチや理事長らに搾取されないためにもね。
 そしてじつはこれが反日テロの世界でもトレンドだ。
 悪く言えば「卑怯者」こそチャンピオン。
 特定されない。摘発されない。訴追されない。公判になっても重罪は申し渡されない。
 そんな志向の目端の利くやつらは、一貫して増える。
 この潮流を正しく観測できれば、社会破壊テロの先手を打てるだろう。
 次。
 Joby Warrick 記者による2018-8-19記事「In fight against ISIS’s propaganda machine, raids and online trench warfare」。
  欧米でISの新入テロリスト募集手段を牽引しているのが、アルバイヤンというブロードキャスターが顔になっているアマクというネット宣伝放送局。
 4-26から、ベルギー、フランス、オランダ、ルーマニア、ブルガリア、英国、カナダ、米国の8ヵ国の警察が協調して、ガサ入れと発信元サイトの閉鎖を繰り返している。が、すぐにまた敵も復活するので、鼬ごっこ。
 アマクは「テレグラム」という、メッセージを暗号化できるアプリを活用している。
 コアな支持者たちが一斉にそれを再配信することで、不特定多数向けのリクルートコンテンツの機能が発揮されるのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-8-21記事。
  習近平は三代目への個人的な好意として、密かに、発電関連機材(総発電量20万キロワット)を貨物船によって届けた。貨物は、税関を一切スルーして、平壌近郊の2箇所の稼動していない発電施設まで搬入された。北鮮は自力ではその必要な部品を手当てができなかった。
 習は9月に平壌を訪問する。
 北鮮では外国人が通る場所に「孤児」がうろついていることを許さない。孤児は18歳まで隔離施設で養育する。ところが施設の職員らが食糧をピンハネするので、ガリガリに痩せている。運良く餓死せずに18歳になれば、ストリートに戻って乞食になるだけ。だから最近では餓死させられる前に施設を脱走してしまう。
 北鮮では貧民の親が子供を奴隷労働力斡旋所へ売り飛ばすことも2015年から増えた。
 8-4にロシアは数千人の北鮮労務者を極東の自領内に受け入れた。国連の制裁違反だが、もちろんロシアにはそんなの関係ねえ。
 必要な労働者を得ようとして労賃を上げると、支那人がドッと入ってきて地方経済ごと乗っ取られてしまう。北鮮労務者を安く使う方が遥かにマシなのだ。


新手の「ナルコ・テロリズム」は、「食品・食材への麻薬混入」を伴う。

 金正日が拉致を認めて謝罪した2002年に、松江市の沖で、暴力団が雇った遊漁船が、北鮮の貨物船から覚醒剤数百キログラムを瀬取りして密輸入。この密輸グループを、海上保安庁と警察と税関は、日朝会談が始まった直後の2006年になって初めて、摘発開始しているのだが、それはどういう事情なのか、不明きわまる話だった。
 2003から後、同様の密輸の試みはないのか? ふつうに類推して、あるに決まっている。だが、何ゆえか、大量押収例は、ネットでヒットしない。抑止されたのか? それとも、抑止に失敗しているのか? どうにも謎。
 非常に有意義な『新潮45』の連載記事によれば、アディクテド達の「更生」は、統計学的にほとんど期待できない。
 確実な需要があるとなったら、それは北鮮当局には確実なシノギと映る。外貨の貢納金額によって忠誠心競争の勝敗が決まる北鮮体制の内部構造も不変だろうから、習近平が毎年の巨額援助を約束した今となっても、違法薬物の密輸出ドライブを控えるインセンティヴは無いだろう。
 世界のテロ集団の多くが、初めはイキがったことを標榜していても、最後には薬物の商売人に落ち着く。シノギそのものがテロ行為。自分を納得させやすいのかもしれない。
 さらに詳しくは、新刊(PHP新書)『日本転覆テロの怖すぎる手口』で確かめよう!
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 ストラテジーペイジの2018-8-20記事。
  F-22は、飛行1時間あたり7万ドルのコストがかかる。
 F-16は、その三分の一である。
 F-22の即応稼働率は2017年には49%まで落ちたが、2018年には60%まで回復させた。しかし米空軍の平均である70%には達しない。
 このためF-22パイロットの練度は他機種の乗員より低い。訓練時間が得られない。
 米空軍関係者たちは、次のすごい戦闘機の開発の予算をがっぽり獲得したい。そのためには現役のF-35とF-22が常にマスコミに登場するようにしておく必要がある。納税者へのPRのために。
 そのために、21機からなるF-22スコードロンの中からわずか数機のF-22を選んであちらこちらの「最前線」へ海外出張させることになるが、それをやるためには、スコードロンの抱えている整備兵の半数も、海外へ送り出さねばならぬ。
 この出張編隊が帰還するまでは、スコードロンの本国残留本隊では、ますます飛行訓練時間を抑制されなければならぬ。
 アラスカ基地は、ロシア機をスクランブル邀撃する頻度の高い前線なので、やはり納税者向けPRの必要から、空軍としては常に一定数のF-22を分遣しておかなければならない。ところがアラスカ基地の格納庫は、空調が、南の内地ほど十全ではないのだ。そのために、一度塗ったら10年保つはずのF-22のステルス外鈑コーティングが、アラスカ基地ではいち早く劣化してしまう。この塗りなおし作業は最長で1年もかかる大作業で、そのあいだ、そのF-22は飛ぶことはできない。
 F-16を1時間飛ばすためには、整備班は19マン×アワーを要している。
 これがF-22だと、34マン×アワー。
 ロックマートは当初、なんと言っていたか。10マン×アワー以下で済みますよ、と言っていた。F-22が。
 よけいに手間のかかる理由のほとんどは、レーダー波吸収性コーティングの補修である。
 F-35は、吸収材に頼らない設計にしているおかげで、F-22よりもメンテナンス・コストは抑制できている。


アマゾンで後から頼んだ人も、そろそろ着きましたね? 都内なら即日届く状態です。

 ELLEN KNICKMEYER 記者による2018-8-19記事「US says conserving oil is no longer an economic imperative」。
   トランプ政権は、自動車の燃費についてもう五月蝿いことは言わぬことに決めた。
 なぜなら天然ガスのフラッキング採掘がどんどんできるようになって、輸入エネギーへの依存率が激下がり。シェール・オイルという巨大予備タンクも自国内に確保されているのだから、もはやエネルギー安保を気にして節約する必要など、ないのである。
 地下深くで水平方向へドリルを掘り進ませることができるようになったことも、価格を下げている。
 2008年夏の原油価格は1バレル147ドルだった。今は65ドルだ。
 しかし批判者いわく。でかいデブが、食料品が値下がりしたからといって、ドカ喰いを再開するようなものじゃないか。
 ※これは面白い。ドイツの自動車メーカーのディーゼル部門は、規制が緩められた米国内に製造プラントも研究所もぜんぶ移転してしまうことができるだろう。そうやって投資と雇用を増やすことを狙っているのだとしたらトランプさんも凄いもんだが、たぶんは、そこまでの深慮遠謀は…………?
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 Kyle Mizokami 記者による2018-8-16記事「Is Russia’s Mysterious New Satellite a Space Weapon?」。
    ロシアの人工衛星に近づいて状態を視認するための衛星だ――とロシアが称しているもの。怪しい。
 それは2017-6-23にプレセツク・コスモドロンから打ち上げられた。ロシア国営メディアによれば「コスモス2519」である。
 それは親衛星で、中から子衛星をたくさん放出した。それらの機能はさまざまだという。
 前に打ち上げている衛星に不具合が生じたとき、どこがどのように故障したのかを知りたい。そのためには、査察写真衛星を近寄せて外見を撮影させて画像を地上に電送する方法がある。
 ところで、そのようにしてすぐ近くからカメラの照準を合わせられるということは、そのミニ衛星にカメラの他にレーザー銃やマイクロ波銃などを搭載させておいたら、ついでに対象を破壊もしてしまえるわけである。
 その査察衛星を外国衛星に近寄せれば、そのままASATとなるのだ。
 外国は、他国が打ち上げた査察衛星がASATなのかどうか、平時に判別する方法は無い。
 ※まさに宇宙のグレーゾーン狙い。平時から親衛星を多数周回させておき、有事に一斉に子衛星を放出して通信も偵察もできなくしてしまう。
 ロシアは「ヌドル」という地対宇宙の衛星攻撃兵器を持っている。しかしこれは敵衛星が基地の直上を通過してくれるときにしか使えない。
 ワシントンフリービーコンによれば、露軍はさらに2つのASATを製造中だ。ひとつは「ルドルフ」と呼ばれ、もうひとつは「ティラダ2S」という。また、中共もさまざまなASATを研究中である。
 ※ロシアの技術のうち「フカシ」の部分と「リアル」の部分を嗅ぎ分けねばならない。水中核ミサイルとかマッハ20のハイパーソニックとかは「フカシ」である(前者は計画すらなく、後者は実用段階に達していない)。メディアには宣伝をさせていない分野が、じつは恐ろしいのだ。一例が、彼らが戦前から得意な冶金分野に最新のナノテクを結合させているサーモバリック弾頭。80年代から孜々として研究と改良が継続されていて、その実験はかつてはアフガン、チェチェンにおいてなされ、今はアサド軍にシリアでさせている。北鮮は伝統的にこのアサド政権と武器技術の交流をしてきた。シリア経由でサーモバリックの見本は北鮮へも渡されている。もしサーモバリックがテロの道具に本格的に応用されれば、今の警察の対応はぜんぶ無効になってしまう。詳しくは最新刊『日本転覆テロの怖すぎる手口』を読もう!


放置道標考

 いや~こっちは早くも夏が終わりかけているので、思い余って山登りをしてきました。
 「蝦夷松山」という、函館市街地からは誰もが望むことのできるスカイラインなのですが、誰もそんな山名など意識したこともあるまいと思われる、無名に近いピーク。667m。
 2002年改訂の『北海道夏山ガイド』を片手に、なんとか登頂できました。このガイドブックがなかったら、もうどうしようもなかったです。
 途中に数ヶ所ある分岐点の指導標識が、もののみごとに全滅状態でしたので……。
 陣川温泉の少し上、真言宗神山教会の霊場(そこには硫黄臭のする鉱泉が湧出している)を通り過ぎたすぐ上に、まず最初の重要なY字分岐があるのですが、ここの、右側が登山路であるという標識(10年くらい前にはあった見覚えあり)が、なくなっていました。たぶん、よそから来た人はここでアウトでしょう。
 途中、大きなゴルフ場まで通じているらしい車用林道と十字クロスするところにも、何の案内板もありません。右手へ行けばゴルフ場までエスケープできるという案内があってもいいんじゃないか?
 そのクロスを過ぎた先に1箇所だけ「蝦夷松山登山道→」と書かれた木製の標識看板が丸太の柱頭に固定されて路傍に立っていたのが、唯一、健全な状態の案内標識でした。その先が谷渡りのために下り坂になっているので、疑問を生じてしまうであろう登山者を慮ったのかもしれません。でもこれは分岐点に植立した方が親切ですよ。
 標高510mの最後のY字分岐には、道標の柱だけが残っており、標識看板は地面に落下して草に埋もれた状態でした。そこから頂上までは、ここ半年かそれ以上、刈り払われてないだろうと思われる藪状態。そこを30分前後も縫って行く。岩場のロープ下端まで辿り着かないうちに「おかしい。引き返そう」と、信念が揺らぐ人も多いのではなかろうかと思いました。
 イタリアのRC高架橋崩落事故の映像を見てつくづく思います。上からの荷重(道標の場合、積雪と、春に徐々に融雪するさいのおそるべき引っ張り力)や、横からの強風に、何年も曝され続ける人工構造物は、そこに立っているだけでも常に壊れつつあるんだという認識が必要です。
 「横に長い看板」はさいしょからダメでしょう。「柱と分離する可能性のある板」もダメでしょう。それらは必ず雪圧で脱落するか、風で吹き飛ばされる。
 理想的なのは、担いで登り易いアルミの中空柱で、頂端部の少し下の上下50cmほどが僅かにリセスになっていて、そのリセスが長方形の平面であるものです。その平面上に文字や矢印をレーザーで彫り付けて、1本柱の案内標識とする。
 これならば、風雪や倒木、落下枝の破壊力にも耐えて、何十年も役目を果たしてくれるだろうと愚考します。
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 LOUISA LOVELUCK 記者による2018-8-18記事「The secret app that gives Syrian civilians minutes to escape airstrikes」。
   シリア政府軍の航空基地を見張る一人の男。空軍機が離陸すると、スマホから「空襲警報アプリ」のホストコンピュータに一報を入れる。
 ホストコンピュータは、その予想爆撃目標を推測し、SNSを通じて一斉に警報を発する。
 反政府ゲリラも、民間人エイドワーカーも、ただちに退避壕へ。
 このシステム構築のために、複数の西側政府が資金を出している。
 見張り役は8時間交代。飛行機を視認したら、その位置、飛行方向、そして、為し得れば機種を、ただちに通報する。
 この情報は、複数のリモートセンサーのデータによって補完される。
 センサーは音響を拾うマイクである。樹上やビルの屋上に匿して設置され、航空機の速度や、機種まで判別ができる。
 その上で過去の空襲パターンのデータを参照して、予見される空爆地区と、空爆開始時刻が算定される。
 SNSを通じ警報を受けた区域では、サイレンを鳴らして人々を避難させる。
 当該地区の病院施設では、警告灯が明滅する。
 航空無線を傍受することにより、化学兵器による攻撃の兆候を察知できることもある。
 ※地方の書店でまだ『日本転覆テロの怖すぎる手口』が入荷していないところはあるかな? 神社の御神木に除草剤を注入するといった「隠微なテロ」が日本ではこれから主流になるのです。山の中の道標を意図的に破壊する手合いも現れないとは限らない。日本社会が「社会破壊工作員」たちの後手に廻ってしまわぬように、早く本書によって意識を一新するのだ!