先端がラウンドな再突入体は焼蝕を制御し易いが落下中のコースぶれが大きく、CEP=5kmにもなり、並の原爆イールドならほぼ無意味。

 ALEX HORTON AND THOMAS GIBBONS-NEFF 記者による2017-8-26記事「Deadly Navy accidents in the Pacific raise questions about systemic problems」。
   第七艦隊は酷使されすぎていて、それが事故連発の下地である。
  母港で訓練しつつ休養ができる期間が圧縮されすぎている。
 いつも任務に出ずっぱりにさせられている。
 これでは当直士官の集中力がとうてい持続不可能なのである。
 任務行動中の軍艦の若手士官の当直は、毎日4~5時間に及ぶ。
 これではどんなシャープな士官でも感覚は鈍ってしまう。
 というのは、実質の睡眠時間は4時間しか取れないからだ。
 ふつう艦長は夜間の当直士官に、他の船舶が3海里に近づいたなら、寝ている自分をたたき起こせ、と命ずるはずだ。しかし『フィッツジェラルド』ではそうしなかった。衝突時に艦長は自室で爆睡中であった。どうしてそうなったのか、今のところ、謎。
 2017-1月にミサイル巡洋艦が東京湾で座礁。艦長は解職。
 3月にミサイル巡洋艦が韓国漁船と衝突。
 この艦長は馘になってないらしい。なおこの艦だけは第七艦隊のフネではない?
 『フィッツ』事故がそれに続いた。
 そしてこんどの『マケイン』事故。北から南下してシンガポールを目指しているところで、同航船〔3万トンタンカー?〕が左サイドに当たった。
 平時における米軍艦の、典型的な仕事サイクル。これは2年先まで予定される。6ヶ月、作戦任務展開/遊弋したら、18ヶ月はメンテナンスと訓練と休養にあてる。これがまともなパターン。
 しかし今日の太平洋では、3ヵ月間、作戦任務展開/遊弋して、6ヶ月間在港という異常パターンになりつつある。
 第七艦隊の場合、敵が近いので、在港中もいつでも出撃できなくてはならない。気が休まらない。
 『マケイン』の場合、直前の12ヵ月のうち7ヶ月も作戦していた。
 ※当直士官の代役となる「AI」すらできないというところが、今の「AI」開発の現況なのだ。イージスのソフトウェアよりよっぽど行数が少なくて済むと思うのだが……。日本企業が作ってやれよ。ていうかF-35の全周センサーを外舷にペタペタ貼り付けりゃいいだけじゃね?


【朗報】グロホは中止するのがあたりまえ。これを「良き前例」とせよ。

 「RQ-4 グローバルホーク」は「筋悪案件」だと最初から思っていた。
 〈当初見積り額より25%値上がりしたら中止〉という装備庁の内規があるので、新聞公表値は23%で寸止めされたのだろう。
 じっさいはもう25%超えは確実なのだろう。中止だ、中止!
 この機体にはスパイ衛星並の米国製センサーと対衛星通信システムが搭載される。その金額が箆棒なのだ。機体そのものはぜんぜん安い。
 グロホはステルスではないので、大型(ペトリオット級)の対空ミサイルで難なく撃墜されてしまう。日本の敵どもはアフガンゲリラとは違うだろう。
 米軍や、豪州軍(海洋監視型の「MQ-4C トライトン」を採用決定)ならば、撃墜への報復もし得る。だから裸のグロホを運用しても、敵はSAM発射を自制してくれる。抑止が働く。
 ところがわがヘタレ日本政府の場合、撃墜に対する報復があり得ない。したがってSAMは飛んでくるわ、AAMは発射されるわ、自爆UAVは特攻してくるわ、レーザー目潰しやGPS妨害や衛星通信妨害はかけられ放題だわで、さんざんなことになる。
 1機落とされれば、損失額は目も当てられない。F-2の津波流れ、なんてもんじゃない。
 それに中東と違って日本周辺~半島には雲が多い。
 雲の多いエリアで偵察機が成層圏飛行したって、しょうがないのだ。IRセンサーは密雲に関して万能ではない。
 「雲下飛行」のできる「RQ-9 リーパー」級の方が、不審船監視任務でも、北鮮のミサイル発射早期警戒任務でも、重宝することは間違いない。
 「RQ-9 リーパー」の海洋監視型の共同開発を、こっちから米政府に逆提案することだよ。そうすればFMSの罠に泣かされることもない。
 三菱にとって一文の得にもならない筋悪「THAAD」の押売り案件を撃退したのは「朗報1」だった。今回のは「朗報2」だ。この調子で行こう。
 なお米空軍はグロホ操縦士の士官の成り手がいないので2015年に議会からの圧力で下士官登用の道をひらくことを決めていたが、このたび、最初の下士官三名がリモコン操縦課程を修了したそうだ。来年以降、どんどん増える下士官操縦士が三沢でグロホを民航機に衝突させる等の事故を起こした時、日本政府と国交省はどう国民に「言い訳」するのか、いまから考えてあるでしょうな?
 空自の場合、もしも本当にグロホを導入していたら、下士官に操縦させるつもりはあったのだろうか? そろそろその準備も必要だね。


「フェルミのパラドックス」が解けた。

 1950年にエンリコ・フェルミが同僚に尋ねた。
 宇宙は古く、しかも広い。恒星だけで何兆個あるかわからない。生命が発達可能な惑星数はその恒星数より多いだろう。〔補足。天の川銀河系は直径10万光年、恒星1000億個以上。そんな銀河が他にも無数にあり。〕
 しからばなぜわれわれは彼ら「宇宙人」を見かけず、宇宙人たちから一度もコンタクトされていないのか?
 これが「フェルミのパラドクス」。誰も解けていないという。
 じつはわたしはずっと前からこの問いについての回答を保持している。思い出せないくらい何年も前からだ。しかし、どうせ誰かがどこかで先に答えている古い問題なのだろうとも漠然と思い込んでいた。
 ところがどうもそうではないらしいということが「AI」(人工知能)を調べているうちに分かってきた。
 念のため「AE」(人工実存)を唱えたと聞いている小松左京の『自伝』と『虚無回廊』にも目を通してみたところ、期待に反してくだらない作家だったと確認ができただけだった。レイ・カーツワイルの『シンギュラリティは近い』(エッセンス版)等等等……すばらしい想像力だが、大事なところで的を外している。このことに驚いた。
 兵頭いわく。知力が発達した高等宇宙人(∋地球人)は、最後にはかならず「AI」をつくる。
 その「AI」は多種多様・多角的な手法で、任意の生命の「死」をなくしてしまう。
 ここまでは、先人は正しいのだ。問題はその先だ。
 「死」がなくなることによって「生」もなくなるのである。ここが毛唐と毛唐かぶれには分からぬようだ。
 もはや人は誰も働かなくても生きていける。死なないのだから当然だろう。エネルギー問題も資源問題も「AI」は解決するだろうが、それはごくちっぽけな話題にすぎない。地球が自爆しようが、太陽の寿命が尽きようが、人々にはもうどうでもいいのだ。だって、死なない生命は、すでに生きてないのと同じなんだから。
 生きる必要がなくなれば、他者や他物への関心・好奇心も一切なくなる。ここがなぜ人々にはわからないのか?
 もちろん進化した宇宙人は、他の宇宙人諸族について何の関心も持たない。死の恐怖がなく、副作用のないVRによる快楽だけがあるのに、なぜ他のことを「する」必要がある? 他天体の観測とか他生物へのコンタクトとか……ひたすらめんどうくさいだけであろう。
 カーツワイルが想像したのとは違う形で、シンギュラリティは来る。その先は、人類は「死」と無縁となって、その瞬間、われわれは「生」とも無縁になる。「AI」は間違いなく人類を終わらせる。それはもう誰にも止められないのだ。
 いずれ、このテーマで1冊書きましょう。
 次。
 さいきんのネット記事「Five myths about missiles」。
  大気圏外まで発射した弾道ミサイルを大気圏内に再突入させてからそこで水爆弾頭を実爆させるというテストは、米ソともに1回づつしかやっていない。
 ソ連は1956-2-2に、中距離弾道弾で実施。
 米国は1962-5-6にSLBMで実施。
 そのご1963に米ソ英は、大気圏内核実験を禁止。
 加盟してない中共は1966-10-27に、中距離弾道弾で実爆実験実施。
 この、つごう三回を除くと、どの国も、再突入+実爆というテストはやってない。
  ※UPIによると北鮮はグァム島の6年前撮影の衛星写真しか入手していないことが自家宣伝画像でバレてしまった。
 ソ連はウランを比較的安価に濃縮できるガス遠心分離プラントを、ドイツおよびオーストリーから連行した技師によって1950年代なかばに完成した。この技師たちは釈放されたあと、同じ装置を、西ドイツ政府と米国政府のために再現してやった。
 今日、このガス遠心法によるウラン濃縮が、豪州、ブラジル、英国、支那、仏、印、伊、イスラエル、蘭、日本において実施されている。
 ※茂多岬~狩場山にチージス(地上配備型イージス)が1基必要だ。それと、福井県と山口県の海岸にも。どうしてか。北鮮が米軍からの「自動核反撃」をギリギリ回避して短距離SSMで核攻撃できそうな場所は限られる。釜山港、千歳空港、県営名古屋空港(航空自衛隊小牧基地)、関門海峡が、その有力候補だ。米陸軍の増援は千歳にまず飛来する。だからここを直前に汚染してやる価値がある。数万人の上陸は釜山からしかできない。だからここには必ず1発来る。釜山の後方となると関門海峡だ。だからここも汚染する(以上はすべて火球が地面・水面に接する超低空起爆でなくてはならない)。名古屋北郊にはF-35整備工場がある。そして米軍は所在しない。だから狙われる。北鮮から名古屋もしくは千歳まで実際に弾道弾が届き、且つ、実爆したと証明されると、その距離は、北鮮から北京までの最長距離とちょうど等しいので、中共に対しての、この上ないリアルな「脅し」になるのである。北鮮にとり、この「実爆実射実験」には至大の価値がある。


「シンギュラリティ」はエロ画像世界でも起きてる現象。整理し切れないペースで高品質スチルのアップロードが続くことで。

 米沿岸警備隊 Jay Caputo 大佐による『プロシーディングズ』2017-8月号寄稿記事「A Global Fish War is Coming」。
  過去二十年近く、この地球の資源は有限であり、権力圏拡大の余地は海洋だけであることがハッキリしてきた。
 今日75億人の地球人口は、2050年には97億人になる。主としてアフリカとアジアで増加する。
 1960年代の人々は1人が年に9.9kgの魚貝を消費していた。2013年には19.7kgである。2014年以降は20kgを超えたと推算される。
 2014年の世界の漁船の総トン数は460万トン。うち75%はアジア諸国の船。15%はアフリカ諸国の船。
 現在、全長24m以上の漁船は世界に6万4000隻ある。なかでもアジア諸国の遠洋漁業船は新型の大型船が続々と投入されつある。
 世界の漁獲高は8000万トン(メトリックトン。MMT=百万トン)で安定している。それとは別に養殖魚介類が年に7380万トン水揚げされている(うち62%は支那)。
 養殖漁業の規模は、2018年に天然漁業を上回るだろうと予測される。ただし忘れてはならない。養殖魚のエサは魚肉タンパクだ。養殖が拡大すれば、エサ需要も増える。
 トロール船はかつてなく深い海底にまで網を入れるようになった。ということは、網を入れる海域も拡大したということ。
 気候の温暖化により、アジア、アフリカ、南米では、乾燥不毛地が増す。よって、ますます漁業が命綱になる。
 米国は世界最大面積のEEZを有する。これはハワイ諸島など太平洋島嶼の領土があるおかげである。
 米国は世界第三位の漁業国だ。年に500万トンを水揚げしている。それをうわまわる世界第一位は支那、第二位はインドネシアである。
 米国最大の漁港は、数量面ではアラスカのダッチハーバーである。金額だと、マサチューセッツ州のニューベドフォード漁港。
 2014年、米国は食卓用魚介類を58億ドル生産し(これは日本をわずかに上回って世界一位)、非食卓用魚介類を240億2000万ドル生産した。同時にそれら食卓用/非食卓用魚貝類を輸出して300億ドル稼いだ。同時に輸入額は、食卓用が202億ドル、非食卓用が156億ドルであった。つまりあわせると358億ドル、米国は魚介類を輸入したことになる。
 米国の漁業関連産業の規模は、年産2500億ドル規模である。この産業が130万人の雇用をもたらしている。
 というわけで米国は全世界の漁業問題について絶大な関心を払わざるを得ない立場にある。
 米国は魚介資源を破壊する乱獲には反対する。世界の漁業は多国間合意によって管理されねばならない。
 非合法的な密漁によって、毎年100億ドルから235億ドルが稼ぎ出されていると推定できる。数量にするとそれは、110万~260万トンである。
 世界の漁業資源をうまく管理すれば、資源が毎年再生するので、現在の世界の総水揚げよりも、165万トン=320億ドル、増産することが可能。それは、増加する地球人口を養うに足る数値だ。
 全地球の海を1杯の生簀だと看做そう。もし、その生簀の中の魚が毎年2倍に増えるのなら、われわれは毎年その生簀から半分の魚を掬い上げて消費しても可いのである。これをMSY=最大持続可能漁獲量 と呼ぶ。
 しかしもし世界各国が乱獲して総漁獲量がMSYをうわまわれば、世界人類が利用できる天然魚貝資源の総量は急減するのみ。
 山林の入会地に利用の秩序がなければ、そこはたちまちハゲ山化する。それと同じこと。
 海洋漁業管理のため国連はRFMOを地域ごとに組織している。沿岸国、船籍登録国、水揚げ国から成る。
 水揚げ国は、市場にもちこまれてきた魚介類に正規の書類が付属しているかを点検し、無法に漁獲された魚介類(IUU=狭義の密漁だけでなく広義の無秩序水産物を含めて呼ぶ)を流通させてはならない。
 米国コーストガードは現在、4方面のEEZでIUUトラブルと直面している。
 ひとつはメキシコとの海上境界だ。1000隻以上もの高速密漁艇が流し網で鮫やフエダイを狙ってやってくる。
 米コーストガードは毎年そのうち200隻を空から確認するが、巡視船艇が少ないため臨検できるのは2割のみ。結果、米国漁民はフエダイの漁獲高に1割の損失があると試算される。額にして120万ドル。
 メキシコのドラッグ・カルテルの中には、これら密漁ボートを麻薬の密輸出に使っているところもある。
 次がニューイングランド沖。鱈を筆頭に13種類の底生魚類が獲れる。
 特にタラが乱獲されやすい。
 太平洋のハワイ諸島や米領島嶼のEEZには、マグロを狙ってアジアの多国籍密漁組織の遠洋漁船がやってくる。
 四つ目のトラブル海域が、アラスカ沖のロシアEEZとの境界だ。ロシア漁船はすべてマフィアの仕切りである。
 ロシアの国境警備隊も非協力的であるため、140万トンのスケトウダラ資源が危機に瀕している。
 2015-11に、不法漁業規制法が成立した。これ以降、正規の書類を有していない漁船が水揚げ港に入港することじたいを港湾当局が拒止できることになった。
 2015いらい米国は世界の不法漁業と戦う姿勢を示している。
 特に問題ある海面は、西アフリカのギニア湾、ハワイなど太平洋諸島域、インドネシアとフィリピンの海域、ベンガル湾。
 ギニア湾には米コーストガードが毎年出張して直接取り締まりしているほか、沿岸国から取締官が米海軍の軍艦に同乗して、違法漁船への飛び乗り・立ち入り検査を実施。
 セネガルの取締り船に米コーストガード隊員が同乗する活動も。
 仕切りは、アフリカコマンド。
 太平洋では、米コーストガード隊員が米海軍の艦艇に同乗して、同様の臨検活動を実行している。
 米コーストガードは最近は国務省とも連携している。麻薬、武器、人身を密輸している犯罪組織と戦うために。
 支那人民は、支那人の魚貝需要は必ずや満たされねばならぬという歪んだ期待を抱き、毎年巨船を多数新造している。
 いまのところ支那人消費分の魚介類のうち7割以上が養殖によって確保されている。
 中共における漁業の規模は、1400万人を雇用し、GDPの1割近くを稼ぎ出している。
 中共の養殖産業だけで、全世界のフィッシュミールの4割を消費している。2030年には、これは7割に増えるであろう。
 このフィッシュミールはトロール漁船が一網打尽に持ってくる雑多な魚介が原料。資源は逐年、涸渇に向かっている。
 チリでは養殖業が過去何度も壊滅的な損害を蒙っている。富栄養化した海水で藻類が異常発生したために養殖魚が全滅するのだ。
 同じことが支那沿岸で起きればどうなるか?
 支那人はますます遠洋漁業にドライブをかけるだろう。その大船団を「海警」が護衛するのだ。
 それに各国は反撃する。すでにアルゼンチンはそのEEZ内で一隻の支那漁船を撃沈した。南アフリカは支那の密漁船×3隻を拿捕した。
 7隻の海警公船が護衛する230隻の漁船(海上民兵)が尖閣領海に入ったことについて日本政府は抗議している。
 インドネシア海軍は、海警に護衛された支那漁船と激しくやりあっている。専門家は、このような密漁を阻止するためには火力の行使以外にないと言っている。
 1996年、カナダとスペインは、グリーンランド沖の大ヒラメ資源をめぐり、ほとんど戦争一歩手前まで行った。
 スペイン漁船の漁労が違法だと判断したカナダが拿捕。怒ったスペインが砲艦複数を派遣して漁船団を護衛した。
 1999年には、1隻の米コーストガード船がEEZ内で1隻のロシアのトロール漁船を臨検したところ、そこに他の19席のロシアトロール漁船が蝟集してきてコーストガード船を取り巻いた。
 支那漁船は米国沿岸で公海流し網漁によって乱獲しようとする。
 中共は、国連の漁業資源合意を批准していない。
 不法支那漁船を護衛する役の海警船艇はげんざい205隻ある。
 なんと米国コーストガードの2倍以上だ。
米沿岸警備隊は、航洋型の巡視船だけでもあと25隻は必要である。接岸臨検用の高速の巡視船艇もそれとは別にもっと必要である。
 これまで米コーストガードは漁船の不法漁労を阻止するために火砲を使ったことはない。しかしインドネシアなどはすでにその方法を採用している。米国沿岸警備隊も、漁船相手に火力を行使して威嚇や破壊ができるように、慣行を改めるべきときに来ているだろう。さもなくば支那漁船団による米国EEZ蹂躙はとても阻止できまい。
 ※近年ものすごく意外・心外なのが、CGエロ動画の技術がちっともシンギュラリティに達していないこと。ダメだこんなレベルじゃ!


UPIによればウクライナ企業から過去にロシアへ売ったツィクロン2/3の総数は223基。

 JONATHAN KAIMAN 記者による2017-8-15記事「I lived a dog’s life,’ says US soldier who deserted Army in 1965 for N. Korea」。
   ジェンキンズは今も佐渡に住んでいる。2004以来ずっと。
 1965-1の深夜に脱走するとき彼は元気付けに10本のビールを飲んだ。
 M-16は持ったまま。ただし弾は抜いといた。トリップワイヤーにひっかけないように膝を高く上げながら歩いた。数時間後、北鮮領へ。
 七十七歳のジェンキンズは今も生まれ故郷ノースカロライナの南部訛が強い。
 北鮮には食い物もなく、水道と電気は止まっていた。冬は寝室の壁が氷で覆われた。
 ジェンキンズはいま、佐渡島のマノパークで観光客相手に煎餅を売っている。リクエストされれば一緒に写真に写ってやる。
 朝鮮戦争後、6人の米兵が北鮮に逃亡している。その多くは米陸軍の中でも不幸だと思っており、厭な過去をひきずっていた。
 1965時点でジェンキンズは、38度線を深夜に米軍がパトロールすることは北鮮を刺激し、殺される可能性があると怯えていた。さらにベトナムへ派兵されたらもっと危険になるであろうと。それでパトロール中に脱走することにした。
 韓国内で逃亡して潜行しようとしてもすぐに見つかるに決まっていた。
 だから脱出先は北鮮しかなかったのだ。
 ロシア大使館に亡命を求めて駆け込むという方法もあり得た。西ドイツ駐留米軍の兵隊がときおりそれをやっていることは新聞で知っていた。その後で「捕虜交換」によって米本土に帰れるかもしれないと。
 夜明けに北鮮の哨所に近づき、歩哨に声をかけたら、相手はマンガのようにびっくり仰天していた。
 すぐに8~10人くらいの北鮮兵が集まって、ジェンキンズを哨所内に押し込めた。
 それから8年間、ジェンキンズは別な3人の逃亡米兵と同じ部屋で過ごした。19歳で脱走したジェリー・ウェイン・パリッシュ、19歳で脱走したラリー・アブシアー、21歳で脱走したジェイムズ・ドレスノク。
 彼らは金日成思想を暗記するように強いられ、うまく覚えられない場合は殴られた。
 次第に彼らは朝鮮語を覚えた。パリッシュとアブシアーはよく殴り合いの喧嘩をしていた。
 1966に4人は監視人から逃亡して平壌市内のロシア大使館へ駆け込んだ。大使館は4人を北鮮当局へ引き渡した。
 1972に北鮮政府は4人に市民権を与え、別々な住宅を与えた。1973に彼らは仕事に就かされた。
 宣伝映画の悪役専門外人俳優である。
 また、軍学校で英語も教えた。
 1980に そが・ひとみ(21)との同居が始まった。彼女はその2年前に佐渡島から北鮮へ拉致されていた。数週間後に結婚。
 娘が2人できた。みか(現在34)と、ブリンダ(現在32)。
 北鮮政府はこの家庭に特権を与えていた。数百万人が餓死した1990年代の飢餓時代にも、コメ、石鹸、衣料、煙草が毎月特配され、一般北鮮市民のように苦しまずに済んだ。
 しかし希望は無かった。煙草は吸うと苦痛を感ずる品質。コメには穀蔵虫が多量に混じっていた。
 あるとき、隣家のドレスノクの家まで連行され、そこでドレスノクからさんざんに打擲されるという罰を受けた。唇を前歯が貫通した。ドレスノクは楽しんでいた。
 あるときは、腕に彫っていたU.S.アーミーのタトゥーをみとがめられ、病院に連行され、麻酔無しで切除された。監視人はジェンキンズが泣き叫ぶのを見て笑っていた。
 ジェンキンズは、北鮮政府が彼の二人の娘をスパイとして訓練しているのではないかと疑った。
 また、北ベトナム政府は北鮮政府に米軍人捕虜数十人を贈与しているのではないかとも疑った。
 また確信した。北鮮の高官は、人民蜂起によって平壌政府が打倒された場合の逃亡先をすでにスイス内に準備し、そこは豪邸である、と。
 ある日、自宅近くの集合墓を複数の野犬が掘り返しているのが見えた。やがて一団の兵隊がやってきて、近所のすべての犬を殺した。
 北鮮についての悪口を言えば、死が待っていた。北鮮では、決して隣人たちを招いて飲酒してはならない。酒に酔い皆で語り合えば、とうぜんに北鮮の現状についての話が混じる。そして宴が果てた後、ひとりだけ帰らない客がいる。そいつが密告者なのだ。
 2002にすべてが一変した。金正日が13人の日本人拉致を認めたのだ。そしてそのうちそがさんを含む5人を解放するという。
 小泉純一郎はそれから2年をかけて、ジェンキンズと2人の娘も北鮮から出国させた。
 米陸軍は必要な手続きとしてジェンキンズを脱走の罪で軍法会議にかけ、25日間の重営倉に処した。
 アブシアは北鮮内で1983に心臓麻痺死。パリッシュは1998に腎臓病で死亡。ドレスノクは2016に死んだがジェンキンズはそのことを知らず、また興味も無いと言う。
 わたしは米本土に戻りたいのですが、妻が望みません。米国では私は職が無く、妻を養えない。だからここにいるしかないのです。とジェンキンズ。
 ※逃亡兵には軍人恩給は出ないし、退役兵およびその家族が特典的に受けられる有利な医療保険も適用されない。
 ジェンキンズのパスポートは2016に失効した。
 ジェンキンズは連日、CNNや韓国ニュースをテレビで何時間も視聴している。
 北鮮の政治を変えるには、北鮮政府の全部まるごとを消滅させるしかないのです。頭首が交代しても、決して、なにひとつ変わりはしません。
 ウォームビアー君の死亡事件。そもそも米国人が北鮮へ観光旅行するという行為が信じられません。正気じゃないですね。わざわざ監禁されに行くようなものです。
 北鮮では「治療」も強制です。わたしは5回手術を受けさせられました。虫垂を除去されました。その前には睾丸も1個、除去されています。わたしは小学校時分に股間を蹴られたことがあります。それによる問題はなかったのですが、彼らはその睾丸を放置してはいけないと主張した。
 日本に来て、すぐ病院で検査を受けた結果、この二つの処置がずさんであって、合併症でいつ死んでもおかしくなかったと判明しました。
 ジェンキンズは、二人の娘には、「もしパトカーが後ろから来て、停まりなさいと命じても、決してそれに従ってはならない。北朝鮮の工作員が日本の警察官に化けているのかもしれないから」と言い含めている。
 北鮮政府は私の死を望んでいるでしょうね、とジェンキンズ。


このまま秋・冬突入か……。今年の「夏」はどこへ行った?

 ストラテジーペイジの2017-8-15記事。
   ロシアが、NATO軍の「リンク16」のデジタル通信を妨害できる「イリューシン22PP」電子妨害機の存在を公表した。
 この機は、みずからは「AGM-88 ハーム」の的にはならない、とも主張している。
 「イリューシン22PPは、これまでシリアやウクライナにも投入されていない。
 ウクライナ企業幹部が、かつて北鮮にICBMエンジンを輸出したり、北鮮のためにそれを製造してやろうと計画したことはない、と声明。
 同国のユジマシュ社がRD-250エンジンを製造していた。それは1980年代のソ連重ICBM SS-18(R-36M)のエンジンであった。
 SS-18は199に設計され、1972に初試射。実戦展開は1975からである。
 ソ連のICBMとして最重で、全重210トン、弾頭重量8トンだった。
 長期貯蔵可能な液燃を用いた。
 SS-18には型が6つあり、最後の型は1990に実戦配備。
 冷戦後はリファービッシュの予算が無く、2016年時点で50基ほどが生きているだけである。2018には30基に減り、2020年にはゼロになるという。
 1991にソ連邦が分解し、ウクライナが独立すると、ユジマシュ工場は閉鎖されたが、その後、人工衛星打ち上げロケットのメーカーとして再建されて今に至る。
 2014以前はロシアが顧客だった。それ以後は、ロシア以外の顧客が重視されている。
 ユジマシュ経営陣による、米国内報道への反論。
 われわれは過去20年以上、RD-250を製造してない。
 RD-250を維持しているのはロシアである。
 RD-250の最新の製造方法を知っているのもロシア人たちである。
 SS-18の維持のためRD-250のスペアを多数保管しているのも、ロシアである。
 そしてロシアはウクライナ以上にしばしば、兵器技術を不法に海外移転している、と。
 冷戦後、ウクライナは中共にいろいろな兵器技術を売ったが、それらは合法である(ただしロシアはその主張には同意していない)。
 ウクライナ政府いわく、これはロシアが仕掛けている情報戦争である。露軍によるウクライナ侵略の事実から世界の関心を逸らすために偽情報を流布させているのだ。
 モラルとモラールの低下は全般にウクライナがロシアより酷い。しかしロシアの場合、宇宙ロケット産業界の堕落が、隠そうとしても隠せない。ICBMや宇宙ロケットの失敗が増えている。
 露軍はシリア内へのテロリスト流入を阻止するために、ヨルダン国境やイスラエル国境にMPを多数、投入し始めた。
 ロシア国内では15歳から64歳までの労働適齢人口が2010年からこのかた減り続けてたいへんなことになっている。これから2050年まで、毎年、50万人の労働適齢人口が消えて行くのだ。
 次。
 2017-8-10記事「Why Russia is foolish not to invite NATO observers to its war games」。
   9月にロシアは、冷戦終了いらい最大級となる演習ザーパドを欧州戦区で実施するが、合意に反してNATOからオブザーバーを招待しないので、欧米人は怒っている。
 四年ごとに実施されるザーパド演習。ザーパドとは「西」。
 2009のザーパドでは、最終段階で「ワルシャワに核攻撃」した。
 2013のザーパド演習は煙幕で、その準備に隠れてウクライナ侵略が準備され、半年後に「抜き打ち演習」が号令されて実行された。
 プーチンは2008のグルジア侵略のときも、「抜き打ち演習」を号令してから実行させている。
 NATOとロシアとの間のウィーン合意文書により、9000人以上を動員する演習は事前通告が必要。1万3000人以上を動員する演習は、敵陣営のオブザーバーを招く義務がある。こんどのザーパドは10万人動員だ。
 ロシアは常に自方の演習規模を小さいものだと偽ってNATOオブザーバーを拒否してきた。


おそらくトヨタはマツダと「水素ロータリー」で協働したいのだろう。

  Michael Elleman汽車による2017-8-14記事「The secret to North Korea’s ICBM success」。
   ムスダンがたてつづけに失敗したあと、中距離の火星12と長距離の火星14がたてつづけに成功。
 かつていかなるミサイル先進国もMRBMからICBMまでかくも一瞬にステップアップしたことはない。
 これを説明する答えはひとつ。北鮮は高性能液燃エンジンの完成品を外国から受領しているのである。
 写真を拡大すれば、火星12と火星14のエンジンがソ連の「RD-250」の改修品であることは明らかだ。
 入手先も、ロシアかウクライナ以外にありえない。
 入手の時期だが、2年前からだろう。
 まず2016-9に北鮮は液燃エンジンの地上噴射テストを行い、そこで80トンのスラストが得られたと発表した。
 次の同様の地上噴射テストが2017-3である。
 このテストの写真で、四つの小さいステアリングエンジン(ヴァーニアエンジンとも補助エンジンとも呼べる)が中心の大きなメインエンジンノズル1個をとりまいていることが知られた。
 2017-5-14に三代目が準備を視察したあと「火星12」実射。高度2000kmまで上がったことで、ポテンシャルの水平射程は3400km先のグァムに十分届くことを示唆した。このときは一段式の弾道弾であった。
 そこで次に二段式が試された。
 2ヵ月もしない2017-7-4に、「火星14」が実射された。高度2700kmに到達。
 さらに2回目の「火星14」が2017-7-28に実射された。高度3800kmに到達。
 最大到達高度の二倍+着水水平距離がポテンシャルだとすると、どちらもICBM基準の5500kmの水平射程があると示した。
 写真から推定するに「火星12」の全重は24トンから25トンだ。
 「火星12」の発射直後の加速度は、フッテージを観る限り、8.5m/S2から9.0m/S2だ。
 北鮮が映像加工していないという前提で試算すれば、「火星12」のエンジン推力は45トンから47トンだ。そのうち主エンジンが39トンから41トンを出し、四つのステアリングエンジンは6トンくらいを発生しているだろう。
 「火星14」の全重は33トンから34トンだろう。
 その発射直後の加速度は4m/S2ないし4.5m/S2だ。
 推力は46トンから48トンだろう。
 しかし北鮮が国内で液燃ロケットエンジンを開発したと思われる証拠は皆無だ。
 北鮮が過去にコピー製造をしてきたスカッドやノドンのエンジン技術と、推力40トン級の液燃エンジン技術とでは、次元が違うものなのである。
 2016-9と2017-3の地上エンジン噴射テストの画像を比べると、その液燃エンジンは同じものである。
 なぜ国産ではないと断言ができるか。その完成品の前段階である比較的出力が小さいエンジンのテストを実施したという過去の宣伝公表が一切皆無である。技術進歩の中間ステップが存在しないのだ。
 スカッド、ノドン、ムスダンは、いずれも、A.M.イサイェフというロシア企業がエンジンを開発・製造し、それを北鮮がコピーしたものである。
 スカッド、ノドンおよびR-27(そこからムスダンがつくられた)は、V.P.マケイェフという技師の名にちなむロシア企業体が設計し最初に製造した。
 火星12/14のエンジンが輸入品だとしたら、候補はひとつしかない。というのは、米・仏・支・日・印・イランの液燃ロケットエンジンは、貯蔵可能な液燃を使うタイプではないのだ。
 消去法によって、輸入元は旧ソ連以外にありえない。
 ※中共が対北鮮制裁に気乗り薄なのは、それをやると、間違いなくプーチンが北鮮を反支の有力同盟者に仕立ててしまうのが見えているからだろう。
 イサエフ社かマケイエフ社のどちらか、もしくは両方が、かつて、エンジンの対北鮮供給には関わっていた。
 ただし、このどちらのメーカーも、今日、火星12/14で使われた液燃エンジンを製造してはいない。
 ならば犯人はどいつなのか。V.P.グルシェンコ技師の名を冠して発足したロシア企業=今日「エネルゴマシュ」と名乗っているメーカーであるか、そうではないとしてもそことつきあいのある関連メーカーであろう。
 エネルゴマシュは、RD-217、RD-225、RD-250という、充填したままで長期貯蔵が可能な特殊液燃を使う大馬力ロケットエンジンを製造している。そこが北鮮に供給したのだ。
 このうちRD-217とRD-225の外見は、北鮮公表の画像とマッチしない。外見が一致しているのは、RD-250である。
 RD-250は、燃焼室が2個あり、1個のターボポンプからそこへ燃料UDMHが送り込まれる。酸化剤は「N2O4」=四酸化窒素である。1個の燃焼室は394キロニュートン=40トンの推力を発生。
 これが2基ならば70トンから80トンの推力となり、北鮮が2016-9に地上テストで達成したと自己宣伝している数値に近い。
 ところで、だんだんわかってきたことがある。北鮮は2個の燃焼室ではなく、1個の燃焼室で火星12/14を飛ばしている。
 2016-9の地上テストでは新しい設計の燃料ポンプが使われたと平壌は自家宣伝した。1個の燃焼室に改めるためだったとするならば、これは整合する話だ。
 そして、そんな思い切った改造ができてしまう技師は、北鮮人たちであるわけもないのだ。元々のメーカーで長年RD-250に携わってきた技師たちが、北鮮からの注文を受けて、改造設計してやったとしか考えられぬ。
 こうした註文に応じてしまえるような技師は、ロシアのエネルゴマシュ社と、ウクライナの「KB ユジノイエ」社には、たくさんいる。犯人は、この2社のうちのどちらかだ。火星12/14用のエンジンは、まずこのどちらかの会社で完成されてから、北鮮へ売り渡された。
 この2企業の技師が北鮮に招請されて現地でこしらえてやったのだということは考え難い。北鮮にはそんなハイテク設備の工場が存在せぬからだ。
 複数の西側の専門家が2016年に「KB ユジノイエ」を訪れたとき、同社のすぐ近くの大学構内に、同社製のRD-250の単燃焼室バージョンが堂々と展示されており、1人の地元ウクライナ人技師が「オレがこれを作ったんだぜ」と自慢したそうだ。
 未解明の疑問がある。燃焼室が2個ある古い型の方が、パワーが出るのだ。なぜ、わざわざ非力な1個燃焼室型エンジンを売り渡したのか?
 一つの仮説だが、最高技術は渡すなよという指針があって、一つグレードが低い品物を売り渡すことで我慢するしかなかったのであろう。
 この比較的に非力なエンジンでも、二段式とすれば、ICBMを米西海岸へ届かせることは十分可能である。
 RD-250エンジンは、ロシアのグルシコ社が設計し、ICBMのR-36(SS-9)のブースターに採用された。また、ウクライナの「KB ユジノイエ」社製の衛星打ち上げ用ロケット「ツィクロン2」のブースターとしても。
 ツィクロン2による最初の衛星軌道投入は1969年である。以来2006までに106回の打ち上げが成功している。
 ツィクロン2はウクライナ製だが、衛星打ち上げ事業はロシアの仕切りである。
 1991にソ連邦が分解しても、このユジノイエ社とロシア宇宙事業社の関係だけは継続。とにかく信頼性の高いブースターであった。
 しかし2006に、ロシア政府が、そろそろ純国産品に切り換えろということになり、ユジノイエ社は顧客を失った。
 そこでユジノイエ社は、ボーイング社やブラジル政府にも売り込み営業をしかけたが、みのらなかった。
 それどころか2015年以降は、ほとんど倒産の瀬戸際という状態に。
 これまでのRD-250の総製造数(ロシア国内とウクライナ国内)は不明だ。
 しかしおそらく、ユジノイエ社内には200個以上の在庫もしくはスペアパーツがあるのではないか。
 ロシアでツィクロン2を打ち上げていたエネルゴマシュ社の倉庫にも予備エンジンが保管されているはずだ。
 エネルゴマシュ社はロシア国内にたくさんの施設を抱えている。各所にスペアパーツがあるであろう。
 RD-250を用いる現役のミサイルも宇宙ロケットも今は無いのであるから、それら在庫スペアパーツの管理はルーズになっていておかしくない。
 不満を抱く従業員、給料の安い警備員たちは、それらの製品を盗み出し、闇ルートで売ることができただろう。
 高さ2m弱×直径1mの外寸にすぎないエンジンは、航空機でも、はたまた汽車によってでも、容易にロシア国内から北鮮まで密輸ができたはずだ。
 2012の事件。ウクライナ警察が、2人の北鮮人を、ユジノイエ製品を購入しようとした罪過で逮捕し訴追した。
 現在、ユジノイエ工場は、親ロシア派が占領する地区と非常に近い場所にある。誰がそこから不法に物資を持ち出すとしても、好都合な情勢だ。
 北鮮は、ICBMの量産配備のためには、数十個のRD-250エンジンを手に入れねばならないはずだ。そのくらいはもう行ったかもしれない。
 1990年代に北鮮が輸入していたスカッドやらノドンやらムスダンの技術は、ロシアのマケイエフ社やイサイエフ社に関連する。
 しかしその2社は、RD-250を扱うエネルゴマシュ社やユジノイエ社とはほぼ連絡がない。
 北鮮は90年代以降、R-27(ムスダン)を元に、なんとかICBM化しようとして、ついにそれに失敗したと悟った。
 2017-3の「火星12」の発射以前は、北鮮は、イサイエフ社の「4D10」という液燃エンジンを2本バンドルすることでICBMのブースターにできないものか、あがいていた。
 しかしうまくいかなかった。なぜならイサイェフのエンジンは、燃料タンク内で多段燃焼させるという複雑なクローズドサイクルコンセプトなのだ。
 もしRD-250が2015以前に手に入っていたなら、とっくに北鮮の技師たちはそっちに路線転換していたはずだ。エンジンが外側に剥きだしの、平易なオープンサイクルに。
 2016からムスダンの試射が始まっているが、点火直後に不具合を起こしているケースが多い(というか、うまく飛んだのは1回だけで、あとはぜんぶ失敗)。
 原因はR-27エンジンそのものだったのだろう。燃料タンク内にエンジンが埋め込まれる複雑な設計は、北鮮の技術ではとても模倣が不可能だったのだ。
 そこに北鮮の技師たちも気付いて、2016いらいムスダンのテストは行なわれなくなった。放棄されたのだ。
 2016-9に改造型RD-250の写真が現れたのは、時期的に、ムスダン計画の放棄決定と同時だろう。
 そして2016に、倒産寸前のユジノイエ社に北鮮はアプローチした。この闇取引にウクライナ政府が関与している必要はないし、ユジノイエ経営幹部も知らなかったかもしれない。労働者が闇で横流しできるものだ。
 ドニプロペトロフスクとパヴログラドに所在するユジノイエ工場から、エンジンが盗み出されたと疑える。
 次。
  Lily Rothman 記者による記事「Why Americans Stopped Building Fallout Shelters」。
   一般アメリカ市民が裏庭に核シェルターを掘らねばと思わされた時代は、とても短かった。
 それは1950年代から1962年までだった。
 アイクは、公共退避壕の増設はすぐには間に合いませんよという役所の結論/報告に悩んだ。
 ブラスト・シェルター(耐爆壕)と、フォールアウトシェルター(耐有害環境地下室)は、違うのである。後者なら、バックヤードに各戸主が作ってもよいはずだった。
 フォールアウトシェルターは、一家が2週間籠もれればいい。
 『TIME』誌の過去記事でもハッキリするが、DIYシェルターブームのピークは1961だった。
 これは政府が大金を支出して推進した。
 既存の公共地下空間をコミュニティシェルターにして公表し公示せよというもの。その中の貯蔵物資については国のカネで用意させる。
 DODは1961に、国民に対フォールアウトの心得のパンフレットを配布した。
 150ドル以下で建造できる各戸敷地内の簡易シェルターでも、放射線被曝を百分の一以下にできるとした上で、地域の公共地下シェルターこそが最も頼りになるものだと強調していた。
 パンフレットの大意。フォールアウトの放射能は、核攻撃直後から2日間までがいちばん強くて危険である。だからこの期間内にはシェルターから出るな。できるなら2週間はシェルター内にとどまるがよい。しかし、シェルター内にいても、地表のフォールアウトが少しづつシェルター内に侵入してそれを人体が吸収してしまうことはあり得る。そこをかれこれよく計算した上で、2日目以後、そこにとどまるか、それともむしろ地上を移動して別な場所へ避難をするか、各人が決心しなさい。地表を移動中にもし一定量以上の放射能を一定時以上浴びてしまえば死ぬ危険があることを忘れないように。
 ところが1962年のうちには、全米におけるこのシェルターブームは消えてしまった。
 ソ連の国防大臣も、そんなシェルターは無駄であるぞ、とさかんに宣伝している。1962前半に。
 限度は、特にトイレによるものであった。バケツ1個で家族全員が2週間の用を足す? それは可能だろうか?
 ※2017-6月以降、シナ軍は、北鮮国境沿いに、NBCフィルター付きの地下壕を多数、建設し始めているという。


今年の八月は涼しすぎるんですけど……本当に地球温暖化?

 ストラテジーペイジの2017-8-9記事。
  中共戦闘機が米軍エリント機を追い払いたかった理由がわかった。
 中共版の「対艦HARM」を沿岸で試験していたので、その情報をとられたくなかったのだ。
 中共版HARMは、前に見本にしたロシア製ハームの対レーダーシーカーよりも広帯域の2ギガ~18ギガヘルツを捜索し、敵レーダーの10m以内に着弾させたい。
 見本にしたロシア製HARMは空対艦ミサイルを改造したもので、重さ600kgで110km飛ぶ。
 豪州軍も輸入しているハームの最新版、AGM-88Eは、動いているレーダーにも当たる。つまり対艦ミサイルになる。だから中共はこれの同格品をつくって対空母用にしたい。※あと、対Xバンド・レーダー用にもね。
 よりいっそう対艦機能を完成したF型はAARGMと名付けられている。
 AARGMはイタリアと合同開発された。ドイツも買っている。
 旧型ハームも、部品をとりかえればAARGMになる。
 AARGMは全重361kgで、有効射程150km。
 命中直前に画像を母機へ送ってくる。だから正しい攻撃ができたかどうかわかる。
 1999のコソヴォでは、セルビア軍はレーダー使用を最短時間に絞り、SAMを発射したらすぐに陣地を畳んで転地した。
 当時のHARMは、敵が停波するとINS/GPS頼みになってしまった。
 だからセルビア軍SAM部隊は最後まで亡ぼされなかった。
 この教訓からHARMの改善が進められている。
 次。
 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2017-8-8記事「Kim Jong-un Has Much To Teach Pentagon About Speed: Gen. Hyten」。
   ハイテン空軍大将が北鮮を褒め称える。テストの失敗をおそれないから、高速&イノベイティブだと。
 試射させ、失敗し、試射させ、失敗し、…………そしてとうとう成功だ。このパターンはむしろ理想的だ。※いや~、ぜんぶタイプ違うんですけど。
 イランもそうだ。
 しかしロシアは試射をビビっている。官僚主義が失敗を恐れているせいで。
 成功は、われわれに何も教えてくれぬ。失敗だけが教訓をもたらしてくれるのだ――との名言は、ハイマン・リッコーヴァーだった。
 リッコーバーは、紙上プランをたったの5年で現実にした。「原潜」を。
 そのためには「原発」のサイズをたったの幅28フィートにコンパクト化。
 このリッコーバーの空軍人版といえるのが、ドイツ生まれのバーナード・シュリーヴァー将軍だった。彼はフィルム回収式写真偵察衛星を連続13回失敗させたあと、とうとう完成させた。また、ミニットマンICBMを、予算わずか170億ドル(今の価値にして)&5年で仕上げてしまった。
 それにくらべてミニットマンの後継とする予定のGBSDはどうだ。850億ドルの予算と20年の時間を使おうとしている。そのカネと時間はほとんど、試験実施準備のためなのだ。もう阿呆かと。
 現場が「試験での失敗」を恐れすぎている。だから試験と試験の間隔が18ヶ月にも間延びするのだ。北鮮は2週間おきに試験を反復できるというのに。
 ハイテンが空軍の調達責任者に就任して数年。政府による調達にかかわる規制法令文書は全部読んだ。DOD内部規定も。その結果、理解した。これらすべての規則にはバイパス条項が付言されている。もし過去の指導的高官たちにリスクを取る気さえあったならば、「これは必要なんだ」と言って事業を急進させることはできたのである。ところが過去の指導的高官たちにはそのガッツがなかったのだ。リッコーヴァーやシュライバーのような「やる気」が。
 ハイテンいわく。俺にも責任がある。「試験はうまくいったか?」と部下に電話をするのが常だからな。
 俺はこう声掛けすべきだったんだ。「有益なテストはできたかね?」とね。
 次。
  Vasilis Trigkas 記者による2017-8-9記事「China Has Its DARPA, But Does It Have the Right People?」。
   安倍晋三のアドバイザーが4年前に台北のCSISフォーラムで発言。日本にはDARPAがないからアメリカとの発明競争に負けたんだ、と。
 その後、日本はDARPA類似の機関を立ち上げた。
 ロシア版DARPAは2012に創設されている。
 チャイニーズDARPAは今年できた。直轄するのは習近平その人。
 ところで、中共の大学で世界一流と承認されているのは、精華大と、北京大だけ。※この記者は精華大を卒業したギリシャ系の米人。
 ハーバードのインド人教授が1月に精華で講演していわく。イノベーションは、基礎科学と応用科学の合成物で、それには高度の人材が供給されるようになっていなくてはいかん。それは、R&Dビジネスとは全く異なる課題なのである、と。
 ベル研やDARPAはなぜ成功しているか。両機関は「事業」に投資してるんじゃないのだ。高度に有能でしかもモチベーションを持った「人間」に投資するから成功しているのである。最高のタレントを集めるための両機関のリクルート戦略が、すこぶるラディカルなものなのだ。
 支那版DARPAが成功するか否かも、ひとえに人材集めにかかっている。
 たとえば世界各国のノーベル賞受賞者がシナの大学で働きたいと願うか? いくら大金を積んでも移籍して来てはくれはしないだろう。常時不在の名誉学長に名だけ貸してやろうか……というぐらいが関の山。
 習近平はしきりに愛国主義的科学を強調するのだが、超一流学者は「ネイション」から枷を嵌められることはない。※この記者自身、ギリシャで「一路一帯センター」の立ち上げに協力。


米日支は軍艦を1隻4年で建造している。英は6年。露は数千トン級ですら7~9年。ヤバイ。

 Jonathan Saul 記者による2017-8-7記事「Cyber threats prompt return of radio for ship navigation」。
  世界の貿易は9割が船でなされている。
 ところが航空機が多重のバックアップナビ手段をもつのにくらべて、いまの商船はGPSが妨害されたらお手上げだ。混雑海峡では事故必至である。
 そこで「イーロラン」という地上波を使うバックアップナビゲーションシステムが提唱されていて、いま、韓国がそれに乗って開発中。米英露も、この方向を考えている。
 GPS電波は、太陽嵐/太陽黒点活動によっても掻き乱されてしまう。
 昨年、北鮮による大規模GPS妨害があり、韓国漁船が一斉に帰港しなくてはならなくなった。
 2017-6にも黒海で、ロシアによるとみられるGPS妨害事件が発生。
 米コーストガードによると、港湾名は伏せられているが、同様事件が、2014に1つの港で数時間、そして2015には別の港であったという。
 2017-6には、「A.P. Moller-Maersk」社の船舶管理システムがサイバー攻撃を受けた。全世界の港湾業務に支障が生じた。
 韓国政府は「GPSの父」と呼ばれる米国人技師ブラッド・パーキンソンを招聘して「イーロラン」を開発してもらっている。
 パーキンソンいわく。
 イーロランは海上の二次元座標を比較的に粗い精度で知らせ得るにすぎないが、その電波はGPS衛星電波よりも強力であり、しかもGPSとはまったく波長帯が異なっているところが利点である。GPSに対する意図的ジャミングや偽信号送出は、イーロランを併用する船舶にとっては、決定的な妨害にはならない。
 静止衛星からのナビゲーション信号は、1万2500マイルも離れたところから届くものなので、微弱。妨害することは、いとも簡単である。
 しかしイーロラン信号の電界強度はGPS信号の130万倍も強い。それだけ妨害は受けにくい。
 今の船員たちは紙の海図は読めないし、GPSと自動航法ソフト頼みになっている。これが弱点。
 韓国の海洋漁業大臣によると、韓国版イーロランの地上局は2019年までに3箇所で試験電波を発するであろう。基地局はさらに増やす。
 しかし122m~137mのアンテナ塔を立てるため、基地局ひとつにつき12km×12kmぐらいの敷地が必要になる。
 ※原文には132200平方メーターとある。この面積値は一桁大きいように思う。それとも地面にカウンターポイズの放射配線が必要なのか?
 この用地買収にローカル住民が抵抗中である。たとえば西海岸の「ガンワ」島。
 7月、米連邦議会下院は、交通省がイーロランを創建するための予算法案を可決した。
 上院も賛成すれば、予算法となる。
 じつは前のオバマ政権も、その前のブッシュ(子)政権も、イーロランをやると公約していたが、ただのリップサービスだけに終わっていた。今回は、実現しそうなムードである。
 ロシアも似たようなシステムを検討中。「イーチャイカ」と呼ぶ。北極海にぜひ展開したい。しかし事業は頓挫中。政府にカネがないのだ。
 欧州勢は「おれたちのガリレオ・システムはGPSより妨害に強い」とイキがっている。
 ガリレオは偽信号に乗っ取られることはなさそうだが、電界の弱さはGPSと変わりなく、使用周波数帯もGPS類似である。
 多くの国が地上波ナビ建設に消極的なのは、全世界の海洋を同じ方式で覆うことが、とても数年以内には無理な話だから。
 欧州では英国だけが、イーロランの送信タワーを北部に1基、維持している。これは米英合弁の「タヴィガ」という私企業によるもの。
 もう1局を英本土内に建てれば、時刻サービスができるようになる。しかし英政府が関心を示さない。
 今の英国政府は、ポリシーとして、「巨大インフラの運用には政府はもうかかわるな」という方向。イーロランはモロにそれに該当するのだ。


名を自重に藉り、自安の計をなす。

  Jonah Bennett and Saagar Enjeti 記者による2017-8-3記事「EXCLUSIVE: ‘Everything The President Wants To Do, McMaster Opposes,’ Former NSC Officials Say」。
     元NSCメンバーの人によると、NSC内では激しい政治闘争が繰り広げられている。
 トランプはアフガンから足抜けしたい。マクマスターはもっと関与せよという。トランプはシリアからも足抜けしたい。マクマスターはもっと投入せよという。トランプはシナ問題にかかわりたい。マクマスターはそう思わない。トランプはイスラム問題にかかわりたい。マクマスターはそう思わない。トランプはイランとの核合意を破棄したい。マクマスターはそう思わない。
 マクマスターはペトレイアスの追従者でありCIAべったりだ。
 大統領選挙中からずっとトランプのために働いてきた幹部たちはマクマスターを追い出したい。しかしマクマスターの反撃の方が強力。
 マクマスターはトランプ政権をオバマ時代そのままの路線にどんどん引き込んでいる。
 NSCのロシア部門も、オバマ政権の残滓によってすっかり過去の反露路線に引き戻された。
 選挙本部の忠義派と、すでに追い出されたマイケル・フリンの同志たちは、隅っこにおいやられつつある。
 トランプは、アフリカの専門家、シリル・サーターを雇った。これはサーターの古巣であるCIAの勝利である。
 CIAはサーターのセキュリティクリアランスを昔のまま有効にし続けてやっている。
 かたやCIAは、ロビン・タウンリーのセキュリティクリアランスについてはそれを無効化した。これでタウンリーはトランプ政権のNSCメンバーたりえなくなった。
 タウンリーはフリンと近い人物。フリンと同じく、インテリジェンス業界(CIAなど)から嫌われ、町を追われたわけだ。
 マクマスターは大統領の情報補佐官のエズラ・コーエンワンティックもNSCから追放した。
 『アトランティック』誌によると、戦略計画担当のリッチ・ヒギンズは、〈グローバリストとイスラミストが共謀してトランプ路線を覆滅させようとしている〉というメモを7月にトランプに手渡した。だが〔マクマスターによって?〕馘にされた。
 過ぐる木曜日、中東担当のデレク・ハーヴェイもNSCから追放された。マティス国防長官が、追放を望んだ。マティスとマクマスターは同志関係である。
 ハーヴェイをNSCに入れたのはフリンであった。
 ハーヴェイは、ステフェン・バノンに近すぎると見られていた。
 ハーヴェイの部下副官だったジョエル・レイバーンとマイケル・ベルはNSCに残留。そしてハーヴェイのポストはマイケル・ベルが襲った。
 7月前半、NSCの高官だったタラ・ダールもNSCを去った。
 やはりフリンが引き連れてきたアダム・ロヴィンガーも、CIAが5-1にセキュリティクリアランスを発給しないという奥の手を使ってNSCから追放した。
 やはりフリンがつれてきたK・T・マクファーランドは、マクマスターがNSCを支配した4月に馘を申し渡されたが5月まで居残り、6月にホワイトハウスは、彼女のためシンガポール大使に栄転という格好をつけてやった。
 バノンはやはり4月にNSC内での権勢をもぎとられている。