中共の工作部局は拙著を直接引用できないので苦悩中。なにしろ「放伐」のし方を書いてますからね。天安門!

 Michael Peck 記者による2017-1-21記事「This Tiny U.S. Navy Warship Sank the Most Submarines in History」。
   パールハーバーで戦死した海軍軍人の名にちなむ、米海軍の小型駆逐艦(DE)『イングランド』は1944-5だけで6隻の日本の潜水艦を沈めた。この記録はいつ破られるのだろうか。
 『バックリー』級DEは1400トンで186人乗り。一等駆逐艦『フレッチャー』級のざっと四分の三だった。主砲も5インチではなく3インチ。それでも発射管×3は残されていた。
 対潜装備が充実していた。爆雷を転がし落とす艦尾ラック×2、K字状爆雷投射腕×8(射程150ヤード)の他、最も威力のあったヘッジホッグを積んでいた。
 英国が開発した24連対潜臼砲ヘッジホッグは、ポテトマッシャー形の対潜弾を発射した。ただし信管は、敵潜水艦の堅い外殻にぶつからない限り、起爆しない。おかげで、駆逐艦のソナーが邪魔されないのだ。
 『イングランド』号の活躍は、米海大の『ネイバル・プロシーディングス』誌の1980-3月号に出ている。
 まずソロモン海で1944-5-19に初戦果を挙げた。
 『伊16』潜水艦を血祭りにあげたのだ。
 『イ16』潜は駆逐艦の航跡を慕うことで探知を逃れようとした。しかし運が尽きた。
 ヘッジホッグの4~6発が爆発した。
 1944-5に日本の大本営は「あ号」作戦を発令していた。
 アドミラルティ諸島およびニューギニアの北東海域に、漸減作戦の最前縁として7隻の潜水艦が派遣され哨線についた。
 ところが暗号が解読されていたので、日本の潜水艦の哨戒位置は丸わかりであった。
 5月22日、米艦『ジョージ』のレーダーが浮航中の『呂106』を探知。サーチライトを向けると、呂号は潜航した。
 だがその先には『イングランド』が待っていた。ヘッジホッグの3発が直撃した。
 5月23日、『イングランド』は『呂104』も撃沈した。24日には『呂116』を屠り、補給のためマヌス港へ向かう途中の28日には、『呂108』も片付ける。
 5隻目の『呂105』は、5月30日から30時間、複数の米艦に追いかけ回され21回爆雷攻撃されながら、粘り続けた。2隻の米艦の中間に一度浮上して空気を入れてまた潜ったりもした。しかし最後に『イングランド』がかけつけ、ヘッジホッグで仕留めた。
 哨戒線の残り2隻の潜水艦は、命令によってすでにその海域から引き払っていた。日本の潜水艦には、1艦につき40名から80名が乗り組んでいたと思われる。
 ※拙著をお読みになって麻薬密輸用潜航艇の写真を確かめたくなった人は「narco」「sub」をキーワードに画像検索すると、たぶん、出てきます。


ラリッくまを止めろ!

 ROBERT BECKHUSEN 記者の記事「So, Was Tom Clancy Right That the Soviets Could’ve Invaded Iceland? Yeah, probably」。
  2013年に死んだトム・クランシーは1986に『レッド・ストーム・ライジング』を書き、ソ連が通常戦争を決意し、1個連隊でアイスランドを占領すると予想した。
 小説では、ソ連軍は民間のバージ船〔ランプドア付きのフェリーのことか?〕にホバークラフトを隠して奇襲。アイスランド駐留の米海兵隊中隊は蹴散らされる。
 ケフラヴィク基地のF-15も離陸前にミサイルでやられる。
 なんか唐突で、主人公にのみ都合のよい筋立てだったが、ロシア軍の専門家であるフィリップ・ピーターセンが2014に書いているリポートによれば、そんな作戦もじっさいに可能らしい。
 ピーターセンは、いかにしてスカンジナビアを露軍から防衛できるかを論じているのだが……。
 アイスランドを占領もしくは無力化することで、ロシアはスカンジナビア諸国の海上連絡線を遮断し、NATOからの援けを得られなくしようとするはずだとピーターセンは指摘するわけ。
 トム・クランシー先生は荒唐無稽な思いつきを書いていたわけではなくて、何かインサイダー情報の根拠があったのかもしれない。
 現在、NATO軍はアイスランドには最小限の兵力しか置いていない。アイスランド国内にはNATOへの関わりを減らすべきだとする政治会派があって、政情を不安定にしかねないので。だから露軍が付け入る隙は在る。
 もしもNATOと露軍の間で先端がひらかれたら、NATOはアイスランドにまとまった兵力を送り込まなくてはならない。さすれば露軍はアイスランドの無力化は諦めよう。
 しかしそうなる前になんとかする方法が露軍にはあるのではないか?
 じつはWWII中にソ連軍は、小部隊をノルウェーに送り込んで、独軍の動静をスパイさせていたことがあった。コマンドー作戦については、素人じゃないのだ。
 それを証明したのが2014のスペツナヅによるクリミア切り取り作戦である。
 アイスランドはパラシュート降下にはまったく向いていない。横風が常に強く、岩石帯に荒く叩きつけられるのがオチなので。
 しかしピーターセンによれば、潜水艦で密かに島に接近して、5人~12人一組のスペツナズをフィヨルドから上陸させれば、アイスランドの要点は占拠できるという。
 たとえば、冷戦中からソ連の爆撃機を見張っていたレーダーサイトがあるホフン基地など。
 ※プーチンはこんどはリビアの特定グループを支援してリビアを「シリア化」したいらしい。ふざけんなよというわけで、オバマは最後にB-2を投入して脅しつけたわけである。すなわちモスクワとトランプに対する政治的メッセージ。兵器の実験がどうのとか、日本には阿呆解説者しかいねぇのか???
 次。
 Hope Hodge Seck 記者による2017-1-20記事「New Composite Fabric Could Make Plate Carriers 40 Percent Lighter」。
  ラスベガスで開催中のショットショーにハニウェル社が展示した「センチュリオン」という新素材防弾プレート。非常に軽量で、ボディーアーマーの挿入板の重量を数割は軽減できるという。
 「スペクトラ」というポリエチレン繊維は、同じ重さの鋼鉄の15倍強く、しかも比重が1よりも軽いので水に浮く。しかも裂け難い。
 ※米海軍は不燃性の作業着を今年の末までに艦隊勤務の水兵たちに支給するとしている。新素材が、貴重な少数の人的戦力を守ってくれるのだ。


スタコラスイッチ

 初版1万2000部で絶賛発売中。この部数だと地方書店の店頭にも間違いなく出るので、アマゾンを使っていない方々は今から書店へGO! 今回の『日本の武器で滅びる中華人民共和国』は、ずっと前に『日支宗教戦争』で展開した儒教圏の反近代性を掘り下げる内容ともなっています。前回(2年前)の+α新書では、増刷が何度かかかったおかげでわたくし、人生ではじめて「カード」というものを最寄の信金で作ることができ、晴れて昨年末からAmazonユーザーになることができましただよ。いや~、便利なものですね。こんなに便利とは知りませんでした。
 次。
 Matthew Cox and Hope Hodge Seck 記者による2017-1-19記事「Army Picks Sig Sauer’s P320 Handgun to Replace M9 Service Pistol」。
  米陸軍は、いまのM9を更新する次期モジュラー式ハンドガン(MHS)としてSigザウエル社製の「P320」を選定した。
 ライバルのグロック社、FNアメリカ社、ベレッタUSA社の試作品は、斥けられた。
 SIGの工場はニューハンプシャー州にある。サイレンサーが簡単に取り付けられること、エクステンデド容量マガジンもそのまま使えること、などの条件もクリアされている。
 グリップは、手の小さい女性兵でも握りやすいように、厚さを変えられるか、もしくは、別寸バージョンが製造される。
 この競争試作は「XM17」の名で2015-8から繰り広げられてきた。
 ところがひとつ、ハッキリしないところがある。使用する実包だ。陸軍は、これが9ミリだとは言っていない。ということは1985にM9を採用する以前の.45に戻すのか?
 9mmと、「.357SIG」実包と、「.40SGW」実包の3種類からどれでも選べるようになる可能性がある。「.45ACP」だけはあり得ない。それに変更できるようなグリップは無理だから。
 さる事情通によると、Sig社としては「.40」口径を推していた。しかし陸軍は、かれこれ考えた結果、結局9ミリとするつもりである、と。
 「グロック17」および「グロック19」でエントリーしたGlock社は、12月にSigとともにコンペ勝ち残りを宣告されていた。おそらくグロック社はこれからペンタゴン相手に訴訟を起こしてこの最終決定に不服を鳴らすだろう。
 ベレッタ社は、30年保持しつづけた米陸軍という買い手をこれで失った。
 ベレッタ社は2014-12に、レールなどをゴテゴテと増設した「M9A3」をまとめた。が陸軍から全く不評と知れたので、急遽ハンマーを廃してストライカー式に変えた「APX」を設計してコンペに突っ込んでいた。
 陸軍のMHSプロジェクトは2013前半からスタート。
 メーカーは50万梃を納品できると見込んでいる。
 最新の陸軍の購入計画では、とりあえず28万梃。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-1-20記事。
  ロシア海軍は2016後半に、グラチャノク型の港湾警備艇を2隻、調達した。
 139トン。全長31m。これが、いまのロシアで国産できる軍艦である。
 特徴は、フロッグマンや水中ロボットを探知できるソナーをもっていること。
 最高速力41km/時。補給なしで連続5日間活動できる。8人乗りだが、さらに6人分の船室がある。
 固定火器としては14.5ミリ重機関銃×1。
 「DP-65A」という10連装のグレネードランチャー。これは径55mmのグレネードを500m飛ばし、水中のフロッグマンを殺す。
 RPG類似だが、フレアが燃えるので、どこにフロッグマンがいるのか、水兵全員が理解できる。
 着水すると、プリセットした深度で爆発。
 殺害半径16m。
 他に、肩射ち式SAMのSA-18を4基。
 それらとは別に、「DP-64」という手持ち上下2連の45ミリ・グレネードランチャーが何梃か備えられている。重さ10kgで、射程が400m。
 発射するグレネードは径45ミリ、重さ650グラム。
 これも深度40mまでプリセットでき、半径14mのダイバーを殺す。
 ※フロッグマンといえば、元シールズ隊員のリチャード・マコウィッツ氏の訃報が1-3に報じられていた。本人が癌だと知ったのは2015年秋で、進度4の脳腫瘍だったという。その事実は2016-2に本人により公表されていた。彼は2002年には『内なる戦士を解き放て』という本を書いているそうだ。これが生涯唯一の著作だったようだ。そして2012年を以て、テレビには出なくなった。以下は私の想像だが、もっと早くから病気の自覚をしていた本人が2012を以て、ステロイド剤の使用を止めたんだろう。ステロイドは免疫を抑制するので、正常細胞の癌化も止められなくなるからだ。それでたちまち、テレビでは見せたくない体つきになったのだろう。本人の自覚は「フューチャーウェポン」の撮影中からもうあったのではないか。なんだか心配事があって悩んでいるように見える回が、数回ある。彼は家族のために寿命を縮める究極の選択をしていたのかもしれない。それにしても感心するのは、彼が生まれた年は判明するのに、月日はどこにも公表されていない。さすが。特殊部隊員はこうでなくては。
 次。
 Dave Majumdar 記者による2017-1-19記事「XB-70 Valkyrie: Why Didn’t America Build This Mach 3 Monster Bomber?」。
  ※この記事は2015-11に初出だが、LSBについて考えるよすがとして再掲された。
 なぜ「XB-70」ヴァルキリーは量産されなかったか。単価が高すぎるのに加えて、低空侵入爆撃や低烈度ミッション用には重宝しそうになかったからである。
 エンジン6基でマッハ3を出すことができた。
 試作機1機だけが残っており、オハイオ州デイトンの博物館に展示されている。
 XB-70の開発は、1950年代にまだ防空兵器としてSAM(SA-2)が実用域に無く、高射砲が届かず、局地戦闘機も振り切れるような高空&高速ならば迎撃は受けまいと信じられたところから始まった。
 ところがじつはソ連のSAMがかなり完成しているという情報はペンタゴンには早くから入っていた。にもかかわらず空軍一派はそうした敵の新防空兵器の性能をいっかな正当に認識しようとはしなかった。ゲイリー・パワーズのU-2が1960-5-1にSA-2で撃墜されても、それはソ連のSAMなどではなくて時限爆弾工作もしくはパワーズの裏切りだったと、自分たちで自分たちに言い聞かせた。こうして、最初から開発するのが無駄である役立たずな高額機体が、ずるずると、試作まで持っていかれたのである。
 JFK政権が1961-3-28にXB-70計画をキャンセルするまでに、ペンタゴンはSAM脅威を正当に評価して、侵攻爆撃は低空に限るという指針を固めていた。低空侵攻ならば地形がレーダーを届かなくしてくれるので、敵防空軍側のリスポンスタイムは極端に短くされ、敵には対処のいとまがないだろうと計算された。
 そしてもうひとつ。この時点では米国もICBMを揃えられるようになっていた。何も高額な有人爆撃機に頼らずとも核報復はいくらでも可能となったのだ。
 しかし、ヴァルキリーの試作だけは、淡々と継続された。1964-9-21、加州のパルマデール基地からエドワーズ空軍基地への初飛行。
 試作1号機は、この飛行機はマッハ2.5以上になると、方向安定性がなくなることを教えてくれた。そのため、けっきょく、たった一度だけ、マッハ3を出しただけである。
 試作2号機は1965-7-17に飛んだ。主翼には上反角5度を付し、超音速飛行時の安定性を高めようとした機体だった。
 1966-6-8に、試作2号機は、随伴飛行していたF-104Nと空中接触して、クラッシュ。2名死亡、1名重傷。
 1号機ではなく、改善された2号機が失われたことは、メーカーのノースアメリカンにとって大打撃だった。
 試作1号機の試験はそれでも1969-2-4まで続けられた。83回、のべ160時間飛行。ちなみに2号機は92時間て終わった。
 ※ソ連にミグ25の開発を強いたのがせめてもの功徳か。


最新刊『日本の武器で滅びる中華人民共和国』は、地方書店では週末以降に店頭に出ます。

ストラテジーペイジの2017-1-19記事。
 2015年後半にインドネシア高官の贈収賄スキャンダルが起きキャンセルになった「AW101」ヘリコプターのVIP輸送バージョーン。こんどは純然軍用のAW101が複数機、インドネシアから発注された。
 2013年前半、12機のAW101のインドへの売り込みをめぐり、贈収賄容疑が濃厚になって、キャンセルされた。
 英国のアグスタ=ウェストランド社(AW社)を保有するイタリアのフィンメカニカ社の幹部が、インド軍将官や国防省高官に贈賄していたのだ。
 フィンメカニカ社は総額で3000万ドルも贈賄のためにインド人に支払うつもりであったことが、捜査過程で判明している。
 AW101は英国製で自重15トン。A.D.2000から英陸軍と英海軍がこれを運用中。エンジン3基でシングルローターを回す。荷物5トンもしくは兵員20名を運搬できる。最高時速300km〔自衛隊の公称値は278km/時〕。滞空4時間可能。
 VIPタイプは、AW101の売り上げの15%を占める重要商品。
 AW101の単価は3000万ドルから6000万ドルまで幅が生ずる。こうしたヘリコプターの売値には、訓練費用や、数年範囲のサービス提供がコミになっているので、1物1価にはならない。
 現在まで世界には220機のAW101が売られている。


ひょっとして本日、書店に並んでいやすかい?

 うかつでした! 月末25日以降だとてっきり思い込んで余裕ぶっこいてた。昨日、届けられた見本の奥付を見たら、発行日が1月19日と書いてある。ということは今日が売り出し日なんですかい?
 ふつうは見本が来た翌週くらいの店頭発売ですけど、今回は年末年始進行で特別だったんでしょうね。オバマ政権の最後の日にリリース。兎も角、結構!
 急いで自己宣伝します。講談社のプラスアルファ新書『日本の武器で滅びる中華人民共和国』。タイトルのまんまの内容です。中共が滅びれば、その5秒後に北鮮も消えるしかないんですよ(みんなその逆を考えているから埓が開かない)。韓国人以外の全アジア人はハッピーになる。そういう内容です。スカッとしますよ! たぶん外務省の中の人以外は。
 この本の内容を補足する、トランプvs.中共軍の予測記事が、月末の雑誌『WiLL』に載ると思いますので、そちらもご注目ください。明日から日本がいちばん気をつけなければならないのは、1980年代の「FS-X」の再演をやっちまうことです。トランプの反日感情は「FS-X」時代に確立したものなのです。通産省と三菱がトランプを反日思想家にしてしまったのです。このモンスターを二度と蘇らせてはいけない。亡霊たちが妄動しています。
 この本の中にいくつかヘンテコリンな字句や文辞が飛び出すかもしれません。その怪奇現象が発生してしまう事情については、前回の新書のときにこっそりご説明しました。どうか、脳内スルーしてお読みください。そこにこだわらなければ、全般に、楽しめる本です。


75歳以上には「マニュアル・コラム・シフト」で馬力と車幅も抑制したシニア規格車の乗用を義務付けるしかないだろう。

 SLOBODAN LEKIC 記者による2017-1-17記事「Germany’s Leopard tanks prove vulnerable in Islamic State fight」。
   ドイツの新聞『Die Welt』紙によれば、トルコ軍が装備する「レオパルト2」戦車のうち、すでに少なくも10両が、シリアの敵ゲリラによって撃破されてしまったという。場所はトルコ国境から15マイル南のアルバブ市。市街戦でやられたらしい。
 トルコ軍は昨2016年9月いらい数千人を投入している。
 トルコ地上軍には露軍機がCASを提供してくれているが、それにもかかわらずトルコ軍はアルバブ市の守りを突破できないでいる。
 トルコ兵の戦死者も数十人以上。
 ゲリラの対戦車ミサイルは、米国製のTOWとロシア製のコルネットの二つである。※このクラス以下の射程ではATMも非実用的だということがコンバットプルーフされたわけか。
 バイエルンのクラウスマッファイ工場は1980年代からトータル2100両の「レオ2」を独軍に納入した。しかし今ではドイツ軍には325両あるのみ。
 独軍のレオ2のうち20両は「A7」という最終改型なるも、他は「A4」型が大宗で、これがシリアでやられまくっているものと同じだもんだから、欧州NATO軍内に戦慄が走っている。
 欧州では、オーストリー、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス等が皆レオ2のユーザーである。
 冷戦後にドイツは、余剰のレオ2を格安で輸出する政策に転じた。ポーランドなどがそれに飛びついた。
 2003年にカナダ軍のレオ2がアフガニスタンでタリバン製の大型IEDをくらったが、掠り傷しか生じなかったので、評価を高めた。
 だが、この戦車は市街戦になったら弱いだろうという疑念は、当初から持たれていたのである。
 「エイブラムズA2」や英陸軍の「チャレンジャー2」と比べて、レオ2は側面と背面の防護が薄すぎるという指摘も最初からあった。それはドイツ軍としては承知の上の選択だったのだが……。
 ※そして日本の90式戦車が装甲配分に関してはレオ2コンセプトのマルパクであることは誰でも知っている。90式装備部隊が市街戦の研究をしているという話は聞いたことがない。


フィリピンとロシアは地政学的に対立点はないので軍事同盟はいつでも可能。ただし露人から比人へのリスペクトは薄い。

 David Sharp 記者による2017-1-8記事「Navy, Trump Planning Biggest Fleet Expansion Since Cold War」。
  海軍が調子に乗って12月に揚言した355隻体制の理想。これを実現するには今の海軍予算である年55億ドルにプラスしてさらに50億ドルも余計に必要となる。
 ヴァジニア州の造船所には、空母1隻を含む47隻。
 メイン州(バース鉄工所)とミシシッピ州の造船所には、大型水上艦16隻。
 コネチカット、ロードアイランド、ヴァジニアの原潜造船所には18隻のSSN。
 他に、強襲揚陸艦、遠征作戦用海上中継ドック、支援艦船などが全米の造船所に発注されるだろう。
 水兵も増やされるから、1人あたりの年間艦隊勤務日数が短縮される。フネがドック入りするために艦隊に開く穴も埋まりやすくなる。
 海軍はいま、一線展開可能な戦闘用艦艇を274隻、持っている。本来の目標は308隻なのだが、それには足りていない。
 6000名を雇用しているバース鉄工所を保有しているジェネラルダイナミクス社の株は、トランプ当選で上がった。
 同じく、コネチカット州にあるイレクトリックボート社(原潜建造所)、加州にあるNASSCO社、ヴァジニアとミシシッピに大造船所を抱えるハンチントンインガルス社の株も。
 ※勝った官軍にはまず「恭順」しておいて、そのあとから対策を考える。
 350隻海軍の原資は当面はF-35予算の切り崩しで捻出するしかない。全米の雇用力ではさしものロッキードマーチンといえども造船所群には勝てない。となるとロビーイング反撃しても無駄だ。だからロックマートの社長は自ら「F-35を値下げする」と素早く発表し、官軍からの矛先をタイムリーに逸らした。そのうえで百般の「反論」の小理屈は、子飼いの「専門家」たちのウェブ寄稿に任せている。いくら値下げするのかは言わない。値引き幅がたったの1セントでも、嘘をついたことにはならない。これが世界に通用する政治宣伝技法だ。
 それに比べてトヨタ自動車は……。
 ショボい新工場でも合衆国内に1つ新設するとアナウンスすれば、そのインパクトはすべての悪感を払拭する。名辞が大事だ。実質はどうでもいい。そこが直感的に覚れない。
 日本にはいつまで経っても真の宣伝家が育たぬことが痛感される。コメントを期待された社長が率先して小理屈を捏ねていてどうするんだ? そんな仕事は英字新聞の社説欄に委託すりゃいいんだよ。まずはインパクトある内容の、即時的な発表で強敵の攻撃の矛先を逸らしてやる。維新時の小藩の家老と同じこと。それが大会社の社長の仕事だ。その才能がないなら、日々いつもその宣伝を考えていないなら、何のために給料を貰っているのだ?


貝取澗温泉に行ったら五十肩が治ったでござる。(あわび入りカレーはおすすめ。)

 ストラテジーペイジの2017-1-7記事。
  露軍は、古い米国製のUAVレイヴン(RQ-11)を電波ハックできる。にもかかわらず米国はウクライナにその旧型を支給し続けている。
 アナログ電波では、ジャックされるのは常識なのだ。やはり軍用品はデジタルでないと。
 さりとてデジタルレイヴンを送れば、これまた露軍に捕獲されて解析されちまうにきまっているのだが。
 デジタルレイヴンは米軍には2010からある。
 そうしなければいかんという米陸軍の認識は2008年であった。
 デジタルにすると、動画の解像度が上がり、しかも、同じ空間で同時に16機ものレイヴンを飛ばすこともできるようになるのだ。アナログだと、これは4機が限度だ。
 しかもアナログ電波はイスラムゲリラにすら傍受が可能。映像が敵と共有されてしまう。もちろん、ハッキングで墜落させたり、信号中断で「自動帰巣」を強いることもできる。
 特に智恵の働く奴らはイラン人。彼らはイラク内のシーア派民兵にこの方法を教授してやっている。
 オーストラリア、中共、チェコ共和国は、今すぐにもレイヴン級のデジタルUAVをウクライナに供給できる。それも、米国製デジタルレイヴンより安価に。
 ※日本はチェコにすら抜かれたってわけか。
 レイヴンはまず2003に米陸軍歩兵大隊が採用し、ついで米海兵隊でも採用した。レイヴン無しの歩兵戦闘など、もはや米軍では考えられもしない。この無人機は歩兵中隊の戦闘流儀を完全に変えてしまった。1コ大隊に9セットが定数である(1コ中隊あたり3セット)。1セットは、レイヴン4機+コントローラー2つ。
 最前線の歩兵中隊長が、自分専用の「ミニ空軍」を持っているようなものなのだ。
 移動するときにはルートの前路偵察をしてくれる。
 野営するときは、陣地の周りの夜間の見回りをしてくれる。
 2003年以来、2万機強が製造されている。1機は3万5000ドルくらい。1セットは17万5000ドル。
 最新のRQ-11Bは重さ2kg弱。バッテリーで60分以上飛ぶ。ふつうは高度150mで、10km以内の偵察に使う。最高300mまで上昇可。
 発進は手投げ。ゴムスリングで手投するともっと楽である。
 回収は強制エンスト&クラッシュによる。


トヨタはニッチ車種の専用子会社を合衆国本土(たとえばマケイン上院議員の地元アリゾナ州)に新設するのが宣伝上合理的だ。

 米国市場が潜在的に求めているのに今までは供給が存在しなかったニッチがある。それは、「核攻撃を受けたときに頼りにできるファミリーカー」だ。全米の「サバイバリスト」がこれを争って買うだろう。トランプを支持している層は、サバイバリストに完全に重なるのだ。
 「自動運転電気自動車」などとは正反対の方向性こそが今、求められている。いかなるEMPをくらってもエンストしないことが肝要だ。そのためにはエンジン周りから電気部品は徹底的に排除する。
 イグニッションも使えないから、最も原始的な副燃焼室付きの多燃料ディーゼル・エンジン。それでも今日の最先端素材を前提とし最新ノウハウで一から設計すれば、かなり軽量化はできるだろう。
 コモンレールによる直噴制御が使えないのだから、とうぜん排ガスは悪くなる。欧州へはまず輸出は不可能だ(だからアリゾナ州でもいい)。しかしトランプ政権は、サバイバリストのためならば国内環境基準を緩和するだろう。
 エンジンスターターは、クランク。ただし直接に主エンジンを始動するのではない。大型旅客機の尾部APUと同じだ。まず、サブ動力の超小型ディーゼル発動機を手動でスタートする。それで主エンジンがいつでもかけられるようになる。
 フライホイールと組み合わせれば、クランクは車内で片手で回せるサイズにできる。
 このAPUが停車中のエアコン運転に重宝する。もちろんNBCフィルターが付いているのだ。
 ウィンカーすらも手動方向指示器を選べるオプションがあるとウケるだろう(昭和30年代のトラックには付いていた)。
 宣伝で大事なのはタイミングとインパクトだ。くだらない理屈をこねまわして強敵に餌を投げ与えるな。阿呆しかいねえのか。
 次。
 JOSH ROGIN 記者による2017-1-6記事「Sources: Mattis clashing with Trump transition team over Pentagon staffing」。
  マティスはトランプ以降チームが挙げてくる国防総省高官補職者リストを片端から拒絶しているらしい。マティス対トランプ側近どもの大衝突だ。
 風向きが変わったきっかけは、トランプが次期陸軍長官として、大富豪の元陸軍将校、ヴィンセント・ヴァイオラを就任させるつもりだとマティスが承知したときだ。
 マティスはこの人事案にとても怒った。
 マティスは、国防総省の関係高官は、全員、じぶん一人に忠誠を尽くすべきであると信じている。勝手にホワイトハウスと直結して事を進めそうな人物は、三軍長官等として、とても許容はできない。
 選挙期間中「トランプだけは絶対にいか~ん」と叫んでいた共和党の有力者たち。じつはマティスはそんな中からも何人か、抜擢して部下にしたいと考えている。だがこんどはトランプ側近が、そのような人選には猛反対。
 米国では国防長官の下は副長官(1名)、その下が次官(複数)だが、その軍情報幕僚格の次官のポストが焦点。
 トランプの安全保障顧問のフリンは、現役時代に、DIA長官だった。しかし、国家情報局長のジェームズ・クラッパーによって逐い出されてしまう。そのきっかけは、フリンが、軍情報次官のマイケル・ヴィッカースと口論したことだった。
 マティスが反発している、もうひとつの、トランプ側近からの人事案。ミラ・リカーデル(♀)を、国防長官の政治担当次官に据えようという案。
 とにかくマティスは、選り好みがうるさい。
 トランプ側近は、国防副長官(マティスのすぐ下のナンバー2となる)には、ヘッジファンドの経営者で元陸軍将校のデヴィッド・マコーミックを入れたがっている。
 マティスとフリンの元軍人同士の暗闘も始まっているようだ。フリンが中将でDIA長官だったとき、マティスは中央コマンド司令官の大将だった。
 マティスは主要閣僚としてNSCに連なる。かたやフリンはトランプに個人的にアドバイスできる立場。
 フリンは今、NSCメンバーの人選で忙しい。
 別報によれば、フリンはNSCのアジア部長として、マシュー・ポッティンガーを起用したがっている。
 ポティンガーの前歴は『WSJ』紙のアジア担当記者。ただし2005年に海兵隊員に入り、アフガニスタンで情報将校を務めている。そしてフリンと共著で、いかにしてアフガニスタンで情報作戦を進めるかというメモを作成し、それはシンクタンクから2010に公刊されている。
 フリンは、セバスチャン・ゴールカをNSCの核問題担当者として起用したいらしい。ゴールカは、ハンガリーから英国に亡命した両親の子で、英国籍であり、今は国際政治研究所の副所長の教授である。
 フリンはNSCを元軍人と軍事問題専門家だらけにしたがっている。
 フリンの筆頭助手であるK・T・マクファーランドは、NSCにはもっと純文民を増やさねばならぬと考えている。
 なおトランプ政権は、いま400人を越えてしまっているNSCスタッフを150人まで減らすであろう。


貧者の巡航ミサイル。それがドローン。

 Rachel Zissimos & Katie Tubb 記者による2017-1-5記事「The New Administration’s Policy Should Reflect that Biofuels Cannot Meet Military Needs」。
  現役当時のマティスはオバマがくだらない燃料を海兵隊に押し付けてくるのに大反対だった。
 イラクでの治安作戦中、バイオ燃料のおしつけ統制のために作戦の進捗が阻害された。ただちに現地のマティス将軍は、燃料規制を撤廃しろとペンタゴン上層に要求したものだ。
 何がグリーン・エナジーだ。
 オバマは2011年に、海軍省、エネルギー省、農務省を指名し、3省が民間企業と共同して、レギュラー燃料に添加・混和する第二燃料としてのバイオフュールを作り出し、全米の民間輸送部門と国防総省の輸送部門に使用させろと命じた。
 これが「グリーン・エナジー・アジェンダ」であった。役人はこのアジェンダを尊重するコンプライアンスを負う。
 国防総省職員や軍人も国家公務員であるから、米四軍はそれからたいへんな時間・予算・人を突っ込んでバイオ燃料利用を増やす工夫に努めてきた。
 メイバス海軍長官が、オバマのティーチャーズ・ペットとなって奮闘した。オバマ政権2任期、ずーっと長官。これほど大統領から気に入られた海軍長官はWWIいらい初めてだが、おかげで海軍は大迷惑を蒙った。指定された艦隊は、各艦の燃料タンクにナタネ油を半分注入しろと言われた。F-18戦闘機にまで注入させられた。とうぜん、海軍の燃料コストは逆にハネ上がった。
 メイバスは「グレート・グリーン・フリート」だと胸を張っていた。
 海兵隊は省をもっておらず、海軍省の支配下にある。つまりマティスの大ボスも、この尻舐めメイバスだった。
 ※『グリーン・ミリテクが日本を生き返らせる!』を上梓したのが2010年4月ですよ。なつかしい。この時点で完全にオバマ新政権の最大のプッシュ政策になっていた。  たしかに、化石燃料の入手にまったく不安がない米軍には何のメリットもなかった政策だった。しかし自国領内で石油/ガスを安価に生産できない他のすべての国家にとっては、軍用の代替燃料の研究は、意義がある。オバマ政権時代でも、もし中共の石油消費量が順調に膨張し続けた暁には、コストもペイする可能性すらあったのである。米国はこの研究から手を引く。ならば、今こそ、日本がこの研究を引き継がねばならない。西欧はすでにディーゼル後まで考えているが、軍用車の電気化には無理がある。日本政府はまずディーゼル優遇税制をもっと強化して、日本の精油プラントで余ってしまう軽油を再度国外へ搬出して売り先を探しているという犯罪的な無駄構造を解消するのが急務だろう。
 石油は、どの国の生産分であれ、それは国際マーケットに提供される。したがって、どこでも、どこから買うことができるコモディティ商品である。
 かつて、国防エネルギー兵站部長だった退役空軍准将氏いわく。この世界にある石油の全体量は、軍隊にとって問題ではない。燃料兵站の問題とは、それを必要とする部隊に間に合うように燃料を輸送してやれるかどうかということに尽きるのだ。
 遠征先で部隊が燃料を必要としているなら、その現地で石油を買った方が早い。米国内で液体燃料がどのくらい生産されているか、あるいは消費されているかなど、関係ないのだ。
 米軍艦は、36ヵ国にある74ヵ所の港で燃料を買って給油可能である。また米軍機は、96ヵ国にある108ヵ所の飛行場で燃料を買って給油できている。
 米空母を中心とする機動艦隊の消費する液体燃料の9割は、ふつうの派遣のあいだじゅうは、海外で調達されているのである。
 国防総省全体が1年間に買う液体燃料の半分以上は、外国にカネを払って購入したものである。
 1815年、米海軍は帆船を石炭焚き蒸気動力に切り替え始めた。これにより艦隊は、海風と関係なく移動計画を立てて、予定の通りに実行できるようになった。
 ただし外洋を蒸気船が長駆移動するのに必要な石炭の量は厖大だったので、給炭港の位置と容量と政治状況に、米海軍はかつてなく縛られることにもなった。石炭積み作業には多大のマン×アワーも必要だった。
 20世紀初め、米海軍は、石炭焚きボイラーを重油焚きに替え始めた。体積あたりのカロリーが高いので、給油頻度は給炭頻度より少なくてよい。しかもホースで圧送できるので補給時の労力も要しない。
 ついで洋上給油法や、原子力推進が開発され、米艦隊は母港に戻らずに連続して長期間の遠征作戦や潜水艦パトロールを実施できるようになった。
 こうした既往の海軍エネルギー源革命とくらべると、バイオフュールは何の作戦上のメリットも米海軍に付け加えてくれなかった。単に、米軍の作戦をいちじるしく不自由に、且つコスト高にしてくれただけ。オバマのマスターベーションだった。