浮航性乗用車である必要はない。ドアを密閉すれば10時間は水に浮いていられる気密設計。それなら夜明けまで車内で救助を待てる。

 James Kraska記者による2015-9-11記事「Why the USN Sail Within 12 NM of China’s Islands – J. Kraska, CSIS」。
  なぜ米海軍は中共のフェイク・アイランドの12海里内を「無害航行」しないのだ? 中共艦隊は米領「アッツ島」の12海里内を通航したというのに。
 WSJによるとカーターは部下参謀に、フェイク島付近での演習のオプションを提出しろと命じた。 ※だが大統領側近のヤル気は疑問である。
 艦船はどこの領海12海里内でも無害通航できる。しかし航空機にはその権利がない。 ※だから海保は尖閣周辺では主として航空機によってシナ船に警告を与えるべきなのである。中共は軍だろうが海警だろうが漁船であろうが、それとおなじ対抗手段をとることはできない。飛行機をこっちの前浜まで飛ばしてくれば即戦争だから。船に対して船で対抗しているから、埒が開かないのだ。
 ウェブサイトのPOLITICOが7-31に報じたところでは、ハリス太平洋コマンド司令官(海軍大将)がフェイク島の12海里内を軍艦で通航させるという計画を出したらホワイトハウスはそれを禁じた。
 これによって米軍は判断した。オバマ政権は中共が砂盛島について主張する領土主権を認めたのであると。
 マケイン上院議員は非難する。人工島の領土主権を事実上認めてやるとは、アメリカ大統領は正気か?
 ファイアリー・クロス礁は、満潮時には完全に水没する岩礁であった。そこに中共は砂を盛り上げ、天然原状がいかなる形であったのかを、わからないようにしてしまった。
 満潮時に水没する岩礁は国際法上の領土にならない。したがって領海の根拠にもならない。それどころか、公海の水面に突出する人工物をぶち立てた者は、付近を全長500mの船舶が安全に航行できる水路を確保する義務を負うのだ。
 南極大陸にはいかなる「領海」も付随していない。なぜならそこはどの「国家」によっても領有されていないからだ。
 公海上に出現させた人工砂盛島について、米国政府が某国の主張する「領土権」を承認しなければ、それは南極大陸と同じ「無主地」(terra nullius)のままなのである。
 無主地である以上、無害航行はおろか、米軍はその12海里以内で、まったく公海上と同じように軍事演習すら自由に実施できる(国連海洋会議条約第87条)。
 また公海上の人工構造物は誰の領土でもない以上、どこの国の民航機も軍用機も、自由勝手にその真上を飛行して可い。
 ウッドロー・ウィルソン大統領がWWIに突入した時に掲げた14か条のうち第二番目は「平時、戦時を問わない海上航行の自由」であった。
 ※米国戦史は「ブロケイド戦史」なのだ。ここがわからないとね……。
 FDRとチャーチルが1941に会合して「大西洋憲章」を決めた。その眼目原則の四番目は「国際連合」の創設であり、七番目は「海洋の自由」だった。
 ※旧国際連盟も国際連合も、由来からして「米国務省の支店」なので、今の国連ビルがNYCにあるのはむしろ自然なのである。ここがわからないとね……。
 次。
 ERIC SCHMITT and MICHAEL R. GORDONSEPT記者による2015-9-14記事「Russian Flights Over Iraq and Iran Escalate Tension With U.S.」。
  ロシアはイラン上空からイラク上空を経由してシリアに巨人輸送機で軍需品を輸送する空中回廊を確保した。輸送機の出発点は南ロシア。
 終点は、シリアの「ラタキア」の南部の飛行場である。
 以前はブルガリア上空を飛行していたが、NATOの一員であるブルガリアがそれを禁じたのでコースを変えた。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-9-14記事「Bad Versus Badder」。
  ロシアはシリアのタルトゥス港を自己の軍港と化している。ラタキア空港は、そのタルトゥス海軍基地から北へ85kmの地点にある。
 その辺り、シリア北部の海岸は、アサドの出身地盤である。
 ※ロシアは同時多方面戦争を起こして自滅したがっているとしか見えない。


「軽量鉄骨×コンパネ」の住宅に補助金を出すことは、災害が起きた後で地域を復興させるよりもはるかに国庫の節約になろう。「各戸完結型のソーラー蓄電システム」は、「低品質売電ヤクザへの全国民みかじめシステム」よりも安心で健全だとわかったろう。

 William McCants 記者による2015-9-11記事「Ten silly ideas for fighting ISIS」。
  次期大統領は、その就任の第一日目から、IS対策に腐心しなければならぬはずよな。ならば、共和党の各候補たちは、いったいどんな腹案を用意しているのだろうか?
 実業家のドナルド・トランプ候補は、ISの資金源になっている油田を米軍に占領させてしまえばいい、と言っている。
 ベン・カーソン先生は、ISが強いのは信念が強いからだという。それに比べてアメリカが弱いのは、アメリカの古い価値観が「ポリティカル・コレクトネス」のために弱められてしまっているからだという。だから、アメリカ人もまた古い価値観を強く信じさえすれば、ISは撃砕できるという。
 前フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ候補の戦略。イラクについては政府軍に対する米軍人の顧問の数を増やす。シリアについては、比較的まともな反政府ゲリラたちを後援するとともに米軍も投入してアサドを倒す。また、シリアについてはノーフライゾーンを強制して無辜住民を守る。
 上院議員であるテッド・クルズ候補。ISが米本土を攻撃しない限り、そんな連中は放っておけ。もし奴らが米本土を攻撃しようとしたら、米空軍がその能力を破壊してくれるわ。そしてその後の中東国家の再建などわれわれの知ったことか。海外の内戦にアメリカは関与するな。
 上院議員マルコ・ルビオ候補。シリアのISを米軍は空から直接攻撃するべきだ。しかし、米軍はあくまで航空機によるCAS〔この意味がわからん人は『兵頭二十八の防衛白書2015』を嫁〕だけをすべし。現地の地上に派遣して可いのは、特殊部隊、後方兵站、情報支援だけだ。
 ウィスコンシン州知事スコット・ウォーカー候補の提案は、ジェブ・ブッシュの提案をすべてにおいて抑制したもの。たとえば、顧問は地上に派遣してもいいが、米軍を送り込んではいかんという。
 カーリー・フィオリナ候補。ひとつの解決案をこっちから出すのは拙ない。中東におけるアメリカの同盟者たち。彼らの提案をまずぜんぶ聞け。話はそれからだ。そのためにキャンプ・デイヴィッドでサミットを開こう。
 オハイオ州知事ジョン・カシク候補。フィオリナと同意見だが、けっきょくのところは国内の有権者にはいくら不人気でも米地上軍を出すしかないと思っている。
 前アラスカ州知事マイク・ハッカビー候補。クルドに武器を渡せや。米軍はもっと空爆しろ。米地上軍を出す場合は、それは絶対にサウジ軍やヨルダン軍や他のアラブ諸国軍よりも少人数にとどめる。まず周辺アラブ軍が矢面に立つべきだからだ。
 ニュージャージー州知事クリス・クリスティ候補。おれたちは中東の占領者にはならない。反ISの立場の周辺アラブ政府軍をいろいろと支援しよう。しかし米兵は送らない。
 記者、評していわく。トランプ案はうまくいくまい。今のISの主たる資金源は油田ではないので。
 カーソンらは、かつてのオバマの当選戦略を真似ている。具体的な軍事戦略をできるだけ選挙期間中には語らない。当選するまではイメージだけを先行させて、有権者の夢を勝手に膨らませてやればいいという計算。
 ブッシュとウォーカーは、シリア問題の根源がアサドだとわかっている。だが2人は、アサドが倒されたあと、どうするのかを語っていない。数派の勢力が入り乱れての内戦がさらにシリアで続くはずである。そこに米軍はひきつづき現地において関与するのか? だとしたらどのように? 知りたいところである。
 クルズは、ISの第一目的が中東にスンニ帝国を築いてシーアを根絶することであり、米国攻撃なんかどうでもいいという事実がわかってない。
 ※来月の「読書余論」では、1974年刊のBryan Cooper氏著『The Story Of The Bomber 1914-1945』を含めたい予定である。著者はたぶん英国人なので、英国の航空爆弾について最も詳細に記しているが、ドイツの爆弾についてもかなり詳しく分かって貴重なものだ。なかでも驚いたのは、米海軍艦上機がレイテ海戦以降に日本の『大和』『武蔵』に対して投下し、バイタルパーツ以外の箇所に関しては有効であったと認められているAP/SAP弾の1000ポンド型についてのスペックが載っていることだ。1000ポンドAP弾は、炸薬が全重の14.5%で、径73インチ、翼径16.6インチ。尾部信管のみ。ただし正確な全重が不明である。セミ・アーマー・ピアシングの1000ポンド爆弾の方は、炸薬31%とあるが、やはり正確な全重が分からない。米海軍と陸軍航空隊は、対軍艦攻撃を最初から予測した場合でも、マリアナ海戦以前は、瞬発信管付きのGP爆弾しか吊るして行かなかった。それが1944のある時点で、方針が切り替わった。戦時中にSAP/AP弾の開発をした理由とともに、そのへんが解説されている本を見た覚えがない。あきらかに米軍は、この爆弾の詳細を現在までも秘密に保とうとしているのである。その理由は、過去に何度か推定して書いたところだ。
 ※「読書余論」は、「アジ歴」や国立公文書館のようにデジタル化が進んではいない、たとえば防研図書館の所蔵史料等まで広く渉猟して摘録してありますので、オンラインで「アジ歴」などをいくらサーチしても出てこない情報に関心がおありの向きは、購読をして損はありません。1回分を500円で試し買いしてみれば、その価値をご納得いただけるはずです。


「沖積平野」は どこだろうと危ない。トヨタは「スキ車」を再販すれば株が上がるに違いない。

 Dan Lamothe記者による2015-9-10記事「Marine experiment finds women get injured more frequently, shoot less accurately than men」。
  海兵隊がじゅうぶんに時間をかけて実験した結果がようやく発表された。女の兵隊は男の兵隊よりも2倍多く怪我をする。歩兵兵器の照準は、下手糞である。負傷した戦友を戦場から担いで運び出す動作も不良。つまり、海兵隊は、女の兵隊は戦闘職種に使いたくない。
 この研究はノースカロライナ州キャンプ・レジューン基地で9ヶ月間実施された。
 400人の実験志願者を集めた。うち100人が女の海兵隊員。
 ※結論は早い段階で定まっていたのだが、その説明が上手い。この3ポイントを統計データを添えて挙げられたなら、誰も反論できないわけである。反論する者は、味方部隊を全滅の危険にさらせという者である。戦争に負けて国家を危殆に瀕せしめてもかまわぬという第五列である。日本の「保守」には、こういう上手い説明戦略を考え付くことができない者があまりに多い。海兵隊上層部の足元にもおよばない。海兵隊はこのようにして馬鹿オバマ側近からのくだらない要求を沈黙させる。日本ではこうした言語理性のある者が政府から用いられていないために、政府が米国や他の海外からの理不尽な要求をはねつけることもできないのだ。
 次。
 Spencer Ackerman記者による2015-9-11記事「US spy chief’s ‘highly unusual’ reported contact with military official raises concerns」。
  軍から上がってくる悲観的な情報を、大統領側近向けに薔薇色に加工していた張本人は、国家情報の総元締め長官のジェイムズ・クラッパーではないのかという疑惑が濃厚に。 ※「スターリン」は側近2名なのだ。そんなことは最初から知られていた話ではないか。
 セントコムのグローヴ陸軍准将いわく。毎日のようにクラッパーがセントコムの情報分析部と接触していた。それは異常な光景であったと。
 ※ちなみにセントコムの司令部所在地は中東ではなく、米本土にある。
 別な人の証言。クラッパーはよく承知しているはずだ。2003イラク侵攻の前に副大統領チェイニーがCIAに、侵攻決定に都合がよい情報を上げろと隠然圧力をかけ、出世主義の下僚どもが全員それに励んだ過去とその結果を。
 オバマ政権は「イラクが第一」の路線を公表している。そしてISが勝っているという報告は、うけつけない。


栃木のホンダ工場はシュヴィムワーゲンの研究に入った方がいいだろう。

 『デイリー・ビースト』の2015-9-9記事「Exclusive: 50 Spies Say ISIS Intelligence Was Cooked」。
  同紙が独自取材でつきとめたところでは、米軍のセントコムは中東に詳しい50人以上のアナリストを投入して情報分析させているけれども、彼らの正確な報告がセントコム内の上層幹部によって勝手に都合よく編集されて中央に提出されている。その幹部連中こそが組織内の癌。おかげで米国のIS対策は、見込みとは全く反対の結果しかもたらさないのだ。
 アナリストは正直に、ISは強いと報告している。しかし上司が、ISは弱いと書き変えてオバマに報告させている。良い結果が生ずるわけがあろうか。
 軍のインテリジェンス機関の上層部こそが、出世主義の権化となり、部下に対して「スターリン」化しているのだ。
 IS退治やアルカイダ退治は前進しています、と報告しないと、オバマ政権はよろこばない。だから幹部は報告書を改変して、政府をよろこばす。
 悲観的すぎる分析報告は決して、上層へは伝達されない。逆に差し戻されて書き直しを命じられる。やがて分析係は、「自己検閲」するようになる。これが、スターリン的世界。
 上司の意のままに報告書を書かない分析係は、退役を勧奨される。
 かくしてオバマ側近が薔薇色情報でウキウキしているときに、モスルとファルージャは陥落したのであった。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-9-10記事「Pirates Forced To Scramble For Less」。
  海賊事件の発生海域は、いまや、マラッカ海峡の近傍、マレーシアとインドネシアの沿岸に、頻発点が移った。
 2015-1~2015-8における世界の海賊事件の8割が、ここで発生している。だいたい、月に10件だ。
 それら海賊はアマチュアであり、出身地は、マレーシアとインドネシアだと信じられる。
 船員が怪我をさせられることはめったにない。
 マレーシア政府とインドネシア政府は、巡視船およびヘリコプターを出して南シナ海を見張っている。だからここには、船ごとハイジャックするようなプロ海賊はおらず、すばやく高値で転売しやすい電子機器類を奪って行く小者ばかりである。その盗品を買い取って遠隔地へ送り出す「フェンス」と称される中継ぎ売人たちを、現地警察は訊問する。するとたいてい、出所がわかる。
 ナイジェリア沖では年に50件の海賊事件がある。ここでは幹部船員が身代金目的で拉致されることはあっても、ソマリア沖と違って船ごとのハイジャックは少ない。小型タンカーは多額の儲けにつながるのだが……。要するに、ソマリア沖だけが、異常な海だったのだ。
 マラッカ海峡は、長さは800km。幅は最も狭いところで65km。水深は全般に、27m~37mである。
 浅いので、大きなタンカーは時速30km以下で通らねばならない。
 次。
 Metin Gurcan 記者による2015-9-9記事「How the Islamic State is exploiting Asian unrest to recruit fighters」。
 トルコの情報機関によれば、ウズベキスタン、キルギスタン、カザフスタン、タジキスタン〔と書いている〕、トルクメニスタン、そして新疆ウイグルから、シリアとイラクのISに参加した者は、すでに1500名を越えたと。
 外部に出たウイグル人がISで鍛えられて中共内に反政府活動ネットワークを築く未来が想像される。トルコ人はウイグル族の味方である(ほとんど人種が同じ)。


「黒の軽自動車」は「被視認性」が悪すぎる。ステルス・テロ兵器並だ。さぞや保険料は余分にかかることであろう。

 Jessica Contrera記者による2015-9-9記事「The terrifying weapon you can now easily buy online」。
  いま米国の48州では、899ドルのクレジットとインターネット接続環境があれば、誰でも合法的に、「エックスマター」社製の最新型の火焔放射器「XM42」を購入できる。オモチャのような外見だが、飛距離は25フィート。買い手が犯罪暦等を問われることもない。
 XMatter社はクリーヴランドにある。去年までは旧製品「X15」を1599ドルで販売していた。そのシステム構成は、200オンスの二酸化炭素タンク〔圧搾ガスで液体燃料を飛ばすもの〕+燃料タンク+放射ノズルで、重いが、飛距離は50フィートあった。
 この会社の共同設立者Quinn WhiteheadとMike Sammarcoはどちらも20歳のようである。
 現在、メリーランド州だけが、火炎放射器を州法で禁止している。また加州は、火炎放射機の購入者のバックグラウンドチェックを義務付けている。
 連邦でこういうアイテムを取り締まるのは、「アルコール・煙草・銃砲・爆発物 局」である。訊くと、確かに、火焔放射器を禁ずる連邦法は無いそうである。
 また連邦法の「ファイアアームズ」の定義として、「爆発物の作用によって物体を発射する武器」とされているので、圧搾ガスを使う火炎放射器は、フィアーアームではないことになっている。
 国連はベトナム戦争後に兵器としての火焔放射器とナパーム弾を禁ずる条約をつくった。
 米国防総省はその前後に焼夷兵器を自発的に捨てたのだが、政府として条約に署名したのは、30年後のバラク・オバマ大統領の就任初日であった。
 XM42はミシガン州の工場で製造されている。
 なお、各市の条例で火焔放射器の製造や貯蔵や使用を禁ずることは可能である。
 次。
 Josh Horwitz記者による2015-9-8 記事「The Bangkok bombers reportedly never met in person――they planned the attack on WhatsApp」。
  タイ紙の報道によれば、先の爆弾テロ事件の一味は、スマホの「チャット・アプリ」のひとつである「WhatsApp」を通じて、その犯罪を教唆され、呼び集められたのだという。つまり、それまで互いにまったく顔見知りですらなかったらしい。
 過ぐる6月、チェチェンやシリアからベルギー内のテロリストにワッツアップで暗号連絡されていたことが判明した。
 またインドのグジャラート州では、先月ワッツアップで大暴動が組織されたため、州政府がそのソフトを禁止した。
 NSAいわく、チャット・アプリは、テキストメッセージや携帯通話よりも、はるかに発信源追跡が難しくなる、と。
 なぜなら、これらのチャットアプリには暗号化機能があり、送り手と受け手以外は、読むことができないようにし得るのだ。
 「ホワッツアップ」の場合、2014-11から、この暗号化機能が部分的に提供され始めている。
 中共内では、日本製の「ライン」や韓国製の「カカオトーク」と違い、フェイスブックの商品である「ワッツアップ」は、問題なく使えるし、ショップで買える。
 しかしタイのテロがもし中共内から「ワッツアップ」経由で教唆されていたのだとしたら、まもなく中共内でもそのアプリは禁止されるだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-9-9記事「An Offer You Cannot Refuse」。
  サダム・フセインは、市井の情報収集を、街の犯罪組織に頼っていた。同じことを、ISも実行中。
 クウェート征服失敗後のサダムは、シーア派抑圧のためにますますスンニ派の犯罪組織に頼るようになっていた。
 サダム時代にギャングたちを手下に使っていた幹部たちが、その後、ISの幹部となり、またも馴染みのギャングを手下にして、ISの勢力を拡大させたのである。モスルはその結果として、陥落した。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-9-9記事「Shoot First, Shoot To Kill And Aim For The Leaders」。
   実戦を生き残った者は、次のことを学ぶ。先に殺す者が、より長く生き残る。敵の指揮官をより多く殺した側が、戦争に勝つ。
 ノルマンディ上陸作戦では、数ヶ月のうちにフランスの住民1万5000人もが巻き添えで死んでいる。
 このときドイツ兵は、ことさらに市民の楯など使おうとはしなかった。彼らはそんなマネを試みてもムダだと知っていたからだ。
 ISが住民をシールドに使うのは、今日ではそれは有効だと知ったからだ。
 今日の西側国のROEは間違っている。
 テロリストが住民の中に隠れていたら発砲してはならないということにすれば、テロリストは生き延びて、さらに別なテロを重ねるばかりだ。
 テロリストに人殺しをさせぬためには、巻き添えなどを恐れずにこっちが先に早くテロリストを殺すようにしなければならないのだ。これがイスラエルの結論。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-9-9記事「E Is For Expeditionary」。
  米海軍の新奇な輸送艦には、記号Eをつけることになった。
 いままでJHSV=統合高速輸送艦と呼んでいたもの(要するに日本の『なっちゃん』型)は、今後はEPD(遠征高速輸送艦)と呼ばれる。
 旧MLPは、ESD(Expeditionary Transfer Docks)と改名される。
 旧T-MLPは、ESB(Expeditionary Base Mobile)と改称される。
 ※インド海軍、オーストラリア海軍、日本海軍の水上艦と潜水艦が、ローテーションでぐるぐると、ひっきりなしに互いの港に円環的に立ち寄るようにする。これを恒常化しておくことで、三政府は、いつでも対支「コンテインメント」作戦を発動できるということが、視覚的に内外に印象付けられるであろう。フィリピン海軍には機雷敷設専用の超小型潜航艇を無償供与し、その乗員トレーニングも海自がつけてやるべし。


北極海航路が開けると、津軽海峡の通航量が激増する。今こそ「下北半島横断運河」を開削するのが地政学的に正しい。

 Luke Coffey記者による2015-9-7記事「Who owns the Caspian?」。
  今月後半、モスクワに次の諸国の代表が集まる。ロシア、アゼルバイジャン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン。
 議題は、カスピ海底の「大陸棚」の開発権利境界問題だ。
  ※バクーを抱えているアゼルバイジャンがなぜここに含まれないのか、記事には何の説明も無し。
 トルクメニスタンは、このカスピ海底を横切るパイプラインを敷設することで、欧州に天然ガスを直売もしたい。ロシアとイランは、それは不都合だと思っている。
 ソ連邦が分解してから20年以上、この問題は紛糾している。
 カスピは国際法的に海なのか湖なのか? じつはそれすら未確定なのだが、それ次第で話はぜんぜん違ってくる。
 ごく簡単に言えば、もしカスピが「海」ならば、その「大陸棚」の管轄権は、沿岸各国の海岸線を根拠として、線引きが決定される。またもしカスピが「湖」ならば、その湖底の管轄権は、沿岸各国が均分して保有する。
 「海」とすることに大反対なのがイランだ。なぜなら、イランが占めている海岸線が、5ヵ国中、いちばん短いからだ。イランはカスピは「湖」であるとして譲らないだろう。※いや、6ヵ国目のアゼルバイジャンはもっと短いだろ?
 イランは1921と1940にソ連と結んだ古い条約を持ち出すだろう。しかしその条約にはカスピの水底部分への言及はないのだ。
 3つのスタン国家は、とうぜんながら、カスピを「海」だとして、おのおのの海岸線長に比例した海底の開発権を主張するだろう。
 ロシアは、カスピを湖だとしておくことにより、最大の外交的影響力を確保できる。よってロシア外務省は、この立場だ。
 しかし露国内の石油・ガス利権グループは、カスピは海だと決まってくれた方が、じぶんたちの儲けの機会は増すと考えている。※西の岸のほとんどは露領なので。アゼルバイジャンを除き。
 モスクワからみた最善決着は、「水上の利用は公海に順ずる共通財産あつかい。海底は分割所有」とすること。さすれば優勢なロシア海軍がカスピの水上を支配できる。
 昨年、水面の管轄権については5ヵ国は合意に達した。すなわち、海岸線から15ノーティカル・マイルは、各沿岸国の領海だと看做す、と。
 したがってその領海の下にある地下資源も独占する。
 トルクメニスタンは厖大なガス資源を擁していながら、カスピの海底に自由にパイプラインを敷けないがために、いまのところ、そのガスの売り先として、ロシアかシナしかない。これでは困ると思っている。
 だがイランとロシアはその敷設を拒絶してきた。
 沿岸国はカスピで海軍軍拡もやっている。過去、イランとトルクメニスタンの海軍が、アゼルバイジャンによる水底石油探査の試みを妨害している。


杉浦久也さんの過去記事を精読している暇がないのが残念である!

 上院軍事委員会委員長の John McCain 氏本人による2015-9-6 記事「The real Arctic threat」。
 上院議員団だってとっくに北極圏は視察済みだよ。
 プーチンは新帝国主義を推進中だ。
 やつは北極圏と欧州の北端に次のターゲットを絞っている。
 危機意識を共有するのは、ノルウェー、スウェーデン、ラトヴィア、エストニアなどだ。このうちエストニアのサイバー戦能力には私は瞠目した。
 北極海は、次の数十年のゲオポリティカルな草刈場になるであろう。
 ロシアは北極圏の古い基地を再建し、かつ、新設も続けている。
 中共が南シナ海でやっていることと、ロシアが北極圏でやっていることは、同じである。
 プーチンは、北極海でグレートゲームをやる気だ。
 オバマ氏に言われるまでもなく、米国のプレゼンスの確保のため、砕氷船は必要である。
 ロシアは27隻を運用中〔うち数隻は核動力エンジン〕。米国はコーストガードが2隻しか保有しておらず、しかも1隻は修理中で動けない。「参戦」もできない状態なのである。
 米国と西欧は、またしても、ロシアの野望を抑止するために団結する必要が生じている。
 紛争を防ぐために、われわれが有力な砕氷船団を伴う水上艦隊を北極海に展開させなくてはならない。
 次。
 米海大教官の James Holmes 氏による2015-9-5記事「Sunk: America’s 5 Worst Naval Defeats」。
 敗北からより多くが学べる。敗北はわれわれを進歩させる。
 南北戦争で北軍海軍は南部沿岸をブロケイドし、河川も支配しようとした。
 大先輩マハンいわく。南部はミシシッピをあけわたすことで、北軍が彼の心臓部に進入することをゆるしてしまった。シーパワーがフルに発揮された例である、と。
 しかし南軍も数隻の軍艦を「レイダーズ」とよばれる海賊船に仕立てて、英国沖や、アゾレス諸島で、北部の商船や捕鯨船を襲撃した。
 この海上ゲリラは、北軍のブロケイド戦力を分散させ、北部商船の保険料を値上げせしめ、外国商品が米国船ではなく他国船に積まれるように仕向けた。
 「フェア」な海戦で米艦隊が最大の敗北を喫したのはサヴォ島沖夜戦だ。
 しかし弱者の立場で戦争して水上でもボロ負けしたのは、独立戦争のときだった。
 独立戦争でつくづく知ったのは、海軍を育成するのは、陸軍を育成するよりもはるかに手間ひまがかかるってことだ。
 日本の戦艦『三笠』の内部には、東郷、ネルソンと並んで、なんとジョン・ポール・ジョーンズが顕彰されている。
 しかし事実は、米国の独立は、フランス艦隊がヨークタウン沖を封鎖してくれたおかげ、だったのである。
 ワシントンの次の大統領だったジョン・アダムズは、連邦にとって海軍力が大事だってことはよくわかっていた。しかし充分な海軍の建設には失敗している。
 このため、英国は米国をあなどるようになってしまった。
 このあなどりが、1812の米英戦争の原因である。米国はボロ負けした。
 では、どうすればこの悲惨な事態は回避できたのか?
 カリブと英本国の間の海上交通を妨害してやることは、米国の力量でもできたはずだ。その力を米国が備えることで、対英戦争そのものを抑止できたはずだ。
 全地球的な軍事資産をくらべたら、もちろん初期の米海軍は、世界一巨大な英海軍には、勝てたはずなどなかった。しかし米大陸の近海において、局地優勢をつくることはできたはずである。
 1812戦争は、「政府が軍事国策としてやってはいけないこと」の教材である。米国は、その海軍を、自国の近海ですら海上を支配できないような弱体な組織にまで落ちぶれさせてはならなかったのである。
 ※中共を「コンテイン(封じ込め)」しろ、という主張は、これまで米国の公人が遠慮して使わなかった政治用語である。しかし、そろそろそのタブーはなくなりつつある。たとえば Noah Feldman 氏はブルームズバーグの2015-9-6記事の中で、〈中共はコンテインしろ。そうすることで、将来の紛争が起きなくてすむようになる〉と訴えている。つまり米海軍を増強して南シナ海へのコミットを深めることが、逆に戦争リスクを減らすという正論だ。


米国人も、「儒教圏人のイヤガラセ体質」というものが、だんだんに肌で理解できてきただろう。

 Missy Ryan 記者による2015-9-4記事「Chinese naval ships came within 12 nautical miles of American soil」。
 日本海で露軍と合同演習していたシナ艦5隻がそのまま移動してアリューシャン列島を横切ってベーリング海に入った。
 横切るときに米国の領海12海里内に入った。これは国際法で認められている無害航行である。
 たとえばホルムズ海峡の両岸はイランである。幅は24海里もないので、船は必ずイラン領海を通過するしかない。だが国際法によって国際海峡と認められているから、無害通航ならば外国軍艦がそこを通過してもOKなのである。
 ※はずかしながらホルムズ海峡の南岸はUAE領ではなくイラン領なのであると、ほんじつただいま、承知した。
 駆逐艦3、揚陸艦1、補給艦1からなる艦隊は、シナに戻りつつあるところである。おそらく米原潜がずっと追尾監視している。
 シナ艦隊の領海横切りは、『ウォールストリートジャーナル』が第一報である。※この記事はWP。
 FOXニュースによれば、アラスカを訪れていたオバマ大統領は、気候変動の強調だけでなく、議会に砕氷船の増強も注文しているところである。ロシアの北極海支配をゆるさないため。
 ※このようにアラスカ沖に中共海軍の水上艦がうろつくのが恒常化すれば、北京にはもうひとつのオプションが増える。すなわち、口ばかりで永遠に実行は不可能なSSBNパトロールの代わりに、水上艦に新型の核弾頭付きの大気圏外巡航ミサイル(大気圏内だと高速と長射程は両立せず、簡単に撃墜されてしまうが、圏外なら両立して東部大都市にも届く)を搭載して、対米SLBMの代用にすることだ。水上艦に核弾道弾を搭載することは米ソがはやばやと禁じているので、中共もそれはやりにくい。しかし大気圏外巡航ミサイルならば、その前例に縛られなくて済む。
 次。
 Ishaan Tharoor記者による2015-9-4記事「The Arab world’s wealthiest nations are doing next to nothing for Syria’s refugees」。
 サウジはなぜシリアからの大量難民を助けてやらねえんだ?
 国際アムネスティは公表している。カタールも、UAEも、クウェートも、オマーンも、バーレーンも、1人のシリア難民をも助けていないと。
 特にUAEはこれまで外国人多数を移民させているのに、どうしたことなんだ?
 そもそも、サウジ、カタール、UAE、クウェートは、シリアの反政府ゲリラを資金面で応援してきたという証拠がある。なにをしらばっくれているんだ? この難民の発生に、彼らは歴然と責任があるじゃないか。
 これらGCC諸国は一国として、1951の国連難民条約に署名していない。
 だからこれらの国にシリア難民が入国するためにはヴィザが必要になるのである。シリア難民をヴィザなしで受け入れてくれるアラブの国は、アルジェリア、モーリタニア、スーダン、イエメンだが、シリアからのがれてわざわざ住みたい地域かは………。
 サウジの役所は毎年、数百万人ものメッカ巡礼者を入国させたり出国させたりしており、どれほど多数の外国人をも余裕で捌く力量がある。しかし、難民を受け入れると国内失業率が上昇するという理由で、彼らシリア人を拒否しているのである。
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 『朝雲』#3174にて、平成28年度概算要求を承知す。
 米国の無人機対処演習BLACKBIRDに参加するならば、試作の国産兵器を何か持ち込まないと、格好悪いよね。期待しましょう。
 ちなみにISはシナ製の「ファントム3」を大量使用しはじめたみたいだ。


近代的自我をもたない人々には「卑屈」と「倨傲」の中間が無い。

 June Teufel Dreyer記者による2015-9-1記事「Washington Contemplates The Chinese Military」。
 『052D』級の駆逐艦が注目されている。垂直発射セルからYJ-18という超音速の対艦ミサイルを発射できるので。
 レンジは180kmである。命中までの最後の40kmでマッハ2.5以上に加速する。
 中共には比較的マシな潜水艦が20隻あり、じきに8隻が追加される。この潜水艦からもYJ-18が発射される。
 この5月、ある海軍大将の人事が話題になった。
 陸軍のデンプシー大将の次の統合参謀本部議長になるんじゃないかとも見られていた、太平洋艦隊司令官サミュエル・ロックリアー提督が、ジョセフ・ダンフォードに追い抜かれてしまったのだ。
 どうも、ロックリアーが2013から展開した、「アジア・パシフィック域で最重要なのは、クライメイト・チェンジの問題だ」という主張が、オバマ政権の外部からは大反発されたらしい。つまり軍部+指導的連邦議員の総意として、真の敵から人々の注意を逸らすようなそんな政治的な発言をする出世第一主義の幇間芸者は制服のトップには不適当だ、というわけだ。
 ロックリアーの2015-4の上院軍事委員会における証言は露骨に政府の伝声管で、酷いものだった。完全にオバマ政権の側近どもの意向に媚びて、中共の脅威について詳説することを已め、中共との摩擦は避けなくてはいけないと述べたのだ。
 ところがカーター長官のスタンスはずいぶん違う。彼は、CNN等が同乗したP-8Aに中共が砂盛り島から警告した5月の事件の直後、ハリス提督の太平洋軍司令長官就任式の場を借りて、米国は避退しないことを強調し、逆に部下を激励した。
 その数日後のシャングリラ会談の場でも、カーターはシナ1国を名指しして、米国が公海通航の自由を譲らないことを確言した。
 そしてすぐに新任の太平洋艦隊司令官のスウィフト提督に命じて7月の哨戒機同乗を敢えてさせている。
 中共はジブチのオボック港に拠点を得た。
 インドは2007のマラバール演習に海自を招いたものの、中共の横槍で、招請を撤回した。しかし2015にはまた招いた。
 中共はインドネシアのリアウ諸島もシナ領土だとクレームしている。
 ※この記事によればロックリアーは部下からの評価が相当に悪いみたいだ。どうしてそうなった? これは中共による個人狙い撃ち工作の成功例なのだろうか?
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 ミリテク Staff Writers による2015-7-9記事「China Builds Top Secret Midget Submarine」。
 古い記事だが去年の話だからいいだろう。
 武漢の造船所に小型潜水艦があるのが2014-10に民間衛星で撮影された。
 そこで艤装していたようだ。
 過去、その同じ桟橋に『041型』潜水艦もいたことがあるので、写真から長さの推定が可能である。
 全長は35m、幅4m、おそらく浮航状態の排水量は400~500トンだ。
 これは一般的なミジェット潜が150トン以下であるのにくらべると、デカい。
 クリス・ビガーズ氏の推定。これは輸出用だね。
 武漢造船所は、世界最大の非核動力潜水艦『032』型を製造しているところである。


エマソンいわく。些細のことが品性をつくるが、品性は些細なことではない。

 Michael E. O’Hanlon記者による2015-8-31記事「The future of land warfare」。
 マイケル・オハンロンが、所属するブルッキングス研究所から新著を出した。『地上戦の未来』。
 彼は、パキスタンとインドの間で核戦争が起きる可能性が高いという。よって、米国は軍事予算を減らしている場合ではない、と。
 核爆弾を1km以上の高さで炸裂させれば二次放射能は抑制できるから、パキは自国内ですら戦術的にそれを使うかもしれない、とオハンロンは言う。
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 ストラテジーペイジの2015-9-1記事「Putin The Overhyped Spy Lover」。
 プーチンがKGBに17年間奉職していたのは事実だが、記録が物語るところでは、彼はエース職員ではなかった。
 まず東独での勤務地が、ベルリンではなく、ドレスデンであった。これは二流職員の証しである。
 そして本国に戻ってからも、モスクワ勤務ではなく、レニングラード勤務を命じられている。やはり、本流ではない。
 元同僚によれば、プーチンは危ない性格だった。いろいろな問題を解決するために、高いリスクを敢えて冒そうとするのだ。
 この性格が、彼をKGB内の埋もれ木にしていた。長期の工作をブチ壊しにしかねない、軽率な男だと判断されたのである。だから、最も緊要な作戦やスパイ狩りが進行する任地(ベルリン、モスクワ)へは、配備されなかった。
 プーチンは自分の政権の部下にKGB関係者ばかり配しているわけでもない。政府のトップ100人をみると、元KGBは15%以下である。またこの率はどんどん低下している。
 しかし、2000年にプーチンが大統領に就任した直後、彼は11月5日を「スパイの日」にすると決めている。
 GRUのための広大な新本部庁舎群は、2006に建ててやっている。石油バブル以前の大不況期にも一貫して政府に対して忠誠であったGRUに対する褒美である。
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 「Type 63」記者による2015-8-21記事「Hell Cannons: From Minor Nuisance to Major Threat ―― The Evolution of Syrian Opposition Siege Artillery」。
 シリアで2012から使われるようになった自家製の大型臼砲。これをヘルキャノンと俗称する。
 ヘルキャノンの砲架には、トラックから取り外したタイヤがとりつけてある。
 初期には外装式のものがあったが、今は臼砲式だ。
 点火には、バッテリーとイグニッションを使っうものもある。
 砲弾は、空になったプロパンガスボンベの容器に翼を溶接。酸素ボンベを砲弾にしたものや、回収した、発射済みの戦車砲弾を再生したものもある。
 爆薬は、主に不発弾から流用しているらしい。
 最後に原始的な信管をとりつける。
 初期の信管は着発式ではなく、時限信管を発射の前に点火するという危ないもの。だから落下してから15~20秒もしてから爆発することがある。
 遅働信管なので、ビルに命中すると壁や天井を貫通し、内部で炸裂するので、効果は大きいのである。
 このごろは、着発信管もつくられるようになっている。その数は、最近では3個に増えて、確実が期されている。要は、インパクト角が安定していないのだ。
 射距離は、最大で1500mまであるようである。