CD→CDのコピーは何故こんなに面倒臭いのか? 昔は良かった……。

 Shannon Tiezzi 記者による2015-9-22 記事「The Truth About US Freedom of Navigation Patrols in the South China Sea」。
   国連海洋法会議で決めたUNCLOSのパートIIのセクション3のアーティクル19によれば、沿岸国の防衛体制を探ろうとする情報収集を艦船が為している場合には、その艦船の航行は「無害通航」とは認められない。
 つまり軍艦であれ公船であれ漁船であれ、他国領海12カイリの中でISR活動や、その主権国の秩序攪乱行為を働いてはならない。
 そしてパートIIのセクション2のアーティクル13によれば、満潮時には水没してしまうが干潮時には露頂する岩の干潮時の汀線は、次の場合には領海の基準として可い。すなわちその岩が、満潮時にも水没しないホンモノの領土から12カイリ以内に位置している場合。
 つまり、干潮時のみ露顕する岩が、もし中共の領海12カイリよりも遠いところに位置していたなら、その岩からは、中共の領海は発生しない。
 干潮時にのみ水面上に顕れる地物をLTE(low-tide elevation)と略称する。LTEは、どこかの国の領海内に位置している場合にのみ、その国の領海の基点とし得る。どこの国の領海にも属していないLTEからは、誰の領海も発生しない。
 したがって、最近中共が造成した砂盛島からは、中共の領海は発生しない。よって、他国の軍艦や民間船がその12カイリ内に入って何の活動をしようとも、UNCLOSは中共が何か文句を言う権利を与えていない。
 UNCLOSのパートVのアーティクル60によって、人工島や海上に突き出た人造物体は、領海やEEZなどのいかなる海上境界線画定の効力の根拠ともならないと決められている。
 ただし、海上の人工構造物の周囲500m未満に「セフティ・ゾーン」を設けることはゆるされる。
 もうひとつ、報道されていない重要なことは、中共が主張できない権利を、フィリピンの方では主張できるかもしれないことである。
 中共は、次の七箇所で砂盛工事をした。即ち、Cuarteron, Fiery Cross, Gaven, Hughes, Johnson, Mischief, and Subi Reefs である。
 ところがこのうちの二つは、フィリピンの領海内のLETなのだ。フィリピン政府は中共が違法工事を始める前から国際仲裁裁判所に対して、Mischief, Subi および Gaven Reefs の三ヶ所についてフィリピン領海12海里内のLETであることを確認してもらう訴えを起こしている。
 したがって米国は南シナ海のFON遊弋〔これについて知りたい人は『兵頭二十八の防衛白書2015』を読むこと〕によって中共の主権に挑戦しようとしているわけではない。アメリカの新聞報道の見出しは、ミスリーディングである。
 中共の七つの砂盛島について、米国は、UNCLOSの規定する非中共領のLTEだとみなしていることを、示威するまでである。
 もし米国が中共の不法な言い分を黙認してしまえば、ベトナムはAlison Reef, Central Reefおよび Cornwallis South Reefの三ヶ所のLTEを、またマレーシアはArdasier Reef と Dallas Reefの二箇所のLTEを、そしてフィリピンはIrving Reefに同じように砂を盛って、領海だと主張することになる。南シナ海はとてつもなく航海し辛い海になるだろう。
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 ストラテジーペイジの2015-9-23記事「Chinese Warships Recycled Rather Than Scrapped」。
  中共は海警のために古い軍艦をあてがうつもりらしい。艦齢30年を超えている『053H』級のミサイル・フリゲートを海警に下げ渡すという噂は2008からあった。
 すでに3隻はそれが実現している。
 そのさい、10糎砲を2門と6基の対艦ミサイルは、撤去している。
 軍艦から再生された公船は、1600トンで、主砲×1門、重機関銃と系機関銃多数で武装し、最高速力46km/時を出せる。乗員は、軍艦だったときの七割で済むという。


もし「米支核軍備管理」条約交渉が始まれば、戦前のロンドン条約会議と類似したパターンにより、シナ人の反米感情が昂進するだろう。

 Kyle Mizokami記者による2015-9-21記事「Germany’s Got a 4-Barrel Laser Gatling Gun」。
  ロンドンの兵器市にライメタル社が、高エネルギー・レーザー(HEL)による対「低空&低速&小型=Low Slow Small 目標」(主として小型ドローンだが、迫撃砲弾にも対応可)用の防空システムを呈示した。ルビー・レーザーの光束を2~5本、空中の1点に集束させ、それによってまず敵目標のセンサーを眩惑し、次いで、撃破する。これを使えば、巨大スポーツ・スタジアムに爆弾を抱えてテロ特攻しようとしてくるドローンを防ぐことができる。
 もちろん、敵機の移動にあわせて集束焦点も追随して行く。
 この集光攻撃を「スーパーインポジション」と称す。
 この「多砲身レーザー砲」は発射直前まで「蓋」をしておかなくてはならない。というのもレンズに小さな水滴(霧の飛沫のようなもの)が附着すると光束が拡散してしまい、てきめんに威力がなくなるからだ。この現象を「ブルーミング」という。
 1門のHELは、出力20キロワットである。
 スーパーインポジション法を使えば、レーザー砲の威力の上限はなくなるわけである。2門ならば40キロワット。10門なら200キロワットが目標を襲う。
 ラ社の実験では、たった30キロワットのレーザー集光でも、82ミリ迫撃砲弾を射距離1000mにて爆破してしまうことができた。
 ※人の目に有害であることが知れ渡っているルビーレーザーを敢えて選ぶとは、ドイツ人は精神構造がおかしいのではないか?
 次。
 Karla Adam記者による2015-9-21記事「Report sheds light on Islamic State defectors」。
   過去700人のアラブ系英国人がISに加わろうと出国したが、うち半分は、幻滅してまた英国に戻ってきた。そこから貴重な情報が取れている。
 彼らの怒っていること。ISはスンニ帝国をつくると標榜していながら、じっさいにはスンニ派の弱者からも搾取の限りを尽している。
 もうひとつ。かれらが現地で与えられた戦場勤務は、非常に退屈なものであった。それにがっかりした。
 ほとんどのIS占領下の街には電力が供給されていない。とても「パラダイス」とは言い難い。
  ※IS占領下のシリア東部のラッカとつながっているエリアだけは、ラッカの火力発電所のおかげで、夜でも町に光があるという。つまりラッカにはどこからか燃料が供給されているわけだ。かたや、かつて殷賑をきわめたイラクのモスルは真っ暗である。
 豪華な自動車を貰って優雅に暮らせるというISのプロパガンダ・ビデオを信じて出かけた阿呆も、すぐに自分が馬鹿だったと悟った。
 大量処刑や大量レイプを手伝えといわれて、これに加わったら、あとでどこかの法廷で訴追されるのは確実だと察して逃げてきたイラク人もいる。
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 Martyn Williams記者による2015-9-21記事「Marines test Google’s latest military robot」。
   ボストンダイナミクス社のビッグドッグの最終進化バージョンを「スポット」と号している。BD社じたい、げんざいではグーグル社に株式を支配されている傘下企業だが。
 スポット君は、自重70kg。電動で、4足は油圧サーボで動く。無線により、兵隊から距離500mまで離れられる。
 海兵隊が、今、クァンティコ基地でテスト中だ。
 旧作の「LS3」や「Big Dog」と比較してこの「Spot」はより静かであり、かつ、柔軟敏捷に動ける。
 グーグル無人車が採用しているライダー(光レーダー)の類似品をスポットは搭載し、周辺環境を読める。
 過去、米軍は、こうしたロボットの使い道は、人造パックミュール(荷駄ラバ)だろうと思ってきた。
 しかし海兵隊では、もっと別な使い方があると考えるようになってきている。
 ※海兵隊は「ロボット兵士」を四本足型としてまず実現するつもりのようだ。しかし心臓部がバッテリーであるうちはダメだ。原付用の50cc.エンジンを採用するのが問題解決の捷径のはずだが、米軍は「ガソリン」を兵站線から追放してしまう方針だから、難しい。日本は今からBigDogのマネをしても遅いので、ホンダのカブの両サイドに柔軟可動の「2本足」を生やして倒れなくした「2輪+2脚」の山地輸送用ロボット・バイクの完成をまず急げ――と、わたしは10年前から言っているのである。


The most telling sanction for any chinese leaders is to not meet him as the chief of a western state. It’ll simply smash Xi’s face in all chinese community.

 ストラテジーペイジの2015-9-21記事「How Iran Kills American Soldiers」。
  イランがイラク内のシーア派ゲリラに対し、普通のIEDとは違うEFP(Explosively Formed Penetrators、要するにV字コーンの成形炸薬)を現物支援している。発射する弾頭ではなく、据え置き式の爆発物として。2006以降、これが米軍AFVに対してよく使われるようになっている。これまでのところ、そのメーカーはイラン国内の工場であることがはっきりしている。
 次。
 Joe Pappalardo記者による2015-9-21記事「Year One: Inside the Air War Against ISIS」。
  カタールのアルウデイド空軍基地。B-1Bはそこから作戦する。爆撃目標は、IS。
 離陸から着陸まで、長いときは14時間である。
 なんと離陸する前にはフライトプランを乗員の4人(操縦係2名、爆撃係2名)とも知らされない。
 イラク領空に入るまで、2時間。
 兵員および車両に対するCASミッションのときは、GPS誘導の500ポンド爆弾と2000ポンド爆弾をミックスして抱えて行く。
 イラクの上空では、最大10時間まで滞空可能である。これが普通の戦闘機だと空、中給油なしでは1時間半が限度。
 このときのB-1のミッションは、事前に爆撃目標が決まっていない。だからまずロイタリングしてターゲットを探すことになる。
 「スナイパー」爆撃照準ポッドで、弾薬を運搬している敵性車両を発見し、追跡する。そして、間違いないと確信できたら、セントコムを無線で呼び出す。攻撃許可を上級司令部から得ない限り、投弾はできないのだ。上級司令部は、さらにホワイトハウスまでお伺いを立てる。
 この夜の出撃では、攻撃は不可能であった。なんとカタール政府の事前の許諾なく、作戦を発動していたのだ。彼らは空しく引き返した。
 その点、海軍のF/A-18戦闘機ならば、公海上の空母から発進するので、他国政府の許可など事前に受ける必要がない。このとき(2014-8)、B-1が見つけた目標は、F-18がすぐあとから吹き飛ばしていた。
 アルウデイドからモスルまでは、B-1で3時間かかる。
 投弾許可を申請してOKが得られるまでに、最短でも45分もかかる。その間、B-1は周回を続ける。
 野外の兵員(小集団)が目標であるときは、「5の目」(The five of dice)という投弾パターンを使う。中央に2000ポンド爆弾を1発。そしてそれを四角形に囲むように、4発の500ポンド爆弾も同時に落とす。サイコロの五だ。
 今日では、パイロットもしくは爆撃手の手によるスイッチ操作と投弾が同時に起きることはない。クルーは、爆撃ソフトに対して「許可」を出すだけ。するとコンピュータが、最適なタイミングとパターンで、全自動で扉を開け、爆弾をリリースし、扉を閉める。
 爆弾が落ちるときに、「へその緒」のように爆弾倉とつながっていたワイヤーが抜ける。これにてアーミングの前段が完了。次に、風車が風圧を受けて回転を始める。この回転速度が一定以上になれば、信管の安全装置が解除される。
 爆撃係(WSO)は、投弾の前に、信管のモードを変更できる。空中爆発高度は自在に設定できる。ディレイ・モード(延時。ビル天井を貫通してから爆発する)にすることもある。


下北半島運河を開鑿する場合、それは鷹架沼を陸奥湾まで延長するのが早いのか?

James Kraska 記者による2015-9-17記事「The Nine Ironies of the South China Sea Mess」。
  ※記者は、国際海洋法の専門家で、米海大でも教えている。
  マレーシアとインドネシアは、誰でも自由に通航できる国際海峡(具体的にはマラッカ海峡とスンダ海峡)というものをそもそも認めたくない。なぜなら、その存在によって自国の領域が二分されているからである。
 ※津軽海峡ももうじきそうなるぜ。
 南シナ海にはじつは有望な油田などはない。それがあるあると騒いでいるのは、中共のCNOOCという油田開発国有会社だけなのだ。
 米国のエネルギー情報局(EIA)は、同海域には、110億バレルの原油と、190兆立方フィートの天然ガスが埋蔵されていると見る。しかるにそのほとんどは、中共が勝手に主張中の「領海」エリア(ナインダッシュ線)よりも外側に眠っているのだ。
 世界の漁獲の9割は、沿岸200海里で得られている。
 しかし漁業資源は永続するものではない。
 かつてはたしかに南シナ海でたくさん獲れたものだったが、実績水揚げ量は年々逓減している。
 その資源を減らしている元凶は、世界最大の規模を誇るシナ漁船団であることは誰にも異論がない。
 中共は、陸地で接している隣国14ヵ国のうち、13ヵ国とは、まともな国境協定を結んでいる。
 ところが海上では国際法を守る気がぜんぜんない。
 1928年に、フィリピン(アメリカ領)とインドネシア(オランダ領)の中間にあって帰属が争われていた「Island of Palmas」について、国際仲裁裁判所は、それはオランダのものであると決め、アメリカが敗訴した。理由は、地元の誰彼が大昔にその島を発見して名前をつけたというぐらいではその島の帰属の国際法的な根拠にはならず、政府が統治管理していたかどうかで決まるからだという。
 要するに「大昔の発見者」などを持ち出しても、島嶼の領有権を主張する根拠にはできないのである。
 1933年にメキシコ政府(旧スペイン植民地)とフランス政府が「Clipperton Island」の領有権を争ったときも、国際仲裁裁判所は、それはフランス領であると裁定している。メキシコ政府は、「スペイン人が先に見つけていた」と主張したのだが、「占領し、使用していた」という実績はフランス側にしかなかったからである。
 1953年にはチャネル諸島でフランスが歴史的にそこで漁業をしていたという権利主張が国際法廷によって斥けられた。理由は、英国内の荘園法廷が、同諸島の地主たちの訴えた裁判を何度も裁いてきたという司法行政文書が実在しており、フランス側にはそうした公的記録の証拠は何もなかったからである。
 過去のシナ政府がスプラトリーやパラセルに何の行政公権力も及ぼしていなかった時期は長い。しかもそれは西側の帝国主義とは何の関係もなかった。離島の継続的な行政というものをしておらず、あるいはそこから勝手に手を引いた政府には、その島に関する何の権利もなくなるのである。
 2012年の面白い判例。コロンムビアが、ニカラガのEEZ内にある2つのちっぽけな岩(ただし満潮時にも海面上に出ているもの)について、帰属を国際仲裁法廷で争った。コロムビアの主張は認められた。その岩から測って12海里内はコロムビアの領海になった。しかし、その岩の上では常続的な住民の居住もなければ、経済生活も営まれていなかったので、その岩から200海里のEEZは認められなかった。ニカラガのEEZに包摂された、EEZなしの小さな「包領、飛び地」になったのみである。
 中共は、砂盛島をこしらえることによって、「もともとそこには満潮時にも露顕している岩があったのだ」という主張をしたいようである。巨大な砂盛島をつくってしまえば、もともとはどうだったのか、後から誰にも調査などできなくなってしまうわけだ。
 ブルネイとインドネシアは、スプラトリーの島の領有については、何の主張もしていない。
 そこで、いまや中共と最もぬきさしならない対決をしなければならない政府は、ベトナムとマレーシアとフィリピンの3ヵ国である。
 記者は勧める。この3ヵ国は、彼らの本土、すなわちボルネオ島、ミンダナオ島、パラワン島の海岸から200海里以内にある島・岩礁については、領有の主張を相互に捨てろ。なぜならその余計なクレームは「三国防支同盟」の邪魔になってしまうから。
 ちっぽけな岩の領有(およびそこからの領海12海里)を自分で主張せずまた周辺国にも主張させないということによってのみ、この3国は、それぞれのナチュラルで広漠なEEZを確保し享受できるのである。
 これら3国にとってはEEZこそが最大の金の卵を産む鶏なのだ。それは国連海洋法会議の取極めでも守られている。それを最大限に活かせ。そのためにはスプラトリーの岩の領有(そこからはEEZは発生しない)などかえりみるな。
 この3国がガッチリと対支で共闘できないと、3ヵ国のEEZは逐次に中共によって削り盗られてしまうであろう。
 ベトナム、マレーシア、フィリピンによる「3国対支同盟」を結べ。さすれば、ASEANはまず確実にそれをバックアップする。またEUとNATOもそれを応援する。おそらく、ロシアもプッシュしてくれるだろう。


長期連休中は、空き巣に用心しましょう

 Kyle Staron記者による2015-9-17記事「The Airpower Partisans Get it Wrong Again」。
  この記者は現役の米陸軍大尉である。
 湾岸戦争の航空作戦を調査したエリオット・コーエンいわく。エアパワーは軍事力の中では特別に魅惑的である。なぜなら、自己の発言の実現には一切責任を負わずに、ただ喜びや満足を与えましょうと相手に請けあう、求愛行動と似ているからだ。
 しかしながら、エアパワーが万能薬のようなものであるとか、地上作戦よりも優越したものであると考えるのは間違いである。
 先月、「War on the Rocks」上に、2人の幹部級の空軍将校(Mike Pietrucha と Jeremy Renken)が連名で、「空軍だけでは戦争に勝てないかもしれぬが、戦争に負けないことも確実だ(Airpower May Not Win Wars, But It Sure Doesn’t Lose Them)」との意見論文を公表した。
 彼らの主張。
 ――ポスト・ベトナム戦争式の、うまくいっていたパターン、すなわち、限定目標に対して航空攻撃に依存するアプローチから、米国指導層は離反してしまった――。
 ――かわりに米国は、地上戦を中心に考えるアプローチを誤って採用した。そのおかげで、アフガニスタンとイラクにおける米国の最終目標の達成に失敗している――。
 しかしこの2人は、自説を補強するために、過去の戦史をねじまげている。特に、ベトナム戦争と、NATOの旧ユーゴスラヴィア介入について。
 この2人がやっていることは、典型的な「ある1軍による他の3軍に対する予算牽制」運動である。これから米国が、アジア太平洋と中東にいかにして国力を展開していくのがベストなのかを考えねばならん時に、何というくだらない言説を垂れ流す連中だ。
 この2人は、ベトナム戦争は、地上作戦など非力であるという実例であるという。
 そしてこの2人は、ベトナムにおける1965~68の「ローリングサンダー」大空襲作戦については、わずか1センテンスのみしか言及をしないで、スルーしようとしている。それには理由があるだろう。
 ベトナム戦争は、地上作戦中心の戦争になった。なぜなら、エアパワーが限定されていたからである。
 彼らいわく。ベトナム戦争の初期の段階で、エアパワーが米国の目標達成に失敗した。だから、地上介入が逐次にエスカレートすることになった、と。
 1965-2-7にベトコンは南ベトナムのプレイク空軍基地を攻撃した。米兵8人が殺された。
 その時点で、すでに南ベトナムの地上部隊を、米軍の顧問が地上から、また、米軍の固定翼機とヘリコプターが上空から、支援していた。
 2日後、顧問団指揮官だったウェストモランド将軍は、航空基地をベトコンから防護するための地上部隊を派遣してくれと米本国に要請した。
 他方、プレイク基地襲撃のあと、米軍は「フレイミングダート」作戦を発起した。それは北ベトナムに対する限定的な空爆作戦であった。
 しかし1ヵ月経過しても「フレイミングダート」は効果がないように見えた。
 そこで、米軍は「ローリングサンダー」空爆作戦を発令したのだ。
 それは北ベトナム政府をしてゲリラ攻撃をやめさせるためのエスカレーションだったが、まったく失敗した。
 空軍参謀総長のカーティス・ルメイは、徹底的な猛爆をやらせてくれれば地上軍の必要はないと主張した。
 他の三軍はルメイに同意できなかったが、その時点で使える余計な地上戦力はほとんど存在してなかったので、空軍にやらせるしかなかったのである。
 往々、空爆作戦は、米国の国家目標を最低コストで実現してくれる魔法の弾丸であるかのように、政策立案者によって錯覚された。しかしそれはアヘンでラリっているのと変わりがない非現実的な夢想にすぎないということは今では理解されている。
 北ベトナムは防空壕の達人となり、SAMを増強し、米機をたくさん撃墜した。今の上院議員のジョン・マケインも、このとき撃墜されて捕虜になったのである。マケイン氏はその後、航空戦力だけですべてが解決するなどというたわごとは主張してない。
 空軍だけでは戦争に勝てないし、米軍が航空機のみによって友邦軍(この場合は南ベトナム政府軍)を支援しても、やはり戦争には勝てなかった。これが「ローリンクサンダー」の教訓だ。だから2人はこの戦例をスルーしようとするのだ。
 次の例。
 なぜセルビア政府(ミロシェビッチ)は、コソヴォでの虐殺を止めたか。
 一見これは、2人の空軍野郎が主張するように、NATO空軍が、市民を傷つけずにセルビア軍を破壊し、それでミロシェビッチが両手を挙げたかのように見える。
 だが違う。決め手は、ロシア政府がミロシェビッチを説得したことだったのだ。
 しからばなにゆえロシア政府はそのようなマネをしたか。1998にロシア農業は大凶作で、とうじ金欠だったモスクワ政府はピンチに陥っていた。それを、米国農務省が、格安穀物の供与により、救ってやったのだ。ロシア政府は、セルビアには食料を援助する立場だったのだが、それが不可能になったのである。
 NATOが空爆を開始したのは、1999-3-24だった。そして78日間も爆撃し続けた。
 6-3、つまり空爆開始から71日後に、ロシアはミロシェビッチに勧降した。
 1週間後、ミロシェビッチは投了した。
 ロシアの勧告が決定打であったことは、コソヴォ介入の総指揮をとったマイケル・ジャクソン将軍が認めている。
 結論。国家指導層は、限定的な空爆作戦などというものに、いかなる幻想も抱くな。
 ※おしらせ。
 勉誠出版(株)から『アジア遊学 189 喧嘩から戦争へ』ISBN978-4-585-22655-0 C1330 の見本が届きました。奥付には2015-9-25発行とあり。
 この6ページから14ページにかけて兵頭が「喧嘩と戦争はどこまで同じ暴力か?」という一文を寄稿しております。
 すべての格闘技道場において、真の「必殺技」はコモンな知識とはさせないように情報を閉じ込めています。そうなっている深い理由は、「それが今日の戦場では何の役にも立たず、ただ平時の所属社会を不安定で高コストにしてしまうだけだから」、といったお話を展開しています。
 たとえばフロントチョークからの脱出法について興味がある劇画原作者さんは、ご購読されると、物の見方が深まるかもしれません。


きちがいのくにかとおもふこのごろのきちがいがみをよむひとをみて

 Denny Roy記者による2015-9-18記事「China’s Strategy to Undermine the U.S. in Asia: Win in the ‘Gray Zone’」。
  ある国家が、外国からの通常の軍事的報復を即座には招かぬようなレベルの戦術を採用し続けることで、他国の権利を着々と殺いで自国の特権を増していく戦略を、グレー・ゾーン・アグレッションという。中共は隣国に対してだけでなく、アメリカ合衆国に対しても、このグレー・ゾーンの戦いで勝利を収め続けている。
 これは1950年代のアイゼンハワー政権の瀬戸際政策(大量核報復戦略)の失敗を想起させる。「もしソ連が通常戦力で西側諸国を侵略したら、米国はいきなり戦術核をたくさん使うぞ」と脅すことでソ連の侵略を抑止せんとしたドクトリンであったが、ソ連は「薄切り」によってゆっくりと侵略を続行した。このようなソ連のやりくちに対して米国がいきなり戦術核で応えられるわけがなかった。これはさいしょから「脅し文句の信用性」が伴っていなかったのだ。
 そこで1961にケネディ政権は「柔軟反応戦略」に切り換えた。敵が小さく侵略してきたら、こっちも非核手段で小さく叩き返せるようにしよう――というものだった。
 同じ戦略が、今、対中共政策として必要である。
 はるかに低コストの艦船で、高額装備の米海軍の邪魔をする術を、中共は心得ている。2009には非武装の海中観測艦『インペカブル』を漁船団が徹底妨害した。
 2013には1隻のLSTが、中共空母を遠くから見張っていた巡洋艦『カウペンス』の進路を妨害し、ヘタレの上層部がけっきょく米艦隊を中共空母から遠ざけさせた。LSTはせいぜいが2億ドル。『カウペンス』は10億ドルだ。
 次。
 Franz-Stefan Gady記者による2015-9-17記事「Is Russia Building a Top-Secret Nuclear-Armed Underwater Drone?」。
 ロシアは、出力1メガトンの水爆を内蔵した水中ロボットを米海軍の潜水艦基地に潜入させて自爆させるつもりである。
 これは『ワシントン・フリー・ビーコン』紙のビル・ガーツ氏が第一報。
 この水中ロボットはマザーシップから放出され、かなりの航続距離と高速を誇るという。
 ただし、まだ試作品すらできていない段階。机上プランである。


国産の深海サルベージ船や深海救難艇には、アイソトープ電池電源が必要だろう。

 Steve Weintz記者による2015-9-17 記事「The Ultimate Hybrid War Strategy: Attack Deep-Sea Fiber-Optic Cables」。
   2015-7にサイパン~テニアン間の海底光ケーブルが切断する事故あり。ただの事故だったので、台湾の修理船がやってきてすぐ直した。
 しかしこの切断でしばらく電話もインターネットも止まり、民航は業務が完全にストップした。
 もし敵国が意図的に深海で光ケーブルを切断したら、どうなるのだろうか。
 「ハイブリッド戦争」とは、ごく簡単に言うと、「従来の戦争 プラス インターネット環境遮断」である。
 西側各国軍は、それへの備えができているか?
 4人乗りで深さ3000フィートまで潜れるサルベージ用原潜『NR-1』は、ハイマン・リッコーバーの肝煎りで、1968にできた。
 ソ連も複数の類似品をチタン合金でつくった。ソ連が調べたかったのは、大西洋のグリーンランドと英国の間の1万2000フィートの海底に設置されたSOSUSであった。
 ロシアは核動力の『ロシャリク』という深海調査原潜を使って北極点の真下(深度1万3200フィート)に国旗を打ち込み、そこはロシアの大陸棚だと主張している。
 『ロシャリク』の母船は、大型の戦略ミサイル原潜を改造した核動力の『オレンブルグ』である。
 『ロシャリク』の姉妹艦として『ネルマ』がある。また、バティスカーフ型(つまり非核動力)の深海潜航艇としては『ルス』と『コンスル』がある。
 次。
 Team Mighty記者による2015-9-16 記事「6 Military Jokes Troops Have Heard a Million Times」。
  米海軍のおきまりジョーク。
 ある酒場でひとりの水兵が、隣に座っている男に「おい、海兵隊のジョークを聞きたいか?」と話しかけた。
 男はふりむくと、「その前に教えておこう。オレは身長6フィートで体重200ポンド。そして海兵隊員だ。また、オレの横にいるこいつ。やはり身長6フィート2インチ、体重250ポンドの、海兵隊員だ。さあ、それでもまだそのジョークとやらを言ってみたいか?」と警告した。
 水兵いわく。「あっ、そうだったのか。ならば、やめだ。どこが面白いのかの解説を、繰り返し懇切丁寧にしてやらなくちゃ伝わらないというのは、面倒で厭だからねえ。」
  米空軍に関するクイズ。
 電球を交換するのには、何人のパイロットが必要か?
 こたえ。一人でいい。そいつが電球をつかむと、そいつの周りの世界が、彼を中心に回転することになっているのだから。
  混雑した飲み屋の中に、1人のネイヴィー・シールズ特殊部隊員が居るらしい。あなたは今、どうしても彼を見つけ出さねばならない。さて、どうしたらいい?
 ――心配するな。ネイヴィー・シールズ隊員というものは、必ず、自分で自分がシールズ隊員であることを、周囲に吹聴せずにはいられない連中なんだから。


浮航性乗用車である必要はない。ドアを密閉すれば10時間は水に浮いていられる気密設計。それなら夜明けまで車内で救助を待てる。

 James Kraska記者による2015-9-11記事「Why the USN Sail Within 12 NM of China’s Islands – J. Kraska, CSIS」。
  なぜ米海軍は中共のフェイク・アイランドの12海里内を「無害航行」しないのだ? 中共艦隊は米領「アッツ島」の12海里内を通航したというのに。
 WSJによるとカーターは部下参謀に、フェイク島付近での演習のオプションを提出しろと命じた。 ※だが大統領側近のヤル気は疑問である。
 艦船はどこの領海12海里内でも無害通航できる。しかし航空機にはその権利がない。 ※だから海保は尖閣周辺では主として航空機によってシナ船に警告を与えるべきなのである。中共は軍だろうが海警だろうが漁船であろうが、それとおなじ対抗手段をとることはできない。飛行機をこっちの前浜まで飛ばしてくれば即戦争だから。船に対して船で対抗しているから、埒が開かないのだ。
 ウェブサイトのPOLITICOが7-31に報じたところでは、ハリス太平洋コマンド司令官(海軍大将)がフェイク島の12海里内を軍艦で通航させるという計画を出したらホワイトハウスはそれを禁じた。
 これによって米軍は判断した。オバマ政権は中共が砂盛島について主張する領土主権を認めたのであると。
 マケイン上院議員は非難する。人工島の領土主権を事実上認めてやるとは、アメリカ大統領は正気か?
 ファイアリー・クロス礁は、満潮時には完全に水没する岩礁であった。そこに中共は砂を盛り上げ、天然原状がいかなる形であったのかを、わからないようにしてしまった。
 満潮時に水没する岩礁は国際法上の領土にならない。したがって領海の根拠にもならない。それどころか、公海の水面に突出する人工物をぶち立てた者は、付近を全長500mの船舶が安全に航行できる水路を確保する義務を負うのだ。
 南極大陸にはいかなる「領海」も付随していない。なぜならそこはどの「国家」によっても領有されていないからだ。
 公海上に出現させた人工砂盛島について、米国政府が某国の主張する「領土権」を承認しなければ、それは南極大陸と同じ「無主地」(terra nullius)のままなのである。
 無主地である以上、無害航行はおろか、米軍はその12海里以内で、まったく公海上と同じように軍事演習すら自由に実施できる(国連海洋会議条約第87条)。
 また公海上の人工構造物は誰の領土でもない以上、どこの国の民航機も軍用機も、自由勝手にその真上を飛行して可い。
 ウッドロー・ウィルソン大統領がWWIに突入した時に掲げた14か条のうち第二番目は「平時、戦時を問わない海上航行の自由」であった。
 ※米国戦史は「ブロケイド戦史」なのだ。ここがわからないとね……。
 FDRとチャーチルが1941に会合して「大西洋憲章」を決めた。その眼目原則の四番目は「国際連合」の創設であり、七番目は「海洋の自由」だった。
 ※旧国際連盟も国際連合も、由来からして「米国務省の支店」なので、今の国連ビルがNYCにあるのはむしろ自然なのである。ここがわからないとね……。
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 ERIC SCHMITT and MICHAEL R. GORDONSEPT記者による2015-9-14記事「Russian Flights Over Iraq and Iran Escalate Tension With U.S.」。
  ロシアはイラン上空からイラク上空を経由してシリアに巨人輸送機で軍需品を輸送する空中回廊を確保した。輸送機の出発点は南ロシア。
 終点は、シリアの「ラタキア」の南部の飛行場である。
 以前はブルガリア上空を飛行していたが、NATOの一員であるブルガリアがそれを禁じたのでコースを変えた。
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 ストラテジーペイジの2015-9-14記事「Bad Versus Badder」。
  ロシアはシリアのタルトゥス港を自己の軍港と化している。ラタキア空港は、そのタルトゥス海軍基地から北へ85kmの地点にある。
 その辺り、シリア北部の海岸は、アサドの出身地盤である。
 ※ロシアは同時多方面戦争を起こして自滅したがっているとしか見えない。


「軽量鉄骨×コンパネ」の住宅に補助金を出すことは、災害が起きた後で地域を復興させるよりもはるかに国庫の節約になろう。「各戸完結型のソーラー蓄電システム」は、「低品質売電ヤクザへの全国民みかじめシステム」よりも安心で健全だとわかったろう。

 William McCants 記者による2015-9-11記事「Ten silly ideas for fighting ISIS」。
  次期大統領は、その就任の第一日目から、IS対策に腐心しなければならぬはずよな。ならば、共和党の各候補たちは、いったいどんな腹案を用意しているのだろうか?
 実業家のドナルド・トランプ候補は、ISの資金源になっている油田を米軍に占領させてしまえばいい、と言っている。
 ベン・カーソン先生は、ISが強いのは信念が強いからだという。それに比べてアメリカが弱いのは、アメリカの古い価値観が「ポリティカル・コレクトネス」のために弱められてしまっているからだという。だから、アメリカ人もまた古い価値観を強く信じさえすれば、ISは撃砕できるという。
 前フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ候補の戦略。イラクについては政府軍に対する米軍人の顧問の数を増やす。シリアについては、比較的まともな反政府ゲリラたちを後援するとともに米軍も投入してアサドを倒す。また、シリアについてはノーフライゾーンを強制して無辜住民を守る。
 上院議員であるテッド・クルズ候補。ISが米本土を攻撃しない限り、そんな連中は放っておけ。もし奴らが米本土を攻撃しようとしたら、米空軍がその能力を破壊してくれるわ。そしてその後の中東国家の再建などわれわれの知ったことか。海外の内戦にアメリカは関与するな。
 上院議員マルコ・ルビオ候補。シリアのISを米軍は空から直接攻撃するべきだ。しかし、米軍はあくまで航空機によるCAS〔この意味がわからん人は『兵頭二十八の防衛白書2015』を嫁〕だけをすべし。現地の地上に派遣して可いのは、特殊部隊、後方兵站、情報支援だけだ。
 ウィスコンシン州知事スコット・ウォーカー候補の提案は、ジェブ・ブッシュの提案をすべてにおいて抑制したもの。たとえば、顧問は地上に派遣してもいいが、米軍を送り込んではいかんという。
 カーリー・フィオリナ候補。ひとつの解決案をこっちから出すのは拙ない。中東におけるアメリカの同盟者たち。彼らの提案をまずぜんぶ聞け。話はそれからだ。そのためにキャンプ・デイヴィッドでサミットを開こう。
 オハイオ州知事ジョン・カシク候補。フィオリナと同意見だが、けっきょくのところは国内の有権者にはいくら不人気でも米地上軍を出すしかないと思っている。
 前アラスカ州知事マイク・ハッカビー候補。クルドに武器を渡せや。米軍はもっと空爆しろ。米地上軍を出す場合は、それは絶対にサウジ軍やヨルダン軍や他のアラブ諸国軍よりも少人数にとどめる。まず周辺アラブ軍が矢面に立つべきだからだ。
 ニュージャージー州知事クリス・クリスティ候補。おれたちは中東の占領者にはならない。反ISの立場の周辺アラブ政府軍をいろいろと支援しよう。しかし米兵は送らない。
 記者、評していわく。トランプ案はうまくいくまい。今のISの主たる資金源は油田ではないので。
 カーソンらは、かつてのオバマの当選戦略を真似ている。具体的な軍事戦略をできるだけ選挙期間中には語らない。当選するまではイメージだけを先行させて、有権者の夢を勝手に膨らませてやればいいという計算。
 ブッシュとウォーカーは、シリア問題の根源がアサドだとわかっている。だが2人は、アサドが倒されたあと、どうするのかを語っていない。数派の勢力が入り乱れての内戦がさらにシリアで続くはずである。そこに米軍はひきつづき現地において関与するのか? だとしたらどのように? 知りたいところである。
 クルズは、ISの第一目的が中東にスンニ帝国を築いてシーアを根絶することであり、米国攻撃なんかどうでもいいという事実がわかってない。
 ※来月の「読書余論」では、1974年刊のBryan Cooper氏著『The Story Of The Bomber 1914-1945』を含めたい予定である。著者はたぶん英国人なので、英国の航空爆弾について最も詳細に記しているが、ドイツの爆弾についてもかなり詳しく分かって貴重なものだ。なかでも驚いたのは、米海軍艦上機がレイテ海戦以降に日本の『大和』『武蔵』に対して投下し、バイタルパーツ以外の箇所に関しては有効であったと認められているAP/SAP弾の1000ポンド型についてのスペックが載っていることだ。1000ポンドAP弾は、炸薬が全重の14.5%で、径73インチ、翼径16.6インチ。尾部信管のみ。ただし正確な全重が不明である。セミ・アーマー・ピアシングの1000ポンド爆弾の方は、炸薬31%とあるが、やはり正確な全重が分からない。米海軍と陸軍航空隊は、対軍艦攻撃を最初から予測した場合でも、マリアナ海戦以前は、瞬発信管付きのGP爆弾しか吊るして行かなかった。それが1944のある時点で、方針が切り替わった。戦時中にSAP/AP弾の開発をした理由とともに、そのへんが解説されている本を見た覚えがない。あきらかに米軍は、この爆弾の詳細を現在までも秘密に保とうとしているのである。その理由は、過去に何度か推定して書いたところだ。
 ※「読書余論」は、「アジ歴」や国立公文書館のようにデジタル化が進んではいない、たとえば防研図書館の所蔵史料等まで広く渉猟して摘録してありますので、オンラインで「アジ歴」などをいくらサーチしても出てこない情報に関心がおありの向きは、購読をして損はありません。1回分を500円で試し買いしてみれば、その価値をご納得いただけるはずです。


「沖積平野」は どこだろうと危ない。トヨタは「スキ車」を再販すれば株が上がるに違いない。

 Dan Lamothe記者による2015-9-10記事「Marine experiment finds women get injured more frequently, shoot less accurately than men」。
  海兵隊がじゅうぶんに時間をかけて実験した結果がようやく発表された。女の兵隊は男の兵隊よりも2倍多く怪我をする。歩兵兵器の照準は、下手糞である。負傷した戦友を戦場から担いで運び出す動作も不良。つまり、海兵隊は、女の兵隊は戦闘職種に使いたくない。
 この研究はノースカロライナ州キャンプ・レジューン基地で9ヶ月間実施された。
 400人の実験志願者を集めた。うち100人が女の海兵隊員。
 ※結論は早い段階で定まっていたのだが、その説明が上手い。この3ポイントを統計データを添えて挙げられたなら、誰も反論できないわけである。反論する者は、味方部隊を全滅の危険にさらせという者である。戦争に負けて国家を危殆に瀕せしめてもかまわぬという第五列である。日本の「保守」には、こういう上手い説明戦略を考え付くことができない者があまりに多い。海兵隊上層部の足元にもおよばない。海兵隊はこのようにして馬鹿オバマ側近からのくだらない要求を沈黙させる。日本ではこうした言語理性のある者が政府から用いられていないために、政府が米国や他の海外からの理不尽な要求をはねつけることもできないのだ。
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 Spencer Ackerman記者による2015-9-11記事「US spy chief’s ‘highly unusual’ reported contact with military official raises concerns」。
  軍から上がってくる悲観的な情報を、大統領側近向けに薔薇色に加工していた張本人は、国家情報の総元締め長官のジェイムズ・クラッパーではないのかという疑惑が濃厚に。 ※「スターリン」は側近2名なのだ。そんなことは最初から知られていた話ではないか。
 セントコムのグローヴ陸軍准将いわく。毎日のようにクラッパーがセントコムの情報分析部と接触していた。それは異常な光景であったと。
 ※ちなみにセントコムの司令部所在地は中東ではなく、米本土にある。
 別な人の証言。クラッパーはよく承知しているはずだ。2003イラク侵攻の前に副大統領チェイニーがCIAに、侵攻決定に都合がよい情報を上げろと隠然圧力をかけ、出世主義の下僚どもが全員それに励んだ過去とその結果を。
 オバマ政権は「イラクが第一」の路線を公表している。そしてISが勝っているという報告は、うけつけない。