◎読書余論 2010-5-25 配信分 の 内容予告です。

▼桶谷秀昭『評論集 近代の奈落』1968
▼防研史料 北川大尉『支那事変教訓』S13-10 歩校
▼防研史料 『高平作戦ノ教訓』S15-3
▼防研史料 『陵川作戦ノ参考』S16-8
▼防研史料 『急造吊橋ノ構造』S16-8
▼吉田一彦『暗号解読戦争』2001-4
 英国のWWIIにおける暗号解読は、1974に“The Ultra Secret”が公刊されてはじめて知られ、関係者も語れるようになった。※これはドイツが核武装しないとハッキリしたからである。
▼中川八洋『日本核武装の選択』2004-10
▼佐藤優・大川周明『日米開戦の真実――大川周明著『英米東亜侵略史』を読み解く――』2006-7
▼グウィン・マクファーレン著、北村二朗tr.『奇跡の薬 ペニシリンとフレミング神話』1990、原1984
 スコットランド人は、そこらの空き地の泥炭を夏に掘って乾燥させておくだけで、ひと冬分の暖房と、1年分の調理用燃料を無料で得られた。
 20世紀初年のロンドン・スコットランド聯隊の平均身長は167センチ。※ちなみに近藤勇は161センチ、土方歳三は167センチとも。
▼内田勝敏『EC経済をみる眼』
▼内田勝敏『貿易政策論』
▼『概説イギリス経済史』
▼ヴォルテール『哲学書簡』
▼日本労働協会ed.『イギリス日系企業の労働事情』
▼ドクトル・ルウィル『十九世紀のアジアに於ける英露の角逐』S19
▼ビル・エモット著、伏見威蕃tr.『アジア三国志』2008
▼石川元助『毒矢の文化』1963
▼森武夫『伊太利の戦時経済』S10-11
▼沢田三喜『混血児の母 エリザベス・サンダース・ホーム』S28
▼大口喜六『戦時下の経済問題』S18-7
 政府公債は9割が日銀でひきうけている。札をただ刷っているありさま。
▼井関孝雄『金融の常識』S6-3
▼小林新『金融経済大綱』S9-1
 国民の総貯金額を上回らない公債発行は、インフレは呼ばないが、そんなケチな発行では追っつかない。
 ケインズは「公債は国民所得に対する間接税だ」とす。
▼青森工業港期成同盟会『工業地としての青森市』S10-12
▼ニール・D・ヒックス著、濱口幸一tr.『ハリウッド脚本術』2001
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 この価格は、2010年中に更改される可能性があります。その場合、新価格は、既に、申し込み/継続手続きをされている分には、遡及的には適用はされません。「武道通信」の広報等に、ひき続き、ご注目をお願い申し上げます。新規の方は、お早めのお手続きがお徳でしょう。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net
 の「告知板」をスクロールすれば、確認ができます。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。


晦日だがそろそろ缶詰が届くかもしれぬと期待している事実について。

CHRISTOPHER P. CAVAS 記者の2010-4-28記事「 Fuel Factors Less Than Price For LCS」。
    米議会の予算局の最新の試算では、 Littoral Combat Ship (LCS) のトータル・ライフ・サイクル・コストに占める燃料費は、せいぜい11%にしかならぬと。
 当初の調達予算を通すときの海軍の説明は、それは64%にもなるから単艦価格が高くともペイするのだ、ということだったのに……。
 アラバマ選出上院議員(共和党)は、今2つあるLCS案のどっちを採用するかの基準は、トンあたりの燃費によって決めるべきだと主張中。その主張が、この数値によって弱められた。
 海軍当局は、この夏の二者択一に際しては、燃費ではなくて、ライフサイクルコストを主な判断基準にすると言い続けている。
 なぜアラバマ州か? じつは、アルミ船殻で三胴のLCSの1案は、アラバマ州モビルに本社がある Austal USA 社の試作品だからだ。ライバルは、Lockheed Martin LCS のウィスコンシン工場なのである。
 ※一見アラバマには海が無いように見えるが、アラバマ川河口のMobile市が立派な港。ウィスコンシン州も海とは接していないが、五大湖運河を通って巨船が大西洋へ抜けられる。
 もうひとりのアラバマ選出上院議員(共和党)も、ウチのフネの方が高速時の燃費が良いんだ、と叫んでいる。
 じつはまだロクに比較データは集っていない。ロッキード製の USS Freedom (LCS 1) は1年以上前から就役しているのだけれども、 Austal USA 製の1番艦となる USS Independence (LCS 2) は、ほんの1ヶ月前に造船所から出てきたばかりで、本格的なテストを行なえていないからだ。
 試算では、艦艇を3種類に分けた。低燃費艦、中燃費艦、高燃費艦。
 低燃費艦では生涯コストに占める燃費は8%、中燃費艦では11%、高燃費艦では18%である。
 その艦艇が作戦用として廃用されるまでのトータルコスト(燃費や修理費等を含める)に占める艦そのもののお値段の割合は、低燃費艦だと66%、中燃費艦だと64%、高燃費艦だと58%である。
 LCSは、将来の四半世紀、米海軍の1/5を占めるかもしれぬ艦種。
 次。
 David A. Fulghum 記者の2010-4-29記事「Afghan War Demands Flexible Weaponry」。
  アフガンで活躍が期待される偵察用の5機種。
 まず、MC-12W Liberty は、すぐに出動してくれる ISR aircraftだ。Vader を搭載する。アフガン戦争以前には、夜、雲の上から敵の兵隊ひとりひとりの動きを監視できるレーダーは存在しなかった。※湾岸戦争のときからあるジョイントスターは、風に揺れる鉄条網にすら反応したらしいが、問題は識別能。ようやく最近、人間1人1人を電波で撮像し、トラッキングまでできるようになった。ちなみに20年以上前には自衛隊にも古い対人レーダーがあったが、それにはPPIやオシログラフすらついておらず、ヘッドセットで音の変化を聴いて、対岸の島や霧の海岸で人が動いているかどうかを判断するという、オホーツク監視所用のモノだった。通信隊員に対するマニュアル教育だけが惰性でなされており、現物にはお目にかかれなかった。
 E-8C Joint Stars は、イラクにおいて post-mission analyses を可能にしてくれた。データを遡って検討できるのだ。 GMTI(ground moving-target indicator)のrecordings を、IEDの炸裂時から逆ら遡れば、誰がいつ仕掛けたのかも、わかるという次第。
 EC-130H Compass Call electronic attack aircraft は、いま14機飛ばしているが、数が足りないので5年以内に4機増やす。
 海軍はEA-6Bが退役するので four squadrons of EA-18G Growlers を投入する。
 これらの機種は、敵がIEDを無線で起爆させようとする指令コマンドや、打ち合わせ行為を、電子的に妨害する。〈いま、米軍車両が通りかかった〉〈よし起爆しろ〉といった敵の無線連絡通話を妨害することも有効なのだ。
 MQ-9 Reaper remotely piloted strike aircraft についてはいうまでもない。
 アフガンでは今、リーパーのようなRPA(remotely piloted aircraft)用の飛行場の建設需要がとても大きい。キミがもしアフガンの田舎に出張してそこに平地を造成してコンクリートを打設できますよ、と申し出るなら、キミは即日、大金持ちとなれるだろう。
 RPAを1機、戦闘哨戒任務(CAP)につかせておくためには、120名の地上支援員が必要だ、ということも分かってきた。
 米空軍は今、600名弱のRPA用パイロットを擁している。
 しかし米空軍の目標は、RPAを常時65機飛ばすこと。つまり、それ用のパイロットは1400人も必要だってことだ。
 さいきん、ネヴァダの Creech AFBに行ってきたが、MQ-9 Reaper を飛ばすってことは、地上の巨大なネットワーク接続なしでは不可能なんだと理解した。※それゆえ、「無人」機というミスリーディングな用語も避け、空軍はRPAと呼び換える方針なわけか?
 企業も完全にISR需要を理解している。いま空軍は、週に1回は、電子メーカーから新型のISR製品のプレゼンを受けているよ。
 この夏の後半には、いよいよ Gorgon Stare をMQ-9に搭載できる。※はるか高空から、広域を監視しつつ、同時に、怪しい個人を徹底追尾できるという赤外線「張り込み捜査」システム。それも、同時に10人以上も。
 これで1機のリーパーの働きは過去の10倍となるだろう。
 最後は、 Global Hawk Block 40 unmanned surveillance aircraft, which also will carry a ground moving-target indicator (GMTI) だね。
 ※これについては項目だけ揚げておいて、具体的言及なし。おそらく携帯電話を傍聴するミッションや、UAV信号の空中中継に従事中ではないかと想像。
 次。
 2010-4-29のストラテジーページの記事「Top Gun Rises From The Dead」。
  米海軍が中古のF-16を州兵空軍から購入する。目的は、F-18パイロットに、シナ軍戦闘機との空戦をレッスンさせるため。
 Russian MiG-29 と Chinese J-10 は、要するにF-16モドキだから、都合が良いのだ。
 すでに海軍は26機のF-16Nを late 1980s に買っている。
 しかし金属疲労が来たため 1990s に廃止。
 それで16機をまた買いたかったのだが10年近く、待たされた。
 海軍は、F-5s も、敵機役として買っている。これは12トンあり、だいたいMiG-21と近いのだ。
 2年前、スイスから 44機のF-5E を買いつける契約。買ったあとでちょっと改造することは無論である。
 The F-5 is normally armed with two 20mm cannon, and three tons of missiles and bombs.
  MiG-21 は 9.5 tonある。※写真だけ見てると、F-5の方が軽そうに見えるよね。
 そして、 can carry 1.5 tons of bombs.
 WWII中は、敵機のクセは戦地で学べばよかった。だがWWII後は、ベトナムにパイロットを送り出す前に、ロシア式の飛び方をする「敵機」を相手に訓練させとく必要があるのだと痛感された。それで海軍がトップガン教程を4週間、課したところ、大成功。すぐに米空軍も Red Flag schoolで追随した。
 その後、トップガンはドッグファイト志向、レッドフラッグは電子戦志向と、性格が分かれた。
 1980年代にソ連のパイロットの技倆が落ちた。経済難から訓練飛行時間を削られたのだ。その間、米軍パイロットは逆に訓練飛行時間を増やした。フライトシミュレーターも飛躍的に高性能化。
 米露のパイロットの技倆の懸隔がハッキリしたので、ついに、トップガンもレッドフラッグも、1990年代末に予算を削られた。
 現在の米軍パイロットの想定敵手は、シナ人パイロットである。
 次。
 Bryan Walsh 記者の2010-4-28記事「Offshore Wind Power: Is It Worth the Trade-Offs?」
 いよいよ Cape Cod in Massachusetts 沖に米国初の海上風力発電塔をつくることに。
 平均183 megawatts を発電し、ローカルに供給する。
  130 wind turbines を 24 sq. mi. に布置する。
 場所はNantucket 海峡で、 about five miles from shore である。
 しかし景観を破壊するというので9年も揉めてきた。 $1 billion のプロジェクト総額に引き合わない、とも。
 そこで羽根の径は小さくされ、さらに陸地から遠い場所にされた。つまり、より小さく見えるように。
  National Renewable Energy Laboratory は 90,000 MW を 米国はoffshore windsから得られると試算している。
 有利な点は、大都市のすぐ沖につくれるから、送電ロスが小さい。
28州ある米国の「海あり州」が 78% of the country’s electricityを消費している。
 ただし、建設コストや維持費は陸上の風力発電塔の2倍だ。
 次。
 サイエンスデイリーの2010-4-29記事「Crude Oil No Longer Needed for Production of Plastics」。
 毎年世界で 130 million kilo〔単位は何だよ?〕 の ethene【エチレン】が生産されている。これが、プラスチックになるのだ。ただし原料は、原油である。
 原油がなくなってしまったらどうするか?
 オランダ人が答えをみつけた。
 天然ガスからとればいいんだ(w)! そして将来はバイオガスから。
 従来、天然ガスからエチレンを得るためには800℃にも加熱する工程が必要だった。結果、製品は価格合理性ゼロだった。
 しかし、天然ガスからは、 syngas、すなわち一酸化炭素と水素の混合ガスもつくられる。この工程は熱を必要とする。
 だったら、天然ガスからエチレンをつくるときの熱を、syngas製造にすぐ転用してしまえば、トータルでコストは合理化されよう。もちろん、うまい触媒が必要だ。
 プラントの廃物利用バイオマスからメタンを取り出す試みも。メタンは天然ガスの成分である。
 それができるようになれば、化学肥料の原料として天然ガスを使う必要もなくなる。
 次。
 Nathan Hodge 記者の2010-4-29記事「Pentagon Doles Out Sweetheart Deals for Wartime Supplies」。
  ホワイトハウスの計算によれば、1人の米兵を1年間、アフガンに配備するのに、 $1 million が、かかっているそうである。
 国防兵站局はあっさりと白状した。キルギスとアフガンにある米軍基地に航空燃料を $1.4 billion で補給するという随意契約を、うさんくさい外国企業×2社を指名して(競争入札せずに)結んだと。
 キルギス暴動には、こういう不明朗なカネの流れもかかわっているんだ。このカネがキルギス政府を腐敗させたのだ。
 兵站局はまた、英国のHesco Bastion社とも単独指名契約している。このメーカーの sand-and-soil-filled が中東と中央アジアのすべての米軍基地のperimeter【陣地外辺】で見られる。※土嚢のこと? それともコンクリートブロックのこと?  defensive barriers とも書いてある。
 一社契約は、けっきょく高くつく。実例がいくらもある。
 次。
 admin 記者の2010-4-29記事「Helium-3 Shortage Could Mean Nuke Detection ‘Disaster’」。
    helium-3 isotope は、ヘリウムガスの中に 0.0002 %以下しか存在しない。
 こいつは中性子に対して特別に敏感だ。だから核物質(特にプルトニウム)の探知機には不可欠だ。
 核爆弾の威力を増強してくれる素材であるトリチウム(三重水素)が崩壊するときに Helium-3 は得られる。
 1988に米国内のトリチウム生産は終わってしまった。ところが、トリチウムの半減期は12年だ。だから逼迫してきた。
 しょうがないので古くなって解体する核弾頭からヘリウム3 を回収して間に合わせていたが、9-11以降は大不足。
 このガスは 76,000 liters per year要る。しかし生産量は 8,000 liters annually であり、米国内の在庫は 48,000 liters未満になっちまった。
 2004 から 2008にかけて 25,000 liters の helium-3 が毎年ロシアから輸入されていた。しかしロシアは輸出を停止した。
 ヘリウム3は、炭化水素の埋蔵探知にも使える。つまり石油掘削会社もこれを必要としている。
  boron trifluoride が安価な代替品になるのではないかという研究も進んでいるが……劇物である。
  lithium-loaded glass fibers や、 cesium-lithium-yttrium-chloride(clickと呼ぶ)も考えられている。いずれも実用化はされていない。


今日まで乾パンは届いていないという事実について。

 KEVIN McGILL and CAIN BURDEAU 記者の2010-4-28記事「Crews to set fire to oil leaking in Gulf of Mexico」。
  ミシシッピ河口から20マイル東のメキシコ湾上で爆発した採油リグからの漏出油にコーストガードは火をつけるつもり。このままルイジアナ~マイアミの自然湿地に漂着するとえらいことになるから。
 延長500フィートの、焼却作業用コラル(浮き柵)で漏出油を包囲し、それをそのまま沖合いまで曳行し、着火して半日で焼いてしまう。
 Deepwater Horizon と名付けられていたリグ(Transocean Ltd. の所有にして、BPが運用)が先週、爆発して海没し、その海底に開けたドリル穴からは毎日 42,000 gallons の原油が海水中へ噴き出し続けている。
 11人の作業員が依然、行方不明。爆発原因は未解明。
 1995にもSan Jacinto River で油漏れ事故があり、浮き柵を使って焼いたことあり。
 専門家いわく。海洋汚染を防ぐためには、焼いてしまうのがいちばんいいんですよ。
 点火には、 jelled gasoline と、油に浸したボロ布を用いる。
 浮き油が燃え尽きたあとには、固化したタール・ボールが残る。これは網で掬い取る。
 油浮遊域は、目下、「100 × 45」miles の範囲におさまっている。
 潜水ロボットを深度5000フィートへ投入し、 shut-off device を作動させようとしたが、これは失敗した。
 BPのリグ・オペレーター氏いわく。 relief well を至急掘り、噴出圧力を緩和させるつもり。ただし、この作業には何ヶ月もかかる、と。
 もうひとつの提案。巨大な逆さ御椀を漏出孔の上にかぶせて、浮いてくる油をいったんそこに溜め、ポンプで海面上の回収船が吸い取る。実施には2週間かかる。
 この災害による損害総額は top $1 billion まで昇るだろう。
 代替リグの値段は $700 million である。
 BP によれば、漏洩対策のために目下、1日に $6 million がかかっているところ。
 減圧用シャフト工事の費用は、 $100 million になるだろう。
 コーストガードは、かかっている費用を発表していない。
 次。
 ナショナルディフェンスの2010-4-22記事「Not-So-Secret Weapon in the War on Drugs: Sensors Than Can Infiltrate Jungles」。
 マイアミから南極大陸まで担当する U.S. Southern Command の司令官いわく。南米のジャングルは偵察しようがない。
  コロンビアでは、半没艇の建造工場から、10フィート離れれば、もう視認することは不可能という密林だ。
 いまのところ一番成功しているのは、 Army’s A-160 Hummingbird unmanned helicopter. こいつはDARPAが開発した樹冠透視レーダーを積んでいる。
 過去20年間、南米から北米へのコカイン密輸の25%のみが摘発されてきている。
 敵の輸送手段は8割が高速艇と半没艇。
 この半没艇が海に出る前に探知したい。そのためのハードウェアが必要だ。
 半没艇は、長さ 60 to 70 feet 、積荷は 10 tons of cocaine、 ディーゼル・エンジンで5000浬走る。昼は微速にし、夜間に速度を出す。
 2008 に SouthCom は 76 隻の半没艇を捕捉した。
 しかし2009には 52 隻と成績ダウン。理由は不明。
 次。
 ストラテジーページ 2010-4-28記事「U.S. Army Picks A 120mm Winner」。
 数年ごしの比較評価の末に、米陸軍は、 GPS guided 120mm mortar shellのメーカーとして、米国の ATK system 社を選んだ。他の競合メーカーは、米国内に1社、そしてイスラエルの1社であった。
 ※むかしは迫撃砲弾のことはBombと書いて、野砲弾のShellとは区別をしていた。今は迫撃砲も高性能化・多機能化したので、Shellと書くのがふさわしいのだろう。
 ATK社は2006からこの砲弾の開発にとりくんできた。誘導システムは、螺子式にとりつけられる弾頭の信管部(ここには誘導回路はあるがGPS装置は入っていない)と、より大きなGPS受信装置と動く小翼である。
 これらのキットを、従来からある迫撃砲弾にねじつけるだけで、GPS誘導弾にできる。レーザー誘導式ではないから、小さな目標を直撃しようというのではない。あくまで、GPS精度での地域狙撃になる。だいたい6m以内に集弾するという(要求されていたのは10m以内)。
 目標のGPS値は、金属のプローブを信管に差し込んで入力する。
 最前線の迫撃砲チームは、手元にたくさん弾薬があるわけではないし、後方から弾薬を届けてもらいにくい場合が多い。しかしこのGPSキットが普及すれば、もはや、弾薬の推進に苦心する必要はなくなる。わずか数発の発射で、仕事は終わるのだ。
 米軍はすでに3年前、レーザー誘導の迫撃砲弾をイラクとアフガンにテスト用として送り、1年前にテストした。
 これは「XM395 Precision Guided Mortar Munition」といい、20年間も開発を続けてきたけれども、遅れに遅れていたもの。重さ 38 pound で射程は 7.5 kmあり、レーザーで指示した点から1m以内に落下する。
 ※日本の内地の湿度だと6kmも離れたら、戦車のような大きな目標でも、肉眼で識別するのは至難である。7.5kmは、直接照準交戦距離としてはover Maxであり十二分である。この迫撃砲の口径を150ミリにupすれば、そのまま対戦車兵器。もはや先進国同士の戦争で有人AFVに活躍させようなんて気違い沙汰だと知れるだろう。
 XM395の欠点は、高価かつ複雑すぎること。
 また、レーザーで目標を照射する役割の兵隊は、かなり敵に近づく必要があり、その兵隊が危険であると分かった。※うっかりすれば、レーザーの照射源に味方の砲弾が落ちてくることもあるのかもね。それに、敵もフルスペクトラムの監視手段で、レーザーの照射源を簡単に発見し、そこに火力を志向してくるだろう。
 120mm mortar round の中には、だいたい 2.2 kg の炸薬が充填されている。これならコラテラル・ダメージは十分に小さい。
 155ミリ榴弾だと、炸薬は 6.6 kg である。これはコラテラルが大きい。
 120ミリ迫撃砲弾は、無誘導の場合、最初の1発は、照準点から136m以内に落ちる。レーザー誘導だと1m以内、GPS誘導だと10m以内だ。
 米陸軍はこのGPS型がもっとも重宝だと期待しており、今年の末までにはその砲弾を受領し実用する。
 次。
 Noah Shachtman 記者の2010-4-27記事「Pentagon’s Mach 20 Glider Disappears, Whacking ‘Global Strike’ Plans」。
  Falcon Hypersonic Technology Vehicle 2 (HTV-2) は、予定では、発射から30分後に、4100浬(7600km)先の海面に落下するはずだった。
 信号がとだえる前に、大気圏内でマッハ20での機動を何度かさせることに成功した。
 “prompt global strike”には3案がある。
 ひとつは長射程のICBMの核弾頭を通常弾頭に換えるもの。
 もうひとつは、ICBMより短射程だがマッハ5以上で飛ぶ巡航ミサイル。これは2009-12に X-51 Waverider でテストする予定だったが、2010-5に延期されている。
  HTV-2 が三番目の案である。これのメリットは、弾道がBMのRVとは歴然と異なるために、ロシアの早期警戒レーダーがアメリカからの核攻撃だとは錯覚しないこと。
 関連して。
 AFPの2010-4-28記事「DARPA-crafted Glider Falls Short In 1st Flight」。
 次の実験は2011の前半だ。
 米空軍は、低軌道の偵察衛星が敵に破壊されてしまったときに偵察を行なえる機体も開発中。※それがいま周回しているやつだ。
 次。
 JOHN REED 記者の2010-4-27記事「USAF Broadens Plans for Next-Generation UAV」。
 MQ-9 Reaper の後継機とする米空軍の MQ-X 構想。次世代の tactical UAV はどうなる?
 cargo hauling や aerial refueling もさせたい。中型サイズで。
 あたかも今のC-130 のような多目的用途機にしたいのだ。
 sense-and-avoid も必要。
 計画が具体化しはじめるのは2014以降で完成は2020以降か。
 次。
 Paul McLeary 記者の2010-4-27記事「Enemy Adapts To Counter-IED Tactics」。
 2年前、米第25歩兵師団の第2ストライカー戦闘団がバクダッド北郊で発見したIEDは、155ミリと122ミリ砲弾と雷管とをプラスチックで包み、そこから指令起爆用電線が畑の灌漑用水路沿いに伸びているというものだった。
 その後アフガンでは、肥料や化学剤から合成したIEDが登場し、今年はその数が昨年の2倍になりそうだという。
 原料の肥料は大別して2種。塩化カリウム【 potassium chloride】と硝安【 ammonium nitrate】である。
 その起爆装置は、踏み板、もしくはトリップワイヤを用いた初歩的なものが大宗だが、有線指令式も見られる。
 イランのIEDは、サダムの弾薬庫からの流出品だけが材料ではない。イランがシーア派に渡した武器があるのだ。
 タリバンとは別に、Haqqani という組織があり、これはアフガン東部に蟠居している。2008にインドのカブール大使館を爆破し、2009-2にはカブールを襲撃せんとし、2009-12には Camp Chapman in Khost Province のCIA基地を壊滅させた。
 彼らは硝酸アンモンの肥料を多用するので、マクリスタルはカルザイにねじこみ、硝安肥料のアフガンへの輸入を禁ぜしめてしまった。硝安をアフガン国内で生産することも禁止である。
 ところがそれでもIEDは減らない。
 そこでとうとう登場したのが、“Self-Protection Adaptive Roller Kit (Spark)”……要するに、自動車の前にローラーをとりつける。
 イラクの電波妨害装置より後退したような印象だが、アフガンでは、こっちの方が有効なのだ。
 ビーチクラフト・キングエア350ERを原型とするC-12双発機を路上爆弾警戒任務用に改造したのがf MC-12W ISR aircraft。これも道路偵察部隊に連携させている。


だれか「魚の缶詰」をめぐんでくれる者はいないか? 本当にいないか?

 Denise Ngo 記者がサイエンスデイリーの記事を要約した2010-4-27アップ記事「Injection of Melanin Nanoparticles Could Make Human Body Radiation-Resistant」。
   Albert Einstein College of Medicine of Yeshiva University の研究で、メラニン色素で、シリカ(砂)の微粒子を数層にコーティングしたものをネズミに注射すれば、骨髄が放射線に対してプロテクトされるので、正常細胞を損傷せずに癌細胞にもっと放射線を当てる治療ができるようになりそうだという。
 骨髄が放射線でいためつけられると白血球や血小板の数が減ってしまうのがこれまでの大問題だったが。
 肝臓、肺、脾臓を通り抜けられるくらいに微細なシリカのナノ微粒子にメラニンを塗布し、注射すると、骨髄にべったりとまといつく。しかるのちに放射線照射。
 この注射をされたネズミは、白血球と血小板の回復が、注射されないネズミよりも早かった。つまり骨髄は放射線から遮蔽されたのだ。
 この加工粒子は注射後24時間経っても骨髄に残っているが、それは食細胞が除去してくれる。
 動物実験を続け、3年以内に、癌患者に対してこれを試す。
 博士いわく、これは宇宙飛行士を宇宙線からも守ってくれるだろう、と。
 次。
 Clay Dillow 記者の2010-4-27記事「 Japan to Launch Solar-Sail-Powered Craft Out Beyond Orbit for the First Time」。
 JAXAは5-18に「宇宙ヨット」を打ち上げる。
 名前は Ikaros (= Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation of the Sun )。
 髪の毛よりも薄く、46-foot の広い「帆」を展張し、太陽からの光子を受けて飛翔を続ける。帆の角度を変えることでコースも変える。
 成功すれば、日本初の金星探査機もこの方式でなされる。
 日本は2015までに月面に装輪式ロボット車両を送り込む。
 次。
 Nathan Hodge 記者の2010-4-27記事「Black Sea Drone Wars: the Sequel」。
 ロシアとグルジアの間の争点になっている、分離運動中の republic of Abkhazia の上空にグルジア空軍が無人機を40回以上も飛ばしてきているとロシア政府が非難。
 Abkhazia は 1992~1993 の内戦で、グルジアから分離した。ところが、それを国家承認しているのは、いまのところ、 Russia, Venezuela, Nicaragua and Nauru だけなのだ。 ※つまりグルジア側とすれば主権問題で、領空侵犯ではないわけ。それにしても何故ナウル?
 Abkhazia にはロシアが軍事的な保護を与えている。※現代の「満州国」。
 2008にロシアとグルジアが戦争になる数ヶ月前、黒海上空でロシアの有人戦闘機がAAMでグルジアの無人機を撃墜した。その被撃墜映像は公開されている。
 ※つまりこれをグルジアが公開したってことは、その空域は自国領空であったという自信があるということか。
 次。
 AFPの2010-4-27記事「Taiwan Exercise Focuses on Possible China Assault」。
 台湾軍の滑走路をシナ軍が数波の爆撃機とSSMで奇襲攻撃したのを即座に修理するというシナリオの演習を実施し報道陣に公開。
 台湾東部の Hualien 市郊外の基地で。
 ※SSM数百発くらいでは台湾の空軍基地は有事に麻痺せず、よって台湾を武力で征服することは不可能であると内外に印象づける演習。
 また、4機のミラージュが6分で緊急発進できることもデモ。
 次。
 Graham Warwick 記者による2010-4-26記事「DARPA Investigates Hypersonic Glider Loss」。
 ロックマートとDARPAが開発した HTV-2 は、4-22のVandenberg AFB, Calif.からの最初の打ち上げ直後に喪失していた。
 Orbital Sciences Minotaur IV Lite booster の第三段はまちがいなく正しい角度になってクラムシェル・フェアリングを開いて HTV-2 を大気圏の最上層に放出した。
 しかしその9分後、テレメトリーは途絶えた。
 予定では、大気圏再突入後、いったん上昇し、太平洋を滑空で横切って、 Kwajalein Atoll の北方海面へマッハ20で突入・自爆する予定だった。途中で何度かのSターンもさせる予定だった。
 この宇宙グライダーは、9000浬離れた目標を、2時間以内に通常爆弾で攻撃しようという、「prompt global strike weapon」のひとつである。
 第二回の発射テストは2011に、マッハ25での機動を試す予定であった。
 スペースシャトルとの違いは、地表にアプローチするときの降下角度が浅いこと。シャトルが40度で突っ込むのに比べ、 HTV-2 はもっと滑空率が大である。
 一体成型の高負荷 carbon-carbon aeroshell でできた機体は、高熱に耐えてくれる。※BMのRVと違ってフラックスに頼らない。つまり受けた熱の大半をまた宇宙へ輻射することで融解を防ぐ。
 さすがに、機首と翼前縁は、滑空中に1~2インチも減ってしまう(摩擦で燃えてしまう)。
 この焼蝕の具合をつきとめるのも課題。
 次。
 ストラテジーページの2010-427無署名記事「Naked Trucks Everywhere」。
  米陸軍は37セットの車載型 Backscatter radarsを追加発注し、アフガンに運ぶ。
 このレーダーは現地人のトラックを外部から検査し、武器やゲリラが隠されていないかを判別するもの。
 すでに過去7年に 300 セット 以上のこの radars がイラクとアフガンの米軍によって使われてきている。
 こいつの仕組みは、昔のレントゲン撮影のようなものとは違う。
 バックスキャターの基本原理は、冷戦時代に敵のBM発射や爆撃機の離陸をできるだけ遠くから探知しようとして考えられたOTH(超水平線)レーダー用に考えられた。
 ※その当時のバックスキャターOTHは、巨大な地上局を2局、何千キロも離して建設し(しばしばその1局は同盟国内へ設置)、その2局の中間を敵のBMやボマーが横切ることで電界がかきみだされるという現象を利用しようとしたもの。
 だが、いまのバックスキャターは軽量化し、ヴァンの中に車載されている。名付けて “Ruggedized Detection Imaging Modules” (RDIM) という。
 X線で透視することにより、トラックの中に在る有機物と無機物とが識別できる。
 また、現地人が衣服の下に爆弾を巻いているかどうかが見える。
 数秒で、写真レベルの像が得られる。
 よって、米兵は現地人の服の上から手で触れてみる必要はなくなる。「その機械の前に立ってみろ」と、遠くから命令するだけでよくなる。よって検問の哨兵に対する自爆テロは無効になる。
 機械は、1セットが $1.3 million dollars する。
 維持費は、 over $10,000 a month である。
 米軍は2005からこいつを買い始めた。そしてすばらしい機能であることをすぐに認めた。
 VIP警護用として南米や中東の諸国がこの装置を買ってくれているので、量産効果により、Z Backscatter の単価は、4年前の1/3に下がった。
 次。
 Mark Thompson 記者がタイム誌に2010-4-26に載っけている記事「The Navy Goes in Search of a U.S.S. Prius」。
 全長 844-footの U.S.S. Makin Island は、ガスタービンと電気モーターのハイブリッド強襲揚陸艦だ。
 調達価格は $2.5 billion であった。
 なんと機関科員は、在来艦の半分の12人で済んでいる。
 かつての蒸気タービン軍艦は、いったん罐を冷やしてしまえば、数日かけて蒸気圧を上げないかぎり出航はできなかったものだが、このフネは、機関が冷えた状態から1時間以内で出航ができる。
  Makin Island’s electric power comes from a pair of diesel generators. 電気は2基のディーゼル発電機から得る。※ようやくこの記事により、主機のガスタービンやその余熱では発電はしていないらしいと見当がついた。
 camelina oil は 1ガロンあたり $65 である。※この記者はジェットA-1と海軍用JP-5燃料の区別はつけていないように見える。
 そのカメリナはモンタナで栽培したものだ。
 いま、米海軍の艦艇の 17% (空母と潜水艦)が核動力である。
 そして海軍長官いわく、もし長期的に原油価格が1バレルあたり $150 になれば、すべての軍艦を核動力とするのが経済的になる、と。
 ※余談。可倒式の風力発電塔の塔それ自体を起電機の梃子とすることができるのではないだろうか? つまり、ただの1本の長い直立円筒を、地表面の高さに位置したユニバーサルなヒンジによって支え、そのヒンジの下の地下空間には、円筒の延長としてのアームが直結されており、アームの先にはカウンター・マス(対錘)がぶらさがっている。風が円筒を横に押せば、地下部分のアームが動揺するから、その運動エネルギーをジェネレーターで回収できる。台風並の強風にさらされれば、塔は、〈柳に風〉と倒れるだけで、破壊はされないだろう。


誰か乾パンをめぐんでくれる人はいないか? この月末を乗り切りたい。

 Tristan Plank, Scott Scheff and Angelia Sebok 記者がナショナルディフェンス2010-5月号に載っけている記事「First 100 Days of Deployment Critical to Soldier Survivability 」。
 「兵隊になってから最初の5回の火力交換戦闘を経た」よりも「ひとつの前線に配備されてから100日が過ぎた」の方が、その兵隊が「死なないやつ」と化したかどうかの見積もり基準として適当であることが、ちかごろ解析された。
 この研究のスポンサーは例によってDARPA。
 元にしたデータは、イラクとアフガンにおける過去3年間の米英軍の陸軍および海兵隊の戦死者2000名。その40%は、戦地に配備されてから3ヶ月以内にやられていた。だから100日。ただし1ヶ月目は比較的死なない。2ヶ月目から増える。
 理由の一仮説。ローテーションにより、ある部隊が、ある部隊と、持ち場を交替したとする。この変わり目では、それまで利用してきた現地人からのタレコミ情報は得られなくなる。それゆえ危険がハネ上がる。
 また、なぜか陸軍の兵隊は、外地の戦場に展開してから「6ヶ月目」に戦死が急に増える。これは海兵隊、海軍、空軍の兵隊だとみられぬ現象だ。
 そしてまた、「10ヶ月目」にも小ピークがある。
 その考えられる理由は、疲労、慢心【complacency】、無気力戦術【stale tactics】だ。
 敵ゲリラも、そのくらいすれば米軍のパターンに慣熟してしまう。
 集められた兵隊の代表的な声。訓練はもっとリアルにする必要がある。敵ゲリラがある戦術を使ってきたという情報が上がってきたら、即座に、それに対抗するためのリアルな訓練を考え、それを遅滞なく現地において味方部隊に対して施してやらねばならない。ゆっくりやっているヒマはないのだ。
 結論。部隊を交替させるタイミングや方法は工夫せねばならぬ。間歇的な現地での訓練によって兵隊たちの気分をひきしめさせよ。1部隊が得た戦訓はすぐに全部隊に伝えろ。
 次。同じくナショナルディフェンスの2010-4-22記事「Gathering Storm May Sink Navy Shipbuilding Program」。
 米海軍長官が演説した。毎年10隻のペースで、建艦するのだ。海軍は、計画艦の仕様を途中で変更することはやめる。だからキミたちは、安んじて造船所のインフラに投資し、工員を訓練し、艦船の単価を下げて欲しい。
 米海軍のゴールは2020までに「320隻艦隊」を実現すること。今は286隻だ。ちなみに1988には米海軍の艦艇は 594 隻もあった。
 軍艦は、いまや、1隻平均で a billion dollars を超えてしまっている。米海軍は、年に10隻を調達するために、毎年 $15 billion 必要だと見ている。
 ところがそいつを少なくとも6箇所以上の巨大造船所に分散して発注するものだから、各造船所では、能力をフルに発揮できない。結句、非効率となり、単価は上がるはずである。
 造船会社は、能率のために投資をしても、それを回収できないことが見込まれる。
 1造船所に対して2年で3隻なんていう少ない発注量では、水上戦闘艦の巨大造船所を2社以上維持させて競争させていくという国策は達成不可能だね――とある経営者。
 ゲイツは3月に、オハイオ級の次の新SSBNは箆棒な価格になりそうだから海軍は少し方針を改めないとそれだけで海軍予算が尽きるぞ、と警告。
  Littoral Combat Ship については当初、米海軍は、2タイプを買ってみるつもりだった。しかしその予算はなくなった。安い方を選択するしかないだろう。
 次。
 ナショナルディフェンス2010-4-22記事「 Drone Wars: U.S. Aircraft Need Smaller, More Precise Weapons」。
 アフガンとパキでは Nearly 1,000 people がUAVにより過去2年間に殺された。これはまずい。反米感情をもたらす。
 そこで、軍が今関心をもっているのは、より小型のUAVによって、特定の1人のゲリラだけを、都市の中で精密に狙い撃ちして殺せないかということ。住民へのコラテラル無しで。
 空軍の MQ-9 Reaper は、 AGM-114 Hellfire missiles, GBU-12 Paveway II bombs そして GBU-38 Joint Direct Attack Munitions をミックスして携行できる。
  MQ-1 Predator は two laser-guided Hellfire missiles である。
 陸軍のSky Warriorは Predatorをベースにしたものだが、ヘルファイア×4発だ。
 米陸軍としては、殺さずに捕虜にできる精密誘導爆弾が欲しいのである。路側に地雷を埋めている敵ゲリラ3人に対してそれを1発発射すると、3人とも捕虜にして尋問ができる、そんな弾薬が理想的だ。
 それにはまず、弾頭重量が 10 pounds 以下のものを開発して欲しい。さらには、非殺傷性の弾頭を。
 だから陸軍は今、 2.75-inch diameter laser-guided rocket を Shadow または Sky Warrior UAVから発射させることを検討中だ。
 次。ストラテジーページの2010-4-26記事「Pam And Lam Get Fired」。
 米陸軍のNetFires (or NLOS-LS) missile systemは2004から開発開始されたが、ついに計画放棄された。
 海軍は LCS (Littoral Combat Ships)がVLS (Vertical Launch System)を収めるほどには容積に余裕がないので、陸軍が開発したこいつを積むつもりでいたのだが……。陸軍がブン投げたこのミサイルの開発を引き継ぐなんてことは予算的に今の海軍には無理。
 NetFires には2種類のミサイルがあった。2つとも、寸法と重量は同じなのだが、用法を2つに分けていたのだ。
 主力と考えられていたのが、 PAM (Precision Attack Missile)。直径 178mm で、重さ 55 kgで、射程は 40 kmだった。
 ※毎度思うんだが、わが川重が開発した、直径160mm、重さ60kg、射程不明だが光ファイバ誘導の「Type 96 多目的誘導弾システム」をベースに改造したらダメなの?
  PAM は上から落下して目標を攻撃するミサイルで、弾頭重量は 13.2 kgである。戦車の上面装甲は薄いから、これですべての戦車に対応できるとされていた。
 PAM は 1.3×1.9×1.3 mのコンテナから垂直に発射される。
 このコンテナに入った状態で工場から出荷され、部隊が受領するのだ。
 15発入りのコンテナ全備重量は1トン。
 それをトラックや舟艇に搭載する。
 キモは、このPAM container をワイヤレスの戦場インターネットに接続するということ。
 LCSの射撃管制士官は、敵の情報をUAVやら衛星から画像として得る。その敵の画像をスクリーン上でクリックすれば、PAMのコーディネーターが、それを攻撃するための最適の位置にある最寄のランチャーからPAMを発射してくれる、という、お気楽コンセプトだった。
 最終誘導はミサイルの内臓センサーによる。つまり、ロックオン後はパッシヴである。※なるほどこれは要求が高すぎる。採用しても、味方撃ちや、民間人殺しがあり得るよ。96式ならばそれは回避できるが。
 もうひとつ、ジャングルや錯雑地に潜んだ、視認しにくい状態の敵車両を攻撃するため、2番目の NetFires missileとして、 LAM (Loitering Attack Missile)があった。
 これは mini-cruise missile ともいうべきもので、45分間、ターゲットが見つかるまで上空を飛び回る。
 内臓のレーザー・レーダー (LADAR) で敵車両を発見すると、落下命中する。こっちの弾頭は、戦車を吹っ飛ばすには不足なのだが、それ以外なら無力化できる。
 米海軍では、このLAMを、150km離れた敵魚雷敵を駆逐できるよう、沿岸戦闘艦に装備しようと考えていた。
 LCSは 3,000 ton だが時速 90 kmで疾走する。
 しかし固有兵装は、1門の 57mm gun と数門の機関砲だけ。
 よって、 NetFires の追加が必要だったのだ。
 ちなみに乗員はタッタの15人以下。※軽巡洋艦サイズで15人ですぜ! 拙著にも書きましたが、これはもう「ロボット兵器」に分類されるべきでしょう。
 LCS は広々とした cargo hold を1箇所備えていて、そこに後付けすることによって、掃海艦にもなるし、火力支援艦にもなるし、ASW艦その他にもなるのだ。
 また、1機の Black Hawk sizeの helicopter (MH-60)も標準搭載。その格納庫もある。
 後部の吃水ドックからは、密かに無人潜航艇を泛水させることもできる。
 次。
 ワシントンポストの2010-4-26号にJoby Warrick and Peter Finn記者が寄稿した記事をNathan Hodge記者が要約している記事「Targeted Killing Lite: Inside the CIA’s New Drone Arsenal」。
    CIAが欲しているのは、ヴァイオリンより小さく、35ポンド以下の軽いミサイルだ。そして Pakistan’s South Waziristan provinceのタリバンの親玉のアジトの家に命中させ、中の数人を殺す。他の住民には迷惑をかけない。そんなちょうどよい機能のミサイルをUAVから発射させたいのだ。※なんだそういうことだったのか。今までは、ヘルファイアはピエゾ信管で屋根の表面で爆発してしまうし、レーザー誘導250ポンド爆弾の遅働信管付は家丸ごと飛散させてしまうので、不都合だったわけだな。だったらヘルファイアの炸薬を減らして信管を遅働にして弾殻を複合素材で強化すればよいのではないか?
  AGM-114 Hellfire は、もともと重戦車破壊用なので、理想的ではない。重さも100ポンドもある。これで民間仕様の4駆車を攻撃すれば、コラテラルがものすごいことになる。
 ロックマートが開発した精密誘導爆弾 Scorpion は35ポンド。
 その弾頭は Battleaxe と名付けられており、成型炸薬と破片と強化ブラストをぜんぶ追求したもの。
 しかも、it throws out fragments of reactive material which explode on impact, making it especially effective against unarmored vehicles and other soft targets. ※「反応物質」とは何なのか具体的に書いて欲しい。これでは分からん。ひょっとして、劣化ウランの破片を飛び散らせることにより、その破片がまた別な車両の鈑金を貫通したときに、内部に焼夷効果を発揮してくれる、ということなのか? しかしそれなら explode という動詞は不適切である。
 Scorpion は GBU-44 Viper Strike のライバルと考えられていた。こっちは、滑空爆弾で、RQ-5 Hunter drone でのテストも実施済み。
  Thales Lightweight Multirole Missile は Thales’s Starstreak/Starburst anti-aircraft missiles の要素を用いたもので、重さ 28 pounds.
  Raytheon’s Griffin missile はJavelin man-portable anti-tank missile と AIM-9X Sparrow air-to-air missile の要素を組み合せ、重さは45 pounds.
 米陸軍は、 Advanced Precision Kill Weapon System (APKWS)も開発。これはいわば “smart” 2.75-inch rocketで、ありふれた Hydra 70 rockets を、ミサイル化しようというものである。こっちはもうじき量産に入る。
 次。
 『Guardian』紙の記事を2010-4-26にJeremy Hsu記者が要約。「 Get on the Beef Train: Amtrak Unveils First Biodiesel Commuter Train, Powered By Animal By-Products」。
  アムトラックが、米国初の、バイオディーゼルの汽車を公表。燃料は牛肉の副産物を利用。20 percent biofuel と 80 percent diesel を混ぜた燃料だ。
 Oklahoma City と Fort Worth の間を試験走行する。
 しかし批判者はいう。トウモロコシで牛を太らせ、そこから油を絞るよりも、トウモロコシを直接にバイオ燃料化した方がずっとエコだろ、と。
 次。
 Clay Dillow 記者の2010-4-26記事「 The Army Wants Olfactory Sensors That Can Smell Potential Perps At A Distance」。
  個人の体臭を識別し、その接近を偵知したり、その足跡を数日後からでも辿れるようにするという研究を米陸軍がやっているんだと。


この月末にわたしにインスタントラーメンを恵んでくれる人はいないか?

 Amy Butler 記者が2010-4-23に載っけている記事「USAF Eyes Low-Yield Munitions」。
 米空軍は、500-lb. MK 82 bomb の弾殻をスチールではなく複合素材とすることで、破片効果を最小にし、衝撃的爆圧による殺傷だけを発揮させる新型爆弾を開発して実戦配備しようとしている。
 MK 82 は、Boeing 製の Joint Direct Attack Munition kit をとりつけることで、precision-guided weapon ともなる。
 米海軍は既に、500-lb. 爆弾にコンクリート〔の粉?〕を充填することで、Low Collateral Damage Bomb とならないかどうか、 2007 に1発〔リアル戦場で?〕試してみた。こちらはブラストそのものを抑制しようとした。〔ということは粉ではなく、コンクリートを錬って内壁に貼り付けたのか? なぜケーシング自体をセラミックかコンクリートにしない? それではハンドリング中や高機動中や被弾時に割れる惧れがあるから? だったら低速の無人機専用にすれば可いだろう〕
 この新しい500ポンド爆弾の外形は、先行している 250-lb. Small Diameter Bomb Focused Lethality Munition (FLM) に倣ったものになるだろう。
 FLMは、複合材の弾殻と、高密度の充填物〔セメントの粉と書かないところをみると、酸化鉄粉のようなもの? だがそれでは重くなりすぎるだろうから、やはりセラミックのマイクロ・ペレット/ウィスカーか? アルミ粉だと強力焼夷弾になっちまうだけだし、理想は水/氷を使うことか〕を組み合わすことで、衝撃爆圧の及ぶ半径を抑制する。
 要塞ではない一般的な建造物に投下して、その中に立て籠もっている敵ゲリラだけを爆殺し、建物はほとんど壊さない、というのがFLM開発のゴールである。※というか、その建物のすぐ近くに展開している味方歩兵に破片を当てないというのが目的でしょう。
 空軍は250発の FLMs を買っている。
 用途に応じて、500ポンドと250ポンドを選択できるようにしたいのだ。
 次。
 Mark Franchetti記者が2010-4-25に載っけているサンデイタイムズの記事「Doctors sterilise Uzbek women by stealth」。
 ウズベクでは病院が勝手に不妊化手術をする。初産のさいにconsentなしで、という実例あり。
 この命令は、20年間独裁している Islam Karimov から出ているという。目的は、貧困層人口を減らすこと。ウズベクは2800万人も人口があって、中央アジアでは最も人口密度が高い。
 国家の指導による不妊化手術は2003から大々的に始められた。
 2005にはいったん緩和された。猛反発されたので。
 しかし2010-2からまた再開。すべての医師は、月に最低2人の婦人に対して不妊手術を施せ、と。
 目標を達成できぬ医師には罰金その他が待っている。
 かくして2010-2から今日まで5000人の女がコンセントなしで不妊化手術された。
 具体的には、帝王切開のついでにやってしまうという。この噂が広まったので、産婦たちは敢えて自宅分娩を選好するようになっている。
 医師たちが、2人の子持ちの貧しい26歳のところへわざわざやってきて、病院に検査に来るように言い、卵管に嚢腫があるからすぐ手術しないと死ぬ、と脅かした。そして術後に、「不妊化手術したよ」と告げたケース。
 また、3人目の子供を帝王切開で産んだときに勝手に不妊化手術されたケース。※ウズベキスタン政府の方針としては多産家庭から狙い撃ちをしているのだろう。
 United Nations Committee Against Torture によれば、カリモフが権力を掌握してから、婦人平均生涯出産数は4.4児から2.5児に減ったと。
 カリモフは72歳だが、同国内の弾圧はすごいことになっている。国政を批判した2人の男が、イスラム・ゲリラのメンバーだとして逮捕され、熱湯をかけられ殺された。
 2005には Andijan で軍警が民衆に発砲。これを報じていらい、Sunday Times の記者は Uzbekistan には入国できない。
 カリモフ大統領には2人の娘がいる。若い方の Lola(31)は、ユネスコ大使であり、head of a children’s charity である。
 もうひとりの Gulnara(38)は、最近、駐スペイン大使になった。ハーヴァード大卒で、格闘技のエキスパートで、宝石デザイナーであり、多くの慈善団体を支援し、「ウズベクのプリンセス」と呼ばれている。
 ※世にトンデモの種は尽きまじ。
 次。
 ディフェンスニューズが2010-4-26に載せている「Michael Holm  President and CEO, Systematic」に対するインタビュー記事。
 デンマークには防衛企業は50社以上ある。
 Systematic社は、デンクーク最大手の、軍用ソフトの民間会社。
 設立は 1985 で、つくったのが Michael Holm である。最初は従業員は2人だった。今では450人だ。
 英国、米国、フィンランドに支社あり。
 米国主導の International Traffic in Arms Regulations [ITAR] にはガッカリしたね。
 F-35は3000機作られると考える。そのうちデンクーク空軍は40機を買う予定であったが、25機に減らされる可能性もある。
 ロックマートは明言。デンマークがF-35を買わなくとも、計画には何の支障もないのだ、と。
 2008以前には軍需のブームがあった。今は大不況。
 各国軍は、標準化された、リスクのない、特注品ではなく「出来合い(吊るし売り)」の低廉な兵器を、求めるようになっている。ソフトウェアでも。
 新ソフトの開発期間は3年以下をめざさないとダメだね。
 米国に武器を売るときは、米国企業と組まないとダメ。 Foreign Ownership, Control and Influence [FOCI] company は、米国では排除される。
 わが社の製品はデンマーク内でつくられているから、 ITAR-protected ではない。よって、対米輸出以外の輸出にはあまり制限がない。
 北極海の資源開発競争が予期されるので、グリーンランド(デンマーク領)の領海警備にこれからいくら予算をつけるべきかが、頭の痛い課題となるだろう。
 サーブ社にスウェーデン政府が資本を出しているわけではないが、サーブという会社はスウェーデン軍が製品を買うから成り立っている大企業だ。
 デンマークには、そのような〈親方政府〉な企業はひとつも存在しない。
 「joint Nordic defense procurement」は「遠すぎた橋」のようだ。
 デンマークは、英国の EH101 ヘリを選んだ。
  Norway, Finland and Sweden は NH-90 を選んだ。
 わが社の軍用センサーの技術はヘルスケア分野にも転用できる。たとえば絆創膏に使い捨てのセンサーを差し込んでおき、ワイヤレスで患者の状態をモニターするとかね。
 次。
 WILLIAM MATTHEWS 記者が2010-4-26に載っけている記事「Man-hunting Radar  VADER Is Latest Weapon in Fight Against Roadside Bombs」。
  高度25,000 feet の空の彼方から、夜中に道路に地雷を埋めに来るゲリラを見張る、対人レーダー。それがVADER。
  Northrop Grumman は開発に 18 months、実験に 22 ヶ月かけたよ。
 コンセプトとしては、Joint Surveillance Target Attack Radar System (JSTARS) と同じ。ノースロップはこいつは 1980s につくった。ただし見張る対象は敵軍の戦車やTEL/MELだった。
 米陸軍の Warrior drone にこいつを搭載すれば、36時間も空から連続して見張ってくれるのだ。その飛行高度が2万5000フィート。
 詳細をメーカーは語っていないが、JIEDDOによれば、合成開口レーダーであることは間違いなし。
 歩兵を探知できるだけではなく、「地雷を埋める」という行動をしている人物を特にあぶりだして注意喚起してくれる。
 そのソフトウェアは、機載である。地上処理ではない。
 モードは2つ。高解像度のスチル写真を合成開口レーダーで撮影する。
 もうひとつは、動いている人間をリアルタイム動画で捉え、その人物の位置をスクリーン上で強調してくれる。このモードでは、動くものならば、車両や動物や舟艇でも探知。
 レーダーの反射波に、ドップラー・シフトが生ずるので、動くものだけ、区別ができるのだ。※てことはノロノロと這って動けば見つからないわけだな。また、高反射形状の、その場で自転する「案山子」や、電動車椅子をたくさん放てば、囮となるわけだな。
 UAVがとらえたイメージは、地上に転送され、地上でモニターできる。その画像はモノクロだが、動く物については、ドットが画面にインポーズされて識別を助ける。
 VADER system はヘルファイアとほぼ同サイズのポッドに納まっている。
 つまり長さ約 5 feet だ。
 陸軍の Warrior UAV が吊下することができる。ウォリアは長さ 28-footで、ウィングスパンは 56-foot である。
 Special operations forces は、こいつを Hummingbird 無人ヘリ でも運用させたいと思っている。ハミングバードは滑走路は要らないのだが、燃費は良くないので、滞空時間はウォリアの半分だ。
 アフガンにおけるIEDの数は、2009-3には429個が報告されたが、2010-3には989個である。つまり増える一方。
 次。
 NYTに PAUL THEROUX 氏が2010-4-24に寄稿している「Troop Therapy」という記事。
 ボーイスカウトのリーダーが少年たちに対する性犯罪で摘発されたが、ボーイスカウト団体は基本的に良いものであり、宣伝したい。
 オレはボストン郊外のオタク少年だったが、リトルリーグなんぞには脇目もふらず、ボーイスカウト活動にいそしみ、いまではマッチョマンでライフセーバーの実績だってあるぜ。
 伝統的に、ホモセクシュアルと無神論は、ボーイスカウトでは禁止だった。 しかしそのような人々もとっくにメンバーになっていたのである。
 世の中には、11歳のホモ少年だっているんだ。差別しないでいれてやれ。
 米国では、ボーイスカウト団体は、少年たちに野外で銃(.22口径のライフルらしい)を撃たせてくれ、火を起こさせてくれ、夜営もさせてくれる。
 ここに入ると自然にネイティヴ・アメリカンを尊敬するようにもなる。


25日は「読書余論」の配信日です。

 米国の失業も深刻らしい。
 Steven Gray 記者による2010-4-24記事「Fixing Detroit: A Laboratory for Saving America’s Cities?」。
 デトロイトは米国で11番目に大きい街だが、予算の逼迫のため、この夏には公立学校の1/4を閉鎖する。
 ※学校の先生が失業すると、中産階層の崩壊とか騒がれそうだが、インターネット授業で代替できるような内容が多すぎるだろ。
 次。
 ストラテジーペイジの2010-4-20の無署名記事「Wonder Watch For Snipers」。
 弾道計算機つきデジタル腕時計が発売されたよ。
  “5.11 Field Ops Watch”という名で、値段は $240 だ。
 電池は1年以上もつ。
 ハンター向け商品だが、
 2009から米陸軍と海兵隊は、携帯型弾道計算機を供給。
 重さ 17 ounce のTrimble PDA type device で、ソフトは Horus Vision 製。値段は2000ドル。
 距離2000m以上での狙撃を可能にしてくれるものだ。
 Blue Tooth と WiFi も対応。
 使用する狙撃銃の型、的速計測、距離計測、風速などを反映して計算してくれる。
 前のデータも保存できる。
 The marines have ordered 1152, and the army 6500.
 だが多くの狙撃手はすでに個人で市販品を調達していた。
 たとえば a commercial PDA に CheyTac ballistic software を入れたもの。
 こいつは、Kestrel 4000 という、wind/temperature/atmospheric pressure sensorsを PDAにつなげて使う。
 これを使えば、人間くらいの面積の標的ならば2000mでの命中を期すことができる。
 銃につける照準スコープが、光学のみの非電気式であっても、対応する。
 もっと経済的な方法もある。わずか12ドルの BulletFlight software を、ショップで iPhone に入れてもらうのだ。そして狙撃銃のrail〔スコープなどを後付けできるマウント〕には25ドルの専用計測器を取り付ける。すると、こいつが、wind, temperature, humidity, altitude and barometric pressureを勝手に計測して入力してくれる。50ドルの iPod 専用保護ケース、それから150ドルの iPod Touch (8 gigabyte version)も必要だ。液晶画面に、キミの銃のスコープの目盛りをいくつ変更すればよいかが、表示される。ただし、キミの銃の型、それから発射する弾丸の重量は、前もってキミが入力せねばならない。
  iPod Touch の screen は輝度を最低に調節できるから、暗夜にキミが浮かび上がってしまう心配は少ない。300m以上離れた敵からはまず見えないだろう。※これは甘いね。敵もノクトビジョン付き双眼鏡ぐらい使うだろう。
 イラクやアフガンの米兵のために、IPods で使える言語翻訳ソフトもつくられている。
 次。
 ストラテジーページの2010-4-24記事「Pilots Shot Down By F-35s」。
 デンマークはジェット戦闘機のパイロットを新規に訓練することをやめてしまった。
 米国で訓練を受けるはずだった12名が、すでに職種転換。
 なんとなれば、48機のF-16を30機まで減らすことになったので。
 またデンマークの周りには特別脅威を感ずる隣国がないので、F-35でリプレイスするときには更に機数を減らしたい。
 戦闘機パイロットは、育てるのに5年かかる。その訓練費用は1人につき数百万ドル。
 F-35は自重27トンで、武装は、25ミリ機関砲と、機体内に収納される4発の空対空ミサイル(またはAAM×2+爆弾×2)。加えて、機外には4発の爆弾+2発のAAMも余計に吊るせる。兵装は総計で6.8トンまで。機外兵装がゼロの状態でのステルス性は高い。
 開発コストは当初見込みの3倍になっている。この調子だと、ぜんぶで5000機を製造すると考えた場合の単機のコストは、嵩んだ開発コストが均分で上乗せされるとして、$130 million になるだろう。
 総生産機数の6割が米国以外のユーザーへ売られるはずであったが、これほど単価が上昇しては、買わぬという国も出てくるだろう。
 イラクとアフガンでハッキリしたことは、精密誘導爆弾が進歩すればするほど、必要な飛行機の機数は減って行くということ。
 ※オランダとベルギーは小国ながらも過去の被侵略の歴史が重いのでF-16/F-35から「B61」水爆を運用するオプションは捨てられない。しかしデンマークやノルウェーなどになると、もう予測し得る将来、どこかの国から侵略されることなんてないと高をくくっているので、F-35の調達を止め、F-16の定数も減らす可能性があるでしょう。こんな調子で外国がF-35を買う機数を減らしていけば、その分、いま暴騰中の開発コストの上乗せ分担は、新参バイヤーの日本が肩代わりをせねばならなくなります。すると1機のF-35は、駆逐艦1隻よりも高額になってしまうでしょう。日本の空自のF-4の更新は、中古の米軍F-16のリース(プラス、リーパー級UAVの模倣コピー)でも十分すぎるくらいです。
 次。
 Noah Shachtman 記者の2010-4-23記事「Obama Revives Rumsfeld’s Missile Scheme, Risks Nuke War」。デンジャールーム。
 通常弾頭の戦略弾道ミサイルは、ラムズフェルド時代に発案されたものだが、こんなものをつくったらWWIIIではないか? なぜならその発射はロシアやシナからみて、ホンモノの核弾頭付き弾道弾と区別がつかないからだ。
 ※分かってませんねこの人は。だからこそ「De-MIRV」(全ICBMの単弾頭化)を米国だけが率先してやりますよとニュークリアポスチュアリビューで約束しているんじゃないか。その検証方法は新条約のプロトコルを読めば分かるが、ロシア人を十分に安心させるものである。米国の(直前に検証済みの)サイロからICBMがイランに向けて1基発射されてロシアの上を飛び越しても、それは単弾頭なのだから、ロシアは焦って反応する必要はない。
 この構想、ブッシュ(子)政権が何度も予算要求し、そのたびに議会が予算を拒否してきたという来歴がある。
 ただし、ラムズフェルドは、通常弾頭の運搬手段としてSLBMを使うことを提唱していたのだが、オバマ政権の“Prompt Global Strike” plan は、ICBMに切り替えた。※技術的にトライデントで不可能だからではなく、米国SLBMは基本MIRVな上に、一部を単弾頭化したり通常弾頭化してもそれをロシア人に信じさせることが難しいから、偶発核戦争の引き金になりかねないと判断されたのでしょう。精度的にはトライデントで十分なのです。
 次。
 TOBIN HARSHAW 記者の2010-4-23記事「Will Wall Street Be Saved by Porn?」。
 ワシントンのSECで金融機能の崩壊を阻止するための重大な責務と強大な捜査権をもたされている最上級職員が、1日に8時間もポルノサイトを閲覧し、ダウンロードに励んでいた。
 彼は、HDの空きスペースがなくなってしまうと、CDやDVDに焼くようになり、そのディスクが彼のオフィスの段ボール箱をいくつも満たしていた。
 ※高画質動画ならともかくも、スチルでHD一杯って、あり得るか? 要するに1点1点を選ばずに、サイト全部まるごとを片端から保存していたということなのか?
 この職員、画像検索に Google images を使っていたのだが、Sex とか Pornography という単語が入っているウェブサイトはSECの設定したフィルターで自動的に弾かれてしまうので(月に16000回の彼のアクセスがその機能によって弾かれていたという)、very graphic〔これは血みどろショッキング映像によく使われる形容詞〕と呼び換えて韜晦しようとしていた。
 ※なるほど、このフィルターがあるから、ひとつのエロサイトから別なフレンドリーなエロサイトへ、リンクでホッピングしていくブラウジングは不可能だったのか? だとすれば、ますます驚異的な忍耐力or集中力と評すしかない。
 この職員は14日間の停職中。
 SECには彼のクラスの高級局員は17人居り、その年俸は、 $222,418 である。
 以下、それについての読者の声。
 SEC職員を全員女にすれば解決さ。
 APによると、過去数年で、33人のSEC職員のポルノ閲覧疑惑の捜査があったらしい。
 こうした不良公務員を、米国政府はクビにすることはできず、ただ退職を促すことができるだけのようだ。


鎖鎌の謎について知りたき人は本日、都内の大書店に赴くべし。

 光人社NF文庫『地獄のⅩ島で米軍と戦い、あくまで持久する方法』は、今日あたりから都内書店の文庫コーナーに出ます。その最終章「忍者道具で戦争に勝てたか?」は、鎖鎌に関する薀蓄を傾け尽くしたものです。
 それにしても江戸の大名は南蛮から吹矢を輸入しているのに、どうして「ファイアー・ピストン」は輸入しなかったのだろう? 吹矢の筒を切削加工する過程で、ファイアー・ピストン(=ディーゼル・エンジン式点火具)の原理は必ず発見されたはずなのに……。
 次。
 KATE BRANNEN 記者が2010-4-23に載っけている記事「U.S. Army Asks to Cancel NLOS-LS」。
  Non-Line of Sight Launch System が、とうとう、評価の結果として、キャンセルされた。 Future Combat Systems programの一部として、 Raytheon and Lockheed MartinのJV会社が担当していた。
 このミサイルはNavy’s Littoral Combat Shipにも搭載が見込まれていた。
 2010-1-26~2-5の実射テストが悪い成績だった。6回のうち4回が外れた。
 これを改善させるためにさらに予算をつける(その場合、開発期間は1年以上延び、旅団戦闘団の近代化スケジュールに間に合わない)か、計画中止かを決める必要があった。
 陸軍の2011予算要求によれば、 Precision Attack Missile は1発 $466,000もする。レイセオンは3月、この単価を量産によって $198,000 に下げられると訴えていた。陸軍は 9,942 発を調達したかった。
 「高すぎますね」と Lt. Gen. Robert Lennox は4-15の上院 Armed Services air and land forces 小委員会で、議員の質問に答えた。
 米陸軍は、前線からの要求に即座に応じて車両上から発射し、目視できない位置にいる敵を、全天候下で撃破できるような弾薬を求めている。
 次。
 Jason Paur 記者による2010-4-23記事「Air Force Launches Secretive Space Plane; ‘We Don’t Know When It’s Coming Back’」。
 スペースシャトルをひきつぐ、すごい宇宙兵器がケープカナベラルからテスト打ち上げされた。
  Atlas V の頭部には、Air Force’s unmanned and reusable X-37B が。こいつは半世紀もかけて開発された。詳細はまったく明かされていない。
 空軍は X-37B はspace weaponではないし、 space-based drone to be used for spying or delivering weapons from orbit と釈明しているが。
  全長29 feet の X-37B は、Sシャトルのざっと1/4である。
 電池とsolar arrays〔ガリウム砒素らしい〕 を搭載しているので、軌道上で最長9ヶ月〔アレス・ブログによれば270日〕、作戦できる。
 Vandenberg Air Force Base in Californiaに自動着陸するのではないか。
  X-37 は SR-71みたいな一つの仕事しかできないものとは違う。
  ボーイングの Phantom Works が1990年代半ばに、NASA向けに設計。シャトルによっても打ち上げ得る、という構想だった。※マトリョーシカだね。
 それが2004に米軍に計画が移管された。
  前史あり。1960sに Air Force and Boeing は X-20 Dyna-Soar space planeを企画した。テスパイは Neil Armstrongだった。が 1963にキャンセルされた。
 従来の人工衛星よりも即応的に、かつ機動的に打ち上げて、重要関心箇所を偵察させることができる。※旧ソ連のコスモス偵察機みたいに早上げ可能というわけか。あきらかにイラン用だな。衛星よりもさらに低い高度を選べるからカメラは小さくて可い。しかも衛星と違って、空力機動を使えば、着陸前の最後の周回でもう一度、同じ上空を通ることもできるかもしれぬ。そして、ディエゴガルシアに着陸……。
 耐熱タイルは新世代のものを使用。
 最終的には、帰還から再打ち上げまでのインターバルを15日にまで短縮したい。
 2機目の X-37B は2011打ち上げ予定。
 ※アレス・ブログによれば、この打ち上げの1時間前に DARPAが HTV-2 を打ち上げ、マッハ20で大気圏を飛行させ、太平洋に降着させた。こっちは偵察用ではなく、地球の裏側を大急ぎで攻撃するための兵器らしい。次回テストは2011という。
 次。
 Jason Paur 記者が2010-4-22に載っけている記事「Navy Converts Biofuel Into Noise to Celebrate Earth Day」。
  22日にカメリナ由来のバイオ燃料をJP-5に半分混ぜた無改造のスーパーホーネットが45分飛んだが、6月までにこの種のテストがあと14回予定されている。そのなかには、バイオ燃料による初の超音速飛行も含まれる。
 3月に空軍は1機の A-10 を Eglin Air Force Base から飛ばした。その燃料は Camelina based biofuel と traditional jet fuelの混合である。※こっちは、JP-8ではなく「Jet A1」と混ぜたのか?
  F/A-18 E and F models にもこの blended biofuelsを試す。
 2009に Navy Secretary の Ray Mabus は計画公表。1空母艦隊を2012までにバイオ燃料でlocal operations に投入。さらに2016までには fully operational にする、と。
 次。
 Jeremy Hsu 記者が2010-4-23にまとめた記事「100-Year-Old Trick Squeezes Fiber Optic Speeds from Copper Wires」。
 2/3マイルまでの距離なら、銅線の電話線によっても DSL speeds を100 megabits per second (Mbps) にできることが立証された。
 これは光ファイバー・ケーブルの 50 Mbps speeds を凌ぐ。
 10年以内には、距離の制約もとれる見込み。
 基本原理は1886にJohn J. Carty(のちAT&T副社長)が提唱した。
 電話線は、「往き」と「帰り」の2本撚り線で1組である。
 カーティは、この撚り線の2組、すなわち計4本の線を駆使すれば、そこに三番目の信号を乗せてやることができると考えたのだ。すなわち1組を2本とも「往き」に、もう1組を2本とも「帰り」に使えば、区別ができようから。
  DSL vectoring というノイズ消しの技術も有用。
 複数本の銅線を bonding して単線のように用い、 bandwidth を拡充する技法も併用する。


この月末の泥棒対策には『予言 日支宗教戦争』をどうぞ。

  Kent Harris記者の2010-4-23記事「Ash has lingering effects on AF jets」。
  英国の Lakenheath基地の米空軍のF-15が8日間の地上待機をやめて22日に飛行再開。
 脅威だった高高度の灰が薄らいだため。
 しかし英国 Mildenhall の KC-135 はまだ飛行再開できていない。
 在独の Ramstein and Spangdahlem air basesでも22日に正常化。ただしアフガンやイラクとの往復フライトが多い Ramsteinでは、まだスペイン経由を選ぶこと多し。23日にはこれも元に戻す。
 Spangdahlem では A-10 and F-16 の training sorties を実施。
 F-16s at Aviano も22日夕方に飛行再開。
  Ramstein, Sembach and Kapaun 基地では、そこからの差出し郵便物を26日まで受け付けない。再開で大混雑のため。
 雑誌や電気商品のような雑貨はふだんから船便で米本土から欧州の基地へ送られている。
 次。
 サイエンスデイリーの2010-4-21記事「Researchers Create ‘Sound Bullets’: Highly Focused Acoustic Pulses Could Be Used as Sonic Scalpels and More」。
 音の弾丸ともいうべき、強力な音のパルスを物質中の一点へ精密集中させられる、非線形の音のレンズを大学の研究室がつくったよ。
 これは医療診断や非破壊検査に使える。
 レンズは21列×21行の、巾9.5ミリのステンレス球などから構成されている。
 Newton’s cradle という科学オモチャがある。横一線に相接するように並べて吊るした球列の端末に、振り子球の打撃を加えれば、列の反対側端末の球が弾かれて振り子式に横へ飛び出す。
 この仕組みを応用すると、 Solitary waves 、つまり後続波がともなわない、冒頭の振幅1往復だけで切断された音を発生させることができる。
 これは音の歪みを起こさせずに、きれいな波形のまま、強力に増幅させやすい。
 このような球列装置多数を、空間のある一点に収束する如く照準し、発生させた音が同時にその一点に届くようにする。
 将来、この集中音のパルスによって、人体の深いところの癌細胞を、非侵襲的に、外部から狙い撃ちに破壊できるようになる。※いま既にある結石破壊装置を、より研ぎ澄まそうというわけか。
 特定の細胞を高温化してやるという hyperthermia therapy 治療法にも、将来は、この音パルス集中銃を用いることができよう。この音はかなりのエネルギーを伝達でき、しかも極精密照準可能だから、隣接の健康細胞に対するコラテラル・ダメージはゼロなのだ。
 橋梁、船舶、航空機の構造に微小なヒビが入っていないか、非破壊的に検査するのにも使える。※X線よりは気易そうだ。
 次。
 ミリテクのStaff Writersによる2010-4-22記事「Boeing Team Supports Upcoming Biofuel-Powered Flight Of US Navy FA-18」。
 4-22は米国の「アース・デイ」なのて、海軍がデモする。
 メリーランドの Naval Air Station Patuxent River からはF-18が、カメリナ油とJP-5を半々に混ぜたバイオ燃料で飛んでみせる。
 ボーイングはまた、5機の民航機、4種のエンジンでも、バイオ燃料を試す。
 次。
 ストラテジー・ペイジの2010-4-22無署名記事「Why Leakers Are Never Identified」。
 米首都では、ほんらい秘密であるべき話をリークして報道をさせるという流儀は1900頃からみられる。
 そのうち6割は、「誰が違法なリークをしたのだ?」と捜査が始められることすらない。
 1995以降、リークをした廉で訴追にまで至っているのは、タッタの2件のみである。
 次。
 ストラテジーペイジの2010-4-22無署名記事「Troops Prefer Radio Shack」。
 4年前、国防総省は 135,000 portable GPS receivers を支給していた。いま、その数は over 200,000個 だが、将兵は依然として民用のGPSの方を選好している。
 歩兵にとっては、軽い方が有り難い。電池も民間機の方が長くもつ。
 過去4年で、米陸軍は、10万台以上の、 early 1990sから使っていた PLGR GPS 受信機を、新しい $2,300 するDAGR (Defense Advanced Global Positioning System Receiver) によって更新してきた。この新型の重さは、0.45 kgあるが、ちょうど a standard two-clip ammo pouch の中に入れておける寸法 (16.5×8.7×4cm)なのである。
  DAGR は、初回の現在地割り出しを、スイッチを入れてから60秒以内にしてくれる。バッテリーは12時間連続使用可能。
 もちろんアンチ・ジャミング機能あり。Precise Positioning Service (PPS)が使えるので。
 ただしイラクでもアフガンでも、歩兵がGPSジャミングされた例は一件も報告されていない。だから、兵隊たちは、もっと軽い市販品を携行し、DAGRは兵舎に置き去りにして出る。
 DAGR のディスプレイは 43×58mm である。
 nearly 40 inches of waterの耐水。
 陸軍は25万個の DAGRを発注したが、まだ古い PLGR も車載用としては役に立つ。米陸軍は、国外で作戦中のすべての車両に、GPS装置を載せる意向。
 1990~91の湾岸戦争が、米陸軍のGPSの使い始めだった。まだコンステレーションが完成していなかったため、夕刻の数時間はダメだったが、それ以外では、ハンディ受信機でも25m精度を得られた。
 砂漠ではこいつが命を救った。用意された地図は不正確で、しばしば兵隊を一層混乱させるだけであった。
 当時の装置は、SLGR (Small, Lightweight GPS Receiver, or “Slugger”) と呼ばれた。最も軽いものでも1kg近くあった。
 1991-2末までに、Some 4,500 GPS が湾岸の将兵に支給されている。そのときでも将兵は、市販の民用機を数百個、買っていた(親が買って送ったものもあり)。それは1台 $4,000 もしたのだが。
 2000年にはGPSの市販品は数百ドルになっていた。そして今では携帯電話の中に入っている。
 次。2010-4-22記事「Third Attempt To Replace The M-109」。
 半世紀使っているM-109自走155ミリ砲のリプレイスとして米陸軍は、 XM1203 NLOS-C を考えていたがこれは2009にキャンセルされた。
 今、検討されているのは PIM (Paladin Integrated Management program)だ。
 要するに、900両ある M109 Paladin self-propelled 155mm howitzersを、概略同じもののままアップグレードし、新造してもらったそのマイナーチェンジ品を、これから数十年、使おうというのだ。
 ただし、シャシには、 M-2 Bradley infantry vehicleを流用する。
 a new engine control system も採用する。
 また、XM1203 の半自動ランマー&閉鎖機も採用する。
 ただし自動装填にはしない。つまり砲側員は、装薬と90ポンドの砲弾を、あいかわらず腕力で取り扱う必要がある。
 ランマーさえ自動化すれば、人力で桿を押し込むのとは違って、薬室内の装薬の位置が、毎回、寸分たがわずピタリと同一になるので、燃焼特性がバラつかない。よって、精密修正狙撃が可能になるのである。
  NLOS-C は、8種類の戦闘車両をファミリー化する試みの第一号となるはずだったが、 FCS (Future Combat System) program そのものが議会にアピールせず、2009にキャンセルされてしまった。
 7年前の2002に、Crusader SPがキャンセルされたあと、半年で急いでツギハギ細工されたのが、 NLOS-C だったのだが……。
 クルセダーはM1戦車と同じエンジンを使い、自重45トンで全自動装填という贅沢なものであった。※これがラムズフェルドに拒否されたことでシンセキ陸軍参謀長の現役キャリアは終わり、退役軍人庁に転出した。
 初期試作のNLOS-C は Crusaderの autoloader を転用する予定だった。また hybrid-electric engine を使う予定だった。自重23トンで、たった2名によって乗り回される。(M-109は5名である。)
 しかしイラクの現実から防護力を強化した最終バージョンは、自重27 tonsに増えてしまった。
 車内には155ミリ砲弾×24発が即応分としてあり。
 2名でいったいどうやってメンテナンスや、24時間警備や休憩をするのか?
 これを解決するために、1両のXM1203自走砲に、複数個のチームを、車付兵として割当てる方式が考えられた。ここ数年、空軍のほとんどの飛行機と、海軍の一部の艦艇でも、この方式を導入して、24時間×1週間の不眠不休の連続作戦を可能にしているのだ。
 PIM は乗員4名となる
 NLOS-C は、GPS guided Excalibur shell が無意味化したのである。
 この魔法の砲弾は2年前から導入され、砲兵のすべてを変えてしまった。
 なにしろ、いままでの砲弾準備量の1~2割で、戦争ができるようになったのだ。
 対テロ作戦では、そもそも M-109 にすら出番は少ない。重宝しているのは、牽引式の軽量な M777 である。もちろん、 Excalibur shellを使う。
 PIM は数ヵ月後に試射を行なう。調達は 400 両以上だろう。 Excalibur shellのおかげで、古い M-109も寿命が延びるだろう。
 次。
 ナショナル・ディフェンスの2010-5月号、Grace V. Jean 記者の記事「Improvements to Discontinued Humvees May Last Another 20 Years 」。
   デビューから25年。 humvee は、その座席底鈑がフラットでIEDの爆圧に対して構造的に弱すぎるため、ますます兵隊から見捨てられつつあり。とはいえ数が厖大すぎて、すぐに装甲車では更新できない。
 そこで陸軍と海兵隊は、こいつが装甲車JLTVで完全更新されるまでのあと20年は、装甲強化で凌ぐつもり。
 ただしボルトで後付けする増加装甲は断りたい。重くなって走れなくなるのだ。
 海兵隊が、V字形断面の底板にしたものを、アバディーンでテストさせている最中だ。※アーチ・ダムと同じ理屈で、力の来る方へ彎曲していれば、面が凹ませられずに済む。「爆圧を逸らす」効果もある。確か1960年代のM48中戦車は、舟底型のhullではなかったか?
 V字底にして全体をモノコックのカプセルにする。これが軽量化と耐IEDを両立させるすぐれた方法である。ハンビーもこれにしなければならない。
 陸軍は、15万台の humvees をもっている。製造はインディアナに本社がある AM Generalだ。
 1/3は装甲が強化されている。
 1/3=6万台はrecapitalization待ち。※長期酷使後の大修理のことらしい。
 1/3は、経済的に使用できる限界寿命とされていた15年を超えている。
 陸軍は2011までに、新車の humvees の調達を打ち切る。
 fiscal year 2011 contingency operations budget の中で米陸軍はハンビーのrecapitalization用として $989 million を要求している。
 カプセル化は、同時に、燃料系を乗員区画と完全に分離する設計にできる。つまり、爆発で火災が生じても、乗員は焼き殺されない。
 最近のハンヴィーはアルミ・ボディである。※知らんかった……。
 溶接鋼板のモノコックなら、横転したときも潰れない。
 バッテリーも、カプセルの外(リア)に取り付ける。
 ディフェレンシャル・ギアなどのパワートレインが装甲で覆われることが放熱に悪影響を及ぼさないか、アバディーンで確認中。
 海兵隊は2020までに 25,000台の humvees を要求。
  5,500 両のJLTVsも買うが。


高田純先生、『核と刀』をご恵贈くださり有り難うございました。

 Jennifer Svan and Kent Harris記者による星条旗新聞の記事「Military resumes Europe flight operations」。
  アイスランドの灰を避けるため、欧州の米軍機は Naval Station Rota and Moron Air Base in Spain を南回り迂回路基地として利用している。
 ブルガリアでは今週から演習が始まるのだが……。
 Spangdahlem Air Base in Germany planned では米空軍は21日に2機の A-10 をとばしてテストをするつもり。
 northern Italyにある  F-16s at Aviano Air Base は20日から飛行再開。 英国の Lakenheath and Mildenhall はまだダメである。
 次。
 2010-4-20の記事「Gates Blasts Defense Export-Control Infrastructure, Vows to Streamline」。
 できれば武器輸出は、 a single licensing agency に決めさせるようにしたい。※これを日本でやろうとすれば、MDで省益利権を拡大できた外務省が猛反対してすぐ潰すだろうね。
 それは重要技術を敵国はもちろん同盟国にも渡さずに米国の優越を維持するためにも必要なのだ。
 ちょっと前の実例だが、英軍所有のC-17がオーストラリアで何時間も足止めされたことがあった。というのはオーストラリア軍がC-17を修理するためにはまず米国にその許可をとってからでなければいけないと米国の法律が定めていたからだ。
 英や濠のような、米国にとってのすぐれた同盟国に、なんでそんな面倒な規制をかける必要があるんだ? ――とゲイツ。
 次。
 Noah Shachtman 記者の2010-4-19記事「Seeing Tongue, Spray-On Skin, Transplanted Hand: Top Officer Encounters Military’s Extreme Medicine Wing」。
 傷痍軍人に対する再生治療の最前線がすごいことになっている。
 スプレー・ガンで幹細胞や表皮復活元種細胞の溶液を噴霧すれば、腕一本分の火傷跡も再生する。
 1950年代に海軍で両眼を失明していたシュルツ老人は、サングラス型の集光メガネからのデジタル信号を脳の視覚領野まで特殊な回線で接続するという手術により、このたび、おぼろげな視力を復活した。明暗や、セメントと煉瓦の違い、芝生と舗装道路の違いならば、識別ができるようになった。
 2007にイラクで訓練中に右腕を失った兵隊に、 a cadaver【解剖用の死体】からとった右腕をくっつけたら、治ったぜ! ※フランケンシュタインかよ!
 これにはとうぜん、免疫抑制剤カクテルの投薬が必要である。9ヶ月にして、患者マロニーは、TVゲーム機をいじれるまでに復活した。