「まあ座れ」党に、一票!

 これからマヌケな質問をするので、詳しい人は答えを教えて欲しい。
 NYTのEditorial欄、2010-4-6付けアップの「Mr. Obama’s Nuclear Policy」という記事によると、げんざい米軍は500の戦術核兵器(弾頭とは書いてない)を保有している。そして、対するロシアは3000以上の戦術核兵器(弾頭とは書いてない)を保有している――とある。
 また、同記事にもあるけれども、現在、米露両国は、戦術と戦略あわせて2万発以上の核弾頭をもっているとされる。そして、2010-4-8のプラハ調印では、配備されている戦略核弾頭の数を、双方、いまの 2,200 発から 1,550発に減らす。これは、NYTでなくとも、他の報道でも皆、同じことが書いてある。
 さて、そこで試みに、2万発から、現在の米露の戦略核弾頭数だという「2200発×2国」(=4400発)を引いてみると、15600発となるだろう。
 その15600発からまた、現在の米露の戦術核弾頭数と思われる「500発+3000発」(=3500発)を引くと、12100という数字が残ってしまう。
 この、米露あわせて12100(発?)という、「戦略核でも戦術核でもない現有の核弾頭(核兵器?)」は、いったいぜんたい、どんな形でどこに存在しているのか? 工場や倉庫の中の、すぐには使えない「素材」「部品」あるいは「中古保管品」のような形なのだろうか?
 次。
 おなじみネイサン・ホッジ記者の2010-4-7アップ「Nuclear Upgrade for the Pentagon’s Gajillion-Dollar F…」。
 米政府は、F-35に核兵器を運用させるという計画を公表した。
 今回のリビュー、ふだんめったに議論しない核抑止部門に照明を当てた。
 すなわち、欧州に配備している戦術核兵器だ。
 ゲイツは6日、これらの戦術核はNATOの重要な防盾として残される、と言った。
 ただしその数量はこれから考えなくちゃならん、とも。
 その非戦略的核兵器のひとつが、「B-61」である。これはイールド可変式なのだ。
 そしてリビューによると、米空軍は、この投下式核爆弾の兵器としての寿命を最大に延ばし、F-35から運用できるようにする計画であるという。
 またリビューいわく、米空軍は、F-16のように、通常爆弾も核爆弾も運搬できる「dual-capable fighter」を、F-16の退役後も持ち続けたい。すなわちF-16の後継機であるF-35にもそれをさせたいのだ、と。
 げんざい、F-35は、完成が遅れ、開発コストがみるみる膨れ上がっており、かつまた、量産と配備までのスケジュールも、遅れに遅れそうである。
  2015までに米空軍はそれを戦力化できそうにはない。ほんらい2013には初配備のはずだったのに……。
 『Inside Defense』 (subscription only) が4-6に報じたところでは、ペンタゴンは連邦議会に対して、F-35の納入単価が、 $158.1 million にまで高騰し、新記録を塗り替えそうだと4-1に通知したらしい。
 次。
 DAVID E. SANGER and THOM SHANKER記者が2010-4-6にアップしている「Obama’s Nuclear Strategy Intended as a Message」。
 50ページからなる“Nuclear Posture Review”でいわく。
 冷戦時代から引き継いだ核兵器は、自爆テロリストや、核武装を目指す非友好的体制に対して 適当なaddress【構え】にならない、と。
 イランと北鮮に対しては “outliers”【離層、戸外に寝る人】 と呼び、ブッシュ時代のような “rogue states”とは言わず。
 これすなわち、今後の態度によっては核のターゲットから外してやってもよいぞよ、というメッセージを込めている。
 非核国が、化学兵器、生物兵器、サイバー兵器をもっていても良いが、ルールに従わずにそれを使うなら、または、拡散をさせるなら、米国は all options are on the table である。
 拡散しようとする国には、核報復もあり得る。“The message we’re sending here,” he said, was that countries that “actively pursue a proliferation agenda” would not be immune from any form of American retaliation, including nuclear.
 しかしもしNYでバックパック核爆弾が炸裂し、その兵器DNAから原材料国を特定できるとして、それに対する「核報復」をどこにするのか? 絶対確実に犯人を証明できないなら、核報復などできまい、と。
 次。
 Jeremy Hsu 記者による2010-4-7アップ「Air Force Calls for Reusable Booster Vehicles for Military Space Planes」。
 宇宙飛行機を打ち上げると、180度ターンして無人操縦で発射基地近くに戻り、滑走路に着陸するという、再使用可能な、有翼の宇宙ブースターを、空軍は、今年から開発する。
 この Reusable Booster System (RBS)は、プロジェクト名Pathfinder である。
 戻るとき、ただの滑空にするか、ジェットエンジン等を使うかは、未定。
 2035までには実用化したい。
 類似のモノのテストが4-19に打ち上げられる予定の Boeing X-37B だ。こいつは、宇宙軌道飛行機も、再使用型ブースターも、どっちも、戻ってくる予定。
 もちろん、とうぶんは Atlas または Delta rockets が打ち上げ機であり続ける。
 次。
 2010-4-6の記事「France Backs Away From The Chinese Threat」。
 インドと米国は圧力をかけ、フランスがパキスタン軍のF-17戦闘機用に進歩したレーダーや電子装備を供給せぬようにさせた。
 米国の懸念は、パキに供与されるフランスの技術が、すべてシナへ渡って、シナがコピー品を作って世界に拡散させるであろうこと。
 パキは軍事技術情報を第三国に洩らさないという約束を破ることで悪名高い。
 インドはフランス兵器の大得意先なので、インドの要請をフランスは蹴ることは不可能だった。
 パキはシナからさらに42機の JF-17 を追加で輸入するつもりだ。その単価は、 $14.3 million である。
 この飛行機はパキ国内でも組み立てられており、やがては1機が $12 million にコストダウンするであろう。なお、エンジンはロシア製の輸入(MiG-29と同じRD-93エンジン)。他の主要部品はシナ製 FC-1 の輸入。
 古いMiG-21や Mirage IIIをリプレイスしたがっている国々にとって、この価格は魅力的だ。
 パキが最初にJF-17 を買ったのは3年前。
 シナはこの機体を Super 7 fighter として20年間も開発してきた。ロシアがカネが無くなって途中でブン投げた「MiG-33」プロジェクトを引き継いだものだ。
 13トンの JF-17 は、むかしパキに売られたF-16とは互角だろうが、最新のF-16の性能にくらべると8割ほどの性能だろう。
 JF-17 は 3.6トンの兵装を搭載できる。空戦任務よりも爆撃任務向きの機体。
 作戦半径は 1,300 kmである。
 シナはすでに J-10 があるので、自国軍用としては採用してない。
 次。
 2010-4-7の記事「Forbidden Weapons Won’t Go Away」。
 対人地雷は 1999 Ottawa Convention で多くの国が放棄したが、いまだに毎年5000人以上がひっかかっている。
 うち2割は死亡する。被害者の9割は男性である。
 被害者の1/3は、警察官もしくは軍人である。
 オタワの合意に加わっていない国が製造した地雷や、ゲリラの手製地雷が使われている。
 1999合意から数年以内で、15カ国以上が、 over 25 million landminesを処分した。※日本の場合は海洋投棄したと聞いている。白老の弾薬庫の人にかつて取材して聞いたところでは。
 the largest manufacturers of land mines は、 Russia and China である。この2国はオタワ合意に署名していない。
 シナ製地雷は世界の闇市場で入手可能になっている。
 China is believed to have a stockpile of over a hundred million land mines (mostly anti-personnel). その中から、古くなって廃用する寸前の物が、市場に出回り、1個5~10ドルで売られるのだ。
 コロンビアでは左翼ゲリラが、社会主義独裁政権をつくろうとして40年間も活動している。そして対人地雷をしかけまくっている。シンパでない市民に対しても使っている。
 ゲリラたちはシナ製中古地雷すら買えないので、手製地雷を作っている。だいたい1個3ドル未満でできる。そのつくりかたはインターネットで調べれば誰でも知ることができる。
 コロンビアでは対車両用の大型手製地雷も増えてきた。泥道で、乗客満載のバスが、それにひっかかるようになるだろう。よってコロンビアでの地雷犠牲者は、今年から急増すると予想されている。
 次。
 2010-4-6の記事「Tanks In Afghanistan」。
 カナダとデンマークは、数十両の Leopard II tanks をアフガンに持ち込んでいる。
 こいつの120ミリ砲は、タリバンの砦をぶっこわすのに最適だぜ。IEDにも強いしね。
 装輪装甲車の護衛にも活躍する。
 しかるに米軍はアフガンに戦車を持ち込んでいない。Despite those advantages, the United States did not bring in tanks ※うかつにも知りませんでした。


新入生諸君、「読書余論」を申し込もう!

 まずNathan Hodge記者の2010-4- 6記事「Nuke Review: Deploying, De-MIRVing, and De-Targeting」。
 なんと、すべての米国のICBMは、単弾頭化される。
 ※これが、ロシアに対し、もう先制攻撃はしかけませんという、この上ない約束になる。もし1本が偶発発射されても、ロシア側は冷静に見守ることができる。と同時にこれは、もはや米国のICBMサイロが外国からの先制攻撃で芟除されるような事態はありえなくなったという米国の大自信の表明だ。ちなみに、弾頭を単発化すると、ミッドコースのバスの仕事も単純化されるので、命中率と信頼性は極限まで向上するだろうと考えられます。
 もし許可のない、または事故によるICBMまたはSLBMの発射が起きた場合には、それは必ず大洋中に落下するようにプログラム中である。ICBMの場合は、それは北極海だ。
 米国はヨーロッパ域に、戦略兵器ではない核兵器をいくつか、前方展開しておきたい。それは少数だけ残すであろう、とリビューは書いている。
 重爆撃機からだけではなく、戦術用戦闘攻撃機からも運用できる核兵器を前方展開する能力も残すべし。同時に、「B-61」核爆弾の現役年数を極限まで延ばすべし。
 関連して。
 Stuart Fox記者の2010-4-6記事「In Sharp Turn, Obama’s New Nuclear Strategy Ends U.S. Warhead Development」。
 化学兵器や生物兵器で攻撃されても、その敵国が核武装していない場合は、米国は核による報復や反撃はしないという、新たなガイダンスが公表された。
 しかし例外とするものいくつかある。敵が、今日存在しない、遺伝子工学を使った将来型の生物兵器を使った場合。または、ならず者国家である場合。※するとベネズエラはヤバそうだな(w)。
 前のブッシュ(子)大統領が開発させたがっていた、イランや北鮮に対する外科手術的先制核攻撃に用いることのできる特殊な地下侵徹式マイクロ・ニューク弾頭の開発は、これで、なくなった。
 その代わり、すでに保有している米軍の核弾頭の機能を永く保たせるための研究にはカネをつぎこむ。
 次。
 Bettina H. Chavanne記者による2010-4-6記事「Pentagon Rolls Out Nuclear Posture Review」。
 核兵器の開発よりも、原発インフラに巨費を投ぜよという米国の大方針が明瞭に打ち出されたのである。2011予算では、$5 billion もが、ペンタゴンからDOE(エネルギー省)へ移される。
 エネルギー省の、核非拡散のための予算も増やされる。
 New Strategic Arms Reduction Treaty (New START)は、米国の兵器庫から、 Tomahawk(nuclear-equipped, sea-launched cruise missile)を抹消させる。
 次。
 Lisa M. Novak記者の2010-4-7記事「Navy considers smoking ban aboard submarines」。
 何ヶ月も艦内の循環空気を吸わねばならぬ乗員の健康のため、艦内での完全禁煙に踏み切るか。
 ペンタゴンの2008調査によると、軍人喫煙率は2002には34%だったが、2008には31%である。
 非喫煙者がその煙でどのくらい害を受けるかどうかも米海軍は調査したが結果は未公表である。
 2005の海軍方針のよると、軍艦内の喫煙室は換気を良好にし、見張り所から遠いところに設けなければならない。寝台室、食堂、休憩室、体育室を喫煙可能な場所としてはならない。換気能力を超えぬ人数しか同時に利用させてはならない。
 スモーカーは、タバコが手に入らなくなったら、何でもする。ある潜水艦乗りは、1箱を60ドルで戦友から買っていた。頭の良い水兵は、大量に買い込んでから乗艦する。
 次。
 JOHN REED記者による2010-4-5記事「DoD Report: Other Countries Leveling Space Playing Field」。
 これから通信衛星の世界的な需要と供給が増す。すると使える周波数帯が制約されるようになるだろう。電波の出力や、カバーする地表域が、制限されるようになるだろう。
 次。
 Amy Butler記者による2010-4-6記事「GBI Test Failure Result Of Two Problems」。
 2010-1-31の迎撃実験失敗の原因が2つあったと判明した。
 第一原因は、標的ロケットLV-2(古くなったトライデントC-4ブースターを転用したもの)がマーシャル群島の Kwajalein Atoll から 3:40 PSTに発射されたときに、chuffing を起こしたこと。
 チャフィングとは、自動車エンジンがバスンバスンと息をつく音を模した名詞だ。
 今回の場合、固体燃料の燃焼速度・燃焼圧が変化してしまったのだ。
 古い固体ロケットではよくあること。なにしろ LV-2 に転用している Trident C4 boosters は、製造してから25~35年も経過しているのだ。
 チャフィングは、あり得ることとして織り込み済みの現象のはずであったが、今回は、標的の複雑なチャフィングのために、SBX(Sea-Based X-band radar)のボーイングの予測ソフトウェアがパンクしてしまったのだ。
 SBXは、標的ロケットの筒体、ノーズコーン、囮、弾頭、その他一切を同時に視野にとらえていなくてはならない。すべてを計算しなくてはならないのだ。
 今回は、標的のチャフィングを無視するアルゴリズムが働かなかったと反省されている。
 ※てことは速度がブースト途中で何度も変わる「ムダに多段式」BMをつくれば、ミッドコースで迎撃不可能ってことだな?
 第二の原因。
 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) の機能不全。
 あきらかに、〔複数ついているうちの〕1個のスラスターが機械的故障を起こしていた。コネクターが不良品だったのだと思われる。
 次。
 RIA NovostiのТарас Литвиненко記者の2010-4-3記事「Russia’s Black Sea Fleet may lose all warships by 2015」。
 黒海艦隊の主要な艦艇は艦齢30年を超えており、2015までに戦力としては消滅するであろう。
 すでに艦底が錆びて穴が開きかかっている状態。
 1982建造のディーゼル潜水艦×1、その他が、さいきん除籍されている。
 当面、新顔艦艇が黒海艦隊に入るという計画はない。年々、減る一方。
 ロシアは「20380計画」型コルヴェット艦を大量生産すべきである。これはバルト海と黒海で、沖合いの油井、ガス油井や油送船を守るために特に設計された艦である。
 すでにその第一艦は2008-10にバルチック艦隊に所属した。第二艦も進水しており、第三、第四艦は建造中である。
 しかし、造船所の能力に余裕がなく、これを大量生産できない。
 どこも、何年も先まで、外国から受注したフネの予定で一杯なのだ。熟練工が他にいるわけでもないから、能力の急拡大は無理。
 希望は、ウクライナの造船所でつくったもらうことだ、と。
 次。
 ディフェンスニューズの Vago Muradian 記者が、シンガポールの国防相 Teo Chee Hean氏にインタビューしている2010-4-5記事。
 氏は、元海軍長官であり、2003から現職。
 同国は、1年前から軍医を中心にアフガンに将兵40名を派し、ソマリア沖では海賊討伐戦に参加中。
 ゲイツはアジアに年に1回は来ている。
 現在のシンガポールの国防費は about 4.5 percent of GDPだ。
  G550 という早期警戒機もつくった。
  Terrex という歩兵戦闘車もつくった。
 グローバルホークを買うか、もしくはシンガポール内の基地に受け入れるつもりは?
 ――可能性は否定しない。
 ※朝雲新聞で、先月下旬に都内でグロホの実物大模型展示があったと知りました。水面下でそうとう話が進んでいるのか。
 古くなっているはずの フォッカー哨戒機は、無人機または有人機で更新するつもりか?
 ――更新はせねばならない。機種は未定。
  F-15SG の導入中だが、F-35の評価もせねばならない。
 アフリカの角での海賊退治で学んだこと。協同作戦が必要であること。沖合いだけでなく、沿岸の陸地を攻略せねばならない。敵は陸上を拠点に活動しているのだから。
 シンガポールの国防費は米ドルにして $8.2 billionである。
 国軍は、常備5万5000人だが、即応30万人動員できる。
 次。
 AFPの2010-4-5報道。「U.S. Warns Venezuela On Weapon Proliferation」。
 ワシントンはベネズエラのチャヴェスに詰問した。「おまえ、ロシアから top five billion dollars もの大量の兵器を買って、ラ米の周辺国に拡散させる気だろ?」
  Chavez は、隣国(仮想敵国) Colombia の麻薬ゲリラ組織に武器を渡している――と米国から非難されている。
 スペインの裁判所は、ヴェネズエラ政府がスペイン国内で、コロンビアのFARC rebels 、およびバスク分離運動集団 ETA による、コロンビア政府高官たち(President Alvaro Uribeを含む)を暗殺せんとする計画を幇助した――と主張している。
 2009にも米国政府は、ヴェネズエラがなんでロシアと宇宙事業で協同しようとするのかと問うた。ヴェネズエラは産油国なのに、国内での電力供給すら満足にはできていないのだ。
 次。
 Jeremy Hsu記者の2010-4-5記事「 Process That Converts Cotton to Boron Carbide Cou……」
 ボロンカーバイドは防弾着の挿入プレートや戦車装甲として既に使われているが、ついに、それを繊維(ナノワイヤー)化してTシャツにできるようになった。
 自動車や飛行機の材料になる日も遠くない。
 木綿のTシャツを、ボロン粉末とニッケル触媒の溶液に浸し、燃えてしまうのをアルゴンで防ぎつつ摂氏1100度に加熱してやる。
 すると木綿繊維が炭素繊維になり、さらにボロン・カーバイドに変わる。
 この繊維は紫外線も遮断してくれる。
 次。
  Clay Dillow記者の2010-4-6記事「 Solving the Mystery of the Green LED For Pure, Efficient White Light」。
 いままで、赤と青のLEDはあった。が、緑のLEDがなかった。それができた。gallium nitride に indium を混ぜたらグリーンができた。
 これにより三原色がぜんぶ揃った。さらに研究を進めて、10年以内に、白色照明を革命的に低廉にしたい。
 次。
 Matthew Cox記者の2010-4-5記事「Marksmanship changes to prep GIs for war zone」。
 米陸軍は、正確な狙撃だけ重視してきた従来の小銃教育を変更する。もっとたくさんタマを発射し、ジャムをすぐに直し、弾倉を確実に交換できるような訓練到達目標に変える。それが今日の戦闘では死活的だからだ。
 いままで兵隊の小銃検定は、40個のポップアップ標的に40発発射して23発が当たったらマークスマンに認定していた。
 これをどう改めたか?
 まず射撃位置は、バリケードの背後から、とする。
  reload がすばやく確実にできるか、を見る。
 すぐに move in a tactical setting できるか。
 そして、標的が倒れるまで、発射し続けなければならない。shoot until the targets are “dead.”
 こんご、Benning 基地では、歩兵の新兵は730発、非歩兵の新兵は500発射つことになる。従来は 300 発くらいであった。
 冷戦期いらいの歩兵射撃訓練メニューは、〈友軍は、圧倒的な数の敵から攻勢を仕掛けられる〉という対ソ戦のシナリオを想定し続けていた。これを見直さねばならぬと、2007年から検討が始められていた。
 .223のタマ1発ではアフガン人は死なないことが8年の経験でハッキリした。2発以上当てねばならない。
 小銃兵には、複雑化した照準器材のゼロ規正ができるスキルも要求される。


善通寺の駐屯地跡はどうなっちゃうのか、知りたいんですけど。

 ナショナルディフェンスの4月号が充実していた。
 まず Sandra I. Erwin 記者の「How Much Does the Pentagon Pay for a Gallon of Gas? 」から見て見ましょう。
  Defense Logistics Agency は、軍用燃料を、 $2.82 per gallon で買っている。しかし、平時でも海外に船舶で燃料を輸送すると、その給油時の油価はガロンあたり13ドルとなる。
 空中給油機で給油する燃料は、ガロンあたり42ドル。
 陸軍が有事に戦域で部隊に給油するとなると、なんと100~600ドルになる。
 ヘリで運べば、1ガロンが400ドルだ。
 じつはペンタゴンは、「fully burdened cost of fuel= FBCF」の算出法を決めていない。
 この問題は、2008年に原油1バレルが140ドルに跳ね上がったとき、ようやく認識された。
  DSB studies はペンタゴンに、何か兵器を買うかどうか決める前に、その兵器がいかほどのエネルギー消費を要するものであるのかを、考えるべきであると提唱。
 ある作戦の終了までに必要な燃料コスト次第では、その作戦の完遂が不可能になってしまうからだ。
 イラクのゲリラがIEDでタンクローリーのコンヴォイを狙うという戦法を発明したことにより、米軍が将来のある戦争の勝利のために不可欠とする燃料量は、予想のできないほどに大きくなってしまった。※WWIIで油槽船を狙われた日本軍みたいなもんだ。
 いまや米軍は、前線までの燃料の配送をゲリラのIEDから護衛させるためにだけ、やたらに余計に兵員や装備を増派しなければならない。
 在イラクの米軍指揮官たちは2006に、指揮下の部隊を「燃料の呪縛」から解放して欲しいと国防総省に懇請するようになった。
 〈戦争をするのに、南極大陸の次に不便な土地は、アフガニスタンだよ〉とアシュトン・カーターはこぼす。燃料だけでなく、何を運ぶのにも、インフラが未整備なので。
 飛行場も道路も、イラクとは桁違いに低密度にしか存在しない。しかも海港がなく、土地は平らではないのだ。
 ※もっと不便なヒマラヤで中共軍はインド軍に勝利しているではないか。先に道路をつくらないからこういうことになるのだ。
 国防総省が買っているエネルギーの75%は、作戦と輸送のために消費されている。
 国防総省は毎日、30万バレルの石油を消費する。それは米国全体の1日消費量2100万バレルの、約1.5%に相当している。
 伝統的に国防総省は、石油や電力を、ありふれた安いものとみなしてきた。なにしろ米軍の後方組織は装備が充実し人はプロ揃いだったから。
 兵器調達の決定には 「energy KPP(=key performance parameter)」の概念を導入すべし。つまり兵器が要求するエネルギー・コストをこれまで以上に重視せねばならぬ。
 燃料補給部隊の護衛は、将来最大のカネ喰い要因となる。
 海兵隊の Gen. James Conway は、 DSB reportを引用して、アフガンでは燃料が $400 a gallon だという見積もりを語った。※この記事を読んでやっと気付きました。海兵隊がアフガンの車両にJP-4を使っているのではなく、海兵隊の将軍が引用した資料が、なぜかJP-4についてだけ言及していたのでしょう。しかし他の米国の資料では、海兵隊がその所属飛行機にJP-4を給油していると読めるものもあります。ひきつづき、調べてみます。
 取材によると、アフガンでの燃料コストは1ガロン400ドルよりは低そうだ。現在、陸軍が、正確な燃料コスト算定をしている最中である。
 ある兵器を買うと決める際には、それによって補給の手間・面倒・継続コストがどれほど増すことになるのかかについてアカウンタブルでなくてはならない。
 国防総省が消費する燃料の半分は、空軍のジェット燃料である、と海軍の男が言う。ただし、海軍機は空中補給をしばしば空軍のタンカーから受けてるんだけどね。その海軍機が消費した燃料は、帳簿上は、空軍が消費したことになってしまう。
 陸軍いわく。同じ車両でも、誰が運転兵かによって、消費燃料がぜんぜん違ってしまう。新兵よりも、操縦のうまい老兵は、35%も燃料を節約してくれることが分かっている。
 前の国防総省の燃料担当者だった Paul Bollinger 氏いわく、〈国内の代替燃料の生産者と長期の契約を結ぶことのできる政府の窓口をつくるべし〉と。
 海兵隊は、ヴァージニア州のクアンティコ基地内に「experimental forward operating base」をこしらえて、業者にいろいろな新案を持ち込ませて展示した。
 1個中隊規模の基地。そのエネルギーと水の需要をどう満たしてやれるかという試み。
 次。
 Sandra I. Erwin 記者の「Marines Take Unusual Steps to Reduce Fuel Demand 」。
 アフガンでは海兵隊員は1人あたり毎日20ガロンの水を必要とする。
 前線の小部隊の基地が自給自足できる発電機と浄水器をつくってくれ、と海兵隊の Gen. James T. Conway が要求したのは2009のことだった。
 さっそく、Marine Corps Warfighting Laboratory が、 Quantico, Va.の海兵隊基地に、アフガンの前哨基地を模倣した試験場をつくった。
 そこに、頼まれたメーカーが、ソーラーパネルや風力発電装置、浄水器などを設置した。そして3週間、デモンストレーション。
 海兵隊の要求は切実であり、ペンタゴンの正規調達ルートではなく、今すぐ、じかに、こうした設備を買い付けたがっている。
 〈すでに軍隊には、軽油、ガソリン、ジェット燃料で動く発電機がたくさんあるのに、どうしてソーラーユニットのために $50,000 も支出する必要がある?〉――という疑問は、石油がいままでのように安いという兵隊の誤認に基づいているから、司令官はその誤認を改めさせるべし。
 コロラドの研究者Lovinsいわく。典型的な米海兵隊の戦闘旅団は、「more than a half-million gallons」の燃料を毎日必要とし、その大部分は発電用途なのである、と。
 1台の典型的な 60キロワット発電機は、毎時 4~5ガロンを燃やす。その燃費は1年では $700,000 となる(アフガニスタン現地における算定油価である1ガロン= $17.44 をあてはめた場合)。
 アフガンの前哨基地1箇所にある複数の発電機に1年間給油すると、 more than $34 million となる計算なのだ。
 海兵隊員は、背中に担げるか、ハンヴィーで牽引できるか、ヘリでスリングできるモノ以外には、頼りたくないと思っている。
 そこで、アリゾナの  NEST Energy Systems社いわく。「hybrid power trailer」を提案しますよ。これなら海兵隊さんの発電費用は40~70%も節約できまっせ。太陽光も風も利用できるシステム。しかも基地の既存の発電機につないでおくと、電力の需要のないときにはその発電機を自動で停止させます。再スタートも自動でしますよ。
 今まで、発電機が、基地の電力需要に関係なく、24時間回りっぱなしというのがよくないのです、と会社の者。
 重さ 4,500 pounds なのでハンヴィーで牽引できまっせ。
 元海兵隊員で、今は 加州のShift Power Solutions of Encinitas社の者いわく。逆浸透膜の浄水器で 2,500 gallons a day 可能です、と。
 しかもシステムはスーツケース4個分のサイズ。
 次。
 Austin Wright 記者の「Non-Metal Structure Lightens Military Truck 」。
 軍用車両の車体全部を非金属の複合素材で構成するという実験。すでに実車の走行試験中で、6月には評価が下される。
 アリゾナのTPIコンポジット社。車体が軽くなれば燃料消費も減るだろう、と。必要とあらば、増加装甲を後付けできる。
 複合材は、ファイバーグラス、炭素繊維、バルサ木材、そしてレシン樹脂の混合。※燃えるな、こりゃ。
 複合素材の値段は、鋼鉄製よりも高い。
 この実験車両の開発資金を出したのは、米陸軍の「Tank-automotive and Armaments Command Life Cycle Management Command」である。
 次。
 Grace V. Jean 記者の「Making Metals Lighter, But Stronger Than Steel」。
 スチールよりも軽いアルミやマグネシウム合金で軍用トラックはつくれないものか? ネックは、強度を追求する場合、鋳込み成型したり、部品に加工するのに、スチールより手間がかかりすぎることだった。
 University of Wisconsin-Madison の Xiaochun Li 教授は、溶けた合金の中に微小なセラミック粒子を混ぜ、鋳物の強度を2倍にする、簡単な方法を発見した。
 ポリマーやプラスチックでやっていたことを、金属でもやるというわけだが、これまでの問題は、溶けた金属の中では粒子(赤血球よりも小さい)同士がくっつきあってしまい、まんべんなく拡散してはくれぬことであった。
 それを、毎秒2万サイクルの超音波で cavitation のあぶくを発生させることにより、みごとに解決。あぶくが崩壊する時に生ずる衝撃波を利用するわけだ。
 溶解金属中にあらかじめこのような粒子を混ぜてしまうと、湯流れが悪くなって、鋳物はつくりにくくなる。従来なら、攪拌鋳造【stir casting】という特殊設備が必要だった。
 だが、これからは、まず粒子抜きで流し込んでしまい、そのあとから粒子を追加投入して、超音波を照射すればよくなるのだ。
 研究室では、重さ2ポンドのインゴットをつくったところだ。
 研究室は国庫補助も受けたし、オシュコシュ社とも協同中。
 粒子を混ぜた特殊鋳物が固まった後でドリル加工しようとしても、刃は立たない。しかし、新しい手法によれば、ドリル加工を予定する部位にのみ、粒子をまぜないようにすることもできる。
 次。
 「Mini-Robot Employs Fiery Darts to Neutralize IEDs」という記事。
 イスラエルのメーカーRafaelがつくった。
 鉛筆サイズの小型焼夷ロケットにより、70mくらい離れたところからIEDを破壊処理してしまう。弾頭は爆発性ではないので、そこから破片は飛び散らない。このロケットは試作段階で、2011に実用化を見込む。
 ロケットは長さ 20 cm である。貫通力はそこそこある。そして貫通後に内部で発火する。
 焼夷剤は titanium-boron-Teflon combinations である。
 照準はレーザーポインターで正確に測る。
 Rafael 社はレーザーでIEDを処分する Thor も開発中。
 次。
 Grace V. Jean 記者の「Software Helps Soldiers Cope with Electronics Clutter Aboard Trucks 」によると、iRobot社の爆弾処理ロボットPackBotは、パナソニックの Toughbook ラップトップPCで操縦されている。
 次。
 Austin Wright 記者の「Device Detects Liquid Explosives in Bottles 」。
 もう4年以上も、米国の空港利用者は、重さ3オンスの容器を越える液体を機内には持ち込めないでいる。
 が、ロスアラモスの研究者が、「 Department of Homeland Security」のために、空港利用者が持ち込む手荷物中の液体成分が液体爆薬なのかどうかを識別可能な磁気カメラを試作。病院のMRI(核磁気共鳴装置)類似だが、試製品はもっと巨大でしかも高額だ。研究者は、政府から$14.5 millionをもらって2010中に洗練する。
 課題は、この機械には液体ヘリウムが必要なこと。これは空港内ではかなり扱いにくい。
 目標は、これをX線スキャナー装置に並置すること。
 ※これはイイ。いずれ、人体そのものを液体容器にする「人間爆弾」もできるかもしれないしね。


これはよいまとめ記事。「米陸軍航空隊の大軍拡」。

 2010-4-4にアップされていた「The Growing Threat Of The U.S. Army Air Force」という記事。
 2009に米陸軍は、量産品の Sky Warrior MQ-1C UAV を受領しはじめた。
 2008に、すでに2機の prototypes が Iraq にテストのため送られている。それは成功し、現在、4機の MQ-1Cs が Iraqで作戦中。
 そして、より小型である「 Shadow 200」にとってかわりつつあり。
 さらにあと数ヶ月以内に、4機の MQ-1C が Afghanistan に配備される。
 いま、MQ-1C の値段は、$8 million である。しかし量産が進むと、納入単価は $6 million まで下がるであろう。
 サイズはプレデターよりも少し大きくなっている。そして、以前に「シャドウ200」がやっていた任務を引き受けている。※シャドウは車載カタパルトからその場で打ち出すことができるのだが、プレデターは1500m級の滑走路から離陸させるしかない。陸自が導入する際のネック。
 スカイウォリアがシャドウと大きく異なるのは、ヘルファイアなどで武装できること。
 陸軍が固定翼機からミサイルを発射できるようになるのは、じつにWWII後の1948に米陸軍航空隊を米空軍として分離独立させていらい、初めてのことである。
 空軍の将官たちはもちろん大反対した。その反対する空軍将校たちをゲイツ国防長官はことごとく左遷し、いよいよ米陸軍は、固有の「固定翼航空隊」の建設に邁進する。
 米陸軍の「戦闘旅団」が、ちょくせつ、これら固定翼武装UAVをその編制中に保有し、旅団長がそれを自儘に運用する。
 これは、米空軍がUAVを前線の部隊や海外基地には分属させない(必要に応じて米本土から分遣させて、あくまで本土から手綱を握る)のとは、異なった管理方法だ。
 げんざい米陸軍は、シャドウ級以上の大型のUAVを、約200機保有する。そのほとんどは、重さ350ポンドの「シャドウ200」である。
 より小さい、手投げ式のマイクロ偵察UAVならばすでに数千機、ある。
 ※もちろん、AA訓練用の標的機はそれらとはさらに別に数百機あるだろう。
 米空軍は、米陸軍のマイクロ固定翼UAVには文句をつけてこなかった。飛行高度がヘリコプター並に低く、空軍機の高度と重ならないからである。
 シャドウ200は、夜間も偵察ができ、レーザー指示照射が可能である。しかし、非武装である。
 が、これから2015年までには、米陸軍は、ヘルファイアを発射できる固定翼UAVを500機以上も、整備するであろう。
 4年前、米陸軍は目立たぬように20機のプレデター・カスタム(スカイウォリア・アルファと呼ぶ)をメーカーに発注した。それらはイラクで対IED任務で活躍している。
 Sky Warrior Alpha は自重1トンあり、450 pounds のセンサーと、300 pounds の武装が可能である。そしてそのうちに数機は、複数発の Hellfire ミサイルを発射可能であった。
 スカイウォリア・アルファは公式には「I-Gnat ER」という。その母体は、プレデターの「Gnat-750」およびその改善品の「I-Gnat」である。「I-Gnat」は1989から存在する。
 スカイウォリアはプレデターと見分けがつきにくいが、デザインも機能も別物であり、「従兄弟」と呼ぶべし。
 「MQ-1C Sky Warrior」は自重 1.5 トン、内部搭載センサーは重さ 300 pounds 、それに加えて、機外に、500 pounds のセンサーもしくは武装を吊るせる。
 滞空時間は最大36時間。
 最大速度は時速270kmだ。
 ウィングスパンは56フィート。機体長は 28フィート。
 ヘルファイア・ミサイルは4発吊下可能。(プレデターは2発だ。)
 もっと小型の70ミリ・ミサイルならば12発搭載可能。※以前にヘリから発射していたような無誘導のロケット弾を赤外線イメージ誘導式に改造したもの。ゲリラのSUVならこれで十分だという。
 離着陸は自動。
 オリジナルの MQ-1 Predator は、自重1トン、機体長27フィート、翼長49フィート。
 ハードポイントが2つあり、たいていは1発107ポンドのヘルファイアを計2発吊るす。
 プレデターの最高速度は 215km/時、最高巡航速度は毎時160km、高度限界は2万5000フィート、典型的な作戦飛行では離陸から着陸まで10~12時間である。
 陸軍の「スカイウォリア中隊」は115名からなる。
 各12機のスカイウォリアと、5つの地上管制局を装備する。
 米陸軍は、すべての戦闘旅団(combat brigade)内に、1個の「Sky Warrior company」を設ける方針である。
 米陸軍は、総数で最低500機のスカイウォリアを調達希望。
 米空軍は、Predator (MQ-1)を、米陸軍が開発させた Sky Warrior (MQ-1C) で更新するのはいさぎよしとせずに、より大型の「Reaper(MQ-9)」を買うことに決めている。
 リーパーは、自重4.7トン。全長36フィート、翼長66フィート。
 見た目は、プレデターと似ている。
 ハードポイントは6箇所。
 1,500 pounds の兵装を搭載可能。
 ヘルファイアなら最大8発。
 サイドワインダーやアムラーム、マヴェリックなら最大2発。500ポンド投下誘導爆弾も最大2発。※アムラームとは初耳だ。プロペラ機からアムラームだと……!? ちなみにUAVからスティンガーを発射しても敵ジェット戦闘機には勝ち目がないことはイラク上空で一度証明されています。だからサイドワインダーなのか?
 最高時速は400km、最長で15時間滞空できる。
 A-10はリーパーで更新されるであろう。※すでに「アヴェンジャー」というジェット推進の無人機ができているので、その調子次第では、今後どうなるか分かりません。F-16の対地任務を引き継ぐものがあるとしたら「アヴェンジャー」でしょうが、対空任務まではさすがに無理とみて、米軍はF-16の延命に乗り出しています。
 わが日本の自衛隊のUAVが諸外国からどれほど遅れてしまっているかにつきましては、拙著『「自衛隊」無人化計画』(PHP)、『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』(並木書房)、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』(メトロポリタン・プレス)の、ロボット三部作をご覧ください。
 この3冊で、過去の経緯と、近未来の課題のすべてを、最短時間で把握できます。
 ただわたしにはどうしても分からぬのが、自衛隊/防衛省の中の誰が、UAV導入に消極的なのか、です。
 米軍の場合は、元CIAのゲイツ氏が米空軍に対抗し、説き伏せ、捻じ伏せた結果、今日があります。F-35の単価暴騰をきっかけに、空軍リストラ圧力が一層強まる予感がします。


レアメタルのブームが終わる。ウランも含めてね。

 「China donates 2.6 million U.S. dollars to the Bolivian military」という チャイナディフェンスブログが2010-03-31 に載っけている記事によると、北京は南米のボリビア軍に対し、37台のバス、21台のヴァン、40の船外機 を援助。
 前にもシナは、2007には34台のトラックと5台のバスと3台のヴァンを、また2009には2隻の〔湖用の?〕パトロールボートを、ボリビア政府に贈っている。
 ※いったいなんでそんなことをするのかというと、自国の打ち上げた人工衛星を全地球的に追跡する拠点を欠くシナは、地球の裏側に位置する、南米でもかなり貧乏なボリビアに目をつけ、同国内に施設を建設・運営しているという次第なのです。そのショバ代でしょうか。次々と打ち上がるナビ衛星の「北斗」や、シナも出資した「ガリレオ」をモニターするのに便があるのでしょう。ちなみにかつて弾道弾のテストをモニターする施設は、南太平洋の貧乏島嶼国上に求めたと記憶しますけども、今どうなっているのか不詳。
 2010-2-10のボリビア政府発表によると、同国はシナの援助を得て、国内の衛星通信網も充実させるという。
 関連してUPIの2010-3-31記事「Bolivia opts for Chinese military equipment」。
 げんざい、ロシアはベネズエラに対し、またフランスはブラジルに対し、巨大兵器セールスをプッシュ中。
 またシナは、ボリビアが麻薬組織を監視するための低軌道偵察衛星をうちあげるのを手伝うよ、と申し出た。
 ボリビアとパラグアイは1930’sに戦争した。原因は、国境の「グラン・チャコ」の一帯で石油が出るというルーモアだった。
 けっきょく、石油はまったく発見されなかった。
 ボリビアはパラグアイに領土をとられっぱなしである。またチリには1883の戦争で、太平洋につながる部分の領土をとられてしまった。
 ※じつに北京はいいところに目をつけたわけだが、地下資源も無いとすると、その投資は回収できるだろうか? それと、海なし国のボリビアには、政治的にクリティカルな重い資材は搬入できないよね。だからバスとかトラックどまりになっちゃうのか。ちなみに戦間期に「泰平組合」は、ペルーに相当量の日本製兵器を輸出しました。そのときに作ったと思われる豪華カタログが、並木書房さんから復刻されています『日本陸軍兵器資料集』(宗像&兵頭解説)だと思っています。
 次。
 サイエンスデイリーの2010-4-3記事「Plastic Electronics Could Slash the Cost of Solar Panels」。
 テキサス大のシナ系研究者たちが発明。 indium tin oxide (ITO) よりも安価なプラスチックでソーラーパネルが作れるようになるかも。
 炭素をベースとした導電性プラスチックで、これをいろいろなものの表面に、インクジェットのようにしてふきつければ、それがトランジスターになり、ソーラーセルになる。
 透明金属たるITO用のレアメタル原料は、薄型テレビや携帯の液晶と用途競合するので、こんご、高額化の一方だろう。
 だが、この新プラスチックがITOを値崩れさせるかもしれない。将来、可撓性のディスプレイにも応用されよう。また、子供が耳の病気になると酸化窒素化合物が出てくるのだが、それを検知して変色する医療用のセンサーもつくれるだろう。
 ※兵頭いわく。いままでぜんぶは燃やせなかったウランやプルトニウム等も「ほぼ完全燃焼」させてしまう将来型ミニ原発は、原発燃料の世界的な供給不安を払拭することになるでしょう。東芝が先鞭をつけてくれれば、世界を救った企業と呼ばれるでしょう。同様、産地が偏在していたレアメタルの「代用品」が、次々と発明されています。シナ偏在のリチウムの代用品としては、日本人が、ありふれたマグネシウムが使えるんだと提唱をしています。そして頼もしいことに、米国の大学で研究している多数のシナ人やインド人が、リチウム以外のレアメタルの安価な代用品を孜々として発見し続けています。つまりは、在外のシナ人が、北京政府の思惑をチャラにしてしまっているのです。
 次。
 ANTONIE BOESSENKOOL 記者が2010-4-2にアップした「Carter: DoD Focusing On Safer Resupply Techniques, IED Detection」という記事。
  ペンタゴンの調達のボス、Ashton Carter 氏は、アフガン作戦のために、何種類もの補給用の無人ヘリが欲しいと公言。
 けっきょくIEDを避けるには当面これしかないのだと認識。
 食糧、水、補給物料を、GPS誘導されるパラシュート〔パラフォイル?〕で投下することも考える。
 兵頭いわく。「無人輸送用モーター・グライダー」が、むしろ合理的かもしれませんね。往路は、最初にロケットアシストでむりやり2万m弱まで上げて放してやる。空荷になる帰路は、自力で離陸。片道飛行としてしまっても構わないくらいに、安く作ればよいだけです。胴体が、そっくり基地の倉庫になるでしょう。
 カーター氏またいわく、今年の夏からは、いよいよ飛行船搭載カメラによる監視を始められるかもしれない。
 イラクにある350の前線基地は削減が進んでいる。イラクの米軍車両は、ピーク時の 41,000 台から 29,000台に減っているそうです。


乞食の天国をつくりたいな。

 william matthews 記者による2010-4-1記事「New Treaty Could Trim U.S. Bombers’ Nuclear Role」。
 4-8調印予定の The new START treaty の成立によって、米空軍の核爆撃機は縮減圧力にさらされる。
 保有総投射手段は800まで許されるが、そのうち即応配備してよいのは700だけだ。今ある米国のICBMは450基。SLBMは336基。核運搬可能なB-52は44機。核運搬できるB-2は16機だ。
 このトータル846から、投射手段を一線配備700(+予備控置100)までに減らさねばならん。ICBM/SLBMは減らせまい。サバイバビリティは今でもすでに、BMの方がある。そして当然、BMの方が即応性がある。とするとB-2とB-52を減らすしかない。※モスボールになるか?
 たぶん爆撃機は20機ぐらいに減らされるだろう。※つまりB-52はゼロ?
 B-52にも長所がある。B-2よりもたくさんの核弾頭を運搬できるのだ。
 B-2は16発だが、B-52は20発搭載可能。よって全B-2は256発を運搬でき、全B-52は400発を運搬できる。
 現在の抑止はBMが担っており、爆撃機はバックアップにすぎぬ。なにしろ敵国に達するまでに数時間もかかるのだ。BMは30分強で届く。
 ※SLBMは、敵岸に近づくことで、発射から落達までの時間を著しく短縮し、奇襲性を高めることができます。つまり敵のABMの対応や、敵のICBMの「被爆前発射」を、困難にしてやることができるのです。また、かつて「パーシングII」がもっていたような終末誘導機能は有しないRVを投射するSLBMの場合は、射点が敵に近いほどCEPも小さくなります(現在の自艦位をGPS等によってICBM基地並に精密に知り得た場合)。そもそもトライデントは、ソ連の都市ではなくICBMサイロを、わがSLBMの先制攻撃で正確に芟除することを企図して、ナヴスター衛星とセットで開発されたシステムでした。たんなる報復用第二撃のためならば、あれほどのシステムは必要としないのです。もはや戦略空軍もICBMも米国は必要とはしないのだと言いたかった、リッコーバー提督の組織対抗意識の産物だったのです。今日でも、ミサイル原潜が敵国に近づけば近づくほど、奇襲性と精密性のメリットがあることに変わりはなく、おそらくシナ軍のICBMサイロに対しては、米国トライデントSLBMは、インド洋北部もしくは西太平洋から発射するつもりであろうと考えられます。むろん、米海軍は原潜のパトロール・コースを公表することはありませんが。
 次。
 2010-3-31記事「India to Orders Israeli UAVs Armed with Missiles」。
 インドはイスラエルから武装型を含むかなりのUAVを買ってパキ国境に2011から配備したい。これはアメリカがパキスタンに武装型プレデターを売り渡す可能性に備えておく措置。
 買い物リストには、 Searcher-II とか「killer」 というUAVも含まれている。これは自爆型の対レーダーUAVである。ロイタリングして敵目標を探す巡航ミサイル。
 インドはイスラエルに、地上管制装置や通信システムも発注している。
 インドとイスラエルが費用折半で共同開発中の無人武装ヘリもある。
 次。
 イスラエルの DEBKA が2010-4-1に報ずるところの記事「ME【中東】 game-changer: US nuclear shield for Saudis, Gulf emirates」。
 3-31に西側で、サウジアラビア領海内から先週、米海軍がトライデントSLBMをテスト発射したと報じられた。これはサウジと米国の合同演習中であった。
 米国防総省は4-1に否定したけれども、サウジの安全保障ソースは、報道を肯定している。
 着達点はペルシャ湾だったらしい。※発射はあり得るとしても、そんなところに落とすか、普通? あらかじめ、着弾海域を演習艦艇で取り囲んでおいたのか?
 これはイランを牽制しサウジをなだめるためである。
 発射の場所は公表されず。潜水艦のタイプも、成否も同様。サウジと米の合同演習の規模も非公表。
 1基のミサイルから複数の弾頭が落ちた。となると、発射されたのは米海軍のトライデント以外にあり得ない。
 サウジには核の傘がさしかけられているよと米国が強調するためのものだ。
 米サ合同演習は、3-29にやると予告されたが、3-29にはまだ始まってはいなかった。
 ※もしこの話が本当だとしたら、それが意味するところは、サウジ政府が今、ものすごく本気でイランに対抗する核武装を急いでいる、ということでしょう。だから米国としては、ここまでして宥める必要があるのでしょう。
 中東核戦争が起きれば日本と世界はどうなるか、その予想は拙著最新刊『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』に書いてあります。お読みください。
 関連して。
 DEBKA の 2010-3-28記事「 US researchers postulate Israeli tactical nuclear strike on Iran」。
 3-28にNYTが載っけた予想記事。イスラエルは、サウジ国内の砂漠に勝手に秘密の給油基地を設置して、そこを中継点に使って対イランの長距離往復空爆を実施するのではないか。
 そのさい米国は、サウジ政府を蚊帳の外に置くために、イスラエルの作戦完了まで、サウジ人がその秘密基地に近づかぬように邪魔をするのではないか。
 イランはサウジの石油工業の中心都市であるダーランにBM(非核)攻撃するだろう。そしてホルムズ海峡には機雷を撒くだろう。
 最近のシミュレーションによると、イスラエルが対イラン空襲を始めてから8日目にしてイスラエルはイランの空軍と海軍を全滅させてしまう。
 ※もしも米国がイスラエルに代わって、分散して地下に設けられたイランの核工場を破壊しようと思ったら、BMを高い弾道で発射してごく精密に命中させる必要があります。サイロ攻撃と同じです。サウジ近海から発射されるトライデント・ミサイルなら、確かにこの任務には向いているでしょう。また、各RVの可変イールドを最低に設定して、地表爆発モードで発射するという方法ももちろんあります。この場合は、SSBNをイラン近海まで寄せる必要はないでしょう。
 次。
 APのJOSEF FEDERMAN 記者による2010-4-2記事「Israeli unveils tank-defense system of the future」。
 イスラエル軍が Trophy システムを完成した。敵の対戦車ミサイルが味方の戦車に達する前に、能動的にそれを撃墜してしまう、戦車の個別自衛システムだ。1セットが20万ドル(戦車1両につき)。
 戦車の両側面にとりつける。レーダーで飛来物を探知。そして小型の爆発物を投射して飛来物を迎撃する。
 リロードは自動。
 当たりそうにないロケットには反応しない。※ではスウェーデンの「ビル」のようなオフセット攻撃だったら?
 爆発によって味方歩兵を傷つける可能性は1%である。
 すでに何両かの Merkava 4 tanks には試行的にとりつけ済み。
 年内にさらに数十両に取り付ける。
 2006のヒズボラとの1か月戦争でイスラエルの戦車乗員は19人以上戦死した。
 2006いらいの数年の抗争でレバノン人は1000人くらい死に、イスラエル人は159人死んだ。結果的にイスラエルは撃退されたと見なされている。
 これとは別に、APC用の対ミサイル防御システムあり。Iron Fist といい、来年からの実用化が期待されている。こっちはジャミングによって敵ミサイルのコースを逸らす。それがダメだったときは、衝撃波を発生させる。
 また、Iron Dome は、短射程のカチューシャ・ロケットを迎撃する。この夏、ガザに配備予定。
 ガザ沖には Protector という無人警備艇もテスト航行中。
 ※「トロフィー」や「アイアン・ドーム」が有効だとなったら、湾曲弾道の榴弾の野戦における価値も劇的に変わってしまうことでしょう。先進国軍隊を相手とする場合の装備と、ゲリラ相手の装備とを、別建てに考える必要が生ずるでしょう。
 次。
 Katie Drummond 記者の2010-4-1記事「Pentagon Wants Troop Poop Porta-Reactors」。
 DARPAが計画中の、海外軍事活動用ミニ原発は、several years 単独で稼働し続ける。
 そして、汚泥をとりこんで、その場で車両用燃料を合成してくれる。
 バルカン半島の米軍基地は、そのゴミや排泄物を焼却するためだけに、毎年6万5000ドル分の石油を燃やし続けている。
 いま、アフガンにいる米兵は、1人が、1日に 22 gallons の燃料を消費している計算である。
 ※ミニ原発はまだカタチにすらなっていないので、情報も出尽くした感じですね。


背に腹は代えられねえ。

 『大日本国防史』は数巻のシリーズになる見通しです。いろいろすいませんです。あっさりとまとめるつもりが、ハマり込んでしまい、1巻では文字量がとうていおさまらなくなりました。vol.1は「壇ノ浦」までです。
 ただちに vol.2「鎌倉時代~」篇に作業は突入しています。これを脱稿するのは1~2ヶ月後でしょう。併せて、お待ち下さい。
 それから『イッテイ』は増補改訂してデジタル商材にします。「ポッドキャスト28」でいずれご案内できる予定。※貯金が急速にゼロに近づく中、カネになる仕事を優先する必要がありまして、新音源を供給できないのがもうしわけないです。なにしろ録音機のマニュアルを読むだけでわたしの1日の「可処分時間」が終了してしまうのです。誰か素材を提供してくれんかなぁ……。
 NYTの電子版。GARY J. BASS 記者が2010-3-31に載っけている評論「When Israel and France Broke Up」。
 往年のフランスとイスラエルの蜜月は、武器貿易を柱としていた。
 アルジェリアの叛乱を鎮圧したかった仏には、イスラエルの対アラブ姿勢が頼もしかったのだ。1956のスエズ動乱では仏・イはいっしょに戦った。
 イスラエルの核武装、そして空軍建設に関して、仏はイスラエルを決定的に助けた。
 1959に大統領になったドゴールも後援した。ドゴールはベングリオンを西側世界における現代の偉人だと見ていた。そして仏国内の非ユダヤ人もイスラエルを応援していたのだ。
 が、1962にアルジェリア戦争が終焉してから、ドゴールはアラブとの関係改善に舵をきる。
 1967年、エジプトがあきらかに侵略的な動きを見せていたが、フランスはイスラエルの行動を抑制させるため、中東への武器輸出を禁じた。
 しかし、同年6月5日のイスラエルのプリエンプティヴ攻撃で始まる「6日間戦争」は、フランス製の飛行機で勝ったようなものだ。
 その数ヵ月後、ドゴールは演説し、フランスはイスラエルを見捨てるといわんばかりのメッセージを発した。
 仏の対イスラエル武器禁輸は恒久的なものとなった。アラブの石油がそれほど必要だったのだ。
 このドゴール氏の取り消し不可能だった1967声明を、ナタニエフは、オバマ氏には言わせないように、せいぜい気をつけるがよいぞ。
 次。
 2010-3-31の記事「Diet of contaminated insects harms endangered meat-eating plants」。
 虫たちが、重金属(特にゴミ由来のカドミウム)に汚染されている。そのため、世界中で食虫植物の数が減っている!
 次。
 2010-3-31記事「American industry’s thirst for water: First study of its kind in 30 years」。
 米国で1ドルする砂糖を生産するには、270ガロンの水資源が消費されていることが判明した。
 犬猫用フード1ドル分のためには、水200ガロンが使われている。
 1ドルの牛乳のためには、同じく水140ガロン。
 次っ。
 Vivienne Walt 記者による2010-4-1記事「Afghanistan’s New Bumper Drug Crop: Cannabis」。
 世界のヘロインの9割はアフガンの芥子からつくられている。
 しかし国連によると、アフガニスタンは今や大麻ハシシュ樹脂の最大の産地(2009において1500~3500トン)であるようだ。アフガン農民はそれによって2009には $94 million の収入を得た。
 2010のアフガンでの米兵とNATO兵の戦死はもっか 139 名である。
 敵ゲリラに資金を提供しているのは、アフガンの麻薬事業者だ。
 アフガン南部は土地が豊饒で、モロッコの畠における量の3倍の大麻の反収を収穫可能。
 アフガン農民は、小麦などを植え付けるよりも3倍の収入を大麻栽培によって得られる。
 大麻は、芥子よりも収益性が良い。まったく粗放栽培で可いからだ。
 道路が危険すぎるので、南部の農民は、穀物などを栽培しても、それを市場に輸送して売ることなどできやしない。これも一因。ケシや大麻なら、犯罪組織の方からトラックで集荷に立ち寄ってくれるので、安全でもあるのだ。
 ※頓馬なことに、芥子【オピウム】と大麻【cannabis】はぜんぜん違うものなのだと、この記事によってわたしは初めて明瞭に認知しました。いままでの記事紹介では混同してたかもしれません。大麻はアサだから花【ポピー】は咲かないのか……。
 次。
 ScienceDaily が2010-4-1にアップしている記事「Improving Fuel Economy of Tractor-Trailers, Buses, Work Trucks」。
 米国の牽引車やバスやトラックにはいままで燃費に関して連邦の指導がなかった。これを改める。なにしろ米国の輸送交通用の燃料の26%を消費しているのだ。
 トレーラー牽引車ならば新型ディーゼルの採用で2020までに2割の燃費向上が可能。空力を洗練すれば11%の燃料費が削減できよう。ゴミ収集車やバスのような、停発進をくりかえす車両は、ハイブリッド化で35%燃料消費を抑制できるはずだ。


ミニ原発で「水から石油をつくりだす」――だと!?

★「読書余論」コンテンツの予告中で「平岡煕一」とあるのは「平岡煕」のあやまり。煕一氏は父親の方であります。
 さて、衝撃の事実が判明した。
 レジスターという媒体が報じた話を Jeremy Hsu 記者がまとめて2010-3-31にアップしている、「Mobile Nuclear Reactors Could Provide Power and Jet Fuel for Military, DARPA Says」という記事。
 空母の原子炉は、海水中の水素や炭素を利用してJP-8を作ることもできるはずである。※海軍機はJP-5の筈だが、このさい細けぇこたぁどうでもいい。
 同様に、アフガンの最前線の米軍基地の下水溜の水からも、軍用ジェット燃料JP-8(それは車両も走らせる)がつくりだせる。基地用に軽量可搬原発さえあれば。
 そうなれば、もう、JP-8をタンクローリーで輸送する必要がない。したがって、IED攻撃は無効化される!
 DARPAの皮算用。ポータブル原子炉を前線基地に据えれば、5~10メガワットの電力を使い、毎日1万5000ガロンものJP-8を現地製造できるであろう。これはチヌーク・ヘリ×何十機もが運ぶほどの量である。
 もちろん、現在は、そのような小型原子炉が実用化されていない。これを実用化するのが、先だ。
 兵頭いわく。ビル・ゲイツが飛びついたのも、「小型原発で下水から石油をつくり出す時代が来る」という未来にだったのか!
 石油成金の地球支配は終わり、原発ベンチャーの時代が来るのか!
 是非、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』で、事情をお確かめください。
 次。
 Leo Shane III 記者が2010-3-31に星条旗新聞に載せた記事「Obama announces plan for oil drilling off U.S. shores」。
 メキシコ湾の米国海岸では過去20年間、油井のドリリングは厳しく規制されてきた。しかし米国の法律が変わった。
 これからどんどん、大西洋とメキシコ湾での海上天然ガス採掘を拡大するぜ、とオバマ政権。
 ただしアラスカのブリストル湾では環境団体が大反対。
 オバマ氏いわく、これから頼りにするのは、再生可能な国内産エネルギー(renewable, homegrown energy)でなくちゃならないんだ!
 A-10でカメリナとジェット燃料を半々混ぜて飛んだパイロットの証言。調子には、何の違いも無かったね、と。
 近来、米空軍は、2.4 billion gallons のジェット燃料を毎年消費している。 しかし、空軍が米国内空域で消費するのに必要な燃料の半分、約400 million gallonsについては、2016までに「代替燃料」を充当したい。
 米海軍の目標も似たようなもので、そっちのゴールは 2020である。
 なお米空軍は2012までに、使用する全機種で代替燃料が可能かどうか確認するつもり。
 米海軍は4-22に、F-18を、半分バイオ燃料使用のものとしては初めて、超音速で飛ばしてみる。
 また、米政府は政府機関用に5000台のハイブリッド車両を調達する。
 兵頭いわく。脱石油時代が、間違いなく到来しつつあります。真相を、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』で、お確かめください。
 次。
 Clay Dillow 記者が2010-3-31に載っけている記事「Modified Secreting Cyanobacteria Are Like Tiny Biofuel Factories」。
 アリゾナ州立大学が、光合成するシアノバクテリア【藍色細菌】でブレークスルーの手掛かりを得た。
 細胞壁/膜をぶちこわさずにバイオ燃料成分を効率的に抽出できる。つまり、卵を産むニワトリを殺さないで済むわけだ。
 バクテリアは食用農作物と土地を競合しないし、遺伝子操作は簡単だし、安い。ところが、そこから燃料を取り出す工程にカネがかかるので、競争力がなかった。
 研究者の一人の〔シナ系の?〕 Xinyao Liu 氏。いわく。thioesterase という酵素を使う。それがタンパク質から脂肪酸を分離してくれる。分泌の量は酵素によって3倍になった。
 次。
 おなじみ David A. Fulghum 記者による2010-3-31アップ記事「U.S. Navy Wants To Field Cyber-Attack System」。
 戦術級のサイズのUAVにフェイズドアレイ(electronically scanned array =AESA= emitter)をとりつけて、敵艦隊に対し、データ・ストリームを流し込んでやれ。
 艦隊通信ネットワークにもぐりこむためには「キー」が必要だが、波形等を似せることでそこを突破すれば、防空システムを大混乱させられる。
 つまり、ジャミングとハッキングを組み合せたものが、次世代ジャマー(NGJ)の機能となるのだ。
 それが可能な最初のポッドは、もうすぐ EA-18G Growler の古い「ALQ-99 jammer」を更新するであろう。
 またF-35の機関砲スペース内にもとりつけられるだろう。
 B-52を改造して200マイル以遠から電子攻撃をしかけることも検討中だ。
 次。アメリカにはネトウヨはいないものの田舎のカタギ州に反民主党の武装市民団体が増えてほとんどナチ一歩手前だぜという報道。
 ABCテレビの番組の梗概。RYAN OWENS と ELY BROWN 記者による「In Idaho, a Militia Trains … for What?」という記事。2010-3-30アップ。
 ミリシャ(民兵)の団体で、Hutaree という組織が警察を襲撃しようと計画していたとして逮捕された。それに関連してアイダホの別な団体を取材した。
 North Idaho Lightfoot Militia は、メンバーは100名以上。そしてメンバーは、失業者が多い。昨年、こうした失業者を吸収して米国ミリシャは急拡大した。だがきっかけは、黒人大統領の当選だ。
 その成員いわく。オバマ民主党はヘルスケア法案で米国を全体主義・社会主義にしようとしている。そこからは独裁者が出てくる。それに反対するのだ。
 タダの医療なんてものはこのアイダホ州では許せんのだ。
 またいわく、ソ連の憲法は宗教の自由は認めたが、人民武装の権利だけは許していなかったろ、と。
 次。
 やっぱりイランの核技師は米国CIAによって亡命を手引きされていた。
 APの2010-3-31記事「Iranian nuclear scientist defects to U.S.」。
 科学者の Shahram Amiri 氏は、テヘランの Malek Ashtar 大学 で働いていた。去年の6月にメッカ巡礼中サウジで行方不明。イラン政府は米国が誘拐したと非難していた。
 やはりそれはCIAが長年準備した亡命だったのだと、このたび判明。
 ※つまり米国政府は、イランが核武装しそうかしそうでないのか、かなり正確に掴んでいるんですよ、だからトラストミーですよと、こんどの米ソ新条約やこれからの空軍削減に反対しそうな連中に、ちょうどよいタイミングでメッセージを発したわけ。


◎読書余論 2010-4-25配信予定分 の 内容予告

▼防研史料 『支那軍の特性』S6頃?
 傳作義の毒ガス使用について。
▼防研史料 『重慶軍戦法ノ参考』S18-9
 じつはシナ軍の手榴弾偏愛スタイルはソ連赤軍直伝か。
▼茅原郁生ed.『中国の核・ミサイル・宇宙戦力』2002-7
 シナ人いわく、背丈にふさわしい服を着るべし。つまり大国なら軍事力を持てと。
▼『新 日本古典文学大系 32 江談抄 中外抄 富家語』1997
 牛車には、横向きに乗るものである。平治の乱に敗北した宮廷貴族による、意外なしきたり集。
▼篠原節・瀬戸弘幸『ヒトラー思想のススメ』1990-12転展社pub.
▼星野常富著、坂部裕郎訳『武学拾粋』1997、原・嘉永6
 心気を鎮めていない者は、口論になったときに「真暗」になる。※梶原一騎の告白を裏付ける。幕末まではフィジカルな喧嘩とオーラルな口論とは区別をされていなかった。それは無段階的に遷移するもので、最後は、刺すか刺されるか、だから。そこまでの覚悟をするなら、選択は「空手」ではない。
▼リタ・グリムズリィ・ジョンスン著、越智道雄tr.『グッド・グリーフ』1991、原1989
 チャールズ・シュルツがまだ生きていたころに刊行された立身伝。ドイツ系で、WWIIにも従軍。高等教育を受けず、プロのマンガ家になってから、ウッドストックが描けるようになるまで6年以上かかった。やはり、単純なものほど難しいのだ。『ピーナッツ』の死後続編はシンジケートとの契約によって絶対にありえない。しかしキャラクター商品は出続ける。
▼木村菊太郎『小唄鑑賞』S41
 89式中戦車を生産した「汽車製造(株)」をつくった平岡煕一について詳しい。平岡はベースボールも輸入した。
 伊藤博文は自分が暗殺されることを予期した小唄をM42-10渡満の前日に作っていた。
▼木村菊太郎『芝居小唄』S35
▼山中与三郎『プル子よ さらば』2005
 日共が、再処理とプルトニウム利用に反対した。ATR(ふげん)は科技庁が推し、CANDU炉は通産省が推した。※通産省のこの選好だけは偉かった。確信犯だからだ。いまは当時の面影なし。
▼丸谷才一『新々百人一首』1999
▼片山与三吉『小倉百人一首評釈 附 早取法』S3-12
 カルタ必勝戦術のハウツー。
▼尾崎行雄・推薦、田川大吉郎tr.『銀行国営論』S6-8
 底本は豪州人フランク・ロック著“Nationalizaiton of Credit”
 英のコモンロー「法律は人に不可能の事は強いない」。※つまり9条はコモンローによっても無効である。
▼Woods Hutchinson著、大日本文明協会・抄訳『文明と保健』大13、原1914
 南北戦争で北軍の20万人の新兵の身体測定がおこなわれている。
 40歳までは、体重は多いほうがマシである。40歳をすぎれば、それは逆になる。
▼フリッツ・フォン・ベーリング『バイエル創業五十年史』S13-8
▼平間洋『ミネルヴァ日本評伝選 福沢諭吉』2008-5
 『雷銃操法』はいつどのように書かれたか。五箇条の御誓文も、諭吉の『西洋事情』から影響を受けていること。
▼小野&千田tr.『中国古典文学全集 金瓶梅』上中下、平凡社S34~35
 シナの経済ヤクザについて知りたくば、必読の古典。ナンバ歩きなど無いことがこの挿絵の「ナンバ」から逆に知られるだろう。
▼森田俊彦『陸上戦技』S18-10
 戦術の話ではなく、フィールド&トラック競技の戦時呼び変え
▼南満鉄(株)産業部pub.『北支那経済綜観』S13-5
▼手塚正夫『支那重工業発達史』S19-9
▼ジョン・スチュアト・ミル著、戸田正雄tr.『ミル経済学理1』S23
 昭和以前に一度も訳されなかったのは何故?
▼長岡清治『旧夢 会津白虎隊』大15-9
▼原正男『国民性伝説』大6-2
▼加藤咄堂『民衆と宣伝』大9-10
 シナ人の「暴戻」はその屠殺文化にある、と、紀 惟貞が指摘。
▼桃 裕行『上代学制の研究』S22
▼久木幸夫『大学寮と古代儒教』1968
▼児玉幸多ed.『改訂新版 図説 日本文化史大系・9』1968
▼『海俊宗臣著作集・7』S55
▼瓜生敏雄『動乱と警察』S58
 S23-4-24の神戸の北鮮人暴動。S24-6-30の日共系暴動。S25-7-11の小倉の黒人兵暴動……など。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
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 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。


明日発売の月刊『正論』クロスラインでは新原発の話をしています。

 桜林美佐さんが民放ラジオで与那国島リポートをやってくれたらしい。インターネット放送の「Radiko」でもアクセスできるらしい。「フジサンケイビジネスアイ」では「防衛産業」についての連載もなさるらしい。ご活躍を祈ります。
 AFPが2010-3-29に、「Drones May Ship to Pakistan ‘Within a Year’: DoD」という記事を配信しています。
 ワシントンは12機くらい非武装の無人機を援助するつもり。1年以内に。機種は未定だが Shadow が有望。ScanEagles の線もわずかにあるが、目下はシャドウが一番だ。
 米国は、2008からいままで、100回近い無人機による攻撃をパキ内で実行。それによって830人以上が殺されている。非戦闘員多くを含む。
 シャドウのサイズは、長さが 11フィートで、翼長が 14フィート。
 パキじしんの所有する無人機は、能力がシャドウにも及んでいない。※つまりイタリア製ファルコじゃだめってこと。
 パキ軍人いわく。「無人機は自軍で所有して運用するんじゃなけりゃ、士気にかかわるよね」。
 次。
 2010-3-29アップの記事「Researchers equip robot sub with sensory system inspired by blind fish」。
 プレキシグラスとアルミでできた80×30センチメーターのロボット深海探査機の Snookie は、視界の利かない深海で深海魚と同じ lateral-line【側線】 system により、魚や両生類を探知する。
 ミュンヘン工科大学の Van Hemmen 教授の着想。
 サソリは8本脚。その足にセンサーとなる毛が密生している。そこから入る振動信号を脳が処理して、暗闇でも獲物を知る。側線も似たようなもの。メキシコの洞窟内に棲む、目が退化した魚、 Astyanax が特に参考になる。
 Snookie は機体外部に6基のスクリューを有する。
 これが洗練されていけば、海に沈んだフライトレコーダーの捜索ができるのではないか。
 液体槽やパイプの内側の点検ができるのではないか。
 レーザーで外周環境を探る今のロボット・センサーよりも、側線システムの方がスウォーム化には向いている。他のロボットのレーザーで盲目化されないからだ。
 次。
 2010-3-28配信記事。「Pakistan to buy 7 submarines」。
 シナはタイについでこんどはパキにサブを売るかも。
 パキスタンはドイツに続いて、仏、支とも交渉に入った。
 シナは安さで勝負。1隻 $230 million だという。
 次。
 Mark Thompson 記者が2010-3-30に載っけている記事「EMP: The Next Weapon of Mass Destruction?」。
 米国に対するEMP爆弾によるテロを 鷹派の Heritage Foundation が警告。議会に 3月23日(1983にレーガン氏がスターウォーズ=SDIをブチ上げた日)を「EMP Recognition Day」とすべし、と迫った。
 1平方mあたり100キロボルトのEMPは、ほとんどの最新兵器を役に立たなくしてしまう。この値の2倍の攻撃をロシアは可能なのだとFoundationの仲間の一人は主張。
 40マイルの高空で炸裂させるEMP兵器を、HEMP(High Altitude Electromagnetic Pulse)という。米海軍は、このHEMPから艦隊を防護する研究にすでに乗り出している。
 ※トヨタの車載チップが耐EMPを何も考えていないので宇宙線を受けて暴走した可能性がある、とワイヤード日本語版が伝えていますね。Thompson 記者の記事も、EMPテロがあった日にはトヨタ車は動かなくなるので人々は原爆の爆心地から避退することができない、と脅かしています。トヨタは〈米軍に協力しろ〉という圧力でも受けているのでしょうか?
 次。
 Christopher Szabo 記者の記事「South African Army doesn’t discriminate against soldiers with HIV」。
 南ア陸軍は、HIVの兵隊も差別しない。ただし海外派遣部隊には、混ぜない。派遣先(たとえばスーダン)で病死するのが予期できるのに、派遣なんてできない。
 なにしろ同国のHIVの割合が大きすぎ。5000万人の人口のうち、530万人の HIV-positive people がいるのだ。
 次。
 ミリテクに、ロシアのT-95の話が連続UPされていました。
 まず「Russia May Unveil New ‘Super-Tank’ In Summer 2010」という2010-3-30の記事。RIA Novosti の報道をもとにして Staff Writers がまとめています。
 試作中の「品番195号」は重さ55トンで速度は毎時65kmに達するかもしれない。
 主兵装は滑腔の152ミリ砲で、誘導弾を発射できる。その場合の交戦距離は6000~7000mにも達する。
 乗員は3名で、砲塔部は無人。
 いまの主力である「T-90」は、「T-72B」をベースにしたもので、年産100両。これはトータルで1500両以上、整備されるだろう。
 そしてもうひとつ。RIA Novosti military commentator の Ilya Kramnik 記者による「Russian Tanks: Today And Tomorrow」という記事が、2010-3-29にミリテクにアップされています。
 いまやロシア唯一の戦車製造事業者であるUralvagonzavodのCEOに独占インタビューした。
 げんざい、露軍には、T-90は500両しかない。ただ、毎年60~100両の新生産分を納入されている。
 今月、General Alexander Postnikov は、2010年のロシア軍のT-90の調達予定数は261両だと公表した。
 T-90 の輸出はいろいろトータルでまもなく1000両になろう。いちばん買っているのがインド。他には、アルジェリア、トルクメニスタン、キプロス、リビア、サウジアラビアも買う。
 露軍保有の古いT-72も近代化改修が続く。最新バージョンは「T-72BA」。操縦手席の底面に増加装甲。だが、納入される部品の品質で泣いている。
 予算不如意の中、T-95は全要素をメーカーの自己資金で新開発して完成した。一般公開は2010夏の軍イベント中になるだろう。
 政府は、露軍の現有戦車2万両(予備も含む)は多すぎるとみなし、「一線現役2000両、予備保管分5000~6000両」にまで削減していく方針。
 ※公開が夏だというので、それまでいろいろな「T-95」想像ができるのが楽しいですね。わたしも参加してみましょうか。乗員3人のうち少なくとも1人は、車体の末端に置かれるのではないでしょうか。昔の「S戦車」みたいに後ろ向きではないでしょうけどね。主砲は低圧砲ではないでしょうか。砲弾設計用や車載用のコンピュータ・ソフトに弱点を有する彼らは、APFSDSでの射程&命中率競争から脱落することを決めているとしてもおかしくはないでしょう。そう思うもうひとつの理由は、十数年前にクビンカの戦車博物館で見かけた、「コッパーヘッドの戦車砲弾バージョン」の試製品の展示モデルです。カッパーヘッドというのは1980’sに米軍で試みた、セミアクティヴ・レーザー誘導式155ミリ榴弾です。NATOの砲兵隊にソ連戦車をピンポイント破壊させようとしたものでした。ところがロシアはそれを野砲用としてではなく、戦車砲用の直径で模倣していた。あそこまで漕ぎ付けた努力を彼らはまだ捨てていないだろう。あれを増口径し、低圧砲を組み合せて、6000m先の目標に彎曲弾道射撃をすれば、トップアタック(敵戦車の薄い天蓋部への下向き攻撃)になるので甚だ好都合でしょう。152ミリの低初速砲弾の弾殻の中に、7~8kgの猛性炸薬を充填することができれば、外れて至近弾になった場合でも、敵MBTの履帯くらいは損傷させてやることができます。122~130ミリ級の榴弾では、至近弾で敵MBTの履帯は切れません。これが一足飛びに152ミリを選択している理由だとわたしは勝手に想像をします。2000m未満の至近距離で米軍のM1と撃ち合いになったら? いろいろと変わった砲弾をそのためにつくるだろうと想像しますが、ロシア人は西部劇式の決闘に勝つことはあきらめているんじゃないですか。そのような状況に陥ってしまった時点で戦争は負けじゃないかと。だって米軍のMBTが祖国に侵入してくる情況ならば、きっと制空権だって奪われていますよ。そんな最悪事態で、唯一、M1に一矢を酬いてやる方途は、あくまで地形・地物に隠れ潜み、彎曲弾道の152ミリ榴弾で反撃することだけかもしれません。WWII末期の帝国陸軍の「砲戦車/自走砲」(なかんずく四式十五糎自走砲「ホロ」)の発想がリバイバルするしかないでしょう。もちろん、そんな悲観的な将来予測ばかり彼らはしているのでもないでしょう。これからのAFVは、対テロ任務の市街戦がこなせなければ、国民の税金を投じただけのベネフィットが認め難い。肉薄軽量で比較的L値の小さい砲身ならば、砲耳にハイ・アングル射撃のストレスをかけることも楽になります。152ミリ榴弾は、ビルの特定の部屋を即座に無害化してくれる、たのもしい道具となるでしょう。市街地に布陣して対ヘリ交戦もしなければならないと考えた場合も、高角射撃ができることが重宝でしょう。
 次。
 2010-3-26アップ記事「Gulf Stream Turbines Seeks Investors for Ocean Current Generator」。
 地球自転のコリオリ力が生み出しているきわめて安定した海流の運動エネルギーを、水中に沈めた回転羽根からとりだして発電しようという試み。
 発電コストは風力タービンの半分以下にできるという。
 Gulf Stream Turbines LLC 社は、まさにこの夢の実現のために 2009 に設立されたという。
 ※海洋発電がそんな生易しい世界じゃないってことにつきましては、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』を、ひとつご参照ください。